JP3034529B2 - 代用血液 - Google Patents

代用血液

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JP3034529B2
JP3034529B2 JP63504578A JP50457888A JP3034529B2 JP 3034529 B2 JP3034529 B2 JP 3034529B2 JP 63504578 A JP63504578 A JP 63504578A JP 50457888 A JP50457888 A JP 50457888A JP 3034529 B2 JP3034529 B2 JP 3034529B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の分野 本発明は、赤血球の代用品として有用な新規のヘモグ
ロビンの組成および同組成物製造の方法に関する。さら
に、組換え体DNA技術を用いて上記組成物で使用するた
めの突然変異ヘモグロビンの製造にも関する。
情報開示の記載 患者に献血血液を輸血することが常に実際的なわけで
はない。こうした事態下では、赤血球代用品の使用が必
要である。同品は赤血球がするように効果的に酸素を輸
送しなければならない。(デキストランとかアルブミン
のような“プラズマ増量体”[Plasma expanders]は酸
素を輸送しない。)最もよく研究された代用品の2つの
タイプは、ヘモグロビン溶液と、フルオロカーボン エ
マルジョンである。
ヘモグロビン(Hgb)は血液の酸素運搬成分である。
ヘモグロビンは赤血球と呼ばれる無核の小さな細胞中に
あり血流にのって循環する。ヘモグロビンは4つのポリ
ペプチド鎖で構成された蛋白質で、ヘムとして知られる
補欠分子族を持っている。ヘモグロビンは赤血球中に存
在することにより、還元型すなわち機能する型を保って
いる。ヘム鉄原子は酸化されやすいが、赤血球中にある
2つの酵素系、即ちシトクロムb5とグルタチオンの還元
系、の1つによって再び還元され得る。
ヘモグロビンはヘモグロビン分子の4つのサブユニッ
ト(Hgb Aの場合には2つのα鎖グロビンと2つのβ鎖
グロビン)によって協同的酸素結合を示し、この協同性
は効果的な酸素輸送を促進する。いわゆるヘム間相互作
用によって達成される協同性は、ヘモグロビンをしてそ
の酸素に対する親和性を変化させることを可能にする。
ヘモグロビンは1モル当たり酸素4モルまでと可逆的に
結合する。肺中に見られるような高い酸素濃度では、酸
素親和性は高く、ヘモグロビンは酸素で殆ど飽和されて
いる。活発に呼吸している組織において見られるような
低い酸素濃度では、酸素親和性は低下され酸素は放出さ
れる。
酸素運搬化合物は酸素解離曲線として知られる方法に
よってよく比較される。この曲線は、所与の酸素運搬体
につき、酸素飽和度が酸素分圧に対してグラフ化される
とき得られる。飽和度はS字形相関により分圧と共に増
加する。P50とは酸素運搬溶液が酸素によって半分飽和
されたときの酸素分圧である。したがってそれは酸素結
合親和性の尺度となる。即ちP50が高ければ高い程、酸
素は緩やかに保持されることになる。
酸素運搬溶液の酸素解離曲線におけるP50が全血
[「いかなる成分も除去されていない血液」の意]に対
するP50より小さいような場合は、“左寄りである”と
いう。
ヘモグロビンの酸素親和性は2,3−ジホスホグリセリ
ン酸(2,3−DPG)、塩化物イオンおよび水素イオンの存
在によって低下する。呼吸している組織は2酸化炭素を
血液中に放出し、血液のpHを低下させ(即ち水素イオン
濃度を増加させ)、これによって酸素がヘモグロビンか
ら解離し、個々の細胞中に酸素が拡散していく。
体内への酸素輸送効率を促進するヘモグロビンの酸素
親和性を変化させる能力は、代謝中間体2,3−DPGの存在
に依存している。赤血球中には2,3−DPGがヘモグロビン
自体の濃度と殆ど同程度の濃い濃度で存在する。2,3−D
PGがないときは、“通常の”[conventional]ヘモグロ
ビンが酸素ときわめて緊密に結合し、呼吸組織へ酸素を
殆ど放出しない。
老化した赤血球は、遊離したヘモグロビンを僅かにプ
ラズマ中に放出するが、それはすみやかに捕捉蛋白質で
あるハプトグロビンと結合する。ヘモグロビン・ハプト
グロビン複合体は血液から除去され、ひ臓および肝臓で
分解される。
上述のことからして遊離した生のヘモグロビンAは、
直接血流中に注射された場合、体中に効果的な酸素輸送
をサポートすることができないことが明らかである。必
須アロステリック調節因子である2,3−DPGは、ヘモグロ
ビンが静脈中の酸素分圧で多くの酸素を放出するにはプ
ラズマ中に十分な濃度で存在しておらず、遊離したヘモ
グロビンはヘムイオンの自動酸化により酸素運搬体とし
て急速に不活性化される。
それにも拘わらず、通常のヘモグロビン溶液が赤血球
代用品として使用されてきた。ヘモグロビン溶液を製造
する古典的方法では、古くなった血液を用いる。赤血球
が溶解され、細胞破片が除去されて、うまくすれば“ス
トローマ・フリーのヘモグロビン”[Stromal−free he
moglobin](SFH)が残る。
いくつか基本的な問題がこのアプローチにはある。溶
液は、大規模な製造を困難にする煩わしく冗長な工程に
よることなく、赤血球膜のあらゆる毒物を含んでいては
ならない。DeVenutoの「代用血液としてヘモグロビン溶
液を推奨する」[“Appraisal of Hemoglobin Solution
as a Blood Substitute"]Surgery,Gynecology and Ob
stetrics、149:417−436(1979)参照。
第二に、予期された通りかかる溶液は、全血に比較し
“左寄り”(P50より低い)である。Gould等の「赤血球
代用品としての重合ピリドキサール化されたヘモグロビ
ン溶液の開発][“The Development of Polymerized P
yridoxylated Hemoglobin Solution as a Red Cell Sus
titute"]、Ann Emerq.Med.15:1416−1419(1986年12
月)参照。
第三に、SFHは循環系において、その半減期は僅か2
〜4時間である。これはオキシヘモグロビンが、腎臓に
よってろ過されるに十分小さい2量体[a dimer]へ部
分的に解離するからである。
最後に、SFHは高いコロイド浸透圧(COP)を持ってい
る。このように、高い浸透圧(60mmHg)は細胞から血流
中への多量の水分分泌を促し、その結果患者の組織を脱
水するので、パックされた赤血球の1単位と同じ酸素運
搬能力を持つSFHの投与は得策でない。この点を考慮す
るとSFHの投与は約6〜8mg Hgb/dlに制限される。
所望のP50を得ようとして、研究者等はヘモグロビン
溶液に2,3−DPGを添加してみた。しかし残念ながら2,3
−DPGは急速に循環系から消滅してしまった。科学者達
はそこで他の有機リン酸、特にピリドキサールリン酸に
目を向けた。2,3−DPGのように、これらの化合物はHgb
の2つのβ鎖のN−末端間に塩橋を形成することによっ
て“T状態”を安定させた。ピリドキサール化されたヘ
モグロビンは、SFH10torr、全血28torrに対し、20〜22t
orrのP50を持っていた。これがSFHに対する改良である
が、ピリドキサール化されたHgbは依然として全血に比
べて“高親和性”を保持している。
ヘモグロビンは、血管内での保持時間を増加させ浸透
圧を減少させるように化学的に改造(分子内または分子
間の架橋によって)されている。残念ながらこの重合は
また、分子の酸素解離曲線の“左寄り”の原因となる。
このように重合ピリドキサール化ヘモグロビンのP50
約18torrである。
ヘモグロビンの化学修飾については次の文献を参照せ
よ。Iwashita,U.S.4,412,989と4,301,144(ポリアルキ
レン グリコール付)、Iwasaki,U.S.4,670,417(ポリ
アルキレン オキサイド付)、(ポリサッカライド
付);Nicolau,U.S.4,321,259とU.S.4,473,563(リン酸
イノシトール付);Wong,U.S.4,710,488と4,650,786(リ
ン酸イノシトールとポリサッカライド付);Bonhard,U.
