JP3039966B2 - ゼラチンのイオン性不純物除去方法 - Google Patents

ゼラチンのイオン性不純物除去方法

Info

Publication number
JP3039966B2
JP3039966B2 JP2193244A JP19324490A JP3039966B2 JP 3039966 B2 JP3039966 B2 JP 3039966B2 JP 2193244 A JP2193244 A JP 2193244A JP 19324490 A JP19324490 A JP 19324490A JP 3039966 B2 JP3039966 B2 JP 3039966B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gelatin
molecular weight
impurities
exchange resin
ionic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2193244A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0480278A (ja
Inventor
保夫 森岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitta Gelatin Inc
Original Assignee
Nitta Gelatin Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitta Gelatin Inc filed Critical Nitta Gelatin Inc
Priority to JP2193244A priority Critical patent/JP3039966B2/ja
Publication of JPH0480278A publication Critical patent/JPH0480278A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3039966B2 publication Critical patent/JP3039966B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ゼラチンのイオン性不純物除去方法に関
し、詳しくは、ゼラチン製品に好ましくない影響を与え
る不純物のうち、特にFeイオン等のイオン性の不純物を
取り除く方法に関するものである。
〔従来の技術〕
ゼラチンは、写真用材料、医療品、化粧品、食品等の
多くの分野で利用されている。これらの何れの分野にお
いても、ゼラチンに含まれる不純物を少なくして精製度
を高めることが要求されている。
ゼラチンに含まれる不純物のうち、大きなゴミや固形
物等は、目の細かいフィルタで濾過することが可能であ
るが、分子量がゼラチン分子に近い領域にある不純物や
イオン性の不純物は、フィルタの目を容易に通過するこ
とができるので、除去するのが非常に困難であった。
ゼラチン製品にイオン性不純物が含まれている場合の
問題としては、例えば、写真分野では、フィルムを構成
する各層の材料に、好ましくない化学反応を起こすイオ
ン、特に重金属イオンが含まれていると、フィルムの品
質性能に大きな影響を与える。したがって、フィルムの
構成材料となるゼラチンについては、前記のような重金
属イオンを充分に除去しておく必要がある。また、医療
分野でも、イオン性不純物の影響で、目的とする薬効成
分が効かなくなったり、人体に好ましくない反応を起こ
したり、安全性に問題が生じる場合等がある。さらに、
食品分野では、微量な成分の違いによって、味や香りが
微妙に変化し、特に飲料等では溶け出したイオンが風味
を全く変えてしまう場合がある。
従来、イオン性の不純物を除去する方法として、イオ
ン交換樹脂を用いる方法があった。イオン交換樹脂に
は、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とがある。例
えば、陽イオン交換膜では、ゼラチン溶液中に溶けてい
る不純物イオンのうちの陽イオンが、陽イオン交換樹脂
中のH+イオン等と交換されて陽イオン交換樹脂に捉えら
れて除去される。陰イオン交換樹脂ではOH-イオン等が
陰イオン不純物を同様の作用で捉えて除去する。この方
法であれば、ゼラチン溶液中に溶けたイオンの形で存在
している不純物については、確実にかつ能率的に除去す
ることが可能であるとされていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、前記した従来のイオン交換樹脂による濾過
