JP3025044U - おねじ部材およびその加工工具 - Google Patents

おねじ部材およびその加工工具

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JP3025044U JP1995012307U JP1230795U JP3025044U JP 3025044 U JP3025044 U JP 3025044U JP 1995012307 U JP1995012307 U JP 1995012307U JP 1230795 U JP1230795 U JP 1230795U JP 3025044 U JP3025044 U JP 3025044U
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 山頂切取りの高さがP/6よりも小さいおね
じを高品質で且つ安価に製造できるようにする。 【解決手段】 ねじ山10の形が略正三角形の三角ねじ
で、山頂切取りの高さがとがり山の高さHの略1/8
で、ねじ山10の山頂12には、曲率中心Oがねじ山1
0の中心線L上に位置し且つ半径RがH/8〜{(H/
8)+(おねじの外径の公差−おねじの有効径の公差)
/2}の範囲内で両側フランク14,16に滑らかに接
続する丸みが付けられている。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案はおねじ部材およびその加工工具に係り、特に、おねじのねじ山形状に 関するものである。
【0002】
【従来の技術】
おねじのねじ山形状は、JIS B 0215の「メートルねじ公差方式」や JIS B 0205の「メートル並目ねじ」、JIS B 0209の「メー トル並目ねじの許容限界寸法及び公差」等に記載されている通り、所定の山頂切 取りの高さで先端部が切り取られた形状を成しており、山頂は平坦にされている のが普通である。山頂の切取り高さは、とがり山の高さHの1/8程度である。 また、JIS B 0209では、付表2,4,6の備考1において「おねじの 山頂のかどには、原則として丸みを付けないが、製作の都合上0.1P(P:ね じのピッチ)を超えない範囲内で丸みがついても差し支えない。」と記載されて いる。
【0003】 図4は、ねじ山の形(厳密にはとがり三角形の形)が正三角形の三角ねじで、 山頂切取りの高さがH/8の場合の山頂100付近の断面形状を示す図であり、 破線は山頂100の両側フランク102,104に接する稜線106,108に 半径R≦0.1Pの丸みが付けられている場合である。点Qは、ねじ山の中心線 L上、言い換えれば頂角の二等分線上であって、山頂100から更に山頂切取り の高さH/8だけ下がった位置であり、この点Qを中心とする半径H/8の円は 山頂100およびフランク102,104にそれぞれ滑らかに接するが、H/8 =(31/2 /2)×P/8≒0.1082532Pで0.1Pよりも大きいため 、半径Rを0.1P以下とするJISの規格を満足させるためには山頂100の 中央部分に必ず平坦面が残ることになる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、このようにねじ山の山頂に平坦面が残るように両側部の丸みの 曲率半径を小さくしようとすると、特に小さなねじの場合には加工が困難で十分 な加工品質が得られないばかりでなく、おねじのねじ山と略反対の凹凸形状を成 しているとともに凹部にねじ山の山頂の丸みに対応する丸みが設けられる総形の ねじ加工部を有する加工工具、例えばねじ転造ダイスなどは、その凹部の曲率半 径が小さいと応力集中が生じて破断し易くなり、十分な寿命が得られないととも に工具コスト更にはおねじの製造コストが高くなるという問題があった。特に金 属素材を流動させておねじを成形するねじ転造ダイスの場合は、高い加工精度が 得られ難いとともに切削加工に比較して大きな加工抵抗が作用するため、上記問 題が一層顕著となる。
【0005】 なお、JIS B 0225の「自転車ねじ」の場合には、山頂切取りの高さ P/6と同じ寸法の曲率半径rで両側フランクに滑らかに接続する丸みがねじ山 の山頂に設けられているが、この自転車ねじはメールねじやユニファイねじと違 って山頂切取りの高さが大きく、元々の基本形状が相違する。