S.4,336,248(その他の蛋白質またはゼラチン誘導体
付);Walder,U.S.4,598,064とU.S.4,600,531(内分子的
に架橋したヘモグロビン)とAjisaka,U.S.4,377,512
(イヌリン付)ヒトのα鎖およびβ鎖のグロビン遺伝子
はクローニングされており、その配列は既知である。Li
ebhaber等のP.N.A.S.(U.S.A.)77:7054−58(1980)
(α鎖グロビン ゲノムDNA);Marotta等のJ.Biol.Che
m.,252:5040−53(1977)(β鎖グロビンcDNA) NagaiとThorgerson(Nature,309:810−812,1984)
は、大腸菌E.coli中でλc II蛋白質の31個のアミノ末端
残基と、1個のイソロイシン−グルタミン酸−グリシン
−アルギニン[Ile−Glu−Gly−Arg]リンカーと、完全
ヒトβグロビン鎖とでできたハイブリッド蛋白質を発現
させている。両氏はこのハイブリッドタンパク質を単一
のアルギニンのところで血液凝固因子Xaで切断し、βグ
ロビン鎖を遊離させている。
後にNagai等はP.N.A.S.(U.S.A.)、82:7252−55(19
85)でrDNA由来のヒトβ鎖グロビンと、天然由来のヒト
α鎖グロビンと、ヘム源により、活性あるヒトヘモグロ
ビンを生成することに成功している。加えて両氏は、天
然由来の突然変異ヘモグロビン,即ちHb NympheasとHb
Daphneの2つの半人工類似体を得、クローニングされた
β鎖グロビン遺伝子の部位特異的突然変異誘発、その修
飾遺伝子の発現、および自然発生のα鎖とヘム源とを持
つrDNA由来のβ鎖とによって生成している。自然発生の
突然変異のように、これらの半人工的な類似体は、“ノ
ーマルな”ヘモグロビンに比較し酸素親和性における増
加が観察された。後の研究によって、この酸素結合上の
変化につき構造的基礎が確立された。LuisiとNagai、Na
ture,320:555−56(1986);およびcp.Nagai等のNatur
e,329:858−860(1987年10月)(バリン(67β)E11の
置換を伴う突然変異ヘモグロビンの同様の生成)。
驚くべきことに、異型の細胞中でのヒトαグロビン遺
伝子の発現は報告されたことがない。しかし実は、Naga
i等の大腸菌E.coli発現系中でβグロビン遺伝子の代わ
りにαグロビン遺伝子に交換すると、λc II蛋白質/α
グロビン融合物の発現が殆ど認められない。生αグロビ
ンmRNA配列には細菌宿主中における効果的な翻訳の障害
となる何者かがあるように思われる。
発明の要約 もしある種の変異ヘモグロビンが、典型的な無細胞代
用血液の溶液中で、赤血球と結合した状態にある非変異
ヘモグロビンのP50に匹敵するP50を該溶液に与えるよう
に選択されるならば、代用血液としてヘモグロビン溶液
がもつ欠点は克服できることを発明者らは発見した。赤
血球中において全血での通常のP50の値(28torr)より
高いP50を与える自然発生的突然変異ヘモグロビンは、
その能力自体と、またO2親和性の構造的基礎についてそ
れが教示する点の両点において、非常に興味深いもので
ある。そこで多くのそのような“右寄り”の種が、赤血
球環境外で(ひいては2,3−DPGの右寄り影響外で)、P
50を全血の通常P50に匹敵またはそれ以上にすることが
期待される。
本発明の目的のため、“通常のヘモグロビンA"は、α
鎖およびβ鎖が第1図に示されたアミノ酸配列のもので
あるHgb A種を指すものとする。これはヒト赤血球中に
きわめて頻繁に見付けられる種で、かかる赤血球に約28
torrのP50を付与している。“ヘモグロビンA突然変異
体”とは、α鎖またはβ鎖が第1図に示されたアミノ酸
配列とは異なるアミノ酸配列のヘモグロビンA全てであ
ると定義する。“低親和性”ヘモグロビンA突然変異体
とは、同一環境下で“通常のヘモグロビンA"のP50より
少なくとも約10%大きなP50を有するものをいうと定義
する。そのP50は2,3−DPGの不在下では通常(野性型)
ヘモグロビンAの少なくとも2倍であることが特に好ま
しい。“組換え”ヘモグロビンとは、ヘモグロビンが在
来ヘモグロビンであるか突然変異種であるかを問わず少
なくともいずれか一方が組換えDNA分子によって運ばれ
たグロビン遺伝子の発現によって獲得されたものである
α鎖およびβ鎖グロビンで構成されているものをいうと
定義する。
自然発生の低親和性ヘモグロビンA突然変異体には多
くのものが知られている(第1表)。突然変異は分子の
α鎖またはβ鎖のどちらか(または当然ながら両者)に
現れる。このようなヘモグロビンHazebrouckは、P50は3
6torr(全血中)、in vitroで27〜29torrに減少するβ
突然変異体(38(C4):thr→pro)である。
明らかにこれら低親和性突然変異体の適当な供給をす
ることを自然に依存することはできない。したがって突
然変異体のポリペプチド鎖は、ポリペプチドを直接合成
するか、より好ましくは適当な宿主細胞中で、該当する
突然変異体遺伝子を発現させるかによって通常、人工的
に製造される。この遺伝子は、突然変異赤血球の前駆体
のメッセンジャーRNAから転写されたcDNAとして、ポリ
ヌクレオチドの直接合成により、あるいはより好ましく
は、通常のヘモグロビンをコード[encoding]する遺伝
子のin vitroでの突然変異誘発によって、突然変異赤血
球前駆体細胞(成熟した赤血球はDNAを含まない)のゲ
ノムから直接得られる。
鎖の1つが“通常”ヘモグロビンの鎖と同一のもので
ある場合には、自然からでも人工でも得ることができ
る。加えて機能するヘモグロビン分子を創造するため
に、補欠分子族ヘムを与え、またα鎖およびβ鎖を会合
させることが必要である。
さらに、αまたはβグロビン遺伝子の適当な修飾[mo
dification]およびその発現、それに続く組換えヘモグ
ロビンの会合によって、非自然発生の低親和性突然変異
体を生成し使用することも本発明の意図する範囲であ
る。候補配列の選択ならびにそれらの代用血液中で使用
するための適合性を評価する方法がここに述べられる。
ヒトのα鎖グロビンは、(1)α鎖グロビン遺伝子だ
けでなく、選択的プロテアーゼ分解部位をコードしてい
るスペーサDNAにより隔てられた、少なくともβ鎖グロ
ビン遺伝子の一部を含む融合遺伝子を構築し;(2)融
合蛋白質の形態に上記融合遺伝子を発現し;(3)ヒト
α鎖グロビンを遊離させるため、上記分解部位で融合蛋
白質を分解することによって、細菌宿主から得ることが
できることも発見した。
この発見の結果、全く人工的なヒト・ヘモグロビンを
生成することが可能となった。換言すればαおよびβ両
方のグロビン鎖がヒト赤血球以外の細胞中に形成される
ヘモグロビンなのである。このような全く人工的なヘモ
グロビンが代用血液溶液中に使用されることが理想的で
ある。勿論、半人工的なヘモグロビン(非赤血球源から
獲得された1つの鎖をもつ)も使用され得る。
抽出された天然ヘモグロビンが代用血液として使用さ
れるときは、当該製品を汚染するおそれがある赤血球膜
成分の毒性に懸念を持たざるを得ない。赤血球ストロー
マは、呼吸困難、気管支けいれん、低血圧、不整脈、播
種性血管内凝固、補体の活性化[activation of comple
ment]、局所貧血および急性炎症と関連する腎臓や心筋
や肝臓の変化等の原因となることが知られている。Feol
a,Surgery,Gynecology & Obstetrics,166:211−222(1
988年3月);MacDonald,et al.F.A.S.E.B.J.,2(6)Ab
str.8217(1988);Stone,et al.,Surgery,Gynecology a
nd Obstetrics,149:874−876(1979);Rabiner,et al.
J.Exp.Med.,126:1127−42(1967)一方純化された天然
のヘモグロビンが知られているが(“ストローマ・フリ
ー・ヘモグロビン”と呼ばれる)、Feolaは“本当に純
粋なヘモグロビン溶液は生産されなかった”と評してい
る。
天然ヘモグロビンについてのもう一つの懸念は、血液
により伝達される伝染性の媒介体による汚染である。Bo
ve,Progr.Hematol.,14:123−145(1986)は、肝炎ウイ
ルス、シトメガロウイルス、エプスタイン バー ウイ
ルス、血清パーボウイルス、梅毒、マラリア、フィラリ
ア症、トリパノソーマ病、バベシア病、多数の病原性バ
クテリア、およびエイズが、全て輸血によって伝達され
ている。エイズはHIV抗体に対し陰性として判定された
にも拘わらず輸血により感染した。Ward等、New Engl.
J.Med.318:473−78(1988) 本発明のα鎖グロビンは、自然の通常人のα鎖グロビ
ンまたは自然発生的突然変異ヘモグロビンに配列的に同
一であり得るし、全く知られていないα鎖グロビン突然
変異体でもあり得る。
突然変異ヘモグロビンは、酸素親和性を減少されたも
のか増進されたものであるかを問わず、細胞培養中のO2
濃度を変化させるか、もしくは流動体からO2を抜き出す
という重要な機能を持つものであり得る。
添付の請求の範囲は、好ましい具体例の記述として本
明細書中に言及することによって、ここに取り込むもの
とする。
図面の簡単な説明 第1図は、通常のヒト・ヘモグロビンAの(a)α鎖
および(b)β鎖のアミノ酸配列と、これら鎖をコード
したヌクレオチド配列とを示す。
第2図は、(a)M13 mpll FX,(b)pLc II FXβ,
およびpLc IIβ、(c)pLc II FX−β−FX−αの、選
択されたDNA配列および制限酵素地図である。ここでpLc
II FXαは、第2図(b)中のβHis(ヒスチジン)2
をコード化するコドンを欠いている。
第3図は、人工的な通常のヒト・ヘモグロビンと、Hg
bカンサスの構造を持った突然変異ヒト・ヘモグロビン
の解離酸素結合曲線を示す。
発明の詳細な説明 本発明の一側面は、適当な宿主中にある外因性α鎖グ
ロビン遺伝子のクローニングと発現である。宿主は原核
細胞(例,E.coli)または真核細胞(例,酵母細胞[a y
east cell])または哺乳類細胞)であり得る。α鎖グ
ロビン遺伝子は、ノーマルかアブノーマルかを問わず、
自然発生的ヒトα鎖グロビンに相当するポリペプチドの
発現を通常コードするが、ヒト以外のα鎖グロビンに相
当することもあり得、あるいは実際、公知のα鎖グロビ
ンの非自然発生的類似体であることもある。好ましくは
変異α鎖グロビンは、血液代用化合物中に用いるため低
親和性ヘモグロビン突然変異体中で生成され組み立てら
