JP3031177B2 - ポリオレフィン系樹脂製品のめっき方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂製品のめっき方法

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JP3031177B2
JP3031177B2 JP6229586A JP22958694A JP3031177B2 JP 3031177 B2 JP3031177 B2 JP 3031177B2 JP 6229586 A JP6229586 A JP 6229586A JP 22958694 A JP22958694 A JP 22958694A JP 3031177 B2 JP3031177 B2 JP 3031177B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系樹脂
製品のめっき方法に係る。詳しくは、表面極性の比較的
小さなポリオレフィンを主材とする基材にめっきを施す
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の技術として、次に示すよ
うなものが知られている。すなわち、まず樹脂基材が成
形されるとともに、その基材に対し、プラズマ処理やコ
ロナ処理が行われる。これらいずれかの処理により、基
材の表面が改質され、その後、通常の各種めっき工程を
経てめっき層が形成される。
【0003】ところが、かかる技術では、装置及び処理
法が複雑であり、連続処理が困難であったため、作業全
体が非効率的なものとなっていた。さらには、上記技術
では、プラズマ処理等の表面改質処理が行われた基材
は、その後、各種めっき工程に供される。この各種めっ
き工程には、当然、脱脂、エッチング等の処理も含まれ
るのであるが、かかる場合、せっかく表面が改質された
としても、その後のエッチングによって、改質の効果が
低減されてしまうおそれがあった。
【0004】そこで、例えば特開平5−320928号
公報に開示された技術においては、銅イオンと、銅イオ
ンの還元剤と、錯化剤とpH調整剤とからなる無電解め
っき液において、表面張力の小さい界面活性剤が1種類
以上添加されたものが記されている。かかる無電解めっ
き液を採用することにより、フッ素樹脂等の基材表面
に、上記の如く表面改質処理を経ずとも無電解めっき層
を形成することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記技
術は、プリント配線基板用のフッ素樹脂等に対しては好
適に採用されうる可能性があるものの、極性の小さい高
密度ポリエチレン等のポリオレフィンを主材とする基材
にめっきを施すのは極めて困難であった。すなわち、ポ
リオレフィン系の基材に対してめっきを施す方法として
は、従前のとおり、プラズマ処理、コロナ処理といった
表面改質工程を経る必要があった。
【0006】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、表面極性の小さいポリ
オレフィンを主材とした基材にめっきを施すのに際し、
比較的簡素な装置でもって、連続的に、かつ、確実にめ
っき層を形成することの可能なポリオレフィン系樹脂製
品のめっき方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明においては、ポリオレフィン
を主材として樹脂製品の概略形状を成形し、基材を得る
工程と、前記基材の表面をエッチングするエッチング工
程と、エッチング工程を経た前記基材の表面を中和する
中和工程と、中和工程を経た前記基材をオゾン水溶液に
接触せしめ、前記基材表面を酸化する表面改質工程と、
表面改質工程を経た前記基材を、カチオン系界面活性剤
を主成分として含有する特殊中和溶液にて処理する特殊
中和工程と、特殊中和工程を経た前記基材の表面に触媒
を付与する触媒付与工程と、触媒付与工程を経た前記基
材を無電解めっき溶液に接触させることにより、前記基
材の表面に無電解めっき層を形成する無電解めっき工程
とを備えたことをその要旨としている。
【0008】ここで、特殊中和工程における特殊中和溶
液とは、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロラ
イドに代表されるカチオン系界面活性剤を主成分として
含有するものであって、後の触媒付与工程における触媒
の基材表面への吸着を促進するためのものである。
【0009】また、前記触媒付与工程とは、キャタリス
