JP3039269B2 - 断熱皮膜の形成方法 - Google Patents

断熱皮膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄製部材の表面に形成
する断熱皮膜、特に高温における酸化鉄系皮膜の亀裂の
発生、剥離等の皮膜強度を改善した断熱皮膜の形成方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄系部材は高温に繰り返し使用される場
合には、断熱および耐酸化性を付与するために表面処理
がされている。この内、皮膜処理としてはセラミックを
主体としたものが多い。しかし、金属とこのセラミック
との接合強度は充分ではなく、特に、自動車部品のよう
な長時間にわたって高温環境下で使用される部材におい
ては、表面の皮膜層と母材の間に発生する下地酸化の現
象によって、界面での接合強度の低下が生じ、ついには
皮膜層の剥離にいたることになる。
【0003】一般に、金属母材とセラミックの接合にお
いて、セラミックのポーラス性によって接合強度が問題
であるために、機械的な方法によって溶融時に応力を付
加し、その封止作用を利用して界面の強度を向上させる
ことがなされている。この方法においても、両者の濡れ
性には限界があり十分な強度を得ることは難しい。さら
に、他の化学的な方法によって、濡れ性の改善を図ろう
としても、化学反応に付随するガス等と母材との関係に
おいて、接合強度への寄与を十分大きくすることは困難
となる。(例えば、材料工学辞典、p2463, vol. 4, 198
6)
【0004】さらに、特開昭61─163282号公報
では、内燃機関の排気系部品等の耐熱性、断熱性を要求
される部品において、セラミックを接合被覆することが
提案されている。その他、特開昭61─26781号公
報には、二層以上からなる積層体として各層の平均線膨
張率を規制した合金およびセラミック層を形成する皮膜
およびその製造方法が開示されている。
【0005】これらの従来技術におけるセラミック層
は、800℃程度の使用環境においては、十分な耐熱性
を備えていると考えられるが、近年、自動車用エンジン
の空燃比の稀薄化(リーン化)等より、排ガス温度が上
昇し、これに対応するため、800℃超の耐熱性を有し
たコーティングの開発が必要となってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】Fe2 3 等の鉄系酸
化物を主原料とする塗膜材においては800℃以上の高
温下では、Fe2 3 粉末の焼結が進み、ついにはこの
焼結により塗膜は、収縮し塗膜に割れ亀裂剥離が発生し
塗膜強度は低下する。このため、金属部材と表面皮膜層
との界面での収縮を防止して、その接合強度を向上し、
さらに十分な断熱性と耐酸化性とを発現する皮膜層の形
成技術が望まれている。
【0007】本発明の目的は、金属部材表面に焼結して
形成されるFe2 3 等の鉄系酸化物を主原料とする皮
膜材において、高温下での、Fe2 3 粉末の焼結段階
および使用時の収縮を防止し、この収縮による亀裂剥離
の発生がなく、かつ高温下でのバインダー強度の劣化を
抑止し、皮膜強度の低下を防止することを可能とする断
熱皮膜の形成方法を提供する。本発明の他の目的は、従
来スラリー化が困難とされていたCr粉末を、事前処理
によってスラリー化を容易にして鉄酸化物粉末との均一
塗布を可能とし、かつ焼結によってFeとCrからなる
スピネル構造を有する複酸化物を生成する皮膜を形成
し、皮膜の断熱性と強度を発現することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的が、スピネル
構造を有するFe−Cr系複合酸化物が生成している
熱皮膜の形成方法であって、Fe23 ,Fe34
FeOの少なくとも1種以上を主成分とする粉末と、全
粉末量に対して15〜60wt%のクロム酸化物粉末とか
らなるセラミック成分を800〜1000℃で焼成する
