JP3028299U - 海塩製造装置 - Google Patents
海塩製造装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】海水を蒸発させて塩を製造するための装置に関
し、特に海水中のミネラル含有率が高く、高品質な海塩
を製造するための装置を実現することを目的とする。 【解決手段】海水(1)を蒸発させて塩(2)を結晶化
させる海塩の製造装置において、海水(1)を採取して
貯留するための海水タンク(3)と、竹枝が逆さに吊設
された蒸発体(4)の上部より海水(1)を流下させ、
通風により蒸発濃縮させるための流下式濃縮装置(5)
と、濃縮された海水(6)をタイル張りされた蒸発槽に
より太陽熱で蒸発させ、結晶化させるための太陽熱式蒸
発装置(7)とで構成され、該流下式濃縮装置(5)
は、塩分濃度が一定の濃度になるまで循環させるための
海水循環手段(8)が設けられていることを特徴とする
海塩製造装置である。
し、特に海水中のミネラル含有率が高く、高品質な海塩
を製造するための装置を実現することを目的とする。 【解決手段】海水(1)を蒸発させて塩(2)を結晶化
させる海塩の製造装置において、海水(1)を採取して
貯留するための海水タンク(3)と、竹枝が逆さに吊設
された蒸発体(4)の上部より海水(1)を流下させ、
通風により蒸発濃縮させるための流下式濃縮装置(5)
と、濃縮された海水(6)をタイル張りされた蒸発槽に
より太陽熱で蒸発させ、結晶化させるための太陽熱式蒸
発装置(7)とで構成され、該流下式濃縮装置(5)
は、塩分濃度が一定の濃度になるまで循環させるための
海水循環手段(8)が設けられていることを特徴とする
海塩製造装置である。
Description
【0001】
本考案は、海水を蒸発させて塩を製造するための装置に関し、特に海水中のミ ネラル含有率が高く、高品質な海塩を製造するための装置に関する。
【0002】
近年の我が国の食用塩は、イオン交換樹脂膜法により製造されるイオン塩がほ とんどであり、塩田などを用いた海水を自然に濃縮・蒸発させて結晶化して製造 する自然塩はごく僅かとなっている。
【0003】 前記のイオン塩は、図4(1)に示すように、イオン交換樹脂膜40を用いて 、塩化ナトリウムを99パーセント以上の高純度に精製した精白塩である。すな わち、海水中に含まれる多くのミネラル分は取り除かれ、ほとんど含まれていな い。
【0004】 現代人は、ミネラル不足が指摘され、これらのミネラルを補給するための機能 性食品などが多種開発され、市販されている。ところが、このミネラルを体内に 補給することは、なかなか難しく、バランス良く摂取しないと、体内に吸収され ずに排出されてしまったり、かえって害を及ぼす場合もある。
【0005】 海水中のミネラルはたいへんバランスが良く、また人間に必要な微量元素を全 て含んでいる。海水を4分の1に薄めると、体液の(血液・リンパ液)のミネラ ル組成とほとんど同じになることからも解るように、海水から摂取したミネラル は、体内に吸収されやすく、バランス良く体内に吸収されるのである。
【0006】 また、この海水中のミネラル成分は、塩に苦みと甘味を与え、旨味がでる。前 記の自然塩が、料理人に好まれて使用されるのは、このためであり、その中でも フランスのブルターニュ地方の「ゲランドの塩」は、一流のシェフに愛用されて いる最高品質のもので、ヨーロッパの権威ある消費者擁護機関「ナテュール・エ ・プレグロ」の認定を受け、年代ワインのように、品質を証明するラベルが貼ら れている。
【0007】 このように、自然食品・健康食品の人気にともなって、自然塩も急速に注目さ れるようになってきた。
【0008】 しかしながら、現在の我が国の自然塩においては、海外から塩田天日塩などの 原塩を輸入して、真水に溶かし、再度、結晶化して得られる再生塩がほとんどで あり、直接、海水から製造されている本来の自然塩は試験的あるいは、観光用と して行なわれているだけである。
【0009】 以下にイオン塩と各種の塩の塩化ナトリウムおよびミネラル含有率(重量パー セント)の測定結果を示す。 塩の種類 塩化ナトリウム ミネラル成分 (重量%) (重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− イオン塩(食塩) 99.4 0.6 再生塩(シママース) 98.8 1.2 再生塩(赤穂の天塩) 98.1 1.9 自然塩(海の精) 95.6 4.4 自然塩(フランスの塩) 91.3 8.7 上記に示すように、自然塩のミネラル含有率は、突出しており、味と品質が良 いもの程、ミネラルの含有率が高いことを示している。
