JP3034243U - 縦型養液栽培装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 縦型の養液栽培装置であって、同装置の利点
を損なうことなく装置の構成を簡素化して、メンテナン
スフリーの養液栽培装置を提供する。 【解決手段】 養液タンク４に立設された支持筒５には
複数の植え込み部材１が、養液受容部２を支持筒５内に
位置するようにして取り付けられている。各植え込み部
材１の鉢部３には所望の栽培対象植物Ｐが植えつけられ
ており、タイマ９により予め設定された時間間隔で水中
ポンプ８が作動することにより養液タンク４内の養液Ｗ
がホース６、ノズル７を経て支持筒５の上部がら滴下供
給される。供給された養液は各養液受容部２のスリット
２ｃを経て養液受容部２内に進入し、栽培対象植物Ｐは
この養液を吸収し、植物全体が成長する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は養液を用いた植物の栽培装置に係り、特に複数の植物を鉛直方向に配 置して栽培するよう構成した縦型養液栽培装置に関する。

【０００２】

【考案が解決しようとする課題】

土を用いずに特定の養液や水を用いて野菜や花卉類を栽培する養液栽培は作物 の高効率生産や工場的大量生産化の方法として広く実施されている。この養液栽 培は最近では家庭用或いは学校教育用等の小規模な植物の栽培にも応用されるよ うになっている。例えば家庭用として用いる場合には室内、或いはベランダ等に 設置可能であればより広範に装置の使用が可能となる。

【０００３】 考案者は上記趣旨に沿って、栽培対象植物を鉛直方向に配置することにより狭 い場所でも使用可能な縦型の養液栽培装置を提案している（特願平５−１１６５ ７０号）。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述の縦型養液栽培装置の改良に係り、装置としての機能を低下させ ることなく構成を単純化し、市販のポット苗等の利用も可能であり、かつより小 型の装置としても構成可能とした縦型養液栽培装置である。

【０００５】 即ち本考案は、装置基部を構成する養液タンクと、この養液タンクに立設され た支持筒と、この支持筒に直交するように複数配設された植え込み部材と、養液 ポンプ及びこの養液ポンプに接続する養液供給ホースとから成る養液供給手段と を有する縦型養液栽培装置である。

【０００６】

【実施の態様】

本考案の装置では基部に養液タンクが設けられ、この養液タンクに対して例え は円筒形の筒体としての支持筒が立設配置される。この支持筒の壁面には植え込 み部材が挿通固定されるための開口が１以上形成される。

【０００７】 一方植え込み部材は支持筒内に進入位置する養液受容部と、この養液受容部に ほぼ直交するように位置し、上端が開放され、植物を直接植え込む部分とが一体 的に形成され、かつ養液受容部の上部壁面には養液を内部に取り込むため複数の 開口（スリット）が形成されている。

【０００８】 支持筒の壁面には例えば仮想螺旋上に位置するよう開口が順次形成されており 、この開口の内径は植え込み部材の養液受容部の外径とほぼ等しく形成されるこ とにより養液受容部を差し込んだ各植え込み部材は支持筒によって支持されるこ とになる。

【０００９】 一方支持筒内にはこれら各植え込み部材の養液受容部を縫って養液供給パイプ が配置され、その一端は支持筒上部において支持筒下方に向かって開口し、他端 は水中ポンプ等、養液タンク内の養液を揚水するポンプの吐出口に接続している 。またこのポンプの電源側には要すればタイマが配置され、所定の時間にポンプ が自動的に作動するよう構成することも可能である。

【００１０】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面を参考に具体的に説明する。

【００１１】 図１は植え込み部材の構成を、図２は植え込み部材に対する植物の植え込み状 態を、また図３は養液栽培装置全体の構成を各々示す。 先ず、主として図１を用いて植え込み部材の構成を具体的に説明する。

【００１２】 図中矢印１は植え込み部材を示し、同図（ａ）はこの植え込み部材１の側面を 示す。植え込み部材１は養液受容部２と、この養液受容部２にほぼ直交し、かつ 栽培対象植物が直接植え付けられる植え込み部（以下「鉢部」と称する）３とが 一体的に形成されることにより構成されている。

【００１３】 先ず養液受容部２は、全体が略円筒形に形成され、鉢部３と対向する側の端部 には上部壁面から堰板２ａが下垂するよう形成され、かつ下端部は開口部２ｂと なっている〔図１（ｃ）参照〕。一方同養液受容部２の上部壁面にはその壁面の 円周方向に沿って複数の開口（以下「スリット」とする）２ｃが形成されている 。またこのスリット形成部と対向する養液受容部下部壁面には、上記スリットと 同様のスリット（以下「下部スリット」とする）２ｄが一本形成されている。

