JP3037102U - 使い捨て着用物品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸収本体と２本の伸縮部材を重ねて固定して
得られるパンツ型の使い捨て着用物品において、ウエス
ト回りの密着性を向上させる。 【解決手段】 直交する上下方向線対称軸と左右方向線
対称軸を有し、略六角形または略八角形に形成された吸
収本体と、上下方向線対称軸を挟んで、左右両側に配設
される一対の第１および第２伸縮部材からなり、第１伸
縮部材は吸収本体の上部左側の斜辺と下部左側の斜辺に
固定されており、第２伸縮部材は吸収本体の上部右側の
斜辺と下部右側の斜辺に固定されている使い捨て着用物
品であって、前記第１伸縮部材および第２伸縮部材は、
１枚以上のシートに複数の糸状弾性体が伸長状態で接合
されて形成されており、前記第１伸縮部材２ａおよび第
２伸縮部材２ｂが吸収本体に重ねられて固定される位置
における吸収本体の最大長さＬが、前記シートの最大長
さＳよりも長い使い捨て着用物品である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、高速生産が可能な使い捨ておむつ、ディスポパンツ、あるいは使い 捨て生理用ショーツ等の使い捨て着用物品に関し、特にウエスト回りの密着性に 優れた使い捨て着用物品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

最近、胴側部が予め接合されている使い捨てパンツ型のおむつが脚光を浴びて いる。この使い捨てパンツは、展開した状態で製造され、胴側部の接合は最後に 行われているが、主な工程は、ウエスト、胴部、および脚部周囲に糸状弾性部材 を配置させる工程と、吸収本体を作成する工程と、胴側部の接合工程である。し かしこれらの主な３つの工程は、連続生産する場合、それぞれ最適の流れ方向が 異なっているという問題がある。

【０００３】 すなわち、ウエスト周囲や胴部周囲に糸状弾性部材を配置させる工程は、連続 バックシート（トップシートでもよい）上の走行方向に弾性部材を接着させる方 法が簡便であり、吸収本体においても立体ギャザーを備える場合にはやはり走行 方向に該ギャザーを配置することが好ましいが、立体ギャザーと、ウエスト周囲 の弾性部材は直交方向にあるため、吸収本体を別ラインで製造し、個々に切り離 した後に９０度回転させて、前記バックシート上に合体させる工程が必要となる 。しかも合体後には、展開状態のパンツを前後に折りたたみ、さらに両側部を接 合して切り離すという極めて難度の高い工程を経なければならない。また、ウエ スト用と脚部用弾性体を同一走行方向で配設するためには、例えば特開昭５７− ７７３０４号にある様に、脚部用弾性体をサインカーブ状に大きく偏位させなけ ればならない。これら種々の問題のために、使い捨てパンツの生産性は、あまり 高くないのが現状である。

【０００４】 上記問題を解決するため、特開平４−１０９９４３号には１対の弾性ベルトを 備えた使い捨て吸収性物品が開示されている。この物品は、バックシートの外側 に１対の弾性ベルトを長手方向に設けた構成となっており、着用時には該弾性ベ ルトを摘み上げ、おむつ本体の長手方向の両端部と弾性ベルトによって着用者胴 部周囲を囲撓するものである。この弾性ベルトは、バックシートを幅方向両側部 に延出して、該バックシート上に弾性部材を走行方向に配設し、この延出部分を 折り返すことによって製造されているので、弾性ベルトとおむつ本体の走行方向 を同一にすることができるというメリットがある。

【０００５】 しかしながら上記方法では、弾性ベルト用の弾性部材を間欠的に入れる必要が あること、バックシートを幅方向に折り返し、さらに脚部用開口部を切り開く必 要があること等、難度の高い煩雑な工程が存在しているため、依然として高速生 産ができない。また、弾性ベルトとおむつ本体の固定部分が弾性ベルトの伸縮力 の有効範囲を著しく狭めているため、着用者に対する密着性があまり良くないこ とも問題であった。

【０００６】 そこで本願出願人は、上記従来技術の問題点を解決し、高速生産が可能で、し かも密着性に優れた使い捨て着用物品およびその製造方法を見出し、既に出願し た（特願平７−１６３９９１号）。この出願に係る使い捨て着用物品は、略六角 形または略八角形の吸収本体と、吸収本体の左右両側に配設される１対の第１お よび第２伸縮部材からなり、第１伸縮部材は、吸収本体の上部左側の斜辺と下部 左側の斜辺に固定されており、第２伸縮部材は吸収本体の上部右側の斜辺と下部 右側の斜辺に固定されているところに特徴を有するものである。また、特表平８ −５０７６９９号にも同様の技術が開示されている。

