JP3043009B1 - 液体ヘリウムの回収・再凝縮補給装置 - Google Patents

液体ヘリウムの回収・再凝縮補給装置

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JP3043009B1
JP3043009B1 JP11107655A JP10765599A JP3043009B1 JP 3043009 B1 JP3043009 B1 JP 3043009B1 JP 11107655 A JP11107655 A JP 11107655A JP 10765599 A JP10765599 A JP 10765599A JP 3043009 B1 JP3043009 B1 JP 3043009B1
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Abstract

【要約】 【課題】 液体ヘリウムを収容したクライオスタットか
ら気化したヘリウムガスを回収して再凝縮させ、クライ
オスタットへ戻すようにした液体ヘリウム回収・再凝縮
補給装置において、クライオスタットの形状や構造に応
じて、再凝縮装置の経済性、効率を重視した運転状態
と、クライオスタットでの液体ヘリウムの蒸発量の低減
を重視した運転状態とに切替えられるようにする。 【解決手段】 クライオスタット内の液体ヘリウムの液
面で気化したヘリウムガスを再凝縮装置へ導くためのガ
ス回収管路として、液面上空間の上端から常温(もしく
は常温に近い温度)のヘリウムガスを導出する第1のガ
ス回収管路と、液面上空間の下部(液面に近い位置)か
ら低温のヘリウムガスを導出する第2のガス回収管路と
を設けて、状況に応じていずれのガス回収管路からのヘ
リウムガスを再凝縮装置へ導出するかを選択するための
選択手段を設けることとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、極低温の液体ヘ
リウム中において各種実験や測定を行なうためのクライ
オスタット内に液体ヘリウムを補給するための装置に関
し、特に実験・測定中にクライオスタット内で気化した
ヘリウムガスを回収して再凝縮させ、得られた液体ヘリ
ウムをクライオスタットに補給する装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】最近では、低温工学の発展に伴なって、
各種材料や半導体などについて低温で実験や測定などを
行なう必要性がますます高まっている。このような場
合、一般には真空断熱を施したクライオスタットと称さ
れる容器中に低温の液化ガスを収容し、そのクライオス
タット内の液化ガス中に対象物、対象装置を浸漬させる
か、あるいはクライオスタット内の液化ガスに間接的に
対象物、対象装置を接触させて実験や測定を行なうのが
通常であり、特に極低温域での実験・測定の場合は液化
ガスとして液体ヘリウムをクライオスタット内に収容し
ておくのが一般的である。
【0003】このような液体ヘリウムを用いたクライオ
スタットによる実験や測定にあたっては、その実験・測
定の開始前にクライオスタット内に予め液体ヘリウムを
注入しておかなければならないことはもちろんである
が、実験や測定を行なっている最中にもクライオスタッ
ト内の液体ヘリウムは外部からの侵入熱により次第に蒸
発して減少するから、長時間にわたって実験・測定を行
なうためには、その実験や測定を行なっている期間中に
おいても液体ヘリウムをクライオスタット内へ補給する
ことが望まれる。したがってクライオスタットによる実
験・測定中においてクライオスタット内へ簡便に液体ヘ
リウムを補給することのできる装置が強く望まれてい
る。
【0004】そこで本願発明者等は、上述の要請に応え
る装置として、クライオスタット内で気化したヘリウム
ガスを回収して再凝縮させ、得られた液体ヘリウムをク
ライオスタットへ戻すようにした液体ヘリウム装置とし
て、特開平6−64567号に示す装置を提案してい
る。
【0005】上記提案の装置は、既存のクライオスタッ
