JP2016070218A - ガスタービン発電装置及びガスタービン発電装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料ガスの圧縮効率の低下を抑制しつつ、燃料ガス圧縮機の出口を通過して燃焼器に送り込まれるガスの温度を一定の範囲内に制御できる。【解決手段】ガスタービン発電装置10は、複数段の燃料ガス圧縮機1と、空気圧縮機2と、燃焼器3と、発電機Gを駆動するガスタービン4と、複数段の燃料ガス圧縮機1の間で燃料ガスを冷却する熱交換器11と、熱交換器11が燃料ガスから吸収する熱量を調整する冷却能力調整部と、燃料ガス温度検知器14とを備える。そして、検知された燃料ガスの温度に基づき、冷却能力調整部を用いて、熱交換器よりも下流側の燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、発電機を駆動するガスタービンを有するガスタービン発電装置及びその制御方法、特に、燃焼器の燃料として燃料ガスを用い、燃料ガスを低圧段及び高圧段の燃料ガス圧縮機により昇圧するガスタービン発電装置及びその制御方法に関する。
従来の燃料を加圧する燃料ガス圧縮機を有するガスタービン発電装置では、公知のようにガスタービンに供給する燃料ガスを加圧する手段として、ガスタービンと同軸、又は別軸に設置した燃料ガス圧縮機を設置して、加圧した燃料ガスを燃焼器に送り込み、燃焼ガスをガスタービンに供給している。よって、燃料ガス圧縮機の運転は、燃焼器が要求する圧力によって規定されることとなり、燃料ガスの圧力を制御することが目標とされる。
燃料ガスの圧縮を行う際、副生ガス等の比較的低カロリーの燃料ガスを使用する場合には、LNGのように液体を加圧して利用する場合や、高カロリーの燃料ガスを使用する場合に比べて、発熱量当たりの加圧する燃料の体積が増大するため、燃料ガスの圧縮装置の効率を高めることが重要となる。このため、複数段の燃料ガス圧縮機を用いると共に、前段に配置された燃料ガス圧縮機と後段に配置された燃料ガス圧縮機との中間に燃料ガスの冷却装置(熱交換器)を設けて、前段の燃料ガス圧縮機で圧縮されて温度の上昇した燃料ガスを冷却して降温させ、降温した燃料ガスを後段の燃料ガス圧縮機に送り込むことにより、後段の燃料ガス圧縮機での効率を向上する方法が実施されていた。
例えば、特許文献1には、低圧段と高圧段の燃料ガス圧縮機の中間に設けた熱交換器を小型化するために、低圧段の燃料ガス圧縮機により昇圧された燃料ガス中に水蒸気などの冷却物質を吹き込むとともに、冷却物質の吹き込み量等に合わせて燃焼器に供給される燃料ガスの熱量を一定にするように燃料ガスの供給量を制御するガスタービン発電設備とその制御方法が開示されている。また、特許文献2には、圧縮した燃料ガスを、さらにガスタービンの排ガスとの間で熱交換して加熱し、熱効率を高める方法が記載されている。
しかし、特許文献1及び2の方法の場合、冷却装置の冷却能力は、圧縮前の燃料ガス温度が相対的に高くなる夏季においては、燃料ガスの圧縮効率が低下したり、燃料ガス圧縮機の許容温度範囲を超えたりしないように比較的高いレベルで設定されている場合が多い。そのため、圧縮前の燃料ガス温度が相対的に低く、また冷却装置の効率が相対的に上昇する冬季においては、夏季の場合と同じ冷却能力を有する冷却装置で冷却され、燃料ガス圧縮機から燃焼器に送られる燃料ガスの温度は、本来許容可能な温度に比べて相当に低い温度レベルとなり、複数段の燃料ガス圧縮機の出口のガス温度にばらつきが生じるという問題がある。
すなわち、従来のガスタービン発電装置では、圧縮効率向上の観点から、燃料ガス圧縮機の出口のガス圧力を制御することに重点が置かれるのみで、出口のガス温度を制御するという思想はなく、出口のガス温度は専ら成り行き任せであった。そして、燃料ガス圧縮機の出口のガス温度のばらつきによって生じる熱交換器等の冷却装置における顕熱の損失について、これまで特に考慮されていなかった。そしてこの場合、冷却された燃料ガスは燃料ガス圧縮機の耐熱温度と比較して過剰に冷却された状態で送り込まれることとなるので、ガスタービン発電装置全体でみたときの熱効率が低下するとともに、発電効率も低下する状態が生じていた。
また、特許文献1に開示されているガスタービン発電設備とその制御方法では、水等の冷却物質の吹き込み量を調節することによって、燃料ガス圧縮機の出口のガス温度を調節することが可能であるようにも考えられる。しかし、燃料ガス圧縮機の出口のガス温度の変動分を、全て水等の冷却物質の吹き込み量だけで調節すると、冷却物質の吹き込み量が過大になる場合があり、燃料ガス圧縮機を通過する燃料ガス及びガス化した冷却物質全体のガスの体積が増大して圧縮に要するエネルギーの増大を招く。そのため、燃料ガスの圧縮効率及びガスタービン発電装置の熱効率の観点から、必ずしも十分な効果を得ることができない。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであって、燃料ガスの圧縮効率の低下を抑制しつつ、燃料ガス圧縮機の出口を通過して燃焼器に送り込まれるガスの温度を一定の範囲内に制御できるガスタービン発電装置及びガスタービン発電装置の制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係るガスタービン発電装置は、燃料ガスを圧縮する複数段の燃料ガス圧縮機と、空気を圧縮する空気圧縮機と、この空気圧縮機により圧縮された空気と、燃料ガス圧縮機により圧縮された燃料ガスとを供給して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器からの燃焼エネルギーにより駆動され、発電機を駆動するガスタービンと、複数段の燃料ガス圧縮機の間で燃料ガスを冷却する熱交換器と、この熱交換器が単位時間当たりに燃料ガスから吸収する熱量を調整する冷却能力調整部と、燃料ガスの温度を検知する燃料ガス温度検知器と、を備え、この燃料ガス温度検知器によって検知された燃料ガスの温度に基づき、冷却能力調整部を用いて、熱交換器よりも下流側の燃料ガス圧縮機の出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御するように構成されたことを要旨とする。
