JP3026951B2 - エレクター装置 - Google Patents

エレクター装置

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JP3026951B2
JP3026951B2 JP9285009A JP28500997A JP3026951B2 JP 3026951 B2 JP3026951 B2 JP 3026951B2 JP 9285009 A JP9285009 A JP 9285009A JP 28500997 A JP28500997 A JP 28500997A JP 3026951 B2 JP3026951 B2 JP 3026951B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項に係る発明は、掘削さ
れたトンネルの内面にセグメント壁を構築するため、セ
グメント片を把持して移動する機能をもつエレクター装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シールド掘進機の後部には、一般に、そ
れが掘削したトンネルの内面に支保としての壁を構築す
る目的でエレクター装置が配置される。同装置は、その
先端にある把持部によってセグメント片を一個ずつ把持
(単に引っ掛けて取り付ける場合も「把持」と呼んでい
る)し、トンネル内面の各施工部位にまで移動するもの
である。同装置によって適所に運ばれたセグメント片の
間をボルト・ナット等で連結することにより、セグメン
ト壁が構築される。
【0003】エレクター装置としては、門型形状のフレ
ームの先にセグメントの把持部が設けられ、そのフレー
ムが、トンネルの内面に沿って旋回しトンネルの半径方
向にも移動する形式のものがよく知られている。その門
型のフレームが一体として旋回し、または移動すること
によって、把持部にて把持したセグメントを施工部位へ
移動するのである。
【0004】しかし、トンネルの横断面形状が単円でな
い場合(たとえば複数の円がつながった形状や、楕円
形、馬蹄形、矩形等の場合がある)には、いわゆる関節
型のエレクター装置が使用されることも多い。関節型の
エレクター装置とは、関節部を介して複数のアーム部材
が接続され、その関節部を中心にアーム部材間を角度変
位させる形式のものである。関節型の同装置は、関節部
を曲げたり伸ばしたりすることによって先端の把持部を
任意の部位に届かせやすいため、トンネルの横断面形状
が単円でない場合にも比較的簡単な構成によってセグメ
ント壁の構築を可能にする。
【0005】図6は、二連円の横断面形状をもつトンネ
ルを掘削するシールド掘進機51の内部に、従来使用さ
れている関節型(多関節型)のエレクター装置60が配
置された例を示している。同装置60は2基のアーム機
構62(62A・62B)からなり、それらの基部63
は、シールド掘進機51内の旋回ドラム61上に取り付
けられている。基部63の先にはそれぞれ、第一アーム
65・第二アーム67・セグメント把持部69といった
アーム部材がピン(軸)状の関節64・66・68を介
して順に接続され、それら各アーム部材65・67・6
9間に油圧シリンダ71・72・73が接続されてい
る。旋回ドラム61が360°回転するほか各アーム部
材65・67・69間が油圧シリンダ71・72・73
によって角度変位することに基づき、把持部69は任意
の位置にまで移動する。すなわち、二連円のうち直径の
大きい円形部分(大円部分)および小さい円形部分(小
円部分)の各内側の適切な部位にまで、2基のアーム機
構62A・62Bのうちいずれか(または両方)がセグ
メント片S(大円部分のS1および小円部分のS2)を
適切に移動できる。なお、図示の関節型エレクター装置
60と同様な装置は、特開平7−76998号公報に記
載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図6のエレクター装置
60では、図示右方にある小円部分の内側にセグメント
片S(S2)を運ぶために2基のアーム機構62A・6
2Bが不可欠である。すなわち、小円部分の下半部の位
置にまでセグメント片Sを運ぶには、図示右方のアーム