ト→アクレセータ法によるものであってもよいし、セン
シタイジング→アクチベーション法によるものであって
もよい。
【0010】さらに、請求項2に記載の発明において
は、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂製品のめっ
き方法において、無電解めっき工程を経た前記基材に形
成された無電解めっき層上に電気めっき層を形成する電
気めっき工程を設けたことをその要旨としている。
【0011】併せて、請求項3に記載の発明において
は、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂製品
のめっき方法において、前記ポリオレフィンはポリエチ
レンであることをその要旨としている。
【0012】
【作用】請求項1に記載の発明によれば、ポリオレフィ
ンを主材として樹脂製品の概略形状が成形され、基材が
得られる。エッチング工程では、前記基材の表面がエッ
チングされ、基材の表面に微細な凹部が形成される。中
和工程では、エッチング工程を経た基材の表面が中和さ
れる。
【0013】次に、表面改質工程では、中和工程を経た
基材がオゾン水溶液に接触され、基材表面が酸化され、
改質される。特殊中和工程では、表面改質工程を経た基
材が、カチオン系界面活性剤を主成分として含有する特
殊中和溶液にて処理される。触媒付与工程では、特殊中
和工程を経た基材の表面に触媒が付与され、前記凹部に
吸着される。ここで、特殊中和工程を経ていることによ
り、基材の凹部表面は、マイナスチャージを帯びた触媒
とイオン結合しやすく、触媒の吸着がより促進される。
そして、無電解めっき工程では、触媒付与工程を経た基
材が無電解めっき溶液に接触されることにより、前記吸
着され、担持された触媒を核として、基材の表面に無電
解めっき層が形成される。
【0014】さて、本発明によれば、基材の表面改質
は、中和工程を経た基材がオゾン水溶液に接触されるこ
とにより行われる。このため、表面改質工程は、比較的
簡素な装置でもって、一連のめっき工程の中で連続的に
実行されうる。
【0015】また、表面改質により基材表面が酸化さ
れ、表面に極性基が付与されるとともに、表面の凹部に
多くの触媒が吸着されうる。従って、無電解めっき層は
より形成されやすくなる。
【0016】さらに、請求項2に記載の発明によれば、
請求項1に記載の発明の作用に加えて、無電解めっき工
程を経た前記基材に形成された無電解めっき層上に電気
めっき層が形成される。このため、めっき層全体が膜厚
となり、強固なものとなる。また、場合によっては外観
が良好なものとなる。
【0017】併せて、請求項3に記載の発明によれば、
請求項1又は2に記載の作用に加えて、従来ではめっき
層の形成が比較的困難とされてきたポリエチレンが基材
の主材とされていたとしても、容易に、かつ、確実にめ
っき層が形成されうる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を、自動車の一部品たるフュー
エルフィラーパイプを樹脂製品として具体化した一実施
例を図面に基づいて説明する。
【0019】図2は、本実施例における樹脂製品として
のフューエルフィラーパイプ1を示す斜視図であり、図
3はその一部を破断して示す模式的断面図である。フュ
ーエルフィラーパイプ1は、車両の燃料給油口と燃料タ
ンクとの間を連結するためのものである。フューエルフ
ィラーパイプ1は、基材としてのパイプ本体2及びパイ
プ本体2の外周面に設けられてなるめっき層3を備えて
いる。
【0020】パイプ本体2は、高密度ポリエチレン(H
DPE)を主材として、例えば公知のブロー成形法によ
り成形されている。また、パイプ本体2は、主として給
油口から導入されたガソリンを燃料タンクに導くための
筒状の本体部4と、ガソリンの一部を上流側に戻すため
のリターン部5とからなっている。また、前記めっき層
3は、無電解めっき層と電気めっき層とからなってい
る。無電解めっき層はニッケルにより、厚さ「0.3〜
1μm」程度に形成されている。また、電気めっき層
は、厚さ「20〜30μm」程度に形成され、ニッケル
よりなるストライクめっき層と、銅めっき層と、半光沢
ニッケルめっき層と、光沢ニッケルめっき層と、クロム
めっき層と(いずれも図示せず)により形成されてい
る。
【0021】なお、前記本体部4の給油口側には、金属
製のリテーナ6が設けられている。さらに、本体部4の
中央部には、フューエルフィラーパイプ1を車両本体に