法で精製されたゼラチンでも、実際に各種の製品として
使用すると、Feイオン等の金属イオンその他のイオン性
不純物による障害が発生することが多い。
これは、イオン交換樹脂による濾過方法でも、イオン
性不純物が完全に除去されていないということを意味し
ており、イオン交換樹脂では除去できないイオン性不純
物を除去できる精製方法が強く望まれている。
そこで、この発明の課題は、従来のイオン交換樹脂に
よる精製方法でも除去できないイオン性の不純物を確実
かつ能率的に除去できる方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
発明者らは、従来のイオン交換樹脂による精製方法で
も除去できないイオン性不純物がある原因を追求した結
果、イオン性不純物のうち、Feイオン等は、ゼラチン溶
液中でゼラチン分子と強く結び付いた状態で存在してい
ることが判った。このようなゼラチン分子とイオンとの
結合体に対しては、イオン交換樹脂を用いても、ゼラチ
ン分子とイオンとの結合を解除させることができないた
め、イオン性不純物が除去できなかったのである。
さらに、発明者らは研究を進めた結果、前記のような
ゼラチン分子とイオン性不純物との結合体の分子量は、
ゼラチン分子の分子量にイオン性不純物の分子量を加え
たものとなるので、この分子量の違いによって、ゼラチ
ン分子とイオン性不純物との結合体をゼラチン分子から
取り除けることを見出し、この発明を完成したものであ
る。
この発明にかかるゼラチンのイオン性不純物除去方法
は、分画分子量が、ゼラチンの分子量よりも大きく、ゼ
ラチンとイオンとの結合体よりも小さな限外濾過膜を用
いてゼラチン溶液を濾過する。
ゼラチン溶液としては、アルカリ処理ゼラチンや酸処
理ゼラチンあるいは酵素処理ゼラチンその他、各技術分
野で利用されている通常の各種ゼラチンが使用できる。
特に、この発明は、ゼラチン分子の分子量が比較的狭い
範囲に分布していて、分子量の違いによる不純物の除去
が行い易いアルカリ処理ゼラチンに適用した場合に優れ
た効果が発揮できる。ゼラチン溶液のゼラチン濃度は、
限外濾過を行う際の濾過効率や最終製品の要求性能等を
考慮して設定する。ゼラチン濃度が高いほど濾過効率は
良いが、あまり高濃度になると濾過時の抵抗が大きくな
る。そこで、通常は、ゼラチン濃度20%以下のゼラチン
溶液を用い、さらに好ましくは、ゼラチン濃度2〜10%
のゼラチン溶液を用いる。ゼラチン溶液は、何らの精製
処理を行っていないものでもよいし、従来のフィルタ濾
過や活性炭処理等である程度の濾過処理を行ったものを
用いてもよい。
限外濾過膜による濾過法は、従来のフィルタなとに比
べてはるかに小さく均一な孔径(ポアサイズ)を有する
限外濾過膜を用いて濾過を行う方法である。限外濾過膜
は、ポリスルホン等の通常の限外濾過膜用材料からなる
ものが使用できる。限外濾過法には、限外濾過膜の膜面
と直交する方向に濾過液を流す方式と、限外濾過膜の膜
面と平行な方向に濾過液を流すクロスフロー方式とがあ
り、何れの方式も採用できるが、限外濾過膜の目詰まり
を防ぎ、濾過能率を上げるにはクロスフロー方式が好ま
しい。また、クロスフロー方式において、循環流量と透
過流量の比率を調節することによって、精製の精度を変
化させることが可能である。
限外濾過膜は、そのポアサイズよりも大きな物質は通
過させず、ポアサイズよりも小さな物質は通過させるこ
とによって、物質を大きさすなわち分子量の違いで分離
または分画する。但し、限外濾過膜の特性を評価するに
は、通常、ポアサイズで規定するよりも分画分子量で規
定している。
この発明では、ゼラチン溶液に含まれるゼラチン分子
は通過できるが、ゼラチン分子よりも分子量の大きな、
ゼラチン分子とイオン性不純物との結合体(以下、「イ
オン性不純物結合ゼラチン」と呼ぶ)は通過できないよ
うな分画分子量を有する限外濾過膜を用いる。なお、ゼ
ラチン分子等の高分子物質の分子量は、ある特定の数値
のみに確定しているものではなく、統計的に一定の数値
範囲に分布しているものであるから、上記分画分子量
は、ゼラチン分子の分子量分布範囲と、イオン性不純物
結合ゼラチンの分子量分布範囲の中間に設定するという
ことであり、全てのゼラチン分子が通過できるる分画分
子量とか、全てのイオン性不純物結合ゼラチンが通過で
きない分子量とかを意味しているものではない。
具体的な分画分子量の設定は、得ようとするゼラチン
の分子量および最終製品の要求性能等によっても異なる
が、分画分子量を約3万〜300万の範囲で設定すればよ
く、好ましくは分画分子量を300万〜10万に設定し、さ
