JP3034325U - ボタンホールを備えたネクタイ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カッターシャツに細工を施すことなくネクタ
イを首に結んだ後にタイピンを使用することなくカッタ
ーシャツに簡単に固定できるようにすること。 【解決手段】 一半部を太帯部１Ａとし他半部を細帯部
１Ｂとして連続する帯状ネクタイの細帯部１Ｂに、カッ
ターシャツ３等のいずれかのボタン４を掛けることがで
きるボタンホール２が縦方向に複数配置して形成され
る。ネクタイ１を首に巻きつけて結んだ後に細帯部１Ｂ
を止め小帯１Ｃに挿通させて、カッターシャツ３のいず
れかのボタン４を細帯部１Ｂのいずれかのボタンホール
２に掛けることにより、タイピンを使用することなく、
胸部前面に位置する細帯部１Ｂと太帯部１Ａとをカッタ
ーシャツ３から離反しないで身体に沿わせるようにして
おくことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案はボタンホールを備えたネクタイに係り、詳しくは、タイピンを使用す ることなく、胸部前面で垂れ下がる帯部をカッターシャツ等から離反することな く身体に沿わせておくことができるようにしたネクタイに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

帯体の略中央部位を首に巻きつけて結び、カッターシャツ等の胸部で垂れ下が るように装身するネクタイは、そのままの状態では、カッターシャツ等の胸部で 外面に現れて垂れ下がる太帯部とその内側で胸部に沿って垂れ下がる細帯部がふ らつくことになる。そこで、ふらつきを嫌う人は、通常ピンチ式やピン式のタイ ピンを使用している。

【０００３】 ピン式のタイピンは通常ピンホルダーに繋がれた鎖の先端の環フックをカッタ ーシャツ等のボタンにひっ掛けておき、ピン体を帯状ネクタイの一半部を形成す る太帯部から他半部を形成する細帯部に通し、そのピン体をピンホルダーに差し 込み固定して使用される。また、ピン体を太帯部，細帯部およびカッターシャツ 等にも通して、ネクタイをカッターシャツ等に完全固定している人もいる。

【０００４】 しかし、ピン体をネクタイに通すとピン孔が残って、以後の使用において太帯 部の見栄えを損なうことになったり、長持ちしなくなる。一方、ピンチ式のタイ ピンは太帯部，細帯部およびカッターシャツ等を一度に挟み込むだけであり、ピ ン式のように太帯部の表側の面に疵を残すことはないが、動いているうちにタイ ピンの姿勢が変化したりずれたりしやすい。それに気づかなければ、ネクタイの 固定が不十分となるだけでなく装身状態も乱れたものとなる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記したネクタイの乱れ等を避けるため、個人的には密着式のマジ ックテープを使用してネクタイをカッターシャツ等に固定している例がある。マ ジックテープの例えば雄布を細帯部の胸に沿う面に、またカッターシャツ等の前 面に雌布をそれぞれ目立たないように貼付しておき、ネクタイを首に巻きつけた 後に細帯部を、太帯部の裏面で横方向へ延びるように取りつけた止め小帯に通し 、その止め小帯から下方に出た細帯部の雄布をカッターシャツ等の雌布にワンタ ッチで密着させるようにしている。

【０００６】 このようにすれば、ネクタイをカッターシャツ等に固定することは極めて簡便 なものとなるが、細帯部に雄布もしくは雌布を貼付しておくとネクタイの柔軟性 が損なわれ、ネクタイを首に巻きつけて結ぶ際の操作が容易でなくなる。一方、 カッターシャツ等にも雌布または雄布が貼付されることになり、ネクタイを使用 しないでカッターシャツ等を着流している場合には、異物が人目につくことにな って外観を損なう難点がある。もちろん、既製のカッターシャツ等に雌布等を爾 後的に貼付しなければならず、貼付されていないカッターシャツ等にはネクタイ を固定できなくなり、やはりタイピンを使用せざるを得なくなるといった欠点も 生じる。

【０００７】 マジックテープの雄布や雌布を小さくしておいても相互の密着は軽いネクタイ を止めておくに十分であるが、ネクタイを首に巻いたとき細帯部が常に所望する 長さだけ垂れ下がるように結ぶことは手間ひまを要する。そこで、細帯部の垂れ 下がりに長短が生じても密着操作を可能するために雄布または雌布をやや長くし ておくとよいが、この場合には前記した難点が助長されることになって好ましく ない。