対し取付けるためのフランジ7が一体形成されている。
【0022】次に、上記フューエルフィラーパイプ1に
対しめっき層3を形成するに際し一部の工程において用
いられる表面改質装置について説明する。図4に示すよ
うに、表面改質装置11は、オゾン発生器12、ヒータ
13、スプレーノズル14、ドレン15及び各部材を連
結するためのホース等を有している。オゾン発生器12
は、酸素をオゾンに変化させるとともに、水中にオゾン
を溶解することができるようになっている。また、オゾ
ン発生器12は、内部にポンプ(図示せず)を備え、オ
ゾン水溶液をヒータ13の方へ圧送することができるよ
うになっている。さらに、ホース途中に設けられたヒー
タ13は、流動中のオゾン水溶液を所定の温度にまで加
温することができるようになっている。
【0023】併せて、ホース先端に設けられたスプレー
ノズル14は、ヒータ13側から送られてくる加温され
たオゾン水溶液がスプレー状にパイプ本体2に当たるよ
うに配設されている。ここで、オゾン水溶液を接触させ
る際のスプレー圧力をA(kPa)とし、前記オゾン水
溶液を噴射するためのスプレーノズル14の先端とパイ
プ本体2との距離をB(cm)としたとき、A・B-2
0.07を満足しているのが望ましい。
【0024】さらに、ドレン15は、パイプ本体2搬送
用のコンベアの下方に設けられており、パイプ本体2に
接触した後のオゾン水溶液を貯留するようになってい
る。このドレン15に溜まったオゾン水溶液は、連結管
16を介して一定の速度で再度オゾン発生器12へと導
入されるようになっている。
【0025】なお、水の温度に対するオゾンの溶解度係
数の関係は、図5に示すような関係となっている。すな
わち、水の温度の上昇に伴ってオゾンは溶解されにくく
なり、温度の上昇とともに、オゾンは分解されやすくな
る。また、これに相反して、水の温度が高い方が反応速
度(表面改質速度)が増大することも一般的に知られて
いる。従って、オゾンの濃度ができるだけ高く、かつ、
オゾン水溶液の温度ができるだけ高くなるようヒータ1
3による加温調節が、適宜になされるのが望ましい。具
体的には、上記温度は、65℃以上85℃以下であるの
が望ましい。さらには、上記オゾン水溶液のpHは
「7」以下であるのが望ましい。酸性条件下にあること
により、オゾン水溶液中のオゾンが分解されにくく、オ
ゾン濃度をより高めることができるからである。
【0026】また、表面改質装置11にて表面改質され
たパイプ本体2は、その後の触媒付与工程へ供されるよ
うになっている。次に、上記のフューエルフィラーパイ
プ1を製造するための製造方法について図1のめっき工
程を示す工程図に従って説明する。
【0027】まず、公知のブロー成形法により、上記パ
イプ本体2を成形する。次に、前記パイプ本体2をプラ
コン工程に供する。すなわち、硫酸80g/l、プラコ
ン10g/lを含有してなる60℃水溶液中に125秒
間前記パイプ本体2を浸漬させる。すると、パイプ本体
2表面の脂肪分が除去(脱脂)され付着異物が取り除か
れる。
【0028】続いて、プラコン工程を経たパイプ本体2
をエッチング工程に供する。すなわち、硫酸380g/
l、六価クロム420g/l、三価クロム40g/lを
含有してなる65℃水溶液中に604秒間、前記パイプ
本体2を浸漬させる。この処理を経ることにより、パイ
プ本体2はエッチングされ、表面に微細な凹部が多数形
成される。
【0029】さらに、上記エッチング工程を経たパイプ
本体2を中和工程に供する。すなわち、塩酸60m/
l、CR−200(クロム廃液処理剤)8ml、硫酸ヒ
ドラジン2g/lを含有してなる水溶液中に室温で60
秒間、前記パイプ本体2を浸漬させる。すると、パイプ
本体2の表面に付着した酸が中和される。
【0030】次に、上述した表面改質装置11等を用い
て、パイプ本体2の表面を改質する。すなわち、コンベ
アによりパイプ本体2を図4の右方へと移動させ、表面
改質装置11へと供する。このとき、パイプ本体2に
は、スプレー状のオゾン水溶液が接触される。この接触
に伴う水中に残存するオゾンの酸化力により、パイプ本
体2の表面が酸化され、極性化される。このとき、パイ
プ本体2がいかなる形状(本実施例ではパイプの形状)
をなしていたとしても、オゾン水溶液は、パイプ本体2
の少なくとも意匠面の全表面に対して確実に接触するこ
とが可能となる。そのため、パイプ本体2の各表面にお
いて、均一に酸化反応が行われ、各箇所における反応斑
が起きにくい。なお、上記酸化の均一性を高めるべく、
図示しない回転装置等を用いて、前記パイプ本体2を回
