JP3347819B2 - 抗菌性ペプチドの精製方法 - Google Patents
抗菌性ペプチドの精製方法Info
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Description
易な精製方法に関するものである。さらに詳しくは、こ
の発明は、ラクトフェリン類の加水分解中に存在する抗
菌性ペプチド[以下、ラクトフェリシン(登録商標)と
記載することがある]の新しい精製方法に関するものあ
る。
加し、蛋白質を分解し、得られた種々のペプチドを含む
ペプチド混合液から所望のペプチドを分離、精製する方
法として、従来より、特定の分画分子量を有する膜を用
いる方法、クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロ
マトグラフィー等)による方法、ゲル電気泳動による方
法等が広範に採用されている。
膜を用いる方法は、例えば、分子量3,000ダルトン
のペプチドを分別する場合、分画分子量3,000以下
の膜を使用し、濃縮液側を分取するのが通例であり、こ
のような低分子量のペプチドの分別に高分子物質分別用
の膜を使用した例はない。また、クロマトグラフィーお
よびゲル電気泳動法は、一度に大量のペプチドを分離で
きないという問題がある。
としては、親水性微多孔膜を使用して蛋白質を精製する
方法(特開平3−161497号公報)、蛋白質または
酵素を吸着剤に吸着させ、膜により分離し、のち脱着
し、再度膜により吸着剤とこれらとを分離して精製する
CACFF(continuous affinity cross flow filtrati
on)法(化学工学、第56巻、第4号、第268ペー
ジ、1992年)、あるいはα−ラクトアルブミン含量
の高い乳分画を得るために、セラミックと高分子膜を使
用するクロスフロー精密瀘過法(特開平4−20715
7号公報)等が知られている。しかしながら、これらの
方法は、高分子量の蛋白質または酵素については実施さ
れているが、例えば、分子量3,000ダルトン程度の
低分子量のペプチドについては実施されていない。
るマガイニン2およびメリチンは、高塩濃度において会
合することが知られている[フェブス・レターズ(FEBS
Letters)、第247巻、第1号、第17ページ、198
9年及びバイオケミストリー(Biochemistry)、第21
巻、第461ページ、1982年]。また、抗菌性ペプ
チドであるコリシンAは、塩濃度とは無関係に低いpH
で会合することも知られている[ヨーロッピアン・ジャ
ーナル・オブ・バイオケミストリー(European Journal
of Biochemistry)、第172巻、第507ページ、19
88年]。しかしながら、これらの性質を利用してマガ
イニン2、メリチンまたはコリシンAを分離、精製した
例は皆無である。
が、ラクトフェリン類の加水分解物から初めて単離した
抗菌性ペプチドであり、既に特許出願(特開平5−92
994号。以下先願1と記載することがある)してい
る。またクロマトグラフ用担体を用いた吸着による大量
精製法についても、この発明の発明者らが既に特許出願
(特願平3−150604号。以下先願2と記載するこ
とがある)している。
pHおよび塩濃度において会合することは、従来知られ
ていない。
ペプチド混合液から目的とする低分子量のペプチドを分
離、精製する場合に、前記従来のペプチド精製方法や蛋
白質精製方法を利用すると、複雑かつ多数の工程が必要
となるため、ペプチドの製造費が高くなるという不都合
があった。しかも、これらの従来法は、ペプチドの工業