機構62Aについて図の状態から第一アーム65および
第二アーム67等の角度を変えて右方下部の仮想線のよ
うに把持部69を差し出させる一方、小円部分の上半部
の位置にセグメント片Sを運ぶには、旋回ドラム61を
180°前後旋回させて図示左方のアーム機構62Bを
右方へ移したうえ、上記と同様にアーム部材65・67
等を変位させて右方上部の仮想線のように把持部69を
差し出す。アーム機構62A・62Bのうちどちらか一
方のみでは、小円部分のうち一部(上半部か下半部)に
はセグメント片Sを運ぶことができない。したがって図
6のような形式のエレクター装置60においては、アー
ム機構62の数を1基にして構成を簡単化することが不
可能である。
【0007】図6の装置60が、アーム機構62のうち
一方のみでは小円部分の一部にセグメント片Sを運ぶこ
とができない理由は、下記イ)〜ハ)のとおりである。
【0008】イ) 各アーム機構62におけるアーム部材
65・67・69は、ピン状の関節64・66・68を
介して接続され油圧シリンダ71・72・73によって
角度変位させられるため、各関節64・66・68おい
て本来とは逆の向きに屈曲することはできない。そのよ
うにいわゆる逆関節状に屈曲させようとしても、油圧シ
リンダ71・72・73自身がアーム部材65・67・
69に当たるなどして屈曲を妨げるからである。したが
って、たとえばアーム機構62Aにおいて、図示のよう
に右方にある状態から小円部分の上半部に把持部69を
届かせることは不可能である。
【0009】ロ) 旋回ドラム61を180°前後旋回さ
せて図示右方のアーム機構62Aを左方に移したうえ、
そのアーム機構62Aを、大円部分の中央付近を横切ら
せて小円部分の上半部に届くよう右方に伸ばすことは、
不可能である。図示中央部分の空間Xには種々の配線・
配管やコンベヤ等(いずれも図示せず)が配置されてい
るため、仮にアーム部材65・67・69を図示よりも
かなり長くしたとしても、中央のその空間Xを横切って
アーム機構62Aが左方から右方へ伸びることは許され
ないのである。
【0010】ハ) 以上により、図6において右方にある
アーム機構62Aのみでは小円部分の上半部の位置にセ
グメント片Sを運ぶことができない。一方、図6におい
て左方にあるアーム機構62Bのみでは、上記イ)・ロ)と
同様の理由により、小円部分の下半部の位置にセグメン
ト片Sを運ぶことが不可能である。
【0011】図6に示したエレクター装置60のみには
限らず、従来の関節型エレクターでは、トンネルの横断
面形状が単円でない場合に、やはり複数のアーム機構が
不可欠になり構成が複雑になっている場合が多い。上記
イ)のとおり角度変位の向きに制限があること等に基づい
て、1基のみのアーム機構では、先端の把持部をトンネ
ル内のあらゆる部位には移動させ得ないからである。
【0012】請求項に記載の発明は、アーム機構が1基
のみであるなど簡単な構成であっても、横断面形状が単
円でないトンネルにおける内面全域にセグメントを移動
できる等の利点があるエレクター装置を提供することで
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載したエレ
クター装置は、セグメント片の把持部を含む複数のアー
ム部材(リンク)を、関節部を介して角度変位し得るよ
うに連結し、ある関節部をはさむ二つのアーム部材間
を、当該関節部の外側を通って各アーム部材の長手方向
に張り渡された複数のロープによって接続し、かつ、長
さおよび張力の変更手段を各ロープに設けた−ことを
特徴とする。なお、ここにいう「把持」はエレクター装
置がセグメント片を持つことを表す広い意味の用語であ
り、単に引っ掛けてぶら下がった状態に支持することを
も含む。
【0014】この請求項1のエレクター装置では、上に
いうある関節部の外側に通された複数のロープのうちい
ずれかに上記変更手段で強い張力を与えてその長さを短
くすると、その関節部を中心にしてアーム部材間が角度
変位(屈曲)をなす。そのときの角度変位は、上記のよ
うに短くするロープの側において二つのアーム部材間の
角度が小さくなる向きに生じる。人の腕が筋肉の収縮に
よって曲がるのと同様である。一方、その関節部をはさ
んで上記と異なる側に通されているロープに強い張力を
