JP3039773B2 - トルク増幅装置 - Google Patents

トルク増幅装置

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JP3039773B2
JP3039773B2 JP9029231A JP2923197A JP3039773B2 JP 3039773 B2 JP3039773 B2 JP 3039773B2 JP 9029231 A JP9029231 A JP 9029231A JP 2923197 A JP2923197 A JP 2923197A JP 3039773 B2 JP3039773 B2 JP 3039773B2
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秀明 田邊
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田辺 秀明
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、入力トルクを増
幅して出力する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置には種々機構を用い
てトルクの増幅を実現するものが提供されている。例え
ば、自動車用トランスミッションあるいは自転車の変速
機構であり、これらは歯車の歯数を適宜設定することに
より、任意の減速比(トルク増幅率)を得ることができ
る。また、リンク機構における各リンクの長さ(支点間
距離)を適宜設定することにより入力トルクを任意に増
減して出力する構成のものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リンク機構
を用いて入力トルクを増幅させるトルク増幅装置を提供
することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
のトルク増幅装置は、A支点を有する入力軸を介して固
定リンクに回転支持された駆動リンクと、B支点を有す
る出力軸を介して前記固定リンクに回転支持された従動
リンクと、一端がC支点を介して前記駆動リンクに回転
可能に連結され、他端がD支点を介して前記従動リンク
回転可能に連結された連結リンクを有する第1および
第2のリンク機構を備え、該両リンク機構において、前
記C支点が、前記駆動リンクの回転に連動して該駆動リ
ンク上を前記A支点に接近離間する方向に移動可能に設
けられて、前記駆動軸の1回転中に、前記A,C支点間
の距離が前記B,D支点間の距離よりも小さくなるトル
ク増幅領域が設定され、該トルク増幅領域が前記両リン
ク機構間で交互に設定され、且つ両リンク機構間におい
て前記入力軸及び前記出力軸が一体で回転する構成とし
ことを特徴とする。
【0005】このトルク増幅装置によれば、一方のリン
ク機構において、駆動リンクが回転してトルク増幅領域
入ると、C支点がA支点に接近する方向に移動して
A,C支点間の距離がB,D支点間の距離よりも小さく
なる。このためこのトルク増幅領域では駆動リンクの長
さが従動リンクの長さよりも小さくなり、これにより駆
動リンクに入力されるトルクは、A,C支点間距離と
B,C支点間距離との比率で増幅されて従動リンクから
出力される。
【0006】このトルク増幅領域は、駆動リンクの1回
転中の一部の回転領域に設定されているため、このトル
ク増幅領域以外の領域ではA,C支点間距離とB,D支
点間距離が同じであり、従って入力トルクは増幅される
ことなく出力される(トルク非増幅領域)。
【0007】上記トルク増幅領域は、第1のリンク機構
と第2のリンク機構との間で、交互に設定されているの
で、一方のリンク機構がトルク増幅領域の状態では他方
のリンク機構はトルク非増幅領の状態となり、このため
両リンク機構における両駆動リンクの1回転中に出力軸
からは常時増幅されたトルクが出力される。
【0008】請求項2記載のトルク増幅装置は、請求項
1記載のトルク増幅装置であって、C支点をカムに係合
させ、該C支点を駆動リンクの回転に伴って前記カムに
沿って移動させて、該C支点を変位させる構成としたこ
とを特徴とする。
【0009】このトルク増幅装置によれば、トルク増幅
領域を精度よく設定でき、従って両リンク機構における
トルク増幅領域の位相差を正確に設定でき、これにより
駆動リンクの1回転中において入力トルクを安定して増
幅させることができる。