れるのがよい。
α鎖グロビン遺伝子は、少なくともβ鎖グロビン遺伝
子の一部の発現もコードしている融合遺伝子の一部とし
て発現される。好ましい実施例としては、α鎖とβ鎖の
グロビン配列は選択的プロテアーゼ分解サイト、特にXa
血液凝固因子による特定の分解に影響され易いサイトを
コードするスペーサDNAによって分離される。好ましく
は、上記の融合遺伝子は、β鎖グロビンの20アミノ酸N
−末端の発現をコードする部分列[a subsequence]を
包含するのがよい。
前述したように、本発明のα鎖グロビンはrDNA−派生
のβ鎖グロビンおよびヘム源と有利に結合し、全く人工
的な(血液以外のソースから全面的に由来する)ヘモグ
ロビンを得ることができる。かかるヘモグロビン、特
に、選択的に修飾されたα鎖および/またはβ鎖グロビ
ン遺伝子を使用して生産された低酸素親和性ヘモグロビ
ン突然変異体は、血液代用品としての価値がある。非赤
血球源から得られた唯一の鎖が突然変異体配列であり、
その突然変異は上記ヘモグロビンに対して低い酸素親和
性を与えるものであるような半人工的ヘモグロビンもま
た本発明の範囲に含むものであって、代用血液としても
使用され得る。特に断っていない限り、“人工的”とい
う言葉は全部人工的なものと、半分人工的なものとの両
者を含むものとする。
代用血液として使用するためヘモグロビンの低親和性
α鎖または、β鎖突然変異体を設計する戦略を評価する
ためには、ヘモグロビン分子の構造を理解することが必
要である。
通常のヘモグロビンの構造はよく知られている。Bunn
およびForget,eds.Hemoglobin:Molecular,Genetic and
Clinical Aspects(W.B.Saunders Co.,Philadelphia,P
A:1986)、およびFermiおよびRichards,Atlas of Molec
ular Structure in Biology(Claredon Press:1981)の
テキスト全部を引用してここに取り入れるものとする。
ポリペプチドの一次構造は、アミノ酸配列および各ア
ミノ酸の側鎖の何等かの修飾によって定義される。
通常の大人のヒト・ヘモリセート[human hemolysat
e]の約92%はHgb A(αβと表記される。なぜな
ら2つのα鎖とβ鎖を持つから)である。α鎖は141の
アミノ酸から成る(第1図)。ヘムの鉄原子(フェロプ
ロトポルフィリン IX)グループはヒスチジン87[his8
7]のイミダゾール(“近位ヒスチジン”)に共有結合
する。β鎖は146残基長さ(第1図)で、ヘムはヒスチ
ジン92[His92]でそれに結合している。
その他認められたヘモグロビン種は,Hgb A2,Hgb A
1a、Hgb A1bおよびHgb A1cであり、同様に稀なHgb F、H
gb F1、Hgb Gower−1、Hgb Gower−2、Hgbポーラン
ド、Hgb H,およびHgb バートである。それらはポリペプ
チド鎖の異なる選択によってHgb Aから区別される。
ポリペプチド鎖のセグメントは、2つの一般的コンホ
ーメーション(配座)、即ちαヘリックスとβひだ状シ
ートの1つに折りたたむことによって安定化され得る。
その本来の状態では、ヘモグロビン分子の約75%がα−
ヘリックスである。α−ヘリックスのセグメントは鎖が
それ程窮屈でないセグメントによって分けられる。各鎖
のα−ヘリックスセグメントを、アルファベットにより
同定することが従来から行われている。例えばα−鎖の
近位ヒスチジンはF8(ヘリックスFの残基8)である。
非ヘリックスセグメントは、どのヘリックスセグメント
に連結しているかを示す文字の対で同定される。したが
って非ヘリックスセグメントBCとは、ヘリックスBとヘ
リックスCとの間に存在する。特定のヘモグロビン鎖の
2つの変異体[variants]を比較すると、構造的相同性
の発見を探求するときヘリックスセグメントを配列比較
することは啓蒙的であり得る。通常のヒトヘモグロビン
Aのα鎖およびβ鎖のアミノ酸配列とヘリックス残基の
記号表記[notation]については第4表を参照せよ。
ヘモグロビン分子の3次構造は、線型配列中にあって
遠く離れているアミノ酸残基の立体関係に関係する。一
方、4次構造はサブユニット(鎖)が一緒にパックされ
たその仕方に関係する。ヘモグロビン分子の3次および
4次構造は、ヘモグロビン結晶のX線回析分析によって
識別されており、分子を構成する原子自体の3次元的位
置を計算することさえ可能にしている。
非酸素化された(“デオキシ”、即ち“tense"の
“T")型では、ヘモグロビンのサブユニット(α、α
、β、およびβ)は1つの2重対称軸を持つ4面
体を形成する。この軸は水が満たされた“中央空洞”を
貫通している。サブユニットはファン・デル・ワールス
力および水素結合によって(またデオキシヘモグロビン
の場合は、“塩橋”によって)相互作用している。α
βおよびαβの界面[interface]は、酸素化
中、比較的固定された状態に留どまっている。それとは
対照的に、αβ(およびαβ)界面にはかなり
な自由度がある。その酸素化状態では(“オキシ”、即
ち“relaxed"の“R"型)、サブユニット間の距離は増加
する。
デオキシ・コンホーメーションは、例えばTyr42αとA
sp99β間の水素結合のような多数の相互作用によって安
定化される。酸素化型では、この結合は破壊されて新し
い結合がAsp94αとAsn102β間に形成される。
種々の異なったアプローチがヘモグロビンの変形に対
して採用され得る。どの場合でも、候補の突然変異体は
従来のヘモグロビンより酸素に対して低い親和性を持つ
であろうと、入手できる証明に基づいて信じられるもの
が選択される。
この選択を行うにつき、ヒト・ヘモグロビンの種々の
突然変異体の既知の効果だけでなく、動物ヘモグロビン
の、およびカルボキシヘモグロビンとかメトヘモグロビ
ン、ミオグロビン等の関連合成物の、既知の酸素結合能
力も考慮することが可能である。
α鎖突然変異体 α鎖グロビン遺伝子を異種構造体で表現する問題を克
服することができたので、α鎖グロビン突然変異体を都
合よく準備することも今や可能である。
数個の低酸素親和性ヘモグロビンのα鎖突然変異体は
既に知られている。これらのうちHb Titusville(α94A
sp→Asn)、Hb Setif(α94Asp→Tyr)、Hb Torino(α
43Phe→Val)、Hb Hirosaki(α43Phe→Leu)およびHb
Moabit(α86Leu→Arg)は特別に関心あるものである。
ヒスチジン(F8)のα鎖におけるO2結合はβ鎖におけ
るよりも僅かに強いので、α鎖グロビンはβ鎖グロビン
より容易に酸化され、電子が酸素によってより急速に失
われる。α鎖グロビンは、例えば変形α63His→Glnまた
はValによって、それほど酸化されないように変形する
ことができる。
塩化物イオンは、N−末端NH3 +とα131Serのヒドロキ
シル基との間を架橋してα鎖に結合する。塩素結合の効
果はP50を僅かに増加することである。上記α131をGl
u、AspまたはAsnへ変化させることにより塩化物に依存
することなく同様の効果を得ることができると信じられ
ている。あるいは、N−末端のpKaを増加させることが
できると信じられている。天然のヒトN−末端は、9.72
のpKaを持つバリンである。これはIle(9.76)、Pro(1
0.60)、またはThr(10.43)で交換され得る。
β鎖グロビン突然変異体、および低い酸素親和性を与
える傾向にあるα鎖グロビン突然変異体については後述
する。
T状態の安定化 血液中のフリーな通常のヘモグロビンの酸素運搬効率
を最大限にするため2,3−DPGのプラズマ中での濃度を上
げることはできない。この問題は、蛋白質エンジニアリ
ングによって追加的に塩橋または水素結合することによ
ってT状態を安定化すれば解決される。ヘモグロビンの
架橋はそれ自体でT状態をある程度まで安定化し得る。
水素結合とイオン塩橋は蛋白質表面の支配的な安定化
力である。水素結合は、電気陰性原子(例えば酸素、窒
素、硫黄)とその他の電気陰性原子に共有結合して付加
されている陽子との間に形成される弱い非イオン結合で
ある。一つ一つの水素結合は弱いが(例 1kcal/mo
l)、蛋白質中には集積することにより、大きな安定化
力になる何百何千という水素結合がある。ヘモグロビン
構造にとって重要な水素結合の例はオキシ状態[oxysta
te]にあるα−asp94とβ−asp102間に形成される水素
結合である。これら残基のいずれかが、この水素結合す
ることをもはやできなくなった残基に突然変異すると、
オキシ状態は非安定化され[destabilized]、分子はず
っと低いO2親和性を持つようになる。Hgカンザス(βth
r102),Hg Beth Israel(βser102),Hg Richmond(βl
ys102),Hg St.Mande(βtyr102),Hg Titusville(αa
sp94)およびHg Setif(αtyr102)はすべて、この水素
結合の重要性に関する例である。同様の効果を達成する
その他の見込みある非自然の突然変異体はβasp102,βg
lu102,βarg102,βhis102,βgly102およびβcys102;αg
ln94,αthr94,αser94,αlys94,αgly94,およびαarg94
である。
イオン相互作用は反対電荷の並べて置かれた残基間に
形成される塩形成である。こうした相互作用は水素結合
よりずっと大きい分子同士に働く力である。異なる電荷
同士の引力の例はlysとaspの残基間の相互作用であろ
う。生理的pHにおいてこれら両残基が電荷される(プラ
ス、マイナス各々)。また2つの並べて置かれたプラス
電荷または2つの並べて置かれたマイナス電荷の間には
反発作用が起こる。そしてこれらの相互作用により不安
定化する。
2,3−DPGによるHgのデオキシ状態の安定化は、イオン
相互作用の一例である。2,3−DPG分子は、中性pHで大き
く電荷され(5マイナス電荷)プラスに電荷された2,3
−DPGポケット中の8残基と相互作用する。この結合ポ
ケットにより大くのプラス電荷をエンジニアリングする
ことにより、2,3−DPGはそのエンジニアリングされたHg
bにHgbAより緊密に結合するのではないかと感じられ
る。もう1つの例は、αasp94がβasp102に水素結合し
ているα1界面である。βasp102をマイナス電荷さ
れたグループ、例えばaspまたはglu、と交換すれば、同
一の電荷に荷電されたαasp94との電荷反発作用によっ
てオキシ状態安定化を妨害するであろう。