【０００８】 本考案は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、ネクタイを首に結ん だ後にタイピンを使用することなくカッターシャツ等に簡単に固定できること、 ネクタイの見栄えが損なわれることなく、また、マジックテープ等を貼付した場 合のように帯部の柔軟性が損なわれることなく結びやすくしておくことができる こと、カッターシャツ等には特に細工を施す必要がなく、いずれのカッターシャ ツ等にも固定できること、を実現したボタンホールを備えたネクタイを提供する ことである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、帯体の一半部を太帯部とし他半部を細帯部としてその太帯部と細帯 部とが連続し、帯体の略中央部位を首に巻きつけて結び、カッターシャツ等の胸 部で外面に現れて垂れ下がる太帯部の内側で細帯部が胸部に沿って垂れ下がり、 その太帯部の裏面に横方向へ延びて細帯部を挿通させるための止め小帯が取りつ けられているネクタイに適用される。その特徴とするところは、図１の（ａ）お よび（ｂ）を参照して、細帯部１Ｂには、カッターシャツ３等のいずれかのボタ ン４を止めることができるボタンホール２が縦方向に複数配置して形成され、首 に巻きつけて結んだ後に細帯部１Ｂを止め小帯１Ｃに挿通させ、カッターシャツ ３等のいずれかのボタン４をいずれかのボタンホール２，２に掛けることにより 、タイピンを使用することなく、胸部前面に位置する細帯部１Ｂと太帯部１Ａと をカッターシャツ３等から離反することなく身体に沿わせておくことができるよ うにしたことである。

【００１０】 ボタンホールは細帯部１Ｂに配列することに代えて、図４の（ａ）および（ｂ ）のように、ボタンホール２０，２０がテープ材１０に複数長手方向に配置して 形成され、そのテープ材１０が上下方向に延びるようにして、少なくともその上 下端部を細帯部１Ｂの裏面に取りつけておいてもよい。

【００１１】

【考案の効果】

本考案によれば、タイピンを使用することなくまたカッターシャツ等に何らの 細工を施しておく必要なく、いずれのカッターシャツ等にもネクタイを固定する ことができる。タイピンを使用しないのでタイピンが原因するネクタイの損傷や 見栄えの低下をきたすこともなく、帯体の柔軟性も保持されて首に巻きつける操 作を阻害することもない。さらには、細帯部の垂れ下がりに長短が生じても、い ずれかのボタンホールにカッターシャツ等のいずれかのボタンを掛けることがで きるので、ネクタイを常時身体前面の中央に保持して装身状態の乱れの発生を防 止することができる。もちろん、ボタンホールは装身状態では人目に触れず、ネ クタイに施された図柄等のデザインを損なうこともない。

【００１２】 請求項２の考案によれば、ネクタイにボタンホールを設ける作業をネクタイの 製作とは独立して行うことができ、既製のネクタイにも上記した機能や効果を発 揮させるようにすることができる。

【００１３】

【考案の実施の形態】

以下に、本考案に係るボタンホールを備えたネクタイを、その実施の形態を示 した図面に基づいて詳細に説明する。図２の（ａ）は図柄等のデザインが施され た帯状をなすネクタイ１の表側の面であり、帯体の略中央部位を首に巻きつけて 結び、カッターシャツの胸部で垂れ下がるように装身されるものである。このよ うな帯状のネクタイ１はカッターシャツの胸部で外面に現れて垂れ下がる太帯部 １Ａとその内側で胸部に沿って垂れ下がる細帯部１Ｂとからなり、それらが連続 していることは周知のとおりである。

【００１４】 このようなネクタイ１は左右が折り返され、図２の（ｂ）に示すように、裏側 の面の略中央で重ねて縫いつけられている。もちろん、図示しないが、裏側への 折り返しのないものや、太帯部１Ａと細帯部１Ｂの太さの違いが図示のようには っきりと現れていないものもある。しかし、いずれにしても、太帯部１Ａの裏面 には横方向へ延びて細帯部１Ｂを挿通させるための止め小帯１Ｃが取りつけられ ている。

【００１５】 このようなネクタイ１の細帯部１Ｂにはカッターシャツのいずれかのボタンを 止めることができるボタンホール２，２が縦方向に複数配置して形成される。こ のボタンホール２は図２の（ａ）および（ｂ）からも分かるように、細帯部１Ｂ において表裏を貫通している。もちろん、ボタンホール２はネクタイ１が完成し た後にミシン等を用いて穴かがりをすればよい。ボタンホール２は図２の（ｂ） のように細帯部１Ｂの長手方向に延びる一列としてもよいし、図３の（ａ）のよ うに二列としてもよい。