与えて長さを短くすると、上記とは異なる、そのロープ
の側で角度が小さくなるようにアーム部材間が角度変位
する。
【0015】このように、ある関節部の外側に通した各
側のロープに別々に強い張力を付与して各長さを変更さ
せれば、その関節部を中心にしてアーム部材間を正・逆
いずれの向きにも屈曲させることができる。どの向きに
屈曲させる場合にも、アーム部材間の角度の最大変位
は、ロープの長さが変更され得る範囲と、当該関節部を
はさんでアーム部材間が互いに接触し合わない形状的な
限界とによって定まる。従来のエレクター装置とは違っ
てアーム部材間に油圧シリンダ等を設ける必要はなく、
それらシリンダ等によって屈曲が妨げられることがない
ため、いずれの向きにも屈曲度合いは十分に確保され得
る。
【0016】つまりこの請求項1のエレクター装置にお
いては、一以上の関節部においてアーム部材間が正・逆
の両方に十分な範囲で屈曲し得ることになるため、トン
ネル内において、セグメント把持部を、従来のエレクタ
ー装置におけるよりもはるかに広い部位へ移動させるこ
とが可能になる。したがって、このエレクター装置につ
いては、図6にいうアーム機構(セグメント把持部を含
むアーム部材を一組含むもの)を1基のみ旋回ドラム上
に配置した簡単なものに構成したとしても、横断面形状
が単円でない多種類のトンネルに対するセグメント壁の
構築が可能である。
【0017】なお、ロープとしては、高張力ワイヤのほ
か炭素繊維を含むものなど、引張強度の優れたものを使
用するとよい。そうすると、構成が簡単であるためにア
ーム部材等として太い高剛性のものを使用できることと
相俟って、このエレクター装置の負荷能力や寿命が向上
することになる。
【0018】請求項2に記載のエレクター装置は、上記
の関節部を、球面かまたは中心軸の交差する二組の円筒
面かのいずれかに沿って二つのアーム部材間を角度変位
させるもの(つまり球面継手または自在継手)としたこ
とを特徴とする。
【0019】この請求項2のような関節部を有するエレ
クター装置では、その関節部を介して、三次元内のあら
ゆる方向にアーム部材間が角度変位することができる。
つまり、関節部がピン状である場合と違って、上記のよ
うに球面または二組の円筒面を含む場合には、それをは
さむアーム部材間の角度変位が一平面内には限られな
い。そのような角度変位が可能である以上、セグメント
片を把持する把持部は、トンネルの長手方向と直角な断
面内で上記(請求項1)のように広い部位に移動し得る
のみでなく、その断面内から外れる方向にも移動するこ
とができる。把持部がこのように移動すると、エレクタ
ー装置に対するセグメントの供給が容易になる。エレク
ター装置の真下の位置にセグメントが供給されない場合
でも、エレクター装置が把持部をトンネルの前方または
後方に移動してそのセグメントを取りに行くことが容易
になるからである。
【0020】請求項3のエレクター装置は、上記のロー
プを、上記関節部をはさむ二つのアーム部材のうちに関
節部付近でロープごとに形成されたガイド穴に通してい
ることを特徴とする。
【0021】上記の各ロープは、各アーム部材に設けた
大きな一つの穴の中にまとめて通されていてもよいが、
この請求項3のように、アーム部材中にロープごとに形
成した比較的細い穴に個別に通すのが好ましい。請求項
2のようにアーム部材間の角度変位が一平面内には限ら
れないエレクター装置においては、把持部が有するセグ
メントの重量等に起因して関節部においてアーム部材間
が大きくねじれる可能性があるが、請求項3のようにす
ればそのようなねじれを小さくできるからである。つま
り、上記のように個別にロープを通しておくと、強い張
力を付与したとき、ロープは、一方のアーム部材におけ
る当該ロープのガイド穴と他方のアーム部材における同
じロープのガイド穴とを近づける力を発揮するからであ
る。ガイド穴同士を近づけるような力は、アーム部材間
のねじれを小さくする力でもあるため、このエレクター
装置では、関節部をはさむアーム部材間のねじれが小さ
く抑制されることになる。したがって、ねじれを抑える
目的でアーム部材に対し斜めに油圧シリンダを配置する
こと等が不要になる。
【0022】請求項4のエレクター装置は、断面形状が
