JP3043831B2 - 永久電流超電導マグネットの製造方法 - Google Patents

永久電流超電導マグネットの製造方法

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JP3043831B2 JP10747191A JP10747191A JP3043831B2 JP 3043831 B2 JP3043831 B2 JP 3043831B2 JP 10747191 A JP10747191 A JP 10747191A JP 10747191 A JP10747191 A JP 10747191A JP 3043831 B2 JP3043831 B2 JP 3043831B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の目的]
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気共鳴画像診断装置
用超電導マグネットや分析用核磁気共鳴スペクトロスコ
ピー用超電導マグネット等に使用される永久電流超電導
マグネットの製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】永久電流超電導マグネットは、超電導線
の電気抵抗が零であることを利用し、マグネットコイル
とこれと並列に接続された熱式の永久電流スイッチの間
に減衰の極めて少ないコイル電流を流すよう構成された
超電導マグネットである。
【0004】これまで、合金系の Nb-Ti超電導線では、
超電導体フィラメントの Nb-Ti合金が延性、展性を有す
る材料であることから、この Nb-Tiフィラメントを剥き
出しにして、マグネット導体と永久電流スイッチ導体ど
うしを圧着やスポット溶接、超音波接合等の手法で接合
し、接続抵抗が10-10 Ω〜10-14 Ωという極めて低い導
体接続を得ている。これによって、核磁気共鳴現象を利
用する磁気共鳴画像診断装置(MRI)等に応用できる
永久電流超電導マグネットを製造する技術が確立されて
きた。
【0005】しかし、Nb3 SnやNb3 Al等の化合物系超電
導体では、これらの材料が脆く、上述したような接合技
術では導体接続が容易にはできないことから、電流減衰
がNb-Tiマグネットなみの永久電流マグネットを製作す
ることはできないという問題があった。ー部で、 Nb-Ti
超電導線とNb3 Sn超電導線を特殊な方法で接続する試み
も行われているが、2T程度の比較的低い磁界下でも、満
足な接続抵抗値に収まる接続部は得られていない。
【0006】ところで、合金系の Nb-Ti超電導線では、
10Tを超える磁界を発生させることは容易ではなく、超
流動ヘリウム冷却を用いる場合でも 3元合金で 13.4Tを
発生した例が最高であり、これ以上高い磁界の発生はで
きない。一方、MRIやNMRスペクトロメータ等のN
MR現象を利用する機器は、磁界が高いほど S/N比やス
ペクトルの分離能が良くなり、装置の性能が向上する。
したがって、これらの機器では、高磁界化に対する要求
が強く、高磁界特性に優れた化合物系超電導体の導体を
使用した永久電流コイルへの期待が大きい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、化合物
系超電導線を低抵抗で接続する技術は今だ確立されてい
ないため、化合物系超電導線を用いた永久電流コイルで
は、電流減衰を無視できる程小さくした永久電流を形成
するができないという問題があった。例えば、磁界減衰
を補う手段として、 0次の常電導補正コイルで核磁気共
鳴の基準周波数のドリフトを補正する方法が使用されて
いるが、これを使える時間にも限度があるため、長時間
基準周波数の変更なしに、分析や画像診断が行なえる化
合物系超電導線を用いた高磁界装置が強く望まれてい
る。
【0008】本発明は、このような課題に対処してなさ
れたもので、高磁界特性に優れた化合物系超電導線によ
り永久電流で運転される超電導マグネットを形成すると
共に、超電導マグネットと永久電流スイッチとの電流減
衰の極めて少ない接続部を再現性よく形成することを可
能にした永久電流マグネットの製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0009】[発明の構成]
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の永久
電流超電導マグネットの製造方法は、多数の化合物系超
電導体フィラメントを金属マトリックス内に埋設してな
るマグネット用超電導導体からなる超電導マグネットに
対し、多数の化合物系超電導体フィラメントを高抵抗金
属マトリックス内に埋設してなるスイッチ用超電導導体
からなる永久電流スイッチを並列に接続して永久電流超
電導マグネットを製造するに際し、前記マグネット用超
電導導体の素線として、外径amが 5μm 〜80μm の化合