【0010】 フランスの自然塩が最も良い結果を得たが、この塩は、現在でも熟練された塩 作り職人によって行なわれ、政府も自然保護地域に指定し、自然を厳重に守りな がら、広大な塩田にて、降雨量が少なく乾燥した海風が多い地理的条件を活かし て、すべて太陽熱で天日乾燥させて製造されている。
【0011】 日本でも自然塩は、ごく僅かに製造されているが、降雨量が多く、広い塩田を 確保することが困難なため、いろいろと工夫がなされている。すなわち、揚げ浜 式塩田や蒸発搭などを用いて、一旦海水を濃縮し、次に平釜などで煮詰めて結晶 させる方法で製造されている。また、煮沸によりカルシウムなどが析出分離して しまうため、温室にて天日乾燥させる方法も開発されている。例えば、特開平5 6−16319号では、図5に示すように、コンクリートブロック42などで蒸 発搭43を構成し、上部より海水を散水し、自然風により蒸発、濃縮させ、この 濃縮液を温室内に設置した金属製蒸発槽により天日蒸発させ、結晶化させて自然 塩を製造する装置である。
【0012】
このように、我が国の地理的条件のもとで海塩を製造する場合には、塩田にて 太陽熱と自然風のみで天日乾燥して塩を結晶化することは困難なため、海水をあ る程度濃縮し、この濃縮液をさらに結晶化する特別の工夫をする必要があり、し かもその工夫により、海水中のミネラル成分を逃がすことのないようにすること が重要である。
【0013】 本考案は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、海水中のミネラ ル成分を十分に含有し、かつ、効率良く塩を結晶化できる海塩製造装置を実現す るためになされたものである。
【0014】
請求項1は、図1に例示するように、海水1を蒸発させて塩2を結晶化させる 海塩の製造装置において、海水1を採取して濾過し、貯留するための海水タンク 3と、吊設された蒸発体4の上部より海水1を流下させ、通風により蒸発濃縮さ せるための流下式濃縮装置5と、濃縮された海水6を太陽熱で蒸発させ、結晶化 させる太陽熱式蒸発装置7とで構成され、該流下式濃縮装置5は、塩分濃度が一 定の濃度になるまで海水1を循環させるための海水循環手段8が設けられている ことを特徴とする海塩製造装置である。
【0015】 該海水タンク3は、海から採取した海水1を貯留することができるものならば いずれでも良く、例えば、図1に示すように、箱型のコンクリート製地下タンク 3でも良く、耐食性を高めた金属製タンクや硬質樹脂製タンクなどでも良い。随 時海水を注入できるように、直接海より導水配管9を接続し、海水ポンプ10で 汲み上げるようにしても良い。また、該導水配管9には、ゴミなどを除去する濾 過装置11を設けても良い。
【0016】 該流下式濃縮装置5は、吊設され、蒸発面積が広く確保された蒸発体4の上部 より海水1を散布し、海水1の流下中において、通風により水分を蒸発させるよ うにしたものならばいずれでも良く、例えば、図1に示すように、多数の通風口 13が設けられたコンクリート製の搭体14内に蒸発体4が吊設されており、該 発熱体4の上部に海水1の散水配管15を設け、底部に濃縮された海水の集液槽 16が設けられたものでも良い。
【0017】 該太陽熱式蒸発装置7は、前記の流下式濃縮装置5により濃縮された海水6を 太陽熱により蒸発させて、塩2を結晶化できるようにしたものならばいずれでも 良く、例えば、図1に例示するように、ガラス張りの温室17内に蒸発槽18を 設け、該蒸発槽18に前記海水濃縮液6を注入し、蒸発させて塩2を結晶させる ようにしたものでも良く、適時に蒸発する水分の換気口19を設ける。
【0018】 また、該流下式濃縮装置5に設けられる海水循環手段8は、流下式濃縮装置5 を流下して濃縮された海水6を再度、装置上部に供給することができるものなら ばいずれでも良く、例えば、流下式濃縮装置5底部の集液槽16から上部の散水 配管15へ海水を汲み上げる専用ポンプを設けても良く、図1に示すように、該 流下式濃縮装置5の出口配管を分岐させ、戻り配管8aを設けて海水タンク3に 戻し、再度、海水供給配管8bより、流下式濃縮装置5上部の散水配管15に供 給し、循環できるようにしても良い。