トに容易に適用でき、しかも設備的にも簡単かつ安価な
液体ヘリウム補給装置としたものであり、基本的には、
クライオスタット内で蒸発したヘリウムガスを外部へ導
くためのガス回収管路の一端側を、クライオスタットの
上部に着脱可能に取付け、そのガス回収管路の他端側
を、ヘリウムガスを冷却して再凝縮させるための再凝縮
装置に導く構成とし、さらにその再凝縮装置を、冷凍機
と熱交換器とを備えたものとして、その冷凍機内の冷媒
と前記ガス回収管路からのヘリウムガスとを熱交換する
ことによりそのヘリウムガスを冷却および再凝縮させる
ように構成し、また再凝縮装置内に、再凝縮されて得ら
れた液体ヘリウムを受ける液溜め部を設け、その液溜め
部の底部に補給管路の一端を連結し、その補給管路の他
端側を前記クライオスタット内に挿抜可能に挿入し、ま
た前記液溜め部を、その底部が前記クライオスタット内
の液体ヘリウムの液面よりも上方に位置するように配設
し、さらに前記補給管路を、その最も高い位置の部分で
も前記液溜め部の底部よりも下方に位置するように設定
したことを特徴とするものである。
【0006】上記提案による液体ヘリウム補給装置をさ
らに具体化した例を図5に示し、以下にその詳細を説明
する。
【0007】図5において、クライオスタット3は、従
来の一般的なものと同様に、上部に開口部8を設けた容
器本体10の周囲および底部の壁を2重構造として、そ
の壁部内の空間を真空断熱層12とし、容器本体10の
開口部8に蓋体14を着脱可能に取付けた構成とされて
いる。前記蓋体14には、ガス回収管路20の一端20
Aが着脱可能に取付けられており、このガス回収管路2
0は、開閉弁22を介して、次に述べる再凝縮装置26
の第1熱交換器32に導かれている。なおガス回収管路
20における開閉弁22よりもクライオスタット3側の
位置には、安全弁28が接続されている。
【0008】前記再凝縮装置26は、ヘリウムガス温度
降下用の第1熱交換器32および第2熱交換器34と、
これらの第1熱交換器32、第2熱交換器34に冷媒を
供給する補助冷凍機36と、ヘリウムガスを再凝縮して
液体ヘリウムとするための再凝縮用熱交換器38と、こ
の再凝縮用熱交換器38に冷媒を供給する再凝縮用冷凍
機40と、前記再凝縮用熱交換器38において再凝縮・
液化された液体ヘリウムを一旦貯溜する液溜め部42と
を有する構成とされている。なお液溜め部42は、図示
の例では再凝縮用熱交換器38の全体を取囲む容器とし
て構成されている。また前述の第1熱交換器32と、第
2熱交換器34と、再凝縮用熱交換器38を囲む液溜め
部42とは、その全体が真空断熱層44によって断熱さ
れている。
【0009】前記液溜め部42の底部には補給管路46
の一端46Aが結合されており、この補給管路46の他
端側は再凝縮装置26の外部へ延出されて、クライオイ
スタット3内に蓋体14を経て挿抜可能に挿入され、そ
の先端46Bがクライオスタット3内の液体ヘリウム4
中に浸漬されている。ここで、再凝縮装置26は、液溜
め部42がクライオスタット3内の液体ヘリウム4の液
面4Aよりも上方に位置するように配置されていれば良
いが、実際上は図に示すように液溜め部42がクライオ
スタット3の上端よりも上方に位置するように位置決め
するのが通常である。また補給管路46は、要はその最
も高い位置にある部分でも液溜め部42よりも下方にあ
るように位置決めされれば良いが、実際上は図に示すよ
うに液溜め部42に連結された基端側からクライオスタ
ット内に挿入された先端側まで上方へ立ち上がる部分が
ないように配置するのが通常である。なおまた、補給管
路46における再凝縮装置26の外側へ延出した部分
は、真空断熱層48によって断熱されており、この真空
断熱層48はクライオスタット3内に挿入される部分ま
で連続している。
【0010】さらに図5において、ガス回収管路20に
おける開閉弁22よりも再凝縮装置26に近い位置に
は、ヘリウムガスボンベ等のヘリウムガス源50からの
ヘリウムガス導入管路52が開閉弁54を介して接続さ
れている。また再凝縮装置26内の液溜め部42の上部