ことを特徴とする断熱皮膜の形成方によって達成され
る。また、スピネル構造を有するFe−Cr系複合酸化
物が生成している断熱皮膜の形成方法であって、Fe2
3 ,Fe34 ,FeOの少なくとも1種以上を主成
分とする粉末と、全粉末量に対して10〜40wt%のク
ロム粉末とからなるセラミック成分を800〜1000
℃で焼成することを特徴とする断熱皮膜の形成方法によ
っても達成される。
【0009】さらに、スピネル構造を有するFe−Cr
系複合酸化物が生成している断熱皮膜の形成方法であっ
て、Fe23 ,Fe34 ,FeOの少なくとも1種
以上を主成分とする粉末と、全粉末量に対して10〜4
0wt%のクロム粉末を未酸化部が残る条件で酸化処理し
たクロム酸化物粉末とからなるセラミック成分を800
〜1000℃で焼成することを特徴とする断熱皮膜の形
成方法によっても達成される。
【0010】
【作用】本発明によれば、鉄酸化物を主成分とする粉末
と、クロム酸化物粉末とからなるセラミック成分を焼成
することを第一の特徴としている。この酸化鉄とクロム
酸化物との焼結時の反応によりスピネル構造を有する複
酸化物を生成し、皮膜強度が向上する。さらに、本発明
は酸化鉄とクロム粉末とからなるセラミック成分を焼成
するものであるが、この酸化鉄とクロムとの焼結時の反
応により前記スピネル構造を有する複酸化物を生成し、
皮膜強度が向上する。また、クロムが酸化される際、膨
張し酸化鉄の焼結収縮が相殺され、焼成時、あるいは使
用時の熱負荷による焼結の進行が生じた際にも、割れの
発生が防止される。
【0011】さらに、本発明は鉄酸化物と、クロム粉末
を未酸化部が残る条件で酸化処理したクロム酸化物粉末
とからなるセラミック成分を焼成するものである。すな
わちクロム粉末を部分的に酸化することによって、スラ
リー化を容易にすることができる。
【0012】
【課題を解決するための手段の補足説明】以下、本発明
のプロセスをより具体的にその特徴点を説明する。本発
明の第一の特徴点について、より具体的にはFe
2 3 ,Fe3 4 ,FeOの少なくとも1種類以上を
主成分とし、Cr2 3 ,CrO3 ,FeCr24
少なくとも1種類以上をセラミック粉末中にしめる割合
が重量比で15〜60wt%と、残部実質的にバインダー
とで構成されるセラミック粉末を焼成するものである。
この時、添加クロム量の10〜40wt%は形成される塗
膜の酸化クロム量としては15〜60wt%と等価であ
る。(クロムは酸化により1.5倍重量増加する)
【0013】なお、バインダーとしては無機リン酸塩、
水ガラス系珪酸塩、シリカゾル、アルミナゾル等が好ま
しい。第二の特徴点は、より具体的にはFe2 3 ,F
3 4 ,FeOの少なくとも1種類以上を主成分の粉
末と、原料粉末全重量に対して10〜40wt%のCr粉
末(粒度1〜20μm)と、バインダーから構成される
スラリーを製造する工程、このスラリーを部材上に塗布
する工程、および塗布膜を800℃〜1000℃の温度
で1時間以上保持する条件で焼成する工程から成るもの
である。
【0014】この添加Cr量は10wt%未満では、酸化
鉄の焼結収縮量の方がクロムの酸化膨張量よりも著しく
大きく、収縮相殺には不足し塗膜割れが生じ、強度が低
下する。一方、40wt%超では、クロムの酸化膨張量の
方が酸化鉄の焼結収縮量よりも著しく大きく、逆に膨張
過多による塗膜割れが生じ強度が低下する。なお、本発
明において前記Crとした限定理由は、酸化時の体積膨
張量がFe2 3 の焼結収縮量を相殺でき、Fe2 3
とスピネル構造を生成し、強度的にも向上するためであ
る。その最適条件として、Cr粒度は、1〜20μmが
好ましい。1μm未満では昇温時の酸化が速過ぎ、Fe
2 3 との反応開始温度前に急激に酸化し、酸化鉄の収
縮タイミングと合わない。この場合には寸法変化相殺効
果、スピネル生成による高強度化に寄与しない。20μ
m超では、塗膜中に均一分散しないためFe2 3 との
