JP3038199B1 - 磁気分離による油回収方法および油回収用磁性体 - Google Patents

磁気分離による油回収方法および油回収用磁性体

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JP3038199B1 JP10361295A JP36129598A JP3038199B1 JP 3038199 B1 JP3038199 B1 JP 3038199B1 JP 10361295 A JP10361295 A JP 10361295A JP 36129598 A JP36129598 A JP 36129598A JP 3038199 B1 JP3038199 B1 JP 3038199B1
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Abstract

【要約】 【課題】 水面上に浮遊する油を効率よく回収する。 【解決手段】 海水1上に浮遊する重油2は、磁性体3
を分散させて、回収船4が搭載する回収装置5で磁気分
離によって回収する。磁性体3は、マグネタイト10の
微粒子の表面をステアリン酸11の疎水性被膜で覆い、
重油2に対する親和力を高める。マグネタイト10に対
する回収装置5での磁気的な吸引力は、ステアリン酸1
1を介して重油2にも作用し、海水1と重油2とを磁力
によって効率的に分離することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海洋等に流出した
重油などのように、水面上に浮遊する油を回収するため
の磁気分離による油回収方法および油回収用磁性体に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、海、河川や湖沼、あるいは市
街地の排水溝等に各種油分が流出すると、環境汚染や火
災の防止などのために、早急に回収するようにしてい
る。しかしながら、たとえば船舶事故などで海洋に重油
が流出すると、環境面で重大な影響が生じるにもかかわ
らず、広い海面に、薄く拡がってしまった重油には、有
効な回収手段がなく、船上や海岸で人がひしゃくで汲み
取ったり、油吸収剤などを用いて吸収させる方法等に頼
っているのが現状である。
【0003】海面等に流出した油を回収することに関す
る先行技術としては、たとえば特開昭51−97589
や特開昭63−42751などで、磁力を利用して油の
回収を行うことが提案されている。特開昭51−975
89には、発泡ポリプロピレン等の親油性体に磁性体を
配設し、磁性を付与した油水分離剤を形成して、水面に
浮かべて表面に油を吸着させ、磁力で油水分離剤を吸引
して油の回収を行う先行技術が開示されている。特開昭
63−42751に開示されている先行技術では、油と
親和性を有するポリマーに磁性体を担持させ、磁性体を
担持しているポリマーに油を捕捉させた後、磁石を用い
てポリマーを吸引することによって、油を回収する。ポ
リマー内には、平均粒子径20000Å以下のマグネタ
イトなどの微粒子を分散させて、磁性が付与される。
【0004】日本化学会誌の1998年第8号の第56
3頁〜565頁には、「膨張黒鉛を用いた重油の吸着処
理」と題して、1998年3月の日本化学会第74春季
年会での発表の速報が掲載されている。この速報によれ
ば、膨張黒鉛は油を吸着してアコーディオン状に大きく
膨らむことができ、間隙への毛管現象による油の吸収お
よび黒鉛表面への油の吸着で、自身の重量の80倍以上
の油を選択的に吸着することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、たとえ
ば海洋に流出した重油の回収などについて、磁気分離や
膨張黒鉛を利用する方法が提案されているけれども、有
効な油回収方法は確立されていない。特開昭51−97
589や特開昭63−42751などの先行技術が有効
であれば、たとえば平成9年1月に山陰沖で沈没したナ
ホトカ号の重油流出に伴う日本海沿岸での甚大な被害に
対しても、その軽減が可能であった筈である。膨張黒鉛
の選択的な吸着特性を利用する方法も、吸着によって重
油などが海面上に薄く拡がってしまう事態を避けること
ができる可能性はあるけれども、大形のタンカーなどの
事故に流出する大量の重油などを効率よく回収する方法
はまだ確立されていない。このため、現状では、多くの
時間と労力とをかけて可能な限りの重油の回収を行い、
残りの重油は薄く拡がって、自然の浄化作用に任せるこ
とになる。
【0006】本発明の目的は、海洋などに流出した重油
の回収などを磁気分離法を用いて効率よく行うことがで
きる磁気分離による油回収方法および油回収用磁性体を
提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、水面上に浮遊