このように、一定のアミノ酸残基の変化は所望の水素
結合と塩橋の形成をもたらすことができる。
T状態はシステイン残基のその他の残基との置換によ
っても安定化することができる。システイン残基は、ジ
スルフィド結合によって架橋され得る。メトヘモグロビ
ンの出版されたX線データを調査すると、α1界面
はジスルフィドを置くための妥当な位置であるという示
唆を受ける。都合のよいことに、βG14cysの隣には2つ
のαala残基と、G17およびG18(alaはcycと立体的に類
似している)とが存在する。したがってαG17またはG18
が、cys残基の追加されるべきスポットとなりそうであ
ると、一瞥して考えられる。ジスルフィドをどこに置く
かに関するさらなる戦略はThornton,J.M.J.Mol.Biol.15
1,262−287,1981に示されている。ジスルフィド(シス
テイン)結合のためのシステインの酸化はO2処理によっ
て行われるか、またはチオレドキシンにより触媒されて
行われる(Pigiet,V Am.Biotech.Lab 6,48−52,1988) 酸素結合部位近くの残基の修飾 ヘムはヘモグロビン、ミオグロブリン、カタラーゼ、
ペルオキシダーゼ、およびシトクロムbの補欠分子族で
ある。このヘムがEヘリックスとFヘリックス間の割れ
目に挿入される。ヘムイオンは、“近位”のF8ヒスチジ
ンのイミダゾール環の窒素に共有結合的に連結される。
“遠位”のE11バリンは、酸素がヘムポケットに接近す
ることができないよう保護するように動くように見え
る。
Val−E11とHis−E7は、ヘモグロビンのヘムイオン原
子に結合した酸素分子とファン・デル・ワールス接触状
態にあり、これらの残基を置換することによって、ヘモ
グロビンの本来の酸素親和性を変化させることができ
る。Val−E11はIle,Leu,AlaおよびMetで置換された。Al
a−E11β突然変異体の酸素親和性はHbAのそれより高か
った。またIle−E11β突然変異体のそれは低かった。後
者の突然変異体のX線結晶研究は、Ileの側鎖のδ−メ
チル基は、もし酸素が鉄原子と結合するのであれば、一
方の側へ押されなければならないことを示した。
我々が作った別の置換例は、βHis63→Pheである。こ
の突然変異体は極めて低い酸素親和性を持っている(第
3表)。
したがって、ヘモグロビンの酸素親和性は、酸素結合
部位に近い残基を置換することによって、思いのままに
変化することができる。この方法で酸素親和性を調節す
ることにより、酸素輸送効率は2,3−DPGのようなアロス
テリックエフェクターがないときでも最大化することが
できる。
後述するヒト・デオキシヘモグロビンの残基は、最近
原子から最近原子を基本にしてヘム部分の4Å以内にあ
る。即ち、 Fermi等、J.Mol.Biol.,175:159−174(1984)参照。
(上記リスト中にある“P"は“近位の”を、“D"は“遠
位の”を、“E"は“境界上”[edge−on]を意味する) したがってこれらの残基は改変[modification]のた
めの候補である。結合水分子を介して接触している対に
ついても考慮されなければならない。Ladner等のMol.Bi
ol.,114:385−414(1977)参照。
β鎖の残基42(CD1)、45(CD4)および70(E14)の
突然変異は特に関心あるところである。その他の関心あ
るβ鎖の残基としては、43(CE1)、46(CE4)、58(E
7)、61(E10)および62(E11)である。関心あるα鎖
の残基としては43(CE1)、46(CE4)、58(E7)、61
(E10)および62(E11)である。
概して、低親和性O2結合特性故に、O2結合を妨害する
ヘム・O2結合部位周辺の突然変異もまた望ましい。O2
結合するヘム面に隣接する残基を置換すれば低親和性を
もたらすことができる。自然発生の突然変異体であるHg
Bristol(β67val→asp)は低親和性があるように記述
されている。望ましいその他の突然変異体は,ここに記
載されたβile67と、βasp67とβglu67である。その他
の残基もまたO2結合部位の近辺にある。ヒスチジンE7
(βhis63)は、pheと置換することができ、これは非常
に低いO2親和性をもたらす。その他の突然変異にとって
見込みある残基は、βphe42である。trpとの置換は低い
O2親和性をもたらす傾向にある。α鎖の相当残基は、こ
れら好ましいβ鎖の突然変異体の代わりに、またはそれ
に追加することで変化させることができる。
αβ接触および中央空洞における残基の置換 酸素親和性とヘモグロビンの協同性はT(低親和性)
とR(高親和性)の4次構造の相対的安定性に依存す
る。これら両状態は相互に平衡しているが、一方の状態
だけがαβ接触上または中央空洞中の突然変異によ
って優位にされ得る。これらの部位には多くの自然発生
突然変異体が存在するが、それら変異体を注意深く研究
することは所望の特性を持ったヘモグロビン分子を設計
するのに価値あるものに違いない。
このようにα残基37(C2)Pro,38(C3)Thr,40(C
5)Lys,41(C6)Thr,42(C7)Tyr,44(CD2)Pro,88(F
9)Ala,91(FG3)Leu,92(FG4)Arg,94(G1)Asp,95(G
2)Pro,96(G3)Val,97(G4)Asn,140(HC2)Tyr,およ
び141(HC3)Argは全て、ヒト・デオキシヘモグロビン
のβ鎖の少なくとも1残基の4Å内に存在することが
知られている。同様に、β残基146(HC3)His,145(HC
2)Tyr,105(G7)Leu,102(G4)Asn,101(G3)Glu,100
(G2)Pro,99(G1)Asp,98(FG5)Val,97(FG4)His,43
(CD2)Glu,41(C7)Phe,40(C6)Arg,37(C3)Trp,36
(C2)Pro,35(C1)Tyr,34(B16)Valがヒト・デオキシ
ヘモグロビンのαβ界面の反対側に存在している。
β102(G4)Asnの突然変異が特に好ましい。Hgカンザ
スは、この残基がThrに変化する低親和性突然変異体と
して知られている。前述のように、オキシ状態は、βAs
n102とαAsp94間の水素結合によって安定化する。上記
好ましい突然変異は、この水素結合を分裂させる。
この部位における別の好ましい突然変異はβAsp102で
ある。この群とαAsp94間のマイナス電荷・マイナス電
荷反発作用はオキシ状態をさらに不安定化するだろう。
β102遺伝子座におけるさらに別の好ましい突然変異
は、Ser(Hb Beth Israel),Lys(Hb Richmond)および
Tyr(Hb St.Mande)へのものであろう。
ヘモグロビンの安定性の増進 赤血球内にはシトクロムb5とグルタチオン還元系がヘ
モグロビンをして活性のフェロ鉄を維持することに役立
っている。血流中の遊離ヘモグロビンは、少なくとも一
部分、フェリ鉄状態に急速に酸化される。というのはヘ
モグロビンを赤血球外にあって還元された形に維持する
手段はないからである。Val−E11残基をIleまたはLeuと
いった大きな脂肪族アミノ酸と置換することによってこ
のフェロ鉄を安定化することが可能である。この位置に
おける大きな側鎖は、電子ドナーが鉄原子に到達するこ
とを阻止し、自己酸化率を緩和する。His63→Phe突然変
異体もまた興味深い。
もしヘモグロビンが、より高い分子量の集塊を形成す
るよう分子間で架橋され、また二量体への解離を防止す
るよう分子内で架橋されるなら、ハプトグロビンと反応
することも、腎臓の糸球体膜を通過することもないだろ
う。ヘモグロビンの酸素結合特性が影響を受けることが
なければ、上記架橋が蛋白質の配座的変化を妨げない、
ということが重要である。これはヘム・ヘム間の相互作
用が、2つの4次構造間の可逆的遷移から発生するから
である。即ち、低い酸素親和性のT構造である。これら
両構造は高い酸素親和性を持つ。これら両構造はα
βのサブユニット間の接触において異なる。したがっ
てこの接触は、酸素の会合と解離を伴う配座的変化を経
るために許容されなければならない。
部位特異的変異導入は、ヘモグロビンの特定表面残基
をシステイン残基と置換するために使用される。新規な
ジスルフィド結合をリゾチーム、ズブチリシンおよびジ
ヒドロ葉酸レダクターゼに導入するために使用される操
作技術に類似の蛋白質操作技術を使用できる。そのよう
な−SH基を有するヘモグロビン分子はジスルフィド架橋
または2つの機能を持つチオール試薬を介して架橋でき
る。His143βがCysによって置換された自然突然変異体
(Hb Ranier)が存在し、上記新規に導入されたシステ
インが、生体内のCys93βとのジスルフィド結合を形成
する。この突然変異は生Hbより安定である。
第2表は通常のヘモグロビンより酸素に対し低い親和
性を示すものと考えられる非自然発生的ヘモグロビンの
候補の一覧表である。
所望のヘモグロビンを通常のヘモグロビンから識別す
るアミノ酸配列変化を決定した後、発現ベクター[the
expression vector]を設計することが必要である。最
も便利な開始点は、通常のヘモグロビンの発現をコード
するヌクレオチド配列である。次にこの配列を部位特異
的変異導入によって改造することができる。
部位特異的変異導入技術はよく知られているが、本発
明はそのうちの何らかの特定技術に限定されるものでは
ない。これら技術中2つの主要なものはgapped duplex
法(A.A.,Kruse,K.B.,Brown,J.L.BioTechniques 6,338
−339,1988)と、M−13法(Zoller,M.J.とSmith,M.Met
h.Enz.100,468−500,1987)である。
あるいは、所望の突然変異を持つ部分列が合成され、
その後、その所望分子を形成するため残りの部分列に連
結反応させることでもよい。
遺伝子はプロモータの制御下に位置づけられなければ
ならない。構造的または誘導的プロモータのいずれでも
使用されてよい。各々の長所短所は分子生物学の技術と
してよく知られている。宿主中で機能するプロモータが
選択されなければならない。こうして当該発現ベクター
がバクテリア宿主中に導入されるときは、バクテリア・
プロモータが、酵母宿主[a yeast host]のときは、酵
母プロモータが、哺乳類細胞宿主のときは、哺乳類プロ
モータが各々選択される。選択された宿主細胞に感染す
るウイルスのウイルス遺伝子プロモータでも使用できる
ことが理解されなければならない。本発明はプロモー
タ、宿主のいずれかの選択にも依存していない。しかし
突然変異ヘモグロビンの部分列精製が特に複数でない宿