さらに、この冷却能力調整部は、燃料ガス圧縮機側から送られた燃料ガスの少なくとも一部を熱交換器で冷却される前に迂回させて熱交換器で冷却された後の燃料ガスに合流させるバイパス配管と、このバイパス配管により迂回される燃料ガスの流量及び熱交換器を通過する燃料ガスの流量を調整するバイパス流量調整部とを有してもよい。この際、冷却能力調整部は、燃料ガス温度検知器によって検知された燃料ガスの温度に基づき、バイパス流量調整部を用いて、バイパス配管により迂回される燃料ガスの流量及び熱交換器を通過する燃料ガスの流量を調整し、熱交換器よりも下流側の燃料ガス圧縮機の出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御するように構成されることが望ましい。
また、上記の燃料ガス温度検知器によって検知される燃料ガスの温度は、複数段の燃料ガス圧縮機で圧縮される前の温度、複数段の燃料ガス圧縮機の段間での温度及び複数段の燃料ガス圧縮機で圧縮された後の温度のうち少なくとも一つの温度であるように構成されてもよい。この検知された燃料ガスの温度に基づき、冷却能力調整部を用いて、熱交換器よりも下流側の燃料ガス圧縮機の出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御するように構成されることが望ましい。
また、ガスタービン発電装置で用いられる熱交換器には、上記の冷却能力調整部が備えられているように構成されてもよい。例えば、流体を流入させる流入部及び流体を流出させる流出部を有する胴体と、この胴体に内設された伝熱管とを有し、流体を、伝熱管との間で熱交換させる熱交換器であって、胴体内部に、伝熱管が配設された熱交換領域と分画されたバイパス領域を形成する隔壁を備え、バイパス領域によって、流入部から流入した流体の少なくとも一部を伝熱管で熱交換される前に迂回させて流出部から流出させるように構成されてもよい。
また本発明に係るガスタービン発電装置の制御方法は、複数段の燃料ガス圧縮機に燃料ガスを供給して燃料ガスを圧縮し、圧縮された空気と燃料ガス圧縮機により圧縮された燃料ガスとを燃焼器で燃焼させ、燃焼エネルギーによりガスタービンを駆動して発電機を駆動するガスタービンの制御方法であって、複数段の燃料ガス圧縮機の間に設けた熱交換器により燃料ガスを冷却し、燃料ガスの温度を検知し、検知された燃料ガスの温度に基づき、熱交換器が単位時間当たりに燃料ガスから吸収する熱量を調整し、熱交換器よりも下流側の燃料ガス圧縮機の出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御することを含むことを要旨とする。
本発明は、複数段の燃料ガス圧縮機の間で熱交換器を用いて燃料ガスを冷却する際、検知された燃料ガスの温度に基づき、熱交換器が単位時間当たりに燃料ガスから吸収する熱量を調整して、燃料ガス圧縮機の出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御する。そのため、燃料ガスに過剰な冷却物質を吹き込むことなく、燃料ガス圧縮機の出口を通過して、燃焼器に送り込まれる時点のガスの温度が所定の範囲内となる。よって、燃料ガスの圧縮効率の低下を抑制しつつ、燃料ガス圧縮機の出口を通過して燃焼器に送り込まれるガスの温度を一定の範囲内に制御できる。そして圧縮中に燃料ガスが過剰に冷却されることによって生じる燃料ガス中の顕熱の損失を防止できるので、発電におけるエネルギー損失を防止し、ガスタービンによる発電出力を向上させ、発電装置全体の効率を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るガスタービン発電装置は、副生ガス等の低カロリガスと、LNG等の高カロリガスとを混合した燃料ガスを燃料として、ガスタービンを駆動して発電するガスタービン発電装置である。以下その構成を、第一、第二の各実施形態について、図面を参照して説明する。尚、図中に示されたガスタービン発電装置を構成する各部材や装置の形状、大きさ又は比率は適宜簡略化又は誇張して示されている。また図中、同一機能を有するものには同一符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係るガスタービン発電装置10は、図1に示すように、燃料ガスを昇圧する低圧段の燃料ガス圧縮機1a及び燃料ガスをさらに昇圧する高圧段の燃料ガス圧縮機1bを有して燃料ガスを圧縮する複数段からなる燃料ガス圧縮機1と、空気を圧縮する空気圧縮機2とを備える。図1は燃料ガス圧縮機1を、前段に位置する低圧段の燃料ガス圧縮機1aと後段に位置する高圧段の燃料ガス圧縮機1bとにより2段で構成する場合について示しているが、3段以上の燃料ガス圧縮機によって構成してもよい。燃料ガス圧縮機が3段以上の場合には、「高圧段の燃料ガス圧縮機」とは、最後段の燃料ガス圧縮機を指すものとする。
第一の実施形態に係るガスタービン発電装置10は、図1に示すように、燃料ガスを昇圧する低圧段の燃料ガス圧縮機1a及び燃料ガスをさらに昇圧する高圧段の燃料ガス圧縮機1bを有して燃料ガスを圧縮する複数段からなる燃料ガス圧縮機1と、空気を圧縮する空気圧縮機2とを備える。図1は燃料ガス圧縮機1を、前段に位置する低圧段の燃料ガス圧縮機1aと後段に位置する高圧段の燃料ガス圧縮機1bとにより2段で構成する場合について示しているが、3段以上の燃料ガス圧縮機によって構成してもよい。燃料ガス圧縮機が3段以上の場合には、「高圧段の燃料ガス圧縮機」とは、最後段の燃料ガス圧縮機を指すものとする。
また、燃料ガス圧縮機1により圧縮された燃料ガスと、空気圧縮機2により圧縮された空気とを供給して燃焼させる燃焼器3と、この燃焼器3からの燃焼ガスにより駆動され、発電機Gを駆動するガスタービン4を備える。ガスタービン発電装置10は、燃料ガス圧縮機1、空気圧縮機2、ガスタービン4及び発電機Gが軸5で同軸に接続された構成とされている。燃料ガス圧縮機1は、特許文献2の例のように、空気圧縮機やガスタービン等と別軸に設置してもよい。