【0019】 請求項2は、図2に例示するように、前記の流下式濃縮装置5の蒸発体4とし て、逆さに吊るした竹枝が設けられている海塩製造装置である。
【0020】 該発熱体4、竹の枝を逆さに吊るしたものであればいずれでも良く、例えば、 図2に示すように、多数の枝が付いた竹を束ねて、散水配管15の下部に逆さに 吊るして固定したものでも良い。
【0021】 該竹は、イネ科のタケ亜科の常緑木質植物ならばいずれでも良く、葉を取り除 いたものを使用する。枝の少ないものは、枝を束ねて用いると良い。ホウライチ クなどのように、枝の多い種類のものを用いると良い。
【0022】 請求項3は、図3に例示するように、前記の太陽熱式蒸発装置7が、全面ガラ ス張りの温室17の内部に、タイル20が内張りされた蒸発槽18が設置されて おり、蒸気放出のための換気口19が設けられている海塩製造装置である。
【0023】 該温室17は、太陽光を透過できるように、全面がガラス張りとなっているも のならばいずれでも良く、図3に示すように、屋根部および壁面をガラス30で 構成した温室でも良い。
【0024】 該蒸発槽18は、濃縮された海水6を結晶化するためのものであり、深さが浅 く、内面がタイル張りされているものならばいずれでも良く、例えば、図3(2 )に示すように、浅い箱型のコンクリート槽31で蒸発槽18を形成し、その内 面にタイル20を施工したものでも良い。該タイル20は、陶器質タイル、せっ 器質タイル、磁器質タイルいずれでも良く、結晶化した塩2を採取しやすいよう に、表面をなめらかに施工したものが良い。また、太陽熱を吸収しやすいように 、褐色や黒色のものを用いても良い。
【0025】
【考案の実施の形態】 請求項1のように、海水1を採取して貯留するための海水タンク3と、吊設さ れた蒸発体4の上部より海水1を流下させ、通風により蒸発濃縮させるための流 下式濃縮装置5と、濃縮された海水6を太陽熱で蒸発させ、結晶化させる太陽熱 式蒸発装置7とで構成され、該流下式濃縮装置5は、塩分濃度が一定の濃度にな るまで循環させるための海水循環手段8が設けられていると、海水1を効果的に 結晶化して自然塩2を製造することのできる海塩製造装置を実現することができ る。
【0026】 すなわち、図1に示すように、海水1をポンプ10などで汲み上げ、ゴミなど を濾過した後、一旦海水タンク3に貯留する。該海水タンク3に貯留した海水1 をポンプ21で流下式濃縮装置5の上部に設けられた散水配管15に送水し、散 水する。散水された海水1は、吊設されている蒸発体4に散布され、流下する。 この時、自然の風により水分が徐々に蒸発し、底部に達するまでに濃縮されるこ とになる。
【0027】 この流下式濃縮装置5においては、海水の濃縮度が15度以上となるまで循環 させて濃縮する。すなわち、バルブ22、23を切替えて、流下した海水を海水 タンク3に戻し、ポンプ21で再び散水配管15より散水し、流下蒸発させ、濃 度が15度以上となるまで海水1を循環させて濃縮を繰り返す。15度以下では 、次の太陽熱式蒸発装置7での塩の結晶化に相当の時間がかかり、結局、全体の 製造期間が長くなるため生産効率が悪くなる。濃縮効率は、海水の流下速度と自 然風の風量によるため、分枝の良い竹枝4を密に設置し、搭体14に多数の通風 口13を設けると良い。また、通風口13に可動式がらり羽根を設けて、風向き に合わせてがらり羽根を調整できるようにしても良い。
【0028】 海水濃度が15度以上となったら、バルブ22、23を切替えて、濃縮された 海水6を濃縮海水タンク24に送水し、該濃縮海水タンク24よりポンプ25で 太陽熱式蒸発装置7の蒸発槽18へ注水する。該太陽熱式蒸発装置7では、温室 効果により、蒸発槽18内の濃縮海水中の水分がほとんど蒸発し、塩2が結晶と なる。鍋や釜などで煮詰めて結晶させずに、自然の太陽熱で結晶させているため 、ミネラル成分をバランス良く含んだまま結晶させることができる。
【0029】 すなわち、平釜などで煮詰めた場合には、塩化ナトリウムと各ミネラル成分の 析出温度の違いにより、天日乾燥に較べて、ミネラル含有量が減ってしまう。ま ず最初にカルシウムが底部に析出し、塩の結晶から分離してしまう。また、塩化 ナトリウムより析出温度の高いマグネシウムやカリウムは、にがりと呼ばれる蒸 発しきらなかった黄色い液体内に残り、塩にはほとんど含まれない。
