JP3031573B2 - 免疫抑制剤としての5’−ビニルハロ−アリステロマイシン/アデノシン類似体類 - Google Patents

免疫抑制剤としての5’−ビニルハロ−アリステロマイシン/アデノシン類似体類

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JP3031573B2 JP3229784A JP22978491A JP3031573B2 JP 3031573 B2 JP3031573 B2 JP 3031573B2 JP 3229784 A JP3229784 A JP 3229784A JP 22978491 A JP22978491 A JP 22978491A JP 3031573 B2 JP3031573 B2 JP 3031573B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、免疫抑制剤として有用
な、ある5'-ビニルハロ-アリステロマイシン/アデノシ
ン類似体類の用途に関する。
【従来の技術】免疫は、体内に存在する抗原性異物の認
識と処分に関わっている。典型的には、抗原は粒状物
(すなわち細胞、細菌等)、又は大きな蛋白質又は多糖
類分子の形にあり、これらは免疫系によって「自己でな
いもの」、すなわち動物自身の構成分とは異なる、外来
のものとして認識される。抗原となる可能性のあるもの
は種々の物質であり得、しばしば蛋白質であって、これ
らは最も多くの場合、細胞の外表面上に位置している。
例えば、抗原となる可能性のあるものは、花粉の粒、組
織移植、動物寄生虫、ビ−ルス、及び細菌において見出
されている。抗原材料が免疫系によって「自己でないも
の」と認識されると、自然免疫(非特異的)及び/又は
適応免疫応答が、特異的免疫細胞、抗体及び補足系の作
用によって開始され、維持されうる。ある病状を含めた
ある条件下で、動物の免疫系は自己の構成分を「自己で
ないもの」と認識し、「自己の」材料に対して免疫応答
を開始する。免疫応答は、免疫系によって自然機構、又
は適応機構を用いて実施でき、その各々は細胞で媒介さ
れる要素と体液性の要素とからなっている。免疫応答の
自然機構とは、ある細菌類、ウイルス、組織損傷、及び
その他の抗原に対して反応するうえで、補足系と骨髄細
胞のみ、例えば大食細胞、マスト細胞、及び多形核球
(PMN)を含めた本質的に非特異的免疫反応に関与して
いる機構のことである。これらの自然機構は、自然免疫
と言われるものを提供する。免疫応答の適応機構は、
「自己でないもの」と認識された数千の異なる材料に選
択的に応答できるリンパ球(T及びB細胞)と抗体によ
って媒介される機構のことである。これらの適応機構
は、適応免疫と言われるものを提供し、動物自身の環境
への適応における応答の特異的な記憶と永久的に変更さ
れたパターンをもたらす。適応免疫はリンパ球と抗体に
よって提供されるか、又はより一般的には、リンパ球及
び抗体と自然免疫機構の補足系及び骨髄細胞との相互作
用によって提供される。抗体は適応免疫応答の体液性要
素を提供し、T細胞は適応免疫応答の細胞媒介要素を提
供する。自然免疫応答機構は、大食細胞とPMNによる食
作用を伴い、それによって異物又は抗原はこれらの細胞
に飲み込まれ、処分される。更に、大食細胞はその細胞
毒性効果を通して幾分の外来細胞を殺す。自然免疫にも
関与する補足系は、種々のペプチド類と酵素からなって
おり、これらは異物や抗原に結合し、それによって大食
細胞とPMNによる食作用を促進し、また細胞の溶解や炎
症効果が起るようにする。免疫応答の適応機構は、Bリ
ンパ球(又はB細胞)によって分泌される抗体の特異的
抗原に対する作用、並びに特異的抗原、B細胞、その他
のT細胞、及び大食細胞に対する種々のTリンパ球(又
はT細胞)の作用を伴う。適応免疫の体液面を担当する
抗体は、B細胞によって分泌される血清グロブリンであ
って、異なる抗原に対して広範囲の特異性をもってい
る。抗体は特異的抗原の認識に応じて分泌され、広範囲
の保護的応答を提供する。抗体は細菌毒素に結合して、
これを中和し、また「自己でないもの」として認識され
るウイルス、細菌、又はその他の細胞の表面に結合し
て、PMN及び大食細胞による食作用を促進する。そのう
え、抗体は補足系を活性化して、特異的抗原に対する免
疫応答を更に開始させる。リンパ球は、血液中に見出さ
れる小さな細胞であって、血液から循環し、組織を通
り、リンパ系を経由して血液に戻る。リンパ球には、B
細胞とT細胞という二つの主要な下位集団がある。B細
胞とT細胞はいずれも同じリンパ様幹細胞に由来してお
り、B細胞は骨髄において分化し、T細胞は胸腺におい
て分化する。リンパ球はある制限的な受容体を所有し、
これらは各細胞が特異的抗原に応答することを可能とす
る。これは、適応免疫応答の特異性の基盤を提供してい
る。更に、リンパ球は比較的長い寿命をもち、適当な信
号を受けると、クローナルに増殖する能力をもってい
る。この性状は適応免疫応答の記憶面の基盤を提供して
いる。B細胞は適応免疫の体液面を担当するリンパ球で
ある。特異的外来抗原の認識に応じて、B細胞はその特
異的抗原に結合する特異的抗体を分泌しよう。抗体は毒
素の場合には抗原を中和し、その他の抗原の場合は食作
用を促進する。抗体は、補足系の活性化にも関与してお
り、侵入抗原に対する免疫応答を更に拡大する。T細胞
は、適応免疫の細胞媒介面を担当するリンパ球である。
細胞毒性T細胞、ヘルパーT細胞、及びサプレッサーT
細胞の3主要型がある。細胞毒性T細胞は特異的ウイル
ス抗原に感染した細胞を検出し、破壊する。ヘルパーT
細胞は種々の調節機能をもっている。ヘルパーT細胞
は、特異的抗原を確認のうえ、適当なB細胞による抗原
への抗体の応答を促進又は強化でき、また大食細胞によ
る抗原の食作用を促進又は強化できる。サプレッサーT
細胞は、特定抗原に向けられる免疫応答を抑制する効果
をもっている。細胞媒介される免疫応答は、骨髄細胞と
リンパ球細胞によって分泌される種々の調節メッセンジ
ャー化合物類を通して、T細胞によって制御、監視され
る。これらの調節メッセンジャー化合物類の分泌を通し
て、T細胞はB細胞、大食細胞、PMN及びその他のT細
胞のような他の免疫細胞の増殖と活性化を調節できる。
例えば、外来抗原と結合すると、大食細胞その他の抗原
提示細胞はインターロイキン-1(IL-1)を分泌し、これ
がヘルパーT細胞を活性化する。次に、T細胞はインタ
ーロイキン-2(IL-2)とγ-インターフェロンを含めた
あるリンホカイン類を分泌し、そのどちらも細胞媒介さ
れた免疫応答において種々の調節効果をもっている。リ
ンホカイン類はT細胞(及び時によってはB細胞)でつ
くられる分子の大きな一族であり、以下のものを包含し
ている。 IL-2 − これはT細胞のクローナル増殖を促進する。 MAF − 大食細胞活性化因子。これは、食作用、細胞
内破壊、及び種々の細胞毒性因子の分泌を含めた多くの
大食細胞機能を高める。 NAF − 好中球活性化因子。これは食作用を含めたPMN
の多くの機能を高める。 MIF − 大食細胞移動因子。これは大食細胞の運動を
制限することにより、T細胞の近くに大食細胞を集め
る。 γ-インターフェロン − これは活性化されたT細胞
でつくられ、ウイルス複製の抑制、第II種組織調和性分
子の表現誘導による抗原結合及び提示の活性化、大食細
胞の活性化、細胞成長の抑制、幾つかの骨髄細胞系統の
分化誘導を含めた、多くの細胞に対して広範囲の効果を
つくりだせる。 活性化された大食細胞とPMNは、細胞媒介される適応免
疫の一部として強化された免疫応答を提供するもので、
反応性酸素中間体の生産増加を特徴としている。反応性
酸素中間体のこの生産増強、ないし呼吸器急増は、「プ
ライミング」として知られている。γ-インターフェロ
ンのようなあるリンホカイン類は、大食細胞とPMNでの
反応性酸素中間体のこの呼吸器急増を誘発する。従っ
て、T細胞によって分泌されるγ-インターフェロンの
ようなリンホカイン類は、これらの大食細胞とPMNの活
性化を提供し、強化された細胞媒介による免疫応答をも
たらす。免疫応答は即時型又は遅延型の応答を提供しう
る。遅延型過敏症は、抗原接種後24-48時間以内に免疫
反応患者に起る炎症反応であり、主に細胞媒介される免
疫応答の結果である。対照的に、アナフィラキシー反応
やアルチュス反応に見られるような即時型過敏症は、抗
原接種後数分から数時間以内に免疫反応患者に起る炎症
反応であり、主に体液性の免疫応答又は抗体で媒介され
る免疫応答の結果である。免疫系、特に細胞媒介される
免疫系の、「自己」抗原と「自己でない」抗原とを区別
する能力は、侵入する微生物に対する特異的防衛とし
て、免疫系の機能にとって重要である。「自己でない」
抗原は、動物自身の構成分とは検出可能的に異なるか外
来であるような体内物質に対する抗原であり、また「自
己」抗原は動物自身の構成分とは検出可能的に異なって
いないか、又は外来のものではない抗原である。免疫応
答は、病気を起こしうる異物に対する主要な防衛である
が、これは助けとなる異物と有害な異物とを区別でき
ず、両方とも破壊する。同種移植や「移植片対宿主」病
のようなある状況があり、その場合、助けとなる外来組
織又は器官の拒絶を予防するために、免疫系を抑制する
ことが極めて有用であろう。同種組織及び器官は、同じ
種の遺伝的に異なる成員からの組織及び器官である。
「移植片対宿主」病は、例えば骨髄移植において、移植
された組織が提供者の同種T細胞を含有し、これらのT
細胞が受領者の組織に対して免疫応答を起こす場合に発
生する。体液性及び細胞媒介性免疫応答は、同種組織及
び器官の拒絶において役割を果すが、関与している主要
な機構は細胞媒介された免疫応答である。従って、免疫
応答の抑制、特に細胞媒介される免疫応答の抑制は、同
種移植の組織及び器官のこのような拒絶を予防する上で
有用であろう。例えば、シクロスポリンAは、同種移植
を受ける患者の処置において、また「移植片対宿主」病
の処置において免疫抑制剤として現在使用されている。
アレルギ−反応の場合のように、人の免疫応答が侵入し
てくる微生物や異物よりも多くの損傷や不快感を生じる
事がある。これらの場合には、免疫応答を抑制する事が
望ましい。時々、免疫機構は人自身の体の一部に対し感
作されて、その部分との相互作用又はその部分の破壊さ
え生じる。「自己」と「自己でないもの」とを区別する
能力が損われ、体が自分自身を破壊し始める。これが、
慢性関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病(インスリ
ンの分泌を担当するランゲルハンス島のβ-細胞の自己
免疫破壊を伴うもの)、ある種の溶血性貧血、リウマチ
熱、甲状腺炎、潰瘍形成性大腸炎、重症筋無力症(myast
henia gravis)、糸球体腎炎、アレルギ−性脳脊髄炎、
時々ビ−ルス性肝炎に続く進行性の神経及び肝臓の破
壊、多発性硬化症及び全身的な紅斑性狼瘡のような自己
免疫病を起こすことがある。自己免疫のある形態は、リ
ンパ球に通常は暴露されない区域、例えば神経組織又は