またガスタービン発電装置10は、燃料ガス圧縮機1の低圧段の燃料ガス圧縮機1aと高圧段の燃料ガス圧縮機1bの間で燃料ガスを冷却する熱交換器11と、この熱交換器11の冷却能力を調整する、バイパス配管12及びバイパス流量調整バルブ13を備える。ここで、冷却能力とは、熱交換器11が単位時間当たりに燃料ガスから吸収する熱量として定義される。熱交換器11は、燃料ガスの流量、温度、圧力およびガス種などの条件に適合した仕様の公知の熱交換器を使用することができるが、例えば、熱交換器11内を流通する冷却用の冷却水等の熱媒体を用いて燃料ガスを冷却するものである。またバイパス配管12及びバイパス流量調整バルブ13は、本発明の冷却能力調整部を構成する。熱交換器11とバイパス配管12とでの燃料ガスの分配を広範囲に調整する場合には、さらに熱交換器11側の配管にも流量調整バルブを設けたり、三方バルブによって熱交換器側とバイパス配管側とに燃料ガスを分配したりするように構成してもよい。
またガスタービン発電装置10は、低圧段の燃料ガス圧縮機1aの上流側に、高カロリガスと低カロリガスとを混合して燃料ガスを生成する混合器6を備える。またガスタービン発電装置10は、高圧段の燃料ガス圧縮機1bと燃焼器3との間の配管に、燃料ガスの温度を検知する燃料ガス温度検知器14を備える。
混合器6には、高カロリガスを混合器6に送り込む高カロリガス系統Hと、低カロリガスを混合器6に送り込む低カロリガス系統Lとが各々接続されている。高カロリガス系統Hには、混合器6に送り込まれる高カロリガスの流量を調整する高カロリガス調整バルブが設けられるとともに、低カロリガス系統Lには、混合器6に送り込まれる低カロリガスの流量を調整する低カロリガス調整バルブ8が設けられている。
高カロリガス調整バルブ7は、高カロリガス調整バルブ7の上流側に設けられた高カロリガス用の流量センサ(不図示)に接続されている。また低カロリガス調整バルブ8は、低カロリガス調整バルブ8の上流側に設けられた低カロリガス用の流量センサ(不図示)に接続されている。混合器6から低圧段の燃料ガス圧縮機1aに送り込まれた燃料ガスは、低圧段の燃料ガス圧縮機1aにより昇圧された後、熱交換器11により冷却され、冷却された燃料ガスは高圧段の燃料ガス圧縮機1bによって更に高圧に昇圧される。
バイパス配管12は、低圧段の燃料ガス圧縮機1aと熱交換器11との間を結ぶ一次側の配管と、熱交換器11と高圧段の燃料ガス圧縮機1bとの間を結ぶ二次側の配管との間に架設されている。バイパス配管12は、低圧段の燃料ガス圧縮機1a側から送られた燃料ガスの一部を、熱交換器11で冷却される前に迂回させて高圧段の燃料ガス圧縮機1b側へ合流させることを可能とする。
またバイパス配管12に設けられたバイパス流量調整バルブ13は、バイパス配管12側の通気抵抗を調整することにより、バイパス配管12により迂回される燃料ガスの流量であるバイパス流量を調整する。また、バイパス流量調整バルブ13は、バイパス流量を調整することによって、間接的に熱交換器11を通過する燃料ガスの流量も調節することになる。燃料ガスは、熱交換器11の通気抵抗とバイパス流量調整バルブ13によって調整されるバイパス配管側の通気抵抗とに応じて、熱交換器11側とバイパス配管12側とに分配される。
燃料ガス温度検知器14は、燃料ガス圧縮機1の出口のガス温度、すなわち高圧段の燃料ガス圧縮機1bによって高圧に昇圧された後の燃料ガスの温度を検知する。燃料ガス温度検知器14は、バイパス流量調整バルブ13と接続されており、燃料ガス温度検知器14によって検知された温度に基づき、バイパス流量調整バルブ13にバルブの開度を調整する操作信号を送信するものである。燃料ガス温度検知器14が検知した温度に基づいてバイパス流量調整バルブ13に操作信号を送信する機能は、燃料ガス温度検知器14以外の装置に分担させて、上記の冷却能力調整部の一部を構成させるようにしてもよい。
バイパス流量調整バルブ13は、受信した操作信号に基づき、バルブ本体内部の弁体(不図示)を駆動させるためのアクチュエータ(不図示)を駆動させ、弁体を駆動して弁体の開度を調整する。尚、バルブとしては公知の形状のものが用いられてよいが、仕切バルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ等低圧損型の調整バルブが好ましい。低圧損型の調整バルブを用いることにより、バイパス配管12における圧損を極力抑制することができる。これは、熱交換器11における一次側と二次側との間の差圧が微小であるため、一次側と二次側との間に位置するバイパス流量調整バルブ13の圧損が大きすぎると、熱交換器11の冷却能力の調整可能範囲に影響を及ぼすからである。
このように、ガスタービン発電装置10は、燃料ガス温度検知器14によって検知された燃料ガスの温度に基づき、バイパス配管12及びバイパス流量調整バルブ13によりバイパス流量及び熱交換器を通過する燃料ガスの流量を操作して、下流側の燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御する構成とされている。
次に、図1を用いて、本実施形態に係るガスタービン発電装置の制御方法を説明する。まず、高カロリガス及び低カロリガスを、混合器6で混合して燃料ガス圧縮機1に送り込む。送り込まれた燃料ガスを、低圧段の燃料ガス圧縮機1aで低圧に昇圧した後、一次側の配管を経由して熱交換器11側へ送り出す。
次に、送り出された燃料ガスの一部を熱交換器11を用いて冷却し、冷却した燃料ガスを二次側の配管を経由して高圧段の燃料ガス圧縮機1bへ送り出す。また一次側において熱交換器11側へ送り出された燃料ガスの一部を、バイパス配管12を用いて、熱交換器11を通過させることなく二次側の配管へ送り出す。このとき、バイパス流量調整バルブ13は、所定の開度になっており、開度に応じてバイパス配管12内を燃料ガスが流通可能となっている。そして、熱交換器11で冷却された燃料ガスと、バイパス配管12で迂回した燃料ガスとは、熱交換器11の二次側の配管で再び混合され、高圧段の燃料ガス圧縮機1bへ送り込まれる。