物系超電導体材料を含むフィラメントを有する線材を用
いると共に、前記スイッチ用超電導導体の素線として、
外径anが 2μm 〜30μm で、かつ0.25am≦an≦ 0.7amを
満足する化合物系超電導体材料を含むフィラメントを有
する線材を用い、これら超電導導体素線の前記フィラメ
ントどうしを機械的に接合した後、この接合部を含む超
電導導体素線全体に、前記化合物系超電導体材料によっ
て形成される化合物系超電導体の生成温度における熱処
理を施すことを特徴としている。
【0011】上記熱処理条件は、スイッチ用超電導導体
素線中の化合物系超電導体材料を含むフィラメントに応
じて設定するものとする。
【0012】
【作用】本発明の永久電流超電導マグネットの製造方法
においては、スイッチ用超電導導体素線中のフィラメン
ト径を細く、かつマグネット用超電導導体素線中のフィ
ラメント径の約半分に設定していると共に、超電導マグ
ネット、永久電流スイッチ、接合部および配線を一括し
て、おおむね永久電流スイッチ用導体の熱処理条件に応
じて熱処理し、Nb3 Sn等の化合物系超電導体の生成を行
っている。
【0013】上記条件で熱処理すると、接続部における
スイッチ用素線中のフィラメントでは、ほぼ完全な形で
化合物系超電導体が合成される。これに対し、マグネッ
ト用素線中のフィラメントでは、化合物系超電導体材料
の肉厚がスイッチ用フィラメントより 2倍程度厚いた
め、最外層に化合物系超電導体材料層が残存する。した
がって、マグネット部分では、安定化材として機能する
金属マトリックスに化合物系超電導体材料が拡散して、
比抵抗が大きくなることを防ぐことができる。また、接
続部においては、マグネット用フィラメントに機械的に
接合されたスイッチ用フィラメントから一方の化合物系
超電導体材料が拡散してきて、マグネット用フィラメン
トとスイッチ用フィラメントとの間に化合物系超電導体
相が共有して生成される。よって、マグネット用超電導
導体とスイッチ用超電導導体との間において、抵抗がほ
とんどない超電導性の接続が行われる。
【0014】また、スイッチ用超電導導体の超電導体フ
ィラメントの径は、 2μm 〜30μmと細く設定している
ため、スイッチ用導体が低磁界下で磁気的に不安定とな
ることを防ぐことができる。これによって、永久電流ス
イッチの低磁界下でのクエンチ電流Iq の低下や、フラ
ックスジャンプによるクエンチの発生を防止することが
できる。なお、マグネット用超電導導体は、金属マトリ
ックスの比抵抗が小さいため、フィラメント径を80μm
程度まで太くしても、フラックスジャンプによる不安定
性の心配はない。
【0015】このように本発明によれば、接続部では各
フィラメントが化合物系超電導体相を共有する超電導性
の接続が得られ、マグネットでは安定化材への化合物系
超電導体材料の拡散を防いで保護回路を容易にし、かつ
永久電流スイッチ側では磁気的安定性を確保してフラッ
クスジャンプを抑えることが可能となる。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0017】図1は、本発明の製造方法を適用した永久
電流超電導マグネットの一構成例を示す図である。同図
において、符号1はマグネット用超電導導体2により形
成されたコイル状の超電導マグネットである。この超電
導マグネット1は、外部電源3と電流リード4によって
接続されている。また、スイッチ用超電導導体5により
形成された永久電流スイッチ6は、超電導マグネット1
と並列に接続されている。具体的には、マグネット用超
電導導体2とスイッチ用超電導導体5とが、本発明によ
る接続部7、8によって接続されている。上記永久電流
スイッチ6は、例えばスイッチ用超電導導体5を無誘導
巻きし、この巻回体をヒ―タ9と共にエポキシ樹脂等で
モ―ルドすることによって構成されている。
【0018】上記マグネット用超電導導体2は、Nb3 Sn
やNb3 Al等の化合物系超電導体からなる多数の超電導体
フィラメントを、安定化材として機能する金属マトリッ
クス、例えばCuマトリックス内に埋設することによって
構成したものである。また、スイッチ用超電導導体5
は、同様な化合物系超電導体からなる多数の超電導体フ
ィラメントを、高抵抗金属マトリックス例えば Ni-Cu合
金マトリックス内に埋設することによって構成したもの
である。
【0019】そして、上記超電導マグネット1と永久電
流スイッチ6とは、マグネット用超電導導体2およびス
イッチ用超電導導体5に用いたNb3 SnやNb3 Al等の化合
物系超電導体が超電導状態を保持し得る温度に冷却可能
な冷却機構10、例えば液体ヘリウムによる冷却機構内
に配置されている。このようにして、超電導マグネット
1と永久電流スイッチ6とを結ぶ閉回路内にて、超電導
マグネット1の永久電流モードによる運転が可能な永久
電流超電導マグネットが構成されている。
【0020】上記構成の永久電流超電導マグネットは、