には、外部の液体ヘリウム供給源からの液体ヘリウムを
導入するための液体ヘリウム導入管路56が接続されて
おり、この液体ヘリウム導入管路56には適宜図示しな
い液体ヘリウム源を接続するためのポート58が設けら
れている。
【0011】以上のような図5に示される例において
は、クライオスタット3内の液体ヘリウム4が蒸発すれ
ば、発生したヘリウムガスが後述する負圧によってガス
回収管路20に吸い込まれ、開閉弁22を経て再凝縮装
置26に導入される。そしてこのヘリウムガスは、第1
熱交換器32および第2熱交換器34にその順に導かれ
て、補助冷凍機36からの冷媒と熱交換され、第1熱交
換器32では80K程度の温度に冷却され、続いて第2
熱交換器34で20K程度の温度に冷却される。さらに
その20K程度まで冷却されたヘリウムガスは再凝縮用
熱交換器38へ導かれて、再凝縮用冷凍機40からの冷
媒と熱交換され、ヘリウム液化温度(4.2K)以下に
冷却されて再凝縮され、液体ヘリウムとなる。このよう
にして再凝縮用熱交換器38において液化されて得られ
た液体ヘリウムは、再凝縮用熱交換器38から液溜め部
42の底部に滴下し、その液溜め部42に一旦溜まる。
その液溜め部42に溜った液体ヘリウムは、その液溜め
部42の液面とクライオスタット3内の液体ヘリウム4
の液面4Aとの水頭差に基いて自重により補給管路46
を流れ、クライオスタット3の液体ヘリウム4中へ補給
されることになる。またここで、液溜め部42内で回収
ヘリウムガスが再凝縮用熱交換器38により再凝縮され
ることにより、その液溜め部42内における回収ヘリウ
ムガス側の圧力が下がり、そのためガス回収管路20内
においても再凝縮装置26の側の圧力が下がることにな
るため、負圧によってクライオスタット3内の蒸発した
ヘリウムガスがガス回収管路20に吸い込まれることに
なる。
【0012】なお、ヘリウムガス導入管路52の開閉弁
54を開けば、クライオスタット3からの回収ヘリウム
ガスとともに別のヘリウムガス供給源50からのヘリウ
ムガスを再凝縮装置26に導入して液化させ、これをク
ライオスタット3に導くことができる。
【0013】またポート58に図示しない液体ヘリウム
源を接続して、別途液体ヘリウムを液溜め部42に導入
することもでき、この場合も外部から導入された液体ヘ
リウムを、液溜め部42から補給管路46を経て自重に
よりクライオスタット3内へ導くことができる。
【0014】図5に示されるような前記提案の液体ヘリ
ウム補給装置によれば、クライオスタットでの実験や測
定を行なっている間に、連続してクライオスタット内の
蒸発ガスを回収しかつそれを再凝縮させてクライオスタ
ット内へ補給することができ、そのため液体ヘリウム注
入のために実験や測定を停止させることなく、長時間安
定して実験や測定を継続させることができる。そしてま
た図5に示される装置は、クライオスタット自体に対し
てはガス回収管路と補給管路を取付けるだけで済むた
め、既存のクライオスタットに簡単に適用することがで
き、また設備コストも安価であり、しかもポンプ等の輸
送手段を用いることなく、自然循環によってクライオス
タットからのヘリウムガスの回収、再凝縮、クライオス
タットへの補給が連続的になされ、したがってその点か
らも著しく低コスト化されるなど、種々の効果を奏する
ことができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前述の提案の液体ヘリ
ウム補給装置においては、ガス回収管路20におけるク
ライオスタット3側の端部20Aを、蓋体14の位置に
取付けて、クライオスタット3内において気化されたヘ
リウムガスを、液体ヘリウムの液面上の空間における上
端部から導出するように構成している。これは、気化し
たヘリウムガスの冷熱を利用して、蓋体14の側からの
侵入熱を防いで、液体ヘリウムの蒸発量を少なくするた
めである。
【0016】すなわち、クライオスタット3における容
器本体10の外周壁部分及び底部は一般に真空断熱され
ており、したがって外周側及び底部側からはほとんど侵