眼の水晶体への外傷の結果生じる。これらの区域の組織
がリンパ球にさらされるとそれらの表面蛋白質は抗原と
して作用し、抗体の生産及び細胞性免疫応答を誘発し、
これがこれらの組織を破壊し始める。他の自己免疫病は
人が人自身の組織と抗原性の類似した、即ち交差反応を
するような抗原に暴露された後に生じる。リウマチ熱は
この種の病気の例であり、ここではリウマチ熱を起こす
連鎖球菌の抗原が、人の心臓の一部と交差反応性であ
る。抗体は細菌抗原と心筋抗原との間の区別がつかず、
これらの抗原のいずれかを有する細胞は破壊され得る。
これらの自己免疫病における免疫系の抑制は、病気の影
響を最小限にするのに有用であろう。これらの免疫病の
あるもの、例えばインスリン依存性糖尿病、多発性硬化
症、及び慢性関節リウマチは細胞媒介性の自己免疫応答
の結果として特徴づけられ、T細胞の作用のためと考え
られる[シンハ(Sinha)ら、Science 248巻1380頁(19
90年)を参照]。
【発明が解決しようとする課題】このように、免疫応答
の抑制は、自己免疫病にかかった患者の処置に有用であ
ろう。更に詳しくは、細胞媒介される免疫応答の抑制は
インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、及び慢性関節
リウマチのようなT細胞の作用によって起こる自己免疫
病にかかった患者の処置に有用であろう。 本発明は、式(1)
【化2】 [式中Vはオキシ又はメチレンであり、X1とX2は各々
独立に水素又はハロゲンであるが、但しX1とX2の少な
くとも一方が常にハロゲン原子であることを条件とし、
1とA2は各々独立に水素、ハロゲン又はヒドロキシで
あるが、但しA1がヒドロキシの場合はA2が水素であ
り、またA2がヒドロキシの場合はA1が水素であること
を条件とし、Y1は窒素、CH基、CCl基、CBr基、又はCNH
2基であり、Y2とY3は各々独立に窒素又はCH基であ
り、QはNH2、NHOH、NHCH3、又は水素であり、またZは
水素、ハロゲン、又はNH2である]の化合物の免疫抑制
有効量を、免疫抑制を必要とする患者に投与することを
含めてなる、患者の免疫抑制を行なう方法を提供してい
る。更に詳しくは、本発明は式(1)化合物の免疫抑制有
効量を、免疫抑制を必要とする患者に投与することを含
めてなる、患者の細胞媒介性免疫を抑制する方法を提供
している。
【課題を解決する手段】本明細書で使用される用語の
「ハロゲン」とは、1価のヨウ素、臭素、塩素、又はフ
ッ素基のことであり、用語「窒素」とは、3価の窒素基
のことであり、また用語「CH基」はメチリジン基のこと
である。X1又はX2が水素の場合の式(1)のアリステロ
マイシン/アデノシン誘導体類は、当業者に周知の認め
られた手順及び手法を用いて調製できる。一般的な合成
手順は反応経路Aに示すとおりであり、ここで他に注意
がなければ、すべての置換基はすでに定義されたとおり
である。反応経路A
【化3】
【化4】
【化5】 基本的に段階aにおいて、5'-ヒドロキシ基以外の反応
性のヒドロキシ、アミノ、又はヒドロキシアミノ基はこ
の技術で周知の標準的な封鎖剤で封鎖される。これらの
封鎖基はQとZ(Q又はZがNH2)に対しては慣用のア
ミノ保護基であり、また3'-ヒドロキシに対し、A1
はA2(A1又はA2がOHの場合)に対し、及びQ(Q
がヒドロキシアミノの場合)に対しては、慣用のヒドロ
キシ保護基であり得る。反応経路Aに於けるOB
1 B、A2 B、QB及びZBは、適当な場合に封鎖基で封鎖
されている3'-ヒドロキシや、本明細書で定義されてい
るA1、A 2、Q及びZ基を表わしている。特定の封鎖基
の選択及び利用は当業者に良く知られている。一般に封
鎖基は後の合成手順の間に問題となるアミノ又はヒドロ
キシ基を適切に保護するものとして選択されるべきであ
り、かつ所望生成物の分解を生じない条件下で容易に除
去できるものである。適当なヒドロキシ保護基の例はC
1〜C6アシル、テトラヒドロピラニル、メトキシメチ
ル、メトキシエトキシメチル、t-ブチル、ベンジル及び
トリフェニルメチルである。C1〜C6アシルという用語
は、直鎖、分枝鎖、又は環式構造の1〜6個の炭素原子の
飽和アシル基をさしている。3'-ヒドロキシ及びA2(A
2はヒドロキシ)に対する好ましい封鎖基は、未封鎖化
合物をアセトンと反応させて形成される2',3'-O-イソプ
ロピリデンである。適当なアミノ保護基の例は、ベンゾ
イル、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、フ
タリル、トシル、ベンゼンスルホニル、ベンジロキシカ
ルボニル、置換ベンジロキシカルボニル(例えばp-クロ
ロ、p-ブロモ、p-ニトロ、p-メトキシ、o-クロロ、2,4-
ジクロロ、及び2,6-ジクロロ誘導体)、t-ブチロキシカ
ルボニル(Boc)、t-アミロキシカルボニル、イソプロ
ピロキシカルボニル、2-(p-ビフェニル)-イソプロピロ
キシカルボニル、アリロキシカルボニル、シクロペンチ
ロキシカルボニル、シクロヘキシロキシカルボニル、ア
ダマンチロキシカルボニル、フェニルチオカルボニル、
及びトリフェニルメチルである。好ましいアミノ保護基
は、未封鎖化合物を塩化ベンゾイルと反応させて造られ
るジベンゾイル誘導体である。段階bで、適当に封鎖さ
れた5'-ヒドロキシ誘導体(3)は対応するアルデヒド(4)
に酸化される。好ましい酸化試薬はジシクロヘキシルカ
ルボジイミドとメチルホスホン酸、又はジクロロ酢酸と
ジメチルスルホキシドである。アルデヒド(4)は化合物
の取扱い特性を改良するため、又は精製を容易にするた
めに、この技術で周知の認められた手順及び技術によっ
て任意に誘導化できる。例えば5',5'-(N,N'-ジフェニル
エチレンジアミノ)誘導体はランガナサン等の方法によ
って調製できる[J. Org. Chem., 39巻 290頁 (1974
年)]。段階cで、5',5'-ジハロ誘導体(すなわち、X(
Hal)(XHal)C)誘導体(5)は、対応するアルデヒド(4)
をジエチルアミノ硫黄トリハライド又は類似のハロ置換
試薬と反応させることによって形成される。ジエチルア
ミノ硫黄トリハライドが好ましい。段階dで、5'-ジハ
ロ誘導体(5)は脱ハロゲン化水素化されて、不飽和の
(即ち「(H)(XHAL)C」誘導体(6)を形成する。脱ハロ
ゲン化水素を実施するのに好ましい試薬はジメチルスル
ホキシドの存在下におけるカリウムt-ブトキシドであ
る。 段階eで、ヒドロキシ保護基はこの技術で周知の
認められた慣用手順及び手法に従って除去される。例え
ば2',3'-O-イソプロピリデン封鎖基は、(6)をトリフ
ルオロ酢酸水溶液と反応させることによって除去でき
る。(Z)及び(E)異性体、即ちそれぞれ(7)及び(8)
はこの技術で周知の認めらた慣用の単離技術を利用し
て、この合成段階で都合よく単離できる。別の方法とし
て、(Z)及び(E)異性体は、段階f及びgに対し、
以下に記載されるようにアミノ保護基を脱封鎖した後に
単離することができる。段階f及びgにおいて、(Z)
及び(E)異性体、即ちそれぞれ(7)及び(8)のアミノ保
護基は、この技術で周知の認められた手順及び手法によ
って除去される。例えばベンゾイルアミノ封鎖基は、ア
ンモニアでの加水分解によって除去できる。反応経路A
において概略を示した一般的合成手順に使用される出発
材料は、当業者に容易に入手できる。例えば式(1)の種
々の化合物に対するある種の出発材料は出発物表1に列
挙されている。 出発物表1 反応経路Aの出発材料の例 下記の基を含む式(1)化合物類V A1 A2 Y1 Y2 Y3 Z Q 出発材料の出典 O H OH CH N CH H NH2 J.Med.Chem.25, 626(1982) O OH H CH N N H NH2 Het. Chem.14, 195(1977) CH2 H OH CH N N H NH2 JACS 88, 3885(1966) O H H CH N N H NH2 2'-デオキシアデノシン(市販) CH2 H OH CH N CH H NH2 J.Med.Chem. 25, 626(1982) O OH H CH N N F NH2 JACS 86, 1242(1964) O H OH CH CH N H NH2 Nucleosides & Nucleotides, 19 85, p. 625 CH2 H OH CH N N H NH2 J. Pharm. Sci. 62, 1252(1973) CH2 H OH CH N N NH2 NH2 J. Med. Chem. 27, 670(1984) CH2 H H CH N N H NH2 J. Med. Chem. 27, 1416(1984) CH2 OH H CH N N H NH2 J. Med. Chem. 20, 612(1977) CH2 H OH N N N H NH2 J. Het. Chem. 10, 601(1973) CH2 H H N N N NH2 NH2 J. Med. Chem. 27, 1416(1984) CH2 H H N N N H NH2 J. Het. Chem. 10, 601(1973) CH2 H OH N N N NH2 NH2 J. Med. Chem. 27, 670(1984) CH2 OH H N N N NH2 NH2 J.Pharm.Sci. 69, 1019(1980) CH2 H OH CH CH N H NH2 Nucleosides & Nucleotides 3, 345(1984) O H OH CH CH N H NHCH3 JACS 85, 193(1963)O H OH CBr CH N H NH2 JACS 86, 1242(1964) 追加の出発材料は、表1に記述されたものと同様な方法
や、この技術で周知の認められたその他の慣用方法をを
用いて調製できる。以下の実施例は、反応経路Aで記述
された典型的な合成を提示している。この実施例は、例
示的なものとしてのみ理解されるべきであり、いかなる
形でも本発明の範囲を限定する意図のものではない。 実施例1 (Z)及び(E)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-
5'-フルオロアデノシン 段階a: N6-ベンゾイル-5'-デオキシ-2',3'-O-イソプ
ロピリデン-5',5'-アデノシン スムルト(Smrt)ら、[Coll. Czech. Chem. Comm. 29
巻224頁(1964年)]の手順に従って、アデノシンをそ
の2',3'-アセトニドに転化し、続いてN6-ベンゾイル誘
導体へベンゾイル化する。 段階b: N6,N6-ビスベンゾイル-5-デオキシ-2',3'-O-
イソプロピリデン-5',5'- (N,N'-ジフェニル
エチレンジアミノ)アデノシン ランガナサン(Ranganathan)ら[J. Org. Chem. 39巻2
90頁(1974年)]の手順に従って、N6-ベンゾイル-5'-
デオキシ-2',3'-O-イソプロピリデン-アデノシンはN6-
ベンゾイル-5'-デオキシ-2',3'-O-イソプロピリデン-