する油を回収する方法であって、表面に疎水化処理を施
した微粒子の磁性体を水面上の油中に散布して、磁性体
を介して油に磁性を付与し、該磁性体を磁力で吸引する
ことにより、油を回収することを特徴とする磁気分離に
よる油回収方法である。
【0008】本発明に従えば、水面上に浮遊する油に、
表面に疎水化処理を施した微粒子の磁性体を散布して、
磁性を付与し、磁力で吸引して水から分離するので、磁
力が微粒子の磁性体を介して油に作用し、磁力で油を吸
着して効率よく回収することができる。微粒子の磁性体
には表面に疎水化処理が施されているので、微粒子の磁
性体は水よりも油の方に親和力が大きくなる。磁性体と
油との間の結合を疎水性相互作用によって強固にするの
で、磁性体は、水中に分散して失われることがなく、油
中に懸濁状態となって、効率よく油を回収することがで
きる。
【0009】
【0010】
【0011】また本発明で前記磁性が付与された油が浮
遊する水面に、磁力を有するブイを浮遊させることを特
徴とする。
【0012】本発明に従えば、磁性が付与された油が浮
遊する水面に磁力を有するブイを浮遊させるので、ブイ
の周囲に磁力が付与された油を保持して、油が海面上に
薄く拡がってしまうのを防ぐことができる。
【0013】また本発明は、前記磁性が付与された油が
浮遊する水面を、磁力を有するフェンスで包囲すること
を特徴とする。
【0014】本発明に従えば、磁性が付与された油が浮
遊する水面を、磁力を有するフェンスで包囲するので磁
力で吸引される油がフェンスを乗り越えて水面などに広
く拡がってしまうのを防ぐことができる。
【0015】また本発明で前記磁力は、超電導現象を利
用して発生させることを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、超電導現象を利用して発
生させる磁力を利用するので、強力な磁場で、強磁性体
のみならず常磁性体についても吸引力を発生させ、効率
よく磁性を付与した油を回収することができる。
【0017】さらに本発明は、水面上に浮遊する油を磁
力によって回収するための磁性体であって、油中に分散
される状態で磁化可能な微粒子の磁性体と、該磁性体微
粒子の表面を覆う疎水性被膜とを含むことを特徴とする
油回収用磁性体である。
【0018】本発明に従えば、微粒子の磁性体は油中に
分散される状態で磁化可能であり、磁性体微粒子の表面
は疎水性被膜で覆われるので、油と親和力の強い微粒子
の磁性体を油中に分散させ、微粒子の磁性体を磁化して
磁気的に吸引すれば、油に対しても微粒子の磁性体を介
して吸引力を作用させることができる。したがって水面
上に浮遊する油などに疎水性被膜で表面を覆った微粒子
の磁性体を分散させれば、磁力で油を効率的に回収する
ことができる。
【0019】また本発明で前記疎水性被膜は、 CH3(CH2nCOOH で表される脂肪酸であることを特徴とする。
【0020】本発明に従えば、微粒子の磁性体の表面を
脂肪酸の被膜で覆って、疎水性を付与し、油との親和力
を高めて、効率的な油の磁気分離を行うことができる。
【0021】また本発明で前記脂肪酸は、ステアリン酸
であることを特徴とする。
【0022】本発明に従えば、ステアリン酸の被膜を微
粒子の磁性体の表面に形成して、磁性体微粒子に疎水性
を付与し、油との親和力を高めて磁気分離による油回収
を効率的に行わせることができる。
【0023】また本発明で前記微粒子の磁性体は、マグ
ネタイトを含む磁性酸化鉄であることを特徴とする。
【0024】本発明に従えば、微粒子の磁性体としてマ
グネタイトを含む磁性酸化鉄を使用するので、磁化しや
すく、磁力による吸引作用を有効に利用することができ
る。
【0025】
【0026】
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態と
して、海面上に流出している重油の回収を行う基本的な
考え方を示す。図1(a)は、海水1の表面に事故など
で流出した重油2が浮遊している状態で、磁気分離法を
用いて重油2の回収を行うための概略的な構成を示す。
重油2中には、磁性体3が分散される。重油2の回収を
行う回収船4は、磁力によって磁性体3を吸引する回収
装置5を搭載している。回収装置5には、ポンプも備え
られ、吸水管6で海面から海水1とともに重油2を吸引
し、重油2を回収した残りの海水1を排水管7で海に戻
す。重油2中への磁性体3の分散は、磁性体3を気体や
液体とともに散布して行うことができる。
【0028】回収装置5中には、磁気分離装置が備えら
れ、磁性体3を海水1および重油2の混合液から吸引す
る。本実施形態の磁性体3は、たとえば図1(b)に示
すように、微粒子の磁性体としてのマグネタイト10の
