JP3028564B2 - 軟磁性合金膜 - Google Patents

軟磁性合金膜

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JP3028564B2 JP02200501A JP20050190A JP3028564B2 JP 3028564 B2 JP3028564 B2 JP 3028564B2 JP 02200501 A JP02200501 A JP 02200501A JP 20050190 A JP20050190 A JP 20050190A JP 3028564 B2 JP3028564 B2 JP 3028564B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、VTRはハードディスク等の磁気ヘッド用コ
ア材料として適したFe系の軟磁性合金膜に関するもので
ある。
従来の技術 磁気ヘッド等に用いられる代表的な軟磁性合金として
はCo系の非晶質合金やセンダスト等がある。しかし、磁
気記録等の高密度化に伴い、コア材料として用いられる
軟磁性合金においては、益益高い飽和磁化が必要とされ
ている。
実用的な磁気ヘッドを作製する際は、磁気ギャップ部
等に接着ガラスによる強固な接着を行っておくことが信
頼性等の点で重要となる。接着強度の強い接着ガラスは
一般に融点が高いため、高飽和磁化を有する軟磁性合金
膜においても高温熱処理後に良好な軟質磁気特性が得ら
れるものが必要となる。例えば、Co系非晶質合金等にお
いて高飽和磁化の軟磁性合金膜を得るためには合金中の
ガラス化元素の含有量を少なくしなければならないが、
この場合は結晶化温度が低下してゆくために高温熱処理
後の軟質磁気特性が劣化する傾向にある。このような軟
質磁気特性の熱的安定性まで考慮した場合、VTR等の磁
気ヘッド用軟磁性合金膜において実用的な飽和磁化の上
限は、Co系非晶質合金やセンダストを用いて達成される
10kG(ガウス)前後であった。
発明が解決しようとする課題 高密度記録に用いられる磁気ヘッド用軟磁性合金膜と
しては、できる限り高い飽和磁化を有する軟磁性合金膜
が求められている。本発明者らによって開発されている
膜厚方向に窒素の組成を変調した組成変調窒化合金膜
(例えば特開昭62−210607号公報)、特願平1−300506
号)は、高飽和磁化を有し、高温熱処理後に良好な軟質
磁気特性を示すために磁気ヘッド用として好都合な材料
となっている。組成変調窒化合金膜においてはFeを主成
分とする合金膜がCo系合金膜よりも高い飽和磁化が得ら
れるが、Fe系の組成変調窒化合金膜においては磁気ヘッ
ド用として重要な低磁歪となる組成が明らかになってい
なかった。
本発明は、窒素による組成変調をFe系合金に通用して
得られるFe系の組成変調窒化合金膜において、熱処理後
に良好な軟質磁気特性と高飽和磁化を示すばかりでな
く、熱処理後に低磁歪となる磁気ヘッド用軟磁性合金膜
を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 上記の目的を達成するため、少なくとも合金膜作成時
に膜厚方向の組成が変調されており、膜中の平均組成が
式 MaTbZcNd ……(1) で示され、前記式の組成において、MはFe、TはNb,Ta
よりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZr,Ti,
Hfよりなる群から一種類以上選択された金属、Nは窒素
であって、a,b,c,dは原子%を表し、それぞれ 65≦a≦88,9≦b≦15,0≦c≦3, 3≦d≦20,a+b+c+d=100 ……(1′) であることを特徴とする軟磁性合金膜を用いる。
この場合、膜厚方向に少なくとも窒素の組成が変調さ
れており、膜中の平均組成が式 MaTbZcNd ……(1) で示され、前記式の組成において、MはFe、TはNb,Ta
よりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZr,Ti,
