JP3032395B2 - 高強度バネ用ステンレス鋼、高強度ステンレスバネならびにその製造方法 - Google Patents

高強度バネ用ステンレス鋼、高強度ステンレスバネならびにその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車シートベ
ルトのリトラクター渦巻バネ等に最適で、製造性および
バネ加工性も優れた高強度ステンレスバネ鋼およびバネ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、バネ用ステンレス鋼として、冷間
圧延し加工硬化させたステンレス鋼や析出硬化型のステ
ンレス鋼が使用されてきた。冷間加工により強度を上げ
るステンレス鋼としては、SUS301鋼のように冷間
加工中にマルテンサイト相を生じせしめて強度を上げる
鋼種と、マルテンサイト相を使用せずMn,N等の加工
硬化能を上げる元素を多量に添加する鋼種がある。しか
し、これらの鋼種はいずれも高強度を得るために、相当
量の冷間加工あるいは冷間圧延が必要であり、その後の
延性が低く、バネ加工性も悪い。
【0003】析出硬化型のステンレス鋼としては、微細
なCu相を析出させるSUS630鋼やNiとAlの金
属間化合物を析出させるSUS631鋼等が一般に使用
されている。しかし、熱処理によるマルテンサイト相を
利用するSUS630鋼は引張強度が高々160kgf/mm
2 である。また冷間加工によって生じるマルテンサイト
相を利用するSUS631鋼においては引張強度は19
0kgf/mm2 程度まで引き出すことができるが、強度上昇
による延性低下が大きい。さらにAlを多量に添加する
SUS631鋼においては非金属介在物が鋼中に残存し
やすく、靭性あるいは疲労強度の低下を招きやすい。
【0004】さらに近年、上記の従来鋼種より強度の高
い析出硬化型ステンレス鋼が提案されている。特開昭6
1−295356号公報ではCuとSiを添加した高強
度ステンレス鋼を提案しているが、冷間圧延ままおよび
時効熱処理後のいずれも延性が低く、バネ加工性は良く
ないといえる。また太田鶏一らも、SiおよびCuを添
加した析出硬化型ステンレス鋼を報告している(鉄と鋼
(1978),S386)が、溶体化熱処理後の冷却中
に生じるマルテンサイト相を利用しているため、強度が
不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、例えば自動
車シートベルトのリトラクター渦巻バネ等のように加工
性を必要とする用途で、かつ優れたバネ特性を有する高
強度ステンレスバネ鋼および該鋼より製造するバネを提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴は、
請求項に記述したように、各成分の範囲を規定し、さら
に(1)式および(2)式を満足するように成分のバラ
ンスを制御することにより、溶体化熱処理後にδフェラ
イト相を含まない準安定なオーステナイト相とし、高度
の冷間圧延を行わなくてもバネ加工後の強度を確保する
のに十分な量のマルテンサイト相を生成させることであ
る。第2の特徴は、上記成分鋼で溶体化熱処理後に準安
定なオーステナイト相を有する鋼に対して圧延後の最適
な硬さを規定することにより、圧延後のバネ加工性を良
好に維持しつつ、時効熱処理により硬さが十分向上する
能力を確保させた点である。そして、最適な硬さを満足
するための冷間圧延率も規定している。第3の特徴は、
上記成分バランスを維持しながら鋼中にSiを多量に添
加することにより、バネ加工後の時効熱処理で著しく硬
化させ、優れたバネ特性を付加したことである。これは
冷間圧延時に形成されたマルテンサイト相の中に、時効
熱処理によって微細な(Ni,Cr)−Si系の金属間
化合物を析出するためである。この効果を十分なものに
するためには、Siの含有量と冷間圧延後のマルテンサ
イト相の量が重要である。
【0007】したがって本発明ではSi含有量と冷間圧
延後のマルテンサイト量に対応する冷間圧延後の硬さを
厳密に規定している。さらに、本発明では十分なバネ特
性を付加するための最適な時効熱処理条件も規定してい