このとき、バイパス配管12で迂回した燃料ガスは、熱交換器11により冷却されていないので、熱交換器11で冷却された後の燃料ガスよりも温度が高い。そのため、熱交換器11の二次側で混合された燃料ガスの温度は、熱交換器11で冷却された後であって迂回した燃料ガスが混合される前の時点における燃料ガスの温度より高くなる。一方、熱交換器11を通過する燃料ガスの流量は、バイパス流量に応じて燃料ガスのバイパスを行わない場合よりも低下し、これに応じて熱交換器出口での燃料ガス温度も低下する。しかし、熱交換の効率はガス温度が低下するほど低下するので、熱交換器11が単位時間当たりに燃料ガスから吸収する熱量は、熱交換器11を通過する燃料ガス流量の低下に伴って減少し、熱交換器11の冷却能力が抑制される。通常、単位時間当たりの燃料ガスの流量あるいは燃料ガスの発熱量は一定となるように調整されるので、これにより、熱交換器11が燃料ガスから吸収する、燃料ガスの標準状態単位体積当たりの熱量が減少し、燃料ガスの温度低下が抑制される。
次に、送り込まれた燃料ガスを熱交換器11よりも下流側にある高圧段の燃料ガス圧縮機1bで高圧に昇圧する。そして、高圧に昇圧された燃料ガスを燃焼器3に送り込む。このとき、燃料ガス温度検知器14により燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を検知する。ここで、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度は、予め設定した目標温度範囲内となるように制御する。この目標温度範囲の上限値は、装置及び制御方法に応じて不可避的な温度の変動巾や安全率等も考慮したうえ、高圧段のガス圧縮機1bが許容する温度の上限値を超えないように設定される。また、この目標温度範囲の下限値は、燃料ガス顕熱の損失を抑制する観点から、装置及び制御方法に応じて不可避的な温度の変動巾を考慮したうえ、できるだけ上記の上限値に近い値を設定することが望ましい。
この際、制御方法としては、PID制御等の公知の制御方法から適宜選択して、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度が上記の目標温度範囲内となるように制御すればよい。PID制御では、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度と所定の目標温度との偏差、その時間積分値及びその時間微分値に応じて、バイパス流量調整バルブ13に対して開度を増減する制御信号を送信させる。即ち、検知されたガス温度が予め設定された目標温度より高い場合、燃料ガス温度検知器14からバイパス流量調整バルブ13に対し、弁体の開度を小さくして迂回させる燃料ガスの流量を減少させる操作信号を送信させる傾向となる。また検知されたガス温度が、予め設定された目標温度より低い場合、燃料ガス温度検知器14からバイパス流量調整バルブ13に対し、弁体の開度を大きくして迂回させる燃料ガスの流量を増加させる操作信号を送信させる傾向となる。このように、燃料ガス温度検知器14からの操作信号を受信したバイパス流量調整バルブ13により、バイパス配管12を通過する燃料ガスの流量及び熱交換器11を通過する燃料ガスの流量を操作する。そして、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を目標温度範囲内となるように制御する。
次に、燃料ガス圧縮機1により圧縮された燃料ガスと、空気圧縮機2により圧縮された空気とを燃焼器3で混合して燃焼する。この燃焼ガスによりガスタービン4を駆動して発電機Gを駆動する。ガスタービン4から発生する排ガスは、さらに別のガスタービン(不図示)を駆動させるために用いられてよい。燃料ガスが熱交換器11で過剰に冷却されることを防止すれば、結果として燃焼ガスの内部エネルギーが増大し、ガスタービン4を通じて発電機Gにより利用可能なエネルギーが増大する。上記のようにして、本実施形態に係るガスタービン発電装置の制御方法が構成される。
ここで、熱交換器11の冷却能力は、燃料ガス温度が比較的高位となる夏季においても、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度が高圧段のガス圧縮機1bが許容する耐用温度の上限値(出口ガス温度の最高温度)を超えないように設定される。従って、燃料ガス温度が比較的低位となる冬季には、バイパス流量が0の場合、図2に示すように、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度は高圧段の燃料ガス圧縮機1bが許容する耐用温度の上限値よりも大幅に低い温度となり、大きな顕熱損失を生じる。これに対して、上記の目標温度は、図2に示すように、燃料ガス圧縮機1の最終段である高圧段の燃料ガス圧縮機1bの耐用温度未満であってバイパス流量が0の場合の燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度より高い温度に設定されている。
またこの目標温度は、高圧段の燃料ガス圧縮機1bの耐用温度に基づいて、制御の追従性等に起因する温度の変動巾や安全率等を考慮しても耐用温度を超えないように設定される。この耐用温度は、高圧段の燃料ガス圧縮機1bによって圧縮された燃料ガスの温度に基づく熱膨張による影響(軸の伸びやシール部の歪み等)を考慮して設定される。そして、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度の制御に用いるバイパス流量は、燃料ガス温度検知器14により検知された燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度がこの目標温度に近付くように制御される。このとき、高圧段の燃料ガス圧縮機1bの耐用温度とバイパス流量が0の場合の燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度との温度差(図2中右側の双方向矢印参照)が、本実施形態を用いない従来のガスタービン発電装置の場合の冬季における顕熱の余分な損失量に対応する。また高圧段の燃料ガス圧縮機1bの耐用温度と制御時の目標温度との温度差(図中左側の双方向矢印参照)が、本実施形態を用いたときの顕熱の余分な損失量に対応する。