【０００７】 ところで、上記着用物品においては、伸縮部材を吸収本体に重ねて両者の上下 を固定する構成であるため、必ず伸縮部材の長さを吸収本体の長さと同じにする か、または伸縮部材を縮ませながら重ねるときには吸収本体の長さ以上にしなけ ればならない。伸縮部材は、２枚のシートに糸状弾性体が挟持されたものの使用 が簡便であり、このような伸縮部材の最大長は前記シートの長さと一致する。

【０００８】 しかし吸収本体の長さは着用物品のサイズでほぼ決まってしまうため、吸収本 体と伸縮部材の長さを同じにすると、伸縮部材の長さが長すぎて、ウエスト回り に密着しないという問題があった。すなわち、吸収本体の長さｌは、着用者の腹 部側のウエストから股間を通り背部側のウエストまでの長さに対応し、伸縮部材 の長さｓはウエスト回りの半分に対応するが、製造法的に必ずｌ＝ｓ×（１／２ ）となるため、ウエスト回りに合わせてｓの長さを変化させることはできないの である。

【０００９】 ウエストの密着性を上げるために、伸縮応力の強い糸状弾性体を使用する、あ るいは糸状弾性体の本数を増やすという手段も採用可能であるが、コスト増加や 素材の無駄使いにつながる。また、糸状弾性体を伸長状態でシートに接着すると きに、伸長倍率を高くして接着し、伸縮応力を強める、という手段も考えられる が、接着する前に弾性体が縮んでしまい接着工程の歩留が極めて悪くなるという 問題があった。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

そこで本考案では、特願平７−１６３９９１号に開示されているような吸収本 体と２本の伸縮部材を重ねて固定して得られるパンツ型の使い捨て着用物品にお いて、ウエスト回りの密着性を向上させることを課題とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成した本考案の使い捨て着用物品は、直交する上下方向線対称軸 と左右方向線対称軸を有し、略六角形または略八角形に形成された吸収本体と、 上下方向線対称軸を挟んで、左右両側に配設される一対の第１および第２伸縮部 材からなり、 第１伸縮部材は、吸収本体の上部左側の斜辺と下部左側の斜辺に固定されてお り、第２伸縮部材は吸収本体の上部右側の斜辺と下部右側の斜辺に固定されてい る使い捨て着用物品であって、 前記第１伸縮部材および第２伸縮部材は、１枚以上のシートに複数の糸状弾性 体が伸長状態で接合されて構成されており、 前記第１伸縮部材および第２伸縮部材が吸収本体に重ねられて固定される位置 における吸収本体の最大長さが、前記シートの最大長さよりも長いものであると ころに要旨を有するものである。

【００１２】 吸収本体が、少なくとも、吸収マットと、該吸収マットを挟持する略六角形の 不透水性バックシートと透水性シートを備えていることは、本考案の着用物品の 好ましい実施態様である。

【００１３】

【考案の実施の形態】

本考案の使い捨て着用物品は、吸収本体の長さよりも短い第１および第２伸縮 部材が吸収本体の上に配置されており、全体として略六角形または略八角形に形 成されているので、伸縮部材を摘みあげてパンツ型とした場合、伸縮部材の長さ が長過ぎることがなく、伸縮部材の伸縮力が有効に作用するため密着性に優れて いる。特に、着用後に排尿等で使い捨て着用物品の重量が増加した場合であって も、本考案の着用物品は締めつけ力に優れているため、ずり落ち等の不都合を生 じることはない。

【００１４】 以下、図面を参照しながら本考案の一実施例を詳細に説明するが、本考案は下 記実施例に制限されることなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施す ることは全て本考案の技術範囲に包含される。

【００１５】 図１は、本考案の使い捨て着用物品の一部切欠き平面図である。使い捨て着用 物品１は、略六角形状の吸収本体４と、複数本の糸状弾性体３，３が配設されて いる第１伸縮部材２ａと第２伸縮部材２ｂとから構成されている。なお。本考案 では、伸縮部材２ａおよび２ｂは吸収本体４よりも短く設定されているので、実 際には吸収本体が湾曲した状態となっているが、説明の便宜上、湾曲を省略して 図示した。

【００１６】 Ｘは吸収本体の上下方向線対称中心軸であり、第１伸縮部材２ａは、吸収本体 ４の上部左側の斜辺ＵＬと下部左側の斜辺ＤＬにおいてのみ吸収本体４と接合固 定されており、同様に、第２伸縮部材２ｂは、上部右側の斜辺ＵＲと下部右側の 斜辺ＤＲに接合固定されている。第１および第２伸縮部材は、不織布等の肌ざわ りが良く通気性を有する１枚以上のシート（１枚のみでもよく、また伸縮性のな いシートであることが好ましい）に、天然または合成ゴム製やポリウレタン製の 公知の糸状弾性体３，３…を伸長状態で接着して作製することができる。なお「 糸状弾性体」には、細幅の帯状弾性体も含まれるものとする。