入熱がないが、容器本体10の上端開口部8には蓋体1
4が着脱可能に取付けられているため、その蓋体14と
容器本体10の開口部8との重合部分や蓋体14自体を
通じて外部から熱が侵入する。そしてこのような外部か
らの侵入熱が多ければ、クライオスタット内の液体ヘリ
ウムの蒸発量が多くなってランニングコストが嵩むこと
になる。そこで前述の提案の液体ヘリウム補給装置で
は、クライオスタット3内における液体ヘリウムの液面
4Aで蒸発した低温のヘリウムガスをクライオスタット
の上端(液面上空間の上端)まで導くようにして、液面
4Aから上端までの間に低温のヘリウムガスが外部から
の侵入熱を奪って、その侵入熱が液面4Aまで可及的に
及ばないようにし、液面4Aでの液体ヘリウムの蒸発を
少なくしているのである。そしてこの場合、液面4Aで
気化したヘリウムガスは、液面上空間を上方へ導かれる
間に、外部からの侵入熱によって暖められるため、ガス
回収管路20には、常温あるいは常温に近い温度となっ
たヘリウムガスが導入されて、その常温もしくは常温に
近い温度のヘリウムガスが再凝縮装置26により再凝縮
されることになる。
【0017】ところで常温のヘリウムガスを再凝縮装置
によって液化する場合、常温から4.2Kまでのエンタ
ルピー差(熱容量差)に液化潜熱を加えた熱を冷凍機に
よって吸収しなければならない。この値は、大気圧下に
おいて1563.72J/gとなる。
【0018】一方、蒸発した直後の低温(例えば4.2
K)のヘリウムガスを再凝縮装置によって液化する場合
は、冷凍機は液化潜熱の20.72J/gのみを吸収す
れば良い。したがって蒸発した直後の低温のヘリウムガ
スを直ちに再凝縮装置に導入して液化すれば、前記提案
の液体ヘリウム補給装置のように常温もしくは常温に近
い温度のヘリウムガスを再凝縮装置に導入して液化する
場合と比較して、格段に効率良く迅速かつ大量に液化す
ることができ、経済性も良好となると考えられる。
【0019】しかるに前記提案の装置では、既に述べた
ようにクライオスタット内での液体ヘリウムの蒸発量を
少なくすることを目的として、クライオスタット内の液
面で気化したヘリウムガスを外部からの侵入熱対策に用
いている都合上、再凝縮装置へ導入されるヘリウムガス
は常温(もしくはそれに近い温度)のものとならざるを
得ず、したがって再凝縮装置の経済性を犠牲にせざるを
得なかったのである。ところでクライオスタットの構
造、形状、用途などによっては、クライオスタットにお
ける外部からの侵入熱対策のためにクライオスタット内
で気化した低温のヘリウムガスを液面上空間の上端まで
導かなくても良い場合がある。例えば図6に示すように
容器本体10に細くて長いネック部11が形成されてい
て、その細くて長いネック部11が充分に断熱されてい
る場合には、ネック部11の長さ方向に充分な温度勾配
を与えることができるため、液面上空間における液面に
近い位置から、蒸発した直後の未だ低温のヘリウムガス
を外部へ導き出して再凝縮装置へ送るようにしても、ク
ライオスタット内での液体ヘリウムの蒸発量を比較的小
さく抑えることが可能である。またネック部11の周囲
を液体窒素によって保冷することもあり、このような場
合も同様である。そしてこれらの場合には、既に述べた
ところから明らかなように、再凝縮装置の効率、経済性
を高めることが可能となる。
【0020】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、クライオスタットの形状や構造、あるいは用
途などに応じて、再凝縮装置での経済性を重視した運転
状態と、クライオスタット内での液体ヘリウムの蒸発量
の低減を重視した運転状態とに択一的に切替運転できる
ようにした液体ヘリウムの回収・再凝縮補給装置を提供
することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】この発明は、基本的に
は、クライオスタット内の液体ヘリウムの液面で気化し
たヘリウムガスを再凝縮装置へ導くためのガス回収管路