単円でないトンネルを掘削するためのシールド掘機に搭
載したことを特徴とする。
【0023】図6を用いて先に説明したように、従来の
関節型エレクター装置によってセグメント壁を構築する
場合、横断面形状によっては装置内に複数基のアーム機
構が不可欠になり、装置の構成が複雑になることがあ
る。しかしながら請求項1〜3に記載したエレクター装
置によれば、アーム機構が1基などという簡単な構成で
ありながら、複雑な横断面形状を有するトンネルの内面
にもセグメント壁を構築しやすい。1基のアーム機構の
先端にある一つの把持部が、前述のとおり極めて広い部
位へ移動し得るからである。請求項4に記載したシール
ド掘進機は、単円でない複雑な横断面形状を有するトン
ネルを専ら掘削するものであるから、それに搭載された
上記のエレクター装置は、上述した独自の有用性をつね
に効果的に発揮してトンネルの形成を円滑化することが
できる。
【0024】なお、横断面形状が単円でないトンネルを
掘削するためのシールド掘進機は、近年、その開発が盛
んになりつつある。そのようなシールド掘進機によっ
て、地下鉄の複線部分や駅の部分などを効率的に形成す
ることができるからである。かかるシールド掘進機にお
いて有用性を発揮するこのエレクター装置は、したがっ
て、今後のトンネル掘削工事において極めて重要な役割
を果たすといえる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1〜図3に、発明の実施につい
ての一形態を示す。図1は、シールド掘進機1の後部を
後方から見た図であり、図2は、その図1におけるII−
II矢視図である。また図3は、図1におけるIII部の詳細
図であって、エレクター装置10における二つのアーム
部材15・17間の接続部付近を断面にて示すものであ
る。
【0026】図1に示すように、シールド掘進機1は、
大円と小円との二つの円形部分が一部を重ねた状態に連
なった、いわゆる二連円の横断面形状を有するトンネル
を掘削するものである。シールド掘進機1の外筒には大
円の外筒部分2Aと小円の外筒部分2Bとが含まれ、そ
れぞれの部分の内側にシールドジャッキ3が複数配置さ
れている。各シールドジャッキ3を後ろ向きに伸ばし、
図2のように後方に構築されたセグメント壁S1・S2
(壁S1は大円の部分に、壁S2は小円の部分に構築さ
れている)の端面を押すことによって前方への推進力が
もたらされる。シールド掘進機1は前面にカッター(図
示せず)を備えているため、上記のように推進力を得な
がらそのカッターを駆動することにより、図1の外形と
同じ横断面形状のトンネルを掘削する。
【0027】トンネルの内面にセグメント壁S1・S2
を構築する目的で、シールド掘進機1の後部にはエレク
ター装置10を配備している。エレクター装置10は、
後述する1基のアーム機構12を中心に構成した多関節
型のもので、その先端の把持部19によって未施工のセ
グメント片Sを把持し、トンネル内の各部位にまで運
ぶ。そうして適所に運ばれたセグメント片Sを、施工ず
みのセグメント壁S1・S2に対し自動機械または作業
員が締結することにより、セグメント壁S1・S2の構
築を進めるのである。
【0028】セグメント片Sをもつ把持部19を、トン
ネル内のあらゆる部位へ自在に移動し得るよう、このエ
レクター装置10はつぎのとおり構成している。
【0029】図1のように、まずシールド掘進機1の後
部に、自在に回転させ得るように旋回ドラム11を組み
込み、その外側に基部フレーム13を取り付ける。基部
フレーム13の一端には関節部14を介して第一アーム
15の基端を接続し、その第一アーム15の先端にはさ
らに関節部16を介して第二アーム17を接続する。そ
して、第二アーム17の先端に、やはり関節部18を介
して前記の把持部19を接続する。つまり、把持部19
を含む三つのアーム部材15・17・19(第一アーム
15・第二アーム17・把持部19を「アーム部材」と
総称する)を、旋回ドラム11上の基部13の先に三つ
の関節部14・16・18を介して接続したのである。
基部フレーム13上にアーム部材15・17・19をこ
うして接続したものをアーム機構12と呼ぶが、そのア