5',5'-(N,N'-ジフェニルエチレンジアミノ)アデノシン
に転化される。氷浴中で冷却されたピリジン10 ml中の
この生成物2.96 gに、塩化ベンゾイル1.15 ml(9.9 mmo
l)を添加する。混合物を室温で一夜かきまぜ、氷水中に
注ぐ。生成物をクロロホルム100 ml中で抽出し、硫酸マ
グネシウムで乾燥する。回転蒸発器上で溶液を蒸発さ
せ、トルエンを添加する。真空中で蒸発をくり返し、黄
色のフォーム4.07 gを集める。40mm x 10 cmのフラッシ
ュシリカゲルカラムに生成物を通し、4%酢酸エチル/96
%ジクロロメタンでパーコレートする。適当なフラクシ
ョンを一緒にし、蒸発させ、黄色の油を集める。油をエ
タノールに溶解し、3回蒸発させると、固体を生ずる。
固体をエタノール50 mlですり砕き、濾過する。固体を
真空中で乾燥すると、表題化合物2.67 g[融点135-138
℃]を生ずる。 NMR(CDCl3, 90 MHz): δ1.30(3H, S), 1.50(3H, S), 3.
3-3.7(4H, m), 4.55 (1H, m), 5.1(2H, d, J=2), 5.65
(1H, d, J=2), 6.1(1H, S), 6.3-7.8(1H, M),8.40(1H,
S). 段階b(続き): N6,N6-ビスベンゾイル-2',3'-O-イ
ソプロピリデン-アデノシン-5'-アルデヒド ジクロロメタン370 ml中のN6,N6-ビスベンゾイル-5'-デ
オキシ-2',3'-O-イソプロピリデン-5',5'-(N,N'-ジフェ
ニルエチレンジアミノ)アデノシン2.64g(3.73 mmol)
に、0℃でアセトン180 ml中のp-トルエンスルホン酸一
水塩1.56 g(8.2mmol)の溶液を加える。混合物を1.5時
間かきまぜ、濾過する。濾液を回転蒸発器上で蒸発さ
せ、残留物をジクロロメタン200 mlと水との間で分配す
る。ジクロロメタン溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、
フォームまで蒸発させる。ベンゼン200 ml中にフォーム
を溶解し、ディーン・スターク装置中で1時間還流す
る。溶媒を蒸発させると、表題化合物2.06 gを生ずる。
(NMRスペクトルは生成物の80%以上をアルデヒドとし
て明らかにしている。) NMR(CDCl3, 90 MHz): δ1.40(3H, S), 1.70(3H, S), 4.
65(1H, S), 5.3(1H,d,J=7), 5.45(1H, 広域d, J=7), 6.
2(1H, S), 7.2-7.8(10H, m), 8.10(1H, S), 8.45(主
要),及び8.55(共に1H, 2S), 9.3(1H, S, CHO). 段階c: N6,N6-ビスベンゾイル-5'-デオキシ-5',5'-
ジフルオロ-2',3'-O-イソプロピリデンアデノシン N6,N6-ビスベンゾイル-2',3'-O-イソプロピリデンアデ
ノシン-5'-アルデヒド6.5 gを40 mm x 7 cmのフラッシ
ュシリカゲルカラム上で、15%酢酸エチル/85%ジクロ
ロメタン溶媒でクロマトグラフィ処理する。薄層クロマ
トグラフィ(TLC)上でUV活性材料をともなった全フラ
クションを一緒にし、蒸発させるとフォーム5.2 gを生
ずる。フォームをベンゼン200 ml中で2時間還流し、次
に蒸発させ、真空中で乾燥すると、精製N6,N6-ビスベン
ゾイル-2',3'-O-イソプロピリデンアデノシン-5'-アル
デヒド 4.65 gを生ずる。5'-アルデヒド3.90 gをジクロ
ロメタン25 ml(水素化カルシウムから蒸留)中に溶解
し、この溶液に三フッ化ジエチルアミノ硫黄3.2 ml(3
当量)を加える。混合物を6時間かきまぜる。混合物を
クロロホルムで希釈し、かきまぜた重炭酸ナトリウム飽
和水溶液50 ml中に注ぐ。生成物をクロロホルム400 ml
で抽出し、MgSO4で乾燥する。溶媒を蒸発させると、フ
ォーム 3.60 gを生ずる。40 mm x12 cmのシリカゲルフ
ラッシュカラムに生成物を通し、4%酢酸エチル/96%ジ
クロロメタン溶媒でパーコレートする。TLC(溶媒とし
て 4%酢酸エチル/96%ジクロロメタンで、Rf 0.6)に
よって表題化合物(738 mg)を単離する。 NMR(CDCl3, 300 MHz): δ1.42(3H, S), 1.65(3H, S),
4.42-4.53(1H, 3m), 5.27(1H, dd, J=2.7, 5.9), 5.39
(1H, dd, J=1.7, 6.0), 5.96(1H, td, J=55,4.5), 7.34
-7.52(6H, m), 7.85(4H, d, J=7.2), 8.15(1H, S), 8.6
7(1H, S). 19F-NMR(CDCl3, 282 MHz, 外部CFCl3からのppm) - 54.87(ddd, J=12.4, 55.2, 299.0) - 50.71(ddd, J=10, 55.2, 299.1) MS(FAB - XENON) M + 1 = 536 段階d: N6-ベンゾイル-4',5'-ジデヒドロ-2',3'-O-
イソプロピリデン-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン 粉砕したN6,N6-ビスベンゾイル-5'-デオキシ-5',5'-ジ
フルオロ-2',3'-O-イソプロピリデンアデノシン401 mg
(0.75 mmol)とカリウムt-ブトキシド335 mg(4当量)
に、窒素下にジメチルスルホキシド(水素化カルシウム
から蒸留)2 mlを加える。混合物を窒素下に21時間かき
まぜる。飽和塩化アンモニウム4 mlで停止させ、酢酸エ
チルで抽出すると黄色の油274 mgを生ずる。20 mm x 15
cmのフラッシュカラムに油を通し、30%酢酸エチル/70
%ジクロロメタンでパーコレートする。Rf=0.55(酢
酸エチルを溶媒とするTLC)で近接した2スポットをも
つフラクションを一緒にする。これらのフラクションを
蒸発させると、2異性体を2:1の比で含有する表題化合
物183 mgを生ずる。 NMR(CDCl3, 300 MHz): δ1.34及び1.37(共にマイナー3
H, 2S), 1.49(3H, s),5.35-5.38(1H, m), 5.56及び5.90
(共に1H; それぞれd, J=4, 及びm), 6.23(広域s, マイ
ナー)及び6.25(共に1H), 6.43(d, J=74,メジャー)及び
6.81(d, J=77;共に1H), 7.39-7.98(6H, m), 8.646(メジ
ャー)及び8.653(マイナー;2s, 共に1H),9.05(1H,広
域,NH). NMR(19F, 282 MHz, 外部CFCl3からのppm): δ158.94(d,
J=74メジャー), 174.4(d, J=77, マイナー). MS: (CI)
M+1 = 412. 段階e: N6-ベンゾイル-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキ
シ-5'-フルオロアデノシン N6-ベンゾイル-4',5'-ジデヒドロ-2',3'-O-イソプロピ
リデン-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン(異性体の
2:1混合物)178 mgを冷たいトリフルオロ酢酸-水(4:1)
2 ml中に溶解する。混合物を室温で50分かきまぜてか
ら、回転蒸発器で蒸発させる。20 mm x 14 cmのフラッ
シュシリカゲルカラム上で、酢酸エチルを溶媒として残
留物をクロマトグラフィ処理する。フラクションを一緒
にすると、表題化合物の高Rf異性体(副異性体)3 m
g、異性体類混合物58 mg、及び低Rf異性体(主異性
体)83 mgを生ずる。 NMR(CD3OD, 高Rf異性体, 90 MHz): δ5.1(2H, m), 6.3
5(1H, d, J=6), (1H,D, J=74), 7.5-8.2(5H, m), 8.63
(1H, s), 8.72(1H, S). NMR(CD3OD, 低Rf主異性体, 90 MHz): δ5.00-5.10(2H,
m), 6.37(1H, d, J=7), 6.48(1H, s, J=75), 7.54-8.1
9(5H, m), 8.53(1H, s), 8.62(1H, s). 段階f: (Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フル
オロアデノシン 無水エタノール中にN6-ベンゾイル-4',5'-ジデヒドロ-
5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン(上の低Rf異性
体)83 mgを溶解し、蒸発させ、エタノール6 ml中に再
溶解する。20 mm x 12 cmカリウス管中で無水アンモニ
アを氷冷溶液に吹込む。管を密封し、氷浴を除く。室温
で14時間後、管を開け、溶液を蒸発させると、粗生成物
87 mgを生ずる。メタノール1 ml中ですり砕き、固体を
濾別する。生成物を真空中で乾燥すると、表題化合物20
mg(白色粉末、100-110℃で軟化、225-230℃で分解)
を生ずる。 NMR(CD3OD, 300 MHz): δ5.02-5.05(2H, m), 6.28(1H,
d, J=F), 6.56(1H, d,J=7.52), 8.21(1H, s), 8.33(1H,
s).19 F-NMR(282 MHz, 外部CFCl3からのppm): -166.76(d,
J=75.2) MS: (FAB-XENON) M+1 = 268 段階g: 主成分としてE異性体をもった4',5'-ジデヒ
ドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン N6-ベンゾイル-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フル
オロアデノシン(高Rf異性体を主異性体とする混合
物)58 mgを無水エタノール5 mlに溶解し、20 mmx 12 c
mカリウス管中で氷冷溶液にアンモニアを3分間吹込
む。管を密封し、氷浴を除く。室温で15時間後、管を開
け、溶液を蒸発させる。残留物をメタノール2 mlに溶解
し、20 mm x 12 cmシリカゲルフラッシュカラム上でク
ロマトグラフィ処理する。酢酸エチルに続いて、10%メ
タノール/90%酢酸エチルで溶離する。Rf0.23(10%メ
タノール/90%酢酸エチル)の材料を含有するフラクシ
ョンを一緒にして蒸発させると、生成物30 mgを生ず
る。メタノール12 ml中ですり砕き、固体を濾別する。
生成物を真空中で乾燥すると、表題化合物16 mg(オフ
ホワイト色の粉末)を生ずる。NMRはE異性体とZ異性
体との4:1混合物を示す。1 H-NMR(E異性体CD3OD, 300 MHz): δ5.03-5.07(2H, m),
6.21(1H, d, J=6.3),7.02(1H, d, J=78.6), 8.20(1H,
