JP3032798U - 油の飛びはね防止用天ぷら鍋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分を多く含んだ揚げ物を油の飛び散りを受
けずに、かつ鍋本体内の圧力を上昇させることなく安全
な状態で揚げ物を揚げることができるとともに、油の飛
び散りによる汚れを少なくできるようにした油の飛びは
ね防止用天ぷら鍋の提供。 【解決手段】 使用時における鍋本体１の後側となる部
分に、蓋部材４を着脱可能に取り付け、蓋部材４の前側
部材に把手７を突出させるとともに、蓋部材４の後側部
分に、各種形状、配列の開口８が１個以上設けられてい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、イカやカキなどの水分を多く含む揚げ物を安全な状態で揚げること ができる油の飛びはね防止用天ぷら鍋に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の天ぷら鍋では、鍋本体と蓋部材は連結されていないフリーの状態に作ら れ、揚げ物を揚げる場合には、蓋本体内の天ぷら油をガスコンロその他の熱源に より揚げ物に適する温度にまで加熱し、加熱された天ぷら油内に揚げ物を供給し て揚げ物に火を通し、次いで、天ぷら鍋から揚げ物を取り出して油切りをするこ とが行われていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の天ぷら鍋によって揚げ物を揚げる場合には、イカやカキ などの水分を多く含んだ揚げ物を加熱された天ぷら油内に入れると、入れてから しばらくの間は、天ぷら油が激しく飛び散って調理をしている人に多数の小さな 火傷を与えるとともに、天ぷら鍋の周囲全体が飛び散った多数の油滴で汚される ことが多かった。 この不都合を解消すべく鍋本体を蓋部材によって塞ぐと、蒸発した天ぷら油の 蒸気により鍋本体内の圧力が上昇して危険な状態となるため、安全な環境下で揚 げ物を揚げることができなくなる。 本考案はこれらの事情に鑑みてなされたもので、水分を多く含んだ揚げ物を油 の飛び散りを受けずに、かつ鍋本体内の圧力を上昇させることなく安全な状態で 揚げ物を揚げることができるとともに、油の飛び散りによる汚れを少なくできる ようにした油の飛びはね防止用天ぷら鍋の提供を目的としたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前記目的を達成すべくなされたもので、鍋本体は使用時の後側とな る部分に、蓋部材が着脱可能に取り付けられ、蓋部材は前側部分に把手が突出さ れるとともに、後側部分に開口が設けられたことを特徴とする油の飛びはね防止 用天ぷら鍋を考案したものである。 鍋本体の前側への油の飛びはねを防止するとともに、鍋本体内の圧力の上昇を 効果的に抑えたいときには、開口は複数個の長穴で、蓋部材の後側の円周方向に 沿って設けられる構成とすればよい。 また、蓋部材の着脱を容易にするとともに、開かれた蓋部材を安定した状態に 保持したいときには、鍋本体の蓋保持部材はコの字形に形成された一方の折り曲 げ部に軸穴が設けられるとともに、他方の折り曲げ部に前記軸穴と対応する位置 にまで達する上向きの切り欠きが設けられ、また鍋本体に保持される蓋部材の枢 軸は、蓋部材が開かれたときに鍋本体と当接して蓋部材を垂直方向から設定され た角度だけ外側に保持するＵ字形のストッパーに取り付けられている構成とすれ ばよい。

【０００５】

【考案の実施の形態】

以下、本考案に係る実施例を図面に基づいて説明する。 １は左右両側に把手２，２が取り付けられた天ぷら鍋の鍋本体で、この鍋本体 １には、ガスコンロその他の熱源の上に置かれたときの後側となる部分に、蓋保 持部材３が取り付けられている。 天ぷら鍋の蓋部材４は枢軸５の部分で鍋本体１の蓋保持部材３に対して着脱可 能に連結されている。 蓋保持部材３は、鍋本体１の外表面と係合するよう円弧状に形成された円弧状 連結部３Ａと、その両端側で同一方向に折り曲げられた折り曲げ部３Ｂ，３Ｃと から構成されている。 一方の折り曲げ部３Ｂには、蓋部材４の枢軸５と係合する軸穴３ｂが設けられ ており、他方の折り曲げ部３Ｃには、前記軸穴３ｂと対応する位置にまで達する 切り欠き３ｃが上向きに設けられている（図３参照）。

