JP3023963B2 - 水素同位体分離方法及びそのための熱拡散塔 - Google Patents
水素同位体分離方法及びそのための熱拡散塔Info
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Description
し、特に対向配置された温壁と冷壁を利用した同位体分
離(濃縮)の方法とそれを実施するための熱拡散塔に関
する。
している。運動エネルギEkはEk=(1/2)mv2と表わせ
る。ここで、mは分子の質量、vは分子の速さである。
トリチウム(T)を含む水素ガスの場合、水素分子H2の
質量m1は約2であるのに対し、トリチウムと水素からな
る分子HTの質量m2は約4(1+3)=4となる。このた
め、同一温度におけるH2分子とHT分子の持つ熱運動の平
均速度は大きく異なる。また、温度が変わると平均速度
も変化する。このため、温度勾配を形成すると、質量の
異なるガス分子の分布は異なるものとなる。この現象を
利用して同位体を分離(濃縮)することが可能である。
る。
張り、高温に加熱すると共に塔壁は水冷して常温付近の
温度に保つ。このようにして、半径方向に温度勾配を形
成してガス分子の熱拡散と対流を生じさせる。半径方向
の温度勾配下での熱拡散によって、軽い分子であるH2の
分布と比較して、重い分子であるHTは高温部で欠乏して
平均温度以下になり、低温部で集中して平均濃度以上に
なる。すなわち、塔中央はHTの濃度が低く、塔壁付近は
HTの濃度が高くなる。塔中央の高温ガスは上方へ、塔壁
付近の比較的低温のガスは下方へと対流を起こして移動
する。そこで、下方でガスを回収すると、HTの濃度が高
いガスが得られ、上方で回収したガスにはHTの濃度が低
い。
体分離の効率を向上させることが期待されている。
体分離方法を提供することである。
とのできる熱拡散塔を提供することである。
度が上昇するのを防止するために水冷を行って常温付近
に維持していた。
と共に、冷壁を液体窒素によって液体窒素温度に冷却す
る。
容器で囲み、反応容器の外側に液体窒素通路を形成し、
液体窒素源から液体窒素通路に液体窒素を供給する構成
とする。
ていた。
形成することにより、温度差が大きく、低温の温度が低
い温度勾配を形成することができる。分離係数の近似式
において、冷壁の温度は指数関数の分母に入り、温度差
は分子に入る。従って、冷壁の温度が低くなると、同じ
温度差であってもその効果は著しく増大する。
散塔は、鉛直方法に配置された細長い反応容器1を有す
る。たとえば、反応容器1は、直径が約1.5cmで長さが1
50cmの寸法を有する。反応容器1は、硬質ガラス、石英
ガラス、ステンレス、無酸素銅等の材料で作られた気密
管状容器である。反応容器1の中央軸に沿って、熱線が
配置されている。この熱線は、反応容器1の上壁および
下壁上に設けられた上部電極4および下部電極5に電気
的に接続されている。なお、熱線2の下端には重り6が
取り付けられ、熱線2が熱膨張をした時にも、熱線2を
張った状態に維持する。また、重り6の下には銅コイル
等のスプリング7が設けられており、熱線2が熱伸縮す
ることによる伸び縮みを吸収する。熱線2は、たとえば
タングステン、白金、ニクロム等の抵抗体で形成された
ワイヤであり、1000℃以上に加熱できるように設計され
ている。ワイヤはたとえば半径150μmの寸法である。
に、熱線2の全長の途中にスペーサ12が設けられ、反応
容器1の壁と熱線2との距離を均等に保つようにしてい
る。このスペーサ12は反応容器1内での気体の流れを妨
げないように、たとえば十字型等に設計される。
料、碍子等が設けられており、反応容器1が金属製であ
っても、熱線2から電気的に分離されている。寒剤ジャ
ケット3は反応容器1と同様の材料で形成されており、
反応容器1の外壁との間に寒剤を収容するジャケットを
形成する。寒剤としては、液体窒素を用いる。寒剤ジャ
ケット3の下端には寒剤入り口9が設けられており、寒
剤源8に接続されている。また,寒剤ジャケット3の上
端には寒剤出口10が設けられており、反応容器1の外壁
で熱せられた寒剤の排出口を形成する。また、必要に応
じて寒剤出口10を寒剤源8に寒剤循環路16で結び、寒剤
を循環再使用する。
トリチウムを含む水素等の処理ガスが、この処理ガス出
入口14を介して反応容器1内に供給回収される。
水素ガスの分離を行う場合を以下に説明する。
を流し、熱線2を1000℃以上の温度に加熱する。また、
液体窒素タンク8から液体窒素を圧送し、寒剤ジャケッ
ト3の内部を液体窒素で充填する。反応容器1内を排気
した後、トリチウムを含む水素ガスを反応容器1内に加
圧装置を介して所定圧力で供給する。反応容器1内に充
填されたトリチウムを含む水素ガスは、熱線と反応容器
1の外壁との間の温度勾配によって、半径方向に拡散分
離し、熱線2の周囲中央部にトリチウムの少ない水素ガ
ス、外壁の近傍にトリチウムの多い水素ガスが分離され
る。これらの分離されたガスは熱膨張に応じた比重によ
ってそれぞれ上下に移動するので、反応容器1上部には
トリチウムの少ない水素ガスが溜まり、反応容器1の下
部にはトリチウムの濃縮された水素ガスが溜まる。下部
に溜まったガスを回収することにより、トリチウムが濃
縮された水素ガスを回収することができる。回収したト
