JP3044186B2 - 原子炉を利用した不要核種の消滅処理方法 - Google Patents
原子炉を利用した不要核種の消滅処理方法Info
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Description
超ウラン元素、マイナーアクチノイド、又は核分裂生成
物質などの不要核種を消滅処理する方法に関し、更に詳
しく述べると、原子炉内で不要核種を含むターゲットに
中性子照射することにより不要核種を消滅させる方法に
関するものである。
(TRU)、マイナーアクチノイド(MA)、核分裂生
成物質(FP)などの不要核種を、原子炉を利用して消
滅処理する方法が検討されている。一般に考えられてい
る方法は、これら消滅させるべき不要核種を、通常の核
燃料物質中に均一に混入し、その材料を用いて成形・焼
結した燃料ペレットを使用する方法である。この方法
は、解析が比較的容易にできる他、消滅効率に優れてい
るという利点がある。
ことながら、燃料ペレットの製造過程のかなり早い段階
で、消滅させるべき不要核種を核燃料物質に混入させる
必要がある。しかし、不要核種は、その崩壊に伴って各
種の放射線が放出されるので、燃料ペレット製造の全て
の段階で、作業者の被爆を抑えるために、機械による遠
隔操作が必要になる。このため、燃料ペレット製造のコ
ストが高くなるという問題が生じる。
た燃料ペレットを用いた燃料では、不要各種の崩壊に伴
って放出される放射線のために、新燃料でありながら、
使用済燃料なみの放射線防護対策を施した輸送容器を用
いるなどの特別な輸送手段をとる必要があり、輸送や保
管などの面で被爆低減対策が重要な課題となる。
滅処理を行うための燃料製造を低コストで容易に行える
ようにし、燃料製造に伴う被爆を低減させると共に、製
造した新燃料の輸送や保管を容易に実施できるような原
子炉を利用した不要核種の消滅処理方法を提供すること
である。
する多数の燃料ペレットの少なくとも一部として、通常
の核燃料物質からなる筒状の燃料ペレットの内側に消滅
させるべき不要核種を含むターゲットを配置した二重ペ
レットを使用し、その燃料棒を用いて燃料集合体を組み
立てて原子炉内に設置し、原子炉内で前記ターゲットに
中性子照射することにより不要核種を消滅処理させる方
法である。
含むターゲットを消滅処理用カプセル内に収容し、該消
滅処理用カプセルを燃料集合体内に組み込み、その燃料
集合体を原子炉内に設置して、原子炉内で前記ターゲッ
トに中性子照射することにより不要核種を消滅処理させ
る方法である。この場合、燃料集合体の中心部にカプセ
ル案内管を挿通し、該カプセル案内管に複数の筒状の消
滅処理用カプセルを段積みする方法が望ましい。
核種は、超ウラン元素、マイナーアクチノイド、又は核
分裂生成物質などである。本発明方法は、軽水炉(BW
R、PWR)、新型転換炉(ATR)、高速増殖炉(F
BR)など、どのようなタイプの原子炉であっても適用
可能である。発電を目的とする原子炉以外に、研究を目
的とする原子炉にも適用可能である。
ーゲットを組み込んだ燃料集合体を原子炉内に装荷し、
原子炉内で前記ターゲットに中性子照射することによ
り、それら不要核種は燃焼度とともに徐々に消滅してい
く。
きる原子炉の代表例として、新型転換炉ふげん発電所が
ある。この原子炉は、図1に示すように圧力管型の原子
炉である。炉心は、カランドリアタンク10内に正方ピ
ッチで配置されたカランドリア管12の中に圧力管14
を設置し、該圧力管14の中に燃料集合体16を1体ず
つ装荷した構造である。カランドリアタンク10内には
減速材18の重水が満たされている。燃料集合体16
は、炉心下部より流入する冷却材(軽水)によって冷却
され、冷却材は圧力管14内で沸騰しながら流れて(燃
料集合体から熱を奪って)蒸気と水の2相流となり、一
次冷却系の上昇管を通って蒸気ドラム(図示せず)へ到
る。燃料集合体16はクラスター型であり、その燃料棒
を構成する燃料ペレットを二重構造として中心部に不要
核種を含むターゲットを組み込んだり、ターゲットを組
み込んだ消滅処理用カプセルを燃料集合体内に組み込む
ことで、前記ターゲットは原子炉内での中性子照射を受
け、消滅処理されることになる。
トを使用して不要核種を消滅処理する方法である。燃料
棒に充填する二重ペレットの外観を図2に示す。二重ペ
レット20の外側は、ウラン燃料又はMOX燃料(ウラ
ン・プルトニウム混合酸化物燃料)などの通常の核燃料
物質からなる円筒状の燃料ペレット22である。この円
筒状の燃料ペレット22の内側に、消滅させるべき不要
核種を含むターゲット24を配置する。消滅させるべき