s), 8.32(1H, s).19 F-NMR(E異性体, CD3OD, 282 MHz, 外部CFCl3からのpp
m): 182.30(d, J=78.5). MS: (CI) mH+=268. 以下の特定的な化合物類を、上に実施例1で述べたもの
と同様な手順によってつくることができる。 (Z)又は(E)-3-(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-エリスロ-
ペント-4-エノフラノシル)-5-フルオロ-3H-1,2,3-トリ
アゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-アミン、(Z)又は(E)-4',5'
-ジデヒドロ-5'-デオキシ-2,5'-ジフルオロ-アデノシ
ン、(Z)又は(E)-9-(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-スレ
オ-ペント-4-エノフラノシル)-9H-プリン-6-アミン、[1
R-(1α,2α,3β,5E又は5Z)-3-(4-アミノ-1H-イミダゾ
[4,5-c]ピリジン-1-イル)-5-(フルオロメチレン)-1,2-
シクロペンタンジオール、(Z)又は(E)-1-(5-デオキシ-5
-フルオロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノフラノシル)-1
H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン、(Z)又は(E)-3-
(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノ
フラノシル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-アミン、
(Z)又は(E)-9-(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-エリスロ-
ペント-4-エノフラノシル)-9H-プリン、(Z)又は(E)-3-
(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノ
フラノシル)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-アミ
ン、(Z)又は(E)-2-クロロ-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキ
シ-5'-フルオロアデノシン、[1R-(1α,2α,3β,5E又は5
Z)-3-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(フルオロメチレ
ン)-1,2-シクロペンタンジオール、(Z)又は(E)-4',5'-
ジデヒドロ-2',5'-ジデオキシ-5'-フルオロアデノシ
ン、(Z)又は(E)-2-アミノ-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキ
シ-5'-フルオロアデノシン、[1R-(1α,2α,3β,5E又は5
Z)-3-(2,6-ジアミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(フルオロメ
チレン)-1,2-シクロペンタンジオール、[1S-(1α,2E又
は2Z, 4β)-4-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(フルオ
ロメチレン)シクロペンタノール、[1R-(1α,2β,3β,5E
又は5Z)]-3-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(フルオロ
メチレン)-1,2-シクロペンタンジオール、[1R-(1α,2
α,3β,5E又は5Z)-3-(7-アミノ-3H-1,2,3-トリアゾロ
[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-5-(フルオロメチレン)-1,2
-シクロペンタンジオール、[1S-(1α,2E又は2Z, 4β)]-
4-(7-アミノ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3
-イル)-2-(フルオロメチレン)-シクロペンタノール、[1
R-(1α,2β,3β,5E又は5Z)]-3-(5,7-ジアミノ-3H-1,2,3
-トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-5-(フルオロメ
チレン)-1,2-シクロペンタンジオール、[1R-(1α,2α,3
β,5E又は5Z)]-3-(5,7-ジアミノ-3H-1,2,3-トリアゾロ
[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-5-(フルオロメチレン)-1,2
-シクロペンタンジオール、[1R-(1α,2α,3β,5E又は5
Z)]-3-(7-アミノ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)
-5-(フルオロメチレン)-1,2-シクロペンタンジオール、
[1S-(1α,2E又は2Z, 4β)]-4-(5,7-ジアミノ-3H-1,2,3-
トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-2-(フルオロメ
チレン)-シクロペンタノール、(Z)又は(E)-3-(5-デオキ
シ-5-フルオロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノフラノシ
ル)-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-5,7-ジア
ミン、(Z)又は(E)-N6-メチル-4',5'-ジデヒドロ-5'-デ
オキシ-5-フルオロアデノシン。 X1とX2がいずれもハロゲンである場合の式(1)のアリ
ステロマイシン/アデノシン誘導体類は、当業者に周知
の認められた慣用手順及び手法に従って調製できる。一
般的な合成手順は反応経路Bに記述されている。反応経路B
【化6】 段階aで、適当なアミノ基とヒドロキシ基が反応経路A
に述べたものと同様な方法で封鎖された場合のカルボン
酸誘導体(11)は、酸塩化物(12)に転化される。この反応
にとって好ましい試薬はSOCl2である。カルボン酸誘導
体(11)は、ハーモン(Harmon)ら[Chem. Ind. (Londo
n) 1141(1969年)]の方法に従って、対応アルコールの
酸化によって調製できる。次に、酸塩化物誘導体(12)は
トリハロ誘導体(13)に転化される。例えば、トリフルオ
ロ誘導体を得るためには、(12)を1,1,2-トリクロロ-1,
2,2-トリフルオロエタン中で三フッ化フェニル硫黄と反
応させることができる。トリクロロ誘導体(13)を得るた
めには、(12)を五塩化燐や、この技術で周知の認められ
たその他の試薬と反応させることができる。段階cで、
トリハライド(すなわち(XHal)3C)誘導体(13)は、反
応経路A(段階d)について記述されたものと同様な反
応において、5',5'-ジハロ-4',5'-不飽和誘導体(14)に
転化される。段階cに好ましい試薬は、ジメチルスルホ
キシド中のカリウムt-ブトキシドである。次に、アミノ
及びヒドロキシ基は、反応経路A(段階e、f及びg)
について記述されたものと同様な方法で除去される。反
応経路Bに概略を述べた一般的合成手順に用いられる出
発材料は、当業者に容易に入手できる。例えば、種々の
式(1)化合物類に対する出発材料は、出発物表2に列挙
されている。 出発物表2 反応経路Bの出発材料の例 下記の基を含む式(1)化合物類V A1 A2 Y1 Y2 Y3 Z Q 出発材料の出典 O H OH CH N CH H NH2 J.Med.Chem.25, 626(1982) O H OH CH N N H NH2 Het. Chem. 14, 195(1977) アリステロマイシン O H OH CH CH N H NH2 Nucleosides & Nucleotdes, 19 85, p.625 表1及び2に述べたものと同様な方法、並びにこの技
術で周知の認められたその他の慣用方法を用いて、追加
の出発材料を調製できる。以下の実施例は、反応経路B
で記述された典型的な合成を提示している。この実施例
は、例示的なものとしてのみ理解されるべきであり、い
かなる形でも本発明の範囲を限定する意図のものではな
い。 実施例2 4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5',5'-ジフ
ルオロアデノシン 段階a及びb: 2',3'-O-イソプロピリデン-5'-デオキ
シ-5',5',5'-トリフルオロアデノシン 三フッ化フェニル硫黄[シェパード(Sheppard)、JACS
84巻3058頁(1962年)の記述のとおりに調製]3.32 g
(0.02モル)を1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエ
タン30 ml中で、2',3'-O-イソプロピリデンアデノシン-
5'-カルボン酸の酸塩化物[「核酸化学」タウンゼンド
及びティプソン編、ジョン・ウィリー社、1978年、701
頁、の記述のとおりに調製]3.25 g(0.01モル)と一緒に
し、120℃で一夜加熱する。クロロホルムを添加し、混
合物を氷水中に注ぐ。混合物を重炭酸ナトリウム水溶液
で抽出する。有機層を蒸発させると、粗生成物を生じ、
フラッシュシリカゲル上で酢酸エチル/メタノールによ
ってクロマトグラフィ処理すると、表題化合物を生ず
る。 段階c: 4',5'-ジデヒドロ-2',3'-O-イソプロピリデ
ン-5'-デオキシ-5',5'-ジフルオロアデノシン 2',3'-O-イソプロピリデン-5'-デオキシ-5',5',5'-トリ
フルオロアデノシン300 mg(0.9 mmol)及びカリウムt-
ブトキシド410 mg(4当量)に、ジメチルスルホキシド2
mlを加え、混合物を窒素下にかきまぜる。水で停止さ
せ、酢酸エチルで抽出すると、粗生成物を生ずる。粗生
成物をシリカゲル上で酢酸エチルによってクロマトグラ
フィ処理すると、表題化合物を生ずる。 脱封鎖: 4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5',5'-ジフ
ルオロアデノシン 4',5'-ジデヒドロ-2',3'-O-イソプロピリデン-5'-デオ
キシ-5',5'-ジフルオロアデノシン100 mgをトリフルオ
ロ酢酸/水(4:1)2 mlで1時間処理し、溶媒を蒸発さ
せる。シリカゲル上で酢酸エチル/メタノールによって
クロマトグラフィ処理すると、表題化合物60 mgを生ず
る。以下の特定的な化合物類が、上に実施例2で述べた
ものと同様な手順によってつくられる。 3-(5-デオキシ-5,5-ジフルオロ-β-D-エリスロ-ペント-
4-エノフラノシル)-5-フルオロ-3H-1,2,3-トリアゾロ