【0030】 自然乾燥させた塩の場合には、析出温度とは無関係であり、水分がほとんど蒸 発して結晶化するため、海水中のミネラル含有割合とほぼ同じになり、ミネラル バランスの非常に良い良質な塩となる。
【0031】 請求項2のように、前記の流下式濃縮装置5は、竹枝を逆さに吊るした蒸発体 4が設けられていると、効率良く海水を蒸発させることができる。すなわち、散 水された海水1が分枝した竹枝4に振り注がれ、さらに分散され、蒸発しやすく なる。逆さに吊るされているため、枝が適度に広がり、通風性が良く、しかも蒸 発面積を大きく取れる。また、竹材は、竹筒を水筒として古くから用いられてい たことからもわかるように、耐水性が非常に良く、腐敗しにくい。さらに、木質 成分が溶け出すこともなく、不純物が混入する心配もない。
【0032】 蒸発体としては、図4(2)に示すように、古くは流下式塩田に用いられてい た枝条架41などがあり、これは、高さ5〜7メートルに丸太を組み、これに猛 宗竹の枝と笹を左右に、両翼を張るような格好に取り付け、これを5、6段組合 わせたものである。近年では、笹の代りに、漁業用の網を用いたものもある。ま た、図5に示すように、コンクリートブロック42を積み重ねたものも開発され ている。
【0033】 前記の枝条架41においては、現在では猛宗竹の枝と笹を大量に入手すること が困難であり、骨組みとなる丸太の耐水性が問題であり、木質成分が溶け出して 、腐敗してしまう。また、ネットやコンクリートブロック42においては、吸水 性があり、蒸発と同時に該ブロック42やネットにまで塩が析出してしまい、こ の析出物にミネラル成分も吸着されてしまう。竹枝の場合には、吸水性はほとん どなく、ミネラル成分の吸着などもない。
【0034】 請求項3のように、前記の太陽熱式蒸発装置7は、全面ガラス張りの温室17 の内部に、タイル20が内張りされた蒸発槽18が設置されており、蒸気放出の ための換気口19が設けられていると、海水のミネラルバランスをそのままに、 かつ効率良く、結晶化することができる。すなわち、全面がガラス張りのために 、太陽光がどの方向からも入光できるため、太陽熱を十分に吸収することができ る。また、該蒸発槽18はタイル20が内張りされているため、熱吸収が良く、 蓄熱性もある。しかも丈夫で耐久性も良い。また、カラートタンやステンレスな どの金属製槽の場合に問題となる、高温による変質や含有成分の溶出などの心配 もなく安全である。
【0035】 また、タイル20は焼き物であるため、遠赤外線効果が発揮され、まろやかで 美味しい塩になる。この遠赤外線効果については、十分に解明されていないが、 醸造食品を熟成させることがよく知られているが、水の分子を細かくし親和性を 向上させるためとされている。塩の場合も同様に親和性が発揮され、海水中のミ ネラル成分が結晶に吸着しやすくなり、まろやかな塩の結晶となる。
【0036】 また、蒸発した水分は換気口19より外部に排気される。蒸発量と海水温度と により排気量を調節し、温室17内の温度が40℃以下にならないように調整す ると良い。
【0037】
次に本考案による海塩製造装置が実際上どのように具体化されるかを実施例で 説明する。
【0038】 図1は、本考案による海塩製造装置の実施例である。この海塩製造装置は、海 より海水1を汲み上げて濾過し貯留するための海水タンク3と、該海水1を自然 風により蒸発濃縮するための流下式濃縮装置5と、濃縮海水6を貯留する濃縮海 水タンク24と、該濃縮海水6を太陽熱で蒸発させるための太陽熱式蒸発装置7 とで構成されている。
【0039】 該海水タンク3は、箱型のコンクリート製地下式タンクで、容量は約40立方 メートルであり、海水汲み上げ用のポンプ10で海より直接、取水され、入口側 の導水配管9には、海水中のゴミなどの混入物を除去するための濾過装置11が 接続されている。
【0040】 該流下式濃縮装置5は、図2に示すように、多数の通風口13が設けられた搭 体14内に、ホウライチクの竹枝4が逆さに吊設されており、上部には散水配管 15が設けられている。該散水配管15には、前記海水タンク3より海水1を汲 み上げるための送水配管8bとポンプ21が接続されている。また、搭体14底 部は集液槽16となっており、前記海水タンク3への送水配管8aと海水濃縮タ ンク24への送水配管26が接続されており、バルブ22、23により切替えら れるようになっている。
