JP3029794B2 - 液晶パネルの検査方法 - Google Patents

液晶パネルの検査方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、AV(オーディ
オ・ビジュアル)機器やOA(オフィス・オートメーシ
ョン)機器等に使用される薄膜トランジスタを用いた液
晶パネルの検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶パネルは、その応用範囲が広
く使用環境は過酷になり、これに対応できるような検査
方法により一層の高性能や高信頼性を確保しなければな
らなくなっている。以下に従来の液晶パネルの検査方法
について説明する。アクティブマトリックス駆動方式の
液晶パネルは、一般に、対向電極を形成した上側ガラス
基板と下側半導体集積ガラス基板より構成されており、
半導体集積ガラス基板は、XYマトリックス状に配置さ
れた走査信号線および表示信号線とマトリックス状に配
置された薄膜トランジスタと、それに電気的に接続され
た画素電極等からなる単位画素で構成され、外部選択回
路からの走査信号により単位画素を選択し、液晶に表示
信号の電圧を印加し画像表示を行うようになっている。
なお、液晶パネルとしては、画素電極と共通電極もしく
は前段の走査信号線とにより補助コンデンサを形成して
いる場合もある。
【0003】また、液晶パネルの製造工程においてはそ
の構成やプロセス上の問題により十分な歩留まりが確保
されておらず、典型的な歩留まり阻害要因として線欠陥
が挙げられる。線欠陥は駆動用集積回路の故障、断線、
静電気などがあるが、中でも静電気によるTFT特性の
劣化で発生する線欠陥は、基本的にリペア不可能であり
重要な課題となっている。
【0004】静電気による線欠陥を防止する方法として
は、全信号配線をショートする配線を形成し、電気容量
を大きくすることで配線1本に対するダメージを分散、
軽減することが一般的な方法である。このショート配線
は、画像検査工程などのショート配線を除去すべき工程
の直前で除去される。除去方法としては、エッチング等
の化学反応を利用する方法と配線パターンを機械的に削
り取る方法があり、作業性等の面から後者を選択するの
が一般的である。
【0005】ここで、ショート配線を基板端面または割
断面近くに配置しておけば、端面の面取り作業により容
易に除去できる。通常、面取り量は基板端面または割断
面からの距離で規定されるが、基板サイズ、パターン、
割断位置のバラツキにより必要十分な量を精度良く面取
りすることは困難である。ショート配線が完全に除去で
きない場合は配線間ショートが発生する。
【0006】つぎに、一般的な液晶パネルの回路図を図
3と図4に示す。図3はアクティブマトリクス駆動方式
の液晶パネルのガラス基板の割断前の配置を示す回路図
である。図中の符号1で示す矩形の領域が表示部であ
る。2は表示部1の単位画素への表示信号線であり、表
示部周辺に表示信号駆動用集積回路を実装する端子を有
する。3は単位画素への走査信号線であり表示部周辺に
走査信号駆動用集積回路を実装する端子を有する。4は
対向電極取り出し線であり、上側ガラス基板にある対向
電極へ導電性ペーストにより接続されており、走査信号
線3に隣接している。5はショート配線であり、静電気
による線欠陥を防止する機能を有する。6は割断位置で
ある。
【0007】図4は割断後において走査信号側のショー
ト配線が完全に除去できない場合の液晶パネルの回路図
である。7は単位画素の薄膜トランジスタであり、通常
はMISトランジスタが用いられる。8は透明な画素電
極であり、9は補助コンデンサであり、表示信号の保持
機能を有する。10は完全に除去できなかったショート
配線である。
【0008】つぎに、液晶駆動の一般的なタイミング図
を図5に示す。図5において、Vsは簡単に表した表示
信号である。Vc は簡単に表した対向信号である。Vg
は走査信号であり、走査順次の早い方(画面上部)から
1,2,…,nとなっている。つぎに、上述した表示信
号と対向信号および走査信号の電位関係を図6に示す。
図6において、Vs は簡単に表した表示信号であり、V