[4,5-d]ピリミジン-7-アミン、4',5'-ジデヒドロ-5'-デ
オキシ-2,5',5'-トリフルオロアデノシン、9-(5-デオキ
シ-5,5-ジフルオロ-β-D-スレオ-ペント-4-エノフラノ
シル)-9H-プリン-6-アミン、9-(5-デオキシ-5,5-ジフル
オロ-β-D-スレオ-ペント-4-エノフラノシル)-9H-プリ
ン-6-アミン、[1R-(1α,2α,3β)]-3-(4-アミノ-1H-イ
ミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-5-(ジフルオロメチレ
ン)-1,2-シクロペンタンジオール、1-(5-デオキシ-5,5-
ジフルオロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノフラノシル)-
1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン、3-(5-デオキシ
-5,5-ジフルオロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノフラノ
シル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-アミン、9-(5-デ
オキシ-5,5-ジフルオロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノ
フラノシル)-9H-プリン、3-(5-デオキシ-5,5-ジフルオ
ロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノフラノシル)-1H-ピリ
ゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-アミン、2-クロロ-4',5'-ジ
デヒドロ-5'-デオキシ-5',5'-ジフルオロアデノシン、
[1R-(1α,2α,3β)]-3-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5
-(ジフルオロメチレン)-1,2-シクロペンタンジオール、
4',5'-ジデヒドロ-2',5'-ジデオキシ-5',5'-ジフルオロ
アデノシン、2-アミノ-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-
5',5'-ジフルオロアデノシン、[1R-(1α,2α,3β)]-3-
(2,6-ジアミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(ジフルオロメチ
レン)-1,2-シクロペンタンジオール、[1S-(1α,2E,4
β)]-4-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(ジフルオロメ
チレン)-シクロペンタノール、[1R-(1α,2β,3β)]-3-
(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(ジフルオロメチレン)
-1,2-シクロペンタンジオール、[1R-(1α,2α,3β)]-3-
(7-アミノ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-
イル)-5-(ジフルオロメチレン)-1,2-シクロペンタンジ
オール、[1S-(1α,4β)]-4-(7-アミノ-3H-1,2,3-トリア
ゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-2-(ジフルオロメチレ
ン)-シクロペンタノール、[1R-(1α,2β,3β)]-3-(5,7-
ジアミノ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イ
ル)-5-(ジフルオロメチレン)-1,2-シクロペンタンジオ
ール、[1R-(1α,2α,3β)]-3-(5,7-ジアミノ-3H-1,2,3-
トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-5-(フルオロメ
チレン)-1,2-シクロペンタンジオール、[1R-(1α,2α,3
β)]-3-(7-アミノ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イ
ル)-5-(フルオロメチレン)-1,2-シクロペンタンジオー
ル、[1S-(1α,4β)]-4-(5,7-ジアミノ-3H-1,2,3-トリア
ゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-2-(フルオロメチレン)
-シクロペンタノール、3-(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D
-エリスロ-ペント-4-エノフラノシル)-3H-1,2,3-トリア
ゾロ[4,5-d]ピリミジン-5,7-ジアミン、N6-メチル-4',
5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン。 X1とX2の一方又は双方がハロゲンの場合の式(1)アデ
ノシン誘導体類を調製する代わりの手順を反応経路Cに
示す。この方法は、アデノシル塩基とリボシル部分とを
別個に調製してから、部分どうしの縮合を行なうもので
ある。反応経路C
【化7】 ジ又はトリ-ハロ置換リボシル誘導体類(15)は、当業者
に周知の認められた標準的な手法及び手順に従って調製
される。例えば、メチル-5-デオキシ-5,5-ジフルオロ-
2,3-イソプロピリデンリボースの調製についてシャーマ
(Sharma)ら[Tet.Lett. 1977, 3433]が記述したものと
同様な方法によって、これらの化合物類をつくることが
できる。これらの誘導体類(15)は酢酸のような酸を使用
して、段階aで加水分解される。加水分解誘導体類(16)
は、その後、段階bでピリジン中の無水酢酸との反応に
よって、対応する酢酸エステル(17)に転化される。アデ
ニン誘導体(18)の調製手順は、当業者に周知の認められ
た標準的な手法及び手順を伴っている。酢酸エステル(1
7)は、ビス-トリメチルシリルアセトアミドとルイス
酸、例えばトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホ
ネートの存在下に、融合反応又は縮合反応を経て、適当
なアデニン誘導体(18)と縮合させることができる。次に
縮合生成物(19)は、加水分解によって脱封鎖され、次に
反応経路A(段階a)に記述されたとおりに適当に封鎖
され、更に反応させると、反応経路A(段階d〜g)に
述べたとおりに式(1)化合物類が提供される。反応経路
Cに概略を示した一般的合成手順に使用される出発材料
は、当業者に容易に入手できる。例えば、種々の式(1)
化合物類向けの出発材料を出発物表3に挙げてある。 出発物表3 反応経路Cの出発材料の例 下記の基を含む式(1)化合物類V A1 A2 Y1 Y2 Y3 Z Q 出発材料の出典 O H OH CH N N Cl NH2 2-クロロアデニン、及びTet. Lett. 1977, 3433. O H OH CH N N H NH2 アデニンCH2 H OH CH N CH H NH2 3-デアザアデニン 追加の出発材料は、表3に述べたものと同様な方法、並
びに当業者に周知の認められた慣用的方法を用いて調製
される。次の実施例は、反応経路Cに記述された典型的
な合成を提示している。この実施例は例示的なものとし
てのみ理解されるべきであり、いかなる形においても本
発明の範囲を制限する意図のものではない。 実施例3 N6,N6-ビスベンゾイル-5'-デオキシ-5',5'-
ジフルオロ-2',3'-O-イソプロピリデンアデノシン 段階a及びb: 5-デオキシ-5,5-ジフルオロリボース
及び5-デオキシ-5,5-ジフルオロ-1,2,3-トリ-O-アセチ
ルリボース メチル-5-デオキシ-5,5-ジフルオロ-2,3-イソプロピリ
デンリボース(シャーマ(Sharma)ら[Tet.Lett. 1977,
3433-3436]の記述のとおりに調製)1.12 g(5mmol)を8
0%酢酸5 mlに溶解し、80℃で4時間加熱してから、室
温で一夜かきまぜる。溶媒を蒸発させ、トルエンを加
え、再び蒸発させると、5-デオキシ-5,5-ジフルオロリ
ボースを生ずる。残留物に無水酢酸2.55 ml(2 mmol)と
ピリジン10mlを加え、混合物を一夜かきまぜる。混合物
を水性の仕上げ操作にかけ、続いてフラッシュシリカゲ
ル上のクロマトグラフィ(シクロヘキサン/ジクロロメ
タン)処理すると、5-デオキシ-5,5-ジフルオロ-1,2,3-
トリ-O-アセチルリボースを生ずる。 段階c: N6-ベンゾイル-5'-デオキシ-5',5'-ジフルオ
ロ-2',3'-O-アセチルアデノシン アセトニトリル30 ml中のN-ベンゾイルアデニン1.06 g
(4.4 mmol)にビス-トリメチルシリルアセトアミド3.2
ml(13 mmol)を加える。混合物を還流下に30分加熱す
る。混合物を冷却し、5-デオキシ-5,5-ジフルオロ-1,2,
3-トリ-O-アセチルリボース1.00 g(3.4 mmol)を加え、
トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート1.5
mlを加える。混合物を5時間還流し、冷却し、飽和重炭
酸ナトリウム中へ注ぐ。生成物をクロロホルムで抽出
し、乾燥、蒸発させると、粗生成物を生ずる。フラッシ
ュシリカゲル上のクロマトグラフィにかけると、表題化
合物を生ずる。 脱封鎖: 5'-デオキシ-5',5'-ジフルオロアデノシン カリウス管内でエタノール20 ml中のN6-ベンゾイル-5'-
デオキシ-5',5'-ジフルオロ-2',3'-O-アセチルアデノシ
ン700 mg(1.5 mmol)に、氷中で冷却しながら、気体ア
ンモニアを添加する。管を密封し、これを一夜放置す
る。管を開け、溶媒を蒸発させる。生成物をフラッシュ
シリカゲル上でクロマトグラフィ(酢酸エチル/メタノ
ール)処理すると、表題化合物を生ずる。 封鎖: 5'-デオキシ-5',5'-ジフルオロ-2',3'-O-イソ
プロピリデンアデノシン p-トルエンスルホン酸一水塩215 mg(1.1 mmol)を含有
するアセトン3 ml中の5'-デオキシ-5',5'-ジフルオロア
デノシン300 mg(1 mmol)に、かきまぜながらオルト蟻
酸エチル0.65 ml(4 mmol)を添加する。混合物を2時間
かきまぜ、次いで水酸化アンモニウム希溶液で中和す
る。水とクロロホルムとの間で混合物を分配し、クロロ
ホルムを蒸発させる。生成物をフラッシュシリカゲル上
のクロマトグラフィ(酢酸エチル/メタノール)にかけ
ると、表題化合物を生ずる。 封鎖: N6,N6-ビスベンゾイル-5'-デオキシ-5',5'-ジ
フルオロ-2',3'-O-イソプロピリデンアデノシン ピリジン1 ml中の5'-デオキシ-5',5'-ジフルオロ-2',3'