表面を、脂肪酸の一種であるステアリン酸11で覆って
形成されている。マグネタイト10は、単磁区粒子で容
易に磁化され、かつ親水性を示すけれども、ステアリン
酸11で表面を覆っているので、磁性体3全体としては
疎水性を示す。ステアリン酸11の表面は、疎水性相互
作用によって重油2と親和性が高くなるので、磁性体3
と重油2との結合が強固になり、マグネタイト10が回
収装置5内で磁気分離装置の磁力に吸引されると、周囲
の重油2も磁気分離装置に吸引され、海水1と重油2と
の分離を行うことができる。分離した重油2からは、磁
力などを利用して、磁性体3を回収し、繰返して使用す
ることもできる。
【0029】このように、磁性体3を懸濁させた重油
を、選択的に磁力によって分離することができるので、
2次廃棄物を極力抑えることができ、システムとし
て繰返し使用可能であり、処理速度を速くすることが
できるなどの特徴を有する。これらの特徴から、環境保
全を見据えた油回収を行うことができる。重油2に磁性
を付与するために用いるマグネタイト10は、逆スピネ
ル型の鉄の酸化物であり、特に環境に対して害を与える
ことなく、資源的にも豊富で安価に利用することができ
る。マグネタイトの他の磁性酸化物も同様に使用するこ
とができる。
【0030】図2は、図1に示すような重油2の回収に
ついての基本的な作業手順を示す。重油2の流出事故な
どが発生すると、ステップa1の回収手順が開始され
る。ステップa2では、流出した重油2に磁性体3を散
布する。この磁性体3を分散させた重油を磁力で吸引
し、ステップa3の回収装置5を用いて海水1と分離
し、ステップa4で回収手順を終了する。本実施形態
で、たとえばマグネタイトとしては0.2μm程度の平
均粒径を有する原料に、前述のようにステアリン酸11
の被膜を形成する処理を行った磁性体3を用いる。この
ような磁性体3を用いて重油2の回収を行うのは、次に
示すような実験結果から得られる知見に基づく。
【0031】図3は、白丸印では蒸留水に、黒丸印では
海水に相当する0.55M(モル)のNaCl水溶液
(食塩水)に対して、マグネタイトを懸濁させた油の回
収率を比較して示す。油としてはC重油を用い、マグネ
タイトは平均粒径0.2μmを用いる。C重油は、蒸留
水または食塩水50g中に5gの割合で投入し、さらに
0.025gから0.1gの割合でマグネタイトを加え
てマグネチックスターラを用いて5分間撹拌する。撹拌
後、容器の底部にサマリウムコバルト(Sm−CO)永
久磁石を当て、磁力によって吸引された部分を容器の底
に固定して、上澄み液を捨て操作を行う。その後に、容
器に残った水分を除いた後、重油の重量を測定し、次の
第1式に従って回収率を算出する。ここで、マグネタイ
トの重量は、重油の重量に対して充分に小さいので、無
視する。
【0032】
【数1】
【0033】なお壁面付着量は、容器の壁面についた重
油の重量である。この壁面付着量は、同様の手順で水分
と重油分とを撹拌した後、永久磁石を用いることなく容
器から混合液を捨てて、さらに水分を除いた後に測定し
て求める。
【0034】図2の結果から、重油に対するマグネタイ
トの添加比率を高くすれば、回収率が増加しているの
で、この方法で重油と水との磁気的な分離を行い、重油
を回収する可能性があることが判明した。また蒸留水の
代わりに、一般的な海水と同じ食塩濃度である0.55
モル(mol/dm3)の塩化ナトリウム水溶液でも同
様に分離を行うことができたので、この分離方法が海水
に対しても適用可能であると確認された。
【0035】次に、海洋で磁気分離を行う際には、環境
に負担をかけないことや経済性を良くするために、重油
に対して用いるマグネタイトの量を減らす必要がある。
そのための方法として、親水性であるマグネタイトの表
面を疎水性に代え、重油がマグネタイトの粒子表面に付
着しやすくし、回収率を向上させることが考えられる。
【0036】図4は、マグネタイトの表面にステアリン
酸被膜を形成する疎水化処理を行った結果を示す。黒丸
印は図3の食塩水に対するデータを示し、白丸印はステ
アリン酸による疎水性の表面処理を有する場合の結果を
示す。ステアリン酸処理を行うと、平均で1.5倍ほど
回収率を高めることができる。マグネタイト自体の磁気
的特性や粒径などには差はないので、疎水化処理が重油
の回収率を高めるのに非常に有効であることが判る。
【0037】図1(b)に示すステアリン酸11は、次
の第2式で示されるような脂肪酸の一種である。このよ
うな脂肪酸を所定量の濃度に調整したアルコール溶液を
準備しておき、微粒子の磁性体を投入して混合し、温度
を上昇させてアルコールを蒸発させて除去し、微粒子の
磁性体表面に被膜を形成することができる。 CH3(CH2nCOOH …(2)
【0038】図5は、第2式で表される脂肪酸の炭素