【００１６】 そのボタンホール２，２の上下の間隔は例えば約５ｃｍとしておけばよい。こ のような寸法にしておけばカッターシャツのボタンの上下間隔の約１／２となり 、ネクタイを締めたときに細帯部１Ｂの長さに多少の相違が生じても、いずれか のボタンをボタンホール２に掛けることができる。ちなみに、ボタンホール２を 二列設ける場合には千鳥配列が好ましく、ボタンホールが適度の間隔を確保して 数多く設けることができ、ボタンを掛けやすくなることは述べるまでもない。

【００１７】 このような構造のネクタイ１によれば、次のようにして、ネクタイ１をカッタ ーシャツの胸部に沿わせてタイピンを使用することなく固定することができる。 まず、ネクタイ１を首に巻きつけて結んだ後に、細帯部１Ｂを図１の（ａ）のよ うに止め小帯１Ｃに挿通し、図１の（ｂ）に示すように、カッターシャツ３のい ずれかのボタン４をいずれかのボタンホール２に掛ける。

【００１８】 このような操作において、細帯部１Ｂを止め小帯１Ｃに挿通して下方に出た部 分のボタンホール２ａ，２ｂのいずれかにボタン４を掛ければ、太帯部１Ａが止 め小帯１Ｃを介して細帯部１Ｂと一体化されやすく、太帯部１Ａのふらつきが少 なくなる。もちろん、例えばボタンホール２ａもしくは２ｂにボタン４を掛ける と共に、止め小帯１Ｃより上に位置するボタンホール２ｃ，２ｄ，２ｄ，２ｅの いずれか一つにもボタン４を掛ければ、太帯部１Ａと細帯部１Ｂとの一体性はよ り一層向上する。

【００１９】 しかし、上記したように細帯部１Ｂが止め小帯１Ｃに挿通されてさえいれば、 止め小帯１Ｃより上に位置した例えばボタンホール２ｄのみにボタン４を掛けて も太帯部１Ａが簡単に乱れるようなことはない。もし、それだけで不十分と感じ れば止め小帯１Ｃより下のボタンホール２ａまたは２ｂにもボタン４を掛けるこ とができ、ネクタイ１の乱れを即座に防止することができる。

【００２０】 いずれの止め方にしても、タイピンを使用することなく、胸部前面に位置する 細帯部１Ｂと太帯部１Ａとをカッターシャツ３から離反することなく身体に沿わ せておくことができるようになる。このようなことから分かるように、タイピン を使用しなくてもネクタイ１をカッターシャツ３に簡単に固定できるが、ピン式 のタイピンを使用した場合に生じるようなピン孔跡を残して太帯部１Ａの見栄え を損なわせるようなことはなくなる。マジックテープ等を貼付した場合のように 帯部の柔軟性が損なわれることもなく、首に巻きつけて結びやすい状態にしてお くことができる。カッターシャツ３には何らの細工を施しておく必要がなく、い ずれのカッターシャツにでも適用することができるようになる。

【００２１】 上記したごとく、細帯部１Ｂにはボタンホール２が縦方向に複数配置して形成 されることから、カッターシャツ３のいずれかのボタン４に接近して配置するこ とができるので、細帯部１Ｂの垂れ下がりに長短が生じても、ネクタイ１をカッ ターシャツ３にフィットさせることができる。たとえ弛むことがあっても僅かで あり、見栄えを損なうこともない。

【００２２】 逆に、体操をする場合などのように上体を反ったり立てたりする挙動をとると きには、直立しているときに使用される例えばボタン４ｂとボタンホール２ｂと の組み合わせを採用することなく、意図的に例えば一つ上に位置するボタン４ｃ をボタンホール２ｂに掛ければ自由が得られやすくなる。

【００２３】 ボタン４とボタンホール２との組み合わせはいかなるものを採用しようとも、 ネクタイ１を装身した状態の乱れの発生が未然に防止される。もちろん、ボタン ホールは装身状態で人目に触れず、ネクタイに施された図柄等のデザインを損な うこともない。

【００２４】 ところで、太帯部１Ａの裏面の止め小帯１Ｃは通常一つであるが、図３の（ｂ ）のように同様な止め小帯１Ｃを二つ上下に設けておいてもよい。このようにし ておけば、ネクタイ１をカッターシャツ３に完全に固定しておきたい場合のボタ ンを掛ける位置を随時複数箇所の中から選択しやすくなる利点がある。