-O-イソプロピリデンアデノシン160 mgに、塩化ベンゾ
イル0.17 mlを加え、混合物を一夜かきまぜる。混合物
を水とクロロホルムとの間で分配する。クロロホルムを
蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲル上のクロマト
グラフィにかけると、表題化合物を生ずる。表題化合物
を更に仕上げると、反応経路Aに述べたとおりの式(9)
及び(10)の化合物類を生ずる。以下の特定的な化合物類
は、実施例3に記述されたものと同様な手順によってつ
くることができる。 (Z)又は(E)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-2,5'-ジフ
ルオロ-アデノシン、(Z)又は(E)-1-(5-デオキシ-5-フル
オロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノフラノシル)-1H-イ
ミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン、(Z)又は(E)-3-(5-デ
オキシ-5-フルオロ-β-D-エリスロ-ペント-4-エノフラ
ノシル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-アミン、(Z)又
は(E)-9-(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-エリスロ-ペン
ト-4-エノフラノシル)-9H-プリン、(Z)又は(E)-2-クロ
ロ-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロ-アデノ
シン、(Z)又は(E)-2-アミノ-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオ
キシ-5'-フルオロ-アデノシン、(Z)又は(E)-N6-メチル-
4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロ-アデノシ
ン。X1とX2の一方が水素で、他方がハロゲンである場
合の式(1)のアリステロマイシン/アデノシン誘導体類
は、代わりの方法で、反応経路Dに述べた手順によって
調製できる。ここで全用語はすでに定義されたとおりで
あり、また用語「4-MeO-φ-」は4-メトキシフェニル基の
ことである。反応経路D
【化8】
【化9】 段階aで、適当な誘導体(2)の、5'-ヒドロキシ以外の反
応性ヒドロキシ基は、反応経路Aについて記述されたと
おりに、この技術で周知の標準的封鎖剤を利用して封鎖
される。A2がヒドロキシの場合、2'-及び3'-ヒドロキ
シ基を2',3'-O-イソプロピリデン封鎖基で封鎖するのが
好ましい。A2がヒドロキシでない場合は、3'-ヒドロキ
シ及び任意の2'-ヒドロキシ(A1がヒドロキシの場合)
をベンゾイル基で封鎖するのが好ましい。2',3'-O-イソ
プロピリデン封鎖基を利用しない場合は、3'-ヒドロキ
シ及び任意の2'-ヒドロキシ(A1がヒドロキシの場合)
を、段階bで述べた反応後に封鎖するのが好ましい。段
階bで、適当に封鎖された5'-ヒドロキシ誘導体(20)の
5'-ヒドロキシは、置換反応にかけられ、ここでアルキ
ル-チオ基が5'-ヒドロキシ基と置き換わると、対応する
サルファイド(21)を生ずる。好ましいサルファイドは
4-メトキシフェニルサルファイドであり、これは適当に
封鎖された5'-ヒドロキシ誘導体(20)を、トリブチルホ
スフィンの存在下に4-メトキシフェニルジサルファイド
と反応させることによって形成できる。段階cで、サル
ファイド(21)は、この技術で周知の認められた標準酸化
剤、例えば3-クロロ過安息香酸を利用して、対応するス
ルフィニル誘導体(22)に酸化される。段階dで、スルフ
ィニル誘導体(22)の5'-炭素は、ピリジンのような塩基
の存在下にフッ素化剤の三フッ化ジエチルアミノ硫黄
(DAST)や、塩素化剤の塩化スルフィニル等のハロゲン
化剤を利用してハロゲン化されると、対応する5'-ハロ-
スルフィニル誘導体(23)を生ずる。好ましいフッ素化剤
はDASTであり、好ましい塩素化剤は塩化スルフィニルで
ある。DASTをフッ素化剤として利用する場合は、5'-ハ
ロ-スルフィニル誘導体(23)を得るためには、3-クロロ
過安息香酸のような酸化剤の等モル量を加えたDASTでの
処理後に、フッ素化生成物を再酸化しなければならな
い。段階eで、ジイソプロピルエチルアミンのような塩
基の存在下に、5'-ハロ-スルフィニル誘導体(23)を加熱
することによってスルフィニル基を排除すると、適当に
封鎖された4'-ビニルハロ誘導体類(24と25)を生ず
る。段階fで、適当に封鎖された4'-ビニルハロ誘導体
類(24と25)の封鎖基は、反応経路Aに述べたものなど
の、この技術で周知の認められた慣用の手順及び手法に
従って除去される。4'-ビニルハロ-アリステロマイシン
/アデノシン誘導体の(Z)及び(E)異性体類、すなわち
(9)と(10)がこうして形成される。これらの異性体類
は、この技術で周知の認められた慣用的分割手法によっ
て分離できる。本発明は、必要な患者の免疫抑制を行な
う方法、及びもっと特定的には、細胞で媒介される免疫
を抑制する方法を提供しており、この方法は式(1)化合
物の免疫抑制有効量を上記の患者に投与することを含め
てなる。本明細書で使用する患者という用語は、自己免
疫病や「移植片対宿主」病のような病気にかかっている
か、又は移植された同種組織や器官の拒絶の危険がある
哺乳類等の温血動物をさす。ヒト、ハツカネズミ、及び
ラットが「患者」という用語の範囲内に含まれることが
理解される。式(1)化合物を患者に投与すると、患者の
中に免疫抑制効果が生じる。もっと特定的には、式(1)
化合物を患者に投与すると、患者の中に細胞を媒介とす
る免疫の抑制が起こる。換言すると、式(1)化合物で患
者を処置することにより、患者の適応免疫応答、より特
定的には、患者の細胞で媒介される免疫応答が、処置の
不在下に存在するものより抑制される。式(1)化合物の
ような免疫抑制剤による処置を患者が必要とするのは、
患者が自己免疫病や「移植片対宿主」病にかかっている
場合や、移植された同種組織又は器官の拒絶を予防する
ためである。「自己免疫病」という用語は、患者の免疫
応答が患者自身の構成分に向けられて、望ましくない、
しばしば衰弱した状態をもたらすような病状や状態のこ
とである。慢性関節リウマチ、インスリン依存性糖尿
病、ある種の溶血性貧血、リウマチ熱、甲状腺炎、潰瘍
形成性大腸炎、重症筋無力症、糸球体腎炎、アレルギ−
性脳脊髄炎、時々ビ−ルス性肝炎に至ることもある進行
性の神経及び肝臓の破壊、多発性硬化症及び全身的な紅
斑性狼瘡のような自己免疫病にかかった患者は、式(1)
化合物のような免疫抑制剤での処置を必要としている。
慢性関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、及び多発
性硬化症は細胞媒介性の自己免疫応答の結果として特徴
づけられ、T細胞の作用のためと考えられる。そのた
め、これらの病気にかかった患者を式(1)化合物の投与
で処置するのは、患者の症状が更に悪化するのを防ぐ上
で特に有効であろう。慢性関節リウマチ、糖尿病、及び
多発性硬化症のような自己免疫病の初期段階にある患者
の処置は、病状をより重症に悪化させるのを防ぐ上で特
に有効であろう。例えば、インスリン依存性糖尿病(ID
DM)は、インスリンを分泌するランゲルハンス島のβ細
胞に対して向けられた自己免疫応答の結果と考えられ
る。ランゲルハンス島のβ細胞の完全な破壊に先立って
IDDMの初期段階にかかった患者を処置することは、病気
の進行を予防する上で特に有用であろう。というのは、
それによって、残っているインスリン分泌性β細胞のそ
れ以上の破壊が予防ないし抑制されるからである。その
他の自己免疫病の初期段階にかかった患者の処置も、よ
り重大な段階への病状の自然な進行を予防ないし抑制す
るために特に有用であろうことは理解される。同種の腎
臓、肝臓、心臓、皮膚、骨髄のような同種組織又は器官
を受けた、又は受けようとしている患者も、式(1)化合
物のような免疫抑制剤での予防処置の必要な患者であ
る。免疫抑制剤は、提供者の同種組織又は器官を拒絶す
ることから受領者の細胞媒介性免疫応答を予防しよう。
同様に、「移植片対宿主」病にかかった患者は、式(1)
化合物のような免疫抑制剤での処置の必要な患者であ
る。免疫抑制剤は、受領者の同種組織又は器官を拒絶す
ることからの、移植組織又は器官の細胞媒介性免疫応答
を予防しよう。標準の臨床及び実験室試験、及び手順に
基づいて、当業者としての担当診断医は、式(1)化合物
のような免疫抑制剤で処置される必要がある患者を容易
に決定できる。式(1)化合物の免疫抑制有効量は、患者
への1回投与又は複数回投与で、免疫抑制効果、又はよ
り特定的には細胞媒介される免疫抑制効果を提供するの
に有効な量である。免疫抑制効果とは、免疫応答の、又
は細胞媒介された免疫応答のそれ以上の発現を鈍化、中
断、抑制又は予防することである。式(1)化合物の免疫
抑制有効量は、当業者としての担当診断医が、既知の技
術を使用して、また類似の状況下で得られた結果を観測
することによって容易に決定できる。有効量又は投与量
を決定するに当り、限定されるものではないが、哺乳類
の種、体格、年齢、一般的な健康状態、関与する特定の
病気、病気の程度又は関与、個々の患者の応答、投与さ
れる特定の化合物、投与方法、投与される製剤の生物学
的利用率特性、選ばれる最適処方計画、同時的薬物使
用、及びその他関連の状況を含めた幾つかの要因が担当
診断医によって考慮される。式(1)化合物の免疫抑制有
効量は、1日当り体重Kg当たり約0.1mg(mg/kg/日)〜
約100 mg/Kg/日の範囲にあると予想される。好ましい量
は、約0.5〜約10mg/Kg/日の範囲にあると予想される。
患者を処置するのに式(1)化合物は、経口及び非経口経
路を含めた有効量で化合物を生物学的に利用できる任意
の形式又は方法で投与できる。例えば、式(1)化合物を
経口、皮下、筋肉内、静脈内、経皮的、鼻内、直腸に投
与できる。経口投与が一般に好ましい。処方剤を調製す
る当業者は、選ばれた化合物の特定の性状、処置される
べき病状、及びその他関連の状況に依存して、適切な投
与形式及び方法を容易に選択できる。化合物は単独で、
又は製薬上受入れられる担体又は付形剤と組み合わせた
薬学組成物の形で投与でき、担体や付形剤の割合と性質
は選ばれる化合物の溶解度及び化学的性状、選ばれる投
与経路、及び標準の製薬方法によって決定される。式
(1)化合物はそれ自体有効であるが、安定性、結晶化の
便宜、溶解度の増加等の目的で、製薬上受入れられる酸
付加塩類の形で処方並びに投与できる。式(1)化合物
は、式(1)化合物の免疫抑制有効量を、製薬上受入れら
れる一つ以上の担体又は付形剤と混合又は他の方法で組
合せたものからなる薬学組成物の形で投与される。薬学
組成物は、製薬技術で周知の方法によって調製される。
