JP3032802U

JP3032802U - 使い捨て紙おしぼり

Info

Publication number: JP3032802U
Application number: JP1996006759U
Authority: JP
Inventors: 英吉三好; 修中野
Original assignee: Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Current assignee: Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Priority date: 1996-06-24
Filing date: 1996-06-24
Publication date: 1997-01-17
Anticipated expiration: 2002-06-24

Abstract

(57)【要約】【課題】本考案は、人体に無害で且つ
抗菌・防黴効果を有し、油汚れや臭いが除去できる使い
捨て紙おしぼりを提供する。【解決手段】我々が日常喫茶している茶の
抽出物であるカテキンとサポニンの混合水溶液をおしぼ
りの原反に含浸することで、油の除去、消臭効果、抗菌
・防黴効果の性能を併せ持つ使い捨て紙おしぼりが得ら
れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、抗菌性と消臭効果があって、特に揚げ物の油汚れを除去しやすく人体に無害の使い捨て紙おしぼりに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、紙タオルや紙おしぼり等は、合成薬品の抗菌剤や防黴剤を添加した水溶液を、薄葉紙を複数枚積層した原反あるいは熱可塑性樹脂フィルムを薄葉紙の間に挟み熱圧エンボス加工を施した原反に含ませたものがほとんどである。

【０００３】使用されるこれらの合成薬品は、抗菌・防黴効果は確かに優れてはいるが、人体に及ぼす影響も必ずしも無害とは言えないものもあり、消臭効果も無いのが実状である。

【０００４】また、最近では使い捨てのおしぼりの使用分野も広がって、単に水で拭き取れる汚れのみを除去するだけでなく、揚げ物などを食した後の油汚れや臭いを除去できる性能が求められるようになってきている。しかし、抗菌剤や防黴剤が人体に安全で、かかる要求を満たすことのできるものはなかった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、これらの問題点を解決することを課題とする。即ち、人体に無害で且つ抗菌・防黴効果を有し、揚げ物などの油汚れや臭いが除去できる使い捨て紙おしぼりを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述した問題点を解決するために、人体に無害で抗菌・防黴効果を有し、油汚れや臭いを除去できる効果を併せ持つ種々の水溶液をおしぼりに含ませて検討した結果、我々が日常喫茶している茶の成分の内、特にカテキンとサポニンの混合水溶液が好適であることを見いだした。

【０００７】茶の抽出成分であるカテキンは、黄色ブドウ球菌、ビブリオ菌、ボツリヌス菌等に対して抗菌作用が強く、インフルエンザウイルスに対する不活性作用を併せ持ったものであり、且つアンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタン等の悪臭を化学的に消臭する性能を有している。

【０００８】このカテキンの水溶液を、おしぼり用の原反に含ませたものを使うと、防水包装した紙おしぼりの使用までの保存期間中、黴や菌類の繁殖を抑制できることや、使用に際して消毒や消臭を兼ねた汚れ除去が可能となった。

【０００９】

【考案の実施の形態】

カテキンの使用量は、５０〜１０００ｐｐｍの溶液濃度が好ましい。５０ｐｐｍ以下だと抗菌・消臭効果が乏しく、１０００ｐｐｍ以上だと抗菌・消臭効果は頭打ちとなり、着色濃度が増し、高価格になるので好ましくない。

【００１０】一方、油汚れの除去効果について鋭意検討した結果、自然界の動植物中に広く分布しているサポニンの内、比較的廉価な茶から抽出したサポニンが油汚れの除去に好適であることを見い出した。

【００１１】サポニンとは、植物に分布する配糖体の一群で、セッケンのように著しく泡立つコロイド水溶液をつくるものの総称で、６０以上の科にわたる植物に見いだされている。その著しい特徴としては、水に溶かして攪拌すると、細かい泡を発生する性質がある。また、経口的には毒性は弱いものである。

【００１２】サポニンの使用量は、３００〜５０００ｐｐｍの溶液濃度が好ましい。原反重量の１．７倍量の水溶液を含ませたおしぼりで、揚げ物等で油汚れした手を拭いてみると、細かい泡が発生し油分を包み込み、食用油等を容易に除去することができた。３００ｐｐｍ以下だと油汚れが除去しにくくなり、５０００ｐｐｍ以上の濃度では除去効果は頭打ちになりそれ以上の効果は期待できない。

【００１３】原反へのカテキンとサポニンの混合水溶液を含ませる量は、原反重量の１．５〜２．５倍量を含ませることが好ましい。原反の種類にもよるが、原反重量の１．５倍以下だと、使用に際して水分が不足して油汚れが拭き取り難くなり、２．５倍以上だと水分が多すぎるため、べたつき感がして不快感が残るため好ましくない。

【００１４】以上述べた如く、茶の抽出物であるカテキンとサポニンを併用して用いれば、カテキンによる抗菌・消臭効果とサポニンによる油汚れ除去効果を持った使い捨て紙おしぼりが提供できる。

【００１５】また、使い捨ておしぼりに使用する原反は、紙、布、不織布等、様々な種類や構造形態が異なっても、含浸液が浸透し、一定の保水量を保つことができ、使用時に破れ難い程度の耐水性があるものであれば、どの様なものでも一向に差し支えない。

