JP3032027B2 - 半導体受光素子及びその組立方法 - Google Patents

半導体受光素子及びその組立方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体受光素子及びその
組立方法に係り、特に裏面入射型半導体受光素子及びそ
の裏面入射型半導体受光素子と前記光ファイバとの結合
調心方法に関する。裏面入射型半導体受光素子はpn接
合面積を小さくすることができ、またフロント側電極下
の容量を小さくし端子間容量を減少させることができる
ため、高速性に優れている。従って、近年の光通信の高
速化に伴い、半導体受光素子の主流となってきている。
【0002】
【従来の技術】従来の裏面入射型半導体受光素子の断面
を図4に示す。n型半導体基板52表面にp型不純物領
域54が形成され、pn接合面を形成している。n型半
導体基板52及びp型不純物領域54表面にはパッシベ
ーション膜56が形成され、p型不純物領域54上のパ
ッシベーション膜56に開口されたコンタクト窓を介し
てp側電極58が形成されている。また、n型半導体基
板52裏面にはn側電極60が設けられているが、この
n側電極60の中央部にはファイバ光入射用窓62が設
けられている。
【0003】このように従来の裏面入射型半導体受光素
子においては、p側電極58がn型半導体基板52とp
型不純物領域54とのpn接合面の中心部に形成されて
いる。このため、裏面入射型半導体受光素子の光ファイ
バ付きアセンブリを行なう場合、この裏面入射型半導体
受光素子をセラミック基板等に固定した後、光ファイバ
を半導体基板52裏面のファイバ光入射用窓62近傍に
設置し、この光ファイバから光を入射しながら光ファイ
バを水平方向及び垂直方向に3次元的に移動させ、裏面
入射型半導体受光素子に流れる光電流をモニタしながら
裏面入射型半導体受光素子と光ファイバとの結合調心を
行なうという方法が用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな裏面入射型半導体受光素子の光ファイバ付きアセン
ブリにおける調心方法は、目で見ながらするのではなく
光電流を頼りに行なう方法であるため、非常に困難かつ
煩雑である。また、このような調心方法では将来のアセ
ンブリの全自動化に対応することが困難である。
【0005】そこで本発明は、将来的な光ファイバ付き
アセンブリ工程の全自動化を考慮しつつ、光ファイバの
結合調心を簡易化することができる裏面入射型半導体受
光素子及びそれを用いた組立方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理説明
図である。図1(a)において、n型半導体基板2表面
にp型不純物領域4が形成され、pn接合面を形成して
いる。n型半導体基板2及びp型不純物領域4表面には
パッシベーション膜6が形成されている。そしてp型不
純物領域4上のパッシベーション膜6に開口されたコン
タクト窓を介してp側電極8が形成されている。このと
きp側電極8がn型半導体基板2とp型不純物領域4と
のpn接合面、即ち受光面の中心部からずれた位置に設
けられている点に本発明の特徴がある。また、n型半導
体基板2裏面にはn側電極10が設けられている。そし
てこのn側電極10の中央部には、裏面から光を入射す
るためのファイバ光入射用窓12が設けられている。
【0007】次に、この裏面入射型半導体受光素子を用
いて、光ファイバとの結合調心を行なう場合について説