【０００６】 コの字形の蓋保持部材３は、円弧状連結部３Ａの部分を一方の把手２の中心線 から、例えば４５°位後側の鍋本体１の上端側に固定されている。 蓋部材４の枢軸５は、蓋部材４から突出するよう取り付けられたＵ字形のスト ッパー６の蓋保持部材３と対応する位置に固定されている。 Ｕ字形３のストッパー６の蓋部材４から突出する長さは、蓋部材４が開かれた ときに、鍋本体１と当接して蓋部材４を垂直位置から設定された角度、例えば２ ０°前後だけ外側に傾斜させた安定位置に保持できるよう決められる（図５参照 ）。 Ｕ字形のストッパー６は、幾分斜め下向きに突出させるか先端部を下側に湾曲 させると、突出長さを幾分短くすることができる。 蓋部材４は、蓋保持部材３の中心線からほぼ垂直をなす前側部分に、蓋開閉用 の把手７が幾分斜め上向きの径方向に突出されるとともに、後側となる部分に複 数個、例えば５個の開口８が同一円周上に配列するよう設けられている。 開口８は、この実施例では長穴に形成された場合が示されているが、開口８の 形状や個数、その配列の仕方は、この実施例に示したものに限定されないことは 勿論である。

【０００７】 鍋本体１への蓋部材４の取り付けは、蓋保持部材３に近接させた枢軸５を水平 位置から斜め下向きに傾斜させた状態で、枢軸５の下端側を蓋保持部材３の一方 の折り曲げ部３Ｂの軸穴３ｂに挿入したのち、枢軸５の上端側を他方の折り曲げ 部３Ｃの切り欠き３ｃに上側から挿入してその下端に保持させることにより行わ れる（図４参照）。 鍋本体１から蓋部材４を分離する場合は、上記と逆の手順により行われる。 したがって、蓋部材４の着脱がきわめて容易に行い得る上に、鍋本体１の蓋保 持部材３に一旦係合された蓋部材４の枢軸５は、その長さ方向への移動をＵ字形 のストッパー６の幅方向の２辺によって制限され、蓋部材４の連結解除は確実に 防止される。

【０００８】 次に、天ぷら鍋の使用について説明する。 （１）ガスコンロその他の熱源により、鍋本体１内の天ぷら油を揚げ物を揚げる のに適する温度にまで加熱する。 （２）加熱された天ぷら油内に揚げ物を入れたのち、把手７を持って蓋部材４を 閉じる。 （３）蓋部材４の後側の開口８から飛び散る油の量が少なくなったり、飛び散る 蒸気の勢いが弱まった段階で、把手７を持って蓋部材４を開き、揚げ物に火が通 ったのを確認して揚げ物を取り出し、揚げ物に付着した油を切る。 天ぷら油内にイカやカキなどの水分を多く含んだ揚げ物を入れた場合、入れて からしばらくの間の油の飛びはねは特に激しくなる。 しかしながら、鍋本体１を塞いでいる蓋部材４には、後側の円周方向に複数個 の開口８が設けられているだけであるから、天ぷら油から飛びはねた多数の小さ な油滴は、蓋部材４の後側の開口８から斜め上向きに向かって後側に飛び出るだ けで、調理する人がいる鍋本体１の前側への飛び出しは防止される。