担体又は付形剤は固体、半固体又は液体材料であって、
活性成分のビヒクル又は媒体として役立つ。適当な担体
又は付形剤はこの技術で良く知られている。薬学組成物
は経口又は非経口用途に適合され、錠剤、カプセル、座
薬、溶液、懸濁液等の形で患者に投与され得る。本発明
化合物類は経口的に、例えば不活性希釈剤や、食用担体
とともに投与できる。これらをゼラチンカプセル中に封
入するか、又は錠剤に圧縮できる。経口治療投与の目的
には、化合物を付形剤と混合し、錠剤、トロ−チ剤、カ
プセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハ
−、チュ−インガム等の形で使用できる。これらの製剤
は少なくとも4%の本発明化合物を含有すべきである
が、特定の形式に応じて変わり、単位形式の重量の4〜
約70%が好都合である。組成物中に存在する化合物の量
は、適当な投与適量が得られる量である。本発明による
好ましい組成物及び製剤は、経口適量単位形式が本発明
化合物を5.0〜300 mgの間で含有するように調製され
る。錠剤、丸薬、カプセル剤、トロ−チ剤等は、一つ又
はそれ以上の次の助剤を含有できる。結合剤、例えば微
結晶セルロ−ス、トラガカントガム又はゼラチン;付形
剤、例えば澱粉又は乳糖;崩壊剤、例えばアルギニン
酸、プライモゲル、トウモロコシ澱粉等;潤滑剤、例え
ばステアリン酸マグネシウム又はステロテックス;滑り
剤、例えばコロイド状二酸化珪素;及び甘味剤、例えば
蔗糖又はサッカリンが加えられる。また香料、例えばペ
パ−ミント、サリチル酸メチル、又はオレンジフレ−バ
ーが加えられる。適量単位形式がカプセルであるとき
は、これは上の種類の物質に加えて液体担体、例えばポ
リエチレングリコ−ル又は脂肪油を含有し得る。他の適
量単位形式は、適量単位の物理的形態を変更するような
他の種々の材料、例えば被覆剤を含有できる。従って錠
剤又は丸薬は、砂糖、シェラック又は他の腸溶被覆剤で
被覆され得る。シロップ剤は本発明化合物のほか、甘味
剤としての蔗糖及びある防腐剤、染料及び着色剤及び香
料を含有できる。これらの種々の組成物を製造するのに
使用される材料は、製薬学的に純粋なもので、使用され
る量で無毒であるべきである。非経口治療投与の目的に
は、式(1)化合物類は溶液又は懸濁液に混入できる。こ
れらの製剤は少なくとも0.1%の本発明化合物を含有す
べきであるが、製剤重量の0.1〜約50%の範囲に及びう
る。このような組成物中に存在する化合物の量は、適当
な投与量が得られる量である。好ましい組成物及び製剤
は、非経口適量単位が5.0〜100 mgの式(1)化合物を含有
するように調製される。溶液又は懸濁液はまた、一つ又
はそれ以上の次の助剤を含有できる。無菌希釈剤、例え
ば注射用水、塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリ
コ−ル、グリセリン、プロピレングリコ−ル又は他の合
成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコ−ル又はメチル
パラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸又は重亜
硫酸ナトリウム;キレ−ト化剤、例えばエチレンジアミ
ン四酢酸;緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩、又は燐
酸塩;及び張度調整剤、例えば塩化ナトリウムやデキス
トロ−ス。非経口製剤は、ガラス又はプラスチック製の
アンプル、使い捨て可能な注射器、又は複数投与量バイ
アル中に封入できる。特定の一般的有用性をもった構造
的に関連する化合物類の任意の群と同様に、本発明の使
用法において、ある基と立体配置が式(1)化合物類にと
って好ましい。 置換基X1とX2に関して、X1とX2
一方がフッ素で、他方が水素の場合の化合物類が一般的
に好ましい。X1がフッ素で、X2が水素の場合の化合物
類は、特に好ましい。置換基A1とA2に関して、A1
2の一方がヒドロキシで、他方が水素の場合の化合物
類が、一般的に好ましい。A1が水素で、A2がヒドロキ
シの場合の化合物類は特に好ましい。以下は追加の好ま
しい態様である。すなわち、Vがオキシの場合の化合物
類、Y1がCH基の場合の化合物類、Y2が窒素の場合の化
合物類、Y3が窒素の場合の化合物類、及びZが水素の
場合の化合物類。最後に、Qに関して、QがNH2又はNHC
H3の場合の化合物類が一般的に好ましく、QがNH2の場
合のものが特に好ましい。以下のリストは、本発明の特
に好ましい態様である式(1)化合物類を確認したもので
ある。 (Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノ
シン、4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-2,5'-ジフルオロ
アデノシン、(Z)-9-(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-スレ
オ-ペント-4-エノフラノシル)-9H-プリン-6-アミン、[1
R-(1α,2α,3β,5E)]-3-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]
ピリジン-1-イル)-5-(フルオロメチレン)-1,2-シクロペ
ンタンジオール、(Z)-1-(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-
エリスロ-ペント-4-エノフラノシル)-1H-イミダゾ[4,5-
c]ピリジン-4-アミン、[1R-(1α,2α,3β,5E)]-3-(6-ア
ミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(フルオロメチレン)-1,2-シ
クロペンタンジオール、(Z)-4',5'-ジデヒドロ-2',5'-
ジデオキシ-5'-フルオロアデノシン、4',5'-ジデヒドロ
-5'-デオキシ-5',5'-ジフルオロアデノシン、4',5'-ジ
デヒドロ-5'-デオキシ-2,5',5'-トリフルオロアデノシ
ン、9-(5-デオキシ-5,5-ジフルオロ-β-D-スレオ-ペン
ト-4-エノフラノシル)-9H-プリン-6-アミン、[1R-(1α,
2α,3β)]-3-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1
-イル)-5-(ジフルオロメチレン)-1,2-シクロペンタンジ
オール、1-(5-デオキシ-5,5-ジフルオロ-β-D-エリスロ
-ペント-4-エノフラノシル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジ
ン-4-アミン、[1R-(1α,2α,3β)]-3-(6-アミノ-9H-プ
リン-9-イル)-5-(ジフルオロメチレン)-1,2-シクロペン
タンジオール、4',5'-ジデヒドロ-2',5'-ジデオキシ-
5',5'-ジフルオロアデノシン。 以下の実施例は、本発明による式(1)化合物類の使用法
を例示している。この実施例は例示的にのみ理解され、
いかなる形でも本発明の範囲を制限する意図のものでは
ない。本明細書で使用される次の用語は指定の意味をも
っている。「μM」はマイクロモル濃度をさす。「mM」はミ
リモル濃度をさす。「M」はモル濃度をさす。「S.D.」は、
標準偏差のことである。「μg」はマイクログラムをさ
す。「μl」はマイクロリットルをさす。「i.p.」は腹膜内
のことである。「ELISA」は酵素結合免疫吸着検定法(enz
yme-linked immunosorbant assay)のことである。「ダ
ルベッコPBS」は燐酸で緩衝された食塩水のことである。
「RPMI 1640」とはロスエル・パーク・メモリアル研究所
の培地1640のことである。「FCS」は仔牛胎児血清のこと
である。「HEPES緩衝液」は、N-[2-ヒドロキシエチル]ピ
ペラジン-N'-[2-エタンスルホン酸]緩衝液をさす。「C
M」は培養基培地をさす。「μCi」はマイクロキュリーをさ
す。「cpm」は毎分の計測数をさす。 実施例4 ヒト末梢血液単核細胞の分裂誘発因子刺激に
対する(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロ
アデノシンの影響 〔材料及び方法〕細胞: 50 mlのリューコプレップ分
離管[ベクトン・ディケンソン社、ニュージャージー州
リンカーンパーク]を使用して、ヒト末梢血液単核細胞
を血液試料(0.01M クエン酸ナトリウム中)から単離し
た。動揺バケットロータ中で室温で15分、2400 rpmで管
を遠心分離にかけた。界面で回収した細胞をダルベッコ
PBSで洗い、10%FCS、5x10-5M 2-メルカプトエタノー
ル、2mM L-グルタミン、1%ペニシリン-ストレプトマイ
シン、及び1 mM HEPES緩衝液(CM)を含有するRPMI1640
中に再懸濁した。 分裂誘発検定: ヒト末梢血液単核細胞(2x105)を96
穴の平底微量滴定プレート(ファルコン3072、ベクトン
・ディキンソン社)中で、0.1μg/mlの最終濃度のヨウ
シュヤマゴボウ分裂誘発剤と一緒に、又は1.0μg/mlの
最終濃度のコンカナバリンAと一緒に培養した。試験化
合物を培養基の開始時に添加した。最終容量は0.2 mlで
あった。培養基を95%の湿った空気/5%のCO2中で37
℃、2日間(コンカナバリンA)又は6日間(ヨウシュ
ヤマゴボウ分裂誘発剤)培養した。培養終了の18時間前
に、各穴を[3H]-チミジン1μCiでパルス処理した。個
々の穴からの細胞を、自動化多試料収穫機により、ガラ
ス繊維紙上に収穫した。フィルターをシンチレーション
流体(ユニバーサル・カクテル社、ICNラジオケミカル
ス、カリフォルニア州アービン)中に入れ、パッカード
・トリカーブ4640シンチレーション・カウンターで毎分
計測数(cpm)での[3H]-チミジン取込み量を測定した。
3人からの末梢血液単核細胞を、増加濃度の(Z)-4',5'-
ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシンの存在
下に、T依存性B細胞分裂誘発剤である最適濃度のヨウ
シュヤマゴボウ分裂誘発剤と一緒に培養した。表1に示
すように、(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フル
オロアデノシンは、0.84μMのIC50で、ヨウシュヤマゴ
ボウによって刺激されたヒト末梢血液単核細胞増殖の投
与量依存的抑制をつくりだした。有力なT細胞分裂誘発
剤である最適濃度のコンカナバリンAと一緒にヒト末梢
血液細胞を培養する同様な研究を行なった。表4に示す
ように、(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオ
ロアデノシンは、0.25μMのIC50で、コンカナバリンA
によって刺激されたヒト末梢血液単核細胞増殖の投与量