【００１６】おしぼりの形態は、特に限定されるものでなく、一個ずつ樹脂フィルムで包装したもの、ポケットテッシュペーパーの様に数枚を樹脂フィルムで包装したもの、複数枚を樹脂の容器などに重ね合わせて入れたもの、ロール状の紙おしぼりを樹脂容器に入れ必要な長さだけ取り出せるようにしたものなど様々な用途に合わせたものを選択できる。

【００１７】透湿性のない包装材料としては、プラスチック製フィルム、プラスチック製成型品等が使用できるが、特に限定されるものでなく抗菌加工を施したもの、プラスチックにアルミの蒸着層を設けたものなども使用できる。

【００１８】実施例．１秤量１６ｇ／ｍ²の無サイズの薄葉紙を２枚づつ重ね合わした紙層間に、厚さ１５μｍのポリエチレンフィルムを挿入した後、熱圧エンボス加工を施し、７０ｇ／ｍ²のおしぼり用の原反を得た。この原反をおしぼり１個分の重量４ｇに裁断した。おしぼり１個分４ｇに対して、カテキン５００ｐｐｍとサポニン１２００ｐｐｍを溶解した含浸液を７ｇ含浸し、厚さ２５μｍのポリプロピレンフィルム製の袋に封入し密封した。

【００１９】実施例．２秤量１６ｇ／ｍ²の無サイズの薄葉紙を２枚づつ重ね合わした紙層間に、厚さ１５μｍのポリエチレンフィルムを挿入した後、熱圧エンボス加工を施し、７０ｇ／ｍ²のおしぼり用の原反を得た。この原反をおしぼり１個分の重量４ｇに裁断した。おしぼり１個分４ｇに対して、カテキン８００ｐｐｍとサポニン５００ｐｐｍを溶解した含浸液を９ｇ含浸し、実施例１と同様に密封した。

【００２０】実施例．３秤量１６ｇ／ｍ²の無サイズの薄葉紙を２枚づつ重ね合わした紙層間に、厚さ１５μｍのポリエチレンフィルムを挿入した後、熱圧エンボス加工を施し、７０ｇ／ｍ²のおしぼり用の原反を得た。この原反をおしぼり１個分の重量４ｇに裁断した。おしぼり１個分４ｇに対して、カテキン１００ｐｐｍとサポニン４０００ｐｐｍを溶解した含浸液を８ｇ含浸し、実施例．１と同様に密封した。

【００２１】比較例．１実施例．１と同じおしぼり用原反（おしぼり１個分４ｇ）に対して、抗菌・防黴剤であるヒビテン酸グリコネートを５００ｐｐｍに溶解した含浸液を調整し、この含浸液を原反に対して７ｇ含浸し、実施例１と同様に密封した。

【００２２】比較例．２実施例．１と同じおしぼり用原反（おしぼり１個分４ｇ）に対して、カテキン３０ｐｐｍとサポニン２００ｐｐｍを溶解した含浸液を７ｇ含浸し、実施例．１と同様に密封した。

【００２３】比較例．３比較例．２と同じ方法で、含浸液を５ｇ含浸し、比較例．１と同様に密封した。

【００２４】比較例．４比較例．２と同じ方法で、含浸液を１２ｇ含浸し、比較例．１と同様に密封した。

【００２５】

【表１】

【００２６】なお、表中、○は優れる、△は劣る、×は非常に劣るを示す。実用的には○に入ることが必要である。

【００２７】表１から明らかのように実施例は、「抗菌・防黴効果」「消臭効果」、「油除去効果」、「拭き取り適性」のいずれにも優れており、本考案の目的を達成できる。

【００２８】従来品に相当する比較例１では、「抗菌・防黴効果」、「拭き取り適性」は優れるが、消臭効果や油除去効果のある物質が含まれていないため「消臭効果」、「油除去効果」が無いことが分かる。また、比較例２、３、４では、カテキンとサポニンの濃度が低いために「抗菌・防黴効果」、「消臭効果」、「油除去効果」はいずれも劣る。「拭き取り適性」は含浸量に依存し、原反重量に対して含浸液の重量が１．２５倍である比較例３、３倍である比較例４は劣ることが分かる。

【００２９】なお、本明細書における「拭き取り適性」とは、油汚れが落ち、汚れを取った後に不快感が残らないことを意味する。

【００３０】以上のことから総合的に評価すると、実施例１、２及び３が優れていることが明らかである。

【００３１】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案の使い捨ておしぼりは、下記に述べるような顕著な効果を有する。茶抽出物であるため、人体に無害である。優れた抗菌・防黴効果を有する。消臭効果を有する。油除去効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の紙おしぼりを樹脂フィルムで包装し
た例。

【図２】本考案の紙おしぼりのロール状物を樹脂容器
に入れ必要な長さだけ取り出せるようにした例。

【符号の説明】

１紙おしぼり２樹脂フィルム３樹脂容器

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】柔軟で吸水性のある耐水紙に、茶抽出物で
あるカテキンの溶液濃度が５０〜１０００pｐｍ、茶抽
出物であるサポニンの溶液濃度が３００〜５０００ｐｐ
ｍである水溶液をおしぼりの原反重量に対して１．５〜
２．５倍含浸させ、水分の蒸発を防ぐために透湿性のな
い材料で包装したことを特徴とする使い捨て紙おしぼ
り。