このように、本実施形態に係るガスタービン発電装置10を用いれば、燃料ガス圧縮機1bの出口の燃料ガスの温度を年間を通じて一定の範囲内に制御するとともに、圧縮中に熱交換器によって燃料ガスが過剰に冷却されることによって生じる燃料ガスの余分な顕熱損失を、従来に比べて大巾に抑制することができる。
以上の説明では、燃料ガス圧縮機1の段数が二段の場合を例として説明したが、燃料ガス圧縮機の段数は三段以上であってもよい。その場合、熱交換器11も一台に限らず、必要に応じて各燃料ガス圧縮機の段間に設置するなどして、二台以上配設してもよい。燃料ガスの温度は、燃料ガス圧縮機によって断熱圧縮に近い挙動で上昇するため、燃料ガス温度は後段の燃料ガス圧縮機ほど上昇する傾向となる。従って、熱交換器による燃料ガスの冷却は、少なくとも最後段の燃料ガス圧縮機の直前の段間で行うことが望ましい。
また、燃料ガス圧縮機の圧縮効率や耐用温度の観点からは、最後段の燃料ガス圧縮機の直前の段間すなわち最後段のガス圧縮機とこの最後段の燃料ガス圧縮機の一つ前の段の燃料ガス圧縮機との段間よりも上流側の隣り合う燃料ガス圧縮機の段間においても、冷却が過剰とならない範囲で熱交換器による燃料ガスの冷却を行うことが望ましい。この際、熱交換器のバイパスによる冷却能力の調整は、燃料ガス圧縮機1bの出口ガス温度の制御性の観点から、最後段のガス圧縮機1bの直前の段間に設置した熱交換器について実施することが望ましい。しかし、他の段間に設置した熱交換器について実施することを妨げるものではなく、複数の段間にそれぞれ設置した複数の熱交換器について冷却能力の調整を実施することも妨げない。これらの何れの場合においても、熱交換器の冷却能力の調整によって、この熱交換器よりも下流側にある燃料ガス圧縮機の出口のガス温度を、燃料ガス圧縮機の耐用温度を超えない目標温度範囲内となるように制御することが望ましい。
また以上の説明では、高圧段の燃料ガス圧縮機1bと燃焼器3との間の配管に設置した燃料ガス温度検知器14によって検知した燃料ガス温度に基づいて熱交換器11の冷却能力を調整する場合について説明した。しかし燃料ガス温度検知器の設置位置は、燃料ガス圧縮機1で圧縮する前、複数の燃料ガス圧縮機の段間、及び燃料ガス圧縮機1で圧縮した後のうち、何れの位置でもよく、燃料ガス温度を測定して熱交換器11の冷却能力の調整に用いることができる。この際、上記のように流量を調整するバイパス流を合流させた後の燃料ガス温度を用いて冷却能力の調整を行う場合はフィードバック制御となり、バイパス流を合流させる前の燃料ガス温度を用いて冷却能力の調整を行う場合はフィードフォワード制御となる。さらに、上記のように複数の熱交換器11について冷却能力の調整を実施する場合には、制御の安定性の観点から、燃料ガス温度検知器14も複数の異なる位置に設置して、それぞれに近接する熱交換器の冷却能力を調整するようにすることが望ましい。
また以上の説明では、温度制御機能を備えた市販の温度検知器を燃料ガス温度検知器14として使用した場合を例として説明したが、バイパス流量調整バルブ13と燃料ガス温度検知器14との間に、演算処理用のコンピュータ等による制御装置を介設して、バイパス流量を制御するように構成してもよい。
また、以上の説明では、燃料ガスの冷却装置として熱交換器のみを使用する場合について説明したが、冷却媒体の吹き込み量が少量であれば燃料ガス中に水などの冷却媒体を吹き込む方法を熱交換器による冷却と併用してもよい。水は蒸発潜熱を温度調整に利用でき、凝縮後の燃焼ガス量を増加させず、昇圧が容易で、燃料ガス温度の制御性に優れる等の利点があり、好ましい冷却媒体である。燃料ガスに吹き込む冷却媒体の流量調整による冷却能力の調整を熱交換器11の冷却能力の調整と併用する場合には、制御の安定性の観点から、燃料ガス温度検知器14を複数の異なる位置に設置して、それぞれの冷却能力の調整に用いることが望ましい。
例えば、最後段の燃料ガス圧縮機1bの直前の段間に熱交換器11とそのバイパス配管12を配設し、同じ段間のさらに下流側に水の吹き込み装置を配設した場合には、バイパス配管12と熱交換器11の二次側の配管との合流位置と、その下流側にある水の吹き込み位置との2つの位置の間に設置した燃料ガス温度検知器14の信号に基づいて熱交換器11の冷却能力を調整するとともに、最後段の燃料ガス圧縮機1bの下流側に設置した燃料ガス温度検知器14’の信号に基づいて水の吹き込み量を調整する方法などが望ましい。この場合、適正な燃料ガスの冷却量の2/3以上を熱交換器11によるものとして、冷却媒体(水)による冷却量は適正な燃料ガスの冷却量の1/3未満に留めることにより、ガス量の増大による圧縮効率の低下を抑制しつつ、比較的小流量の冷却媒体の吹き込みによって精度の良い温度制御が可能となる。
(第一の実施形態の効果)
第一の実施形態に係るガスタービン発電装置10によれば、複数段からなる燃料ガス圧縮機1の段間で熱交換器11を用いて燃料ガスを冷却して、圧縮後の燃料ガスを燃焼器3に送り込む際、検知された燃料ガスの温度に基づき圧縮途中の燃料ガスの一部を迂回させ、熱交換器11の冷却能力を調整して、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御する。そのため、燃料ガス圧縮機1bの出口を通過して、燃焼器3に送り込まれる時点のガスの温度が所定範囲内となる。よって、燃料ガス圧縮機1の出口の燃料ガス温度が変動することによって生じる燃料ガスの余分な顕熱損失量を所定の範囲に抑制できるので、発電における顕熱損失を相対的に抑制できる。