【0006】 本考案は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、 メートルねじやユニファイねじ等の山頂切取りの高さがP/6よりも小さいおね じを高品質で且つ安価に製造できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1考案は、山頂切取りの高さがねじのピッチ Pの1/6よりも小さいおねじを有するおねじ部材であって、ねじ山の山頂の少 なくとも両側フランクに接する稜線部分には0.1Pよりも大きな半径Rで丸み が付けられていることを特徴とする。
【0008】 第2考案は、山頂切取りの高さがねじのピッチPの1/6よりも小さいおねじ を有するおねじ部材であって、ねじ山の山頂には、両側フランクに滑らかに接続 するように曲率中心がねじ山の中心線上に位置する円弧形状の丸みが付けられて いることを特徴とする。
【0009】 第3考案は、第1考案または第2考案のおねじ部材において、ねじ山の形が正 三角形の三角ねじで、前記山頂切取りの高さは0.1Pよりも大きく、ねじ山の 山頂には、曲率中心がねじ山の中心線上に位置し且つ前記山頂切取りの高さと略 等しい寸法の半径Rで丸みが付けられていることを特徴とする。
【0010】 第4考案は、第1考案〜第3考案の何れかのおねじ部材において、ねじ山の形 が正三角形の三角ねじで、前記山頂切取りの高さはとがり山の高さHの1/8で 、ねじ山の山頂には、曲率中心がねじ山の中心線上に位置し且つ半径RがH/8 〜{(H/8)+(おねじの外径の公差−おねじの有効径の公差)/2}の範囲 内で両側フランクに滑らかに接続する丸みが付けられていることを特徴とする。
【0011】 第5考案は、第1考案〜第4考案の何れかのおねじ部材において、前記おねじ は、前記ねじ山と略反対の凹凸形状を成しているとともに凹部に前記山頂の丸み に対応する丸みが設けられた総形のねじ加工部を有する加工工具によって加工さ れたものであることを特徴とする。
【0012】 第6考案は、上記第5考案のおねじ部材において、前記加工工具はねじ転造ダ イスであることを特徴とする。
【0013】 第7考案は、第1考案〜第6考案の何れかのおねじ部材において、前記おねじ の有効径の公差グレードは、公差グレード3〜9の7種類で、それ等の値の単位 はμmであるとともに、公差グレード6の公差Td2(6)は次式(1) Td2(6)=90×P0.4 ×d0.1 ・・・(1) 〔但し、d:おねじの外径(mm) P:ピッチ(mm)〕 で表され、公差グレード3の公差Td2(3)=0.5×Td2(6)、公差グレー ド4の公差Td2(4)=0.63×Td2(6)、公差グレード5の公差Td2(5 )=0.8×Td2(6)、公差グレード7の公差Td2(7)=1.25×Td2( 6)、公差グレード8の公差Td2(8)=1.6×Td2(6)、公差グレード9 の公差Td2(9)=2×Td2(6)であることを特徴とする。
【0014】 第8考案は、第1考案〜第7考案の何れかのおねじ部材において、前記おねじ の外径の公差グレードは、公差グレード4,公差グレード6,公差グレード8の 3種類で、それ等の値の単位はμm、公差グレード6の公差Td (6)は次式(2 ) Td (6)=180×P2/3 −3.15/P1/2 ・・・(2) 〔但し、P:ピッチ(mm)〕 で表され、公差グレード4の公差Td (4)=0.63×Td (6)、公差グレ ード8の公差Td (8)=1.6×Td (6)であることを特徴とする。
【0015】 第9考案は、第1考案〜第6考案の何れかのおねじ部材において、前記おねじ の等級は、第7考案の7種類のおねじの有効径の公差グレードと、第8考案の3 種類のおねじの外径の公差グレードとの組合せで表されるものであることを特徴 とする。
【0016】 第10考案は、第1考案〜第9考案の何れかのおねじ部材において、前記ねじ 山の山頂の形状を除く総ての公差がJIS B 0215の「メートルねじ公差 方式」と同一であることを特徴とする。