【0010】請求項3記載のトルク増幅装置は、請求項
2記載のトルク増幅装置であって、カムは、異なるカム
曲線を有するカムに交換可能な構成としたことを特徴と
する。
【0011】このトルク増幅装置によれば、種々形態の
カム曲線を有するカムを用意して、これを任意に選択し
て交換することにより、駆動軸の1回転中に様々な形態
でC支点を変位させることができ、従ってトルク増幅領
域あるいはトルク非増幅領域を様々に変更することがで
きる。
【0012】請求項4記載のトルク増幅装置は、請求項
1記載のトルク増幅装置であって、第1および第2のリ
ンク機構における両B支点を回転方向に一定のガタ付き
を持って同軸に連結する構成としたことを特徴とする。
【0013】このトルク増幅装置によれば、トルク増幅
領域ではA,C支点間の距離(駆動リンクの長さ)が
B,D支点間の距離(従動リンクの長さ)よりも小さい
ので、駆動リンクと従動リンクの回転速度が一致しな
い。一方、トルク増幅領域は両リンク機構間で交互に設
定されているので、駆動リンクの回転速度と従動リンク
の回転速度が一致しない状態も交互に発生し、このため
両リンク機構における出力軸の回転速度が一致しない。
この点、上記構成によれば、両リンク機構における出力
は回転方向に一定のガタ付きを持って同軸に連結され
ているので、両者間の速度差を吸収するとができ、これ
により両出力軸をスムーズに回転させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図1
〜図8に基づいて説明する。図1は、本実施形態のトル
ク増幅装置1を示している。このトルク増幅装置1は、
ベース2の上面に2組の四節リンク機構を備えた構成と
なっている。図1において、E−E線の上側に第1のリ
ンク機構Iが配置され、下側に第2のリンク機構IIが
配置されている。両リンク機構I,IIはほぼ同じ構成
であるので、以下第1のリンク機構Iの構成を説明す
る。
【0015】さて、リンク機構Iは、A支点を介して固
定リンクに回転支持された駆動リンク10と、B支点を
介して前記固定リンクに回転支持された従動リンク11
と、一端がC支点を介して前記駆動リンク10に連結さ
れ、他端がD支点を介して前記従動リンク11に連結さ
れた連結リンク12を有している。なお、本実施形態の
場合、上記ベース2が固定リンクに相当する。
【0016】駆動リンク10は、一定の間隔を置いて平
行に配置された2枚のリンク板10a,10aから構成
されている。両リンク板10a,10aは、相互に平行
なガイド縁10b,10bを有するコ字形に折れ曲がっ
た形状を有しており、その背面中央には入力軸13,1
3が直角に取付けられている。両入力軸13,13は、
ベース2の上面に取り付けた支持プレート14,14
に、それぞれ軸受14aを介して相互に同軸かつ回転可
能に支持されている。両入力軸13,13の軸心が上記
A支点に相当する。
【0017】図示上側の入力軸13は、支持プレート1
4から突き出されて、駆動モータMの出力軸Maに連結
されている。なお図では、両軸13,Maを連結するた
めのカップリングは省略されている。
【0018】両リンク板10a,10aには、連結リン
ク12の一端(図において左端)が連結されている。連
結リンク12の一端には軸受12aを介して連結軸12
bが回転可能に取付けられており、この連結軸12bは
両リンク板10a,10aに向けて延びている。連結軸
12bの両側にはガイドプレート12c,12cが取付
けられており、この両ガイドプレート12c,12cに
は、それぞれ4本のガイドローラ12d〜12dが取付
けられている。
【0019】片側4本のガイドローラ12d〜12d
は、図3および図4に示すようにリンク板10a,10
aの両ガイド縁10bの内面に2本づつ当接されてい
る。これにより、連結軸12bひいては連結リンク12
の一端が、両リンク板10a,10aに対してその長手
方向に沿って一定の範囲で移動可能に連結されている。
この連結軸12bの軸心が上記C支点に相当する。
【0020】両側の連結軸12b,12bは、それぞれ
リンク板10a,10aの背面に形成された長孔10c
を経て支持プレート14側に突き出されており、その突
き出し側の先端にはそれぞれカムフォロワ12eが取付
けられている。このように取付けられた、連結軸12b
の両端のカムフォロワ12eは、それぞれ上記支持プレ
ート14に形成されたカム溝15に移動可能に嵌まり込
んでいる。
【0021】両支持プレート14のカム溝15は、図2