【００１７】 この各伸縮部材２ａ，２ｂを摘み上げ、左右に広げるようにすることによって 、図２に示す様にパンツ型に形成することができる。なお、略六角形状および略 八角形状いずれの場合においても、斜辺（ＵＬ，ＵＲ，ＤＬ，ＤＲ）と軸Ｘのな す角度αを３０〜６０°とすることが好ましい。αが４５°のときは、伸縮部材 は軸Ｘに対して直交する様に（例えば図２に示す様に）摘み上げられるので、最 も一般的な形状となる。

【００１８】 吸収本体４には着用者の脚回りにフィットする様に１対の切欠きＫが必要に応 じて設けられるが、全体として略六角形状に形成されている。吸収本体４の基本 構成は、略六角形の不透水性バックシート６と透水性トップシート８の間に、図 ２では７として示される矩形もしくはひょうたん型の吸収マットが挟持された構 成である。不透水性バックシート６は、撥水処理された不織布や、微細孔を有す る透湿性プラスチックフィルム、あるいはこれらの積層体であり、透水性トップ シート８には不織布が通常用いられる。また吸収マットは、解繊パルプ、吸水性 ポリマー粉末、熱融着性繊維等が混合され熱処理されたものが好ましい。なお本 考案の着用物品を、ディスポパンツや生理用ショーツとして用いる場合には、吸 収マットがなくても構わない。

【００１９】 吸収本体４には、必要に応じて脚部ギャザー形成用糸状弾性体５，５や、上下 （物品の長手）方向に連続する公知の立体ギャザー（撥水処理された不織布等か らなる帯状シートとその先端に弾性部材を有する）を設けてもよい。これらの構 成の採用は、脚回りの密着性を高めると共に、脚回りからの尿漏れ防止に効果的 である。なお本考案では、第１および第２伸縮部材の存在によって、脚部周囲の かなりの部分を伸縮自在に構成することができるため、脚部ギャザー形成用弾性 体５，５は、直線状、または若干湾曲する程度に配設するだけで、充分脚回りの 密着性が得られる。

【００２０】 第１および第２伸縮部材の幅Ｗは、吸収本体４の幅Ｗ₀ の半分以下であること が好ましく、ＷがＷ₀ の半分より小さい時は、斜辺（ＵＬ，ＵＲ，ＤＬ，ＤＲ） の一部において吸収本体と伸縮部材が接合することになる。略六角形状の着用物 品の場合は、第１および第２伸縮部材が上下方向線対称中心軸Ｘに沿うように接 合することが好ましく、そのときは、図２に示した外観が得られる。第１および 第２伸縮部材が吸収本体の軸Ｘに沿わない場合は、両方の伸縮部材の間の吸収本 体をカットして図３に示すように略八角形状にすることが好ましい。しかし、本 考案の目的である密着性に優れた着用物品を提供するためには、図３において軸 Ｘと直交する辺ＵＣおよびＤＣが短い方が第１伸縮部材２ａおよび第２伸縮部材 ２ｂの作用範囲が広がるので、好ましい。

【００２１】 図４には、吸収本体４に伸縮部材２ａ，２ｂを取り付ける前の展開図を示した 。本考案の最大の特徴は、第１伸縮部材２ａおよび第２伸縮部材２ｂが吸収本体 ４に重ねられて固定される位置における吸収本体の最大長さＬが、各伸縮部材を 構成するシートの最大長さＳよりも長く構成されているところにある。すなわち 、従来技術ではＳをＬに一致させた伸縮部材を取り付けていたが、本願発明では 、第１伸縮部材および第２伸縮部材の長さＳをＬより小さくしているのである。 この構成によって、吸収本体の長さにかかわらず、ウエスト回りの長さに適合し た第１および第２伸縮部材が取り付けられた使い捨て着用物品を提供できるため 、密着性が向上する。図５の様に、第１および第２伸縮部材が吸収本体の上下方 向線中心軸Ｘに沿わないように取り付けられる場合、吸収本体の最大長さは、伸 縮部材が吸収本体に重ねられて固定される位置における吸収本体の最大長さＬ₁ であり、このＬ₁ が伸縮部材２ａ，２ｂを構成するシートの最大長さＳより長い ことが本考案の必須条件となる。