反応が十分におこらない。特に粉末を部分的に酸化する
本発明の第三の特徴に関しては、1μm以上でないと、
部分的酸化の制御が困難である。
【0015】焼成条件としては、800〜1000℃が
好ましく、この範囲より低いと酸化鉄の焼結が不十分と
なり、高過ぎると酸化鉄の還元分解が生じ、皮膜強度が
低下する。すなわち、酸化鉄組成がFe2 3 →Fe3
4 →FeO→Feに変化する。また、焼成時間は1時
間以上が好ましい。1時間未満では酸化鉄と添加Crの
反応が十分に起きない。焼成の雰囲気は、特に不活性雰
囲気であると、スピネル構造を有する複酸化物を形成し
やすい。なお、出発材料をクロム酸化物とする本発明の
第一の特徴に関しては、これが15wt%未満では、スピ
ネル構造を有する複酸化物の生成による効果が発揮され
難く、多いと、酸化鉄ベースの特性が損なわれてしまう
ため、上記の数値に限定している。
【0016】前記焼成雰囲気は、大気および不活性雰囲
気のいずれでも良い。但し強度をさらに向上することを
望む場合には、不活性雰囲気での焼成が望ましい。不活
性での焼成により、CrはFe2 3 からのみ酸素の供
給を受けるためCr−Fe−Oの結合を取りやすく、ス
ピネル構造を作りやすい。
【0017】第三の特徴点は、添加するクロム粉末(粒
度1〜20μm)をあらかじめ図4に示す焼成温度と時
間の関係から、その最適である斜線部分の条件下で焼成
しクロム粉末の最表面を酸化させることを特徴とするク
ロム粉末の前処理方法である。この場合、粒度1μm未
満では粉末の大部分が酸化してしまい、Cr添加の効果
が損なわれる。
【0018】焼成時間と温度との関係においては、図4
の斜線部分を外れた左下の領域では、Cr粉末の表面に
酸化層が少なく、Cr粉末がスラリー中に凝集し、スラ
リーができない。また、斜線部分を外れた右上の領域で
は、粉末の大部分が酸化してしまい、Cr添加の効果が
損なわれる。
【0019】なお、本発明の方法は以外にスラリー化を
可能とする方法としては、Cr粉末の周囲にFe2 3
粉末等を造粒法で付着させ、スラリーへの濡れ性を向上
させる方法がある。この方法では、20μm以下の粒径
のCr粉を用いることは工業的に困難である。また、C
r粉末の周囲にステアリン酸、SiO2 系はっ水コーテ
ィング剤等をコーティングし、スラリーへの濡れ性を向
上させる方法がある。この方法では、ステアリン酸やS
iO2 等のコーティング剤の量によっては、Fe2 3
/Cr、Cr2 3 との反応を阻害することがあり、し
かもコスト的にも高価な処理であり工業的には不向きで
ある。
【0020】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の実施態
様例および比較例によって本発明を詳細に説明する。 実施例1 本発明の実施例として、自動車用鋳鉄製エキゾーストマ
ニホールド(以下Exマニと略す)に適用した。本発明
品の皮膜形成工程は次のとおりである。自動車用鋳鉄
Exマニ内面をショットブラストにて粗面化し、Fe
Ni(50wt%Fe−50wt%Ni)合金粉末(粒度1
0〜20μm)70重量部に対して、Cr粉末(粒度1
〜2μm)30重量部を加え、これに更にブタノールを
加え十分に攪拌し原料スラリーを得る。この際の粘度は
1000〜4000cps が好ましい。このスラリーを
Exマニに流しこみ、膜厚が100μmになるように塗
布し、200℃で乾燥後、Ar雰囲気900℃で5時間
保持した。以上の処理により、中間層が形成できる。
Fe2 3 粉末(粒度1〜400μm)80重量部に対
して、Cr粉末(粒度1〜2μm)20重量部を加え、
これにリン酸アルミ水溶液(濃度30%)を80重量部
加え、十分に攪拌する。このCr粉末は、予め400℃
で2時間焼成したものを用いた。このスラリーを中間
層を形成したExマニに流し込み、300℃で乾燥す
る。前記および工程を3サイクル繰り返し、500