Hrよりなる群から一種類以上選択された金属、Nは窒素
であって、a,b,c,dは原子%を表し、それぞれ 65≦a≦88,9≦b≦15,0≦c≦3, 3≦d≦20,a+b+c+d=100 ……(1′) であり、Fe系の微結晶粒を含有する事を特徴とする軟磁
性合金膜を用いてもよい。
あるいは、少なくとも合金膜作成時に膜厚方向の組成
が変調されており、膜中の平均組成が式 MeTfZgNh ……(2) で示され、前記式の組成において、MはFe、TはNb,Ta
よりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZr,Ti,
Hfよりなる群から一種類以上選択された金属、Nは窒素
であって、e,f,g,hは原子%を表し、それぞれ 70≦e≦92,0≦f≦6,2≦g≦10, 3≦h≦20,3≦f+g, e+f+g+h=100 ……(2′) であることを特徴とする軟磁性合金膜を用いる。
この場合は、膜圧方向に少なくとも窒素の組成が変調
されており、膜中の平均組成が式 MeTfZgNh ……(2) で示され、前記式の組成において、MはFe、TはNb,Ta
よりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZr,Ti,
Hfよりなる群から一種類以上選択された金属、Nは窒素
であって、e,f,g,hは原子%を表し、それぞれ 70≦e≦92,0≦f≦6,2≦g≦10, 3≦h≦20,3≦f+g, e+f+g+h=100 ……(2′) であり、Fe系の微結晶粒を含有する事を特徴とする軟磁
性合金膜を用いてもよい。
もしくは、少なくとも合金膜作成時に膜厚方向の組成
が変調されており、膜中の平均組成が式 MiXjZkNl ……(3) で示され、前記式の組成において、MはFe、XはV,Mn,C
r,Cuよりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZ
r、Nは窒素であって、i,j,k,lは原子%を表し、それぞ
れ 70≦i≦92,0≦j≦10,3≦k≦10, 3≦l≦2,i+j+k+l=100 ……(3′) であることを特徴とする軟磁性合金膜を用いる。
この場合、膜厚方向に少なくとも窒素の組成が変調さ
れており、膜中の平均組成が式 MiTjZkNl ……(3) で示され、前記式の組成において、MはFe、XはV,Mn,C
r,Cuよりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZ
r、Nは窒素であって、i,j,k,lは原子%を表し、それぞ
れ 70≦i≦92,0≦j≦10,3≦k≦10, 3≦l≦20,i+j+k+l=100 ……(3′) であり、Fe系の微結晶粒を含有する事を特徴とする軟磁
性合金膜を用いてもよい。
以上の場合、膜厚方向の組成変調波長が60nm以下であ
る事を特徴として、式(1),式(2)もしくは式
(3)で示される軟磁性合金膜は特に軟質磁気特性が優
れている。
作用 本発明の軟磁性合金膜はFe系合金中に少なくともNb,T
a,Zr,Th,Hfより一種類以上選択された金属元素を含む窒
化膜である。しかし、単なる窒化膜ではなく、スパッタ
法による合金膜作成後においては少なくとも窒素元素が
膜厚方向に組成変調された明確な組成変調構造、即ち窒
素含有量が多い窒化層と窒素含有量が少ない非窒化層よ
りなる積層構造を有する組成変調窒化合金膜となってい
る。ただし組成変調窒化合金膜中では窒素元素が組成変
調されることにより他の構成元素も相対的に組成変調さ
れる。膜厚方向における窒化層と非窒化層の一層当たり
の層厚の和は組成変調波長と呼ばれるが、これはスパッ
タ時におけるスパッタガス中に混合する窒素ガス(N2
の混合周期を変化させることにより制御されている。こ
のスパッタガス中に混合する窒素ガスの割合は窒素ガス
分圧比Pn(%)を用いて次式Pn=100×(窒素ガス分
圧)/(全スパッタガス圧)で示される。
このようにして作成される組成変調窒化合金膜は、成
膜時においては明確な組成変調構造を示し、非晶質もし
