JP3044020B1 - 調理器 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】 被調理物をまろやかに焼くことができ、利便
性を向上させた調理器を提供する。 【解決手段】 キャビネット１に飾り枠３を装着し、飾
り枠３の上部に肉等を載置する焼き網５を配し、焼き網
５の下方にガスバーナー６を配する。焼き網５とガスバ
ーナー６との間に、ガスバーナー６の加熱により赤熱し
て遠赤外線を放射する発熱ネット１３と、発熱ネット１
３の上方に配され発熱ネット１３からの遠赤外線を通す
透熱板１２と、透熱板１２および発熱ネット１３を着脱
自在に支持する支持板１４とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、焼肉や鉄板焼き等
に用いられる無煙調理器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、焼肉をおいしく食べるために
は、肉に含まれる油脂分を落としながら焼き上げる網焼
きが最適であると言われている。網焼きでは、炭を用い
るとより効果的であるが、炭の代わりにガスが用いられ
ることもある。

【０００３】図４は、ガスを利用した網焼き式の無煙ロ
ースターの構成を示す図である。同図によれば、この無
煙ロースターでは、中央に円形の開口が穿設された天板
５１を有するキャビネット５２に器具ユニット５３が着
脱可能に内装されている。

【０００４】器具ユニット５３には、生肉や生鮮野菜で
ある被調理物を載置する焼き網５４と、焼き網５４を介
して被調理物を加熱するガスバーナー５５と、焼き網５
４の外周に沿って立設された吸気板５６と、水槽５７
と、被調理物を焼いたときに発生する調理ガスを浄化す
る煙浄化装置５８とが一体化されている。

【０００５】焼き網５４、ガスバーナー５５および水槽
５７は、内箱５９に着脱自在に内装され、内箱５９の上
縁に吸気板５６が載置されている。内箱５９は、天板５
１の開口に嵌め込まれた外箱６０に装着され、煙浄化装
置５８は、外箱６０に着脱自在に取り付けられ、内箱５
９の下方に配されている。

【０００６】吸気板５６には、焼き網５４から発生した
調理ガスを吸い込む吸気口６１が形成され、吸気口６１
から外箱６０と内箱５９の間の空間を通り、煙浄化装置
５８を経て、外箱６０の底面に形成された排気口６２に
至る吸引路６３が形成されている。そして、吸引路６３
は、調理ガスを外部に排出するダクト６４に接続されて
いる。ダクト６４の入口に、空焚き等の非常時に調理ガ
スを遮断する防火用ダンパー６５が配されている。な
お、図中、６６はドレンパンを示す。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記無煙ロースターで
は、焼き網５４に肉等を載せ、ガスバーナー５５からの
直火により肉等を焼く。そのため、調理時間によっては
肉が焼けすぎて、こげたり固くなったりすることがあ
る。また、肉からでた肉汁は、焼き網５４の隙間からガ
スバーナー５５に直接落下する。そのため、ガスバーナ
ー５５の炎口が目詰りしたり、あるいはガスバーナー５
５が経時的に腐食したりして、その寿命を縮めるといっ
た問題点がある。さらに、ガスバーナー５５の炎による
熱により水槽５７の水がすぐ（例えば５〜１０分）沸騰
して、蒸発し、器具が高温になってダクト火災等の危険
性が高まる。そのため、水を水槽５７に頻繁に供給しな
ければならない。

【０００８】本発明は、上記問題点に鑑み、被調理物を
まろやかに焼くことができ、かつ使い勝手のよい調理器
の提供を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、被調理物を載置する調理部と、被調理物を加熱す
る加熱部とを備え、調理部と加熱部との間に、加熱部の
加熱により赤熱して遠赤外線を放射する発熱ネットと、
発熱ネットの上方に配され発熱ネットからの遠赤外線を
通す透熱板と、透熱板および発熱ネットを着脱自在に支
持する支持板とが設けられたものである。透熱板の表面
には、被調理物からの落下物が加熱部に達するのを阻止
するように微小な複数の孔が形成されている。