る。以上の3つの特徴を有する本発明の規定によって、
バネ加工時の加工性に優れ、加工後の時効熱処理によっ
て十分な強度、バネ特性を有する高強度ステンレスバネ
が実現可能となる。
【0008】
【作用】本発明についてさらに詳細に説明する。まず成
分限定理由について説明する。 C:マルテンサイト相を硬くするとともに、時効熱処理
で早期に微細炭化物が析出し硬化するため、時効熱処理
の効率を向上させる効果を有する。しかし、過度に添加
すると耐食性を劣化させるばかりでなく、本発明の特徴
である冷間圧延後の加工性を低下させる。したがって、
その含有量を0.03%超〜0.20%以下とした。
【0009】Si:本発明で最も重要な元素である。バ
ネ加工後の時効熱処理によって微細な(Ni,Cr)−
Si系の金属間化合物を析出させ、優れたバネ特性を付
加するためには、3.0%超のSi含有量が必要である
が、5.0%を超えて添加するとバネ加工性、鋼板製造
性が急激に低下する。したがって、その含有量を3.0
%超〜5.0%以下とした。
【0010】Mn:フェライト相の形成を抑制し、本発
明で必要な窒素の固溶量を確保するために重要な元素で
ある。オーステナイト相を準安定に維持しつつ、フェラ
イト相の形成を抑制するには2.0%超の含有量が必要
である。しかし、過度に添加するとオーステナイト相が
安定し、(1)式で示すMdを0.0以上に確保するこ
とが難しくなり、バネ加工性も劣化する。したがって、
その含有量を2.0%超〜5.0%以下とした。
【0011】Cr:ステンレス鋼の基本元素であり、優
れた耐食性を得るためには少なくとも11%以上の含有
量が必要である。しかし、過度に添加するとマルテンサ
イト相中にフェライト相が残存し、(2)式で示すFE
を10.0以下に維持することが難しくなる。したがっ
て、その含有量を11%以上〜17%以下とした。
【0012】Ni:Niは溶体化熱処理後の組織をオー
ステナイトにする基本的な元素で、含有量が5%未満で
は(1)式で示すMdを60.0以下に調整することが
難しくなり、溶体化熱処理後の冷却過程でオーステナイ
ト相の一部がマルテンサイト相に変態する。このマルテ
ンサイト相は冷間圧延中あるいは冷間加工中に生成する
マルテンサイト相に比べ強度が低いため、時効熱処理後
に目的の強度、バネ特性を得られない。一方、Niを過
度に添加すると、Mdを0.0以上に維持することが難
しくなり、溶体化熱処理後のオーステナイト相が安定化
し、その後の冷間圧延あるいは冷間加工において十分に
マルテンサイト相が生じなくなる。したがって、Ni含
有量は5.0%以上〜8.0%未満とした。
【0013】N:NはCと同様にマルテンサイト相を硬
くし、時効熱処理で早期に微細窒化物が析出し硬化する
ため、時効熱処理の効率を向上させる効果を有する。し
かし、過度に添加すると耐食性を劣化させるばかりでな
く、本発明の特徴である冷間圧延後の加工性を低下させ
る。したがって、その含有量を0.03%超〜0.20
%以下とした。
【0014】鋼板製造性改善のためAlあるいはCaを
0.01%以下添加することも可能である。これら元素
も過度に添加すると表面疵、バネ使用時の疲労割れの原
因となる。さらに、熱間圧延時、冷間圧延とバネ加工時
に割れあるいは表面疵の発生を抑制するために、鋼中に
含まれる不可避的不純物としてのPおよびSは、それぞ
れ0.03%以下と0.01%以下とすることが望まし
い。
【0015】本発明では、上記のような鋼中成分の個々
の規定の他に、(1)式で示すMd=550-14[Cr]-6[Si]-3
0[Ni]-8[Mn]-450{[C]+[N]}を0.0〜60.0に規定
し、(2)式で示すFE=3[Cr]+4.5[Si]-2.8[Ni]-1.4[M
n]-84{[C]+[N]}-20 を10.0以下に規定することが必
要である。これらの規定により高強度バネ用ステンレス
鋼として最適な金属組織を実現することが可能となる。
【0016】(1)式で示すMdは溶体化熱処理後のオ
ーステナイト相の安定度を示す値であり、溶体化熱処理
後の適度の冷間圧延で十分量のマルテンサイト相を生成
させるためには、Mdを0.0以上、60.0以下に規