【００１４】 一方鉢部３は養液受容部２に直交するようにしてこの養液受容部２に連接形成 され、かつ上端は植え込み用の開口３ａとして開放されている。またこの鉢部３ を含め植え込み部材１全体は例えば塩化ビニル等のプラスチック或いはこれと同 効の材料により良好に形成することが可能である。

【００１５】 次に図３により養液栽培装置全体の構成を示す。符号４は養液タンクであって 、例えば装置が家庭のベランダに配置可能な大きさに構成されている場合にはそ の容量は２０リットル程度が好適である。５はこの養液タンク４に対して立設配 置された支持筒であって、前記の如く家庭内での使用を目的とする装置であれば 全高２〜２．５ｍ程度のものが好適である。

【００１６】 支持筒５の周壁には例えば仮想螺旋に沿って複数の開口５ａが形成されている 。これら開口５ａは前述の植え込み部材１の養液受容部２の外径とほぼ等しい内 径を有するように形成され、これら各開口５ａに対して養液受容部２を挿通する ようにして植え込み部材１が挿通固定される（なお、植物の植え込み等に関して は主として図２を用いて後述する）。

【００１７】 符号６は養液供給手段の一部をなすホースであって、支持筒５内に各々突出位 置する各養液受容部２を縫って位置し、その一端は支持筒５の上端部に形成され たノズル７に接続している。但し、支持筒内に予め設置されたノズル７を用いず ホース６の開口端をこのノズル７のように下部に向けて開口位置させるよう構成 することも可能である。またこのホース６の他端は養液タンク４内に配置された 揚水装置である水中ポンプ８と接続している。また図示の構成では水中ポンプ８ の電源側にはタイマ９が接続され、自動給水が可能に構成されている。

【００１８】 次に図２を用いて養液栽培を行う植物（以下「栽培対象植物」とする）Ｐの植 え込み状態を説明する。

【００１９】 先ず植え込み部材１に対し、例えば不織布を短冊状に切断形成した誘導布１０ を配置する。この場合誘導布１０の全長は養液受容部２の全長に対して十分に長 く形成されている。この誘導布１０の一端を鉢部３の開口３ａ近傍に位置させ、 かつ他端は養液受容部２の開口２ｂを経て養液受容部２の全長或いはこれにやや 足りない程度下垂するよう植え込み部材１に配置される。この状態において、礫 （れき）１１を養液受容部２を中心に入れる。但し礫１１は本考案装置に必須の 要素ではなく、根の伸長の早い植物や、水切れに強い植物の場合には使用しなく てもよい場合もある。なお開口２ｂを経て前記誘導布１０の他端を下垂させる代 わりに、この他端を下部スリット２ｄを経て下垂配置させるように構成してもよ い。

【００２０】 栽培対象植物Ｐは例えば園芸店等からポット苗として購入し、植え込みに当た ってはポット１２から取り出し、根土を崩さないようにしてそのまま開口部３ａ を経て鉢部３に植え込み配置する。この状態で植え込み部材１を栽培装置の支持 筒５の所定の開口５ａに挿入固定してセットを終了する。このようにして各植え 込み部材１に所望の栽培対象植物Ｐを植え込み、栽培装置全体のセットを終了す る。

【００２１】 次に装置の作動状態を主として図３を用いて説明する。タイマ９により水中ポ ンプ８は所定の時間間隔で作動する。水中ポンプ８が作動すると、養液タンク中 の養液Ｗはホース６を経て揚水され、支持筒上端のノズル７から、養液タンク４ に向かって散水される。散水された養液Ｗは各植え込み部材１の養液受容部２に 形成されたスリット２ｃを経て養液受容部２内に進入する。これにより養液受容 部２の内部は養液により潤され、栽培対象植物Ｐの根Ｒが伸長すると共に、この 栽培対象植物Ｐも成長する。なお、植え込み部材内に誘導布１０が配置されてい ることにより、養液受容部２に供給された養液Ｗは毛管現象により鉢部３側にも 十分供給される。一方根Ｒはこの誘導布１０に絡み付く様にして伸長するため、 時間の経過と共に開口２ｂを経て誘導布１０の下垂部に沿って下垂伸長すること になる。この場合養液受容部２に溜まった養液Ｗはこの誘導布１０を経て徐々に 外部に排出されるため、この下垂部に絡まった根Ｒに対して少しずつ養液を供給 することができる。

【００２２】 また、前記下垂部の外、養液受容部２に溜まった養液Ｗの一部は下部スリット ２ｄを経て滴下する。下部スリット２ｄはこの養液受容部２の下部に位置する他 の植え込み部材１の養液受容部２の直上に位置するため、下部スリット２ｄから の滴下養液はこの下部に位置する他の植え込み部材の養液受容部２に直接滴下し 、さらに同様に下部の植え込み部材に対しても養液が順次直接滴下されることに なる。即ち下部スリット２ｄを形成することにより、下方に位置する植え込み部 材に対しても養液を十分供給することが可能となる。