【００１０】この構成によれば、発熱ネットは、加熱部
により加熱されて遠赤外線を放射し、遠赤外線は透熱板
の孔を通り抜けて、調理部に対して輻射熱を供給する。
この輻射熱により、調理部に載置された被調理物は、内
部まで熱が通り炭焼きのようにまろやかに焼き上げられ
る。このとき、被調理物からの肉汁、肉片等は透熱部で
遮られ、下方に位置する加熱部等に侵入することがな
い。

【００１１】また、加熱部の周囲に配された水槽の上方
を覆うように水槽と発熱ネットとの間に支持板を配すれ
ば、発熱ネットからの遠赤外線は上方に反射して、透熱
板や発熱ネットを迅速に熱することができ、熱効率がよ
くなる。これにより、発熱ネットからの輻射熱は支持板
により遮られ、水槽への熱伝導が阻止されるので、水槽
の水の蒸発を抑えることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して詳細に説明する。図２は、本発明の一実
施形態に係る無煙調理器の斜視図である。この無煙調理
器は、生肉や生鮮野菜等を調理するために用いられる、
いわゆる無煙ロースターであり、上部が広がった略直方
体状のキャビネット１と、キャビネット１の上部に取り
付けられ中央孔が形成された天板２とを備えている。

【００１３】図１は、無煙調理器の内部構成を示す図で
ある。キャビネット１に、円筒状の飾り枠３が装着さ
れ、飾り枠３の下方に、被調理物を焼いたときに発生す
る油脂蒸気等を含んだ調理ガスを浄化する集塵部４が取
り付けられている。飾り枠３の内部には、生肉や生鮮野
菜等の被調理物を載置する調理部としての焼き網５が配
され、焼き網５の下方に加熱部としてのガスバーナー６
が配されている。なお、焼き網５に代えてロストル等を
用いてもよい。

【００１４】ガスバーナー６の周囲には水槽受け７が配
され、水槽受け７は、飾り枠３に装着されている。水槽
受け７の中央に円筒体８が形成され、この上端は内側に
湾曲され、円筒体８に水槽９が支持される。

【００１５】水槽９は、たらい状に形成され、図３に示
すように、中央に環状の周壁１０が立設され、周壁１０
の上端が湾曲されて、円筒体８に係止される。水槽９の
上端周縁に、略Ｌ字状のフランジ１１が形成されてお
り、このフランジ１１に焼き網５が載置される。水槽９
内に溜められた水により、器具が高温になることを防い
でいる。また、水槽９によって、焼き網５から落下する
肉汁や肉カスを受け止める。

【００１６】焼き網５とガスバーナー６との間には、輻
射熱を通す透熱板１２と、ガスバーナー６により加熱さ
れて遠赤外線を放射する発熱ネット１３と、透熱板１２
および発熱ネット１３を着脱自在に支持する支持板１４
とが設けられ、３点セットで供される。

【００１７】透熱板１２はステンレス製とされ、中央か
ら周縁にかけて湾曲した椀状に形成され、周縁が立ち下
がっている。表面には、複数の円孔１５が形成されてい
る。この円孔１５はφ３〜５ｍｍ、好ましくはφ４.５
ｍｍとされ、肉汁の水滴よりやや小とされている。その
ため、上方から落ちてくる肉汁は、円孔１５内に入りに
くく、椀状の表面を伝って流れ落ちる。したがって、透
熱板１２の直下にあるガスバーナー６に肉汁等が直接落
下しないので、ガスバーナー６の炎口が詰まることはな
く、安定した炎が形成される。また、ガスバーナー６の
腐食を防止できる。

【００１８】発熱ネット１３は、ステンレス製の網から
なり、透熱板１２よりやや小径の椀状とされている。発
熱ネット１３は、ガスバーナー６からの輻射熱によっ
て、真赤に熱せられて遠赤外線を放射し、被調理物に対
して輻射熱を供給する。この遠赤外線により、焼き網５
に載置された肉を芯までやわらかくまろやかに焼き上げ
ることができる。