ーム機構12が、トンネル内面に沿って旋回ドラム11
とともに回転し、かつ上記の各関節部14・16・18
において適宜屈曲することにより、先端の把持部19が
トンネル内の任意の部位にまで移動することができる。
なお、把持部19は、セグメント片S上のブラケット
(図示せず)にピン(同)を介して結合させられ、か
つ、セグメント片Sの内面に揺れ止め部材(同)を押し
当てることにより、セグメント片Sを一個ずつ把持する
ように構成している。
【0030】各関節部14・16・18と、その部分に
おいてアーム機構12を屈曲させる駆動手段として、屈
曲方向が三次元的で正逆両向きにも角度変位が可能なも
のを採用している。すなわち図3(a)のように、まず関
節部16としては、アーム部材17の基端に一体化した
球面16bにアーム部材15の先端の凹部球面16aを
接合した、いわゆる球面継手を使用する。そして屈曲の
ための駆動手段としては、関節部16の外側を通して4
本の高張力ワイヤロープ20(20A〜20D)をアー
ム部材15・17間に張り渡し、各ロープ20を、アー
ム部材15の内部に配置した油圧シリンダ21に接続す
る。シリンダ21のそれぞれには油圧装置(図示せず)
から個別に油圧作動油を供給することとし、シリンダ2
1ごとに力と伸縮量との制御ができるようにした。つま
り、シリンダ21と油圧装置等とを各ロープ20の張力
および長さの変更手段としたのである。そして各シリン
ダ21の基端側(図3(a)の上部)は、球面ブシュ22
aつきのピン22を介してアーム部材15の内部に連結
し、各シリンダ21の先端側はジョイント21aによっ
てロープ20と接続し、各ロープ20のもう一方の先
は、アーム部材17に通したうえ先端金具23によって
アーム部材17に係止している。
【0031】関節部16とその駆動手段とを以上のよう
に構成したことにより、アーム部材15に対するアーム
部材17の屈曲向きは全方向に自在に定めることができ
る。たとえば、図3(b)において左方にあるロープ20
A・20Dの長さのみを、それらに接続された油圧シリ
ンダ21を縮めることによって短くすれば、図3(a)に
実線で示した(または図1に示した)向きにアーム部材
15・17間を屈曲させることができる。逆に、図3
(b)の右方に示したロープ20B・20Cのみを短くす
れば、図3(a)の右方の仮想線のように、上記とは正反
対の向きにアーム部材15・17間を屈曲させることが
可能である。関節部16(および他の関節部14・1
8)がこのように正逆両方に屈曲し得ることから、図1
に示すエレクター装置10は、旋回ドラム11上にアー
ム機構12を1基のみ備えるものでありながら、外筒部
分2Bが形成する小円の部分を含めてトンネル内のあら
ゆる部位にセグメント片Sを運ぶことができる。その
際、種々の配線・配管等が配置されている中央部分の空
間xを避けてアーム機構12が移動することはもちろん
である。なお、アーム機構12は、トンネルの長手方向
と直角に広がる平面内におさまっていてその平面内で荷
重を受けるのが通常であるため、アーム部材15・17
・19間の各4本のロープ20は、トンネルの内側と外
側とに2本ずつ平行に伸びるように(つまり、図3のよ
うに、アーム機構12の通常の屈曲方向と直角な面内に
2本のロープ20が存在するように)張り渡している。
そうすれば、通常時にアーム部材17にかかる荷重を各
2本のロープ20に分けて均等に支えることができ、強
度的に有利だからからである。
【0032】図3におけるすべてのロープ20の長さを
等しくすれば、アーム部材15・17間はいずれの向き
にも屈曲させないで、図3(a)の中央の仮想線のように
真っすぐにすることができる。ただし、アーム部材15
における凹部球面16aは浅く、その半径分の深さしか
ないため、相手方の球面16bとからなるその関節部1
6が外れないようにするためには、各シリンダ21によ
ってすべてのロープ20に適度な張力(後述)をかけて
おく必要がある。凹部球面16aを浅くしたのは、関節
部16の構成を簡単にするとともに、アーム部材15・
17間の角度変化の範囲を広く確保するためである。
【0033】関節部16の外側を通した4本のロープ2
0は、図3のとおり、アーム部材15・17の端部付近