として、液面上空間の上端から常温(もしくは常温に近
い温度)のヘリウムガスを導出する第1のガス回収管路
と、液面上空間の下部(液面に近い位置)から低温のヘ
リウムガスを導出する第2のガス回収管路とを設けて、
状況に応じていずれのガス回収管路からのヘリウムガス
を再凝縮装置へ導出するかを選択するための選択手段を
設けることとした。さらにこの発明では、前記第2のガ
ス回収管路について、再凝縮装置から再凝縮後の液体ヘ
リウムをクライオスタットへ導くための補給管路に沿わ
せて、クライオスタットから第2のガス回収管路により
導出される低温のヘリウムガスを、補給管路内を流れる
液体ヘリウムの保冷に利用することとした。
【0022】具体的には、請求項1の発明は、液体ヘリ
ウムを収容したクライオスタット内から、気化したヘリ
ウムガスを回収して再凝縮させ、得られた液体ヘリウム
をクライオスタットへ補給するための液体ヘリウム回収
・再凝縮補給装置において、ヘリウムガスを冷却して凝
縮させるための凝縮装置と、クライオスタット内で気化
したヘリウムガスをクライオスタットから前記凝縮装置
へ導くための第1のガス回収管路および第2のガス回収
管路と、前記凝縮装置で凝縮された液体ヘリウムをクラ
イオスタットへ導くための補給管路とを有し、前記第1
のガス回収管路は、クライオスタット内の液体ヘリウム
液面上の空間の上端からヘリウムガスを導出するように
構成され、また第2のガス回収管路はクライオスタット
内の液体ヘリウム液面上の空間の下部からヘリウムガス
を導出するように構成され、しかもこれらの第1のガス
回収管路および第2のガス回収管路には、いずれの管路
からヘリウムガスを前記凝縮装置へ導入するかを選択す
るための選択手段が設けられていることを特徴とするも
のである。
【0023】また請求項2の発明は、請求項1に記載の
液体ヘリウムの回収・再凝縮補給装置において、前記再
凝縮装置は、冷凍機と熱交換器とを備えており、その冷
凍機内の冷媒と前記第1のガス回収管路もしくは第2の
ガス回収管路からのヘリウムガスとを熱交換することに
よりそのヘリウムガスを冷却および凝縮させるように構
成され、さらに凝縮装置内には、凝縮されて得られた液
体ヘリウムを受ける液溜め部が設けられており、その液
溜め部の底部に補給管路の一端が連結され、その補給管
路の他端側は前記クライオスタット内に挿入され、また
前記液溜め部は、その底部が前記クライオスタット内の
液体ヘリウムの液面よりも上方に位置するように配設さ
れ、さらに前記補給管路は、その最も高い位置の部分で
も前記液溜め部の底部よりも下方に位置するように設定
されていることを特徴とするものである。
【0024】さらに請求項3の発明は、請求項1に記載
の液体ヘリウムの回収・再凝縮補給装置において、前記
第2のガス回収管路が、前記補給管路の外周上を取囲む
ように設けられていることを特徴とするものである。
【0025】そしてまた請求項4の発明は、請求項1に
記載の液体ヘリウムの回収・再凝縮補給装置において、
前記第2のガス回収管路が、前記補給管路に平行に沿わ
されていることを特徴とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】図1にこの発明の第1の実施例の
全体構成を示す。なお図1において、図5に示される装
置の要素と同一の要素については同一の符号を付し、そ
の詳細な説明は省略する。
【0027】図1において、第1のガス回収管路21
は、図5に示される装置におけるガス回収管路20に相
当するものである。この第1のガス回収管路21におけ
るクライオスタット3側の一方の端部21Aは、クライ
オスタット3内の液体ヘリウム4の液面4Aの上方の空
間15の上端からヘリウムガスを導出するべく、蓋体1
4に着脱可能に取付けられている。そしてこの第1のガ
ス回収管路21は、開閉弁22を介して再凝縮装置26
内の第1熱交換器32に導かれている。
【0028】一方、第2のガス回収管路23は、再凝縮
装置26の液溜め部42から液体ヘリウムをクライオス
タット3内へ導くための補給管路46に沿わされてお