主を選択することが好ましい。
同様の理由から、突然変異ヘモグロビンが融合蛋白質
の部分として発現されることが、必須ではないが、好ま
しい。融合蛋白質として以外にα鎖を発現する試みは殆
ど成功しなかった。しかしα鎖全体の配列はβ鎖部分を
有する融合蛋白質の一部として発現され、後者から特異
的切断部位を提供するスペーサによって分けられる。ヘ
モグロビンは、分泌された融合蛋白質を適当な切断環境
中に置くだけで取得される。多数の融合蛋白質切断の実
験系が当該技術で今日知られている。
突然変異のヘモグロビンを発現し、回収し、精製し終
えたら、対照例中に挙げたプロトコルに従って、そのP
50が測定される。好ましくはそのP50は、同一環境下で
測定されるときは通常のヘモグロビンAのそれより少な
くとも10%高くあることがよい。
P50を体内赤血球レベルまで回復するため、十分な2,3
−DPGとストローマ・フリーの通常のヘモグロビンを組
合せることは実際的でない。どちらかと言えば右寄りな
突然変異のヘモグロビンを少量の2,3−DPGまたは機能的
に類似の有機リン酸(例、ピリドキサールリン酸または
ATP−ジアルデヒド)と組合せて全血の酸素運搬能力を
模倣することは可能であろう。“シミュレートされた赤
血球”を得るため、有機リン酸の半減期はリポソーム中
に有機リン酸および突然変異体ヘモグロビンを包むこと
によって、あるいはヘモグロビンに有機リン酸基を共有
結合的に付着させることによって改善し得る。
対照例 本請求の範囲の目的上必要な、精製されたヘモグロビ
ン溶液のP50測定の好ましい方法は、次の通りである。
薄膜技術を用いてヘモグロビン・酸素平衡データを測
定する(Imai,K.Meth.Enz.76,438−449,1981)。緩衝液
(50mM Bis−Trisまたは100mM HEPES)中のヘモグロビ
ンのサンプル(0.6mM)、pH7.4,0.1M Naclがセルに加え
られる。次に25℃で平衡化される。ヘモグロビンが低い
親和性を持っていても、そこの気圧が分子を飽和するに
十分な局所圧を作り出すために背向的な「abient]酸素
を阻止するものであっても、そのヘモグロビンは空気流
によってO2または空気/O2と飽和される。脱酸素化はセ
ルへのO2流入を止め、セルをN2(>99.98%純粋)で洗
うことにより達成される。酸素平衡曲線は、セル中のO2
圧に対する560nmでの吸光度変化をプロットすることに
より得られる。飽和度は,測定した所与の分圧P(i)
時のA560を当初のA560(すなわち完全飽和されたHgb溶
液の)で割り算することによって決定される[A
560(i)/A560(100%)×100=飽和度]。P50は、O2
結合部位の50%飽和をもたらすために必要とされるO2
分圧P(i)として定義される。
P50はその他の条件下でも測定され得るが、多くの環
境要因がヘモグロビンの酸素親和性に影響することが注
意されなければならない。P50に対するpH,CO2,無機アニ
オン、有機リン酸塩および温度の影響についてはBunnFo
rget,HEMOGLOBIN:MOLECULAR,GENETIC AND CLINICAL ASP
ECTS 37−47,95−98(W.B.Saunders Co.;1986)に論述
されている。
全血酸素結合曲線の多くの定量が標準生理条件(37
℃、pH=74,PCO2=40mmHg)下で行われるので、文献の
値に調節することが必要であろう。これとの関係で、10
℃の増加はP50に2倍近い増加をもたらすが、P50のpHへ
の依存性は、おおよそΔlog P50/Δ pH=−0.5である。
精製されたHbのP50値を全血のP50値と比較することは
不明確であり得る。全血、あるいは単離された赤血球は
ヘモグロビン・酸素結合曲線の形状を自然に変化させる
多くの成分を含んでいる。赤血球はHgbをエフェクタ分
子2,3−DPGの高濃度下でカプセルに包み、HgbをしてO2
に対し著しく低い親和性を持たしめる。その他の内赤血
球成分もまた結合曲線の形状に影響する。即ちAPT,Cl-,
CO2,H+,オルトリン酸塩、メトヘモグロビンおよびカル
ボキシヘモグロビンである。これらの物質は精製された
Hgb溶液中には通常存在しない。したがって精製されたH
gbのP50値は全血中に見られるP50よりも低い。1つのHg
b・酸素親和性の非常に重要なモジュレータはCl-イオン
である。Cl-イオンは、約0.15Mの生理濃度における赤血
球の外側の血清中に発見される。Cl-はより低いO2親和
性をもたらすので、血流中に注入されたときはin vitro
で測定されたP50を有するHgb溶液もずっと低いO2親和性
を持つ。全血へのO2結合を測定する上でのもうひとつの
問題は、赤血球がきわめて破壊されやすく、O2結合を測
定するために使用する器具内へ赤血球を操作する過程
で、少なくとも少割合の赤血球が溶解してしまうことは
避けられないということである。溶解された赤血球は、
2,3−DPGから離れたHgbを周囲の培地内に漏らす。した
がって遊離したHgbは内赤血球Hgbよりも高い親和性を持
っているので、溶解された赤血球は高いO2親和性を持
ち、全血のP50決定にとって虚偽の低いP50値をもたらし
得る。生理的条件の下では全血は26〜28mmHgというP50
値を持つ。しかしHgbが全血から単離されたとき、研究
者の実験条件次第では、測定されたP50は1〜10mmHgと
いうオーダー上にある。こうした理由により、Hgb・酸
素の平衡を測定するには、緩衝液、pHおよび塩濃度の厳
正な条件下で、精製されたHgb分子と測定することが最
も正確である。残念ながら、in vitro系でHgb酸素結合
を測定するに当り研究者全員に納得される“標準”とい
うものはない。
依然として多くの突然変異ヘモグロビンが患者の全血
中でまづ同定されるので、本来のHgbと突然変異体Hgbの
O2に対する全血と精製されたHgb調整品との間の相対的
親和性を比較したくなる。その一例はHgb Chico(βlys
66→tyr)(第1表)。もし精製された突然変異体Hgb
(10.1mmHg)のP50値だけを試験する者は、Hgbは通常の
全血(27.2mmHg)のそれよりも少ないP50値を持ってい
ることを理解するだろう。それでもそのヘモグロビンが
生理的条件下に赤血球中で測定されるときは、通常の全
血(38mmHg)より高いP50を持っていることは明らかで
ある。代用血液として血流中に注射されたときは、P50
値が全値Chicoから、精製されたHgb Chicoへ変化するそ
の程度を予測することができない。しかし次のことを結
論することはできる。即ちP50は純粋な形でのそれより
も高くなり、また突然変異体Hgbに有機リン酸塩が反応
することにより、そのP50はさらに高くなることであ
る。
全血酸素解離曲線は、慣習的に標準生理条件下(37
℃、pH7.4,PCO2=40mmHg)で定量されており、赤血球2,
3−DPGは、年令、性およびコンディション如何で変化す
るということにも注意されたい。
(実施例1:人工的な通常のヘモグロビンの生産) M13 mp11 FXの構築 M13 mp11 FXは、因子Xaの認識部位を含む配列(Ile−
Glu−Gly−Arg)をコードする。このM13誘導体は、因子
Xaの認識配列をいかなるコード配列に連結するのにも使
用できる。Nagai,EP Appl.161,937(CELLTECH LTD.)参
照。しかし本発明は、M13の使用、あるいは因子Xa切断
システムの使用に限定されるものではない。
すべてのDNA操作は、Maniatis等の(‘Molecular Clo
ning'Cold Spring Harbour,New York,1982)に記載され
ているように実行される。温度感受性溶原株MZ−1(ga
lKam 8attL BamN7N53cI857 H1,his−,ilv−,bio−,N+,
これはDr.K.Mckenneyの寄贈で、Medical Research Coun
cilに申請して入手できる)が、λPLプロモータを持つ
プラスミドのための宿主株として使用され、Remaut等の
方法(Gene 15,81−93(1981))によって形質転換[tr
ansformation]が行われた。その他のプロモータや宿主
株も使用することもできるだろう。
T4 DNAリガーゼが、株 NM989(Murray等のJ Molec Bi
ol 132,493−505(1979))およびTait等の,J Biol Che
m 255,813−815(1980))から調製された。制限酵素は
New England BioLabsから購入した。
2つのオリグヌクレオチド、dTACCCTCGATGGATCと、dC
ATCGAGGGTAGGCCが、ホスホトリエステル方法で制御され
た細孔ガラス支持体(Sproat等の,Tetrahedron Lett,2
4,5771−5774(1983))上に合成され、高速液体クロマ
トグラフィ(Gait等の,Nucleic Acids Resaerch 10,624
3−6254(1982))によって精製された。これらのオリ
ゴヌクレオチドは、BamH1−Stulリンカー中のペプチド
配列(gly)−ser−ile−glu−gly−argをコードしてい
る。これら2つのオリゴヌクレオチドは、T4ポリヌクレ
オチド キナーゼ(P−L,Biochemicals)およびr[γ
32P]ATP(3000Ci/mモル、Amersham)とのホスホトリ
エステル化後にアニーリングすることができ、連結反応
してコンカテマーを形成した。そのDNAは、その後BamH
Iと共に消化され、M13 mp11の脱リン酸化BamH Iサイト
中にクローニングされ、第1a図に示すように、イソプロ
ピル−β−D−チオガラクト−ピラノシドと、5−ブロ
モ−4−クロロ−3−インドリル−β−d−ガラクトシ
ド(シグマ)との存在下に、青色のプラークを形成する
M13 mp11 FXを産出する。
mp11 FXα−グロビンの構築 40マイクログラムのクローニングされたヒトα鎖グロ
ビンcDNAが制限酵素Nco I及びApa Iで切断された。切り
取られたα鎖グロビン断片の一本鎖の末端は、30mM酢酸
ソーダpH4.6,50mM塩化ナトリウム、1mM塩化亜鉛、5%
グリセロール中、200単位のヤエナリ・ヌクレアーゼ[m
ung bean nuclease](P−L Biochemicals]を用い
た、0℃、10分間の培養によって整えられた。α鎖グロ
ビン配列は、次いで上記Nagai & Thogersen、Nature30
9,810−812のM13 mp11 FXのStu I部位にクローニングさ
れた。数個のクローンのDNA配列が決定され(Sanger等