【0017】 第11考案は、第1考案〜第10考案の何れかのおねじ部材のおねじを加工す るための加工工具であって、前記おねじのねじ山と略反対の凹凸形状を成してい るとともに凹部に前記山頂の丸みに対応する丸みが設けられた総形のねじ加工部 を有することを特徴とする。
【0018】 第12考案は、第11考案の加工工具が前記おねじを転造加工するねじ転造ダ イスであることを特徴とする。
【0019】
【考案の効果】
第1考案のおねじ部材によれば、ねじ山の山頂の丸みの半径Rが0.1Pより も大きいため加工が容易となり、ピッチPが小さなねじでも高い加工品質を確保 できる一方、そのおねじを第5考案のように総形のねじ加工部を有する加工工具 で加工する場合には、応力集中が緩和されて寿命が長くなり、工具コスト更には おねじの製造コストが低減される。特に、第6考案のように加工工具としてねじ 転造ダイスを用いる場合には、上記効果が顕著である。
【0020】 第2考案のおねじ部材によれば、ねじ山の山頂全体に丸みが付けられて両側フ ランクに滑らかに接続されるため、平坦部が無くなった分だけ丸みの半径Rを大 きくでき、第1考案と同様に高い加工品質が得られるようになるとともに、その おねじを加工する加工工具の寿命が長くなり、工具コスト更にはおねじの製造コ ストが低減される。特に、第6考案のように加工工具としてねじ転造ダイスを用 いる場合には、ねじ山の山頂全体に丸みが付けられて両側フランクに滑らかに接 続されることから、その丸みの半径Rが大きくなることと相まって転造時の金属 素材の塑性流動が円滑になり、転造加工が一層良好に行われるようになって寸法 精度や表面粗さ等の加工品質が更に向上するとともに工具寿命が一層長くなる。
【0021】 第3考案のおねじ部材は、ねじ山の形が正三角形の三角ねじで、山頂切取りの 高さは0.1Pよりも大きく、ねじ山の山頂には、曲率中心がねじ山の中心線上 に位置し且つ前記山頂切取りの高さと略等しい寸法の半径Rで丸みが付けられる ため、第2考案と同様にねじ山の山頂全体に両側フランクに滑らかに接続する丸 みが付けられることとなり、前記第1考案および第2考案と同様の効果が得られ る。
【0022】 第4考案のおねじ部材は、ねじ山の形が正三角形の三角ねじで、山頂切取りの 高さはとがり山の高さHの1/8、すなわち通常のメートルねじやユニファイね じなどで、おねじの外径および有効径の公差の範囲内で実際の誤差等に応じて両 側フランクに滑らかに接続する丸みが付けられるため、要求される公差グレード や実際の誤差に拘らず常に適切な丸みが施されるとともに、公差グレードに応じ た所定の品質が保証される。
【0023】 第5考案のおねじ部材は、総形のねじ加工部を有する加工工具によっておねじ が加工されるため、高能率生産が可能であるとともに、加工工具の寿命が長くな ることと相まっておねじ部材の製造コストが大幅に低減される。加工工具として ねじ転造ダイスが用いられる第6考案では、かかる効果が一層顕著となる。第1 1考案および第12考案の加工工具についても、これ等の第5考案,第6考案と 実質的に同じ効果が得られる。
【0024】 第7考案〜第10考案のおねじ部材は、山頂の形状はJISの規格から外れて いるものの、公差や等級などはJIS B 0215の「メートルねじ公差方式 」と同様に定められるため、JIS製品と同様に取り扱うことができるとともに 高い信頼性が得られる。
【0025】
【考案の実施の形態】
第1考案は、ねじ山の山頂の少なくとも両側フランクに接する稜線部分に、0 .1Pよりも大きな半径Rで丸みが付けられておれば良く、山頂の中央部分に僅 かに平坦部が存在しても良いし、その平坦部やフランクと接する接続部分におけ る丸みの接線が必ずしも平坦部やフランクと一致しなくて角(かど)が存在する 場合でも良いが、第3考案のように山頂全体に丸みを付けるとともにフランクに 滑らかに接続する、すなわち接続部分における丸みの接線がフランクと略一致す るようにすることが望ましい。
【0026】 第2考案は、ねじ山の山頂に両側フランクに滑らかに接続するように曲率中心 がねじ山の中心線上に位置する円弧形状の丸みを付けた場合で、山頂切取りの高 さがH/8程度のメートルねじやユニファイねじの場合には、その丸みの半径は H/8程度で0.1Pよりも大きいが、山頂切取りの高さが小さい場合など、丸 みの半径Rが0.1Pより小さくても差し支えない。上記ねじ山の中心線は、ね じ山の頂角の二等分線を意味するもので、これは他の考案についても同じである 。
