JP3045243B2 - 低温ガス圧縮機の運転制御方法 - Google Patents

低温ガス圧縮機の運転制御方法

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JP3045243B2 JP2111729A JP11172990A JP3045243B2 JP 3045243 B2 JP3045243 B2 JP 3045243B2 JP 2111729 A JP2111729 A JP 2111729A JP 11172990 A JP11172990 A JP 11172990A JP 3045243 B2 JP3045243 B2 JP 3045243B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、液化天然ガス(LNG)を貯蔵する低温貯蔵
タンクより蒸発する低温ガス(BOG)を吸入し圧縮して
プラントに供給するための低温ガス圧縮機の運転制御方
法に係り、特にBOGを吸入・圧縮する低温ガス多段圧縮
機を運転・停止するにおいてその吐出温度を制御するた
めの低温ガス圧縮機の運転制御方法に関するものであ
る。
[従来の技術] 従来、LNG低温貯蔵タンク内で蒸発したBOG(ボイルオ
フガス)は低温ガス多段圧縮機で圧縮してプラントに供
給する場合、BOGの温度はマイナス百数度から常温と広
い範囲で変動しやすく、特に多段圧縮機の起動直後は、
吸込側温度が常温近くまで昇温しており、これをそのま
ま圧縮すると吐出温度が許容温度以上となり運転できな
い。例えば、吐出圧力9kg/cm2Gの場合、低圧段吸入ガス
温度30℃の時、低圧段吐出温度150℃、高圧段吐出温度3
00℃となり、許容温度180℃以上となり運転できない。
そこで実公昭57−30577号公報に示されるように、す
なわち第4図に示すように低温ガス多段圧縮機の吸込側
に、ガス冷却装置を接続することが提案されている。第
4図において、液化天然ガス1の貯蔵タンク2のBOG払
出ライン3にはガス冷却装置4が接続され、そのガス冷
却装置4の排出ライン5に低温ガス多段圧縮機6が接続
される。低温ガス多段圧縮機6は低圧段側圧縮部7と高
圧段側圧縮部8とを一台のモータ9で同時に駆動するも
ので、低圧段側圧縮部7の吐出側と高圧段側圧縮部8の
吸入側とが接続ライン10で接続され、高圧段側圧縮部8
に払出ライン11が接続される。ガス冷却装置4は、冷却
器本体12内にLNGを噴射するスプレー管13が設けられ、
そのスプレー管13にLNGの噴射量を調整する制御弁14が
接続され、その制御弁14がガス冷却装置4の排出ライン
5に設けた温度検出器15により開度制御されるようにな
っている。この装置においては低温ガス多段圧縮機6の
起動運転時、温度検出器15が排出ライン5の温度、すな
わち低温ガス多段圧縮機6の低圧段側圧縮部7の入口温
度を検出し、その温度が所定のマイナス温度(例えば−
100℃以下)となるようスプレー管13でのLNG噴射量を制
御するようになっている。第3図は、起動直後の各ガス
の温度の経時変化を示し、aは吸入ガス温度、bはシリ
ンダ温度、cは低圧段側吐出ガス温度、dは高圧段側吐
出ガス温度を示す。この第3図において、起動直後各温
度が常温であり、吸入ガス温度a及びシリンダ温度bは
常温から徐々に下がり、低圧段側吐出ガス温度cと高圧
段側吐出ガス温度dとは、一旦ピーク温度まで上昇して
から徐々に下がり一定の吐出温度となる。このガス冷却
装置4でのBOGの冷却時間tは、ガス冷却装置の入口ガ
ス温度がLNGスプレーによる冷却を必要としない所定の
マイナス温度(例えば−100℃以下)となるまで必要で
あり、以後は冷却を停止したままでも低圧段側吐出ガス
温度cと高圧段側吐出ガス温度dとは徐々に下がって安
定する。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、ガス冷却装置4は、低温ガス多段圧縮
機6の起動後ガス冷却装置の入口ガス温度が冷却を必要
としない低温になるまでの短時間稼動するだけであり、
その後は不要となるため、コストの面で問題がある。ま
た貯蔵タンク2内の圧力制御のための圧縮機の容量調整
は、シリンダ温度bが充分に下がらないと、吐出ガス温
度の上昇を招くため、通常起動約15分後にしか行うこと
ができない。
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、BOG
を圧縮して払い出すにおいて、その吐出温度を効率よく
制御できる低温ガス圧縮機の運転制御方法を提供するこ
とを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記の目的を達成するために、液化天然ガ