明する。まず、光ファイバ14をファイバ光入射用窓1
2近傍に設置した後、光ファイバ14から所定の波長の
光を入射する。この入射光の波長は、裏面入射型半導体
受光素子を構成する結晶が吸収できない波長に設定す
る。このため、入射光は裏面入射型半導体受光素子を透
過する。そしてこの透過光によるスポット16が、図1
(b)に示されるように、裏面入射型半導体受光素子の
上面から視覚的に観察される。
【0008】従って、光ファイバ14を水平方向及び垂
直方向に3次元的に移動させながらこのスポット16を
視覚的にモニタ観察することにより、このスポット16
が所望の大きさでpn接合面の中心部に位置するように
容易に調心することができる。勿論、このときp側電極
8はpn接合面の中央部よりずれているため、p側電極
8の存在がスポット16の位置確認を邪魔するようなこ
とはない。
【0009】
【作用】本発明は、裏面入射型半導体受光素子のp側電
極8をn型半導体基板2とp型不純物領域4とのpn接
合面、即ち受光面の中央部からずれた位置に設け、裏面
入射型半導体受光素子を構成する結晶が吸収できない波
長の光を光ファイバ14から入射することにより、この
入射光のスポット16を裏面入射型半導体受光素子の上
面から視覚的にモニタ観察しつつ光ファイバ14の調心
を行なうことができる。このため、裏面入射型半導体受
光素子と光ファイバ14との調心を容易にかつ正確に行
なうことができる。
【0010】
【実施例】図2は本発明の一実施例による裏面入射型半
導体受光素子とそれを用いた光ファイバの調心方法を説
明するための図である。図2(a)は裏面入射型半導体
受光素子の上面から見た平面図、図2(b)はその断面
図である。
【0011】n型InP基板22上にInGaAs光吸
収層24が形成されている。また、このGaAs光吸収
層24上にはp- 型InP層26が形成され、このp-
型InP層26表面にはp+ 型InP層28が形成され
ている。こうしてp+ 型InP層28、p- 型InP層
26、GaAs光吸収層24、n型InP基板22によ
ってpin接合構造が形成されている。
【0012】また、p- 型InP層26及びp+ 型In
P層28表面にはパッシベーション膜30が形成されて
いる。そしてp+ 型InP層28上のパッシベーション
膜30に開口されたコンタクト窓を介して、p+ 型In
P層28に接続するフロント電極としてのp側電極32
が形成されている。このときp側電極32は、p+ 型I
nP層28とp- 型InP層26との接合面、即ち受光
面の中央部からずれた位置に形成されている点に本実施
例の特徴がある。更に、n型InP基板22裏面にはn
側電極34が形成され、そのn側電極34の中央部には
ファイバ光入射用窓36が設けられている。
【0013】次に、この裏面入射型半導体受光素子を用
いて、光ファイバ付きアセンブリを行なう場合について
説明する。まず、裏面入射型半導体受光素子をマウント
用セラミック基板38上に設置する。このときn側電極
34とセラミック基板38とを接触させ、セラミック基
板38に開口されたファイバ光入射用窓と裏面入射型半
導体受光素子のファイバ光入射用窓36とが一致するよ
うに固定する。
【0014】次いで、光ファイバ40をファイバ光入射
用窓36近傍に設置した後、光ファイバ40から例えば
波長0.6μm以下の光を入射する。このとき裏面入射
型半導体受光素子を構成するn型InP基板22等はそ
のバンドギャップに規定されて波長1.3μm乃至1.