り、その第2のガス回収管路23のクライオスタット3
側の端部23Aは、液体ヘリウム4の液面4Aに近い位
置、すなわち液面上空間15の下部において開口してお
り、またその第2のガス回収管路23の他端側は再凝縮
装置26内において開閉弁25を介して再凝縮用熱交換
器38に導かれている。なお第2のガス回収管路23お
よび補給管路46は、真空断熱層48によって断熱され
ている。
【0029】ここで、第1のガス回収管路21における
開閉弁22と、第2のガス回収管路23における開閉弁
25は、第1のガス回収管路21と第2のガス回収管路
23のうち、いずれの管路からヘリウムガスを再凝縮装
置26へ導くかを選択するための選択手段を構成してい
る。
【0030】図2には第2のガス回収管路23と補給管
路46とが沿わされた部分の一例の拡大斜視断面図を示
し、また図3には同様な部分の他の例の拡大斜視断面図
を示す。
【0031】図2の例では、外管71の内側に2本の内
管73,75が平行に収容されており、外管71と内管
73,75との間が真空断熱層48とされている。そし
て内管73内が補給管路46とされ、また内管75内が
第2のガス回収管路23とされている。したがってこの
例では、第2のガス回収管路23が補給管路46に平行
に沿わされていることになる。
【0032】一方図3の例では、外管71の内側に大径
内管77と小径内管79とが同軸状に2重に設けられて
おり、外管71と大径内管77との間が真空断熱層48
とされ、大径内管77と小径内管79との間が第2のガ
ス回収管路23とされ、さらに小径内管79の内側が補
給管路46とされている。したがってこの例では第2の
ガス回収管路23が補給管路46の外周上を取囲むよう
に設けられていることになる。
【0033】以上の実施例において、クライオスタット
3内で気化したヘリウムガスの冷熱を侵入熱対策に利用
しようとする場合には、第1のガス回収管路21におけ
る開閉弁22を開放する一方、第2のガス回収管路23
における開閉弁25を閉じた運転状態とする。この状態
では、クライオスタット3内の液面4Aで気化したヘリ
ウムガスは、液面上空間15の上端まで導かれ、その位
置から再凝縮装置26の側の負圧により第1のガス回収
管路21を介して再凝縮装置26に導かれる。この場合
は、液面4Aで気化した低温のヘリウムガスは、液面上
空間15の上端まで導かれる間に、蓋体14の側からの
外部からの侵入熱を奪うことに寄与し、その間にヘリウ
ムガスは常温もしくは常温に近い温度まで温度上昇す
る。したがって第1のガス回収管路21を経て再凝縮装
置26に導入されるヘリウムガスも、常温もしくは常温
に近い温度となっているから、そのヘリウムガスを再凝
縮させて液体ヘリウムとするためには、かなりの冷熱エ
ネルギを必要とする。なおこの場合における再凝縮装置
26の動作は、既に述べた図5に示される装置の場合と
同様である。そして液化した液体ヘリウムは液溜め部4
2から補給管路46を経てクライオスタット3内に戻さ
れる。
【0034】一方、クライオスタット3内で気化したヘ
リウムガスの冷熱をクライオスタットの侵入熱対策に積
極的に利用する必要がない場合には、第1のガス回収管
路21の開閉弁22を閉じ、第2のガス回収管路23の
開閉弁25を開放した運転状態とする。この状態では、
クライオスタット3内の液面4Aで気化した低温のヘリ
ウムガスは、直ちに液面近くの位置から第2のガス回収
管路23を介して再凝縮装置26に導かれる。この場合
は、ヘリウムガスは暖められることなく低温のまま再凝
縮装置26の側の負圧によって再凝縮装置26に導入さ
れるから、少ない冷熱エネルギで効率良く再凝縮させる
ことができ、したがって第1熱交換器32や第2熱交換
器34を経ずに、直接再凝縮用熱交換器38に導入し
て、補助冷凍機36は動作させずに再凝縮用冷凍機40
のみを動作させることにより容易に再凝縮させることが
できる。なお再凝縮用熱交換器38によって再凝縮され
た液体ヘリウムは、図5の装置の場合と同様に液溜め部
42に溜まり、さらに補給管路46を介してクライオス