くはそれに近い状態にあるが、少なくとも300℃以上の
高温熱処理により窒素の拡散が生じて明確な組成変調構
造から不明確な組成変調構造へと移行し、高温熱処理後
にはα−Fe等のFe系の微結晶粒を含有するようになる。
この熱処理により合金膜の構造が変化した状態におい
て、本発明の軟磁性合金膜は良好な軟質磁気特性と高い
飽和磁化ばかりでなく、少なくとも本発明に示す組成範
囲において低磁歪となる。したがって熱処理後に良好な
軟質磁気特性を得るための条件は、スパッタ法による合
金膜作成時に少なくとも窒素元素が組成変調されている
か、もしくは熱処理後において膜厚方向に少なくとも窒
素の組成がわずかにでも変調されていてFe系の微結晶粒
を含有していることが必要なのである。ここで特に優れ
た軟質磁気特性を得るためには組成変調波長を少なくと
も60nm以下にすればよい。
本発明の軟磁性合金膜の場合、窒素元素との親和性が
弱いFeと、少なくともNb,Ta,Zr,Ti,Hfのように窒素元素
との親和性が強い元素が合金膜中に共存している。合金
膜中では選択的にNbやZr等が窒素元素と化学的に強く結
合しており、このことが熱処理後に熱的に安定で良好な
軟質磁気特性を得る上で重要である。本発明の軟磁性合
金膜において単に高飽和磁化と良好な軟質磁気特性を得
るためには、膜中の平均組成でNb,Ta,Nr,Ti,Haより一種
類以上選択された金属元素を少なくとも3原子%以上、
窒素を3原子%以上、逆にFeを92原子%以下にすること
が必要であり、逆に飽和磁化を高くするためにはFeの含
有量を少なくとも60原子%以上としてNbやZr等の金属元
素を少なくとも20原子%以下および窒素を20原子%以下
とすることが望ましい。ただし、Feの一部をCoやNiで置
換される場合もFeが主成分であればよく、スパッタガス
中に不可避的に酸素が含有されて合金膜中に酸素が含有
される場合も微量であれば問題はない。
以上の組成範囲中で低磁歪の軟磁性合金膜を得るため
には、膜中の平均組成で式(1)もしくは式(2)もし
くは式(3)のいずれかに示されるように少なくとも3
種類のさらに限定された組成範囲が必要となる。
第1に膜中の平均組成が式(1)および(1′)で示
される場合、Nb,Taよりなる群から一種類以上選択され
た金属Tの含有量bを9≦b≦15(原子%)にして窒素
の含有量dを3≦d≦20(原子%)にする必要がある。
これ以上NbやTaの含有量aもしくは窒素含有量dを増し
てMで表されているFeの含有量aを減らすと負側へ高磁
歪となるばかりでなく飽和磁化が低下する。逆に含有量
bおよびdをこれ以下に少なくして含有量aを増すと磁
歪が正側へずれてゆくばかりでなく、良好な軟質磁気特
性が得られなくなる。ここで軟質磁気特性の熱的安定性
等を向上させるために、Zr,Ti,Hfよりなる群から一種類
以上選択された金属Zを加える場合、その含有量cが3
原子%以下であれば含有されていても低磁歪となる。こ
れらをまとめたものが式(1′)に示されている。
第2に膜中の平均組成が式(2)および(2′)で示
される場合、Zr,Ti,Hfよりなる群から一種類以上選択さ
れた金属Zの含有量gを2≦g≦10(原子%)にして窒
素の含有量hを3≦h≦20(原子%)にする必要があ
る。これ以上Zr,Ti,Hfの含有量gもしくは窒素含有量h
を増してMで表されているFeの含有量eを減らすと正側
へ高磁歪となる。逆に含有量gおよびhをこれ以下に少
なくして含有量eを増すと磁歪が負側へずれてゆくばか
りでなく、良好な軟質磁気特性が得られなくなる。ここ
で耐蝕性等の向上のために、Nb,Taよりなる群から一種
類以上選択された金属Tを加える場合、含有量fが6原
子%以下であれば低磁歪となる。ただし、良好な軟質磁
気特性を得るためにはZr,Ti,Hf,Nb,Taより一種類以上選
択された金属の合計の含有量を3原子%以上にする必要
があるため、式(2)中では3≦f+gとしておく必要
がある。これらをまとめたものが式(2′)に示されて
いる。
第3に膜中の平均組成が式(3)および(3′)で示