(C)の原子数と重油の回収率との関係についての実験
結果を示す。回収率の実験には、前述のようにC重油を
用い、油に対してマグネタイトを重量比で1%用いてい
る。図5に示す実験結果から、炭素数が全部で18であ
り、n=16となるステアリン酸が最も回収率がよいこ
とが判る。ただし、他の脂肪酸についても、特に炭素数
が10以上であれば、回収率は良好であることが判る。
【0039】次の表1は、図1(b)に示すようなマグ
ネタイト10の表面をステアリン酸11で疎水化処理を
施した磁性体3を用いて、各種油に対して重量比が1%
添加した場合の回収率を比較して示す。◎印は回収率6
0%以上で、○印は20〜60%、△印は1〜20%を
示す。表1の結果から、どのような油でも回収は可能で
あると判断される。
【0040】
【表1】
【0041】本発明に適用可能な磁性体としては、疎水
性を付与するための表面処理として、ステアリン酸のよ
うな脂肪酸ばかりではなく、芳香族炭素の酸で処理して
も同様に疎水性を付与することができる。基本的には、
脂肪酸以外でも、たとえば次の化学式1で示すシランカ
ップリング剤やチタンカップリング剤も適用可能であ
る。表面に直鎖状や側鎖状のアルキル基が配置されるよ
うな材料であれば、次の化学式2に示すアルキル基の有
する疎水性で、重油などの油との親和力を高めることが
できる。
【0042】
【化1】
【0043】
【化2】
【0044】また、微粒子の磁性体としても、図1
(b)に示すマグネタイトばかりではなく、前述のよう
に、他の磁性酸化物を用いることができる。特に超電導
コイルなどを利用して発生する1T以上の強磁場で用い
ることを考えれば、ヘマタイトやゲーサイトといった常
磁性の鉄の酸化物を用いることもできる。このように、
超電導現象を利用して磁力を発生させれば、油の回収の
効率化や迅速化を図ることができる。
【0045】図6は、本発明の実施の他の形態として、
海水1の表面上に浮遊する重油2中に磁性体3を分散さ
せた状態で、ブイ20を投下し、ブイ20中の磁石21
で吸引して、重油2が薄く拡がってしまうことを防ぐ基
本的な考え方を示す。図6(a)は、単体、図6(b)
は10数個のブイ20を投げ込み、内蔵する磁石21で
連続させてオイルフェンスの役目を果たさせる状態を示
す。このようなブイ20は、たとえば重油2の流出事故
が発生したら直ちに航空機で磁性体を散布するととも
に、流出現場に投下し、重油2の拡がりを防ぐために効
率的に用いることができる。
【0046】図7は、本発明の実施のさらに他の形態と
して、海水1上に浮遊する重油2の拡がりを、フェンス
25で防ぐ基本的な考え方を示す。フェンス25中には
磁石26が含まれ、重油2中に分散する磁性体3を磁力
で吸引して、重油2がフェンス25を乗り越えて海水1
の表面上に広く拡がるのを防ぐことができる。
【0047】以上説明した本発明の各実施形態では、海
水1の表面に浮遊する重油2の回収や、拡がり防止を行
っているけれども、表1に示す他の油や、さらには原油
や産業廃棄物などとして投棄される廃油などの回収や汚
染防止に本発明も適用することができる。図3や図4に
示すように、本発明は海水でも真水でも同様に適用する
ことができ、水面上から油を容易に分離することができ
る。
【0048】図1に示したような回収装置5で回収する
重油2などの油は、磁性体3を含んでいるので、さらに
磁力で磁性体3を分離し、磁性体3を繰り返して使用す
ることも可能である。また、磁性体3としてマグネタイ
ト10などを用いれば、資源も豊富で環境に対する影響
もないので、たとえば重油2などとともに燃焼させるこ
ともできる。たとえば回収船4で緊急に流出事故の重油
2を回収して、分離した重油2を燃焼させて処分した
り、あるいは磁性体3とともに回収した重油2を、ごみ
焼却のための燃料に混入して焼却したりすることができ
る。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、表面に疎
水化処理を施した微粒子の磁性体を分散させて油に磁性
を付与し、磁力で吸引して水から効率的に分離すること
ができる。
【0050】
【0051】また本発明によれば、ブイの周囲に油を磁
力で吸着して、水面上に薄く拡がってしまうのを防ぐこ
とができる。
【0052】また本発明によれば、油のまわりをフェン
スで包囲し、油がフェンスを乗り越えて水面上に拡がっ
てしまうのを、磁力で防ぐことができる。
【0053】また本発明によれば、超電導現象を利用し
て発生する強力な磁力で効率的に油を回収することがで
きる。
【0054】またさらに本発明によれば、微粒子の磁性
体を油中に分散させ、微粒子の磁性体の表面を覆う疎水
性被膜が有する親和力で油を微粒子の磁性体と強く結合
させ、微粒子の磁性体に作用する磁力で油を効率よく回
収することができる。