タット3内へ戻される。
【0035】なお、第2のガス回収管路23は、補給管
路46に沿って設けられているため、その第2のガス回
収管路を流れる低温のヘリウムガスによって、補給管路
46を流れる液体ヘリウムの温度上昇を防止し、液体ヘ
リウム蒸発量を少なくすることができる。
【0036】なおまた、図1では第1のガス回収管路2
1からヘリウムガスを回収する運転状態と、第2のガス
回収管路23からヘリウムガスを回収する運転状態との
いずれの場合も、同じクライオスタット3を用いている
ように示しているが、実際には前述の如くクライオスタ
ットの形状や構造等に応じて運転状態を選択することは
もちろんである。
【0037】図4にはこの発明の第2の実施例を示す。
この第2の実施例は、図1に示される第1の実施例の構
成を簡略化したものであり、ヘリウムガスの再凝縮能力
は第1の実施例の場合よりも低いが、小型のクライオス
タットには充分に適用可能である。なお図4の実施例に
おいて、図1に示される第1の実施例あるいは図5に示
される従来例と同一の要素については同一の符号を付
し、その説明は省略する。
【0038】図4において、再凝縮装置26は、第1熱
交換器32、第2熱交換器34、再凝縮用熱交換38の
すべてが一基の冷凍機60によって駆動されるようにな
っている。すなわち冷凍機60からの各温度段階の冷媒
がそれぞれ第1熱交換器32、第2熱交換器34、再凝
縮用熱交換器38に与えられるようになっている。そし
て第2のガス回収管路23の開閉弁25を閉じた状態で
第1のガス回収管路21の開閉弁22を開放して、常温
もしくは常温に近い温度のヘリウムガスを再凝縮装置2
6に導入した場合、そのヘリウムガスは先ず第1熱交換
器32に与えられ、次いで第2熱交換器34を経て再凝
縮用熱交換器38において最終的に凝縮・液化される。
一方第1のガス回収管路21の開閉弁22を閉じるとと
もに第2のガス回収管路23の開閉弁25を開放して、
低温のヘリウムガスを再凝縮装置26に導入した場合に
は、その低温のヘリウムガスは再凝縮用熱交換器38に
直接与えられ、その再凝縮用熱交換器38において凝縮
・液化される。
【0039】なお図4に示される第2の実施例の場合
も、第2のガス回収管路23を補給管路46に沿わせた
部分の構造としては、図2に示される平行配列構造、図
3に示される同軸状配列構造のいずれを適用しても良い
ことはもちろんである。
【0040】
【発明の効果】この発明の液体ヘリウムの回収・再凝縮
補給装置によれば、クライオスタット内で気化したヘリ
ウムガスを再凝縮装置へ導いて再凝縮させ、液体ヘリウ
ムとしてクライオスタット内へ補給するにあたり、使用
するクライオスタットの形状や構造、用途などに応じ
て、クライオスタット内の液面上空間の上端からヘリウ
ムガスを導出する運転状態と、液面上空間の下部からヘ
リウムガスを導出する運転状態とに切替えることがで
き、そのためトータル的に経済性や効率を高めることが
できる。すなわち、クライオスタット内で気化したヘリ
ウムガスの冷熱によりクライオスタット外部からの侵入
熱を奪って、クライオスタット内の液体ヘリウムの蒸発
量を少なくしようとする場合には、液面上空間の上端か
らヘリウムガスを導出する運転状態とし、一方外部侵入
熱に対してクライオスタット内で気化したヘリウムガス
の冷熱を利用する必要がない場合においては、液面上空
間の下部から蒸発したばかりの低温のヘリウムガスを導
出する運転状態として、再凝縮装置における再凝縮・液
化効率を高めて、再凝縮装置の経済性を高めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例の液体ヘリウム回収・
再凝縮補給装置をクライオスタットとともに示す略解図
である。
【図2】図1の装置における第2のガス回収管路および
補給管路の部分の一例を拡大して示す斜視断面図であ
る。
【図3】図1の装置における第2のガス回収管路および
補給管路の部分の他の例を拡大して示す斜視断面図であ
る。
【図4】この発明の第2の実施例の液体ヘリウム回収・