的規模における大量精製には適さないという欠点を有し
てもいる。
されたものであり、従来方法の欠点を解消し、ラクトフ
ェリン類を加水分解して得られる分解液から低分子量の
ラクトフェリシンを、簡易に、大量に、かつ安価に製造
する方法を提供することを目的としている。
前記先願2を出願後も、より優れた精製方法について鋭
意研究を行い、その結果、蛋白質を加水分解して得られ
る種々のペプチドを含むペプチド混合液のpHおよび塩
濃度を特定の値以下に調整することにより、ラクトフェ
リシンが会合すること、および低分子量のラクトフェリ
シンを見掛け上高分子の物質と同様に処理し得ることを
見出し、この発明を完成した。
を加水分解して得られる分解液から抗菌性ペプチドを精
製する方法において、分解液のpHを5以下、塩濃度を
100mM以下に調整し、のち高分子分画用の膜でペプ
チドを分別し、回収することを特徴とするペプチドの精
製方法を提供する。また、この発明の方法においては、
抗菌性ペプチドが、配列番号1〜配列番号5のアミノ酸
配列を有すること、および高分子分画用の膜が、分画分
子量6,000ダルトン以上であることを好ましい態様
としてもいる。
る。この発明の出発物質であるラクトフェリン類は、哺
乳動物の乳汁から分離されたラクトフェリン、金属飽和
ラクトフェリン、アポラクトフェリン、金属を一部結合
したラクトフェリンまたはこれらの混合物であり、市販
品(例えば、森永乳業社製のウシラクトフェリン、シグ
マ社製のヒトラクトフェリン等)、ホエーから常法によ
り分離、精製したもの、これらを常法により処理したも
の(例えば、鉄等の金属で飽和したもの、鉄等の金属が
一部結合したもの、脱金属したもの等)またはこれらの
混合物であってもよい。これらのラクトフェリン類を精
製水に溶解し、使用する酵素による所定のpHに調整
し、市販の酵素(例えば、シグマ社製のブタペプシン
等)を添加し、所定の温度で所定時間常法により加水分
解を行う。また、ラクトフェリン類の加水分解は、先願
1および先願2に記載の方法により行うこともできる。
素を失活させ、室温に冷却し、必要に応じて遠心分離
し、透明な上清を得る。この上清には、種々の分子量か
らなるペプチドが混在しており、ラクトフェリシンを分
離、精製するには従来方法では複雑かつ多数の工程を要
したが、この発明の場合には、次のように簡単な工程で
所望のラクトフェリシンを高純度で得ることができる。
常法により加水分解を行い、のちpHを中性に調整し、
室温に冷却し、必要に応じて遠心分離し、以下次の方法
によりラクトフェリシンを高純度で得ることができる。
また、蛋白分解酵素により加水分解した場合は、酵素を
除去するために、pHおよび塩濃度を調製する前に、5
を超えるpHおよび100mM超える塩濃度において
(即ち、ラクトフェリシンが会合していない状態で)常
法により一度高分子の酵素を分別する処理(例えば、分
画分子量3,000ダルトンの膜による分画等)を行う
こともできる。
要に応じて常法(例えば、透析用チューブ、ゲル瀘過
等)により上清を脱塩し、pHを5以下、望ましくは2
〜3に調整し、塩濃度を100mM以下、望ましくは0
〜10mMに調整する。pHおよび塩濃度の調整は、稀
塩酸、稀硫酸、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩
等により行うことができるが、得られた上清のpHおよ
び塩濃度が前記の範囲内にある場合は、調整を行わない
こともあり得る。
の高分子分画用の膜、例えば、分画分子量6,000ダ
ルトンのSIP−0013(旭化成工業社製)、分画分
子量10,000ダルトンのSLP−0053(旭化成