不要核種は、高速中性子エネルギー領域において吸収断
面積の大きな物質(例えばマイナーアクチノイド)が有
利であるが、これにこだわる必要は無く、超ウラン元素
や核分裂生成物質であってもよい。消滅させようとする
不要核種は、一種類のみであってもよいし、複数種類で
あってもよい。
筒状の燃料ペレット22の内径は、燃焼効率、製造技
術、発熱量、放射線量などを勘案して決定すればよく、
特に規定されるものではない。なお燃料ペレットの中心
部の穴は、円形のみならず多角形状など任意の形状であ
ってもよい。
ターゲット24は、その化学的性状が原子炉内で安定し
て照射できるものであれはよく、酸化物であってもよい
し金属であってもよい。例えば、円柱状の成形・焼結体
にして嵌め込む構成でもよいし、粉末を充填する方法で
もよい。あるいは金属の成形体を嵌め込んだり金属ワイ
ヤーを詰め込む方式でもよい。その場合、不要核種をマ
トリックス金属の中に溶かし込んでおいて任意の形状に
加工し易くしておき、加工したターゲットを嵌め込んだ
り詰め込むようにする。成形・焼結体や金属の成形体の
場合には、それぞれの円筒状の燃料ペレット内に嵌め込
むことになるが、粉末状の場合には、燃料ペレットを燃
料棒の中に充填した後に中央空間部に粉末を充填してい
く方法でもよい。あるいは燃料ペレットを有底筒状構造
にして、その内部に粉末を充填する方式でもよい。
充填される。燃料棒に充填する多数の燃料ペレットの全
てを二重ペレットとしてもよいし、部分的に二重ペレッ
トを採用し、その他は従来通りの円柱ペレットを組み込
む方式でもよい。どの程度の割合で二重ペレットを充填
するかは、燃料製造の経済性、炉心の反応度損失による
経済性(運転期間が短くなるなど)を考慮した上で、消
滅する核種をどの程度の量にするかによって決める。こ
のようなターゲットを組み込んだ燃料棒を用いて燃料集
合体を組み立てる。その例は、図3に示されているよう
なものである。これは新型転換炉の標準燃料集合体30
であり、28本の燃料棒32をリング状の三層構造に配
置し、上部タイプレート34と下部タイプレート36で
固定すると共に、水平方向の構造的安定を図るためスペ
ーサ38を設けたものである。このような燃料集合体自
体の構造は従来のものと同様であってよい。本発明で
は、このような燃料集合体30に組み込む燃料ペレット
として、少なくとも一部に図2に示すような二重ペレッ
ト20を用いるということである。
の燃料ペレットの製造ラインと、内側に配置するターゲ
ットの製造ラインを別々にすることができ、製造施設全
体として被爆量を低減させることができる。また新燃料
の輸送時の被爆低減効果について見ると、燃料ペレット
に均一に消滅核種を混ぜるよりは、円筒状の燃料ペレッ
ト自体の遮蔽効果が期待できる分だけ、本発明の二重ペ
レットの方が被爆量の低減効果が期待できる。
図1に示すような新型転換炉内に装荷されるが、その装
荷の状態は、燃料設計の段階で組み込んでいない通常の
燃料との関係で使用条件が決定される。基本的には燃料
の使用上の制限値を満足させるように炉内に装荷するこ
とになる。
た場合の計算結果の一例を示している。このグラフは、
ターゲットとしてアメリシウム(Am)を用いた場合の
燃焼度に対する残存率(%)の関係を示すものである。
Aは希釈モデル(均一混入モデル)であり、それ以外の
B〜Dは二重ペレットモデルである。二重ペレットモデ
ルについては、燃料ペレットの内径(穴の直径)を異な
らせた3種類(B:内径2.2mm、C:内径3.2mm、
D:内径4.2mm)を示している。この結果、均一に消
滅核種を混ぜた場合(A)と比較しても、本発明方法は
消滅効率があまり低下することなく、不要核種を消滅で
きることがわかる。その場合、円筒状の燃料ペレットの
内径が大きい方が消滅効率が優れているが、前述したよ
うに燃焼効率や製造技術、発熱量、放射線量などの制限
があるため、それらが許容される範囲でできるだけ内径
を大きくすることが望ましい。
る。新型転換炉ふげん発電所においては、燃料集合体は
炉心に224体装荷されているが、通常は220体が図
3に示したような標準燃料集合体であり、4体は特殊燃
料集合体である。特殊燃料集合体は、炉心内で対称的に
装荷されている。この特殊燃料集合体40は、36本の
燃料棒42がリング状の二層構造に配置されていて、こ
れらの燃料棒42を上部タイプレート44と下部タイプ
レート46で固定すると共に、水平方向の構造的安定を
図るためスペーサ48を設ける構造である。そして、リ
ング状に配置した多数の燃料棒42の中心部に大きな円
筒状の案内管50があり、この中に監視試験片の照射用
カプセルが組み込まれる。照射用カプセルの内部は空洞