μmの膜厚のFe2 3 層を得た。その後、大気雰囲
気850℃で5時間保持し、焼成し断熱皮膜を構成し
た。
【0021】本実施例の皮膜についてその皮膜特性を調
査した。上記Exマニを切断し、断面を調査した。その
結果、亀裂等の不具合は認められなかった。さらに、切
断品のEPMAライン分析を行った。その結果、最表層
と中間層はCr成分が傾斜しており酸化クロムにより強
固に接合されていることがわかった。また、中間層と母
材鋳鉄とはNi,Fe成分が傾斜しており、同様に強固
に接合していることがわかった。次に、最表層の成分を
X線回折により調査した。その結果、Fe2 3 ,Cr
2 3 及びFeCr2 4 が測定された。この結果よ
り、本請求範囲による焼成では、酸化鉄とクロムが反応
し、それぞれの酸化物を形成するともに、両者の複合酸
化物を形成し、これが強度向上に寄与していると考えら
れる。
【0022】実施例2 本実施例では、酸化鉄粉末とクロム粉末との混合比と高
温収縮との関係を調査するため、種々の混合比の酸化鉄
粉末・クロム粉末混粉品を作製し、これにリン酸アルミ
バインダーを加え、スラリーを作製し、これを5×5×
10の凹型の金型に流し込み、これを300℃に乾燥し
て、5×5×10のテストピースを得た。これを900
℃炉中に100時間保持し、その寸法変化を調査した。
この結果を図5に示す。本発明の請求範囲である10〜
40%Cr域で寸法変化が小さくなっていることがわか
る。10%以下の領域では、著しく収縮しているがこれ
は酸化鉄の焼結の伴う収縮によるものである。また、4
0%以上の領域では、逆に著しく膨張しているがこれ
は、Crの酸化膨張によるものである。Cr添加量10
〜40%の範囲で図中ラインが比較的一定になるが、こ
れはこの範囲の添加でFeCr2 4 の生成が積極的に
起こるからである。
【0023】実施例3 本実施例では母材金属を鋳鉄とし、この鋳鉄へのコーテ
ィングを行った。この場合のコーティング方法は前記実
施例1に準じた。図1はこの焼成前の乾燥状態の断面組
織の模式図で、図2はその焼成後の断面組織の模式図で
ある。図1において金属Cr3と酸化鉄2は均一に分散
し、焼成後においてもこれが保持される。図2において
スピネル構造を有する複酸化物6(FeCr2 4 )は
酸化鉄2(Fe2 3 )と酸化クロム5(Cr2 3
との界面に厚く形成している。本実施例では表1に示す
層構成の塗膜をショットブラストした鋳鉄母材(50×
50×5)上に形成し、剪断試験により、塗膜接合強度
を測定した。その結果も表1に合わせて示す。表1の結
果より、クロム添加量は、本発明請求範囲が適している
ことが確認できた。
【0024】
【表1】
【0025】実施例4 本実施例ではFe系合金焼結部を中間層とし、この中間
層へのコーティングを行った。この場合のコーティング
方法は前記実施例1に準じた。ショットブラストした鋳
鉄母材(50×50×5)上に70重量部のFeNi粉
末と30重量部のCr粉末とブタノールから成るスラリ
ーを塗布し、アルゴン雰囲気中で900℃で5時間焼成
し、中間層を得た。この上に、前記実施例3と同一のス
ラリーを塗布焼成し、同様に塗膜密着強度(最表層と中
間層間の強度)を測定した。図3はこの焼成後の断面組
織の模式図である。この図で鉄系合金焼結部7が中間層
として介在し、その上部には前記セラミック皮膜層が積
層されている。この結果を表1に合わせて示す。本発明
の中間層を介在させることにより、鋳鉄上に直に塗布す
るよりも密着強度が向上することがわかる。
【0026】実施例5 前記実施例3,4と同様な方法で、スラリー中の金属粉
末材料のみを変更し、Crの優位性を確認した。この結
果を表2に示す。この結果よりも添加金属粉末はCrが
好ましいことがわかる。表2に示すように、Fe粉末を
添加するとFeの酸化性が強すぎるため、皮膜は膨張し
強度が低下する。一方、Ni,Co,Cuは酸化性及び
Fe2 3 との反応性が乏しく、強度向上が望めない。