らに望ましくは約100万程度に設定する。限外濾過膜の
分画分子量の値は、厳密には、測定に用いる物質や測定
条件によって異なってくるので、異なる測定物質を用い
て規定された限界濾過膜の分画分子量を比較する場合に
は、それぞれの測定物質および測定条件の場合に換算す
る必要がある。
前記した分画分子量の数値範囲は、分画分子量を測定
するための分画基準物質として、γ−グロブリンダイマ
ー(分子量MW=1.6×105)、ウシ血清アルブミン(分子
量MW=6.8×104)、ウシミオグロビン(分子量MW=1.8
×104)、ビタミンB-12(分子量MW=1.3×104)等の分
子量が既知の蛋白質を用い、一定の測定条件で前記蛋白
質の阻止率を測定した結果をもとにして、限外濾過膜の
分画分子量を規定している。
上記のような分画分子量に設定された限外濾過膜で
は、ゼラチン分子との間に明確な分子量の違いを有する
イオン性不純物結合ゼラチンは全て除去される。イオン
性不純物結合ゼラチンをつくるイオンの具体例として
は、前記Feイオンその他の重金属イオン等が挙げられ
る。また、限外濾過膜では、イオン性不純物結合ゼラチ
ンだけでなく、設定された分画分子量よりも大きな分子
量を有する不純物は全て濾過できずに除去される。
限外濾過膜による精製処理を、分画分子量の異なる限
外濾過膜を用いて、複数段階に分けて行うこともでき
る。この方法によれば、分子量の大きな不純物から順番
に効率良く除去することが可能になる。さらに、第1段
階の処理として、ゼラチン分子よりも大きな前記分画分
子量で限外濾過を行い、ゼラチン分子よりも分子量の大
きなイオン性不純物結合ゼラチンおよびその他の不純物
を除去した後、第2段階の処理として、ゼラチン分子よ
りも小さな分画分子量で限外濾過を行い、このときは限
外濾過膜を通過する小さな不純物を除去して、限外濾過
膜を通過出来ずに残るゼラチンのほうを回収すれば、ゼ
ラチンよりも分子量の大きな不純物および小さな不純物
の両方が取り除かれることになり、特定の分子量範囲に
存在するゼラチンのみを取り出すことができる。ゼラチ
ン分子よりも小さな不純物を除去するための分画分子量
としては、約1〜10万程度に設定しておくのが好まし
い。前記第1段階の処理と第2段階の処理の順番を逆に
行っても同様の作用効果が挙げられる。
限外濾過膜による精製方法では、ゼラチン溶液の温度
が高いほど、流動抵抗が小さく能率的に濾過できるが、
精製ゼラチンの熱劣化等を考慮して、約60℃までの温度
で行うのが好ましい。
この発明のイオン性不純物除去方法で得られたゼラチ
ンは、液状のままで最終製品として各種用途に使用した
り、一旦乾燥固化させて粉や板の状態にして販売流通に
供したりすることができる。ゼラチンの乾燥は、例え
ば、湿度の低い状態で通風乾燥させればよい。
つぎに、前記した限外濾過膜によるイオン性不純物除
去方法に加えて、イオン性不純物結合ゼラチン以外のイ
オン性の不純物をより良好に除くためにイオン交換樹脂
による精製処理を併用することができる。
イオン交換樹脂処理は、従来行われていた方法がその
まま適用でき、一定量毎のゼラチン溶液をイオン交換樹
脂と接触させるバッチ式の処理法と、イオン交換樹脂を
詰めたカラム等にゼラチン溶液を通液して連続的に処理
を行うカラム式もしくは連続式の処理法の何れもが適用
できる。
イオン交換樹脂処理では、通常、陽イオン交換樹脂に
よる処理と陰イオン交換樹脂による処理の両方を行っ
て、陰イオン性不純物と陽イオン性不純物の両方を除去
する。不純物としてどちらか一方のみを除去するだけで
よければ、片方のみの処理でもよい。
イオン交換樹脂としては、陽イオン交換基としては−
H型のもの、陰イオン交換基としては−OH型のものが好
ましい。具体的には、例えば、スチレンとジビニルベン
ゼンの共重合物からなるゲルタイプの強酸性陽イオン交
換樹脂であるDIAION PK228(三菱化成(株)製)、同じ
くスチレンとジビニルベンゼンの共重合物からなるゲル
タイプの弱塩基性陰イオン交換樹脂であるDIAION WA30
(三菱化成(株)製)等が挙げられる。
イオン交換樹脂の交換基には、−Na型、−Cl型のもの
等もあり、これらのイオン交換樹脂を用いることもでき
るが、−Na型や−Cl型などの場合、ゼラチン溶液内に、
イオン交換によって、Na,Cl等のイオン成分が溶け込む
ので、処理後のゼラチン溶液にこれらのイオン成分が残
ってはいけない用途には使用できない。
イオン交換樹脂の使用量は、ゼラチン溶液中の除去可
能なイオン成分が確実にイオン交換されるだけの量があ
ればよく、通常、ゼラチン溶液中のゼラチン固形分に対
して1〜2倍量で実施される。イオンン交換樹脂処理が