工業社製)、分画分子量30,000ダルトンのUF−
30PS(東ソー社製)等に通液してラクトフェリシン
を分別する。つまり、前記pHおよび塩濃度の調整によ
りラクトフェリシンは会合し、見掛け上分子量10,0
00ダルトン以上に高分子化しているので、この分別に
より会合していない低分子量のペプチドと容易に分離す
ることができる。また、このようにして分離したペプチ
ド溶液のpHを5よりも高く、塩濃度を100mMより
も高く調整することにより、ラクトフェリシンを脱会合
させ、ラクトフェリシンと他の高分子物質とを分別する
ことができる。
回収し、必要に応じて凍結乾燥し、ほぼ純粋のラクトフ
ェリシンを得ることができる。以上のようにして種々の
ペプチドが混在する中から目的とするラクトフェリシン
を簡単に分離、精製することができる。なお、この発明
の方法は、常法により粗精製したラクトフェリシンの高
度精製および少量のラクトフェリシンの精製にも適用で
きることは言うまでもない。
詳しく説明する。なお、以下の説明において百分率の表
示は、特に断りのない限り重量による値である。 試験例1 この試験は、分解液のpHおよび塩濃度の至適範囲を調
べるために行った。 1)ラクトフェリシンの調製 脱脂乳から分離したウシラクトフェリン(森永乳業社
製。純度約90%)2.0kgを5%(W/V)の濃度
で蒸留水に溶解し、1規定塩酸を添加してpHを3.0
に調整した。結晶ペプシン(ディフコ社製)を基質の3
%の割合で添加し、37℃で4時間加水分解し、のち8
0℃に15分間加熱してペプシンを失活させ、1規定水
酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整し、不溶
物を瀘過して除去し、噴霧乾燥し、ラクトフェリシンを
約4%含有する粉末状のペプチド混合物約1.9kgを
得た。
%(W/V)の濃度で蒸留水に溶解し、出発物質を調整
した。一方、約1000mlの疎水性担体[ブチル・ト
ヨパール(商標)。東ソー社製]650Mを水で十分洗
浄して平衡化し、攪拌機付きタンク内でこの疎水性担体
に出発物質を吸着させ、液を分離し、疎水性担体をカラ
ム(長さ22cm、直径8cm)に充填し、分離した液
を再度カラムに通液し、のち洗浄液の280nmにおけ
る吸光度が0.06以下になるまで100ml/分の流
速で水を用いてカラムを十分洗浄した。次いで10mM
塩酸をカラムに通液し、ラクトフェリシンを溶出し、等
量のマッキルバイン緩衝液(0.1Mクエン酸177:
0.2モル第一リン酸ナトリウム824の混合物。pH
7.0)と混合し、疎水性担体に吸着させ、2,000
mlの同じ緩衝液で洗浄し、3,000mlのマッキル
バイン緩衝液(0.1Mクエン酸485:0.2M第一
リン酸ナトリウム515の混合物。pH5.0)でラク
トフェリシンを溶出させた。疎水性担体は10mM塩酸
および水で再生し、1規定水酸化ナトリウム溶液で溶出
液のpHを7.0に調整し、再生したカラムに溶出液を
通液し、10リットルの水で洗浄して緩衝液の塩を除去
し、のち10mM塩酸をカラムに通液してラクトフェリ
シンを溶出し、凍結乾燥し、粉末状のラクトフェリシン
約3.5gを得た。 2)試料の調整と試験方法 前記ラクトフェリシン50mgを、次の溶液200ml
に溶解して6種類の試料を調製し、4℃で2時間静置
し、のちウルトラ・フィルトレーション膜モジュールS
EP−0013(旭化成工業社製。ポリスルフォン膜、
分画分子量3,000)を装着したフィルトレーション
・システムPS−24001(旭化成工業社製)を用
い、室温、入力圧約1.0kg/cm2 、出力圧約0.