される場合、Zrの含有量kを3≦k≦10(原子%)にし
て窒素の含有量lを3≦l≦20(原子%)にする必要が
ある。これ以上Zrの含有量kもしくは窒素含有量lを増
してMで表されているFeの含有量eを減らすと正側へ高
磁歪となる。逆に含有量kおよびlをこれ以下に少なく
して含有量iを増すと磁歪が負側へずれてゆくばかりで
なく、良好な軟質磁気特性が得られなくなる。ここで、
V,Mn,Cr,Cuよりなる群から一種類以上選択された金属X
であれば10原子%以下加えても低磁歪となる。これらを
まとめたものが式(3′)に示されている。
以上のようにして得られる本発明の軟磁性合金膜は、
高温熱処理後に良好な軟質磁気特性と高飽和磁化を有
し、しかも低磁歪である。
実施例 実施例1 本発明の第1の実施例を説明する。
高周波スパッタ法により、各種組成のFe−Nb2元合金
を合金ターゲットとして用い、10.8mmTorrのアルゴンガ
ス(Ar)中に1.2mmTorrの窒素ガス(N2)を周期的に混
合しつつ、セラミック製の基板上に一層当たり10nmの窒
化層と一層当たり10nmの非窒化層が膜厚方向に周期的に
積層された多層膜、即ち組成変調窒化合金膜を形成し
た。この場合、窒素ガス分圧比Pnは10%であり、組成変
調波長λは20nmとなる。窒化合金膜中の窒素の含有量
は、ラザフォード後方散乱やX線光電子分光分析等を用
いて測定されるが高精度な値が得られにくいため、以降
本文中においては膜中平均組成の小数点以下は切捨て等
を行って考慮しない。本実施例1において、Fe88Nb12
合金ターゲットとして用いてPn=10(%)で作成した組
成変調窒化合金膜の膜中平均組成はラザフォード後方散
乱による分析によりおよそFe77Nb10N13であり、上記の
合金ターゲットを用いて成膜した組成変調窒化合金膜の
膜中平均組成はFe87-xNbXN13と表される。この組成変調
窒化合金膜に対して600℃60分の磁界中熱処理を施し
た。第1図はこの膜中平均組成がFe87-xNbXN13で表され
る組成変調窒化合金膜における諸磁気特性のNb含有量依
存性を示す。Nb含有量xが9≦x≦15(原子%)範囲で
は、少なくとも13kG以上の高飽和磁化および少なくとも
1Oe低下の低保磁力が得られている。飽和磁歪定数λ
は、Nb含有量が少ない方で正磁歪、Nb量が多い方で負磁
歪となるが、9≦x≦15(原子%)では飽和磁歪定数の
絶対値が3×10-6程度以下の低磁歪となっている。これ
はFe−Nb−N系ばかりでなく、Fe−Ta−N系の組成変調
窒化合金膜でも同様な傾向にあり、例えば膜中平均組成
がFe76Ta11N13で表される組成変調窒化合金膜は550℃熱
処理後に14kGの高飽和磁化、0.6(Oe)の低保磁力およ
び−1×10-6の低磁歪を示し、膜中平均組成がFe78Nb9T
a4N9で表される組成変調窒化合金膜は550℃熱処理後に1
4kGの高飽和磁化、0.7(Oe)の低保磁力および1×10-6
以下の低磁歪を示した。
次に高周波スパッタ法により、Fe85Nb15なる合金ター
ゲットを用いて、全スパッタガス圧が12mmTorrとなるよ
うにスパッタ時のアルゴンガス分圧と窒素ガス分圧の比
を変えて、組成変調波長が20nmで膜中平均組成が(Fe.
85Nb.15100-xNxで示される組成変調窒化合金膜を作成
し、550℃60分および600℃60分磁界中熱処理を施した。
第2図はこの膜中平均組成が(Fe.85Nb.15100-xNx
組成変調窒化合金膜における諸磁気特性の窒素含有量依
存性を示す。第2図の組成変調窒化合金膜では550℃〜6
00℃の適当な熱処理温度を選択することにより、窒素含
有量xが3原子%以上で20原子%以下の組成範囲で高飽
和磁化、低保磁力および低磁歪が得られることがわか
る。
これらの実施例1は特定の熱処理温度の場合である
が、組成変調窒化合金膜の飽和磁歪定数は熱処理温度に
よって変化する。第3図は膜中平均組成がFe75Nb12N13
の組成変調窒化合金膜における飽和磁歪定数の熱処理温