転させ、スプレー状のオゾン水溶液を均一に当てるよう
にしてもよい。
【0031】そして、上記のように表面改質されたパイ
プ本体2を、次なる特殊中和工程へと供する。すなわ
ち、表面改質工程を経たパイプ本体2をカチオン系界面
活性剤(本実施例ではアルキルトリメチルアンモニウム
クロライドを主成分とする)30ml/l、B−200
(表面調整剤)30ml/lを含有してなる50℃水溶
液中に242秒間前記パイプ本体2を浸漬させる。この
処理を経ることにより、パイプ本体2は再度中和される
とともに、次なる触媒付与工程における触媒の吸着が促
進されるようになる。
【0032】続いて、上記特殊中和工程を経たパイプ本
体2を触媒付与工程に供する。本実施例における触媒付
与工程は、キャタリスト工程及びアクセレータ工程より
なる。すなわち、キャタリスト工程においては、特殊中
和工程を経たパイプ本体2を硫酸180ml/l、キャ
タリスト−C(触媒付与剤)30ml/lを含有してな
る34℃水溶液中に215秒間浸漬させる。すると、パ
イプ本体2の表面、特に、エッチングにより凹部の形成
された箇所には、パラジウム・錫(Pd・Sn)錯化合
物が吸着される。
【0033】さらに、アクセレータ工程においては、そ
のパイプ本体2を硫酸100ml/l、硫酸ヒドラジン
2g/l、アクセレータX(活性化促進剤)0.5g/
lを含有してなる45℃水溶液中に208秒間浸漬させ
る。すると、Pd・Sn錯化合物のうちの錫が除去さ
れ、パラジウムが金属化され、触媒核が形成される。
【0034】次に、上記の触媒付与工程を経たパイプ本
体2を無電解めっき(無電解ニッケルめっき)工程に供
する。すなわち、パイプ本体2を金属ニッケル6g/
l、次亜リン酸ナトリウム18g/l、亜リン酸ナトリ
ウム60g/l、硫酸ニッケル30g/lを含有してな
る33℃水溶液中に553秒間浸漬させる。すると、ニ
ッケルよりなる無電解めっき層が形成される。
【0035】その後、無電解めっき工程を経たパイプ本
体2を電気めっき工程に供する。ここで、上記電気めっ
き層を構成する各金属めっきを形成する際の各種めっき
溶液について説明する。まず、電気めっき層の最下層を
なすストライクめっき層を形成する際のめっき溶液は、
硫酸ニッケル250g/l、塩化ニッケル30g/l及
び硼酸30g/lを含有している。また、銅めっき層を
形成する際のめっき溶液は、硫酸銅200g/l、硫酸
50g/l、塩酸0.01g/l及び微量の光沢剤を含
有している。さらに、半光沢ニッケルめっき層を形成す
る際のめっき溶液は、硫酸ニッケル280g/l、塩化
ニッケル45g/l、硼酸40g/l及び微量の光沢剤
を含有している。併せて、光沢ニッケルめっき層を形成
する際のめっき溶液は、硫酸ニッケル240g/l、塩
化ニッケル45g/l、硼酸30g/l並びに微量の光
沢剤及び添加剤を含有している。加えて、クロムめっき
層を形成する際のめっき溶液は、無水クロム酸250g
/l、ケイフッ化ナトリウム10g/l、硫酸1g/l
を含有している。
【0036】そして、これら各溶液に無電解めっき層の
形成されたパイプ本体2を順次浸漬させるとともに、そ
れぞれの段階において所定時間電気的に導通させる。す
ると、下側から順にストライクめっき層、銅めっき層、
半光沢ニッケルめっき層、光沢ニッケルめっき層及びク
ロムめっき層よりなる電気めっき層が形成され、無電解
めっき層及び電気めっき層よりなるめっき層3が形成さ
れる。その後、洗浄工程等を経た後、結果として、パイ
プ本体2表面にめっき層3の形成されてなるフューエル
フィラーパイプ1が得られる。
【0037】以上説明したように、本実施例において、
パイプ本体2の表面改質は、中和工程を経たパイプ本体
がオゾン水溶液に接触されることにより行われる。この
ため、表面改質工程は、比較的簡素な表面改質装置2で
もって、一連のめっき工程の中で連続的に実行されう
る。その結果、コストの著しい簡素化を図ることができ
るとともに、作業性の著しい向上を図ることができる。
【0038】また、この表面改質工程を経ることにより
パイプ本体2表面が酸化され、表面に極性基が付与され
る。さらに、特殊中和工程を経ることにより、表面の凹
部に多くの触媒が吸着されうる。従って、無電解めっき
工程における無電解めっき層はより形成されやすくな
り、確実にめっき層3を形成することができる。その結
果、本実施例の如く、従来比較的めっきの形成が困難と
されていたポリエチレン(HDPEを含む)製のパイプ
本体2においても、容易に、かつ、確実にめっき層3を