定する必要がある。Mdが0.0以下であると溶体化熱
処理後のオーステナイト相が安定で、時効熱処理後の強
度を得るために必要な量のマルテンサイト相を生成する
ためには70%を超える冷間圧延が必要となる。冷間圧
延率が高いと加工硬化が著しくなり、その後の延性が低
下し、バネ加工性が劣化する。また、Mdが60.0を
超えるとオーステナイト相が非常に不安定となり、溶体
化熱処理後の冷却過程でマルテンサイト相が生成する。
このマルテンサイト相は冷間圧延中あるいは冷間加工中
に生成するマルテンサイト相に比べ強度が低いため、時
効熱処理後に目的の強度、バネ特性を得られない。
【0017】(2)式で示すFEは強度、加工性に有害
なフェライト相の形成能を示すものである。このフェラ
イト相は冷間圧延によってマルテンサイト相に変態せ
ず、また時効熱処理でも硬化しないため強度低下を招く
有害な相である。さらにフェライト相が混入するとバネ
加工性、鋼板製造性も低下する。したがって、FEを1
0.0以下とすることにより溶体化熱処理後にフェライ
ト相が残存しないようにすることが必要となる。
【0018】次に、バネとして最適な金属組織は、溶体
化熱処理後にフェライト相を含まないオーステナイト相
を冷間圧延によって、ビッカース硬さで400以上、
50未満の硬さを有するマルテンサイト相とオーステナ
イト相の2相組織である。マルテンサイト相は時効熱処
理後の強度を確保するのに重要であり、残留したオース
テナイト相はバネ加工性と延性を維持するのに必要であ
る。オーステナイト相が多く、ビッカース硬さで400
未満となる金属組織では、時効熱処理による強度上昇が
不十分で優れたバネ特性を得られない。また冷間圧延に
よって生成されるマルテンサイト相が多く、ビッカース
硬さで550以上の金属組織では延性が不十分で、その
後のバネ加工性が劣化する。したがって、ビッカース硬
さで400以上、550未満としなければならない。
【0019】また本発明の成分範囲内で上記硬さ範囲を
満足させるためには溶体化熱処理後の冷間圧延を圧下率
で20%以上、70%以下とすることが有効である。冷
間圧延前に実施する溶体化熱処理は、900℃以上〜1
150℃とすることが有効である。900℃未満では十
分溶体化されず、1150℃を超えて熱処理すると強
度、延性に有害なフェライト相が生成する。
【0020】さらに、冷間圧延により最適な金属組織と
した鋼板を所定の形状にバネ加工を施した後、高強度バ
ネとして使用する前に、マルテンサイト相中に微細な
(Ni,Cr)−Si系の金属間化合物を析出させた状
態にして、ビッカース硬さで600以上としなければな
らない。このマルテンサイト相中の微細析出物により、
高強度ステンレスバネとして必要な強度、バネ特性が付
与される。そして微細な(Ni,Cr)−Si系の金属
間化合物を析出させるためには、250℃〜550℃で
1分〜200分間時効熱処理が有効である。時効熱処理
温度が250℃未満では(Ni,Cr)−Si系の金属
間化合物が析出せず、また550℃を超えると析出物が
成長し、またマルテンサイト相の一部がオーステナイト
相に再変態するため、強度が低下する。時効熱処理時間
が、1分未満では析出が不十分で、強度の上昇も足りな
い、また、200分を超えて熱処理しても、強度上昇効
果は飽和しているため、工業上意味がない。
【0021】
【実施例】表1に供試鋼の化学成分を示す。本発明成分
の記号Eと比較成分の記号Jは工場設備を利用して溶製
し、3.8mm厚さまで熱間圧延したものである。他の記
号の成分は、実験室の溶解設備および熱間圧延機を使用
して、3.8mm厚さの熱延板を製造したものである。鋼
中の不可避的不純物であるPは0.01%〜0.03
%、Sは0.0005%〜0.008%の範囲であっ
た。いずれの鋼種も冷間圧延にて厚さ1mmまで圧延した
後に溶体化熱処理を行い、バネ用ステンレス鋼の素材を
作製した。溶体化熱処理の条件は、1100℃で5分保
持後空冷とした。溶体化熱処理の目的は、金属組織をフ
ェライト相を含まない準安定なオーステナイト相とする
ことであるが、比較成分の記号GおよびIは、Md値が
高いために熱処理後の冷却過程でそのオーステナイト相