にそれぞれ形成した各4つのガイド穴25・26のうち
に1本ずつ通している。関節部16として図示のように
球面継手を使用した場合、荷重(図1等に示すセグメン
ト片Sなど)の重心の偏り方によってはその球面を中心
にしてアーム部材15・17間がねじれる可能性があ
る。ところが、このように各ロープ20を1本ずつガイ
ド穴25・26に通しておけば、各ロープ20に強い張
力を付与したとき、ガイド穴同士を近づけるそのロープ
20の力によってアーム部材15・17間のねじれを小
さくできるのである。
【0034】関節部16やロープ20等に関する以上の
ような構成と機能とは、図1に示す他の部分、すなわち
関節部14をはさむ基部フレーム13とアーム部材15
との間についても、また関節部18をはさむアーム部材
17・19間についても同様である。
【0035】各関節部14・16・18においてその両
側のアーム部材間を全方向に自在に屈曲させ得ることか
ら、このエレクター装置10は、図2の仮想線のよう
に、一平面におさまらない動きをなすことも可能であ
る。つまり、エレクター装置10のアーム機構12は、
通常は基部フレーム13を通ってトンネルの長手方向と
直角に広がる平面内で動作するが、図3(b)におけるロ
ープ20C・20Dの長さのみを短くするなどにより関
節部14・16の屈曲方向を適宜選択すれば、図2の仮
想線で示したようにアーム部材15の先端部以下をトン
ネルの後方(または前方)へ差し出すことも可能であ
る。こうしてアーム機構12の先の把持部19をトンネ
ルの軸長方向にも移動させ得ることから、このエレクタ
ー装置10に対しては、その真下の位置にセグメント片
Sが供給されることが不可欠でない。つまり、エレクタ
ー装置10へのセグメント片Sの供給が容易になり、当
該供給装置を低コストで構成できることになる。
【0036】このエレクター装置10においては、アー
ム機構12における関節部14・16・18の角度をつ
ぎのようにして制御している。まず構成面では、図3の
ように4本のロープ20に接続した油圧シリンダ21
に、油圧配管(図示せず)を介して前述の油圧装置(図
示せず)を接続しているほか、その伸縮長さを検知する
ストロークセンサー(図示せず)をそれぞれ付設してい
る。各ストロークセンサーは、油圧装置に併設した演算
手段(図示せず)に接続しており、各シリンダ21の伸
縮長さについての同センサーの信号をもとに、その演算
手段に関節部16の屈曲向きと角度とを演算させる。演
算結果が希望どおりの向きおよび角度であるかを知るた
めの比較手段(図示せず)、さらにはその比較結果に応
じて供給油圧を調節する調節手段(図示せず)も、上記
の油圧装置に併設している。以上の点は、図3に示す関
節部16のみでなく、関節部14・18についても同様
である。
【0037】アーム機構12を停止させた通常の状態で
は、各油圧シリンダ21(のロッド側油圧室)に適度の
油圧力をかけることによって、すべてのロープ20に適
度な張力を付与する。このとき、浅い凹部球面16aを
有する関節部16が外れないようにするため、全ロープ
20の張力の合計はアーム部材17の重さやそれより下
方のアーム部材19およびセグメント片S等の合計重量
を超えるものである必要がある。図1のように関節部1
4・16・18を曲げた好ましい状態を保つためには、
上記のようなストロークセンサーと演算手段・比較手段
・調節手段を介して油圧装置が各シリンダ21に油圧を
供給し、ロープ20のそれぞれに適切な張力を付与して
いることになる。他の関節部14および18についても
同様である。
【0038】アーム機構12において関節部14・16
・18のいずれかをどちらかの方向へ屈曲させる際に
は、屈曲するとき内側になる側の油圧シリンダ21(の
ロッド側油圧室)の圧力が(したがってその側のロープ
20の張力が)他の側のシリンダ21の圧力に比べて高
くなるように油圧装置から油圧を供給する。そして油圧
装置は、ストロークセンサーと演算手段・比較手段・調
節手段の作用により、各関節部14・16・18が所望
の屈曲向き・角度になったと判断されたときその油圧の
供給を停止する。アーム機構12に前述のような一平面
におさまらない動きをさせる場合(図2)にも、また関
節部16等を中心にしてアーム部材15・17などの間