【0041】 該濃縮海水タンク24は、前記の海水タンク3と同様にコンクリート製の地下 式タンクであり、貯留した濃縮海水6を温室17内の蒸発槽18へ送水するため の送水配管27とポンプ25が接続されている。
【0042】 該太陽熱式蒸発装置7は、図3に示すように、屋根部および壁面の全面がガラ ス張りとなっている温室17の内部に、コンクリート製の蒸発槽18が設置され ている。該蒸発槽18は、図3(2)に示すように、内面がタイル張りされてい る。また、扉28は高く、屋根付近まで開放できるようになっており、側壁面の 中央部には換気窓19が設けられている。
【0043】 このように、構成された海塩製造装置は、海から直接海水1を汲み上げ、ゴミ などを濾過した後、流下式濃縮装置5により蒸発、濃縮される。この流下式濃縮 装置5は、蒸発体4としてモウソウチクが逆さに吊設されており、多数の枝を滴 る間に海水1中の水分が自然風で次第に蒸発し、濃縮されながら流下し、底部の 集液槽16に溜まる。該集液槽16には、戻り配管が設けられており、この海水 を海水タンク3に戻すことができ、再びポンプ21で上部の散水配管15に汲み 上げ、海水濃度が15度以上となるまで循環させることができる。
【0044】 現代の製塩法であるイオン交換樹脂膜法が行なわれる以前には、図4(2)に 示す、流下式塩田法が行なわれていた。これは、流下盤44上を流れる海水の太 陽熱による蒸発作用と、枝条架41を流下する海水の風による蒸発作用とを利用 して、海水濃縮を効果的に行なうために開発されたものであり、枝条架41は、 本考案の源流となるものであるが、ここで用いられている枝条架41の場合には 、流下速度をできるだけ遅くし、保水性を向上させるために、竹の枝と笹をかな り密に絡ませて設置されている。
【0045】 本考案では、上記のごとく、竹の枝を束ねるのではなく、幹に枝が付いた状態 で逆さに吊設すれば良く、循環処理できることが特徴となっており、このため、 竹材が節約でき、通風性が格段に良くなっている。また、モウソウチクは、分枝 が非常に良いので、流下面積が非常に大きく、流下速度が遅くなり、かつ、通風 性も良い。また、流下盤44が要らないので、設置スペースが非常に小さくなる 。
【0046】 また、図5に示すような、コンクリートブロック42や漁網を用いた場合には 、コンクリートブロック42の石灰分や網の成分が濃縮海水中に溶出する問題が あるが、竹材の場合には、耐水性も良く、腐敗しにくく、木質成分が溶出する心 配もない。
【0047】 上記の流下式濃縮装置5で循環処理を行ない、海水濃度を15度以上となるま で濃縮し、濃縮完了後はバルブ22、23を切替えて、濃縮された海水6を濃縮 海水タンク24に送水し、貯留する。該濃縮海水タンク24に貯留された濃縮海 水6は、太陽熱式蒸発装置7の蒸発槽18に注水される。
【0048】 該蒸発槽18は、図3に示すように、複数に区画されており、各槽は深さ15 センチメートル程度である。内面がタイル張りされているため、太陽熱を吸収し やすく、蓄熱性が高いので、効率良く蒸発結晶化することができ、海水と同様の ミネラルバランスの良い塩2が得られる。また、タイル20は金属槽などのよう に、含有成分が溶出するなどの問題がないので安全である。また、タイル20の 遠赤外線効果により、ミネラル吸着が良くなり、まろやかで美味しい塩となる。
【0049】 次に実際に本考案による海塩製造装置により製造した例を示す。海水36トン より、流下式濃縮装置5により15度の濃縮液を4.32トンが得られ、太陽熱 式蒸発装置7により蒸発結晶化して約0.5トンの自然塩が得られた。以下に本 考案の海塩製造装置により製造された塩の分析結果を示す。 塩の種類 塩化ナトリウム ミネラル成分 (重量%) (重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 本考案の塩 85.0 15.0 上記に示すように、ミネラル成分が非常に多く、海水のミネラルバランスに非 常に近い高品質の塩が得られた。
【0050】
請求項1のように、海水1を採取して貯留するための海水タンク3と、吊設さ れた蒸発体4の上部より海水1を流下させ、通風により蒸発濃縮させるための流 下式濃縮装置5と、濃縮された海水6を太陽熱で蒸発させ、結晶化させる太陽熱 式蒸発装置7とで構成され、該流下式濃縮装置5は、塩分濃度が一定の濃度にな るまで循環させるための海水循環手段8が設けられていることにより、広大な塩 田を必要とせず、かつ、煮詰めて結晶化することもなく、自然の風と太陽熱によ り塩を効果的に製造することができ、かつ、ミネラル分が多い高品質の塩を製造 することができる海塩製造装置を実現することができる。