になっており、照射用の監視試験片が入れられる。本発
明はこれを利用したものであり、消滅させるべき不要核
種を含むターゲットを消滅処理用カプセル52内に収容
し、それをカプセル案内管50内に組み込む。
カロイ2、ジルカロイ4、あるいはステンレス鋼などが
ある。要求される性質は、炉心内での熱中性子の吸収
割合が小さいこと、高温、高圧下での環境に耐えられ
ること、加工や取扱が容易であること、などである。
この消滅処理用カプセル52は、燃料集合体の構造の一
部となるため、有底筒状体の開口部を蓋で閉じる構造で
ある。カプセル案内管50は、この消滅処理用カプセル
52を保持する機能を果たす。カプセル案内管50に消
滅処理用カプセル52を入れる場合、複数の高さの低い
カプセルを段積みする方法と、一定の位置でカプセルを
固定する方法があるが、原子炉内での照射継続を考慮す
ると、段積みにする方が有利である。これは照射継続す
る消滅処理用カプセルを次の燃料の中に組み換えて使用
することができるからである。
は一種類のみであってもよいし、複数種類であってもよ
い。消滅させる核種の化学的性状は炉内で安定して照射
ができるものであれば、酸化物であってもよいし金属で
あってもよい。また形状的には粉末状、ペレット状、金
属に溶かし込んだ状態、などのいずれであっても構わな
い。カプセル内に収納する方式であるから、形状が指定
されることはなく、最も作業し易い形状にすればよい。
だ燃料集合体は、燃料の使用上の熱的な制限値が満足さ
れれば十分であるため、原子炉内でその位置が特定され
る必要はない。しかし、現実的には運転サイクルによっ
て自由に移動させて使用できるわけではなく、最初から
指定した位置で照射するのが普通である。1/4回転対
称位置であること、原子炉全体の出力分布を考慮した場
合に出力が高く照射条件の良い所に設置する。このよう
なカプセル方式は、現在、照射用の試験片を組み込んで
照射している実績があるため、消滅処理を行えることを
示す計算は行っていないが、十分に消滅処理が行えると
考えられる。
常の燃料製造とは別にカプセル(不要核種を含むターゲ
ットを内蔵したカプセル)を製造できるので、燃料製造
時の被爆を低減できる。またカプセルを密封することに
より、消滅させるべき核種の性状を任意に選択できる。
更に、消滅処理用カプセルの燃料集合体への組み込みを
サイト内のプールで行うことも可能であるため、カプセ
ルを燃料と分離して輸送することが可能となり、輸送に
かかわるコスト低減、被爆低減に寄与できる。また消滅
処理用カプセルを継続照射のために次の新燃料に組み込
んで使用することができるので、消滅量を調整すること
ができる。これは消滅速度の遅い核種の消滅処理に有効
である。
にも適用できる。実施例として説明した新型転換炉の
他、軽水炉あるいは高速増殖炉などにも適用可能であ
る。また研究を目的とした原子炉などでも実施可能であ
る。
を含むターゲットを配置した二重のペレットを用い、あ
るいは内部に不要核種を含むターゲットを収容した消滅
処理専用カプセルを用い、それらを原子炉内で中性子照
射する方法であるから、不要核種を燃料ペレット中に均
一分散させる方法に比べて消滅処理を行うための燃料製
造が容易になり、それに伴う被爆を低減することができ
るし、低コストで製造できる。また新燃料の輸送や保管
も比較的容易に行うことができる。
図。
を示す構造図。
一例を示す構造図。
Claims (3)
- 【請求項1】 消滅させるべき不要核種を含むターゲッ
トを消滅処理用カプセル内に収容し、多数の燃料棒が配
置されている燃料集合体内の中心部に前記消滅処理用カ
プセルを組み込み、その燃料集合体を原子炉内に設置し
て、原子炉内で前記ターゲットに中性子照射することに
より不要核種を消滅させることを特徴とする原子炉を利
用した不要核種の消滅処理方法。 - 【請求項2】 燃料集合体の中心部にカプセル案内管を
挿通し、該カプセル案内管内に複数の消滅処理用カプセ
ルを段積みする請求項1記載の原子炉を利用した不要核
種の消滅処理方法。 - 【請求項3】 消滅処理する不要核種が、超ウラン元
素、マイナーアクチノイド、又は核分裂生成物質である
請求項1又は2記載の原子炉を利用した不要核種の消滅
処理方法。
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-
1995
- 1995-10-04 JP JP7282539A patent/JP3044186B2/ja not_active Expired - Fee Related
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