スの貯蔵タンクのBOGを低温ガス多段圧縮機で圧縮して
プラントに供給する低温ガス圧縮機の運転制御方法にお
いて、貯蔵タンク内の圧力を検知し、その検出圧力が設
定圧を越えたなら低温ガス多段圧縮機を運転し、検出圧
力が所定値まで下がったならば低温ガス多段圧縮機を停
止し、その低温ガス多段圧縮機の運転開始時に低圧段側
圧縮部のBOG吐出温度を検出し、そのBOG吐出温度が常温
より低いとき、その吐出ガスをそのまま高圧段圧縮部に
供給し、上記BOG吐出温度が常温より高いとき、その吐
出ガスを冷却器に通して常温近くまで冷却した後、高圧
段側圧縮部に供給して高圧段側吐出温度を許容温度以下
に抑え、その後、低圧段側吐出温度が常温以下に低下し
た時、その吐出ガスを高圧段側圧縮部に直接供給するよ
うにしたものである。
[作用] 上記の構成によれば、貯蔵タンク内の圧力を検出しそ
の圧力に応じて低温ガス多段圧縮機を運転・停止するこ
とで、貯蔵タンク内の圧力を制御でき、また低温ガス多
段圧縮機の運転直後は、低圧段側圧縮部のBOG吐出温度
を検出し、そのBOG吐出温度が常温より低いとき、その
吐出ガスをそのまま高圧段側圧縮部に供給し、上記BOG
吐出温度が常温より高いとき、その吐出ガスを冷却器を
通して常温近くまで冷却して高圧段側圧縮部に供給する
ことで、高圧段側吐出温度を許容温度以下に抑えること
ができ、その後、低圧段側吐出温度が常温以下に低下し
た時、その吐出ガスを高圧段側圧縮部に直接供給するこ
とで、運転直後から貯蔵タンクの容量調整が自由にでき
ると共に効率の良い運転が行える。
[実施例] 以下、本発明の好適実施例を添付図面に基づいて説明
する。
第1図において、液化天然ガス(LNG)1の貯蔵タン
ク2にはLNG取出ライン16が接続され、そのライン16にL
NGポンプ17が接続されると共に海水等でLNGを蒸発させ
る蒸発器18が接続され、そのガスの移送ライン19が、例
えば発電プラントのガスタービンなどに接続される。
さて貯蔵タンク2の上部には、BOG払出ライン3が接
続され、そのBOG払出ライン3に低温ガス多段圧縮機6
が接続される。低温ガス多段圧縮機6は低圧段側圧縮部
7と高圧段側圧縮部8とを一台のモータ9で同時に駆動
するようになっている。BOG払出ライン3は低圧段側圧
縮部7の吸入側に接続され、低圧段側圧縮部7の吐出側
と高圧段側圧縮部8の吸入側とが吐出ライン20で接続さ
れ、その吐出ライン20に三方弁21が接続される。この三
方弁21は、その出口側が吐出ライン20と接続する切換ポ
ート21aとバイパスライン22と接続する切換ポート21bを
有する。バイパスライン22には冷却器23が接続され、そ
の下流側が吐出ライン20に接続される。冷却器23は、海
水等の冷却水が通る冷却管24を有する。また低温ガス多
段圧縮機6の高圧段側圧縮部8の吐出側の吐出ライン25
は、合流部26を介してガス移送ライン19に接続される。
貯蔵タンク2には、そのタンク2内のガス圧を検出す
る圧力検出器27が設けられ、その検出値が制御装置28に
入力される。他方、低温ガス多段圧縮機6の低圧段側圧
縮部7の吐出温度は、その吐出ライン20に設けた温度検
出器29で検出され、その検出値が制御装置28に入力され
る。また三方弁21の切換ポート21a,21bは制御弁30で切
り換えられ、その制御弁30が制御装置28で開閉制御され
る。
制御装置28は、圧力検出器27よりタンク2内のガス圧
が設定圧を越えたなら低温ガス多段圧縮機6を運転し、
ガス圧が所定値まで下がったなら圧縮機6を停止する。
またこの圧縮機6の運転開始時、制御装置28は、温度検
出器29より低圧段側圧縮部7のBOG吐出温度を検出し、
その温度が常温(例えば20℃)より低いときには三方弁
21の出口ポートを切換ポート21aのままとして、その吐
出ガスをそのまま高圧段側圧縮部8に供給し、BOG吐出
温度が常温より高い時、制御弁30を開閉制御して三方弁
21の出口ポートを切換ポート21bにする。BOG払出ライン
3からのBOGは低圧段側圧縮部7で圧縮され、三方弁21
の切換ポート21bよりバイパスライン22に流れ、冷却器2
3で冷却された後、高圧段側圧縮部8に入り、そこで圧
縮された後、吐出ライン25から移送ライン19のLNGガス
と共にプラントに供給される。BOG払出ライン3からのB
OGの温度が常温近くの場合、低圧段側圧縮部7の吐出温
度は150℃程度となるが、これを冷却器23で常温まで冷
却することで、高圧段側圧縮部8の吐出温度は許容温度
180℃を越えることがない。従って貯蔵タンク2の圧力
によっては、低温ガス多段圧縮機6の運転開始から直ち
に容量制御を行っても全く支障がなく、貯蔵タンク2内
の圧力制御が容易になる。
その後、制御装置28は、低圧段側圧縮部7からの吐出