9kg/cm 2 でダイアフィルトレーション処理した。
し、ラクトフェリシンの回収率を試験した。 試料1:10mM塩酸、pH2.0 試料2:10mMクエン酸緩衝液、pH2.8 試料3:100mMクエン酸緩衝液、pH2.5 試料4:10mMクエン酸緩衝液、pH7.2 試料5:マックイルバイン緩衝液(0.1Mクエン酸4
85:0.2M第一リン酸ナトリウム515の混合物)
を塩酸でpH2.5に調整 試料6:マックイルバイン緩衝液(0.1Mクエン酸4
85:0.2M第一リン酸ナトリウム515の混合
物)、pH5.0 なお、マックイルバイン緩衝液の塩濃度は、約120m
Mである。 3)試験結果 この試験の結果は、図1に示したとおりである。図1
は、透過液量と回収率との関係を示し、縦軸および横軸
は、それぞれ回収率および透過液量を示し、図中○は試
料1、▲は試料2、□は試料3、▽は試料4、●は試料
5、◆は試料6をそれぞれ示す。この図1から明らかな
ように、塩濃度が100mM以下であり、かつpHが5
以下である試料1、試料2および試料3において、濃縮
液側のラクトフェリシン回収率が顕著に高く、90%以
上を示した。これに対して、塩濃度が低くてpHが高い
試料4、塩濃度が高くてpHが低い試料5および塩濃度
とpHがともに高い試料6では、濃縮液側のラクトフェ
リシンの回収率が低く、ラクトフェリシンが透過液側へ
ほぼ透過することが認められた。
シンの精製においては、塩濃度およびpHを上記の値よ
りも低く維持する必要がある。なお、上記範囲における
その他の塩濃度およびpHの条件においても、ほぼ同様
の結果が得られた。 試験例2 この試験は、分別に使用する膜の分画分子量と分別効率
の関係を調べるために行った。 1)ラクトフェリシンの調製 試験例1と同一の方法によりラクトフェリシンを調製し
た。 2)試験方法 ラクトフェリシン粉末50mgを10mM塩酸溶液20
0mlに溶解し、4℃で2時間静置し、下記の瀘過膜を
装着したフィルトレーション・システムPS−2400
1(旭化成工業社製)を用い、室温、入力圧約1.0k
g/cm2 、出力圧約0.9kg/cm2 でダイアフィ
ルトレーション処理し、試験例1と同一の方法により回
収率を測定し、試験した。 方法1:ウルトラ・フィルトレーション膜モジュールS
EP−0013(旭化成工業社製。ポリスルフォン膜、
分画分子量3,000ダルトン) 方法2:ウルトラ・フィルトレーション膜モジュールS
IP−0013(旭化成工業社製。ポリスルフォン膜、
分画分子量6,000ダルトン) 方法3:ウルトラ・フィルトレーション膜モジュールS
LP−0053(旭化成工業社製。ポリスルフォン膜、
分画分子量10,000ダルトン) 3)試験結果 この試験の結果は、図2に示したとおりである。図2
は、透過液量と回収率との関係を示し、縦軸および横軸
は、それぞれ回収率および透過液量を示し、図中○は方
法1(対照)、△は方法2、◆は方法3をそれぞれ示
す。この図2から明らかなように、分子量約3,000
ダルトンのラクトフェリシンが分画分子量3,000ダ
ルトンの膜を用いた方法1(対照)でよく分別されるの
は当然であるが、方法2および方法3の分画分子量6,
000ダルトンおよび分画分子量10,000ダルトン
の膜を使用した場合も、よく分別されることが判明し
た。なお、他の高分子分画用の膜およびラクトフェリシ
ンを使用した場合も、ほぼ同様の結果が得られた。 試験例3 実施例1で得たラクトフェリシンを6N塩酸で加水分解
し、アミノ酸分析計を用いて常法によりアミノ酸組成を
分析した。同一の試料を気相シークエンサー(アプライ
ド・バイオシステムズ社製)を用いて25回のエドマン
分解を行ない、25個のアミノ酸残基の配列を決定し
た。またDTNB(5,5−ジチオ−ビス(2−ニトロ
ベンゾイック・アシド))を用いたジスルフィド結合分
析法[アナリティカル・バイオケミストリー(Analytic
al Biochemistry)、第67巻、第493頁、1975
年]によりジスルフィド結合が存在することを確認し
た。
個のアミノ酸残基からなり、3番目と20番目のシステ
イン残基がジスルフィド結合し、3番目のシステイン残
基からN−末端側に2個のアミノ酸残基が、20番目の
システイン残基からC−末端側に5個のアミノ酸が、そ
れぞれ結合した配列番号2のアミノ酸配列を有している
ことが確認された。 試験例4 実施例2で得たラクトフェリシンを用いたことを除き、
試験例3と同一の方法によりアミノ酸残基の配列を決定
した。
個のアミノ酸残基からなり、4番目と21番目のシステ
イン残基がジスルフィド結合し、3番目のシステイン残
基からN−末端側に3個のアミノ酸残基が、21番目の
システイン残基からC−末端側に4個のアミノ酸が、そ
れぞれ結合した配列番号1のアミノ酸配列を有している
ことが確認された。 試験例5 試験例7と同一の逆相高速液体クロマトグラフィーによ