充分に行われて、ゼラチン溶液からイオン成分が無くな
ると、ゼラチン溶液のpH値が等電点に近づくので、処理
後のゼラチン溶液のpH値が等電点付近になるように、イ
オン交換樹脂の使用量や処理時間を設定するのが好まし
い。例えば、アルカリ処理ゼラチンに対して、−H型,
−OH型のイオン交換樹脂で使用する場合には、ゼラチン
溶液のpH値が約4.9〜5.3程度になるように処理すればよ
い。
イオン交換樹脂処理の処理温度は、ゼラチン溶液の温
度を40〜60℃程度にして行うのが取り扱いが容易であ
る。カラム方式で処理する場合、ゼラチン溶液の通液量
をSV1〜10程度に設定するのが好ましい。陰陽両方のイ
オン交換樹脂処理を行う場合、先に陽イオン交換樹脂処
理を行うのが好ましい。
イオン交換樹脂処理を行ったゼラチン溶液は、イオン
交換によってpH値が変化する場合があるので、必要に応
じて、通常のpH調整剤でpH値を調整してから使用するこ
ともできる。
イオン交換樹脂処理は、前記限外濾過膜処理を行った
ゼラチン溶液に対して行ってもよいし、イオン交換樹脂
処理の後で限外濾過膜処理を行ってもよい。
以上に説明した、この発明にかかるイオン性不純物の
除去方法で得られた精製ゼラチンの用途としては、前記
した写真材料のように、Feイオン等を含まない高精製度
のゼラチンを必要とする分野に好適であるが、写真分野
以外にも、医療分野、食品分野その他の任意の用途で利
用することができる。
なお、ゼラチンの用途によって、ゼラチン原料に含ま
れていたゼラチン分子以外の成分を利用したい場合もあ
る。この発明の処理方法では、所定の分子量範囲外の物
質は全て不純物として除去してしまうので、前記のよう
なゼラチン以外の成分を必要とする場合には、この発明
の処理方法で得られた精製ゼラチンに、必要な成分を必
要量だけ添加すればよい。このようにすれば、ゼラチン
の使用目的に合わせて、必要な成分のみが正確に配合さ
れ組成が厳密に制御されたゼラチンを提供することが可
能になる。
〔作用〕
限外濾過膜による精製処理は、通常のフィルタ等によ
る濾過方法に比べて、はるかに小さな分子量領域で、し
かも、分子量のわずかな違いでも厳密に分画して不純物
と目的物とを分離できる。すなわち、ゼラチン溶液のな
かから、ある特定の分子量範囲にあるゼラチン分子と、
それよりも分子量の大きなイオン性不純物結合ゼラチン
とを確実に分画して、イオン性不純物結合ゼラチンのみ
を除去できるのである。その結果、従来のイオン交換樹
脂処理等では、どうしても除去できなかったイオン性不
純物結合ゼラチンを除去できることになる。
限外濾過膜による精製処理では、イオン性不純物結合
ゼラチンだけでなく、ゼラチン分子よりも大きな分子量
を持つ不純物は全て除去できるので、非イオン性の不純
物をも良好に除去することが可能である。このような非
イオン性の不純物もイオン交換樹脂処理では除去できな
いものであり、また、従来のフィルタ濾過でも、ゼラチ
ン分子に近い小さな分子量の非イオン性不純物は除去で
きなかったものである。
つぎに、限外濾過膜による精製処理に加えて、イオン
交換樹脂処理を併用すれば、ゼラチン溶液中に単独で溶
けていて、分子量の違いではゼラチン分子と分画するこ
とが困難な不純物イオンをも確実に除去することができ
る。すなわち、このような不純物イオンとイオン性不純
物結合ゼラチンの両方がゼラチンから除去され、得られ
たゼラチンは、全てのイオン性不純物が極めて少ない高
精製ゼラチンとなる。
〔実施例〕
ついで、この発明のイオン性不純物除去方法を適用し
た具体的実施例について説明する。
−実施例1− ゼラチン溶液として、ゼラチン濃度4%のアルカリ処
理ゼラチンを用いた。限外濾過装置として、限外濾過機
UF-20SS(東ソー(株)製)を用い、限外濾過膜とし
て、第1の精製工程ではUF-1000PS(東ソー(株)製、
分画分子量1×106/たんぱく質)を使用し、第2の精
製工程ではUF-50PS(東ソー(株)製、分画分子量5×1
04/たんぱく質)を使用した。
第1の精製工程では、通常の濾過方法と同様の手順
で、ゼラチン溶液を濾過してゼラチン分子よりも分子量
の大きなイオン性不純物結合ゼラチンその他の不純物を
取り除き、得られた濾過液を次の工程に供する。第2の
精製工程では、限外濾過膜を通過する低分子量不純物を
除去しながら前記濾過液を濃縮することによって、精製
ゼラチン溶液を得た。処理温度は40〜50℃で行い、溶液
のpH値はpH6であった。
−実施例2− つぎに、実施例1で得られたゼラチン溶液に対して、
イオン交換樹脂による精製処理を行った。
直径3cmのガラス製円筒(保温ジャケット付)2本