ガスの温度が20℃以下に低下した時に、制御弁30を開閉
制御して三方弁21の出口ポートを切換ポート21aに切換
え、低圧段側圧縮部7からの吐出ガスを吐出ライン20よ
り直接高圧段側圧縮部8へ供給する。
第2図は本発明の他の実施例を示したもので、三方弁
21の代わりに、吐出ライン20及びバイパスライン22にそ
れぞれ開閉弁31,32を接続して流路を切り換えるように
したものである。この開閉弁31,32は、いずれか一方が
常時開で他方が閉とされ、制御弁33,34の作動により、
これらが逆に開閉動される。またこの制御弁33,34は制
御装置28により同時作動されるようになっている。
本例においても低温ガス多段圧縮機6が運転され、温
度検出器29が、低圧段側圧縮部7のBOG吐出温度を検出
し、その温度が常温(例えば20℃)より高い時、吐出ラ
イン20の開閉弁31を閉じ、バイパスライン32の開閉弁32
を開として、低圧段側圧縮部7からの吐出ガスを冷却器
23に流して冷却した後、高圧段側圧縮部8に供給する。
また低圧段側圧縮部7のBOG吐出温度が20℃以下となっ
たなら、吐出ライン20の開閉弁31を開け、バイパスライ
ン32の開閉弁32を閉じて、低圧段側圧縮部7からの吐出
ガスを吐出ライン20より直接高圧段側圧縮部8に供給す
る。
[発明の効果] 以上説明したことから明らかなように本発明によれば
次のごとき優れた効果を発揮する。
(1)低温ガス多段圧縮機において運転上の吸込みガス
温度範囲制限がなくなると共に従来のガス冷却装置が不
要となる。
(2)低温ガス多段圧縮機の起動後直に容量制御ができ
るため貯蔵タンクの圧力制御が容易となる。
(3)低圧段側吐出ガス温度が低いときは、ガス冷却器
を通さずにそのまま高圧段圧縮部に供給できるためいか
なる運転でも圧縮機の消費動力は最少となり効率が良
い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す図、第2図は本発明の
他の実施例を示す図、第3図は従来における吐出ガス温
度等の経時変化を示す図、第4図は従来例を示す図であ
る。 図中、1はLNG、2は貯蔵タンク、3はBOG払出ライン、
6は低温ガス多段圧縮機7は低圧段側圧縮部、8は高圧
段側圧縮部、20は吐出ライン、21は三方弁、22はバイパ
スライン、23は冷却器、27は圧力検出器、28は制御装
置、29は温度検出器である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊島 洋一 千葉県富津市新富25番地 東京電力株式 会社富津火力建設所内 (72)発明者 上倉 求馬 千葉県富津市新富25番地 東京電力株式 会社富津火力建設所内 (56)参考文献 特開 昭53−62208(JP,A) 三菱重工技報,三菱重工業株式会社, 昭和59年3月発行,第21巻,第2号, p.133−p.155 石川島播磨技報,石川島播磨重工業株 式会社,昭和63年7月発行,第28巻,第 4号,p.251−p.255 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04B 49/00 - 51/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液化天然ガスの貯蔵タンクのBOGを低温ガ
    ス多段圧縮機で圧縮してプラントに供給する低温ガス圧
    縮機の運転制御方法において、貯蔵タンク内の圧力を検
    知し、その検出圧力が設定圧を越えたなら低温ガス多段
    圧縮機を運転し、検出圧力が所定値まで下がったならば
    低温ガス多段圧縮機を停止し、その低温ガス多段圧縮機
    の運転開始時に低圧段側圧縮部のBOG吐出温度を検出
    し、そのBOG吐出温度が常温より低いとき、その吐出ガ
    スをそのまま高圧段側圧縮部に供給し、上記BOG吐出温
    度が常温より高いとき、その吐出ガスを冷却器に通して
    常温近くまで冷却した後、高圧段側圧縮部に供給して高
    圧段側吐出温度を許容温度以下に抑え、その後、低圧段
    側吐出温度が常温以下に低下した時、その吐出ガスを高
    圧段側圧縮部に直接供給するようにしたことを特徴とす
    る低温ガス圧縮機の運転制御方法。
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三菱重工技報,三菱重工業株式会社,昭和59年3月発行,第21巻,第2号,p.133−p.155
石川島播磨技報,石川島播磨重工業株式会社,昭和63年7月発行,第28巻,第4号,p.251−p.255

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