以下のようにして製造される。
【0021】まず、図2に示すように、マグネット用超
電導導体2とスイッチ用超電導導体5それぞれの素線を
作製する。マグネット用超電導導体2の素線11は、図
2(a)に示すように、安定化材として機能するCuマト
リックス12内に、化合物系超電導体材料を含むフィラ
メント13を多数埋設することによって形成する。化合
物系超電導体材料を含むフィラメント13としては、例
えばNbチューブ14内に 25wt%〜50wt%Sn-Cu合金15を
挿入したものが挙げられる。そして、マグネット用のフ
ィラメント13は、その外径amを 5μm 〜80μm の範囲
に設定する。また、スイッチ用超電導導体5の素線16
は、図2(b)に示すように、高抵抗金属マトリックス
17内に、化合物系超電導体材料を含むフィラメント1
8を多数埋設することによって形成する。上記化合物系
超電導体材料を含むフィラメント18は、マグネット用
のフィラメント13と同様に、Nbチューブ19内に 25w
t%〜50wt%Sn-Cu合金20を挿入したものを使用する。そ
して、スイッチ用のフィラメント18は、その外径anを
2μm 〜30μm の範囲で、かつ0.25am≦an≦ 0.7amを満
足するように設定する。
【0022】上記スイッチ用フィラメント18の外径an
が30μmを超えると、スイッチ用超電導導体5の低磁界
における磁気的不安定性が大きくなる。すなわち、スイ
ッチ用フィラメント18の外径anを30μm 以下というよ
うに、細く設定することによって、低磁界における磁気
的不安定性を防ぐことができるため、低磁界側でのクエ
ンチ電流Iq の低下や、フラックスジャンプによる永久
電流スイッチのクエンチを防止することが可能となる。
ただし、スイッチ用フィラメント18をあまり細くし過
ぎると、スイッチ用超電導導体5として流すことが可能
な超電導電流が低下するため、スイッチ用フィラメント
18の外径anは10μm 以上に設定するものとする。
【0023】また、スイッチ用のフィラメント18の外
径anを、 2μm 〜30μm の範囲で、0.25am≦an≦ 0.7am
を満足するように設定することによって、熱処理条件に
もよるが、マグネット用超電導導体2とスイッチ用超電
導導体5との接続を良好に行うことができると共に、マ
グネット用超電導導体2のCuマトリックス12中へのSn
等の拡散による比抵抗の増大を防ぐことができる。マグ
ネット用超電導導体2の比抵抗の増大を防ぐことによっ
て、クエンチ時の高電圧発生が防止される。スイッチ用
フィラメント18の外径anが0.25am未満となると、マグ
ネット用超電導導体2とスイッチ用超電導導体5とを低
接続抵抗で接続することが困難となる。また、スイッチ
用フィラメント18の外径anが0.7amを超えると、接続
性は向上するものの、その半面マグネット用超電導導体
2のCuマトリックス12中へのSn等の不純物の拡散量が
増大することによって、マグネット用超電導導体2の比
抵抗が大きくなる。
【0024】なお、マグネット用のフィラメント13の
外径amを 5μm 未満にすると、マグネット用超電導導体
2として流すことが可能な超電導電流が低下する。ま
た、マグネット用超電導導体2は、Cuマトリックス12
の比抵抗が小さいため、外径amを80μm まで太くして
も、フラックスジャンプによる不安定性の心配はない。
【0025】次に、上記したマグネット用の超電導導体
素線11およびスイッチ用の超電導導体素線16を使用
して、超電導マグネット1および永久電流スイッチ6を
それぞれ巻回成形する。この後、図3に示すように、マ
グネット用超電導導体素線11およびスイッチ用超電導
導体素線16のそれぞれの端部のマトリックス12、1
7を酸等で溶かすことによって、マグネット用フィラメ
ント13およびスイッチ用フィラメント18を露出させ
る。次いで、露出させたフィラメント13、18どうし
を重ね合せる等して十分に接触させた後、この接続部2
1をCu等からなるジャケット22内に収める。
【0026】そして、図4に示すように、Cuジャケット
22を加圧することによって、露出させたフィラメント
13、18どうしを機械的に接合する。この機械的な接
合は、接続部21における超電導相の連続形成距離を短
縮させるために、フィラメント13、18が変形するよ
う一軸加圧を行うことが好ましい。また、この加圧時に
熱を加え、固相拡散が起こるよう条件を設定してもよ
い。また、上記接続部21に対して下記のいずれかを施
すことにより、接続部21における超電導体相の連続性
をより向上させることが可能となる。
【0027】(a) 加圧工程において、Nbチューブ1
4、19内の Sn-Cu合金15、20がはみだすように圧
力を加える。
【0028】(b) 露出させたフィラメント13、18
どうしを重ね合せる前に、予めNbチューブ14、19の
管壁の一部を除去する。
【0029】この後、上記接続部21を含む超電導導体