第一の実施形態に係るガスタービン発電装置10によれば、複数段からなる燃料ガス圧縮機1の段間で熱交換器11を用いて燃料ガスを冷却して、圧縮後の燃料ガスを燃焼器3に送り込む際、検知された燃料ガスの温度に基づき圧縮途中の燃料ガスの一部を迂回させ、熱交換器11の冷却能力を調整して、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御する。そのため、燃料ガス圧縮機1bの出口を通過して、燃焼器3に送り込まれる時点のガスの温度が所定範囲内となる。よって、燃料ガス圧縮機1の出口の燃料ガス温度が変動することによって生じる燃料ガスの余分な顕熱損失量を所定の範囲に抑制できるので、発電における顕熱損失を相対的に抑制できる。
また第一の実施形態によれば、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を制御して、特に冬季において、バイパス流量が0の場合の温度より昇温させることにより、燃焼器3の入口のガス温度が上昇するので、ガスタービン4を駆動する際の燃料ガスの燃焼性を向上できる。またこれに伴い、燃焼可能な燃料ガスの熱量範囲が拡大するとともに、燃焼器3における燃焼時の初期着火性が向上する。よって、ガスタービン発電装置を運転する際に制限となる燃料ガスの組成範囲を拡大できる。
また第一の実施形態に係るガスタービン発電装置は、バイパス配管12、バイパス流量調整バルブ13及び燃料ガス温度検知器14を配設して、検知された燃料ガスの温度に基づき燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を制御するように構成すればよいので、既存の発電装置を比較的簡易な構成で改造することができる。
また、バイパス配管12及びバイパス流量調整バルブ13を用いずに、並列に複数台設置した熱交換器11の運転台数を減らしたり、熱交換器11に流通する冷却用の冷却水の流量を減らしたりすることにより、熱交換器11の冷却能力を抑制してもよい。要は、熱交換器11の冷却能力を調整することによって、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を一定の温度範囲内に制御すればよい。但し、本実施形態のように、熱交換器11を設けた上で、これとは別個にバイパス配管12を設けてバイパス流量を調整すれば、バイパス配管を設けないで熱交換器11単体での冷却能力のみを操作するより、冷却能力の操作性を向上できる。また燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度の制御性を向上できるとともに、熱交換器11の破損リスクを低下できる。
(第二の実施形態:バイパス機構を有する熱交換器)
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。第二の実施形態は、図3〜5に示すように、熱交換器の内部にバイパス機構を有することにより、バイパス配管12等を用いることなくバイパス系統を構成する熱交換器40を用いることを特徴とし、その他の構成については第一の実施形態と共通する。よって以下の説明では熱交換器40について主に説明し、他の構成の説明を省略する。熱交換器40は、燃料ガス(流体)を流入させる入口管51(流入部)及び燃料ガスを流出させる出口管52(流出部)を有する胴体41と、この胴体41に内設された伝熱管42aとを有し、燃料ガスを伝熱管42aとの間で熱交換させるものである。
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。第二の実施形態は、図3〜5に示すように、熱交換器の内部にバイパス機構を有することにより、バイパス配管12等を用いることなくバイパス系統を構成する熱交換器40を用いることを特徴とし、その他の構成については第一の実施形態と共通する。よって以下の説明では熱交換器40について主に説明し、他の構成の説明を省略する。熱交換器40は、燃料ガス(流体)を流入させる入口管51(流入部)及び燃料ガスを流出させる出口管52(流出部)を有する胴体41と、この胴体41に内設された伝熱管42aとを有し、燃料ガスを伝熱管42aとの間で熱交換させるものである。
胴体41には、略円筒状の胴体本体41aを長手方向を水平にして配置された上で、その両端に各々冷却水ヘッダーを形成するようにエンドプレート41b,41b’,41c,41c’が固着され、2枚のエンドプレート41b’,41c’間に隔壁46が架設されている。隔壁46により、胴体41内部に伝熱管42aが配設された熱交換領域(図3中下側)と、この熱交換領域と分画されたバイパス領域(図3中上側)とが形成されている。
図3中の左側に示す一方のエンドプレート41cには、伝熱管42aに冷却水を給排水するための給水管42と排水管42’とが挿設して設けられる。エンドプレート41c,41c’の間隙はさらに、図3中上側に示す給水側と、図3中下側に示す排水側に仕切られ、冷却水の給水用ヘッダー及び排水用ヘッダーが形成される。給水管42は給水用ヘッダーに接続されるとともに、排水管42’は排水用ヘッダーに接続される。
また図3中の右側に示す他方のエンドプレート41bとエンドプレート41b’の間隙には、冷却水経路が形成され、図3中の4本の伝熱管42a中、上側に示す2本の伝熱管42aから下側に示す2本の伝熱管42aへと冷却水を流通させることを可能とする。複数の伝熱管42aの一端はエンドプレート41c’に挿入固定される。給水管42から給水用ヘッダーを介して供給された冷却水が、図3中の上側の2本の伝熱管42aに分岐して供給される。そして、エンドプレート41c,41c’の間隙に形成される給水用ヘッダーと排水用ヘッダーとに接続された複数の伝熱管42aはともにエンドプレート41b’,41bの間隙に形成されている冷却水経路に接続され、給水用ヘッダーに接続された給水管42から排水用ヘッダーに接続された排水管42’へと冷却水が流通することを可能としている。複数の伝熱管42aの中には、燃料ガスを冷却するための冷却水が流通する。