に示すようにA支点(入力軸13)を中心として点対称
に形成されており、2箇所のトルク増幅領域と2箇所の
トルク非増幅領域を有している。トルク増幅領域は、そ
れぞれA支点を中心とする半径25mmの円周に沿って
90°よりも若干広い角度範囲に形成されている。この
トルク増幅領域にカムフォロワ12eが位置している状
態では、A支点とC支点との間の間隔は25mmに保持
され変化しない。
【0022】一方、トルク非増幅領域は、同じくA支点
を中心とする半径30mmの円周に沿った一定角度範囲
の半径固定領域(イ)と、その両側の半径変動領域
(ロ)とから構成されている。半径固定領域(イ)にカ
ムフォロワ12eが位置している状態では、A支点とC
支点との間の間隔(以下、「駆動リンク10の長さ」と
もいう)は30mmに保持され変化しない。カムフォロ
ワ12eが半径変動領域(ロ)を移動する間は、駆動リ
ンク10の長さが徐々に変化する。すなわち、駆動リン
ク10の回転に伴ってカムフォロワ12eがこの半径変
動領域(ロ)を、トルク増幅領域から半径固定領域
(イ)に向かって移動すると、駆動リンク10の長さは
25mmから30mmまで徐々に大きくなり、逆に半径
固定領域(イ)からトルク増幅領域に向かって移動する
と、駆動リンク10の長さは30mmから25mmまで
徐々に小さくなる。
【0023】以上のことから、入力軸13の回転による
駆動リンク10の1回転に伴ってカムフォロワ12eが
カム溝15を一周すると、駆動リンク10の長さが一定
角度25mmに保持された後、徐々に大きくなって30
mmになり、一定角度30mmに保持された後、徐々に
小さくなって25mmになり、この状態が一定角度保持
された後、再度この動作が繰り返される。
【0024】なお、両リンク板10b,10bの、入力
軸13に対して連結軸12bとは反対側の端部には、そ
れぞれ適重量のバランスウエイト10dが取付けられて
いる。
【0025】次に、連結リンク12の他端は、D支点と
しての連結ピン16を介して従動リンク17の先端に回
動可能に連結されている。従動リンク17は、2枚のリ
ンク板17a,17aを一定の間隔をおいて相互に平行
に配置した構成としたもので、連結リンク12の他端
は、この両リンク板17a,17a間に掛け渡し状に取
り付けた連結ピン16に軸受12fを介して回転可能に
連結されている。なお、連結ピン16は止め輪16a,
16aにより軸方向に抜け不能に取付けられている。
【0026】両リンク板17a,17aの背面ほぼ中央
には出力軸18,18が直角に取付けられ、この両出力
軸18,18はそれぞれ軸受19aを介して支持プレー
ト19に回転可能に支持されている。この出力軸18,
18がB支点に相当する。
【0027】支持ピン16と出力軸18との間の軸間距
離すなわちB支点とD支点との間の間隔(以下、「従動
リンク17の長さ」ともいう)は、前記駆動リンク10
の長さとは異なって30mmに固定されている。
【0028】なお、両リンク板17a,17aの、出力
軸18に対して連結ピン16とは反対側の端部にも適重
量のバランスウエイト17bが取付けられている。
【0029】このように構成された第1のリンク機構I
によれば、駆動モータMの起動により駆動リンク10が
回転すると、これに伴ってカムフォロワ12eがカム溝
15に沿って移動する。図6に示すようにカムフォロワ
12eがカム溝15のトルク増幅領域を移動する間は、
駆動リンク10の長さが25mmに保持される。一方、
従動リンク17の長さは30mmに固定されている。こ
のため、このトルク増幅領域では、入力軸13を経て入
力されたトルクTiが、駆動リンク10の長さと従動リ
ンク17の長さの比率(以下、「トルク増幅率」とい
う)で増幅され、本実施形態の場合30mm/25mm
=1.2倍に増幅されたトルクToが出力軸18を経て
出力される。
【0030】駆動リンク10の回転に伴い、カムフォロ
ワ12eがトルク非増幅領域の半径変動領域(ロ)に入
ると、C支点が駆動リンク10の回動先端側に徐々に移
動するため、駆動リンク10のトルクTiは従動リンク
17側に伝達されない。この段階では、後述するように
第2リンク機構IIから伝達されるトルクTiにより従
動リンク17が引き続き回転する。
【0031】さらに駆動リンク10が回転して、カムフ
ォロワ12eがトルク非増幅領域の半径固定領域(イ)
に入ると、C支点の駆動リンク10に対する移動は停止
し、駆動リンク10の長さは30mmに保持される。こ
