JP3026427U - ベーンポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポンプ室とシリンダ間の間隙による圧力流体
の吸込口側への還流発生をなくし、確実なポンプ作用が
得られるようにする。 【解決手段】 ケーシング２のポンプ室１内に、回動自
在となるシリンダ６と、該シリンダ６と偏心状態で一体
に回転するベーン９とを設け、ベーン９とシリンダ６の
回転で吸込口３から吸引した流体を吐出口４に圧送する
ベーンポンプにおいて、ポンプ室１の内径面で吸込口３
と吐出口４の間の二箇所の位置に、シリンダ６の外径面
に摺接するガスケット２１を設けたので、ポンプ室１と
シリンダ６の間に設けた間隙を吸込口３と吐出口４の間
で遮断でき、吐出口３側への還流の発生を防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、ベーンポンプ、更に詳しくは、ケーシングに設けた吸込口と吐出 口の間を遮蔽するシール構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図２は従来のベーンポンプを示し、内部が円形のポンプ室１となるポンプケー シング２に吸込口３と吐出口４を略直角の位置関係に設け、上記ケーシング２に ポンプ室１の偏心位置を貫通する回転軸５が設けられている。

【０００３】 前記ケーシング２のポンプ室１内に回動自在となるよう収納したシリンダ６は 、ポンプ室１の内径面に若干の間隙をもって納まる外径を有し、内周孔が外径と 同心円となる環状に形成され、その周壁には内外に貫通する複数の通口７が、放 射状の配置で設けられ、更に内周側で各通口７間の位置に、凹溝８が放射状の配 置で設けられている。

【０００４】 上記シリンダ６内を貫通する回転軸５には、ベーン９が一体に回転するよう外 嵌固定されている。このベーン９は、回転軸５に外嵌固定する円形ボス部１０の 外周に、凹溝８と等しい数だけが放射状の配置となるよう突設されている。

【０００５】 上記ベーン９は、硬質で少し可撓性のある合成樹脂やゴム等を用いケーシング ２のポンプ室１における両側面に摺接する幅を有し、先端部が球状部９ａを有し ている。

【０００６】 上記各ベーン９は、対応する凹溝８内に嵌り合い、前記回転軸５は、互に近接 する吸込口３と吐出口４の間の略中間部に向けて偏心しているので、偏心側に位 置するベーン９は凹溝８内に深く嵌入し、偏心方向と反対側では凹溝８に対して ベーン９は浅く嵌入し、回転軸５をモータ等で回転させると、ベーン９と凹溝８ の嵌合部分の回転方向への係合により、回転軸５とベーン９及びシリンダ６は同 方向へ一体に回転することになる。

【０００７】 また、シリンダ６に対しベーン９は偏心しているので、シリンダ６の内周とボ ス１０の外周の間に隣接するベーン９で仕切られた室１１は、偏心側で狭く、反 端側で広い容積可変となり、この室１１は回転により、通孔７を介して吸込口３ と連通している間は容積が拡大し、流体を吸引すると共に、吐出口４と連通して いる間は容積が減少し、流体を押し出すことになり、この繰り返しで吸込口３か ら吸引した流体を吐出口４に向けて圧送することになる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記のような構造のベーンポンプは、シリンダ６を回転させるため 、シリンダ６の外径面とポンプ室１の内径面には若干の間隙を設ける必要があり 、このため、回転軸５の偏心方向に位置する間隙ａと、これと反対側の間隙ｂの 部分で、圧力流体が吸込口３側に還流し、このため、ポンプ作用が著しく低下す るという問題がある。

【０００９】 そこで、この考案の課題は、上記のような問題点を解決するため、シリンダと ポンプ室間に生じる間隙を吸込口と吐出口の間において遮蔽し、効率のよいポン プ作用を生じさせることのできるベーンポンプを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記のような課題を解決するため、請求項１の考案は、吸込口と吐出口を有す るケーシングの内部にシリンダを回動自在に組込み、このシリンダ内の偏心位置 に設けたベーンと該シリンダを回転させることにより吸込口から吐出口に流体を 圧送するようにしたベーンポンプにおいて、ケーシングの内径面でシリンダの回 動方向に沿って、吸込口と吐出口の間及び吐出口から吸込口の間の位置に、シリ ンダの外径面に摺接する複数の棒状ガスケットを各々設置した構成を採用したも のである。