に、それぞれ陽イオン交換樹脂800ml(DIAION PK228)
または陰イオン交換樹脂800ml(DIAION WA30)を充填し
てイオン交換カラムを作製し、このイオン交換カラムに
ゼラチン溶液を通液した。通液前のゼラチン溶液の液温
を50℃にしておくとともに、カラムの保温ジャケットも
50℃に調整しておいた。通液順序は、陽イオン→陰イオ
ンの順序で行い、通液速度はSV5であった。
−比較例− この発明のイオン性不純物除去方法と比較するため
に、元のゼラチン溶液に対して実施例2と同様のイオン
交換樹脂処理のみを行った。
上記のようにして精製処理されたゼラチン溶液および
精製前の元のゼラチン溶液に対して、各種の特性試験、
および、ゼラチン溶液中の不純物の分析を行った。
その結果を、第1表〜第3表に示している。
上記試験の結果、この発明の実施例1,2では、比較例
に比べてFeイオンが格段に少なくなっており、この発明
が、従来のイオン交換樹脂処理では除去できなかったFe
イオン等からなるイオン性不純物結合ゼラチンの除去に
極めて有効であることが実証された。また、熱凝固物質
や油脂分あるいは色差についても、比較例に比べて実施
例1,2は優れた除去効果を発揮しており、この発明が、
前記イオン性不純物結合ゼラチン以外の非イオン性不純
物の除去にも有効であることが実証された。
つぎに、実施例1と実施例2を比べると、実施例1の
限界濾過膜処理だけでは除去されなかった陽イオン成分
が、実施例2では極めて良好に除去されていることが判
る。すなわち、実施例2のように限界濾過膜処理とイオ
ン交換樹脂処理とを併用することによって、ゼラチン中
の溶解イオン成分およびイオン性不純物結合ゼラチンの
何れもが除去され、さらに非イオン性の不純物も除去さ
れることになり、極めて純度の高い高精製ゼラチンが得
られることが実証された。
〔発明の効果〕
以上に述べた、この発明にかかるゼラチンのイオン性
不純物除去方法によれば、限外濾過膜による精製処理を
行うことによって、ゼラチンに含まれているイオン性不
純物結合ゼラチンを確実に除去することが可能になる。
その結果、イオン性不純物が少なく精製度の高いゼラチ
ンを提供することができる。特に、従来のイオン交換樹
脂処理ではどうしても除去できなかったイオン性不純物
結合ゼラチンを除去できるので、このような不純物の存
在が問題となってゼラチンを使用出来なかったり、目的
とする品質性能が得られなかったりしていた用途にも何
ら支障なく用いることができるようになる。
また、限外濾過膜による精製処理でイオン性不純物結
合ゼラチンを除去するとともに、イオン交換樹脂による
精製処理でゼラチン溶液中に溶解している不純物イオン
を除去すれば、ゼラチンに含まれている全てのイオン性
不純物を除去することができ、得られたゼラチンはイオ
ン性不純物が極めて少ない高精製ゼラチンとなり、ゼラ
チン製品の従来の用途における性能向上および新たな用
途開発に大きく貢献できることになる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分画分子量が、ゼラチンの分子量よりも大
    きく、ゼラチンとイオン性不純物との結合体よりも小さ
    な限外濾過膜を用いてゼラチン溶液を濾過するゼラチン
    のイオン性不純物除去方法。
  2. 【請求項2】分画分子量が300万〜10万の限外濾過膜を
    用いる請求項1記載のゼラチンのイオン性不純物除去方
    法。
  3. 【請求項3】限外濾過膜による濾過に加えて、イオン交
    換樹脂による濾過を行う請求項1または2記載のゼラチ
    ンのイオン性不純物除去方法。
JP2193244A 1990-07-20 1990-07-20 ゼラチンのイオン性不純物除去方法 Expired - Fee Related JP3039966B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2193244A JP3039966B2 (ja) 1990-07-20 1990-07-20 ゼラチンのイオン性不純物除去方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2193244A JP3039966B2 (ja) 1990-07-20 1990-07-20 ゼラチンのイオン性不純物除去方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0480278A JPH0480278A (ja) 1992-03-13
JP3039966B2 true JP3039966B2 (ja) 2000-05-08