依存的抑制をつくりだした。 表1 ヒト末梢血液単核細胞の分裂誘発剤刺激に対する(Z)-4',5'- ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシンの影響 増殖(対照の%)、 増殖(対照の%)、 化合物A ヨウシュヤマゴボウ コンカナバリンA 濃度(μM) 分裂誘発剤 分裂誘発剤 0(対照) 100 100 0.001 97.4 100.2 0.01 103.3 100.7 0.1 72.1 66.4 1.0 50.9 15.8 10.0 19.7 3.7 IC50 0.84μM 0.25μM 化合物A=(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン 実施例5 ネズミ単核細胞の分裂誘発剤刺激に対する
(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノ
シンの影響 〔材料と方法〕細胞: 計16匹の異系交配されたCD
−1ハツカネズミ(チャールズ・リバー社、マサチュー
セッツ州ウィルミントン)からの脾臓及び/又はリンパ
節を無菌的に取り出し、蓄え、ハンク平衡化塩溶液(HB
SS、カルシウム及びマグネシウムを含まないもの)中で
単一細胞懸濁液をつくった。赤血球をトリス緩衝された
塩化アンモニウム(0.155M NH4Cl, 0.0165M トリス、pH
7.2)で処理して溶解した。単核細胞をHBSSで洗い、ダ
ルベッコPBSに再懸濁し、10%FCS、5x10-5M 2-メ
ルカプトエタノール、2mM L-グルタミン、1%ペニシリ
ン-ストレプトマイシン、及び1mM HEPES緩衝液(CM)を
含有するRPMI 1640中に再懸濁した。 分裂誘発検定: ネズミ脾臓単核細胞(5x105)を96穴
平底微量滴定プレート中で、2.5μg/mlの最終濃度のコ
ンカナバリンAと一緒に培養した。試験化合物類を培養
開始時に添加した。最終容量は0.2 mlであった。培養基
を95%の湿った空気/5%のCO2中で37℃、2日間培養し
た。培養終了の18時間前に、各穴を[3H]-チミジン1μC
iでパルス処理した。個々の穴からの細胞を、自動化多
試料収穫機により、ガラス繊維紙上に収穫した。フィル
ターをシンチレーション流体(ユニバーサル・カクテル
社、ICNラジオケミカルス、カリフォルニア州アービ
ン)中に入れ、パッカード・トリカーブ4640シンチレー
ション・カウンターで毎分計測数(cpm)での[3H]-チミ
ジン取込み量を測定した。ネズミ脾臓単核細胞を、増加
濃度の(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロ
アデノシンの存在下に、T細胞分裂誘発剤であるコンカ
ナバリンAと一緒に培養した。表2に示すように、(Z)-
4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン
は、0.19μMのIC50で、コンカナバリンAによって刺激
されたネズミ脾臓単核細胞増殖の投与量依存的抑制をつ
くりだした。 表2 ネズミ脾臓単核細胞の分裂誘発剤刺激に対する(Z)-4',5'- ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシンの影響 増殖(対照の%)、 化合物A濃度(μM) コンカナバリンA分裂誘発剤 0(対照) 100 0.001 96.3 0.01 86.0 0.1 51.8 1.0 28.6 10.0 17.9 IC50 0.19μM 化合物A: (Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン 実施例6 生体内T依存性抗原による免疫応答の刺激に
対する(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロ
アデノシンの影響 〔材料と方法〕生体内免疫応答: ハツカネズミを体重
によって無作為に10匹ずつの3群に分けた。ダルベッコ
燐酸緩衝食塩液(PBS)又はPBSに溶解された(Z)-4',5'-
ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン(5又
は10 mg/kg)の腹膜内投与を、免疫処置の一日前に開始
した。PBS中2 mg/mlの卵白アルブミン(シグマ社、ミズ
ーリ州セントルイス)を同量のフロインド完全アジュバ
ントに乳濁し、50μgの卵白アルブミンを含有する50μl
を各足の肉趾に注射した。動物に毎日投与した。免疫処
置の10日後、動物を血清のために出血させ、屠殺した。
抗卵白アルブミンIgGの血清水準をELISA中で定量化し
た。特定的に、トリス緩衝された食塩水(TBS)(20 mM
トリス、500 mM NaCl、pH 7.5)中の1%卵白アルブミン
溶液100μlを96穴のELISA微量滴定プレートの個々の穴
に加えた。プレートを室温で2時間培養し、0.05%ツイ
ーン20を含有するTBS(TBS-ツイーン)で穴を3回洗っ
た。TBS-ツイーン(100μl)中の血清試料の希釈を穴に
加え、次にこれを室温で1時間培養した。プレートをTB
S-ツイーンで再び3回洗った。次に、ワサビダイコン・
ペルオキシダーゼで標識を付けたウサギの抗ハツカネズ
ミIgG(バイオラド社、カリフォルニア州リッチモン
ド)の1:1000希釈液100μlと一緒に穴を室温で1時間培
養した。TBS-ツイーンで3回洗ってから、バイオラド・
ペルオキシダーゼ基質[ココディリックアシッド(coco
dylic acid)緩衝液及び過酸化水素中の2,2'-アジノ-ジ
-(3-エチル-ベンズチアゾリンスルホネート)]100μlと
一緒に穴を培養した。405 nmでの吸光度を測定し、各血
清試料の線形回帰曲線から抗体滴定価を計算し、他に指
定がなければ0.750の吸光度の読みを与える希釈の対数
として記録される。表3に示すように、5又は10 mg/kg
の(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデ
ノシンでハツカネズミを処理すると、抗卵白アルブミン
IgGの血清水準が、対照に比べて著しく低下した。 表3 T依存性抗原による生体内の免疫応答の刺激に対する(Z)- 4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシンの影響 化合物A投与量 抗卵白アルブミン滴定価 (mg/kg) ±S.D.(範囲) 0(対照) 1880±1083 2593±2133 (936-8005) 5 550±272 (210-998) 10 375±124 (198-619) 化合物A=(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ-5'-フルオロアデノシン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 31/7056 A61K 31/7056 31/706 31/706 31/7076 31/7076 A61P 37/06 A61P 37/06 // C07D 235/06 C07D 235/06 249/18 502 249/18 502 471/04 101 471/04 101 107 107Z 473/00 473/00 473/16 473/16 473/32 473/32 473/34 311 473/34 311 351 351 473/40 473/40 487/04 146 487/04 146 C07H 19/052 C07H 19/052 19/056 19/056 19/14 19/14 19/16 19/16 19/23 19/23 (72)発明者 ニ−ル ステファン ド−アティ アメリカ合衆国 06378 コネチカット 州 ストニングトン タグワンク ロ− ド 503 (72)発明者 イサ テロ ジャ−ビ アメリカ合衆国 45236 オハイオ州 シンシナチセントジョ−ンズ テラス 3953 (72)発明者 ジェ−ムス レイ マッカ−シ− アメリカ合衆国 45069 オハイオ州 ウエストチェスタ− フォックスビュ− プレイス 6448 (56)参考文献 特開 1−308267(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/52 A61K 31/4164 A61K 31/4192 A61K 31/4353 A61K 31/4985 A61K 31/7052 - 31/708 C07D 235/06 C07D 249/18 C07D 471/04 C07D 473/00 - 473/40 C07D 487/04 C07H 19/00 - 19/23 CA(STN) CAOLD(STN) CAPLUS(STN) MEDLINE(STN) REGISTRY(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 [式中Vはオキシ又はメチレンであり、X1とX2は各々
    独立に水素又はハロゲンであるが、但しX1とX2の少な
    くとも一方が常にハロゲン原子であることを条件とし、
    1とA2は各々独立に水素、ハロゲン又はヒドロキシで
    あるが、但しA1がヒドロキシの場合はA2が水素であ
    り、またA2がヒドロキシの場合はA1が水素であること
    を条件とし、Y1は窒素、CH基、CCl基、CBr基、又はCNH
    2基であり、Y2とY3は各々独立に窒素又はCH基であ
    り、QはNH2、NHOH、NHCH3、又は水素であり、またZは
    水素、ハロゲン、又はNH2である]の化合物の免疫抑制
    有効量を含む免疫抑制剤。
  2. 【請求項2】 免疫抑制剤が細胞を媒介とする免疫の抑
    制剤である、請求項1に記載の免疫抑制剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の有効成分である化合物
    の免疫抑制量を含む同種移植片の拒絶に対する処置剤で
    ある請求項2に記載の免疫抑制剤。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の有効成分である化合物
    の免疫抑制量を含む自己免疫病に対する処置剤である請
    求項2に記載の免疫抑制剤。
  5. 【請求項5】 自己免疫病がインシュリン依存性の真性
    糖尿病である、請求項4に記載の免疫抑制剤。
  6. 【請求項6】 自己免疫病が多発性硬化症である、請求
    項4に記載の免疫抑制剤。
  7. 【請求項7】 自己免疫病が慢性関節リウマチである、
    請求項4に記載の免疫抑制剤。
  8. 【請求項8】 化合物が4',5'-ジデヒドロ-5'-デオキシ
    -5'-フルオロアデノシンである、請求項1に記載の免疫
    抑制剤。
  9. 【請求項9】 化合物が(Z)-4',5'-ジデヒドロ-5'-デオ
    キシ-5'-フルオロアデノシンである、請求項1に記載の
    免疫抑制剤。
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