c は簡単に表した対向信号であり、Vg は走査信号であ
る。
【0009】つぎに、一般的な画面輝度−対向電極電源
電流Ic 特性の概念図を図2に示す。図2は表示信号が
MAX(最大)において画面輝度がMIN(黒表示)に
なるノーマリーホワイト方式の状態を示している。図中
の実線で表している特性は、従来の検査時のものであ
り、検査時の対向電極電源電流Ic は出荷実駆動時の対
向電極電源電流Icactと同じ値である。細い実線は対向
電極取り出し線と走査信号線の間の配線間ショートがな
い場合の例であり、対向電極電源電流Ic は出荷実駆動
時の対向電極電源電流Icactであり、それに対する輝度
はMINとなり、正常な性能であることを示している。
【0010】また、太い実線は、走査信号線側のショー
ト配線が完全に除去されず対向電極取り出し線と走査信
号線との配線間ショートが発生した場合の輝度変化を表
したものであり、対向電極電源電流Ic はショートした
走査信号線へのリーク電流Ig の影響を受けIc =|I
cact−Ig |となり、検査時の対向電極電源電流Ic
は、出荷実駆動時の対向電極電源電流Icactより上記の
リーク電流Ig 分だけ少ない値となり、検査時の画面輝
度−対向電極電源電流Ic 特性はシフトするが、この場
合も出荷実駆動時の対向電極電源電流Icactに対する輝
度はMINとなるため、正常な性能であることを示して
いた。つまり、液晶パネルにおいて、個々の電極間に印
加する電圧(電流)により液晶分子のねじれがコントロ
ールされ、これにより光の透過量がコントロールされる
ことにより、輝度が制御される。検査は所定の表示信号
で、所定の輝度特性になるかどうかで行う。また、検査
電流は、良品の液晶パネルを基準に決定されており、そ
れをベースに検査し、この点は実施の形態でも同じであ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、液晶表示装
置の駆動用バッテリーが劣化し、対向電極電源電流Ic
が低下した場合、出荷実駆動時の対向電極電源電流がI
cactからIcact′に減少するが、走査信号線側のショー
ト配線が完全に除去されず対向電極取り出し線と走査信
号線との配線間ショートが発生した液晶パネルの場合、
駆動用バッテリー劣化時における出荷実駆動時の対向電
極電源電流Icact′に対し良否判断限界の輝度変化ΔT
0 に達してしまい画像不良となってしまう。なお、ΔT
1 は同じ電流Icact′における正常な液晶パネルの輝度
変化である。
【0012】このように、出荷実駆動時の対向電極電源
電流Icactと同じ値の対向電極電源電流Ic を対向電極
に与える検査方法では、配線間ショートが発生した液晶
パネルであっても初期には正常輝度が得られ、異常を検
出できないことから、駆動用バッテリーの劣化時等にお
いて顕在化する良否判断限界の輝度変化ΔT0 に達する
画像不良を予測し、長時間駆動させた場合の画質性能を
確保できないという問題点を有していた。
【0013】この発明は上記従来の問題点を解決するも
ので、ショート配線が完全に除去されず配線間ショート
を有する液晶パネルを検出してショート配線を除去する
処理を行わせることができ、駆動用バッテリー劣化が発
生した場合においても、画質性能を確保できる液晶パネ
ルの検査方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明の液晶パネルの検査方法は、第1の基板の
一主面上にXYマトリクス状に配された走査信号線と表
示信号線とが形成され、走査信号線と表示信号線とによ
り区画された領域が単位画素に相当し、単位画素は薄膜
トランジスタとこの薄膜トランジスタに電気的に接続さ
れた画素電極とから構成され、対向電極が形成された第
2の基板と第1の基板との対向間隙内に液晶が封入さ
れ、走査信号線群または表示信号線群を電気的に短絡さ
せるショート配線を第1の基板にもち、第1の基板およ
び第2の基板を割断することにより複数に分割された後
第1の基板の端面または割断面が面取りされることによ
りショート配線が除去された液晶パネルを検査する方法
であり、走査信号線に供給する走査信号をVg とし、表