形成することができる。
【0039】さらに、本実施例では、無電解めっき層上
に電気めっき層を形成するようにした。このため、めっ
き層3全体が一層厚膜、かつ、稠密なものとなり、強固
なものとなる。従って、本実施例のフューエルフィラー
パイプ1の如く、高いガスバリヤ性の要求される製品に
おいては、ガソリン等の燃料の透過を確実に防止するこ
とができる。
【0040】上記効果を確認するため、燃料透過量を測
定する試験を行った。この際、透過量を測定する装置の
1つとして図6に示すようなものを用いた。すなわち、
透過量測定装置21は、フランジ22aを有するカップ
22及び多孔プレート23を備えている。そして、試験
片24(例えば本実施例のフューエルフィラーパイプ1
の平板片)がカップ22及び多孔プレート23で挟持さ
れた状態で、ボルト25及びナット26により締結され
ている。カップ22の内部には、燃料(MTBE10%
混合ガソリンとエタノールとの9:1混合液が入れられ
ている。そして、所定時間(例えば1日)における単位
面積当たりの燃料の透過量を各試験片24毎に測定し
た。
【0041】その結果を図7に示す。なお、図中、PE
はポリエチレンを示し、FKMはフッ素ゴムを示し、シ
ーラーはHDPE中にナイロンを葉片状に配向したもの
を示す。同図に示すように、本実施例の試験片(HDP
Eの基材+めっき層)によれば、透過量は「0」であっ
た。このことからも、本実施例のめっき方法によれば、
確実にめっき層3を形成することができるとともに、そ
のめっき層3により、燃料の透過を確実に抑制すること
ができるといえる。
【0042】併せて、本実施例の表面改質工程において
は、パイプ本体2の表面にオゾン水溶液がスプレー状に
当たるため、パイプ本体2表面に当たる単位時間当たり
のオゾンの量は、比較的多いものとなる。このため、全
体としてオゾン水溶液を接触させる時間が、オゾン水溶
液中に樹脂成形物を浸漬させていた場合に比べて極めて
短時間で済む。従って、短時間の改質処理でもって良好
なめっき接合性が得られる(めっき層3が強固に接合す
る)こととなる。その結果、生産性の著しい向上を図る
ことができる。
【0043】尚、本発明は上記実施例に限定されず、例
えば次の如く構成してもよい。 (1)前記実施例では、樹脂製品としてフューエルフィ
ラーパイプ1を採用したが、その他の樹脂製品(例えば
フロントグリル、ドアミラーブラケット、マークプレー
ト等の自動車用内・外装品等)に具体化してもよい。
【0044】また、同じフューエルフィラーパイプ1に
適用するにしてもその形状等は上記実施例のものに何ら
限定されるものではない。従って、例えばリターン部
5、リテーナ6、フランジ7等を省略する構成としても
何ら差し支えない。
【0045】(2)前記実施例では、ポリオレフィンと
して、HDPEを主材として採用したが、その他のポリ
オレフィン、例えば通常のポリエチレン、低密度ポリエ
チレン、ポリプロピレン等を主材としても本発明の趣旨
を逸脱するものではない。
【0046】(3)前記実施例では、パイプ本体2をブ
ロー成形法により成形するようにしたが、通常の射出成
形等、いかなる方法により成形したものであってもよ
い。 (4)前記実施例では、めっき層3を無電解めっき層及
び電気めっき層により構成するようにしたが、電気めっ
き層を省略する構成としてもよい。すなわち、無電解め
っき層だけでも十分にその機能を発揮しうるものであれ
ば、無電解めっき層のみをもってめっき層としてもよ
い。
【0047】また、各めっき層及びめっき用溶液の組成
並びにめっきの厚さは上記実施例のものに何ら限定され
るものではない。従って、そのときどきの目的用途に応
じて組成等は変更しうるものである。
【0048】(5)前記実施例では、表面改質工程にお
いて、パイプ本体2の表面にオゾン水溶液をスプレー状
に当てるようにしたが、要は基材表面にオゾン水溶液を
接触させればいかなる方法で接触させてもよい。例え
ば、滝状に当てるようにしてもよいし、オゾン水溶液が
貯留されてなる容器中に基材を浸漬させるようにしても
よい。
【0049】(6)前記実施例では、パイプ本体2を成
形した後、プラコン工程に供するようにしたが、当該工
程を省略したとしても差し支えない。 (7)前記実施例では、カチオン系の界面活性剤とし
て、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドを代表
例として挙げたが、その外にもポリオキシエチレンアル
キルアミンや、アルキルジメチルベンジルアンモニウム