再凝縮補給装置をクライオスタットとともに示す略解図
である。
【図5】従来の液体ヘリウム補給装置の一例をクライオ
スタットとともに示す略解図である。
【図6】クライオスタットの他の例を示す略解図であ
る。
【符号の説明】
3 クライオスタット 4 液体ヘリウム 4A 液面 15 液面上空間 21 第1のガス回収管路 23 第2のガス回収管路 26 再凝縮装置 38 再凝縮用熱交換器 40 再凝縮用冷凍機 46 補給管路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−327171(JP,A) 特開 平7−243712(JP,A) 特開 昭63−140275(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 9/00 F25D 3/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体ヘリウムを収容したクライオスタッ
    ト内から、気化したヘリウムガスを回収して再凝縮さ
    せ、得られた液体ヘリウムをクライオスタットへ補給す
    るための液体ヘリウム回収・再凝縮補給装置において、 ヘリウムガスを冷却して凝縮させるための凝縮装置と、
    クライオスタット内で気化したヘリウムガスをクライオ
    スタットから前記凝縮装置へ導くための第1のガス回収
    管路および第2のガス回収管路と、前記凝縮装置で凝縮
    された液体ヘリウムをクライオスタットへ導くための補
    給管路とを有し、 前記第1のガス回収管路は、クライオスタット内の液体
    ヘリウム液面上の空間の上端からヘリウムガスを導出す
    るように構成され、また第2のガス回収管路はクライオ
    スタット内の液体ヘリウム液面上の空間の下部からヘリ
    ウムガスを導出するように構成され、しかもこれらの第
    1のガス回収管路および第2のガス回収管路には、いず
    れの管路からヘリウムガスを前記凝縮装置へ導入するか
    を選択するための選択手段が設けられていることを特徴
    とする、液体ヘリウムの回収・再凝縮補給装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液体ヘリウムの回収・
    再凝縮補給装置において、 前記再凝縮装置は、冷凍機と熱交換器とを備えており、
    その冷凍機内の冷媒と前記第1のガス回収管路もしくは
    第2のガス回収管路からのヘリウムガスとを熱交換する
    ことによりそのヘリウムガスを冷却および凝縮させるよ
    うに構成され、さらに凝縮装置内には、凝縮されて得ら
    れた液体ヘリウムを受ける液溜め部が設けられており、
    その液溜め部の底部に補給管路の一端が連結され、その
    補給管路の他端側は前記クライオスタット内に挿入さ
    れ、また前記液溜め部は、その底部が前記クライオスタ
    ット内の液体ヘリウムの液面よりも上方に位置するよう
    に配設され、さらに前記補給管路は、その最も高い位置
    の部分でも前記液溜め部の底部よりも下方に位置するよ
    うに設定されていることを特徴とする、液体ヘリウムの
    回収・再凝縮補給装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の液体ヘリウムの回収・
    再凝縮補給装置において、 前記第2のガス回収管路が、前記補給管路の外周上を取
    囲むように設けられていることを特徴とする、液体ヘリ
    ウムの回収・再凝縮補給装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の液体ヘリウムの回収・
    再凝縮補給装置において、 前記第2のガス回収管路が、前記補給管路に平行に沿わ
    されていることを特徴とする、液体ヘリウムの回収・再
    凝縮補給装置。
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