リチウム濃縮水素ガスを再び拡散分離することによっ
て、水素ガス中のトリチウム濃度を徐々に濃縮すること
ができる。
数(αβ)maxは、以下の式で表わされる。
とすると、 ΔT=Th−Tc δ=rh/rc、 rh:熱線2の半径 rc:反応容器1の半径 αT:熱拡散ファクタ (Z)=Z/rc:規格化した塔高さ である。
存している。ここで、Tcが常温であれば、Tcは約300゜K
であり、Tcを液体窒素温度(77゜K)とすると、Tcは常
温の約1/4となる。
した時のガス圧力に対する分離係数を示す。分離係数α
βとして最大約885の値が得られる。
係数を示す。冷壁温度Tcが288.15℃である他は同一条件
である。この時の分離係数は最大約63.4である。すなわ
ち、本実施例の場合、分離係数は1桁以上改善される。
反応容器1の外壁の温度を常温に保ったまま同等の効果
を上げようとすると、上述の簡単化した近似において
は、温度差ΔT=2430゜Kが必要となる。このような高
温を実現するには、熱線材料が極めて限定される他、電
源、安全対策等に種々の対策を必要とする。さらに、実
際上はこのような低温を使用しても簡単な近似から期待
される効果は得られない。それは、αTの値は低温域で
小さくなる、αβには冷壁の温度の代りに温壁と冷壁の
温度の平均温度が関係し、温壁の温度を増大させると、
式中の冷壁の温度で表わされた部分も上昇すること、等
による。
を冷却した場合には、低い圧力が最適圧力となるのに対
し、温壁の温度を増大させることによって温度差を設け
ると、最適圧力も高い値となり、構造上高い強度が必要
となってしまう。
壁を液体窒素温度に冷却することにより、冷壁を常温付
近に保ちつつ温壁を高温に加熱する従来の技術では得ら
れなかった著しい効果が得られる。
れらに制限されるものではない。たとえば、種々の変
更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明で
あろう。
成する低温側温度として液体窒素温度を採用することに
より、分離係数を著しく増大することができる。
転することが容易になる。
断面図、 第2図は実施例による分離係数の1例を示すグラフ、 第3図は従来の技術による分離係数の1例を示すグラフ
である。 図において、 1……反応容器 2……熱線 3……寒剤ジャケット 4……上部電極 5……下部電極 6……重り 7……スプリング 8……寒剤源 9……寒剤入口 10……寒剤出口 12……スペーサ 14……処理ガス出入口 16……寒剤循環路
Claims (2)
- 【請求項1】冷壁と温壁間に同位体を含む水素ガスを流
し、同位体を分離する方法において、 温壁に熱を与えて常温以上に加熱すると共に冷壁を液体
窒素を用いて液体窒素温度に冷却することを特徴とする
水素ガス分離方法。 - 【請求項2】低温に耐えることのできる材料で形成さ
れ、水素ガスを気密に収容することができる鉛直方向に
長い反応容器と、 該反応容器の中央部に鉛直に配置された抵抗加熱体と、 該反応容器を囲んで液体窒素通路を形成する外壁と、 該液体窒素通路に液体窒素を供給する液体窒素源と を有する水素同位体分離用熱拡散塔。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005762A JP3023963B2 (ja) | 1990-01-12 | 1990-01-12 | 水素同位体分離方法及びそのための熱拡散塔 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005762A JP3023963B2 (ja) | 1990-01-12 | 1990-01-12 | 水素同位体分離方法及びそのための熱拡散塔 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03213127A JPH03213127A (ja) | 1991-09-18 |
JP3023963B2 true JP3023963B2 (ja) | 2000-03-21 |
Family
ID=11620142
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005762A Expired - Fee Related JP3023963B2 (ja) | 1990-01-12 | 1990-01-12 | 水素同位体分離方法及びそのための熱拡散塔 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3023963B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6967255B2 (ja) * | 2016-05-31 | 2021-11-17 | 学校法人東海大学 | 水素同位体を含む水の分離方法 |
-
1990
- 1990-01-12 JP JP2005762A patent/JP3023963B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03213127A (ja) | 1991-09-18 |
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