のProc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463−5467(1977))、
そして、αグロビン遺伝子の最初のバリン・コドンが、
因子Xa認識部位(Ile−Glu−Gly−Arg)をコードするDN
A配列に連結されたクローンは、mp11 FXαグロビンと名
付けられた。
pLc IIβ及びpLc II FXβの構築 プラスミドpLc II FXβ及びpLc IIβは、夫々因子Xa
分解部位を用いて又は用いずに、λC II蛋白質の31アミ
ノ末端残基及び完全ヒトβ鎖グロビンからなるハイブリ
ッド蛋白質の効率的生産を決定する。
多くの制限部位を含むEco−Hind III断片は、M13 mp1
0(上記のビエイラ等)から切り出され、pLmp10を作る
ために、EcoR I−Hind IIIで切ったpLc245(上記Remaut
等)に結合された。nutR,tR1部位及びc II遺伝子の一部
を含む319 bp Alu I断片が、pKG1805(Mckenney,K PhD
Dissertation,The Johns Hopkins University(198
2))から切り出され、βガラクトシダーゼ・αペプタ
イド遺伝子に対し同方向にあるM13 mp10のSma I部位中
にクローニングされた。λDNA配列を含むEcoR I−Hind
III断片が次に切り取られ、pLc IIを作成するためpLmp1
0のEcoR I−Hind IIIの部位にクローニングされた。
完全ヒトβ鎖グロビンcDNA配列は、不完全cDNAクロー
ン(pJW102)(Wilson等のNucleic Acids Research 5,5
63−581(1978)とゲノムDNAクローン(Lawson等の,Cel
l 21,647−651(1980))とから調製された制限断片を
結合することにより、再構築され、M13 mp9中のSma I−
Hind III部位にクローニングされた。かくして得られた
M13 mp9βcDNAは、開始コドンにあるNco I部位で切開さ
れ、同一塩基配列の末端を得るため100マイクロM4dNTP
の存在下にKlenow DNAポリメラーゼ(Boehringer Mannh
eim)で処理された。β鎖グロビンcDNA配列は、次いでH
ind IIIで切断され、そして、pLc IIのBamH I(満たさ
れた)−Hind III部位に挿入された。こうしてβ鎖グロ
ビン遺伝子が、M13 mp10から誘導された小リンカーDNA
を経由して同位相にλ遺伝子に融合された。
pLc II FXβを構築するために、M13 mp9βcDNAが、Nc
o Iで切開され、40マイクログラムのDNAが、5′末端を
除去するため0℃で10分間、30mM酢酸ソーダpH4.6,50mM
塩化ナトリウム、1mM塩化亜鉛、5%グリセロース中
で、200単位のヤエナリ・ヌクレアーゼ[mung bean nuc
lease](P−L Biochemicals)で処理された。β鎖グ
ロビンcDNA配列は、Hind IIIで切断され、Stu I−Hind
酸で切断したM13 mp11 FX中にクローニングされた。DNA
配列はβグロビン遺伝子の第1バリン・コドンがIle−G
lu−Gly−Argに対するDNA配列コードによって先行され
たことを確かめるため、ジデオキシ連鎖停止法(Sanger
等、PNAS 74,5463−5467(1977))によって決定され
た。次いで、βグロビン配列の一部を持つBamH I断片が
切断され、第1b図に示されるように、pLc II FXβを形
成するために、BamH Iで消化されたpLc IIβ中にクロー
ニングされた。
pLc II FXβFXαの構築 mp11 c II FXβFXを得るために、M13 mp11 FXβグロ
ビンDNAが、一本鎖に準備され、Bgl II部位がKN83と呼
ばれる突然変位誘発性オリゴデオキシヌクレオチド、dA
CCACTTCAGATCTGTTACCTTG、を用いてβグロビン配列中に
導入された。この突然変位株クローンの複製は、Sac I
及びHind IIIで切断され、得られたc II FXβFX断片
は、pLc II FXβFXを形成するために、Sac I/Hind III
で切断したpLmp IIにクローニングされた。この組換え
プラスミドは、Bgl IIで消化され、線状DNAの5′末端
燐酸基が、コウシ腸アルカリ性ホスファターゼで除去さ
れた。mp11 FXαグロビンの複製は、BamH lで切断さ
れ、FXαグロビン含有の断片が、pLc II FXβFXαを形
成するため線状化されたpLc II FXβFXと結合された。
このプラスミドは、λファージc II蛋白質の31アミノ末
端残基、テトラペプチドIle−Glu−Gly−Arg、ヒトβグ
ロビンの20アミノ末端残基、テトラペプチドIle−Glu−
Gly−Arg及びカルボキシル末端におけるヒトαグロビン
からなる融合蛋白質をコードしている。融合蛋白質遺伝
子の転写は、λPLプロモータで開始され、λリプレッサ
ーによって調節される。
通常のα鎖およびβ鎖グロビンの組換体の発現 pLc II FXβFXαグロビンまたはpLc II FXβグロビン
を持っている大腸菌E.coli QY13(S.Brenner寄贈、Medi
cal Research Councilに申請すれば入手可能)の欠陥λ
ファージ溶原菌株が、30℃で2xTY媒質(1リットル中、
16gトリプトン、10g酵母エクストラクト及び5g塩化ナト
リウムを含む)中、アムピシリン(25マイクログラム/m
l)の存在下、育成された。吸光度(600 nm)が1.5〜1.
6に達したとき、温度を急激に上昇させ、15分間42℃に
維持し、引き続き更に37℃で3〜4時間培養された。細
胞が収穫され、液体窒素中に冷凍された。
細胞(100g)は解凍され、50mMトリス塩酸(pH8.0)/
25%シュクロース(wt/vol)1mM EDTAの80mlに懸濁さ
れ、リゾチイム(200mg)の添加により溶菌された。次
いで、MgCl2、MnCl2及びDNase Iが、夫々、10mM、1mM及
び10マイクログラム/mlの最終濃度で加えられた。30分
培養の後、0.2M NaCl/1%デオキシコリック酸/1.6%ノ
ニデットP−40[Nonidet P−40](vol/vol)/20mMト
リス−HCl(pH7.5)/2mM EDTAの200mlが溶菌物[lysat
e]に添加され、溶菌物は次いで5000×gで10分間遠心
分離された。それから、ペレットが0.5%トリトンX−1
00/1mM EDTA中に懸濁され、遠心分離された。この操作
は、堅いペレットが得られるまで繰り返された。蛋白質
ペレットは、c II FXβ鎖グロビン融合蛋白質の場合に
は、最後に8M尿素/25mMトリス−HOAc(pH5.0)/1mM EDT
A/1mMジチオスレエトールに溶解された。c II FXβFXα
グロビン融合蛋白質の場合には、ペレットはまず6M塩酸
グアニジン/25mMトリス−HOAc(pH5.0)/1mM EDTA/1mM
ジチオスレエトールに溶解された。
融合蛋白質溶液は、次いで、同じ緩衝剤で平衡に保た
れた4×10cm CM−セファロース[Sepharose](Pharma
cia)カラムに加えられた。融合蛋白質は、8M尿素/25mM
トリス−HOAc pH5.0/1mM EDTA/1mMジチオスレエトール
及び0.2M NaClを持つ同じ緩衝液500mlで形成される線状
勾配で溶出された。融合蛋白質は、更に5Mグアニジン−
HCl/50mMトリス−HCl/1mM EDTA/1mMジチオスレエトール
で平衡に保たれた5×60cmセファアクリルS−200カラ
ム上で、いかなる不純物痕跡をも除去するために精製さ
れた。集められたフラクションは、50mMトリス−HCl(p
H8.0)/0.5M尿素/1mM CaCl2に対して強力に透析され
た。
蛋白質分解 c II FXβFXαグロビン又はc II FXβグロビン融合蛋
白質は、プロムシアンにより活性化されたセファロース
−6B上に固定されたRussel's Viper(ヨーロッパクサリ
ヘビ)毒で活性化された血液凝固因子Xaとともに0℃に
保持された。2、5、15、30、60、及び120分の間隔
後、100μlずつまでアリコート(試料の一部)を採取
した。100μlの蛋白質サンプル緩衝剤(Laemmli,197
0)及びの1μlの100mM DTTが各アリコートに加えられ
た。それから、SDSポリアクリルアミド・ゲルに加えら
れる前に沸騰された。c II FXβFXα融合蛋白質の因子X
aによる切断は、多数のポリペプチド生成物を生成す
る。これは蛋白質内の二つの確認部位の存在に拠る。完
全な消化は、三つのポリペプチド、一つのc II蛋白質断
片及びβグロビン断片(これらは両者ともカルボキシル
末端におけるテトラペプチドIle−Glu−Gly−Argを伴っ
ている)、及び所望のαグロビンを遊離させる。融合蛋
白質の部分消化は、二つの他の生成物を与える。
c II FXβの因子Xaによる分解は、二つの生成物、c I
I断片及び所望のβグロビンを生成する。
大腸菌中に生成されるαグロビンを持つ半人工的Hbの生
成 25mgのクロルヘミンが、0.1N KOHの2.5mlに溶解さ
れ、さらに20mlの水と2.5mlの1M KCNで30倍に希釈され
た。通常のβ鎖は、20mMの燐酸カリ緩衝液pH5.7,1mMジ
チオスレエイトール(DTT)に溶解され、COで泡立たさ
れた。大腸菌中に生成されたαグロビンは、5mg/mlの濃
度の8M尿素/50mMトリス−Cl pH8/1mM EDTA/1mM DTT中に
溶解され、室温で3時間保持された。α鎖グロビン溶液
は、20倍容量の30mM燐酸カリ緩衝液pH5.7,1mM EDTA 1mM
DTTに穏やかに撹拌しながら滴下された。ヘミン−ジシ
アナイド溶液(αグロビンに対し1.2当量)がαグロビ
ン溶液に滴下され、β鎖は少し過剰に添加された。半人
工的Hbが、0.1M燐酸カリ、pH7.6 1mM EDTA、1mM KCNに
対して、1晩透析された。
大腸菌中に生成されるβ鎖グロビンを持った半人工的Hb
の生成 β鎖グロビン(100mg)が、5 mg/mlの濃度まで8mM尿
素、50mMトリス−Cl pH8.0、1mM DTT、1mM EDTAに溶解
され、室温で1時間保持された。β鎖グロビン溶液が、
10mMトリス−Cl pH8.0中の16倍容量α鎖グロビン溶液
(Hgb Aから単離されたか、又は組換え技術により製造
されたかのどちらかによる)(3.2mg/ml)に滴下され
た。ヘミン−ジシアナイド溶液(βグロビンに対して1.