度依存性を示すが、これらの系はいずれも高温の熱処理
を施すにつれて磁歪定数が負側へ変化して行く傾向にあ
り、550℃付近の熱処理後に無磁歪となる。したがって
組成変調窒化合金膜を低磁歪とするためには熱処理温度
も重要であり、本発明の軟磁性合金膜の組成範囲であれ
ば熱処理温度を適当に選択することによって低磁歪とす
ることができる。
ここで同様にして、Fe88Nb12を合金ターゲットに用
い、窒素ガス分圧比PnをPn=10(%)として各種組成変
調波長を有する組成変調窒化合金膜を作成したが、飽和
磁化および飽和磁歪定数は組成変調波長が異なってもあ
まり変化が見られなかった。しかし、保磁力に関しては
組成変調波長が短くなるにつれ低下し、少なくとも60nm
以下で特に良好な軟質磁気特性を示した。
以上より、膜中の平均組成において、Feを主成分とし
て、Nb,Taよりなる群から一種類以上選択された金属を
3〜15原子%および窒素を3〜20原子%含有する組成変
調窒化合金膜が高飽和磁化と良好な軟質磁気特性ばかり
でなく、低磁歪を示すことがわかる。このようなFe−
(Nb,Ta)−Nで示される組成変調窒化合金膜に対し
て、軟質磁気特性の熱的安定性の向上等を目的とし、同
族元素であるZr,Ti,Hfよりなる群から一種類以上選択さ
れた金属を添加した場合の組成変調窒化合金膜の膜中平
均組成と、500〜600℃熱処理後の諸磁気特性を第1表に
まとめて示す。
第1表中の実施例はいずれも高飽和磁化および低保磁
力に加えて、絶対値が1×10-6以下の低磁歪となってい
る。この場合、少し正の磁歪を有するものは少し高温側
の熱処理を、また少し負の磁歪を有するものは少し低温
側の熱処理を成膜直後の組成変調窒化合金膜に対して施
すことにより無磁歪化できる。したがって、Fe−(Nb,T
a)−Nで示される組成変調窒化合金膜に対して、Zr,T
i,Hfよりなる群から一種類以上選択された金属を添加し
ても、その含有量が少なくとも3原子%以下であれば高
飽和磁化および低保磁力に加えて低磁歪となるのであ
る。
実施例2 本発明の第2の実施例を以下に説明する。
高周波スパッタ法により、各種組成のFe−Zr2元合金
を合金ターゲットとして用い、スパッタ時に10.8mmTorr
のアルゴンガス(Ar)中に1.2mmTorrの窒素ガス(N2
を周期的に混合しつつ、セラミック製の基板上に一層当
たり10nmの窒化層と一層当たり10nmの非窒化層が膜厚方
向に周期的に積層された多層膜、即ち組成変調窒化合金
膜を形成した。この場合、窒素ガス分圧比Pnは10%であ
り、組成変調波長λは20nmとなる。上記の各種組成の合
金ターゲットを用いて成膜した組成変調窒化合金膜の膜
中平均組成はFe87-XZrXN13と表され、このようにして成
膜された組成変調窒化合金膜に対して600℃60分の磁界
中熱処理を施した。第4図は熱処理後のFe87-XZrXN13
おける諸磁気特性のZr含有量依存性を示す。Zrの含有量
xが3≦x≦10(原子%)では、少なくとも13kG以上の
高飽和磁化と1Oe以下の低保磁力が得られる。飽和磁歪
定数は、Zr量が少ない方で負磁歪、Zr量が多い方で正磁
歪となりFe−Nb−Nと逆の傾向を示すが、3≦x≦10
(原子%)では少なくとも飽和磁歪定数の絶対値が3×
10-6程度以下の低磁歪となる。これはFe−Zr−N系ばか
りでなく、Fe−Ti−N系やFe−Hf−N系の組成変調窒化
合金膜でも同様な傾向にあり、例えば、膜中平均組成が
Fe70Ti10N20で表される組成変調窒化合金膜は650℃熱処
理後に14kGの高飽和磁化0.9(Oe)の低保磁力および2
×10-6の低磁歪を示し、膜中平均組成がFe80Ff7N13で表
される組成変調窒化合金膜は600℃熱処理後に14kGの高
飽和磁化、0.4(Oe)の低保磁力および1×10-6の低磁
歪を示す。
次に高周波スペッタ法により、Fe93Zr7なる合金ター
ゲットを用いて、全スパッタガス圧が12mmTorrとなるよ
うにスパッタ時のアルゴンガス分圧と窒素ガス分圧の比
を変えて、組成変調波長が20nmで膜中平均組成が(Fe.