り、実施例3で得たラクトフェリシンから2種のラクト
フェリシンを分離した。一方のラクトフェリシンには3
2回のエドマン分解を行ったこと、他のラクトフェリシ
ンには38回のエドマン分解を行ったことを除き、試験
例3と同一の方法によりアミノ酸残基の配列を決定し
た。
8個のアミノ酸残基からなり、16番目と33番目のシ
ステイン残基がジスルフィド結合した配列番号3のアミ
ノ酸配列を有しており、他のラクトフェリシンは、32
個のアミノ酸残基からなり、10番目と27番目のシス
テイン残基がジスルフィド結合した配列番号4のアミノ
酸配列を有していることが確認された。 試験例6 実施例4で得たラクトフェリシンを用いたことおよび4
7回のエドマン分解を行ったことを除き、試験例3と同
一の方法によりアミノ酸残基の配列を決定した。その結
果、このラクトフェリシンは、47個のアミノ酸残基か
らなり、9番目と26番目のシステイン残基がジスルフ
ィド結合し、C−末端側の35番目のシステイン残基が
ジスルフィド結合してシステイン残基を含む11個のア
ミノ酸残基と結合した配列番号5のアミノ酸配列を有し
ていることが確認された。試験例7この試験は、膜処理
におけるラクトフェリシンの選択性を調べるために行っ
た。 1)試料の調製 実施例1と同一の方法によりラクトフェリシンを製造し
た。ただし、ウルトラ・フィルトレーション膜モジュー
ルSLP−0053(旭化成工業社製。ポリスルフォン
膜、分画分子量10,000)で膜処理したときに、濃
縮液側および透過液側の試料を採取した。 2)試験方法 採取した各試料を、次の条件による逆相高速液体クロマ
トグラフィーにかけ、カラムからの溶出液の218nm
における吸光度を連続的に測定し、自動的に記録し、両
試料のクロマトグラムから膜処理の特異性を試験した。
カラム:TSK−GEL120T(東ソー社製。6.0
×150mm) 溶出液:溶出液A(0.05%トリフルオロ酢酸)と溶
出液B(90%アセトニトリルの0.05%トリフルオ
ロ酢酸液)との比率80:20の混合液を0.8ml/
分の流速で5分間通液し、30分を要して両液の比率を
40:60までリニア・グラジエントで変化させて同一
流速で通液した。 3)試験結果 この試験の結果は、図3および図4に示したとおりであ
る。図3および図4は、濃縮液側および透過液側の逆相
高速液体クロマトグラムであり、縦軸および横軸は、そ
れぞれ吸光度および時間を示す。図3から明らかなよう
に、高分子化したラクトフェリシンは、膜を透過する割
合が顕著に少なく濃縮液側に残留しているのに対して、
図4から明らかなように、高分子化していない夾雑ペプ
チドの多くは膜を透過している。従って、この発明の方
法によりラクトフェリシンが、高度に精製されることが
明らかである。なお、他の膜およびラクトフェリシンを
使用した場合も、ほぼ同様の結果が得られた。
かつ具体的に説明するが、この発明は、以下の実施例に
限定されるものではない。
水0.9lに溶解し、0.1M塩酸でpHを2.5に調
整し、のち市販のブタペプシン(シグマ社製)1.0g
を添加し、37℃で6時間加水分解した。次いで0.1
規定の水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整し、80
℃で10分間加熱して酵素を失活させ、室温に冷却し、
15,000rpmで30分間遠心分離し、透明な上清
を得た。この上清にマックイルバイン緩衝液を0.1容
量添加し、pHを5.5、ナトリウム塩濃度を120m
Mに調整し、ウルトラ・フィルトレーション膜モジュー
ルSIP−0013(旭化成工業社製。ポリスルフォン
膜、分画分子量6,000ダルトン)を装着したフィル
トレーション・システムPS−24001(旭化成工業
社製)を用いて室温、入力圧約1.0kg/cm2 、出
力圧約0.9kg/cm2 でダイアフィルトレーション
処理し、透過液を得た。
製。FE−0521−05、分画分子量1,000ダル
トン)で脱塩し、瀘過液のpHを稀塩酸で2.0に調整
し(塩濃度は、ほぼ0mM)、のちウルトラ・フィルト
レーション膜モジュールSLP−0053(旭化成工業
社製。ポリスルフォン膜、分画分子量10,000)を
装着したフィルトレーション・システムPS−2400
1(旭化成工業社製)を用い、室温、入力圧約1.0k
g/cm2 、出力圧約0.9kg/cm2 でダイアフィ
ルトレーション処理し、十分水洗し、濃縮液側を真空乾
燥し、ラクトフェリシン約1.8gを得た。 実施例2 市販のヒトラクトフェリン(シグマ社製)100mgを
10mMリン酸緩衝液2.0mlに溶解したこと、市販
のV8プロテアーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)を
3.0mg用いたこと、37℃で8時間加水分解したこ
とおよび脱塩した透過液のpHをクエン酸緩衝液で3.