2当量)が穏やかに撹拌されながら滴下された。半人工
的なHbが、0.1M燐酸カリ pH7.4 1mM EDTA、1mM EDTA、
1mM KCNの2回透析された。
全人工的ヘモグロビンの生成 凍結乾燥された組換えα及びβグロビンが、8M尿素/5
0mMトリス−Cl、pH8.0/1mM EDTA/1mM DTETに溶解され、
5mg/mlの濃度に薄められ、室温に3〜4時間保持され
る。α鎖グロビンは次いで0.3mg/mlに冷された20mM K2H
PO4,pH5.7/1mM EDTA/1mM DTTで希釈された。ヘミン(25
mg)が、2.4ml 0.1M KOHに希釈され、1M KCNの等容積で
希釈された。この溶液は次いで、貯蔵用のリン酸緩衝液
でヘミン0.1mg/ml及び20mM K2HOP4,pH6.7に調整する。
この溶液からのヘミンは、冷却されたαグロビンに2.8
モル過剰に添加された。βグロビンの等モル量が添加さ
れ、溶液は、0.1m K2HOP4、pH7.6/1mM EDTA/1mM KCNに
対して1晩4℃で透析された。
半人工的又は全人工的Hbの精製 人工的Hbが、ジアフロ[diaflo]PH−10半透膜(アミ
コン[Amicon]を用いて限外ろ過によって濃縮され、ゴ
ム隔壁を持った200mlねじ蓋付き試験管に移された。ヘ
モグロビン溶液は、真空吸引により脱酸素し、窒素で洗
い出し、それから溶液はCOで飽和された。100mMのナト
リウム・ジチオナイト溶液が、空気を含まない状態で、
ゴム隔壁を持った20mlのねじ蓋付き試験管に準備され
た。ジチオナイトの4.5当量がスポイトでHb溶液に添加
され、混合物が氷上で15分間保持された。
Hb溶液は、4×40cmセファデクスG−25(ファイン)
カラム上で10mM燐酸ナトリウム緩衝液pH6.0に対して、
ゲルろ過された。Hbは次いで同じ緩衝液で平衡に保った
2×10cm CM−52(Whatman)カラムに加えられた。クロ
マトグラフィは、10mM燐酸ナトリウムpH6.9の500mlから
70mM燐酸ナトリウム緩衝液pH6.9の500mlにリニアーに展
開された。COが酸素の流れ下での光分解により、Hbから
除去された。このHbは通常の酸素結合性質を示す。
全人工的ヘモグロビンは、共に大腸菌又は赤血球以外
の性質をもつ他の宿主中で生成されるところのαグロビ
ン及びβグロビンの結合にヘム源を加えて製造される。
実施例2:低酸素親和性ヘモグロビン突然変異の産生 pLc II FXβグロビン(Thr102)の構築及び突然変異の
誘起 配列dGGAGCCTGAAAGTCTCAGGAの合成オリゴヌクレオチ
ドが、刊行されたmRNA配列情報[Bunn & Forget,eds.,
Hemoglobin:Molecular,Genetic and Clinical Aspects,
W.B.Saunders Co.,Philadelphia,PA,169〜222(198
6)]からデザインされ、制御されたガラス支持体上で
合成された。オリゴヌクレオチドは、ゲル精製され[Ll
oyd et al.,BioTechniques 4,8〜10(1986)]、M13 mp
10 c II FXβグロビンへの部位特異的突然変異導入をzo
ller及びSmith[Methods in Enzymlogy 100,Academic P
ress,New York,468〜500(1983)]の方法によって開始
するために用いられた。
突然変異オリゴヌクレオチドは、Asp102に対する野性
型コドンを中心にその隣接したβ鎖構造遺伝子配列に相
補的である。この三塩基において、特異的塩基置換が、
ACT−Thr102,即ちカンザスβグロビン突然変異[Bonave
nture & Riggs,J.Biol.Chem.243,980〜991(1968)]
で特徴付けられているアミノ酸配列変化の特性をもたせ
るように上記オリゴヌクレオチドにデザインされた。こ
の置換に用いられた特定のThrコドンは、最初のカンザ
ス単離体で発見された物とは異なっているが、遺伝子に
対する形質が高度に発現されている大腸菌遺伝子[Gran
tham等、Nucleic Acids Res.2,r43〜r74(1981)]にお
いて優先的に用いられる。
突然変異株β鎖グロビンの製造 in vitroでの突然変異導入反応の生成物は、塩化カル
シウム・ショック[Maniatis等、Molecular Cloning,Co
ld Spring Harbor Laboratory,New York,250〜251(198
2):Nagai & Thogersen,Methods in Enzymology,前
記]の標準的操作によって、コンピテントE.coli Mz-1
[galKam 8attL BAmN7N53c I857 H1,His-,ilv-,bio-N+,
Dr.K.Mckenney寄贈。Medical Research Councilに申請
して入手可能]に形質転換された。
望ましい突然変異M13バクテリオファージ構造体に取
り込まれた形質変換細胞[transformants]が次いでプ
ローブとして末端ラベルされたガンマ[32P]オリゴヌ
クレオチドを用いて高精度の微分プラーク・ハイブリダ
イゼーション・スクリーニング[diferential plaque−
hybridization screenings]によって同定された。
燐酸化ハイブリダイゼーションプローブの各々を準備
するため用いた反応物質は、全反応混合物50ul中に300p
M(2ug)のオリゴヌクレオチド、100pM(0.7mCi)のガ
ンマ[32P]−ATP(特異的活性約6000Ci/mM)の15ユニ
ットT4ポリヌクレオチドキナーゼであった。37℃で2時
間保持後、末端ラベルしたオリゴマーが、逆相C−18 s
ep−paks(Waters Associates Milfors,MA)を用いて、
オルソ燐酸塩及び取り込まれなかった前駆体ヌクレオチ
ドから分離精製された。この後者の操作は、塩水溶液中
のC−18カートリッジ上に燐酸化反応混合物を負荷する
こと、水に続いて10%メタノールでオルト燐酸塩及び取
り込まれなかったATPを溶出し、次に精製オリゴマーを6
0%メタノールで溶出することを含む。この微分ハイブ
リダイゼーションにおいて比較的よく採用されるプロー
ブは、突然変異オリゴヌクレオチド及び同じコード範囲
における野性型β鎖DNA配列に完全に相補的な20−mer
(dGGAGCCTGAAGTTCTCAGGA)の両者であった。
望ましいM13ファージ構造体のいくつかの同定及びプ
ラーク精製(Zoller & Smith,前後)後、M13 mp10 c I
I FXβグロビン(Thr102)と呼ばれる、反応物質Thr102
突然変異株の一つが、コドン102における望ましい突然
変異すなわちβ鎖構造遺伝子コード配列における唯一の
あの特定アミノ酸置換を含むことが、DNA配列分析(San
ger等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74,5463〜5467(197
7))により更に明らかにされた。
M13 mp10 c II FX−グロビン(Thr102)RF DNAの大規
模製造は次のように実施された(rECINOS,Ph.D.Dissert
ation,Vanderbilt University(1987))。宿主E.Coli
が、2ug/mlチアミン添加M9最小媒地(上記Maniatis等)
中で37℃で1晩成長させられた。この細胞培養の0.3ml
が次いで14.7ml 2X YT媒地に希釈(1:50)され、37℃に
おける成長が更に2時間続けられた。後者の培養は、再
び150ml 2X YTの最終容積に希釈(1:10)された。この
細胞溶液は、約1の感染率で上記プラーク精製突然変異
M13ファージ構造体で接種された。このファージ感染菌
は、次いで37℃において14時間激しく振られた。RF[Re
plicative Form](複製形)製造のための細胞は遠心分
離(5000×g,10分、4℃)により収穫された。突然変異
株ファージ上澄液は、ファージ精製のため及び一本鎖鋳
型構造のためのプロトコル(上記のZoller & Smith,)
のスケール・アップに用いる為、−20℃で貯蔵された。
二本鎖RF DNAは、次のように細胞ペレットから製造さ
れた。ペレットはアルコール・ドライアイス浴で10分間
冷凍され、20℃で解凍され、10ml 125%シュクロース、
50mMトリス−HCl(pH8.0)中氷上で完全に懸濁された。
リゾーチーム[lyzoyme]が4mg/mlの最終濃度に加えら
れ、氷上で5分間保持された。EDTAが次いで80mMの最終
濃度に添加され、再び氷上で5分後、等量の0.5%トリ
トオンX−100、50mMトリス−HCl(pH8.0)、62.5mM ED
TAが加えられた。この溶液は氷上で15分以上保たれ、次
いで5M NaClが1Mの最終濃度に添加された。最後の溶液
は、ベックマン型70Tiローター壜に入れられ、更に氷上
で3時間保持した後、15℃で75分間40,000rpmで遠心分
離された。RF DNAは上澄液を除去し、等溶のイソプロパ
ノールを添加して−20℃で20分間沈澱させられた。DNA
沈澱はペレットにされ、10mMトリス−HCl(pH8.0)、1m
M EDTA、100mM食塩中で再懸濁され、37℃で2時間、RN
アーゼ(最終濃度100ug/ml)で処理された。この溶液は
フェノールとクロロホルムで(各1回)抽出された。DN
Aは、エタノールで沈澱され、30mlの10mMトリス−HCl
(pH8.0)、1mM EDTAに再懸濁された。DNAは、CsCl−エ
チジウムブロマイド密度勾配遠心分離により、2つのバ
ンドになる。1つのDNAバンドからエチジウムブロマイ
ドを除くためCsCl−飽和イソプロパノールで4回抽出さ
れ、DNA及びCsClがエタノールで沈澱された。CsClが、1
0mMトリス−HCl(pH8.0)、0.2mM EDTA中の再懸濁とそ
れに対する透析によって、DNAペレットから除去され
た。0.5mlトリス−HCl(pH8.0)中における最終のエタ
ノール沈澱及び再懸濁液はβグロビン発現構造体へ突然
変異βグロビン構造遺伝子をサブクローニングする用途
の為、精製されたM13 mp10 c II FXβグロビン(Th
r102)RN DNAを150ugを与えた。
突然変異β鎖配列は、次の操作によってβ鎖発現ベク
ター、pLc II FXβグロビン(nic-)に移動された。突
然変異株クローンRF(50ug)は、制限酵素Sac I及びHin
d IIIで切断され、得られた生成物c II FXグロビン(Th
r-102)断片は、1%前処理アガローズゲル(上記Mania
tis等)から単離され、フェノール冷凍、解凍操作(Bns
on,BioTechniques 2,77〜78(1984))によりゲル精製
された。発現ベクターDNAの約200ugが大腸菌QY13形質変
換細胞ペレットから、RF産生の為の上記方法と殆ど同じ
方法によって、単離精製された。このプラズマDNA(20u
g)は、同じようにSac I及びHind IIIで切断され、更に
バクテリアのアルカリフォスファターゼ(Bethesda Res
earch Laboratories,Gaithersburg,MD)で、ベクタDNA
から5′燐酸を除去するために処理された。これによ
り、次のリゲーション反応中の挿入DNA無しに、自己環
化反応を防止できる。
精製突然変異挿入用DNA断片が、次いで適切な挿入末
端濃度において発現構造体へもどされて連結され、同時
に前以ってその中に存在した相補鎖に対合させる野性型
コーディング[coding]配列に取って換えた。リゲーシ
ョン反応条件(New England Biolabs,Inc.,Beverly,MA
の操作から変形された)は、500mMトリス−HCl(pH7.