示信号線に供給する表示信号をVs とし、対向電極取り
出し線から対向電極に供給する対向信号をVc とし、出
荷実駆動時の対向電極電源電流をIcactとしたときに、
一定の表示信号Vs ,対向信号Vc および走査信号Vg
の下、対向電極取り出し線に対し走査信号線をn本(n
は整数)ショートし、かつ対向電極電源電流を出荷実駆
動時の対向電極電源電流Icactから低下させて液晶パネ
ルに初期値からの良否判断限界の輝度変化ΔT0 に対応
した出荷実駆動時の対向電極電源電流Icactからの対向
電極電源電流の変化分ΔIc0を知り、検査時の対向電極
電源電流をIc0としたときに、 Ic0=Icact−ΔIc0(ただし、ΔIc0>0) として、液晶パネルに良否判断限界の輝度変化ΔT0 に
達する輝度変化を生じるか否かを検査することを特徴と
する。
【0015】一般に液晶パネルはビデオ一体型ムービー
などポータブル液晶表示装置に使用され長時間駆動させ
ると液晶表示装置のバッテリー劣化が発生する。この発
明によれば、検査時の対向電極電源電流を出荷実駆動時
の対向電極電源電流Icactから対向電極電源電流の変化
分ΔIc0だけ少ない値として、駆動用バッテリーが劣化
して出荷実駆動時の対向電極電源電流Ic が本来のIca
ctより少なくなった状態と同じような状態を実現し、こ
の状態で液晶パネルの検査を行うことが可能となり、走
査信号線と対向電極取り出し線間のショートを発生して
いる液晶パネルの駆動用バッテリー劣化時の良否判断限
界の輝度変化ΔT0 に達する輝度変化を強制的に検出す
る検査を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図1に基
づいて説明する。以下本発明の一実施例について、図面
を参照しながら説明する。図1は4型液晶パネル(表示
信号線480本、走査信号線234本)における出荷実
駆動時の対向電極電源電流をIcact=1.0μAとした
時、一定のVs ,Vc ,Vg の下、対向電極取り出し線
に対してショート配線で走査信号線を例えば2本ショー
トし、対向電極電源電流Ic を低下させた時の液晶パネ
ルに良否判断限界の輝度変化ΔT0 (初期値に対し10
%)が生じるΔIc0=0.2μAを検出した場合の画面
輝度−対向電極電源電流Ic 特性の概念図である。
【0017】前記のようにΔIc0を知って、検査時のI
c を、 Ic0=Icact−ΔIc0(ただし、ΔIc0>0) =1.0−0.2 =0.8[μA] と決定すれば、走査信号線側のショート配線が完全に除
去されず対向電極取り出し線と走査信号線との間のショ
ートが発生した液晶パネルを検出し、ショート部分を除
去する再面取りなどの良品化処理をほどこし、図2の点
線で表されている液晶表示装置の駆動用バッテリー劣化
による図中矢印方向への特性変化など起こった場合で
も、良否判断限界の輝度変化ΔT0 に達する輝度変化を
生じる画像不良とはならない。なお、前記のショートし
た場合の対向電極電源電流Ic を低下させる手段として
は対向電極取り出し線への入力インピーダンスを高くす
る方法が一般的である。また、液晶パネルは、光源から
の光の透過量を調整することにより表示を行うもので、
表示パネルとしてのコントラスト等、予め必要とする特
性となるように、設計する。初期値はその設計により決
まる。
【0018】また、液晶パネルは、前述のように、所定
の駆動電流に対し、光の透過量を制御して所定の表示特
性になるように動作するが、ショート不良の場合、表示
特性が良品の液晶パネルと異なるカーブをもつことにな
る。しかし、従来例のように実駆動の電流では、ショー
ト不良の液晶パネルも良品も同じ輝度値となり、輝度変
化量が大きいショート不良の液晶パネルを検出できない
が、実施の形態のように、検査時の電流を特性差が分か
るような値にすることで、駆動用バッテリー劣化時の輝
度変化の原因となるショート不良を発見し、ショート配
線の除去を行わせることができるものである。
【0019】
【発明の効果】この発明の液晶パネルの検査方法によれ
ば、出荷実駆動時の対向電極電源電流をIcactとした
時、一定のVs ,Vc ,Vg の下、対向電極取り出し線