【0051】 請求項2のように、竹枝を逆さに吊るした蒸発体4が設けられていることによ り、竹枝の分枝が細かいので流下速度遅く、かつ通風性が良く、しかも耐水性が 良いので、自然風による水分蒸発効果が高く、耐久性に優れた流下式濃縮装置5 を実現できる。また、蒸発体(竹)の含有成分が溶出することもないので安心で ある。
【0052】 請求項3のように、全面ガラス張りの温室17の内部に、タイル20が内張り された蒸発槽18が設置されており、蒸気放出のための換気口19が設けられて いることにより、太陽熱を効果的に吸収することができ、タイル張りされている ため、吸収した熱が逃げにくく、遠赤外線効果も発揮されるため、ミネラル成分 が十分に吸着された高品質の塩を結晶化することができる太陽熱式蒸発装置7を 実現できる。また、蒸発槽18の含有成分などの溶出の心配がなく安全性が高い 。
【0053】 以上のように本考案によると、ミネラル含有率が非常に高く、かつ、ミネラル バランスの良い、まろやかで美味しい塩を製造することができる海塩製造装置を 実現することができる。
【図1】本考案による海塩製造装置の実施例を示す図で
ある。
ある。
【図2】本考案による海塩製造装置の流下式濃縮装置の
実施例を示す図である。
実施例を示す図である。
【図3】本考案による海塩製造装置の太陽熱式蒸発装置
の実施例を示す図である。
の実施例を示す図である。
【図4】従来の海塩製造装置の実施例を示す図である。
【図5】従来の海塩製造装置の流下式濃縮装置の実施例
を示す図である。
を示す図である。
1 海水 2 塩 3 海水タンク 4 蒸発体 5 流下式濃縮装置 6 濃縮海水 7 太陽熱式蒸発装置 8 海水循環手段 8a 戻り配管 8b 海水供給配管 11 濾過装置 13 通風口 15 散水配管 16 集液槽 17 温室 18 蒸発槽 19 換気口(換気窓) 20 タイル 24 濃縮海水タンク 30 ガラス
Claims (3)
- 【請求項1】 海水(1)を蒸発させて塩(2)を結晶
化させる海塩の製造装置において、海水(1)を採取し
て貯留するための海水タンク(3)と、吊設された蒸発
体(4)の上部より海水(1)を流下させ、通風により
蒸発濃縮させるための流下式濃縮装置(5)と、濃縮さ
れた海水(6)を太陽熱で蒸発させ、結晶化させる太陽
熱式蒸発装置(7)とで構成され、該流下式濃縮装置
(5)は、塩分濃度が一定の濃度になるまで循環させる
ための海水循環手段(8)が設けられていることを特徴
とする海塩製造装置。 - 【請求項2】 前記の流下式濃縮装置(5)は、竹枝を
逆さに吊るした蒸発体(4)が設けられていることを特
徴とする請求項1に記載の海塩製造装置。 - 【請求項3】 前記の太陽熱式蒸発装置(7)は、全面
ガラス張りの温室(17)の内部に、タイル(20)が
内張りされた蒸発槽(18)が設置されており、蒸気放
出のための換気口(19)が設けられていることを特徴
とする請求項1または請求項2の項に記載の海塩製造装
置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP1996001894U JP3028299U (ja) | 1996-02-23 | 1996-02-23 | 海塩製造装置 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3028299U true JP3028299U (ja) | 1996-08-30 |
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ID=43163373
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3028299U (ja) |
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1996
- 1996-02-23 JP JP1996001894U patent/JP3028299U/ja not_active Expired - Lifetime
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