93Zr.07100-xNxで示される組成変調窒化合金膜を作成
し、550℃60分および600℃60分磁界中熱処理を施した。
第5図はこの膜中平均組成が(Fe.93Zr.07100-xNx
組成変調窒化合金膜における諸磁気特性の窒素含有量依
存性を示す。第5図の組成変調窒化合金膜では550℃〜6
00℃の適当な熱処理温度を選択することにより、窒素含
有量が3原子%以上で20原子%以下の組成範囲で高飽和
磁化、低保磁力および低磁歪が得られることがわかる。
これらの実施例2は特定の熱処理温度の場合である
が、組成変調窒化合金膜の飽和磁歪定数は熱処理温度に
よって変化する。第6図は膜中平均組成がおよそFe82Zr
5N13の組成変調窒化合金膜における飽和磁歪定数の熱処
理温度依存性を示すが、これらの系はいずれも高温の熱
処理を施すにつれて磁歪定数が負側へ変化して行く傾向
にあり、550〜600℃の熱処理後に無磁歪となる。したが
って組成変調窒化合金膜を低磁歪とするためには熱処理
温度も重要であり、本発明の軟磁性合金膜の組成範囲で
あれば熱処理温度を適当に選択することによって低磁歪
とすることができる。
ここで同様にして、Fe93Zr7を合金ターゲットに用
い、窒素ガス分圧比PnをPn=10(%)として各種組成変
調波長を有する組成変調窒化合金膜を作成したが、飽和
磁化および飽和磁歪定数は組成変調波長が異なってもあ
まり変化が見られなかった。しかし、保磁力に関しては
組成変調波長が短くなるにつれて低下、少なくとも60nm
以下で特に良好な軟質磁気特性を示した。
以上より、膜中の平均組成において、Feを主成分とし
て、Zr,Ti,Hfよりなる群から一種類以上選択された金属
を3〜10原子%および窒素を3〜20原子%含有する組成
変調窒化合金膜が高飽和磁化と良好な軟質磁気特性ばか
りでなく、低磁歪を示すことがわかる。この場合、同族
元素であるNb,Taよりなる群から一種類以上選択された
金属元素を添加した組成変調窒化合金膜の膜中平均組成
と、550℃もしくは600℃もしくは650℃熱処理後の諸磁
気特性を第2表にまとめて示す。
第2表中の実施例は、いずれも高飽和磁化および低保
磁力に加えて、絶対値が1×10-6以下の低磁歪となって
いる。この場合、少し正の磁歪を有するものは少し高温
側の熱処理を、また少し負の磁歪を有するものは少し低
温側の熱処理を成膜直後の組成変調窒化合金膜に対して
施すことにより無磁歪化できる。即ち、Nb,Taよりなる
群から一種類以上選択された金属を添加しても、その含
有量が少なくとも6原子%以下であれば高飽和磁化およ
び低保磁力に加えて低磁歪となるのである。また第2表
中の試料番号12に示されるように、Zrの含有量が2原子
%であっても、Zr等とNbもしくはTaとの含有量の和が3
原子%以上であれば高飽和磁化および低保磁力に加えて
低磁歪となる。
実施例3 本発明の第3の実施例を以下に説明する。
高周波スパッタ法により、Fe−(V,Cr,Mn,Cu)−Zrな
る3元合金を合金ターゲットとして用い、全スパッタガ
ス圧が12mmTorrとなるようにアルゴンガス(Ar)中に窒
素ガス(N2)を適当な窒素ガス分圧比Pnにより周期的に
混合しつつ、セラミック製の基板上に一層当たり10nmの
窒化層と一層当たり10nmの非窒化層が膜厚方向に周期的
に積層された多層膜、即ち組成変調波長が20nmの組成変
調窒化合金膜を形成し、磁界中熱処理を施した。このよ
うにして作成された組成変調窒化合金膜の膜中平均組成
と、500℃もしくは550℃もしくは600℃熱処理後の諸磁
気特性を第3表にまとめて示す。
第3表中の実施例はいずれも高飽和磁化および低保磁
力に加えて、絶対値が1×10-6以下の低磁歪となってい
る。この場合、少し正の磁歪を有するものは少し高温側
の熱処理を、また少し負の磁歪を有するものは少し低温
側の熱処理を成膜直後の組成変調窒化合金膜に対して施
すことにより無磁歪化できる。V,Cr,Mn,Cu等の元素を含
まないFe−Zr−N系の組成変調窒化合金膜に関しては第
2実施例に述べたが、少なくともZrの含有量が3原子%
以上かつ10原子%以下で窒素の含有量が3原子%以上か
つ20原子%以下であれば、少なくともV,Mn,Cr,Cuよりな
る群から一種類以上選択された金属元素を加えても、そ
の含有量を10原子%以下とすることにより高飽和磁化お
よび低保磁力に加えて低磁歪となる軟磁性合金膜が得ら
れるのである。このようなFe−Zr−Nに対する第4元素
の添加に関しては、Vの場合は機械的加工性の向上に有
利であると考えられ、Crの場合は耐蝕性の向上に有利で
あり、またMnの場合は異方性の制御が比較的行い易い等
の効果があり、用途に応じて適宜選択が可能である。
以上のように、本発明の軟磁性合金膜は、幅広い組成
範囲で低保磁力で代表される良好な軟質磁気特性と高飽
和磁化ばかりでなく低磁歪を得ることができる。
発明の効果 本発明による軟磁性合金膜は、熱処理後に良好な軟質
磁気特性と高飽和磁化を示すばかりでなく、熱処理後に