に対して走査信号線をショート配線でn本ショートし、
かつ対向電極電源電流Ic を低下させた時の液晶パネル
に良否判断限界の輝度変化ΔT0 が生じるΔIc0を知っ
て、検査時の対向電極電源電流Ic0を Ic0=Icact−ΔIc0(ただし、ΔIc0>0) と決定すれば、走査信号線側のショート配線が完全に除
去されず対向電極取り出し線と走査信号線との間のショ
ートを有する液晶パネルを検出でき、液晶パネル中のシ
ョート配線を除去することができ、液晶表示装置の駆動
用バッテリー劣化などが起こった場合においても、画質
性能を確保する優れた検査が実現できる。
【0020】これにより市場での信頼性を著しく向上さ
せることができ、実用的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における液晶パネルの検
査方法に関する特性概念図である。
【図2】従来の液晶パネルの検査方法に関する特性概念
図である。
【図3】割断前の液晶パネルのガラス基板配置図であ
る。
【図4】ショート配線が完全に除去されていない液晶パ
ネルの回路図である。
【図5】従来の液晶パネルの検査方法の動作説明のタイ
ムチャートである。
【図6】従来の液晶パネルの検査方法の動作説明のタイ
ムチャートである。
【符号の説明】
1 表示部 2 表示信号線 3 走査信号線 4 対向電極取り出し線 5 ショート配線 6 割断位置 7 薄膜トランジスタ 8 画素電極 9 補助コンデンサ 10 完全に除去されないショート配線
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−320502(JP,A) 特開 平5−61056(JP,A) 特開 平6−26988(JP,A) 特開 平6−160898(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1368 G02F 1/13 101 G02F 1/133 550

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の基板の一主面上にXYマトリクス
    状に配された走査信号線と表示信号線とが形成され、前
    記走査信号線と前記表示信号線とにより区画された領域
    が単位画素に相当し、前記単位画素は薄膜トランジスタ
    とこの薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極
    とから構成され、対向電極が形成された第2の基板と前
    記第1の基板との対向間隙内に液晶が封入され、前記走
    査信号線群または前記表示信号線群を電気的に短絡させ
    るショート配線を前記第1の基板にもち、前記第1の基
    板および第2の基板を割断することにより複数に分割さ
    れた後前記第1の基板の端面または割断面が面取りされ
    ることにより前記ショート配線が除去された液晶パネル
    を検査する液晶パネルの検査方法であって、 前記走査信号線に供給する走査信号をVg とし、前記表
    示信号線に供給する表示信号をVs とし、対向電極取り
    出し線から前記対向電極に供給する対向信号をVc と
    し、出荷実駆動時の対向電極電源電流をIcactとしたと
    きに、 一定の表示信号Vs ,対向信号Vc および走査信号Vg
    の下、前記対向電極取り出し線に対し前記走査信号線を
    n本(nは整数)ショートし、かつ対向電極電源電流を
    出荷実駆動時の対向電極電源電流Icactから低下させて
    前記液晶パネルに初期値からの良否判断限界の輝度変化
    ΔT0 に対応した出荷実駆動時の対向電極電源電流Ica
    ctからの対向電極電源電流の変化分ΔIc0を知り、 検査時の対向電極電源電流をIc0としたときに、 Ic0=Icact−ΔIc0(ただし、ΔIc0>0) として、前記液晶パネルに前記良否判断限界の輝度変化
    ΔT0 に達する輝度変化を生じるか否かを検査すること
    を特徴とする液晶パネルの検査方法。
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