【００１９】支持板１４はステンレス製の皿であり、透
熱板１２より小径で発熱ネット１３より大径とされ、開
口１６の周縁がフランジとなって、水槽９の周壁１０上
に係止される。支持板１４の上面に、発熱ネット１３が
載置され、外周に形成された立枠１７に透熱板１２がか
ぶせられて支持される。

【００２０】焼き網５の周縁を囲むように吸気板２０が
設けられ、吸気板２０に形成された吸気口２１から調理
ガスを吸い込む。吸気板２０は、上部が外方向に折曲し
た円筒状をしており、水槽９の上縁に載置されている。
そして、吸気板２０の上方を取り囲むように隙間をあけ
てフード２２が飾り枠３の上縁に着脱自在に装着されて
いる。この隙間および吸気口２１から外部の冷気を吸引
することによって、油煙、油滴の飛散を防ぎ、調理ガス
を冷却するといったエアカーテン機能を有している。

【００２１】そして、吸気口２１から飾り枠３の内側面
と水槽９との外側面との間の隙間を通り、飾り枠３の底
面に形成された連通口２３、集塵部４の排気口２４に導
くための吸引路２５が形成されている。そして、排気口
２４には、浄化された調理ガスを外部に排出するダクト
２６が接続され、ダクト２６の入口には、空焚き状態の
ときに高温の調理ガスがダクト２６内に侵入しないよう
に、排気口２４を遮断するための防火用ダンパー２７が
着脱自在に装着されている。防火用ダンパー２７は、所
定温度（例えば１５０℃）になれば、内蔵の温度ヒュー
ズ２８が溶断し、排気口２４を遮閉する。

【００２２】集塵部４には、天板２上にある箸袋、紙や
被調理物片等の燃えやすい可燃物の侵入を阻止するプレ
フィルタ３０と、プレフィルタ３０の下流側に配され油
煙を捕集するためのグリスフィルタ３１と、グリスフィ
ルタ３１によって捕集された油脂を溜めるオイルパン３
２とが着脱自在に内装されている。プレフィルタ３０
は、比較的大きなゴミ（肉片等の可燃物）等が通過しな
いように、ステンレス製の２枚のパンチング板からな
る。また、グリスフィルタ３１は、ステンレス製のエキ
スパンドメタルからなる。なお、図２中、３３は電源ス
イッチ、器具栓つまみ、および表示ランプを備えた操作
部、３４はメンテナンス用の扉を示す。

【００２３】このような構成において、ガスバーナー６
を点火し、焼き網５に生肉や野菜等を載置して調理を開
始すると、発熱ネット１３は真赤に熱せられる。これに
より、発熱ネット１３は、遠赤外線を放射する。それに
伴い透熱板１２も赤く熱せられ、遠赤外線を放射する。
生肉は、透熱板１２から遠赤外線による輻射熱を供給さ
れるとともに、透熱板１２の円孔１５を通して発熱ネッ
ト１３から遠赤外線による輻射熱を供給される。すなわ
ち、発熱ネット１３および透熱板１２は遠赤外線効果を
発揮し、生肉は、輻射熱の供給により炭焼きのように芯
まで熱が通り、焦げることなくふっくらとまろやかに焼
き上げられる。

【００２４】ところで、肉が焼かれると、肉汁が生じ、
焼き網５の隙間から落下する。焼き網５の下方には、透
熱板１２が配されているので、肉汁は透熱板１２上に落
下するが、透熱板１２の円孔１５は水滴より小に形成さ
れているため、円孔１５を通り抜けることはなく、表面
を伝い、徐々に周縁に集められ、周縁から水槽９内に落
下する。さらに、このとき、透熱板１２は熱せられて約
３００℃に達しているので、肉汁は透熱板１２の表面で
はじかれ、透熱板１２の周縁からあるいは直接水槽９に
落下する。