【0055】また本発明によれば、微粒子の磁性体に対
して油との親和力を高める被膜を脂肪酸によって形成す
るので、親水性の磁性体微粒子に対しても容易に疎水性
を付与することができる。
【0056】また本発明によれば、脂肪酸としてステア
リン酸を用いるので、少量の微粒子の磁性体を効率的に
油中に分散させて、油に磁性を付与させることができ
る。
【0057】また本発明によれば、微粒子の磁性体とし
てマグネタイトを含む磁性酸化物を用いるので、油中で
容易に磁化させることができ、磁力を利用して油を効率
的に回収することができる。回収した油を燃焼させるよ
うな場合であっても、環境に対する影響が少ない状態で
廃棄処分なども行うことができる。
【0058】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の基本的な考え方を示す
簡略化した断面図である。
【図2】図1の考え方の手順を示すフローチャートであ
る。
【図3】蒸留水および食塩水に対して重油の回収率とマ
グネタイトの添加率との関係を示す図である。
【図4】マグネタイトに対する疎水性付与の表面処理の
有無と、重油の回収率およびマグネタイト添加量との関
係を示す図である。
【図5】脂肪酸の炭素数と油回収率との関係を示す図で
ある。
【図6】本発明の実施の他の形態で重油を保持する考え
方を示す簡略化した平面図である。
【図7】本発明の実施のさらに他の形態で重油を保持す
る考え方を示す簡略化した断面図である。
【符号の説明】
1 海水 2 重油 3 磁性体 4 回収船 5 回収装置 10 マグネタイト 11 ステアリン酸 20 ブイ 21,26 磁石 25 フェンス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉持 安孝 東京都港区浜松町2丁目4番1号 世界 貿易センタービル 川崎重工業株式会社 東京本社内 (72)発明者 岩田 章 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工 業株式会社 野田工場内 (72)発明者 西嶋 茂宏 京都府亀岡市畑野町広野権現3−50 (72)発明者 武田 真一 岡山県岡山市津島西坂1−4−1 (72)発明者 中平 敦 京都府京都市西京区御陵峰ケ堂町2−5 −54 (56)参考文献 特開 昭49−33894(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B03C 1/00 B01D 17/022 503 C02F 1/40 C02F 1/48 E02B 15/10

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水面上に浮遊する油を回収する方法であ
    って、 表面に疎水化処理を施した微粒子の磁性体を水面上の油
    中に散布して、磁性体を介して油に磁性を付与し、 該磁性体を磁力で吸引することにより、油を回収するこ
    とを特徴とする磁気分離による油回収方法。
  2. 【請求項2】 前記磁性が付与された油が浮遊する水面
    に、磁力を有するブイを浮遊させることを特徴とする請
    求項1記載の磁気分離による油回収方法。
  3. 【請求項3】 前記磁性が付与された油が浮遊する水面
    を、磁力を有するフェンスで包囲することを特徴とする
    請求項1または2記載の磁気分離による油回収方法。
  4. 【請求項4】 前記磁力は、超電導現象を利用して発生
    させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の磁気分離による油回収方法。
  5. 【請求項5】 水面上に浮遊する油を磁力によって回収
    するための磁性体であって、 油中に分散される状態で磁化可能な微粒子の磁性体と、 該微粒子の磁性体の表面を覆う疎水性被膜とを含むこと
    を特徴とする油回収用磁性体。
  6. 【請求項6】 前記疎水性被膜は、 CH3(CH2nCOOH で表される脂肪酸であることを特徴とする請求項5記載
    の油回収用磁性体。
  7. 【請求項7】 前記脂肪酸は、ステアリン酸であること
    を特徴とする請求項6記載の油回収用磁性体。
  8. 【請求項8】 前記微粒子の磁性体は、マグネタイトを
    含む磁性酸化鉄であることを特徴とする請求項5〜7の
    いずれかに記載の油回収用磁性体。
JP10361295A 1998-12-18 1998-12-18 磁気分離による油回収方法および油回収用磁性体 Expired - Fee Related JP3038199B1 (ja)

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