【０００９】

【考案の効果】

本考案によれば、次に記載するすぐれた効果が得られる。 請求項１に記載の油の飛びはね防止用天ぷら鍋においては、鍋本体の後側に取 り付けられた蓋部材は、前側部分に把手が突出されるとともに、後側部分に開口 が設けられているため、イカやカキなどの水分を多く含んだ揚げ物を加熱された 天ぷら油内に入れて蓋部材で塞ぐと、天ぷら油から激しく飛びはねる多数の小さ な油滴を、蓋部材の後側の開口から後側の斜め上向きに飛び出させて、前側に飛 び出るのを確実に防止することができる。 このため、鍋本体の前側に位置する調理人は、飛散する油滴によって火傷を受 けなくなる上に、鍋本体の前側が飛散する油滴によって汚されるのを防止するこ とができる。 しかも、加熱された天ぷら油から蒸発する油の蒸気は、蓋部材の後側の開口か ら外側に導くことができるため、蓋部材で閉じられた鍋本体内の圧力上昇を抑え て、安全な作業環境のもとで揚げ物を揚げることができる。 また、蓋部材は鍋本体に対して着脱可能に取り付けられているため、蓋部材を 取り外すと、鍋本体と蓋部材とを能率良く清掃することができる。

【００１０】 請求項２に記載の油の飛びはね防止用天ぷら鍋においては、開口は複数個の長 穴で、蓋部材の後側の円周方向に沿って設けられているため、揚げ物を入れたと きの油の飛びはねや天ぷら油から蒸発する蒸気を、蓋部材の後側の円周方向に沿 って設けられた広い開口面積から分散した状態で後側の上向きに排出することが でき、揚げ物をする場合の安全性をさらに高めることができる。

【００１１】 請求項３に記載の油の飛びはね防止用天ぷら鍋においては、蓋保持部材はコの 字形の一方の折り曲げ部に軸穴が設けられるとともに、他方の折り曲げ部に上向 きの切り欠きが設けられているため、蓋部材の着脱は、枢軸の一端を軸穴に挿入 したのち他端を切り欠きに保持させるか、逆の手順によってきわめて容易に行う ことができる。 また、蓋部材の枢軸は、蓋部材が開かれたときに鍋本体と当接して蓋部材を垂 直方向から設定された角度だけ外側に保持するＵ字形のストッパーに取り付けら れているため、開かれた蓋部材を設定された安定位置に確実に保持して安全な作 業環境のもとで揚げ物を揚げることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す平面図である。

【図２】図１の縦断面図である。

【図３】蓋保持部材の一例を示す斜視図である。

【図４】蓋保持部材に蓋部材の枢軸を取り付ける状態を
示す断面図である。

【図５】Ｕ字形のストッパーによる開かれた蓋部材の保
持状態を示す要部正面図である。

【図６】飛びはねた油滴や蒸発した油の蒸気の排出状態
を示す図１の右側面図である。

【符号の説明】

１ 鍋本体 ３ 蓋保持部材 ３Ｂ 一方の折り曲げ部 ３ｂ 軸穴 ３Ｃ 他方の折り曲げ部 ３ｃ 切り欠き ４ 蓋部材 ５ 枢軸 ６ Ｕ字形のストッパー ７ 蓋部材の把手 ８ 開口

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鍋本体は使用時の後側となる部分に、蓋
   部材が着脱可能に取り付けられ、 蓋部材は前側部分に把手が突出されるとともに、後側部
   分に開口が設けられたことを特徴とする油の飛びはね防
   止用天ぷら鍋。
2. 【請求項２】 開口は複数個の長穴で、蓋部材の後側の
   円周方向に沿って設けられる請求項１に記載の油の飛び
   はね防止用天ぷら鍋。
3. 【請求項３】 鍋本体の蓋保持部材はコの字形に形成さ
   れた一方の折り曲げ部に軸穴が設けられるとともに、他
   方の折り曲げ部に前記軸穴と対応する位置にまで達する
   上向きの切り欠きが設けられ、また鍋本体に保持される
   蓋部材の枢軸は、蓋部材が開かれたときに鍋本体と当接
   して蓋部材を垂直方向から設定された角度だけ外側に保
   持するＵ字形のストッパーに取り付けられている請求項
   １または請求項２に記載の油の飛びはね防止用天ぷら
   鍋。