Family

ID=16304732

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2193244A Expired - Fee Related JP3039966B2 (ja) 1990-07-20 1990-07-20 ゼラチンのイオン性不純物除去方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3039966B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101960301B1 (ko) * 2018-11-16 2019-03-20 김경림 펄프 여과기와 일체화된 이온 교환 수지탑을 구비한 젤라틴 제조 시스템

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5839217B2 (ja) * 2011-05-17 2016-01-06 国立大学法人北海道大学 銅微粒子の製造方法
CN104946138A (zh) * 2014-03-27 2015-09-30 苏州吉利鼎海洋生物科技有限公司 一种明胶去重金属离子方法
BR112020015253A2 (pt) * 2018-03-08 2020-12-08 Catalent U.K. Swindon Zydis Limited Processo para reduzir endotoxina em gelatina

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101960301B1 (ko) * 2018-11-16 2019-03-20 김경림 펄프 여과기와 일체화된 이온 교환 수지탑을 구비한 젤라틴 제조 시스템

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0480278A (ja) 1992-03-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
FI91032B (fi) Menetelmä laktoperoksidaasin ja laktoferriinin puhtaiden fraktioiden talteenottamiseksi maitoseerumista
DE69729217T2 (de) Methode zur chromatographischen entfernung von prionen
CHIU et al. Fractionation of lactoperoxidase and lactoferrin from bovine whey using a cation exchange membrane
Aguero et al. Membrane processes for whey proteins separation and purification. A review
US5986063A (en) Isolating β-lactoglobulin and α-lactalbumin by eluting from a cation exchanger without sodium chloride
Maubois Ultrafiltration of whey
NL8601814A (nl) Werkwijze voor het extraheren van eiwitten uit melk, produkten, toepassingen van de werkwijze en farmaceutische preparaten.
US7303773B2 (en) Process for enriching extracts of natural theanine
JP2000350551A (ja) 脱塩を目的とするホエーの処理方法
JP3039966B2 (ja) ゼラチンのイオン性不純物除去方法
EP0856008B1 (de) Verfahren zur abtrennung von albumin aus serum durch ionenaustauschchromatographie mit membranadsorbern
JPS6339545A (ja) 牛乳ホエ−中のβ−ラクトグロブリンの除去方法
JP3946747B2 (ja) ラクトパーオキシダーゼの製造方法
JP4263932B2 (ja) ラクトフェリンの製造方法
JPH08509115A (ja) イオン交換による生物分子の分離方法
AU2018233184B2 (en) Method for purification of albumin
Aslam et al. Recent Developments in Purifi cation Techniques for Whey Valorization
JP3161846B2 (ja) 牛乳ホエ−中のシアル酸結合ペプタイドの分離法
JP3347819B2 (ja) 抗菌性ペプチドの精製方法
Brand et al. Lysozyme fractionation from egg white at pilot scale by means of tangential flow membrane adsorbers: investigation of the flow conditions
EP0685492A2 (de) Verfahren zur Herstellung molekulareinheitlicher hyperpolymerer Hämoglobine
CN109627324B (zh) 一种低电负性明胶及其制备方法和用途
Aspiyanto et al. Ultrafiltration Membrane Performance Fitted In Dead-End Stirred Filtration Cell (DESFC) In Concentrating Shank Gelatin
JPS58344B2 (ja) 血液中の遊離脂肪酸の除去装置
SU644782A1 (ru) Способ разделени смеси нейтральных аминокислот

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090303

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees