JP3029162B2 - 現像装置及び現像剤担持部材 - Google Patents

現像装置及び現像剤担持部材

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JP3029162B2 JP12705192A JP12705192A JP3029162B2 JP 3029162 B2 JP3029162 B2 JP 3029162B2 JP 12705192 A JP12705192 A JP 12705192A JP 12705192 A JP12705192 A JP 12705192A JP 3029162 B2 JP3029162 B2 JP 3029162B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は像担持体に形成した静電
潜像を現像する装置、及び、斯かる現像装置に使用され
る、現像剤を担持して現像領域に搬送する為の現像剤担
持部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば像担持体としての電子写真
感光ドラム表面に形成した静電潜像を一成分現像剤の磁
性トナーによって現像する現像装置には、現像剤担持体
としての現像スリーブと磁性トナー粒子の摩擦により、
感光ドラム上の静電像電荷と現像基準電位に対し逆極性
の電荷を磁性トナー粒子に与え、この磁性トナーを現像
スリーブ上に極めて薄く塗布して感光ドラムと現像スリ
ーブとが対向した現像領域に搬送し、現像領域において
磁性トナーを感光ドラム表面の静電潜像に飛翔、付着し
て現像し、静電潜像をトナー像として顕像化するものが
知られている。
【0003】ところで、このような現像装置に於いて、
白地の多い画像を続けて現像した後、異なるパターンを
現像すると、後の画像に前の画像の履歴が現出する。斯
かる現象をゴースト現象と称するが、これは次の理由に
よって発生する。
【0004】即ち、白地部が連続するとスリーブ上のト
ナーは消費されず、スリーブ表面に過度に帯電した微粉
トナーの層が静電的に強く吸着してしまう。この微粉ト
ナー層は感光ドラムに転移しにくい上に、この層上に供
給された新鮮なトナーのスリーブとの摩擦帯電を妨害す
る。従って、白地部が連続した後、黒画像を形成しよう
とすると、低濃度の黒画像しか得られない。これがゴー
スト現象の生ずる理由だと考えられる。そして斯かるゴ
ースト現象はトナーが摩擦帯電しやすい低湿環境下に於
いて特に発生しやすい。斯かるゴースト現象を防止する
現像装置が特開平1−276174、同1−27726
5、同2−176682号公報で提案されている。この
先行技術では、スリーブに、樹脂にグラファイト微粒子
を分散した外被層を設けている。グラファイト微粒子
は、過帯電した微粉トナーの電荷を流出させるし、また
固体潤滑性が高いので微粉トナーのスリーブへの吸着力
を弱める。これによって前述したような微粉トナー層の
形成が防止され、ゴースト現象の発生を抑制できた。
【0005】しかしながら、如上の先行技術の装置に於
いて、ゴースト現象とは異なる問題が発生した。
【0006】即ち、スリーブ長手方向に関して、中央部
と端部の画像濃度に若干の差が生じた。そこで、スリー
ブ上のトナー層の電荷量を測定してみた処、スリーブ長
手方向に関する端部と中央部とではトナーの電荷量が相
違していた。
【0007】この理由は、スリーブの端部側では、トナ
ーは容器側壁による抵抗を受けて、スリーブの中央部よ
りも流動速度が小さくなり、その結果スリーブの端部側
ではスリーブの中央部でよりもトナーとスリーブの接触
時間が長くなって、トナーの摩擦帯電電荷が中央部でよ
りも端部の方が多くなるからであると推測される。
【0008】いずれにせよ、過度に帯電したトナーは強
い静電的鏡影力でスリーブに付着する為、感光体に転移
しにくくなる。また、斯かるトナー層上に新たに供給さ
れたトナーは、現像に必要な摩擦帯電を得にくくなる。
【0009】そして、如上の過剰帯電トナー層に形成を
きっかけに、スリーブ端部に於けるトナーの層厚が過度
に厚くなって、現像画像の端部に黒い斑点が生じる場合
もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述のゴー
スト現象の発生を防止するとともに、中央部でも端部で
も良好な画質の現像画像を形成できる現像装置、及びそ
れに使用される現像剤担持部材を提供することである。
【0011】
【課題を解決する為の手段】本発明では、現像装置に使
用される現像剤担持部材は樹脂中にグラファイト微粒子
が分散された被覆層を有している。そしてこの被覆層は
現像剤を摩擦帯電し、その摩擦帯電付与能力は、現像剤
担持部材の長手方向に関する中央部での方が、長手方向
に関する端部でよりも高い。
【0012】上記のように現像剤担持部材の被覆層には
グラファイト微粒子が含有されているので、これが過帯
電した微粉トナーの電荷を流出させる。またグラファイ
ト微粒子の固体潤滑性によって微粉トナーの現像剤担持
部材への付着力を機械的に緩和する。このようにしてゴ
ースト現象の発生を抑制する。
【0013】更に、現像剤担持部材の長手方向に関し
て、前記被覆層の摩擦帯電付与能力は、端部の方が中央
部よりも低いので、端部の現像剤の必要以上の摩擦帯電
を防止できる。従って、端部も中央部も均質な現像画像
を形成することができる。
【0014】
【実施例】図1において、符号1は静電潜像を担持して
矢印A方向に回転する像担持体としての電子写真感光ド
ラムであり、感光ドラム1は表面に絶縁層を有しても或
いは有していなくても、いずれもが使用可能である。勿
論、感光ドラム1に代えてシート状、ベルト状の像担持
体も使用可能である。
【0015】感光ドラム1は不図示の帯電器により例え
ば負極性に均一帯電され、次いで画像情報信号に応じて
変調されたレーザービームで走査され、これによって負
極性の静電潜像が形成される。上記レーザービームに代
えてLEDアレイ等により画像情報光を感光ドラム1に
露光してもよい。
【0016】上記静電潜像は現像領域7に於いて、現像
装置Dにより負極性に摩擦帯電した磁性トナーを用いて
反転現像される。
【0017】上記現像装置Dは、一成分現像剤として磁
性トナー5を収容した現像容器4の上記感光ドラム1に
臨む開口部内に、感光ドラム1に対面させて現像剤担持
体としての現像スリーブ2を備えている。
【0018】現像スリーブ2は、容器4内のトナー5を
表面に担持して矢印B方向に回転して、スリーブ2が感
光ドラム1と対向した現像領域へと搬送するようになっ
ている。スリーブ2内に不動に配置された永久磁石3の
複数の磁極のうちの磁極N1にスリーブ2を介して対向
する位置には、現像スリーブ2上に担持されたトナー5
の層厚を所定の厚さに規制する現像剤層厚規制部材とし
ての磁性材料製のドクターブレード6が、現像スリーブ
2と所定間隙を開けて配設されている。磁極N1 からの
磁界がブレード6に集中する。本実施例では、ドクター
ブレード6と現像スリーブ2との間の間隙は約50μm
〜500μmに設定されている。
【0019】本現像装置は、上記構成にて、起動により
現像スリーブ2が矢印B方向に回転すると、現像容器4
内のトナー5は現像スリーブ2表面との摩擦によって、
静電潜像を現像する極性の電荷がトナー5に与えられ、
現像スリーブ2表面に塗布される。現像スリーブ表面に
塗布されたトナー5の層は、磁石3の磁極N1 とドクタ
ーブレード6間の磁界により、均一且つ約30μm〜3
00μmの層厚のトナー薄層5′になるように規制され
る。トナー5は上記のように薄層のトナー層5′とし
て、現像スリーブ2の回転に伴い現像領域7に搬送さ
れ、そこで感光ドラム1の表面に形成されている静電潜
像の現像に供される。トナーはこの潜像の明部電位領域
に付着する。上記のトナー層5′の厚みは現像領域7に
おける感光ドラム1と現像スリーブ2との最小間隙(例
えば50〜500μm)よりも薄く、所謂非接触現像が
行なわれる。
【0020】現像スリーブ2には、電源8から交流電圧
に直流電圧を重直した振動バイアス電圧が印加され、こ
れによって現像領域7に振動電界が形成される。この振
動電界によってスリーブ2からドラム1へのトナーの飛
翔が促進され、カブリのない高濃度の画像が得られる。
【0021】本発明によれば、上記の現像スリーブ2の
表面には、後述するように、導電性微粒子として少なく
とも結晶性グラファイトを含有した樹脂被膜層10が
0.5μm〜30μmの厚さに形成されている。この被
膜層10が塗着される現像スリーブ2の基体は、アルミ
ニウム又はステンレススチール等の円筒管9が用いられ
る。
【0022】導電性微粒子としては、結晶性グラファイ
ト微粒子のみ又はアモルファスカーボン微粒子と結晶性
グラファイト微粒子が使用される。本発明で使用できる
結晶性グラファイトは、大別すると天然黒鉛と人造黒鉛
とに分けられる。人造黒鉛は、ピッチコークスをタール
ピッチ等により固めて1200℃位で一度焼成してから
黒鉛化炉に入れ、2300℃位の高温で処理することに
より、炭素の結晶が成長して黒鉛に変化したものであ
る。天然黒鉛は、永い間の地熱と地下の高圧とによって
完全に黒鉛化したもので、地中から産出する。これらの
黒鉛は、暗灰色ないし黒色の光沢のある非常に柔らかい
滑性のある炭素の結晶物で、結晶構造は六方晶系と菱面
晶系に属するものがあり、完全な層状構造を有してい
る。電気的特性に関しては、炭素と炭素の結合の間に自
由電子が存在し、電気の良導体となっている。本発明で
は、天然、人工のどちらの黒鉛でも使用することができ
るが、使用する黒鉛の平均粒径は、0.5μm〜20μ
m程度が好ましい。
【0023】カーボン微粒子としては、導電性のアモル
ファスカーボンを使用することができる。導電性のアモ
ルファスカーボンは、一般的には「炭化水素または炭素
を含む化合物を空気の供給が不十分な状態で燃焼または
熱分解させてできる結晶子の集合体」と定義されてい
る。本発明で使用する導電性のアモルファスカーボンの
平均粒子径は10mμm〜80mμmのものが好まし
く、15mμm〜40mμmのものがより好ましい。
【0024】導電性微粒子を分散含有させるバインダー
樹脂材料としては、例えばスチレン系樹脂、ビニル系樹
脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、
フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑
性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド
樹脂、フェーノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン
樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱
硬化性樹脂或いは光硬化性樹脂等を使用することができ
る。中でもシリコン樹脂、フッ素樹脂のような離型性の
あるもの、或はポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミ
ド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレ
タン樹脂、スチレン系樹脂のような機械的性質に優れた
ものがより好ましい。
【0025】次に本発明で使用できる一成分現像剤とし
てのトナーについて説明する。
【0026】トナーの結着樹脂としては、一般に公知の
樹脂が使用可能である。例えばスチレン、a−メチルス
チレン、p−クロルスチレン等のスチレン類及びその置
換体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブ
チル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メ
タクリ酸ジエチルアミノエチル、アクリルアミド等のよ
うな二重結合を有するモノカルボン酸及びその置換体;
例えばマレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチ
ル、マレイン酸ジメチル等のような二重結合を有するジ
カルボン酸及びその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビ
ニル、安息香酸ビニルのようなビニル類或はビニルエス
テル類、又は例えばビニルエチルエーテル、ビニルメチ
ルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のようなビニ
ルエーテル類等のビニル系単量体を単独で用いた重合体
又は2種類以上を用いた共重合体;更にはスチレン−ブ
タジエン共重合体、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、
ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニル
ブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェ
ーノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族
系石油樹脂、塩素化パラフィン等;これらを単独或いは
2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】又トナー中には顔料を含有させることがで
きる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ラ
ンプ黒、スーダンブラックSM、ファースト・イエロー
G、ベンジジン・イエロー、ピグメント・イエロー、イ
ンドファースト・オレンジ、イルガジン・レッド、バラ
ニトロアニリン・レッド、トルイジン・レッド、カーミ
ンFB、パーマネント・ボルドーFRR、ピグメント・
オレンジR、リソール・レッド2G、レーキ・レッド
C、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチル・バ
イオレットBレーキ、フタロシアニン・ブルー、ピグメ
ント・ブルー、ブリリアント・グリーンB、フタロシア
ニン・グリーン、オイルイエローGG、ザポン・ファー
ストイエローCGG、カヤセットY963、カヤセット
YG、スミプラスト・イエローGG、ザポン・ファース
トオレンジRR、オイル・スカーレット、スミプラスト
オレンジG、オラゾール・ブラウンB、ザポン・ファー
ストスカーレットCG、アイゼンスピロン・レッドBE
H、オイルピンクOP等が適用できる。
【0028】トナーを磁性トナーとして用いるために
は、トナー中に磁性粉を含有せしめる。このような磁性
粉としては、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の
粉末、もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト
等の合金や化合物がある。この磁性粉の含有量はトナー
重量に対して15〜70重量%程度がよい。
【0029】又トナー中に各種離型剤を用いることもで
き、そのような離型剤としては、ポリフッ化エチレン、
フッ素樹脂、フッ素炭化油、シリコーンオイル、低分子
量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等が挙げられ
る。トナーを正に帯電或いは負に帯電させ易くするため
に、必要に応じて荷電制御剤を添加する場合もある。
【0030】これらのトナー結着樹脂を初めとする材料
は種々の方法により混合、混練した後、微粒子化するこ
とにより所望の粒径に揃えてトナーとされる。得られた
トナーには必要に応じて、コロイダルシリカ等を外添に
より混合して、かくして現像剤として用いられる。
【0031】さて、前述のように、スリーブ2にグラフ
ァイト微粒子を分散含有する樹脂層10を被覆したの
で、過剰帯電した微粒子トナーの電荷の一部は上記グラ
ファイト微粒子を通じて除去される。また層10の表面
に露出したグラファイト微粒子の潤滑作用により、微粉
子トナーのスリーブ表面への付着力が減じられる。この
ようにして前述したゴースト現象の発生を防止する。
【0032】尚、アモルファスカーボン微粒子も層10
中に分散させているものにあっては、このアモルファス
カーボン微粒子も過剰帯電した微粒子トナーの電荷の一
部の除去に寄与する。
【0033】ところで、前述のように、スリーブの長手
方向端部では、中央部でよりも、トナーは多目に摩擦帯
電する。そこで、スリーブの端部でよりも中央部で、ト
ナーに対する摩擦帯電付与能力を高くする為に、以下の
実施例では、スリーブ2の中央部と端部で被覆層10中
の導電性微粒子の含有割合を相違させ、或いは、スリー
ブ2の中央部と端部で被覆層10の磨き処理に差をつけ
てある。このようにして、スリーブ端部では摩擦帯電付
与能力をスリーブ中央部でよりも小さくしている。これ
によって、スリーブ上のトナーに、スリーブ長手方向に
わたって実質的に均一な摩擦電荷を付与できるようにな
った。
【0034】ところで、スリーブの長手方向中央部で
も、現像により得られる画像上に縦縞状に濃度の低い部
分が発生するという問題が生じた。即ち、文字画像にお
いては文字が細くなり、ハーフトーン画像やベタ黒画像
では、濃度が低くなる現象である。
【0035】この現象をフェーディング現象と名付け
る。このフェーディング現象が生じた時のスリーブを観
察すると、スリーブ上は一様な厚みのトナー層は形成さ
れていた。しかしスリーブ上のトナーの摩擦帯電電荷量
を測定してみると、画像中の低濃度の縦縞に対応する領
域のトナーの電荷量が正常な値と比べて低い値であるこ
とが判明した。
【0036】上記の如く部分的にトナーの帯電量が低下
する理由は定かではないが、現像器内でのスリーブに隣
接するトナー溜り領域でのトナーの流動性が部分的に悪
化する為ではないかと推察される。
【0037】いずれにせよ、低帯電トナーもスリーブと
の摩擦力によって、現像剤層厚規制部を、正常帯電トナ
ー層と同等の厚みを持つ層として通り抜ける。従ってト
ナー層の厚みはスリーブ上で均一である。
【0038】尚、フェーディング現象はトナーの摩擦帯
電が低下しがちな高温高湿環境下で発生しやすい。
【0039】そこで、本発明の好ましい局面では、スリ
ーブの中央部での被覆層表面の仕事関数測定曲線の傾き
(γ)は10(cps/eV)より大である。この傾き
γは量子効率に対応し、現像剤への摩擦帯電付与能力に
対応する。而して上記傾きγが10(cps/eV)以
上であると、現像剤に良好に摩擦帯電を付与することが
できる。
【0040】一方、上記傾きγは、被覆層表面へのグラ
ファイト微粒子の露出割合に対応し、従って被覆層表面
の固体潤滑性の程度に対応する。而して上記傾きγが1
0(cps/eV)以上であると現像剤担持部材表面で
現像剤粒子は相当滑りやすくなる。その為、低電荷の現
像剤は規制部材を通過できず、正常に摩擦帯電した現像
剤が現像剤担持部材に静電的鏡影力により付着して規制
部材を通過できる。
【0041】従って、現像剤担持部材には良好に摩擦帯
電された均一な現像剤層が形成され、フェーディング現
象の発生を、高温、高湿環境化でも防止できる。
【0042】また多数枚連続プリント時の現像画像の濃
度の安定性にも寄与する。
【0043】いずれにせよ、長手方向に関する中央部分
で、現像スリーブの表面の摩擦を小さくして滑り性を上
昇させることにより、スリーブに対する静電的付着力の
弱い低電荷トナーは、スリーブ表面の摩擦力によって
は、ブレード6と磁石3間の集中磁界(磁界カーテン)
を通過できないようにし、スリーブに対して適度の静電
的付着力を有する正常に帯電したトナーが上記集中磁界
を通過できるようにした。
【0044】尚、本明細書で、傾きγを規定する仕事関
数とは、物質の表面から1個の電子を表面のすぐ外側に
取り出すのに必要な最小のエネルギーと定義される。仕
事関数の測定に理研計器(株)製の光電子計測装置AC
−1を用いることができる。この測定器AC−1の特徴
は大気中で容易に現像スリーブ2表面の仕事関数を測定
することができることである。本発明者等は、この測定
器AC−1で測定した仕事関数が、ケルビン法(接触電
位法)(IBM,J.RES.DEVELOP22,1
978)の文献値と比較してほぼ同じ値を示すことを確
認している。
【0045】測定器AC−1での測定により得られる仕
事関数測定曲線を図2に示す。図2において、横軸は励
起エネルギー[eV]、縦軸は放出された光電子の個数
(イールド)[cps](1秒当りのカウント数)を示
す。一般的にはある値から急激に光電子の放出が多くな
って測定曲線は急速に立ち上がり、その立ち上がりの点
を仕事関数値Wfと定義している。又それ以降(Wf点
の右側)の光電子放出の程度を直線lで近以した測定曲
線の傾きγで定義している。
【0046】尚、上記測定に際しては、測定光源として
ナトリウムランプを使用し、その発光強度は500nW
である。
【0047】以下、本発明の実施例を更に詳述する。
【0048】本実施例で使用した一成分現像剤としての
磁性トナーの原料は次の通りである。
【0049】スチレン−ブチアクリレート−マレイン酸
n−ブチルハーフエステル共重合体100重量部 マグネタイト 55重量部 負荷電性制御剤 3重量部 低分子量ポリプロピレン 3重量部
【0050】上記の原料混合物を混練した後、粉砕、分
級して、重量平均粒径が12.2μmで粒径6.35μ
m以下が個数%で23%、粒径20.2μm以上が重量
%で1.7%に調整し、磁性トナーとして用いた。
【0051】画像形成による評価をするために、市販の
レーザービームプリンターLBP−SX(キヤノン製)
を改造して使用した。これには複数種の画像パターンが
得られるような出力装置を取り付けた。又プリンターL
BP−SXに用いるプロセスカートリッジ(感光ドラ
ム、帯電器、現像器、クリーナーを枠体に一体的に支持
している。)としては、市販のLBP−SX用カートリ
ッジを用いた。以下の現像スリーブを上記のカートリッ
ジに取付けられるように、その現像スリーブの端にフラ
ンジを取り付けた。画像形成によるテストは、15℃、
10%RH及び32℃、85%RHの2水準の環境下で
行なった。
【0052】実施例1の現像スリーブは、表面の樹脂被
膜層10の形成に用いた被膜形成樹脂液の組成及び稀釈
溶媒に関する処方の違いにより、スリーブ長手方向中央
部と両端部でのトナーに対する摩擦帯電電荷付与能力を
制御した。被膜形成樹脂液は下記処方のA、Bの2種を
用いた。
【0053】(被膜形成樹脂液A) フェノール樹脂(バインダ樹脂) 60重量部 グラファイト 27重量部 カーボンブラック(アモルファスカーボン) 3重量部 イソプロパノール+ブタノール(1:1)混合溶媒 4
00重量部 (被膜形成樹脂液B) フェノール樹脂 60重量部 グラファイト 54重量部 カーボンブラック 6重量部 メチルエチルケトン+トルエン(1:1)混合溶媒 4
00重量部
【0054】上記被膜形成樹脂液A、Bの原料は、それ
ぞれサンドミルを用いて一定の条件にまで分散させた。
これら被膜形成樹脂液A、Bはアルミニウム円筒管(L
BP−SXカートリッジに装着可能)にスプレーガンに
より塗布した。実施例1の現像スリーブでの塗布は図3
に示すように行なった。
【0055】即ち、スリーブ2の長手方向に関する中央
部領域Uをマスキングして、スリーブ2の長手方向に関
する両端部領域V、W(スリーブ長手方向についての長
さは夫々約20mm)に樹脂液Aをスプレー塗布した。
次いで、両端部領域V,Wをマスキングして、中央部領
域Uに樹脂液Bをスプレー塗布した。そして両液のスプ
レー塗布後、160℃の恒温槽で20分間放置して、被
膜形成樹脂液A、B中のフェーノール樹脂を加熱、硬化
させた。これにより樹脂被膜層10のスリーブ長手方向
中央部Uを被膜形成樹脂液Aで膜厚10μmに形成し、
両端部V及びWを被膜形成樹脂液Bで膜厚10μmに形
成し、かくして実施例1の現像スリーブを得た。
【0056】中央部Uのグラファイト含有割合の方が、
両端部V、Wのそれよりも高い。
【0057】一方、比較例1の現像スリーブは、領域
U、V、Wに被膜形成樹脂液Aを塗布し、同様に160
℃、20分間加熱、硬化して、樹脂皮膜層10の全部を
樹脂液Aで膜厚10μmに形成して得た。比較例2の現
像スリーブは、同様に、領域にU,V,Wに被膜形成樹
脂液Bを塗布し、同様に160℃、20分間加熱、硬化
して、樹脂皮膜層10の全部を樹脂液Bで膜厚10μm
に形成して得た。
【0058】これらの現像スリーブは、上述したように
現像に供し、これにより画像形成を行なって画像形成に
よる評価テストをした。又現像スリーブ中央部Uと両端
部V、Wの仕事関数測定曲線の傾きγ[cps/eV]
を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1において、画像濃度は多数枚の連続複
写時の画像濃度のばらつきを示し、測定はマクベス反射
濃度計によりベタ黒部(5mm角)の値を見たものであ
る。チャージアップ及びフェーディングの評価は、◎印
が非常に良好、○印が良好、△印がやや劣るが実用レベ
ルを示す。なお、これらの記号は以下の表2〜4とも共
通である。又表2に初出の□印は画像は出るものの濃度
が薄く実用レベル以下を示し、表3に初出の×印は非常
に悪く不可であることを示す。
【0061】表1に示すように、実施例1では、現像ス
リーブ表面の仕事関数測定曲線の傾きγをスリーブ両端
部(左側V、右側W)で6.5〜7.0のように10以
下に低くし、これよりも中央部(U)で25のように1
0より高くしており、トナーに対する摩擦帯電電荷付与
能力がスリーブ両端部で低く、中央部で高くなっている
ので、その結果、15℃、10%RHの低湿環境におい
て、トナーの過度のチャージアップがなく、画像濃度も
1.2〜1.4と高かった。又32℃、85%RHの高
湿環境においても、画像にフェーディングがなく非常に
良好で、画像濃度も1.1〜1.3と高かった。いずれ
の項目も優れた結果を収めた。
【0062】これに対し、比較例1では、現像スリーブ
表面の仕事関数測定曲線の傾きγをスリーブ両端部及び
中央部で7.0〜7.5のように共に10以下に低くし
たので、32℃、85%RHの高湿環境において、フェ
ーディングの項がやや劣る程度の結果となり、画像濃度
も0.8〜1.1と低くい値が現出した。比較例2で
は、現像スリーブ表面の仕事関数測定曲線の傾きγをス
リーブ両端部及び中央部で23〜26のように共に10
以上に高くしたので、15℃、10%RHの低湿環境に
おいて、チャージアップの項がやや劣る程度となり、画
像濃度も0.8〜1.3と同様に低く目の値が現出する
結果となった。
【0063】以上から、フェーディング、特に高温高湿
の環境でのフェーディングの発生を防止し、スリーブゴ
ースト(特に低湿の環境でのトナーの過度のチャージア
ップに起因する)の発生を防止して、現像により均一な
画像を得るには、現像スリーブのトナーに対する摩擦帯
電電荷付与能力を、スリーブ両端部で低くし(現像スリ
ーブ表面の仕事関数測定曲線の傾きγでいえば10以下
特に好ましくは11以下とする)、スリーブ中央部で高
くすれば(上記の傾きγでいうと10より大に、特に好
ましくは20より大にする)ことが分かる。
【0064】尚、図3で、41、42は、トナー5を収
容する容器4の左、右の側壁で、スリーブ2はこの側壁
41、42に回転自在に支持されている。スリーブ2
は、それに固定されたギア21に駆動力を伝達すること
により、回転する。
【0065】前記被膜形成樹脂液Aの他に、下記処方の
被膜形成樹脂液C、D、E及びFを調整して用いた。こ
れら被膜形成樹脂液A、C〜Fで図3の現像スリーブ2
の中央部U及び両端部V、Wに対し、表2に示すように
適宜使い分けて塗布し、グラファイト含有の樹脂被膜層
10を形成した現像スリーブを作成し、これを実施例2
〜6とした。但し、両端部V、Wの領域は各々15mm
とした。そして実施例1のときと同様にして画像形成を
行なって画像形成による評価テストをした。
【0066】(被膜形成樹脂液C) フェノール樹脂 60重量部 グラファイト 56重量部 カーボンブラック 4重量部 メチルアルコール+メチルセルソルブ 200重量部 (被膜形成樹脂液D) フェノール樹脂 60重量部 グラファイト 84重量部 カーボンブラック 6重量部 メエチルアルコ−ル+メチルセルソルブ 250重量部 (被膜形成樹脂液E) フェノール樹脂 60重量部 グラファイト樹脂 28重量部 カーボンブラック 2重量部 メチルアルコール+メチルセルソルブ 200重量部 (被膜形成樹脂液F) フェノール樹脂 60重量部 グラファイト 54重量部 カーボンブラック 6重量部 イソプロパノール+メチルエチルケトン 200重量部
【0067】画像形成による評価テストの結果及び仕事
関数測定曲線の傾きγの測定結果を表2に示す。表2中
の記号の意味は前述した通りである。
【0068】
【表2】
【0069】表2に示すように、実施例2〜6では、現
像スリーブ表面の仕事関数測定曲線の傾きγをスリーブ
両端部(左側V、右側W)で6.5〜10.5のように
低くしており(グラファイト含有割合が小)、中央部
(U)で23〜31のように高くしており(グラファイ
ト含有割合が大)、トナーに対する摩擦帯電電荷付与能
力がスリーブ両端部で低く、中央部で高くなっているの
で、実施例1のときと同様、15℃、10%RHの低湿
環境におけるトナーの過度のチャージアップ及び画像濃
度、32℃、85%RHの高湿環境における画像のフェ
ーディング及び画像濃度のいずれの項目でも、優れた結
果を収めた。
【0070】これに対し、比較例3〜5では、現像スリ
ーブ表面の仕事関数測定曲線の傾きγがスリーブ両端部
及び中央部で共に10以上と高かったり、逆に10以下
と低くかったりする等のため、15℃、10%RHの低
湿環境でのトナーのチャージアップ、画像濃度、或いは
32℃、85%RHの高湿環境でのフェーディング、画
像濃度の少なくともいずれかの項目でやや劣る等の結果
になった。
【0071】なお、以上の実施例1〜6の現像スリーブ
では、いずれも、表面の樹脂被膜層のスリーブ両端部
V、Wと中央部Uとの境界の影響が現像した画像に現れ
ることが懸念されたが、画像を詳細に調べてもそのよう
な影響は画像に現れていなかった。
【0072】さて、以上の実施例では、現像スリーブ2
表面の樹脂被膜層10の組成をスリーブ両端部と中央部
で変えることにより、トナーに対する摩擦帯電電荷付与
能力をスリーブ両端部で低く、中央部で高くなるように
設定したが、樹脂被膜層10を形成した後に現像スリー
ブ2の表面に磨き加工を加えることによって、上記の摩
擦帯電電荷付与能力を設定することができる。この場
合、前記領域U、V、Wに同一の樹脂液を塗布すればよ
い。いずれにせよ、被覆層に対する磨き量を調節するこ
とで、被覆層表面に露出するグラファイト量を調節でき
るから、トナーに対する摩擦帯電電荷付与能力、潤滑性
を調節することができる。
【0073】そして上記磨き加工は、フェルトや織布や
紙のように砥粒を含まない磨き部材で、スリーブ基体に
塗布、乾燥した、グラファイト微粒子含有の樹脂層を摺
擦することで行うことが好ましい。
【0074】以下に磨き加工法の一例を示す。
【0075】磨き加工に使用した研磨材は林フェルト
(株)製の羊毛100%、標準密度0.34g/cm2
のHWフェルトで、フェルトは寸法が幅40mm、長さ
200mm、厚さ3mmの帯状とした。
【0076】図4は現像スリーブ2表面の樹脂被膜層1
0中に含有の結晶性グラファイトを簡単に露出させるこ
とが可能な表面磨き装置を示す慨略図である。図に示す
ように、現像スリーブ2は鉛直な姿勢とされ、その上下
に位置した両端を主軸12によって固定して、図示しな
い駆動装置により主軸12を介して回転される。現像ス
リーブ2にはホルダー14に固定された帯状の研磨材の
フェルト13を掛け回して、矢印a方向に引張る。その
ときの引張荷重がホルダー14に直結した荷重測定器1
5によって測定される。荷重測定器15は、これを支持
してフェルト13と共に現像スリーブ2の長手方向bに
移動可能とする送り台16上に設けられている。
【0077】現像スリーブ2の両端を主軸12により固
定して、現像スリーブ2をある一定の速度で回転する
が、フェルト13は初め現像スリーブ2の樹脂被膜層1
0が形成された面と接触してはならず、フェルト13は
現像スリーブ2の上下どちらかの端部に位置されてい
る。次にフェルト13を固定したホルダー14を介して
荷重測定器15によりフェルト13を所定の一定荷重で
引っ張りながら、送り台16をある一定の速度で現像ス
リーブ2の上又は下に送り、これにより現像スリーブ2
表面にフェルト13を接触させて圧力をかけながら表面
を磨き、現像スリーブ2表面の被膜層10中に含有され
ている結晶性グラファイトを露出させた。
【0078】図5(A)は磨き前の現像スリーブ2表面
の任意の断面図であり、図5(B)は磨き後の同様な断
面図である。図5(A)に示すようなバインダー樹脂1
8及び結晶性グラファイト19からなる樹脂被膜層10
の表面にフェルト3が圧力接触すると、被膜層10の表
層が圧力により押し潰され且つ剪断方向に力が加わるた
め剪断破壊を生じて、図5(B)に示すように、被膜層
10中のバインダー樹脂18の薄膜で覆われていたグラ
ファイト19の結晶が露出して、その結晶面20が表面
に現れる。このときフェルト13の圧力を制御すること
によりグラファイト19の露出度を任意にコントロール
することが可能である。又フェルト13の幅を任意の長
さに設定することにより、同様にグラファイト19の露
出度をコントロールすることができる。この被膜層10
中のバインダー樹脂18や結晶性グラファイト19(或
いは被膜層10中に導電性アモルファスカーボン等が含
まれていればこれらも)は、磨きにより被膜層10から
剥離すると、フェルト13表面が軟らかいのでフェルト
表面中に除々に吸収されていき、現像スリーブ2表面上
に残存物として付着することがなく、従って現像スリー
ブ2の表面をきれいに清掃しながら磨くことができる。
【0079】ここで、被覆層の磨き処理量を制御するこ
とで、グラファイトの露出量を、従って前記傾きγを制
御することができる。而して、上記磨き処理量は、被覆
層への磨き部材(フェルト)の接触圧力、被覆層と磨き
部材の間の相対速度、磨き処理時間等のいずれか1つ、
又はいずれか2つ、又は3つを調節することによって、
調節できる。そして磨き処理量の大きな方が(例えば、
上記接触圧力の大の方、及び、又は、相対速度の大の方
が)、被覆層表面へのグラファイト露出量が大となっ
て、前記傾きγが大となる。
【0080】図6の磨き装置は、フェルトウェブ13の
繰り出し軸26、巻き取り軸27を備えており、フェル
ト13は、スリーブ22と、プーリ22、23、24、
25に図の如く掛けられている。プーリ24、25を矢
印Cの方向に変位させることによってフェルト13のス
リーブ2への圧接力を調節でき、プーリ22、23を矢
印dの方向に変位させることでフェルト13のスリーブ
2への巻き付け角度θを調節することができる。部材2
2〜27は1つの台に載置されていて、この台を紙面に
垂直な方向、即ちスリーブ2の長手方向に移動させるこ
とにより、スリーブをその長手方向に沿って摺擦磨きす
ることができる。その際スリーブ2は回転駆動されてい
る。上記台を移動させず、スリーブ2自身をスリーブ長
手方向に移動させてもよい。
【0081】いずれにせよ、上記台、又はスリーブの移
動中に、前記磨き量が変化される。これによって、スリ
ーブ長手方向についての中央部で、両端部でよりも摩擦
帯電付与能力が高くなるように、被覆層が磨き処理され
る。
【0082】以下磨き処理されたスリーブの実施例を詳
述する。
【0083】尚、以下の実施例で使用された磁性トナー
は次の通りである。
【0084】スチレン−ブチルアクリレート−アクリル
酸共重合体 100重量部 マグネタイト 50重量部 負荷電性制御剤 2重量部 低分子量ポリプロピレン 4重量部
【0085】上記原料混合物を混練した後、粉砕、分級
して重量平均粒径が11.3μmで粒径6.35μm以
下が個数%で28%、粒径20.2μm以上が重量%で
0.7%(いずれもコールターカウンターTA−IIに
よる測定)に調整した後、コロイダルシリカを0.6%
外添して、磁性トナーとして使用した。
【0086】本発明に係る現像スリーブ2を以下のよう
な方法により作製した。被膜形成樹脂液に配合された原
料は下記の通りである。
【0087】フェノール樹脂 30重量部 結晶性グラファイト(平均粒径8mm) 41重量部 カーボンブラック 4重量部
【0088】以上の原料をイソプロピルアルコール/ブ
チルアルコール(1:1)の混合溶媒250重量部を用
い、サンドミルを用いて分散して被膜形成樹脂液を調整
し、これをアルミニウム製の円筒管(予め両端部にフラ
ンジを取付けたもの)にスプレーガンを用いて塗布し、
その後150℃の雰囲気下で塗布層を硬化して、膜厚約
9mmの樹脂被膜層を形成した。
【0089】次に図6の磨き装置を用い、研磨材のフェ
ルト13の引張圧力及び研磨時間(現像スリーブ2長手
方向へのフェルトの移動速度)、現像スリーブへのフェ
ルトの当接角度等を調節して、現像スリーブ表面の磨き
を行なった。図6に示すフェルト13の現像スリーブ2
への当接角θは、現像スリーブ2の両端部で小さく中央
部で大きくした。又フェルト13の図6の紙面に垂直な
方向(現像スリーブ2の長手方向に沿った方向)への移
動速度は、両端部で速く、中央部で遅くした。
【0090】図7は、作製された現像スリーブを説明す
るための図であり、図で見て現像スリーブの右側端部W
から中央部U、そして左側端部Vへの方向に磨く場合、
右側端部Wは、フェルト13のスリーブへの当接角が小
から大へと変化し、フェルト13の移動速度が大から小
へと変化する領域であり、左側端部Vはフェルトのスリ
ーブへの当接角及び移動速度が逆に変化する領域であ
り、中央部Uは当接角が最大で一定、移動速度が一定の
領域である。
【0091】図7に矢印で示したf、g、h、i、jの
点は、現像スリーブ表面の観察点である。本実施例で
は、観察点fは、図7の樹脂被膜層形成領域の左端より
5mm内側の位置、gは同じく20mm内側の位置を示
し、hは上記領域のほぼ中央、i、jは、それぞれg、
fと対称の位置を示す。又トナーの帯電電荷を測定した
幅は、現像スリーブの両端部V及びWがそれぞれ30m
m、中央部Uはhを中心とした30mmの幅で行なっ
た。
【0092】これら各点で現像スリーブの表面の状態を
FEーSEM(電界放射型走査電子顕微鏡)等で観察し
たところ、明らかにh部はj、f部に比べて磨きが強く
かかってた様子を示しており、そのことが樹脂被膜層中
に含有されたグラファイトの露出状態に表れていた。
g、i部ではおよそその中間の様相を示していた。現像
スリーブ表面の仕事関数測定曲線の傾きγ[cps/e
V]は、これらの観察点で測定して求めた。
【0093】又、以上の現像スリーブをLBPーSX用
カートリッジに組み込んで現像に供し、これにより画像
形成テストを行なった。又その際に現像スリーブ上のト
ナーの摩擦帯電電荷量の測定等を行なった。その結果を
比較例と共に表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】表3において、画像濃度は連続500枚複
写時の画面全域における画像濃度のばらつきを示し、マ
クベス反射濃度計により測定した。トナーの帯電電荷量
は、複写100枚後の現像スリーブ上に塗布されたトナ
ーを吸引して、その摩擦帯電電荷量を測定したものであ
る。評価の記号は、前述したように、◎印が非常に良
好、○印が良好、△印がやや劣るが実用上問題ないレベ
ル、□印が実用レベルより若干劣るレベル、×印が不可
を示す。
【0096】表3に示すように、実施例7〜12では現
像スリーブ表面に磨き加工を行なって、トナーに対する
摩擦帯電電荷付与性能をスリーブ両端部で低く、中央部
で高くしたので、15℃、10%RHの環境での画像濃
度、トナーのチャージアップ、100枚連続複写後の現
像スリーブ上のトナーの帯電電荷量、32℃、85%R
Hの環境での画像濃度、画像のフェーディングの全ての
項目で、良好な結果を納めた。
【0097】実施例13〜18 現像スリーブ2は以下のような方法により作製した。被
膜形成樹脂液に配合された原料は下記の通りである。
【0098】フェノール樹脂 30重量部 結晶性グラファイト(平均粒径10mm) 22.5重
量部 カーボンブラック 2.5重量部
【0099】以上の原料をメチルアルコール/メチルセ
ルソルブ(1:1)の混合溶媒200重量部を用いた以
外は、実施例7〜12と同様にして、現像スリーブ表面
に膜厚約8mmの樹脂被膜層10を形成した。
【0100】次に図8に示すように、現像スリーブ両端
のR、Sの領域は磨かず、その内側の領域V(左側)、
U(中央部)及びW(右側)を実施例7〜12と同様な
磨き加工を施した。図8において、左側外方端部R及び
右側外方端部Sの幅はそれぞれ20mmとした。又現像
スリーブ表面の観察点mは、図8の樹脂被膜層形成領域
の左端より5mm内側の位置、nは同じく20mm内側
の位置を示し、rは上記領域Lbのほぼ中央、p、q
は、それぞれn、mと対称の位置を示す。トナーの帯電
電荷の測定及び画像評価等は、前述したのと同様であ
る。得られた結果を比較例と共に表4に示す。
【0101】
【表4】
【0102】表4に示すように、実施例13〜18では
現像スリーブ表面に磨き加工を行なって、トナーに対す
る摩擦帯電電荷付与性能をスリーブ両端部で低く、中央
部で高くしたので、先の実施例7〜12のときと同様、
15℃、10%RHの環境での画像濃度、トナーのチャ
ージアップ、100枚連続複写後の現像スリーブ上のト
ナーの帯電電荷量、32℃、85%RHの環境での画像
濃度、画像のフェーディングの全ての項目で、良好な結
果を収めた。
【0103】又表4には記載していないが、実施例13
〜18で得られた画像には、現像スリーブ両端の磨きの
ない領域に対応した領域に、何らの異常、例えば磨きを
行なった領域との境界面での濃淡等の異常は現れなかっ
た。
【0104】これらの結果でも、スリーブの中央部は傾
きγが10より大、更に好ましくは20より大であるこ
とが好ましく、両端部では傾きγが10以下、更に好ま
しくは11以下であることが好ましいことが判る。
【0105】また、前記A〜Fの樹脂液を用いて形成し
た被覆層や、下記G、Hの樹脂液を用いて形成した被覆
層に如上の磨き処理を施してもよい。
【0106】(樹脂被膜形成液G) フェノール樹脂 30重量部 天然グラファイト 27重量部 カーボンブラック 3重量部 メチルアルコール+メチルセロソルブ 200重量部 (樹脂被膜形成液H) フェノール樹脂 15重量部 人工グラファイト 15重量部 メチルアルコール+メチルセロソルブ 225重量部
【0107】以上の実施例では、一成分現像剤として磁
性トナーを用いた場合を説明したが、本発明はこれに限
られず、非磁性トナーからなる一成分現像剤を使用する
場合にも適用可能である。
【0108】
【発明の効果】本発明によればゴースト現象を防止で
き、また中央部も端部も均質で良好な画質の現像画像を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像装置の一実施例を示す断面図であ
る。
【図2】図1の現像装置の現像スリーブ表面について測
定される仕事関数の測定曲線を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例1〜6における現像スリーブの
被膜形成樹脂液の塗布面を示す説明図である。
【図4】本発明において現像スリーブ表面の磨き加工に
使用する磨き装置を示す斜視図である。
【図5】図4の磨き加工前後の現像スリーブ表面の状態
を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例7〜18で使用した磨き装置を
模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の実施例7〜12における現像スリーブ
の表面の磨き加工面を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例13〜18における現像スリー
ブの表面の磨き加工面を示す説明図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム 2 現像スリーブ 3 磁石 5 トナー 6 ドクターブレード 10 樹脂被膜層 13 フェルト 17 素管 18 被膜形成樹脂 19 結晶性グラファイト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−13088(JP,A) 特開 昭63−98677(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/08

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一成分現像剤を担持して現像領域に搬送
    する現像剤担持部材と、上記現像領域に搬送される現像
    剤の層厚を規制する規制部材とを備えた現像装置に於い
    て、上記現像剤担持部材は、樹脂中にグラファイト微粒
    子が分散された被覆層を有しており、この被覆層の上記
    現像剤に対する摩擦帯電付与能力は、現像剤担持部材の
    長手方向に関する中央部での方が、長手方向に関する端
    部でよりも高いことを特徴とする現像装置。
  2. 【請求項2】 前記被覆層のグラファイト微粒子の含有
    割合は、前記中央部での方が前記端部でよりも多い請求
    項1の現像装置。
  3. 【請求項3】 前記被覆層は磨き処理されており、その
    磨き処理量は前記中央部での方が前記端部でよりも多い
    請求項1の現像装置。
  4. 【請求項4】 前記被覆層の表面の仕事関数測定曲線の
    傾きは、前記中央部で10(cps/eV)より大であ
    り、前記端部で10(cps/eV)以下である請求項
    1乃至3のいずれかの現像装置。
  5. 【請求項5】 前記被覆層中には更にアモルファスカー
    ボン微粒子が分散されている請求項1乃至4のいずれか
    の現像装置。
  6. 【請求項6】 前記現像剤担持部材に振動バイアス電圧
    を印加する電源を有する請求項1乃至5のいずれかの現
    像装置。
  7. 【請求項7】 一成分現像剤を担持して現像領域に搬送
    する現像剤担持部材に於いて、樹脂にグラファイト微粒
    子を分散した被覆層を有し、この被覆層の上記現像剤に
    対する摩擦帯電付与能力は、長手方向に関する中央部で
    の方が、長手方向に関する端部でよりも高いことを特徴
    とする現像剤担持部材。
  8. 【請求項8】 前記被覆層のグラファイト微粒子の含有
    割合は、前記中央部での方が前記端部でよりも多い請求
    項7の現像剤担持部材。
  9. 【請求項9】 前記被覆層は磨き処理されており、その
    磨き処理量は前記中央部での方が前記端部でよりも多い
    請求項7の現像剤担持部材。
  10. 【請求項10】 前記被覆層の表面の仕事関数測定曲線
    の傾きは、前記中央部で10(cps/eV)より大で
    あり、前記端部で10(cps/eV)以下である請求
    項7乃至9のいずれかの現像剤担持部材。
  11. 【請求項11】 前記被覆層中には更にはアモルファス
    カーボン微粒子が分散されている請求項7乃至10のい
    ずれかの現像剤担持部材。
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