の一部がマルテンサイト相に変態し、GはさらにFE値
も高いため少量のフェライト相も残存した。これら有害
な相の存在により比較成分のGおよびIは、後述のよう
に冷間圧延後の延性が低く、その後の時効熱処理による
強度上昇も不十分であった。また、比較成分FおよびJ
は、Si含有量が不足し時効熱処理での強度上昇が不十
分であった。さらに、比較成分Hは、Mdが低く溶体化
熱処理後のオーステナイトが安定なために、冷間圧延時
に生成するマルテンサイト相の生成が不十分で、時効熱
処理後に十分な強度が得られなかった。したがって、こ
れらの比較成分の鋼材は高強度バネ用ステンレス鋼の素
材として不適切であるといえる。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】次に、マルテンサイト相を形成させるため
に冷間圧延を実施した。冷間圧延条件と冷間圧延後の硬
さおよび引張特性を表2に示す。本発明の成分範囲内で
適正な冷間圧延条件にて、圧延後の硬さをビッカース硬
さで400以上、550未満に調整した本発明のバネ用
ステンレス鋼は、冷間圧延後の延性も十分残存してお
り、バネ加工性に優れていることがわかる。一方、溶体
化熱処理後もフェライト相が残る比較鋼G、および熱処
理後の冷却過程でオーステナイト相の一部がマルテンサ
イト相に変態した比較鋼Iは、冷間圧延による延性低下
が大きく、その後のバネ加工性が困難である。本発明成
分範囲内においても70%を超える冷間圧延を行い、冷
間圧延後の硬さが550以上になると延性低下が著しく
なり、バネ加工が困難となる。また、20%未満の圧延
率で冷間圧延後の硬さが400を満たない場合は、圧延
後の延性は良好でバネ加工性も十分であるが、マルテン
サイト相の生成が不十分なため、バネ加工後の時効熱処
理による強度上昇が小さく、バネ限界値も低いため高強
度バネとして使用できない。さらに、本発明成分範囲か
ら外れる比較鋼FおよびHも冷間圧延条件を適正にする
ことで、冷間圧延ままでの延性を確保し、バネ加工性を
良好にできるが、その後の時効熱処理での強度上昇が小
さく、高強度バネとしては使用できない。したがって、
時効熱処理後に高強度バネとして使用でき、かつ冷間圧
延後のバネ加工性を良好に維持するためには、本発明の
成分範囲と冷間圧延後の硬さ範囲を両方満足したステン
レス鋼板でなければならない。
【0025】次に、それらの冷間圧延鋼板に各種条件で
時効熱処理を施し、材質およびバネ限界値を測定した。
その条件と熱処理後の硬さ、引張特性、バネ特性も表2
に併せて示す。この結果から、本発明の成分範囲内で冷
間圧延後の硬さを400以上、550未満に制御したス
テンレス鋼を、適正な条件で時効熱処理することにより
熱処理後の硬さをビッカース硬さで600以上に制御す
ると、高強度で高いバネ限界値を有するステンレスバネ
が得られる。成分範囲および冷間圧延後の硬さを本発明
の範囲内に調整しても、その後の時効熱処理条件が不適
切で時効後の硬さが600に満たない場合は、バネ特性
も劣り、高強度ステンレスバネとしては不十分な性能と
なる。さらに、比較鋼Jに示すように成分範囲が本発明
範囲を外れると、いずれの冷間圧延条件と時効熱処理条
件を選んでも、冷間圧延後の延性と、時効熱処理の高強
度、高いバネ特性を満足させることは難しい。
【0026】上述の如く、本発明の成分範囲を満足する
素材を溶体化熱処理後の冷間圧延で適正な硬さ範囲に調
整することにより、バネ加工性に優れた高強度バネ用ス
テンレス鋼が製造可能となる。そして、その鋼板を使用
し、適正な時効熱処理により600以上の硬さを付与す
ることにより、高強度ステンレスバネが実現する。
【0027】
【発明の効果】本発明のステンレス鋼板は、バネ加工性
が良好で、その後の時効熱処理で強度、バネ特性の向上
も著しいことから、高強度バネ用として最適である。ま
た、そのステンレス鋼を使用し、本発明の範囲で製造さ
れたステンレスバネは高強度で、優れたバネ特性を有す
る。したがって、自動車シートベルトのリトラクター渦
巻バネ等のような加工性と高強度を必要とする用途に最