よって、Fe2 3 とのマッチングを考慮して、添加金
属粉末はCrに限定した。また、予めCr2 3 を添加
する方法により、本発明品を製造した例も表2に示す。
この場合には、Crの酸化膨張は期待できないため、強
度は低下するが、スピネルを生成することにより、他の
金属粉添加品等と比べれば強度低下は少ない。
【0027】
【表2】
【0028】実施例6 本実施例ではCr粉末のスラリー化条件を検討した。仮
焼条件を変えたCr粉末を原料としてスラリーを作製
し、これを篩目50μmの篩を通し、篩上の堆積量を測
定した。この時、堆積率=堆積重量/原料Cr重量x1
00(%)により原料クロムの凝集状態を比較した。本
実施例では、仮焼後のCr粉末をX線回折し、酸化クロ
ム量比も測定した。その結果を表3に示す。この結果よ
り図4の太線で囲まれた領域以外の酸化条件では、Cr
粉末が凝集しスラリー化できないか、もしくは完全に酸
化し、本来の目的と反してしまうことが確認できた。
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】本発明は、金属部材の表面にスピネル構
造を有する複酸化物からなる断熱性および強度に優れた
皮膜の形成を可能とする。また、Fe2 3 を主原料粉
末としたセラミック皮膜では、800℃以上の大気雰囲
気または、低酸素分圧雰囲気(例えば、排ガス雰囲気)
で、「6Fe2 3 →4Fe3 4 +O2 」による還元
反応によって、粉末は密度変化を起こし、更には粉末の
崩壊することもあったが、本発明のようにFe2 3
Crを添加することにより、FeCr2 4 を形成する
ため、高温安定性に優れ、上記のような粉末の崩壊はみ
られない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る酸化鉄とCrの乾燥後の塗布層の
断面組織の模式図である。
【図2】本発明に係る図1のものを850℃で5時間焼
成した皮膜層の断面組織の模式図である。
【図3】本発明に係るFe系合金焼結部の中間層を有す
る皮膜層の断面組織の模式図である。
【図4】本発明に係るCrの前処理の焼成時間と焼成温
度の関係を示す図である。
【図5】本発明に係るCr添加率と高温収縮の関係を示
す図である。
【符号の説明】
1…無機バインダー 2…Fe2 3 3…Cr 4…母材金属 5…Cr2 3 6…FeCr2 4 7…Fe合金焼結部

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピネル構造を有するFe−Cr系複合
    酸化物が生成している断熱皮膜の形成方法であって、F
    23 ,Fe34 ,FeOの少なくとも1種以上を
    主成分とする粉末と、全粉末量に対して15〜60wt%
    のクロム酸化物粉末とからなるセラミック成分を800
    〜1000℃で焼成することを特徴とする断熱皮膜の形
    成方法。
  2. 【請求項2】 スピネル構造を有するFe−Cr系複合
    酸化物が生成している断熱皮膜の形成方法であって、F
    23 ,Fe34 ,FeOの少なくとも1種以上を
    主成分とする粉末と、全粉末量に対して10〜40wt%
    のクロム粉末とからなるセラミック成分を800〜10
    00℃で焼成することを特徴とする断熱皮膜の形成方
    法。
  3. 【請求項3】 スピネル構造を有するFe−Cr系複合
    酸化物が生成している断熱皮膜の形成方法であって、F
    23 ,Fe34 ,FeOの少なくとも1種以上を
    主成分とする粉末と、全粉末量に対して10〜40wt%
    のクロム粉末を未酸化部が残る条件で酸化処理したクロ
    ム酸化物粉末とからなるセラミック成分を800〜10
    00℃で焼成することを特徴とする断熱皮膜の形成方
    法。
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