素線11、16全体、すなわち超電導マグネット1、永
久電流スイッチ6、接続部21(7、8)およびそれら
の間の配線(2、5)を一括して熱処理炉に収容し、フ
ィラメント13、18に用いた化合物系超電導体材料に
よって形成される化合物系超電導体の生成温度にて、ス
イッチ用の超電導導体素線16が完全に熱処理される時
間とおおよそ同等またはそれより幾らか長めの時間で、
熱処理を施す。この熱処理は、真空下や不活性ガス雰囲
気下等において、Nb3 Snの場合には 650℃〜 770℃程度
の温度で、Nb3 Al場合には 680℃〜 950℃程度の温度で
行い、超電導導体素線11、16本体の超電導体相の形
成と共に、接続部における超電導性の接続を行うもので
ある。
【0030】ここで、上記したようにマグネット全体に
対して、永久電流スイッチ用の超電導導体素線16が完
全に熱処理される(フルアニール)条件に近い条件にて
熱処理を施すと、図5(a)に示すように、接続部21
におけるスイッチ用フィラメント18のNbチューブ19
内には、その最外層部にまでSnが拡散し、ほぼ完全な形
でNb3 Sn相23が合成される。一方、マグネット用フィ
ラメント13のNbチューブ14は、肉厚がスイッチ用フ
ィラメント18のNbチューブ19より 2倍程度厚いた
め、スイッチ用超電導導体素線16なみの熱処理条件で
は、SnはNbチューブ14の最外層部にまでは拡散せず、
最外層にNb層24が残存する。しかし、接続部において
は、マグネット用フィラメント13に機械的に接合され
たスイッチ用フィラメント18からSnが拡散してきて、
Nbチューブ14の内部から拡散してきたSnとつながり、
マグネット用フィラメント13とスイッチ用フィラメン
ト18との間にNb3 Sn相23が共有して生成されるた
め、マグネット用超電導導体2とスイッチ用超電導導体
5との間で、ほとんど接続抵抗のない超電導性の接続が
行われる。
【0031】一方、超電導マグネット用の超電導導体用
素線11本体においては、図5(b)に示すように、最
外層にNb層14aが残存することによって、SnがCuマト
リックス12中に拡散して比抵抗が大きくなることを防
ぐことができる。これによって、超電導マグネット1部
分におけるマグネット用超電導導体2は、比抵抗が初期
の低い値を維持し、クエンチ時に高電圧が発生すること
が防止される。
【0032】このように、本発明の永久電流超電導マグ
ネットの製造方法によれば、マグネット用超電導導体2
とスイッチ用超電導導体5とを極めて低い接続抵抗下
で、良好に接続することができると共に、マグネット用
超電導導体2の比抵抗の増大を防止することができる。
さらに、スイッチ用超電導導体5自体は、フィラメント
径を30μm 以下と細くしていることから、低磁界側での
クエンチ電流Iq の低下やフラックスジャンプによるク
エンチの発生を防止することが可能となる。そして、高
磁界中においても大きい臨界電流が実現できるNb3 Sn等
の化合物系超電導体によって、接続による減衰の少ない
良好な永久電流超電導マグネットを構成することが可能
となるため、例えばより高い磁界を安定にかつ連続して
形成することが可能となる。
【0033】なお、上記実施例においては、Nbチューブ
法による超電導導体を用いた例について説明したが、本
発明は内部スズ法によるNb3 Sn導体や、同様の方法で製
造されるNb3 Al導体、さらには同様の方法で製造される
酸化物系の超電導導体にも十分適用できるものである。
【0034】次に、本発明の永久電流超電導コイルの具
体的な製造例とその評価結果について説明する。
【0035】まず、マグネット用フィラメント13の外
径を約40μm とし、またスイッチ用フィラメント18の
外径を約20μm として、それぞれ超電導導体用素線1
1、16を作製した。なお、スイッチ用の超電導導体素
線16の高抵抗金属マトリックス17としては、CuにNi
を約 10wt%添加した合金を使用した。また、それぞれの
Nbチューブ14、19内に挿入する Sn-Cu合金15、2
0のSn濃度は 30wt%とした。
【0036】これら 2種類の超電導導体素線11、16
を用いて、前述したように超電導マグネット1および永
久電流スイッチ6を巻回形成した後、それらの素線端部
のマトリックス12、17を酸で溶かしてフィラメント
13、18を剥き出しにし、これらをCuジャケット22
中に収めて圧着し、機械的に接合した。この後、これら
全体を熱処理炉に入れ、真空中にて約 700℃で40時間の
Nb3 Sn生成のための熱処理を行った。
【0037】得られたマグネット用超電導導体2とスイ
ッチ用超電導導体5との接続部7、8の状態を顕微鏡に
よって断面観察したところ、各フィラメント13、18
間がスイッチ用フィラメント18側から拡散するSnによ
り生成されたNb3 Sn層23の共有部分によって、接続さ
れていることを確認した。また、この永久電流超電導マ