8)、100mM MgCl2、6mM ATP,2mMジチオスレエイトール
中の11ugベクターDNA及び2.1ug精製挿入用DNAであっ
た。全反応容積=125ul。リゲーションに対する接種
は、16℃で10時間行われた。最終のリゲーション反応混
合物が、アムピシリン耐性に対する選択で欠陥大腸菌QY
13を形質変換するために用いられた。
突然変異β鎖の発現のための望ましいプラスミド構造
体をもっている形質変換細胞は、プローブとして上記し
た末端標識突然変異及び野性型オリダヌクレオチドを用
いて、微分コロニーハイブリダイゼーションスクリーニ
ング(Grunstein & Hongness,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
72,3961〜3965(1975)を改良した方法で)によって同
定された。正確なプラスミド構造は、更に制限酵素分析
及びHPLCにより野性型c II FXβグロビン融合生成物か
ら別々にクロマトグラフィーで分離される蛋白質の発現
により明らかにされる。突然変異βグロビンが産生さ
れ、精製され、通常のβグロビンに対して前述したよう
に、αグロビンと結合された。
pLc II FXβグロビン(Ile67)の構築及び突然変異の誘
起 val67コドンの突然変異は、M13 mp10 c II FXβグロ
ビン中のβグロビンcDNA配列へ、上記の突然変異誘発体
(dGCACCGAGGATTTTCTTGCC)を用いて導入された。突然
変異βグロビンが、産生され、精製され、そして突然変
異ヘモグロビンを得るために、野性型βグロビンに対し
前述したのと同様にαグロビンと結合された。
pLc II FXβグロビン(phe63)の構築及び突然変異誘起 his63コドンの突然変異は、M13 mp10 c II FXβグロ
ビン中のβグロビンcDNA配列中へ、上記の突然変異誘発
体(dTTCTTGCCGAAAGCCTTCA)を用いて導入された。突然
変異βグロビンが産生され、精製され、突然変異質ヘモ
グロビンを得るために、野性型βグロビンに対して前述
と同様にαグロビンと結合された。
突然変異体ヘモグロビンの性質 Hgb(βphe63)Hgb(βile67)のための酸素平衡研究
が、0.05M bis−Tris pH7.4,0.1M NaCl中に、温度25℃
で、K.Imai(Meth.Enz.76,438−449,1981)の自動記録
装置を使用して行われ、また、Hgb(βthr102)につい
ては、0.1M HEPES pH7.4,0.1M NaCl中で、薄層光学的セ
ル(Gill,S.J.Meth.Enz.76,427−438,1981)を使用して
行われた。結果は第3表に示す。
実施例3:代用血液溶液 精製されたヘモグロビンは生理的に受け入れられる代
用血液溶液中に混合される。好ましい溶液は、次の成分
を含む。即ち、 Hgb(mg/1) 60〜120 ナトリウム(mEq/1) 135〜145 カリウム(mEq/1) 3.5〜4.5 塩化物(mEQ/1) 90〜110 好ましくはこの溶液は、pH7.3〜7.5で、280〜310の浸
透圧モル濃度、20〜30mmHgのオンコティック圧[anonco
tic pressure]を持つ。浸透圧モル濃度は、追加的成分
であるグルコース(好ましくは0〜30gm/1)は勿論、ヘ
モグロビン濃度と電解質によっても制御される。オンコ
ティック圧は、ヘモグロビン濃度およびその架橋程度に
よって制御される。アルブミン(0〜70gm/1)、デキス
トラン(0〜100gm/1)、ポリエチレン グリコール
(0〜25gm/1)のような試薬[agents]が、オンコティ
ック圧を増加させるため添加されてもよい。さらにメト
ヘモグロビン形成の程度を減少させるため、マンニトー
ル(0〜20gm/1)、グルタチオン(0〜4gm/1)、アス
コルビン酸(0〜0.3gm/1)、ビタミンE(0〜100IU/
1)のような酸化防止剤または遊離基スカベンジャーを
加えてもよい。
もし低い酸素親和性突然変異ヘモグロビンが使用され
るときは、組成物の電解質とか、pHその他の性質につき
適切な選択をして好ましいいレベルに溶液のP50を調節
することが望ましい、あるいはそれが必要である。好ま
しくは、溶液は最終的に標準生理条件下で24〜32torrの
P50である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 ホフマン、ステフェン、ジェイ. アメリカ合衆国、コロラド州 80207、 デンバー、アルビオン ストリート、 2090 (72)発明者 ナガイ、キヨシ イギリス国、ケンブリッジ シービー4 2エィエス、マルベリィ クロース 19 (56)参考文献 米国特許4529719(US,A) Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,Vol.82,p.7252− 7255 Nature,Vol.309,p.810 −812 Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,Vol.77,p.7054− 7058 J.Biol.Chem.Vol. 243,p.980−991 日常診察と血液,Vol.4,No. 12(1994),p.1581−1586 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 A61K 37/14 WPI/L(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全組換え突然変異ヘモグロビン及び薬学的
    に許容できるキャリアを含む、非毒性でストローマ・フ
    リーの薬学的組成物。
  2. 【請求項2】前記突然変異ヘモグロビンが非自然発生ヘ
    モグロビンである請求の範囲第1項に記載の組成物。
  3. 【請求項3】前記突然変異ヘモグロビンが、αサブユニ
    ットに突然変異を有する請求の範囲第1項に記載の組成
    物。
  4. 【請求項4】標準生理条件下で約24〜約32トルのP50
    有する請求の範囲第1項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】前記突然変異ヘモグロビンが、最も近接な
    原子間距離でヘム部分の4Å内にあるアミノ酸残基の突
    然変異を有する請求の範囲第1項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】前記突然変異ヘモグロビンが、最も近接な
    原子間距離で前記突然変異ヘモグロビンの第2のグロビ
    ンサブユニットの第2残基の4Å内にある第1のグロビ
    ンサブユニットのアミノ酸残基の突然変異を有し、前記
    サブユニットの一方がαであり他方がβである請求の範
    囲第1項に記載の組成物。
  7. 【請求項7】前記突然変異ヘモグロビンが、突然変異体
    Hirosaki、Torino、Moabit、Titusville、Raleigh、Con
    necticut、Moscva、Rothschild、Hazebrouck、Hammersi
    mith、Louisville、Sendagi、Cheverley、Okaloosa、Bo
    logna、Cairo、Chino、Bristol、Seattle、Vancouver、
    Korle−Bu、Mobile、Rahere、Pyrgos、Roseau−Point
    e、Agenogi、Caribbean、Kansas、Beth、Israel、Sain
    t、Mande、Richmond、Burke、Yoshizuka、Presbyteria
    n、Peterborough、New York、HopeおよびHimejiを特徴
    付けるアミノ酸変化から成る群から選択された突然変異
    を有する請求の範囲第1項に記載の組成物。
  8. 【請求項8】前記突然変異ヘモグロビンが、α鎖突然変
    異46 phe→thr、46 phe→ser、46 phe→ala、58 his→p
    he、58 his→trp、61 lys→thr、61 lys→ser、61 lys
    →met、61 lys→asn、62 val→leu、62 val→ile、62 v
    al→phe、62 val→trp、65 ala→asp、94 asp→gln、94
    asp→thr、94 asp→ser、94 asp→lys、94 asp→glyお
    よび94 asp→arg、並びに、β鎖突然変異21 asp→ala、
    21 asp→ser、45 phe→ala、45 phe→thr、45 phe→va
    l、63 his→phe、63 his→trp、66 lsy→ser、66 lys→
    asn、67 val→phe、67 val→trp、67 val→ile、70 ala
    →glu、70 ala→ser、70 ala→thr、96 leu→phe、96 l
    eu→his、96 leu→lys、98 val→trp、98 val→phe、10
    2 asn→asp、102 asn→glu、102 asn→arg、102 asn→h
    is、102 asn→gly、108 asn→argおよび108 asn→gluか
    ら成る群から選択された突然変異を有する請求の範囲第
    1項に記載の組成物。
  9. 【請求項9】血液の酸素輸送能力補足用である請求の範
    囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 【請求項10】46 phe→thr、46 phe→ser、46 phe→al
    a、58 his→phe、58 his→trp、61 lys→thr、61 lys→
    ser、61 lys→met、61 lys→asn、62 val→leu、62 val
    →ile、62 val→phe、62 val→trp、65 ala→asp、94 a
    sp→gln、94 asp→thr、94 asp→ser、94 asp→lys、94
    asp→glyおよび94 asp→argから成る群から選択された
    αサブユニット突然変異を有する、低酸素親和性の全組
    換え非自然発生ヘモグロビン。
  11. 【請求項11】21 asp→ala、21 asp→ser、45 phe→al
    a、45 phe→thr、45 phe→val、63 his→phe、63 his→
    trp、66 lys→ser、66 lys→asn、67 val→phe、67 val
    →trp、67 val→ile、70 ala→glu、70 ala→ser、70 a
    la→thr、96 leu→phe、96 leu→his、96 leu→lys、98
    val→trp、98 val→phe、102 asn→asp、102 asn→gl
    u、102 asn→arg、102 asn→his、102 asn→gly、108 a
    sn→argおよび108 asn→gluから成る群から選択された
    βサブユニット突然変異を有する、低酸素親和性の全組
    換え非自然発生ヘモグロビン。
  12. 【請求項12】αグロビンの発現をコードする第1ヌク
    レオチド配列およびβグロビンの少なくとも10アミノ酸
    セグメントの発現をコードする第2ヌクレオチド配列を
    含み、両配列は単一のプロモーターの制御下にある、組
    換えDNA分子。
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