の段階では、駆動リンク10と従動リンク17の長さが
同じであるので、入力トルクTiは増幅されず(増幅率
1)、従って出力軸18からはトルクTiがそのまま出
力トルクToとして出力される。
【0032】その後、駆動リンク10がさらに回転して
カムフォロワ12eが再度半径変動領域(ロ)に入る
と、再び入力トルクTiの伝達がなされない状態にな
り、この段階でも従動リンク17は第2のリンク機構I
I側の入力トルクTiにより引き続き回転する。
【0033】カムフォロワ12eが再びトルク増幅領域
に入ると、駆動リンク10の長さが25mmに保持され
るので、入力トルクTiは20パーセント増幅されて出
力軸18から出力される。この現象が、駆動リンク10
が1回転する間にもう一度繰り返される。
【0034】以上のように構成された第1のリンク機構
Iと同様に構成された第2のリンク機構IIが、第1の
リンク機構Iの側方に並設されている。すなわち、図1
に示すように第1のリンク機構Iの図示下側には同様に
構成された第2のリンク機構IIが配置されている。図
において両リンク機構I,IIの境界がE−E線で示さ
れている。以下の説明および図においては、第1のリン
ク機構Iの各構成部材に対応する第2のリンク機構II
の各構成部材には、第1のリンク機構Iで用いた符号に
ダッシュを付して区別する。また、第1のリンク機構I
と同様の点については説明を省略する。
【0035】第1のリンク機構Iの図示下側の出力軸1
3は支持プレート14から突き出されて、第2のリンク
機構IIの支持プレート14′に軸受14a′を介して
回転可能に支持され、これが第2のリンク機構IIの入
力軸13′とされている。
【0036】第2のリンク機構IIにおいて第1のリン
ク機構Iとは大きく異なる点は、駆動リンク10′が駆
動リンク10とは回転方向にほぼ90°だけ位相をずら
して取付けられている点にある。一方、第2のリンク機
構IIのカム溝15′の位相と、第1のリンク機構Iの
カム溝15の位相は一致している。このことから、図1
に示すように第1のリンク機構Iの駆動リンク10がト
ルク非増幅領域(半径固定領域(イ))の中央に位置し
ている状態(横に倒れている状態)では、第2のリンク
機構IIの駆動リンク10′がトルク増幅領域の中央に
位置している状態(上下に立っている、紙面に直交して
いる状態)が実現される。
【0037】また、このことから、一方の従動リンク1
7(または17′)が横に倒れた状態では、他方の従動
リンク17′(または17)が上下に立った状態とな
る。
【0038】次に、第1のリンク機構Iの図示下側の出
力軸18は支持プレート19から突き出され、カップリ
ング20を介して第2のリンク機構IIの出力軸18′
に連結されている。このカップリング20の詳細が図5
に示されている。このカップリング20は固定ビス20
aにより第2のリンク機構IIの出力軸18′に固定さ
れており、第1のリンク機構I側の端部には一定幅の溝
20bが同先端から切込み状に形成されている。一方、
第1のリンク機構Iの出力軸18には係合ピン18aが
径方向に突き出して設けられており、同出力軸18はカ
ップリング20に回転可能に挿入され、かつこの係合ピ
ン18aを上記溝20bに入り込ませた状態で出力軸1
8′に連結される。
【0039】これにより、両出力軸18,18′は、係
合ピン18aが溝20b内を幅方向に移動可能な範囲で
相互に回転方向のガタ付きを持って連結されている。こ
のガタ付きにより、両出力軸18,18′の回転数差が
吸収される。なお、この両出力軸18,18′の連結部
については上記とは逆に構成してもよい。すなわち、カ
ップリング20を第1のリンク機構Iの出力軸18に固
定し、第2のリンク機構IIの出力軸18′に係合ピン
を設ける構成としてもよい。
【0040】このように第1のリンク機構Iの出力軸1
8に連結された第2のリンク機構IIの出力軸18′を
介して従動リンク17′が回転可能に設けられている。
この従動リンク17′も、第1のリンク機構Iの従動リ
ンク17に対して回転方向にほぼ90°だけ位相がずれ
ている。連結リンク12′およびその他の構成について
は第1のリンク機構Iと同様であるので説明を省略す
る。なお、図1において、連結軸12′の両先端部およ
び両カムフォロワ12e′は省略されている。
【0041】このように相互にほぼ90°だけ回転方向
に位相がずれている第1および第2のリンク機構I,I
Iからなるトルク増幅装置1によれば、駆動モータMを