【００２２】 図６には第１および第２伸縮部材の連続体２０を製造する例を示した。この連 続体２０は不織布等の肌ざわりが良く通気性を有する２枚の帯状シート２１，２ ２の間に、天然または合成ゴム製やポリウレタン製の公知の糸状弾性体３，３… を伸長状態で間欠的に接着して作製することができる。シートは１枚のみでも構 わない。この連続体２０から、図４に示したような台形状の第１および第２伸縮 部材を切り取り、伸長させて把持しながら吸収本体の各斜辺と伸縮部材の斜辺を 接合することにより、本考案の着用物品が製造される。本考案では、伸縮部材よ り吸収本体の長さの方が長いので、伸縮部材と吸収本体を接合する場合は、図７ （図４におけるＸ軸に沿った断面図である）に示すように、吸収本体をトップシ ート５が内側になるように折り曲げて突条を形成することによって伸縮部材２ａ と長さが一致するように調節し、吸収本体４および伸縮部材２ａ，２ｂのお互い の斜辺、すなわち図４における２ａＵとＵＲ、２ｂＵとＵＬ、２ａＤとＤＲ、２ ｂＤとＤＬをそれぞれ接合するとよい。

【００２３】 接合後は、図８として示したＹ軸に沿った断面図のように、伸縮部材２ａは、 弾性部材３の伸縮力によって収縮し、それにより吸収本体４は湾曲する。図９は 、吸収本体４上に第１伸縮部材２ａおよび第２伸縮部材２ｂを接合した本考案の 着用物品の完成品の斜視説明図である。

【００２４】 伸縮部材は、図４のように予め台形状に切断したものを吸収本体に接合しても よいが、長方形状のものを用い、連続した吸収本体上に重ね、斜辺を接合しなが ら切断して略六角形状または略八角形状にすることもできる。

【００２５】

【考案の効果】

本考案の使い捨て着用物品は、吸収本体より短い第１および第２伸縮部材が吸 収本体に接合されているので、吸収本体と同一以上の長さの伸縮部材を接合しな ければならなかった従来の同形状の着用物品に比べ、ウエスト回りの密着性に優 れたものである。また、従来の着用物品は、ウエスト回りの密着性を強めるため に伸縮部材中の弾性部材の本数を多くしたり、伸縮力の強い弾性部材を使用する 必要があったが、本考案によれば、その様な必要はなく、逆に不織布等のシート や弾性部材の使用量を削減することもできた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の略六角形状の使い捨て着用物品の概略
平面図である。

【図２】図１の使い捨て着用物品をパンツ型に形成した
状態の斜視図である。

【図３】本考案の略八角形状の使い捨て着用物品の概略
平面図である。

【図４】図１の使い捨て着用物品を展開した平面図であ
る。

【図５】本考案の他の例の使い捨て着用物品を展開した
平面図である。

【図６】伸縮部材の製造方法を示す斜視説明図である。

【図７】本考案の使い捨て着用物品に伸縮部材を接合す
るときのＸ軸に沿った断面説明図である。

【図８】本考案の使い捨て着用物品をＹ軸に沿って切断
したときの断面図である。

【図９】本考案の使い捨て着用物品の斜視説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 使い捨て着用物品 ２ａ 第１伸縮部材 ２ｂ 第２伸縮部材 ３ 糸状弾性部材 ４ 吸収本体 ５ 脚部ギャザー用糸状弾性体 ６ バックシート ７ 吸収マット ８ トップシート ２０ 伸縮部材の連続体 Ｌ，Ｌ₁ 吸収本体の最大長さ Ｓ 伸縮部材を構成するシートの最大長さ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 直交する上下方向線対称軸と左右方向線
   対称軸を有し、略六角形または略八角形に形成された吸
   収本体と、上下方向線対称軸を挟んで、左右両側に配設
   される一対の第１および第２伸縮部材からなり、 第１伸縮部材は吸収本体の上部左側の斜辺と下部左側の
   斜辺に固定されており、第２伸縮部材は吸収本体の上部
   右側の斜辺と下部右側の斜辺に固定されている使い捨て
   着用物品であって、 前記第１伸縮部材および第２伸縮部材は、１枚以上のシ
   ートに複数の糸状弾性体が伸長状態で接合されて形成さ
   れており、 前記第１伸縮部材および第２伸縮部材が吸収本体に重ね
   られて固定される位置における吸収本体の最大長さが、
   前記シートの最大長さよりも長いことを特徴とする使い
   捨て着用物品。
2. 【請求項２】 前記吸収本体が、少なくとも、吸収マッ
   トと、該吸収マットを挟持する略六角形の不透水性バッ
   クシートと透水性シートを備えている請求項１に記載の
   使い捨て着用物品。