【0027】 第4考案は、おねじの外径および有効径の公差内の誤差に応じて両側フランク に滑らかに接続する丸みを有する場合で、その半径Rは、例えば総形のねじ加工 部の凹凸形状の凹部の丸みに対応し、その凹凸形状の誤差に応じて修整される凹 部の丸みや、加工に伴う摩耗等に起因する凹部の丸みの形状変化等に対応した値 となる。
【0028】 第5考案および第11考案の加工工具は総形のねじ加工部を有するもので、第 6考案や第12考案に記載のねじ転造ダイスを用いた場合に特に顕著な効果が得 られるが、ねじ切りダイスやチェーザ、ねじ切りバイト、ねじ切りフライスなど を用いることも勿論可能である。ねじ加工部は、少なくともねじの1ピッチ分の 長さを備えていれば良い。
【0029】 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 図1は、本考案の一実施例であるおねじ部材のおねじのねじ山10の断面形状 を示す図で、JIS B 0215の「メートルねじ公差方式」における公差位 置がhで基礎となる寸法許容差es=0の場合である。このおねじは、ねじ山1 0の形が正三角形の三角ねじで、山頂切取りの高さはとがり山の高さHの1/8 で、ねじ山10の山頂12には丸みが付けられている。実線は、外径dおよび有 効径d2 の公差(誤差)が共に0の場合で、丸みの曲率中心Oはねじ山10の中 心線L上すなわち頂角の二等分線上に位置し、且つ丸みの半径Rは山頂切取り高 さH/8と同じ寸法、すなわち(31/2 /2)×P/8≒0.1082532P であり、両側のフランク14,16に対する接続部分における丸みの接線はフラ ンク14,16と略一致し、それ等のフランク14,16に滑らかに接続してい る。
【0030】 一点鎖線は、外径dの公差がTd (≠0)、有効径d2 の公差がTd2(≠0) で、それぞれ公差限界の最大誤差が生じた場合であり、この場合の半径Rは次式 (3) で表され、実際のねじ山形状が実線と一点鎖線との間の斜線で示す範囲内で あれば公差を満足し、山頂12の半径Rや曲率中心Oは両側フランク14,16 に滑らかに接続するように実際の誤差等に応じて定められる。外径dや有効径d 2 、半径Rは、加工工具の寸法誤差や摩耗による形状変化、加工条件などによっ てそれぞれ異なり且つ変化するが、公差の範囲内であれば所定の品質が保証され る。なお、eid ,eid2は、それぞれ外径d、有効径d2 に対する下の寸法許 容差である。 R=(H/8)+(Td −Td2)/2 ・・・(3)
【0031】 図2は、公差位置がg,fまたはeで基礎となる寸法許容差es≠0の場合で あり、図1の場合と同じく実際のねじ山形状は実線と一点鎖線との間の斜線で示 す範囲内の形状となる。esd ,esd2は、それぞれ外径d、有効径d2 に対す る上の寸法許容差であり、破線で示すねじ山20は基準山形である。
【0032】 また、かかるおねじは、上記ねじ山10の山頂12の形状を除く総ての公差が JIS B 0215の「メートルねじ公差方式」と同一である。例えば、有効 径d2 の公差グレードは、公差グレード3〜9の7種類で、それ等の値の単位は μmであるとともに、公差グレード6の公差Td2(6)は前記(1) 式で表され、 公差グレード3の公差Td2(3)=0.5×Td2(6)、公差グレード4の公差 Td2(4)=0.63×Td2(6)、公差グレード5の公差Td2(5)=0.8 ×Td2(6)、公差グレード7の公差Td2(7)=1.25×Td2(6)、公差 グレード8の公差Td2(8)=1.6×Td2(6)、公差グレード9の公差Td2 (9)=2×Td2(6)である。また、外径dの公差グレードは、公差グレード 4,公差グレード6,公差グレード8の3種類で、それ等の値の単位はμm、公 差グレード6の公差Td (6)は前記(2) 式で表され、公差グレード4の公差T d (4)=0.63×Td (6)、公差グレード8の公差Td (8)=1.6× Td (6)である。また、等級は、上記有効径d2 に関する7種類の公差グレー ド3〜9と、外径dに関する3種類の公差グレード4,6,8との組合せで表さ れる。