また熱交換領域には、隔壁46の熱交換領域側の面から2枚の案内板47,49が間隔を空けて垂設されるとともに、胴体本体41aの外壁(図3中下側)の内面から1枚の案内板48が2枚の案内板47,49間の長さを略二等分する位置に立設されている。これらの案内板47,48,49により、燃料ガスを冷却するための燃料ガスの流通経路が形成されている(図中の熱交換領域に示す実線矢印参照)。また案内板47,48,49には、各々、複数の伝熱管42aを挿設するための伝熱管挿設孔(図4中の48a参照)が設けられ、この伝熱管挿設孔に伝熱管42aが挿入固定されている。
一方、バイパス領域において、胴体本体41aの外壁(図3中上側)には、エンドプレート41b寄り位置に入口管挿設孔41dが設けられるとともに、エンドプレート41c寄り位置に出口管挿設孔41eが設けられる。入口管挿設孔41dには入口管51が挿入固定されるとともに、出口管挿設孔41eには出口管52が挿入固定される。
入口管51及び出口管52は、各々、胴体本体41aの外壁を貫通して胴体41に配設されており、入口管51及び出口管52の各先端は、胴体本体41aの内壁面のバイパス領域に開口している。熱交換領域は入口管51及び出口管52の近傍に設けた隔壁46の貫通孔を経由して入口管51及び出口管52に連通している。また、胴体41の内側のバイパス領域において入口管51と出口管52との間にはバイパス路50が形成されている。
またバイパス路50には、胴体41の長手方向の略中央部に、胴体本体41aの外壁を貫いて設けられた弁軸45に固定された弁体44が、弁軸45の軸方向に回転可能に配設されている。胴体本体41aの外部で弁軸45の弁体44の反対側の端部には、弁軸45を回転させる駆動装置(不図示)が設けられており、この駆動装置は、弁体44の板面44aのバイパス路50における燃料ガスの進行方向(図3中の点線参照)に対する角度すなわち開度を変化させる。また弁体44の燃料ガスの進行方向左右両側には、図4に示すように、左右2枚の仕切板43,43が、胴体本体41aと隔壁46との間の上下方向に亘って各々立設されている。
ここで弁体44は略板状であり、弁軸45の回転に伴って弁体44が回転して板面44aが燃料ガスの進行方向に垂直な角度位置となると(図3及び図4参照)、弁体44及び2枚の仕切板43,43によって、バイパス路が閉鎖される構成とされている。これにより燃料ガスがバイパス路50を流通することが妨げられる。
また弁体44が回転して、板面44aと燃料ガスの進行方向とが0度を超え、90度未満の角度位置となると、板面44aと2枚の仕切板43,43との間に2つの隙間50a,50a(図5中の斜線部)が形成される。そして2つの隙間50a,50aによってバイパス路が入口管51と出口管52との間で開放され、燃料ガスがバイパス路50を流通可能となる。
また図3中に弁体44の左右に対称的に示す2本の破線は、板面44aと燃料ガスの進行方向とが平行である場合の弁体44の長手方向の両端部の各位置を示す。板面44aと燃料ガスの進行方向とが平行位置となると、図5に示すように、隙間50a,50aの面積が最も大きくなり、バイパス路50を流通する燃料ガスの流量が最も大きくなる。このように、板面44aの燃料ガスの進行方向に対する角度を調整することにより、バイパス路50を流通する燃料ガスの流量を操作する。上記したとおり、熱交換器40はバイパス路50によって、入口管51から流入した燃料ガスの少なくとも一部を伝熱管42aで熱交換される前に迂回させて出口管52へ合流させるように構成されている。
次に、この熱交換器40を、図1に示すガスタービン発電装置10に適用した場合の燃料ガスの動きを、図3を用いて説明する。このとき熱交換器40は、熱交換器11、バイパス配管12及びバイパス流量調整バルブ13に置換して配設されることとなる。そして、低圧段の燃料ガス圧縮機1aからの一次側の配管が入口管51に接続されるとともに、高圧段の燃料ガス圧縮機1bへの二次側の配管が出口管52に接続される。そして、燃料ガス温度検知器14は、弁軸45を回転させる駆動装置を制御する制御装置(不図示)に接続される。そして検知された燃料ガスの温度に基づいて、バイパス路50を流通する燃料ガスの流量を操作することとなる。
まず、低圧段の燃料ガス圧縮機1aから送り出されて入口管51から流入した燃料ガスは、一部のガスが隔壁46に設けられた貫通孔を介して熱交換領域に送り込まれる(図3中の右側に示す下向きの実線矢印参照)とともに、一部のガスがバイパス路50を経由して隙間50aを通過するように送り込まれる(図3中点線矢印参照)。熱交換領域に送り込まれた燃料ガスは、案内板47,48,49に案内されて熱交換領域内を入口側から出口側へ流通する。そして燃料ガスは、流通の間に熱交換領域に配設された伝熱管42aに接触し、伝熱管42a内部を流通する冷却水との間で熱交換されることにより冷却される。冷却された燃料ガスは隔壁46に設けられた貫通孔を介して出口管52に送り込まれる。
一方、入口管51を介してバイパス路50に送り込まれた燃料ガスは、2つの隙間50a,50aを介してバイパス路50を入口側から出口側へ移動し、出口管52に送り込まれる。そして、熱交換領域で冷却された燃料ガスとバイパス路50でバイパスされた燃料ガスとが出口管52で混合され、高圧段の燃料ガス圧縮機1bへ送り出されることとなる。
その後、高圧段の燃料ガス圧縮機1bの出口側に設置した燃料ガス温度検知器14(図1参照)により検知された温度に基づいて、板面44aの燃料ガスの進行方向に対する角度を制御することにより、バイパス路50を流通する燃料ガスの流量が操作され、従って、熱交換領域を通過する燃料ガスの流量が操作され、熱交換器40の冷却能力が調整される。そして前述した第一の実施形態と同様に、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度が制御されることとなる。
(第二の実施形態の効果)
このように、上記したバイパス機構を有する熱交換器40を用いれば、ガスタービン発電装置10のバイパス系統を、第一の実施形態で説明したような配管等を用いて別に構成する必要がない。よって発電設備において、大断面積のバイパス配管12及びバイパス流量調整バルブ13を配設する十分なスペースが確保できない場合であっても、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を制御するために必要な冷却能力調整装置を省スペースで提供することができる。