55μmの光は吸収するが、波長0.6μm以下の光は
吸収されることなく透過する。従って、この入射光は裏
面入射型半導体受光素子の上面から、例えばこの波長の
光を感知するカメラ等を用いることによって視覚的に観
察することができる。即ち、図1(b)に示されるよう
なスポット42が観察される。
【0015】従って、光ファイバ40をセラミック基板
38と水平方向及び垂直方向に3次元的に移動させなが
らこのスポット42を視覚的にモニタ観察することによ
り、このスポット42が所望の大きさをもってpn接合
面の中心部に位置するように調心することができる。こ
のときp側電極32が受光面の中央部よりずれているた
め、p側電極32によって妨げられることなくスポット
42の位置を確認することができる。そして所定の位置
及び所定の大きさのスポット42が得られた段階で、光
ファイバ40をセラミック基板38に固定する。
【0016】このように本実施例によれば、裏面入射型
半導体受光素子のp側電極32を受光面の中央部からず
れた位置に設け、n型InP基板22等によって吸収さ
れない波長0.6μm以下の光を光ファイバ40から入
射することにより、この入射光のスポット42を裏面入
射型半導体受光素子の上面から所定のカメラ等を用いて
視覚的にモニタ観察しつつ光ファイバ14との調心を行
なうことができる。このため、調心の簡易化、正確化を
実現し、将来のアセンブリの全自動化に途を開くことが
できる。例えば光ファイバを固定した後、チップを基板
上に自動ダイシングするときにスポットをモニタ観察し
ながらマウントすることもできる。
【0017】なお、上記実施例においては、p側電極3
2を受光面の中央部からずれた位置に設けたが、フロン
ト電極としてのp側電極32の形状を工夫することによ
っても同様の効果を奏することができる。例えば図3
(a)に示されるように、p側電極32aの大きさがス
ポット42の大きさよりも小さい場合にはスポット42
の中央に位置させてもよい。また。図3(b)に示され
るように、p側電極32を細長形状にしたり、図3
(c)に示されるように十字形状にしたりしてもよい。
要は、p側電極が所定のスポット42の大きさを全て覆
いつくさないようにすればよい。従って、p側電極の形
状は、これら以外にも様々な形状が考えられる。
【0018】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、第1導電
型の半導体基板と、半導体基板に設けられた第2導電型
の不純物領域と、不純物領域上に形成された第1の電極
と、半導体基板裏面に形成され、ファイバ光入射用窓を
有する第2の電極とを具備する半導体受光素子におい
て、第1の電極が前記半導体基板と前記不純物領域と
のpn接合面の一部のみを覆っており、前記pn接合面
の中心からずれた位置に設けられていることにより、光
ファイバから所定の波長の光を半導体受光素子に入射
し、半導体受光素子を透過した光が形成するスポットを
半導体受光素子上面から視覚的にモニタしつつ光ファイ
バとの結合調心を行なうことができるため、調心作業の
簡易化、正確化を実現することができる。
【0019】これにより、ファイバ付きアセンブリを容
易にかつ正確に行なうことができ、信頼性及び生産性を
向上させるばかりでなく、将来のアセンブリの全自動化
に途を開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】本発明の一実施例による裏面入射型半導体受光
素子及びその光ファイバ付きアセンブリを説明するため
の図である。
【図3】本発明の他の実施例による裏面入射型半導体受
光素子のフロント電極の位置及び大きさを説明するため
の図である。
【図4】従来の裏面入射型半導体受光素子を示す断面図
である。
【符号の説明】
2…n型半導体基板 4…p型不純物領域 6…パッシベーション膜 8…p側電極 10…n側電極 12…ファイバ光入射用窓 14…光ファイバ 16…スポット 22…n型InP基板 24…InGaAs光吸収層 26…p- 型InP層 28…p+ 型InP層 30…パッシベーション膜 32、32a、32b、32c…p側電極 34…n側電極 36…ファイバ光入射用窓 38…セラミック基板 40…光ファイバ 42…スポット 52…n型半導体基板 54…p型不純物領域 56…パッシベーション膜 58…p側電極 60…n側電極 62…ファイバ光入射用窓

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の半導体基板と、前記半導体
    基板に設けられた第2導電型の不純物領域と、前記不純
    物領域上に形成された第1の電極と、前記半導体基板裏
    面に形成され、ファイバ光入射用窓を有する第2の電極
    とを具備する半導体受光素子において、 前記第1の電極が前記半導体基板と前記不純物領域と
    のpn接合面の一部のみを覆っており、前記pn接合面
    の中心からずれた位置に設けられていることを特徴とす
    る半導体受光素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体受光素子の前記フ
    ァイバ光入射用窓近傍に光ファイバを設置し、 前記光ファイバから所定の波長の光を前記半導体受光素
    子に入射し、 前記半導体受光素子を透過した光が形成するスポットを
    前記半導体受光素子上面から視覚的にモニタしつつ前記
    光ファイバを3次元的に移動させて、前記半導体受光素
    子と前記光ファイバとの結合調心を行なうことを特徴と
    する半導体受光素子の組立方法。
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