クロライド等も好適に採用されうる。
【0050】(8)前記実施例での各処理工程における
処理温度、処理時間、処理要薬品等は、上記実施例のも
のに限定されるものではなく、そのときどきに応じて変
更しうるものである。
【0051】(9)前記実施例では、触媒付与工程は、
キャタリスト工程及びアクセレータ工程よりなる方法を
採用したが、センシタイジング工程及びアクチベーショ
ン工程により触媒を付与するようにしてもよい。
【0052】(10)前記実施例では、一部の工程にお
いて、パイプ本体2をコンベヤにて搬送する例を紹介し
たが、通常一連のめっき工程で採用されているハンガー
による搬送を採用してもよい。
【0053】特許請求の範囲の各請求項に記載されない
ものであって、上記実施例から把握できる技術的思想に
ついて以下にその効果とともに記載する。 (a)請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン
系樹脂製品のめっき方法において、前記表面改質工程に
おいては、中和工程を経た前記基材をスプレー状のオゾ
ン水溶液に接触せしめたことを特徴とする。上記の構成
とすることにより、短時間で極めて良好な表面改質効果
が得られ、めっき層の確実な形成を促進することができ
るという効果を奏する。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のポリオレ
フィン系樹脂製品のめっき方法によれば、表面極性の小
さいポリオレフィンを主材とした基材にめっきを施すの
に際し、比較的簡素な装置でもって、連続的に、かつ、
確実にめっき層を形成することができるという優れた効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施例におけるめっき方法の各工程を示す
工程図である。
【図2】 フューエルフィラーパイプを示す斜視図であ
る。
【図3】 フューエルフィラーパイプの一部の模式的な
断面図である。
【図4】 一実施例における表面改質装置を模式的に示
す概略図である。
【図5】 水の温度とオゾン溶解度係数との関係を示す
グラフである。
【図6】 燃料透過量測定用の透過量測定装置を示す断
面図である。
【図7】 各試験片による燃料の透過量の関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1…樹脂製品としてのフューエルフィラーパイプ、2…
基材としてのパイプ本体、3…めっき層。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−149384(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/00 - 18/54 C25D 5/56

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィンを主材として樹脂製品の
    概略形状を成形し、基材を得る工程と、 前記基材の表面をエッチングするエッチング工程と、 エッチング工程を経た前記基材の表面を中和する中和工
    程と、 中和工程を経た前記基材をオゾン水溶液に接触せしめ、
    前記基材表面を酸化する表面改質工程と、 表面改質工程を経た前記基材を、カチオン系界面活性剤
    を主成分として含有する特殊中和溶液にて処理する特殊
    中和工程と、 特殊中和工程を経た前記基材の表面に触媒を付与する触
    媒付与工程と、 触媒付与工程を経た前記基材を無電解めっき溶液に接触
    させることにより、前記基材の表面に無電解めっき層を
    形成する無電解めっき工程とを備えたことを特徴とする
    ポリオレフィン系樹脂製品のめっき方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂
    製品のめっき方法において、 無電解めっき工程を経た前記基材に形成された無電解め
    っき層上に電気めっき層を形成する電気めっき工程を設
    けたことを特徴とするポリオレフィン系樹脂製品のめっ
    き方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のポリオレフィン
    系樹脂製品のめっき方法において、 前記ポリオレフィンはポリエチレンであることを特徴と
    するポリオレフィン系樹脂製品のめっき方法。
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