【００１１】 請求項２の考案は、請求項１の考案において、シリンダは環状で周壁に複数の 通口が内方に貫通するよう設けられ、ベーンはシリンダの偏心位置を貫通する回 転軸に固定されたボス部から外方へ複数が放射状に突出し、シリンダの内周側で 各通孔の間に設けた凹溝内に嵌り込んでいる構成を採用したものである。

【００１２】

【考案の実施の形態】

以下、この考案の実施の形態を図１に基づいて説明する。なお、ベーンポンプ の基本的な構造は、図２に基づいて従来の技術の項で説明したものと同じである ので、同一部分に同一符号を付すことによって説明に代える。

【００１３】 図１に示すこの考案のベーンポンプにおいて、ケーシング２のポンプ室１の内 径面で、シリンダ６の回転方向に沿って、吸込口３と吐出口４の中間位置及び吐 出口４と吸込口３の中間位置とに、シリンダ６の外径面に摺接する二本の棒状ガ スケット２１を各々設置した構造になっている。

【００１４】 即ち、ケーシング２のポンプ室１の内径面に設けるガスケット２１は、回転軸 ５の偏心方向である吐出口３と吸込口３の間及び、この偏心方向と回転軸５の軸 心を挟んだ反対側の位置とに設けられ、隣接する二本のガスケット２１と２１の 間隔は、通口７の回転方向の開口幅よりも広く設定されている。

【００１５】 上記ガスケット２１は、合成ゴム又は合成樹脂を用い、断面円形又は角形の棒 状に形成され、ポンプ室１の内径面軸方向に沿って設けた凹溝２２内に組込むこ とによってシリンダ６の外径面に圧接し、シリンダ６とポンプ室１の間に設けた 間隙を途中で遮断している。

【００１６】 なお、ガスケット２１の設置本数は、二本以上の複数本を設けるようにしても よい。

【００１７】 この考案のベーンポンプは上記のような構成であり、ベーン９とシリンダ６の 回転時において、シリンダ６とケーシング２におけるポンプ室１の間に設けた間 隙は、回転軸５の偏心方向に沿う二箇所の位置において、それぞれガスケット２ １で遮断されているため、吐出口４に向けて圧送した圧力流体が吸込口３側に還 流することがなく、従ってベーン９とシリンダ６の回転でポンプ作用が確実に発 生し、効率のよい流体の圧送が可能になる。

【００１８】

【考案の効果】

以上のようにこの考案によると、ポンプ室の内径面に、シリンダの外径面に摺 接するガスケットを設け、ポンプ室とシリンダの間に付与した間隙を、吸込口と 吐出口の間で遮断したので、吐出口側の圧力流体が吸込口側に還流するのを防止 でき、これによってポンプ作用を確実に生じさせることができるという効果があ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のベーンポンプを示す縦断面図

【図２】従来のベーンポンプを示す縦断面図

【符号の説明】

１ ポンプ室 ２ ケーシング ３ 吸込口 ４ 吐出口 ５ 回転軸 ６ シリンダ ７ 通口 ８ 凹溝 ９ ベーン １０ 円形ボス部 １１ 室 ２１ ガスケット ２２ 凹溝

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸込口と吐出口を有するケーシングの内
   部にシリンダを回動自在に組込み、このシリンダ内の偏
   心位置に設けたベーンと該シリンダを回転させることに
   より吸込口から吐出口に流体を圧送するようにしたベー
   ンポンプにおいて、ケーシングの内径面でシリンダの回
   動方向に沿って、吸込口と吐出口の間及び吐出口から吸
   込口の間の位置に、シリンダの外径面に摺接する複数の
   棒状ガスケットを各々設置したことを特徴とするベーン
   ポンプ。
2. 【請求項２】 シリンダは環状で周壁に複数の通口が内
   方に貫通するよう設けられ、ベーンはシリンダの偏心位
   置を貫通する回転軸に固定されたボス部から外方へ複数
   が放射状に突出し、シリンダの内周側で各通孔の間に設
   けた凹溝内に嵌り込んでいる請求項１記載のベーンポン
   プ。