適であり、産業上寄与するところは極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−240934(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.03%超〜0.20%、 Si:3.0%超〜5.0%、 Mn:2.0%超〜5.0%、 Cr:11%〜17%、 Ni:5.0%〜8.0%未満、 N :0.03%超〜0.20%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物元素からな
    り、下の(1)式で表されるMdが0.0〜60.0の
    範囲と、(2)式で表されるFEが10.0以下の範囲
    を満足し、溶体化熱処理後に圧下率20%〜70%の冷
    間圧延を施すことにより、ビッカース硬さで400〜
    50未満の硬さを有し、フェライト相を含まないオース
    テナイト相とマルテンサイト相の2相としたことを特徴
    とする加工性に優れた高強度バネ用ステンレス鋼。 Md=550-14[Cr]-6[Si]-30[Ni]-8[Mn]-450[[C]+[N]] …………… (1) FE=3[Cr]+4.5[Si]-2.8[Ni]-1.4[Mn]-84[[C]+[N]]-20 …………… (2) なお式中の[ ]は、各成分の鋼中含有量(重量%)を
    示す。
  2. 【請求項2】 重量%で C :0.03%超〜0.20%、 Si:3.0%超〜5.0%、 Mn:2.0%超〜5.0%、 Cr:11%〜17%、 Ni:5.0%〜8.0%未満、 N :0.03%超〜0.20%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物元素からな
    り、下の(1)式で表されるMdが0.0〜60.0の
    範囲と、(2)式で表されるFEが10.0以下の範囲
    を満足し、溶体化熱処理後に圧下率20%〜70%の冷
    間圧延を行い、ビッカース硬さで400〜550未満
    硬さを有し、フェライト相を含まないオーステナイト相
    とマルテンサイト相の2相とした鋼材を、バネに加工し
    た後に250℃〜550℃で1分〜200分間の時効熱
    処理を行い、ビッカース硬さを600以上としたことを
    特徴とする高強度ステンレスバネ。 Md=550-14[Cr]-6[Si]-30[Ni]-8[Mn]-450[[C]+[N]] …………… (1) FE=3[Cr]+4.5[Si]-2.8[Ni]-1.4[Mn]-84[[C]+[N]]-20 …………… (2) なお式中の[ ]は、各成分の鋼中含有量(重量%)を
    示す。
  3. 【請求項3】 重量%で C :0.03%超〜0.20%、 Si:3.0%超〜5.0%、 Mn:2.0%超〜5.0%、 Cr:11%〜17%、 Ni:5.0%〜8.0%未満、 N :0.03%超〜0.20%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物元素からな
    り、下の(1)式で表されるMdが0.0〜60.0の
    範囲と、(2)式で表されるFEが10.0以下の範囲
    を満足する鋼材を900℃〜1150℃で溶体化熱処理
    した後、圧下率20%〜70%の冷間圧延を行い、ビッ
    カース硬さで400〜550未満の硬さを有し、フェラ
    イト相を含まないオーステナイト相とマルテンサイト相
    の2相とした後、所定のバネ加工を行い、250℃〜5
    50℃で1分〜200分間時効熱処理を行い、ビッカー
    ス硬さを600以上とした高強度ステンレスバネの製造
    方法。 Md=550-14[Cr]-6[Si]-30[Ni]-8[Mn]-450[[C]+[N]] …………… (1) FE=3[Cr]+4.5[Si]-2.8[Ni]-1.4[Mn]-84[[C]+[N]]-20 …………… (2) なお式中の[ ]は、各成分の鋼中含有量(重量%)を
    示す。
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