が多少ねじれる場合にも、油圧装置は、こうし監屈曲の
向きと角度とを検知し調節等しながら各シリンダ21へ
の供給油圧をコントロールする。
【0039】図4は、図1のアーム機構12のうちに採
用できる他の形式の関節部31を示す断面図である。図
示の例では、アーム部材15・17をつなぐ関節部31
に、いわゆる自在継手(ユニバーサルジョイント)を使
用している。すなわち、図4(b)のように、二組の円筒
軸(円筒面をもつ軸)32a・32bを十字形に交差さ
せた継手部材32を介して、アーム部材15とアーム部
材17とを連結している。具体的には、一直線上にある
一組の円筒軸32aを、アーム部材15の先端に形成し
た円筒穴に回転自在に係合させ、他の一組の円筒軸32
bは、アーム部材17の先端の円筒穴に回転自在に係合
させる。これら二組の円筒軸32a・32bがそれぞれ
自在に回転することにより、アーム部材15・17間は
三次元空間内のあらゆる方向に屈曲することができる。
したがって、図1に示すエレクター装置10は、アーム
機構12のうちにこのような関節部31を含む場合に
も、その1基のみのアーム機構12によってトンネル内
のあらゆる部位にセグメント片Sを運ぶことができる。
アーム機構12の先の把持部19を、トンネルの軸長方
向に沿った前後の向きに移動することももちろん可能で
ある。
【0040】図4のこの例は、油圧シリンダ21等にそ
れぞれ接続した4本のロープ20によってアーム部材1
5・17間をつないでいる点、また、そのロープ20の
それぞれを、当該アーム部材15・17の端部付近でロ
ープ20ごとに形成されたガイド穴25・26に通して
いる点で、図3の場合と共通である(共通部分には同じ
符号を付している)。図示を省略したが、関節部31の
屈曲角度等を制御するために、シリンダ21や油圧装置
にストロークセンサーや演算手段・比較手段・調節手段
を付設している点も同じである。しかし、図3の場合と
違ってこの図4の例では、4本のシリンダ21のうち2
本をアーム部材15の内部に配置し、他の2本をアーム
部材17の内部に配置している。その方がアーム部材1
5・17間の重量バランスをとりやすいからである(図
3の例においてもこのようにシリンダ21を配置するこ
とは可能である)。またこの図4の例では、継手部材3
2の二組の円筒軸32a・32bの各全周を、アーム部
材15・17の各円筒穴の内側に嵌めることにより、両
者を外れ難いように結合させている。継手部材32にお
ける円筒軸32a・32bの径は、図3の例における球
面16b等の径よりもかなり小さいため、このように接
続してもアーム部材15・17間の角度変化の範囲を広
く確保できるからである。かかる接続形式を有すること
から、この例では、ロープ20の張力をゼロにしても関
節部31が外れないというメリットがある。
【0041】つづく図5は、さらに他の形式の関節部3
4を示す断面図である。アーム部材15・17をつなぐ
図示の関節部34はいわゆるピンジョイントであって、
図5(b)のように、1本の直線状の円筒軸35にアーム
部材15・17の各端部を係合させている。この円筒軸
35を中心に揺動回転することにより、アーム部材15
・17は、二次元内において正・逆いずれの方向にも屈
曲することが可能である。この例でも、油圧シリンダ2
1等に接続したロープ20(ただしロープ20は2本で
ある)によってアーム部材15・17間をつないでいる
点、また、そのロープ20のそれぞれを、当該アーム部
材15・17の各端部付近でロープ20ごとに形成され
たガイド穴25・26に通している点など、図3と共通
の構成をとっている(共通部分には同じ符号を付してい
る)。シリンダ21や油圧装置の制御手段についても図
3と同様である。したがって、図1に示すエレクター装
置10は、図5の関節部34ばかりを含むただ1基のア
ーム機構12からなる場合にも、いわゆる逆関節状の変
位をともなう動き(ただし一平面内の動きに限られる)
をなすことができ、トンネル横断面内のあらゆる部位に
セグメント片Sを運ぶことが可能である。なお、図5の
例では、円筒軸35を介したアーム部材15・17間の
接続形式として、図4の場合と同様、容易には外れ難い
ものを採用している。
【0042】