【００２５】 図４は異なる例であり、ボタンホールは細帯部１Ｂに直接あけられていない。 すなわち、同図の（ａ）のように、ボタンホール２０がテープ材１０に複数長手 方向に配置して形成されて、このテープ材１０が上下方向に延びるようにして細 帯部１Ｂの裏面に取りつけられている。このテープ材１０は、少なくともその上 端部２１Ａと下端部２１Ｂが細帯部１Ｂに縫いつけられるが、略中央部２１Ｃに も縫糸を施しておけば、いずれの位置のボタンホール２０にボタンを掛けてもテ ープ材１０が細帯部１Ｂから大きく離れることはない。

【００２６】 もちろん、細帯部１Ｂを前記した止め小帯１Ｃに挿通させたときテープ材１０ が止め小帯１Ｃよりも上にも下にも現れるようにしておくことが好ましい。しか し、図１等の例の場合もそうであるが、ボタンホール２，２０を止め小帯１Ｃか ら下方にはみ出る部分のみに設けることもできる。いずれにしても、カッターシ ャツのボタンを掛けた後に、そのうちのいずれかのボタン４を図４の（ｂ）のよ うにテープ材１０のボタンホール２０に掛ければよい。

【００２７】 このようなテープ材１０を使用すれば、ネクタイ１にボタンホール２０，２０ を設ける作業がネクタイの製作とは独立して行うことができるので、ボタンホー ルを備えたネクタイを好む人と好まぬ人を区別することなく、ネクタイを大量に 生産しておくことが可能となる。もちろん、既製のネクタイにも爾後的にテープ 材１０を縫いつけるなどして取りつけることができ、その機能や効果を略同様に 発揮させることができる。この場合にも、止め小帯１Ｃを上下二箇所に設けるよ うにしたり、ボタンホールを二列にしたり、それを千鳥配置することも差し支え ないことは言うまでもない。

【００２８】 以上の説明において、ネクタイをカッターシャツに固定する例で述べたが、カ ッターシャツに限らず、胸部にボタンを備えたスポーツシャツやその他のシャツ にも使用することができる。一方、上記したテープ材は通常布製でよいが柔軟な ものであれば材質を特定する必要もなく、その幅や長さも細帯部に見合ったもの としておけばよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るボタンホールを備えたネクタイ
であって、（ａ）は結んだ状態を装身者の胸側から前方
を見たネクタイの裏面図、（ｂ）は装身者の側方から見
たボタンホールを使用した固定状態の一例を示す装着
図。

【図２】 ボタンホールを備えたネクタイの全体を示
し、（ａ）は表側の面を表した表面図、（ｂ）は裏側の
面を表した裏面図。

【図３】 （ａ）はボタンホールを複数の列となるよう
に設けた場合の細帯部の裏側の面の部分図、（ｂ）は止
め小帯を太帯部の裏側の面に上下二箇所設けた場合の裏
面図。

【図４】 （ａ）はボタンホールを設けたテープ材を細
帯部の裏側の面に取りつけた場合の裏面図、（ｂ）はテ
ープ材を取りつけたネクタイを側方から見た装身図。

【符号の説明】

１…ネクタイ、１Ａ…太帯部、１Ｂ…細帯部、１Ｃ…止
め小帯、２，２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ，２ｅ…ボタンホ
ール、３…カッターシャツ、４，４ａ，４ｂ，４ｃ，４
ｄ，４ｅ，４ｆ…ボタン、１０…テープ材、２０…ボタ
ンホール。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 帯体の一半部を太帯部とし他半部を細帯
   部として該太帯部と細帯部とが連続し、帯体の略中央部
   位を首に巻きつけて結び、カッターシャツ等の胸部で外
   面に現れて垂れ下がる前記太帯部の内側で前記細帯部が
   胸部に沿って垂れ下がり、該太帯部の裏面に横方向へ延
   びて前記細帯部を挿通させるための止め小帯が取りつけ
   られているネクタイにおいて、 前記細帯部には、前記カッターシャツ等のいずれかのボ
   タンを止めることができるボタンホールが縦方向に複数
   配置して形成され、首に巻きつけて結んだ後に前記細帯
   部を前記止め小帯に挿通させ、前記カッターシャツ等の
   いずれかのボタンを前記いずれかのボタンホールに掛け
   ることにより、タイピンを使用することなく、胸部前面
   に位置する前記細帯部と太帯部とをカッターシャツ等か
   ら離反することなく身体に沿わせておくことができるよ
   うにしたことを特徴とするボタンホールを備えたネクタ
   イ。
2. 【請求項２】 前記ボタンホールは前記細帯部に配列す
   ることに代えて、ボタンホールがテープ材に複数長手方
   向に配置して形成され、該テープ材が上下方向に延びる
   ようにして、少なくともその上下端部が前記細帯部の裏
   面に取りつけられていることを特徴とする請求項１に記
   載されたボタンホールを備えたネクタイ。