【００２３】 次に図示の構成の他、前述の如く誘導布１０の他端を下部スリット２ｄから下 垂させるように構成するようにしてもよい。このようにすると誘導布１０の他端 は下段の養液受容部２のほぼ中央に下垂位置するため、上段側の養液受容部の誘 導布１０沿って伸長した根Ｒは下段の養液受容部２も養液吸収用の空間部として 利用することが可能となる。この構成は特にキュウリ等、水切れに弱い植物には 特に効果的である。因みにこの構成の場合、下段の養液受容部２には礫のみ入れ て植物を植えず、上段の植物の根の伸長を図るための専用部材として利用するこ とも可能である。なお、トマト等ある程度の水切れがあった方が味が良くなる植 物の場合には誘導布１０は図３の如く開口２ｂから下垂させる方が良好な結果を 得ることができる。

【００２４】 上記の構成とすることにより、栽培対象植物Ｐは十分な養液の供給を受けるこ とが可能となる。このため栽培対象植物Ｐとしては比較的小型の花卉類の外、例 えばキュウリ等の大型になる蔓性植物やトマト等従来法では大量の土を必要とす る植物でもベランダ等で容易に栽培することが可能となる。 なお、養液の供給は例えば朝、昼、夕方の所定の時間に、即ち一日３回、例え ば１回４〜５分程度供給する方法の外、１〜２時間毎に、一回２０〜３０秒程度 終日供給する方法等、タイマ９のセットを調節することにより所望の供給方法を 選択することが可能である。因みに、本装置を用いた考案者等の栽培試験によれ ば、夏場に前記キュウリ、トマト等を栽培する場合には後者の如く、比較的短い 時間間隔で終日供給するモードの方が好成績であった。

【００２５】

【考案の効果】

以上具体的に説明したように、本考案は、鉛直方向に配置された支持筒に１以 上配置された植え込み部材に植物を植え込むよう構成され、かつ植え込み部材は 養液受容部及び鉢部が一体化され、基本的にはこの植え込み部材に対して栽培対 象植物を植え込むだけで栽培が可能となるため、植物栽培に場所をとらないとい う縦型栽培装置の利点を損なうことなく、装置の構成を単純化でき、しかも部品 交換等の必要がないため、少なくとも特定の植物を栽培している間は養液の供給 以外に特別の手間は全くかからない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の縦型養液栽培措置に用いる植え込み部
材を示し、（ａ）は植え込み部材の側面図、（ｂ）は同
平面図、（ｃ）は同縦断面図である。

【図２】植え込み部材に対する栽培対象植物の植え込み
状態を示す植え込み部材断面図である。

【図３】縦型養液栽培装置の一部破断断面図である。

【符号の説明】

１ 植え込み部材 ２ 養液受容部 ２ａ 堰板 ２ｂ 開口部 ２ｃ スリット ２ｄ 下部スリット ３ 鉢部 ３ａ 開口 ４ 養液タンク ５ 支持筒 ６ ホース ７ ノズル ８ 水中ポンプ ９ タイマ １０ 誘導布 Ｗ 養液

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の植え込み部材を鉛直方向に配置
   し、揚水手段により各植え込み部材に養液を供給するこ
   とにより植物を栽培する装置において、養液タンクと、
   この養液タンクに立設された支持筒と、この支持筒に配
   設された１以上の植え込み部材と、養液タンク内の養液
   を最上段の植え込み部材から順次滴下供給する揚水手段
   とを有することを特徴とする縦型養液栽培装置。
2. 【請求項２】 前記植え込み部材は、支持筒内に突出位
   置する養液受容部と、この養液受容部に連接する鉢部と
   からなり、養液受容部の上部壁面には滴下された養液を
   流入させるスリットが１以上形成されていることを特徴
   とする請求項１記載の縦型養液栽培装置。
3. 【請求項３】 植え込み部材の養液受容部の下部壁面に
   は１以上の下部スリットが形成されていることを特徴と
   する請求項２記載の縦型養液栽培装置。
4. 【請求項４】 植え込み部材の養液受容部のうち、支持
   筒内側の端部には堰板が下垂配置され、堰板と下部壁面
   との間には開口部が形成されていることを特徴とする請
   求項２又は３記載の縦型養液栽培装置。
5. 【請求項５】 植え込み部材には一端が鉢部の開口近傍
   に位置しかつ他端は支持筒内側端部を経て下垂するよう
   誘導布が配置されていることを特徴とする請求項２乃至
   ４の何れかに記載の縦型養液栽培装置。
6. 【請求項６】 一端が鉢部の開口近傍に位置する前記誘
   導布の他端は、支持筒の下部スリットを経て下垂するよ
   う構成されていることを特徴とする請求項５記載の縦型
   養液栽培装置。