グネットの接続抵抗を3Tの磁界中で測定したところ、
1.5×10-13 Ωと極めて良好な値が得られた。また、1.5
Tの磁界下で200Aの電流を流して電流の減衰状態を24時
間に渡って測定したところ、電流値の減衰は測定感度内
(0.01ppm/時間)では観測されず、良好に超電導性の接
続が行われていることを確認した。さらに、永久電流ス
イッチ6の低磁界側での磁気的不安定性も認められなか
った。
【0038】また、細径の化合物系超電導導体を用いた
永久電流スイッチの性能を評価するために、フィラメン
ト径が22μm の超電導導体と38μm の超電導導体をそれ
ぞれ作製し、上記実施例と同様にして永久電流スイッチ
をそれぞれ形成した。そして、これら永久電流スイッチ
の磁界中での特性を評価した。図6(a)に、フィラメ
ント径が22μm の超電導導体を用いた永久電流スイッチ
の印加磁場とIq との関係を示す。また、図6(b)
に、フィラメント径が38μm の超電導導体を用いた永久
電流スイッチの印加磁場とIq との関係を示す。これら
の図から、フィラメント径を細くした超電導導体を用い
ることによって、永久電流スイッチの低磁界側での磁気
的不安定性が解消されることが分かる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の永久電流
超電導マグネットの製造方法によれば、マグネット用超
電導導体とスイッチ用超電導導体とを極めて低い接続抵
抗下で良好に接続することができると共に、マグネット
用超電導導体の比抵抗の増大を防止することができ、さ
らに永久電流スイッチの低磁界側でのクエンチ電流Iq
の低下やフラックスジャンプによるクエンチの発生を防
止することが可能となる。よって、高磁界特性に優れた
化合物系超電導線により、接続による電流減衰が少な
く、かつ安定性に優れた永久電流超電導マグネットを再
現性よく提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用した永久電流超電導マグネッ
トの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明に用いる超電導導体素線を示す断面図で
あり、(a)はマグネット用素線の構成を、(b)はス
イッチ用素線の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例による超電導導体素線の接続
部の構成を概略的に示すである。
【図4】本発明の一実施例による超電導導体素線の接続
部を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例による化合物系超電導体の生
成状態を示す断面図であり、(a)は接続部の状態を、
(b)はマグネット用超電導導体の状態を示す断面図で
ある。
【図6】本発明の一実施例による永久電流スイッチの印
加磁場とクエンチ電流との関係を従来の永久電流スイッ
チと比較して示す図である。
【符号の説明】
1………超電導マグネット 2………マグネット用超電導導体 3………外部電源 5………スイッチ用超電導導体 6………永久電流スイッチ 7、8、21…接続部 10……冷却機構 11……マグネット用超電導導体素線 12……安定化材として機能する金属マトリックス 13……マグネット用フィラメント 14、19…Nbチューブ 15、20… Sn-Cu合金 16……スイッチ用超電導導体素線 17……高抵抗金属マトリックス 18……スイッチ用フィラメント 22……Cu製ジャケット 23……Nb3 Sn相

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の化合物系超電導体フィラメントを
    金属マトリックス内に埋設してなるマグネット用超電導
    導体からなる超電導マグネットに対し、多数の化合物系
    超電導体フィラメントを高抵抗金属マトリックス内に埋
    設してなるスイッチ用超電導導体からなる永久電流スイ
    ッチを並列に接続して永久電流超電導マグネットを製造
    するに際し、前記マグネット用超電導導体の素線とし
    て、外径amが 5μm 〜80μm の化合物系超電導体材料を
    含むフィラメントを有する線材を用いると共に、前記ス
    イッチ用超電導導体の素線として、外径anが 2μm 〜30
    μm で、かつ0.25am≦an≦ 0.7amを満足する化合物系超
    電導体材料を含むフィラメントを有する線材を用い、こ
    れら超電導導体素線の前記フィラメントどうしを機械的
    に接合した後、この接合部を含む超電導導体素線全体
    に、前記化合物系超電導体材料によって形成される化合
    物系超電導体の生成温度における熱処理を施すことを特
    徴とする永久電流超電導マグネットの製造方法。
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