このように、上記したバイパス機構を有する熱交換器40を用いれば、ガスタービン発電装置10のバイパス系統を、第一の実施形態で説明したような配管等を用いて別に構成する必要がない。よって発電設備において、大断面積のバイパス配管12及びバイパス流量調整バルブ13を配設する十分なスペースが確保できない場合であっても、燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を制御するために必要な冷却能力調整装置を省スペースで提供することができる。
以上、第一、第二の各実施形態を説明したが、本発明において検知される燃料ガスの温度は、上記のように燃料ガス圧縮機1bで圧縮された後の温度に限定されるものではない。燃料ガス圧縮機1で圧縮される前の温度、複数段からなる燃料ガス圧縮機1の段間での温度及び燃料ガス圧縮機1で圧縮された後の温度のうち少なくとも一つの温度であればよい。ただし、燃料ガス圧縮機1bで圧縮された後の温度を用いれば、制御したい燃料ガス圧縮機1bの出口のガス温度を同時に検知することとなるので、本発明に係るガスタービン発電装置を省スペースに構成して導入できるとともに、導入時の負担を低減できる。
また、複数段からなる燃料ガス圧縮機1の構成としては、遠心型又は軸流型、あるいはこれらの組み合わせを使用することが一般的であるが、他の型を使用してもよい。使用する燃料ガス圧縮機の型式や仕様によっては耐用温度が異なるので、例えば比較的耐用温度の低い遠心型等の圧縮機を用いる場合には、この圧縮機の出口のガス温度が耐用温度の上限値(出口ガス温度の最高温度)を超えないように、上流側での燃料ガスの冷却条件を設定あるいは調整することが望ましい。
1…燃料ガス圧縮機、2…空気圧縮機、3…燃焼器、4…ガスタービン、
7…高カロリガス供給量調整バルブ、8…低カロリガス供給量調整バルブ、
10…ガスタービン発電装置、11…熱交換器、12…バイパス配管、
13…バイパス流量調整バルブ、14…燃料ガス温度検知器、40…熱交換器、
41…胴体、42…給水管、42’…排水管、42a…伝熱管、44…弁体、45…弁軸、46…隔壁、50…バイパス路、51…入口管、52…出口管、G…発電機
7…高カロリガス供給量調整バルブ、8…低カロリガス供給量調整バルブ、
10…ガスタービン発電装置、11…熱交換器、12…バイパス配管、
13…バイパス流量調整バルブ、14…燃料ガス温度検知器、40…熱交換器、
41…胴体、42…給水管、42’…排水管、42a…伝熱管、44…弁体、45…弁軸、46…隔壁、50…バイパス路、51…入口管、52…出口管、G…発電機
Claims (5)
- 燃料ガスを圧縮する複数段の燃料ガス圧縮機と、
空気を圧縮する空気圧縮機と、
該空気圧縮機により圧縮された空気と、前記燃料ガス圧縮機により圧縮された燃料ガスとを供給して燃焼させる燃焼器と、
該燃焼器からの燃焼エネルギーにより駆動され、発電機を駆動するガスタービンと、
前記複数段の燃料ガス圧縮機の間で前記燃料ガスを冷却する熱交換器と、
該熱交換器が単位時間当たりに前記燃料ガスから吸収する熱量を調整する冷却能力調整部と、
前記燃料ガスの温度を検知する燃料ガス温度検知器と、を備え、
該燃料ガス温度検知器によって検知された燃料ガスの温度に基づき、前記冷却能力調整部を用いて、前記熱交換器よりも下流側の燃料ガス圧縮機の出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御するように構成されたガスタービン発電装置。 - 前記冷却能力調整部は、前記燃料ガス圧縮機側から送られた燃料ガスの少なくとも一部を前記熱交換器で冷却される前に迂回させて前記熱交換器で冷却された後の燃料ガスに合流させるバイパス配管と、該バイパス配管により迂回される燃料ガスの流量及び前記熱交換器を通過する燃料ガスの流量を調整するバイパス流量調整部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のガスタービン発電装置。
- 前記熱交換器に、前記冷却能力調整部が備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスタービン発電装置。
- 前記燃料ガス温度検知器によって検知される燃料ガスの温度は、前記燃料ガス圧縮機で圧縮される前の温度、前記複数段の燃料ガス圧縮機の段間での温度及び前記燃料ガス圧縮機で圧縮された後の温度のうち少なくとも一つの温度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスタービン発電装置。
- 複数段の燃料ガス圧縮機に燃料ガスを供給して燃料ガスを圧縮し、圧縮された空気と前記燃料ガス圧縮機により圧縮された燃料ガスとを燃焼器で燃焼させ、燃焼エネルギーによりガスタービンを駆動して発電機を駆動するガスタービンの制御方法であって、
前記複数段の燃料ガス圧縮機の間に設けた熱交換器により前記燃料ガスを冷却し、
前記燃料ガスの温度を検知し、
前記検知された燃料ガスの温度に基づき、前記熱交換器が単位時間当たりに前記燃料ガスから吸収する熱量を調整し、前記熱交換器よりも下流側の燃料ガス圧縮機の出口のガス温度を予め設定された目標温度範囲内となるように制御すること、
を含むことを特徴とするガスタービン発電装置の制御方法。
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JP2014201831A JP2016070218A (ja) | 2014-09-30 | 2014-09-30 | ガスタービン発電装置及びガスタービン発電装置の制御方法 |
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-
2014
- 2014-09-30 JP JP2014201831A patent/JP2016070218A/ja active Pending
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