起動して第1のリンク機構Iの入力軸13にトルクTi
を入力すると、第1のリンク機構Iの図1において上側
の出力軸18から20パーセント増幅されたトルクTo
(=Ti×1.2)が出力される。
【0042】すなわち、駆動モータMが起動すると、第
1のリンク機構Iの入力軸13,13および第2のリン
ク機構IIの入力軸13′,13′が一体で回転し、こ
れにより、両リンク機構I,IIの駆動リンク10,1
0′が相互に90°の位相差を保持して同じ方向に回転
する。図1に示すように、第1のリンク機構Iの駆動リ
ンク10がカム溝15のトルク非増幅領域(半径固定領
域(イ))に位置し、第2のリンク機構IIの駆動リン
ク10′がカム溝15′のトルク増幅領域に位置してい
る段階では、第1のリンク機構I側では入力トルクTi
の増幅は行われず、第2のリンク機構II側により入力
トルクTiの増幅がなされ、結果的に出力軸18から2
0パーセント増幅されたトルクToが出力される。
【0043】逆に、第1のリンク機構Iの駆動リンク1
0が、トルク増幅領域の位置し、第2のリンク機構II
の駆動リンク10′がトルク非増幅領域に位置している
段階では、第2のリンク機構II側では入力トルクTi
の増幅はなされず、第1のリンク機構I側により入力ト
ルクTiの増幅がなされ、この場合も結果的に出力軸1
8から20パーセント増幅されたトルクToが出力され
る。
【0044】なお、両リンク機構I,II間において、
従動リンク17,17′の角速度が僅かに一致しない状
態が出現するのであるが、両者の速度差は、出力軸18
と出力軸18′がカップリング20を介して、相互に回
転方向に一定のガタ付きを持って接続されていることに
より吸収される。
【0045】このように、第1および第2のリンク機構
I,IIにおけるカム溝15,15′には、それぞれト
ルク増幅領域とトルク非増幅領域が交互に設定されてお
り、このカム溝15,15′に対して両駆動リンク1
0,10′が相互に90°だけ位相をずらして係合され
ているので、入力軸13,13′が1回転する間に、第
1および第2のリンク機構I,IIにより交互に2回づ
つトルクTiの増幅がなされ、その結果、出力軸18か
らは常時20パーセント増幅された出力トルクToが出
力される。
【0046】このことから、上記出力軸18を、別途用
意したもう1台のトルク増幅装置1の入力軸13に連結
することにより、20パーセント増幅されたトルクTo
をさらに20パーセント増幅させることができ、されに
は当該トルク増幅装置1〜1を複数台連結することによ
り大きなトルクToを出力させることができる。
【0047】なお、相互に位相のずれた2組のリンク機
構I,IIを備えているので、一方のリンク機構におい
て思案点が生じても、他方のリンク機構の回転により従
動リンクを常に一定の方向に回転させることができる。
【0048】以上説明した実施形態には、種々変更を加
えることが可能である。例えば、図7および図8に示す
ように、上記カム溝15,15′を、一定のカム曲線に
沿ったカム板30としてもよい。この場合、前記カムフ
ォロワ12eに代えて、上記カム板30を内外両側から
挟む2個のガイドローラ31,31を用いることにより
確動機構を得ることができる。両ガイドローラ31,3
1は連結軸12bの先端に支持ベース32を取付け、こ
の支持ベース32に一定の間隔をおいて両ガイドローラ
31,31を回転可能に支持すればよい。
【0049】このような構成によっても、駆動リンク1
0の回転に伴って連結軸12b(C支点)を変位させる
ことができ、従ってトルク増幅領域およびトルク非増幅
領域を設定することができる。
【0050】また、例示した実施形態では、C支点の変
位量を5mmとしたが、それ以下あるいはそれ以上であ
ってもよく、必要なトルク増幅率に応じて任意に設定す
ればよい。C支点の変位量は、カム溝15(カム板3
0)のリフト寸法を適宜変更することにより任意に設定
できる。
【0051】さらに、両リンク機構I,IIにおける支
持プレート14〜14には、カム溝(カム板)の曲線形
状に関して種々形態のものを用意しておけば、これを任
意に選択して交換することにより、両リンク機構I,I
Iに様々な動きをさせることができ、従って、トルクT
の増幅率あるいは増幅領域の範囲を任意に変更すること
ができる。
【0052】このことから、図示は省略したが、例えば
前記トルク増幅領域における駆動リンク10,10′の
長さを30mmとし、前記トルク非増幅領域における駆