【0033】 一方、このおねじは、ねじ転造ダイスによって転造加工される。ねじ転造ダイ スは、図3に示すように転造加工すべき前記おねじのねじ山10と略反対の凹凸 形状を成している総形のねじ加工部30を備えており、その凹部32には前記山 頂12の丸みに対応する丸みが設けられている。このねじ転造ダイスの幅寸法( 図3の左右方向の寸法)は、転造加工すべきおねじの軸方向長さよりも十分に長 い。
【0034】 このような本実施例のおねじにおいては、ねじ山10の山頂12の丸みの半径 RがH/8〜{(H/8)+(Td −Td2)/2}の範囲内で、半径Rが0.1 P以下に規制されていた従来のおねじに比較して大きく、加工が容易となり、ピ ッチPが小さなねじでも高い加工品質を確保できる一方、そのおねじを加工する ねじ転造ダイスの凹部32の曲率半径も上記半径Rに対応して大きくなるため、 その凹部32の応力集中が緩和されて寿命が長くなり、工具コスト更にはおねじ の製造コストが低減される。特に、本実施例ではねじ山10の山頂12全体に丸 みが付けられて両側フランク14,16に滑らかに接続されるため、半径Rが大 きくなったことと相まって転造時の金属素材の塑性流動が円滑になり、転造加工 が一層良好に行われるようになって寸法精度や表面粗さ等の加工品質が更に向上 するとともに工具寿命が一層長くなる。
【0035】 表面粗さ等の加工品質が向上することから、例えば建築工事用に用いられるボ ルト等においては、そのボルトのねじ山の山頂にコンクリートの付着がある場合 にそのボルトを再利用する際には、ねじ山の山頂のコンクリートの付着を除去す る必要があるが、その手間が大幅に軽減される。
【0036】 また、外径dおよび有効径d2 の公差Td ,Td2の範囲内で実際の誤差に応じ て両側フランク14,16に滑らかに接続する丸みが付けられるため、要求され る公差グレードや誤差に拘らず常に適切な丸みが施されるとともに、公差グレー ドに応じた所定の品質が保証される。また、ねじ山10の山頂12の形状はJI Sの規格から外れているものの、公差や等級などはJIS B 0215の「メ ートルねじ公差方式」と同様に定められるため、JIS製品と同様に取り扱うこ とができるとともに高い信頼性が得られる。
【0037】 一方、本実施例ではねじ転造ダイスを用いておねじを転造加工するため、高能 率生産が可能であるとともに、工具の寿命が長くなることと相まっておねじ部材 の製造コストが大幅に低減される。
【0038】 以上、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも 一具体例であり、例えばねじ山の形が正三角形の三角ねじでない場合や、山頂切 取りの高さがH/8でない場合にも本考案が適用され得るなど、本考案は当業者 の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例であるねじ部材におけるおね
じのねじ山の断面形状を説明する図で、公差位置がhの
場合である。
【図2】本考案の一実施例であるねじ部材におけるおね
じのねじ山の断面形状を説明する図で、公差位置がg,
fまたはeの場合である。
【図3】図1,図2に記載のおねじを転造加工するため
のねじ転造ダイスのねじ加工部を示す断面図である。
【図4】従来のおねじのねじ山の山頂付近の断面形状を
説明する図である。
【符号の説明】
10:ねじ山 12:山頂 14,16:フランク 30:ねじ加工部 32:凹部 R:半径 H:とがり山の高さ L:ねじ山の中心線 O:曲率中心

Claims (12)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 山頂切取りの高さがねじのピッチPの1
    /6よりも小さいおねじを有するおねじ部材であって、 ねじ山の山頂の少なくとも両側フランクに接する稜線部
    分には0.1Pよりも大きな半径Rで丸みが付けられて
    いることを特徴とするおねじ部材。
  2. 【請求項2】 山頂切取りの高さがねじのピッチPの1
    /6よりも小さいおねじを有するおねじ部材であって、 ねじ山の山頂には、両側フランクに滑らかに接続するよ
    うに曲率中心がねじ山の中心線上に位置する円弧形状の