0に、塩濃度を10mMに調整したことを除き、実施例
1と同一の方法によりラクトフェリシン約5mgを得
た。
一の逆相高速液体クロマトグラフィーにより試験した結
果、回収率は、約100%であった。 実施例3 市販のウシラクトフェリン(ベルギーのオレオフィナ社
製)500gを精製水10.0lに溶解し、1Mの塩酸
でpHを2.0に調整し、120℃で15分間加熱して
加水分解し、のち室温に冷却し、以下実施例1と同一の
方法によりラクトフェリシン約22gを得た。
一の逆相高速液体クロマトグラフィーにより試験した結
果、回収率は、約90%であり、2種のペプチドの混合
物であった。 実施例4 市販のヒトラクトフェリン(シグマ社製)100mgを
精製水2.0mlに溶解したこと、0.1規定塩酸でp
Hを2.5に調整したこと、市販のブタペプシン(シグ
マ社製)2.0mgを添加したこと、37℃で5時間加
水分解したこと、および脱塩した透過液のpHをクエン
酸緩衝液で2.5に、塩濃度を100mMに調整したこ
とを除き、実施例1と同一の方法によりラクトフェリシ
ン約4.5mgを得た。
一の逆相高速液体クロマトグラフィーにより試験した結
果、回収率は、約100%であった。
よって以下の効果が奏せられる。 (1) 種々のペプチドが混在する中から目的とする低分子
量の抗菌性ペプチドを、簡便な方法により高純度で精製
することができる。 (2) 抗菌性ペプチドを大量に、かつ安価に製造すること
ができる。
Cysとがジスルフィド結合している。
Cysとがジスルフィド結合している。
の Cysとがジスルフィド結合している。
の Cysとがジスルフィド結合している。
て、9番、26番、及び35番に Cysを有するペプチド
の、9番の Cysと26番のCysとがジスルフィド結合
し、下記配列の長さ36のペプチドの35番の Cysが、
配列の長さ11であって10番に Cysを有するペプチド
の10番の Cysとがジスルフィド結合している。
関係を示す。
過液量と回収率との関係を示す。
る。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 ラクトフェリン類を加水分解して得られ
る分解液から抗菌性ペプチドを精製する方法において、
分解液のpHを5以下、塩濃度を100mM以下に調整
し、のち高分子分画用の膜でペプチドを分別し、回収す
ることを特徴とする抗菌性ペプチドの精製方法。 - 【請求項2】 抗菌性ペプチドが、配列番号1〜配列番
号5のアミノ酸配列を有するペプチドである請求項1の
抗菌性ペプチドの精製方法。 - 【請求項3】 高分子分画用の膜が、分画分子量6,0
00ダルトン以上である請求項1または2の抗菌性ペプ
チドの精製方法。
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JP15673093A JP3347819B2 (ja) | 1993-06-28 | 1993-06-28 | 抗菌性ペプチドの精製方法 |
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1993
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