動リンク10,10′の長さを35mmとすると、従動
リンク17(17′)の長さが30mmに固定されてい
るので、トルク非増幅領域では出力されるトルクToは
逆に20パーセント減少して出力される。
【0053】また、カム溝15(カム板30)はそのま
まとする一方、従動リンク17(17′)の長さ(B,
D支点間の距離)を前記例示したように30mmではな
く25mmに設定して、前記トルク増幅領域では駆動リ
ンク10,10′と従動リンク17、17′が同じ長さ
(25mm)になり、前記トルク非増幅領域では駆動リ
ンク10、10′の方が従動リンク17(17′)より
も5mmだけ長くなる構成とすると、この場合も出力ト
ルクToは逆に20パーセントだけ減少して出力され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す図であって、トルク増
幅装置の平面図である。本図において、E−E線よりも
上側が第1のリンク機構であり、E−E線よりも下側が
第2のリンク機構を示す。
【図2】図1のA−A線矢視図であって、カム溝の側面
図である。
【図3】図1のB−B線矢視図であって、駆動リンクの
側面図である。本図は、駆動リンクが横に倒れた段階を
示している。
【図4】図1のD−D線矢視図であって、駆動リンクの
側面図である。本図は、駆動リンクが上下に立った段階
を示している。
【図5】カップリングの平面図であって、両リンク機構
の出力軸の連結部を示す平面図である。
【図6】図1のC−C線矢視図であって、駆動リンクの
回転に伴う連結リンクおよび従動リンクの動きを示す側
面図である。
【図7】別の実施形態を示す図であって、カム溝をカム
板に変更した支持プレートの側面図である。
【図8】図7のF−F線断面矢視図である。
【符号の説明】
1…トルク増幅装置 2…ベース I…第1のリンク機構 II…第2のリンク機構 10,10′…駆動リンク 12,12′…連結リンク 12b,12b′…連結軸(C支点)、12e、12
e′…カムフォロワ 13,13′…入力軸(A支点) 15,15′…カム溝 16,16′…連結ピン(D支点) 17,17′…従動リンク 18,18′…出力軸(B支点) 20…カップリング 30…カム板 (イ)…半径固定領域、(ロ)…半径変動領域 Ti…入力トルク、To…出力トルク M…駆動モータ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A支点を有する入力軸を介して固定リン
    クに回転支持された駆動リンクと、B支点を有する出力
    軸を介して前記固定リンクに回転支持された従動リンク
    と、一端がC支点を介して前記駆動リンクに回転可能に
    連結され、他端がD支点を介して前記従動リンクに回転
    可能に連結された連結リンクを有する第1および第2の
    リンク機構を備え、該両リンク機構において、前記C支点が、前記駆動リン
    クの回転に連動して該駆動リンク上を前記A支点に接近
    離間する方向に移動可能に設けられて、前記駆動軸の1
    回転中に、 前記A,C支点間の距離が前記B,D支点間
    の距離よりも小さくなるトルク増幅領域が設定され、該
    トルク増幅領域が前記両リンク機構間で交互に設定さ
    、且つ両リンク機構間において前記入力軸及び前記出
    力軸が一体で回転する構成としたことを特徴とするトル
    クの増幅装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトルク増幅装置であっ
    て、C支点をカムに係合させ、該C支点を駆動リンクの
    回転に伴って前記カムに沿って移動させて、該C支点を
    変位させる構成としたことを特徴とするトルク増幅装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のトルク増幅装置であっ
    て、カムは、異なるカム曲線を有するカムに交換可能な
    構成としたことを特徴とするトルク増幅装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のトルク増幅装置であっ
    て、第1および第2のリンク機構における両B支点を回
    転方向に一定のガタ付きを持って同軸に連結する構成と
    したことを特徴とするトルク増幅装置。
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