【発明の効果】請求項1に記載したエレクター装置で
は、一以上の関節部においてアーム部材間が正・逆の両
方に屈曲し得るため、トンネル内の広い範囲内にセグメ
ント把持部を自在に移動させることが可能である。した
がって、このエレクター装置は、アーム機構を1基のみ
有する簡単なものに構成されたとしても、横断面形状が
単円でないトンネルに対するセグメント壁の構築を可能
にする。
【0043】請求項2に記載のエレクター装置では、関
節部を介して三次元内のあらゆる方向にアーム部材間が
角度変位することができるので、把持部が、トンネルの
長手方向にも自在に移動することができる。そのため、
このエレクター装置に対してはセグメントの供給が容易
である。
【0044】請求項3のエレクター装置は、請求項2の
エレクター装置において生じやすいアーム部材間のねじ
れを、小さく抑制することができる。
【0045】請求項4のエレクター装置は、簡単な構成
の装置ででも横断面形状の複雑なトンネルの内面に円滑
にセグメント壁を構築させるという独自の有用性をつね
に効果的に発揮して、トンネルの形成を円滑化すること
ができる。横断面形状が単円でないトンネルは地下鉄路
線等の形成を効率化するものであるから、このエレクタ
ー装置の役割は今後ますます増大するといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施について一形態を示す図であり、エ
レクター装置10(断面にて示す)を含めてシールド掘
進機1の後部を後方から見た図である。
【図2】図1におけるII−II矢視図であり、シールド掘
進機1の後部についての縦断面図である。
【図3】図3(a)は、図1におけるIII部の詳細図であ
って、エレクター装置10における二つのアーム部材1
5・17間の接続部分付近を断面にて示すものである。
また図3(b)は、図3(a)におけるb−b断面図であ
る。
【図4】図4(a)は、図1のエレクター装置10に採用
できる、図3以外の形式の関節部31についての断面図
である。また図4(b)は、図4(a)におけるb−b断面
図である。
【図5】図5(a)は、さらに他の形式の関節部34を示
す断面図である。また図5(b)は、図5(a)におけるb
−b断面図である。
【図6】従来のエレクター装置60を含めてシールド掘
進機51の後部を後方から見た図である。
【符号の説明】
1 シールド掘進機 10 エレクター装置 12 アーム機構 15 アーム部材(第一アーム) 17 アーム部材(第二アーム) 19 アーム部材(把持部) 14・16・18 関節部 20(20A・20B・20C・20D) ロープ 25・26 ガイド穴 S セグメント片

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネル内面にセグメント壁を構築する
    ためセグメント片を把持し移動するエレクター装置であ
    って、 セグメント片を把持する把持部を含む複数のアーム部材
    が、関節部を介して角度変位し得るように連結され、 ある関節部をはさむ二つのアーム部材間が、当該関節部
    の外側を通って各アーム部材の長手方向に張り渡された
    複数のロープによって接続されており、長さおよび張力
    の変更手段が各ロープに設けられていることを特徴とす
    るエレクター装置。
  2. 【請求項2】 上記の関節部が、球面または中心軸の交
    差する二組の円筒面に沿って二つのアーム部材間を角度
    変位させるものであることを特徴とする請求項1に記載
    のエレクター装置。
  3. 【請求項3】 上記のロープが、上記関節部をはさむ二
    つのアーム部材のうちに関節部付近でロープごとに形成
    されたガイド穴に通されていることを特徴とする請求項
    2に記載のエレクター装置。
  4. 【請求項4】 断面形状が単円でないトンネルを掘削す
    るためのシールド掘進機に搭載されていることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載のエレクター装置。
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