低磁歪となるものである。
したがって、本発明の軟磁性合金膜,磁気ヘッド用軟
磁性合金膜等として適しており、産業上の利用価値が極
めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図,第4図および第5図は本発明の軟磁性
合金膜における諸磁気特性の組成依存性を示すグラフ、
第3図および第6図は本発明の軟磁性合金膜における飽
和磁歪定数の熱処理温度依存性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−57758(JP,A) 特開 昭62−210607(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 10/14

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも合金膜作成時に膜厚方向の組成
    が変調されており、膜中の平均組成が式 MaTbZcNd で示され、前記式の組成において、MはFe、TはNb,Ta
    よりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZr,Ti,
    Hfよりなる群から一種類以上選択された金属、Nは窒素
    であって、a,b,c,dは原子%を表し、それぞれ 65≦a≦88,9≦b≦15,1≦c≦3,3≦d≦20,a+b+c
    +d=100 であることを特徴とする軟磁性合金膜。
  2. 【請求項2】膜厚方向に少なくとも窒素の組成が変調さ
    れており、膜中の平均組成が式 MaTbZcNd で示され、前記式の組成において、MはFe、TはNb,Ta
    よりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZr,Ti,
    Hfよりなる群から一種類以上選択された金属、Nは窒素
    であって、a,b,c,dは原子%を表し、それぞれ 65≦a≦88,9≦b≦15,0≦c≦3,3≦d≦20,a+b+c
    +d=100 であり、Fe系の微結晶粒を含有する事を特徴とする軟磁
    性合金膜。
  3. 【請求項3】少なくとも合金膜作成時に膜厚方向の組成
    が変調されており、膜中の平均組成が式 MeTfZgNh で示され、前記式の組成において、MはFe、TはNb,Ta
    よりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZr,Ti,
    Hfよりなる群から一種類以上選択された金属、Nは窒素
    であって、e,f,g,hは原子%を表し、それぞれ 70≦e≦92,0≦f≦6,2≦g≦10,3≦h≦20,3≦f+g, e+f+g+h=100 であることを特徴とする軟磁性合金膜。
  4. 【請求項4】膜厚方向に少なくとも窒素の組成が変調さ
    れており、膜中の平均組成が式 MeTfZgNh で示され、前記式の組成において、MはFe、TはNb,Ta
    よりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZr,Ti,
    Hfよりなる群から一種類以上選択された金属、Nは窒素
    であって、e,f,g,hは原子%を表し、それぞれ 70≦e≦92,0≦f≦6,2≦g≦10,3≦h≦20,3≦f+g, e+f+g+h=100 であり、Fe系の微結晶粒を含有する事を特徴とする軟磁
    性合金膜。
  5. 【請求項5】少なくとも合金膜作成時に膜厚方向の組成
    が変調されており、膜中の平均組成が式 MiXjZkNl で示され、前記式の組成において、MはFe、XはV,Mn,C
    r,Cuよりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZ
    r、Nは窒素であって、i,j,k,lは原子%を表し、それぞ
    れ 70≦i≦92,0≦j≦10,3≦k≦10,3≦l≦20,i+j+k
    +l=100 であることを特徴とする軟磁性合金膜。
  6. 【請求項6】膜厚方向に少なくとも窒素の組成が変調さ
    れており、膜中の平均組成が式 MiXjZkNl で示され、前記式の組成において、MはFe、XはV,Mn,C
    r,Cuよりなる群から一種類以上選択された金属、ZはZ
    r、Nは窒素であって、i,j,k,lは原子%を表し、それぞ
    れ 70≦i≦92,0≦j≦10,3≦k≦10,3≦l≦20,i+j+k
    +l=100 であり、Fe系の微結晶粒を含有する事を特徴とする軟磁
    性合金膜。
  7. 【請求項7】特に膜厚方向の組成変調波長が60nm以下で
    ある事を特徴とする特許請求の範囲第1項,第2項,第
    3項,第4項,第5項または第6項のいずれかに記載の
    軟磁性合金膜。
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