    丸みが付けられていることを特徴とするおねじ部材。
  3. 【請求項3】 ねじ山の形が正三角形の三角ねじで、前
    記山頂切取りの高さは0.1Pよりも大きく、ねじ山の
    山頂には、曲率中心がねじ山の中心線上に位置し且つ前
    記山頂切取りの高さと略等しい寸法の半径Rで丸みが付
    けられていることを特徴とする請求項1または2に記載
    のおねじ部材。
  4. 【請求項4】 ねじ山の形が正三角形の三角ねじで、前
    記山頂切取りの高さはとがり山の高さHの1/8で、ね
    じ山の山頂には、曲率中心がねじ山の中心線上に位置し
    且つ半径RがH/8〜{(H/8)+(おねじの外径の
    公差−おねじの有効径の公差)/2}の範囲内で両側フ
    ランクに滑らかに接続する丸みが付けられていることを
    特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のおねじ部
    材。
  5. 【請求項5】 前記おねじは、前記ねじ山と略反対の凹
    凸形状を成しているとともに凹部に前記山頂の丸みに対
    応する丸みが設けられた総形のねじ加工部を有する加工
    工具によって加工されたものである請求項1〜4の何れ
    か1項に記載のおねじ部材。
  6. 【請求項6】 前記加工工具はねじ転造ダイスである請
    求項5に記載のおねじ部材。
  7. 【請求項7】 前記おねじの有効径の公差グレードは、
    公差グレード3〜9の7種類で、それ等の値の単位はμ
    mであるとともに、公差グレード6の公差Td2(6)は
    次式 Td2(6)=90×P0.4 ×d0.1 〔但し、d:おねじの外径(mm) P:ピッチ(m
    m)〕で表され、公差グレード3の公差Td2(3)=
    0.5×Td2(6)、公差グレード4の公差Td2(4)
    =0.63×Td2(6)、公差グレード5の公差T
    d2(5)=0.8×Td2(6)、公差グレード7の公差
    d2(7)=1.25×Td2(6)、公差グレード8の
    公差Td2(8)=1.6×Td2(6)、公差グレード9
    の公差Td2(9)=2×Td2(6)であることを特徴と
    する請求項1〜6の何れか1項に記載のおねじ部材。
  8. 【請求項8】 前記おねじの外径の公差グレードは、公
    差グレード4,公差グレード6,公差グレード8の3種
    類で、それ等の値の単位はμm、公差グレード6の公差
    d (6)は次式 Td (6)=180×P2/3 −3.15/P1/2 〔但し、P:ピッチ(mm)〕で表され、公差グレード
    4の公差Td (4)=0.63×Td (6)、公差グレ
    ード8の公差Td (8)=1.6×Td (6)であるこ
    とを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のおね
    じ部材。
  9. 【請求項9】 前記おねじの等級は、請求項7に記載の
    7種類のおねじの有効径の公差グレードと、請求項8に
    記載の3種類のおねじの外径の公差グレードとの組合せ
    で表されるものである請求項1〜6の何れか1項に記載
    のおねじ部材。
  10. 【請求項10】 前記ねじ山の山頂の形状を除く総ての
    公差がJIS B 0215の「メートルねじ公差方
    式」と同一であることを特徴とする請求項1〜9の何れ
    か1項に記載のおねじ部材。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れか1項に記載の
    おねじ部材のおねじを加工するための加工工具であっ
    て、 前記おねじのねじ山と略反対の凹凸形状を成していると
    ともに凹部に前記山頂の丸みに対応する丸みが設けられ
    た総形のねじ加工部を有することを特徴とする加工工
    具。
  12. 【請求項12】 前記加工工具は前記おねじを転造加工
    するねじ転造ダイスである請求項11に記載の加工工
    具。
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