【００２５】そのため、透熱板１２の下方にあるガスバ
ーナー６に対して、肉汁や肉片等が落下しないことにな
り、ガスバーナー６の炎口が目詰まりしたり、ガスバー
ナー６が腐食したりするといった悪影響を抑えることが
できる。また、透熱板１２直下の発熱ネット１３にも肉
汁等がかからないため、発熱ネット１３は良好に遠赤外
線効果を発揮することができる。

【００２６】また、支持板１４は、水槽９の上方を覆う
ように位置する。そのため、支持板１４に載置された透
熱板１２や発熱ネット１３からの輻射熱は、支持板１４
により遮られ、水槽９には到達しない。したがって、水
槽９の水の蒸発を抑えることができ、水を頻繁に供給す
る必要がない。さらに、上記輻射熱は支持板１４で反射
され、透熱板１２や発熱ネット１３はその反射熱により
迅速に熱せられるので、熱効率がよくなり、暖まるまで
の立ち上げ時間を短縮でき、ひいては調理時間の短縮を
図れる。

【００２７】また、上記構造によれば、焼き網５、透熱
板１２、発熱ネット１３、支持板１４、水槽９およびガ
スバーナー６は容易に飾り枠３から取り外すことができ
る。そして、清掃したり、新品に交換して、再び飾り枠
３に嵌め込んで装着する。これにより、清掃や交換がし
やすくなり、保守性を高めることができる。

【００２８】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多く
の修正および変更を加え得ることができる。例えば、上
述した３点セットを備えた構造は、ガス式の無煙調理器
に限らず、電気式等あらゆる調理器に適用してもよい。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、この発明によると、発熱
ネットは、加熱部により加熱されて遠赤外線を利用した
輻射熱を調理部に対して供給するので、この輻射熱によ
り、調理部に載置された被調理物は、まろやかに焼き上
げられる。したがって、加熱部が例えばガスバーナーで
あっても、遠赤外線によって被調理物としての肉等を炭
焼きのように芯までやわらかく焼き上げることのできる
調理器を提供できる。

【００３０】また、表面に微小な複数の孔が形成された
透熱板を用いることにより、発熱ネットからの遠赤外線
は通すが、調理部からの落下物は遮断することができる
ので、加熱と内部機器の保護の両立を図れる。したがっ
て、加熱部等の機器の寿命を延ばすことができ、調理器
の信頼性を高めることができる。

【００３１】さらに、支持板は発熱ネットからの輻射熱
を反射して、水槽への伝導を阻止するので、水槽の水の
蒸発を抑えることができ、水の補給を頻繁にする必要が
ない使い勝手のよい調理器とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る調理器の内部構成を
示す図

【図２】調理器の斜視図

【図３】調理器要部の分解斜視図

【図４】従来の調理器の内部構成を示す図

【符号の説明】

１ キャビネット ５ 焼き網 ６ ガスバーナー ９ 水槽 １２ 透熱板 １３ 発熱ネット １４ 支持板 １５ 円孔

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被調理物を載置する調理部と、被調理物
   を加熱する加熱部とを備え、前記調理部と加熱部との間
   に、前記加熱部の加熱により赤熱して遠赤外線を放射す
   る発熱ネットと、該発熱ネットの上方に配され前記発熱
   ネットからの遠赤外線を通す透熱板と、前記透熱板およ
   び発熱ネットを着脱自在に支持する支持板と、前記加熱
   部の周囲に配された水槽とが設けられ、前記支持板は前
   記水槽の上方を覆うように水槽と発熱ネットとの間に位
   置されたことを特徴とする調理器。
2. 【請求項２】 透熱板の表面に、被調理物からの落下物
   が加熱部に達するのを阻止するように微小な複数の孔が
   形成されたことを特徴とする請求項１記載の調理器。
3. 【請求項３】 発熱ネットは透熱板より小径の椀状の網
   とされ、支持板の上面に前記発熱ネットが載置され、前
   記支持板の外周に透熱板がかぶせられ、前記発熱ネッ
   ト、透熱板、支持板は３点セットで供されることを特徴
   とする請求項１または２記載の調理器。