JP3023400B2 - ギアホーニング加工方法及び装置 - Google Patents

ギアホーニング加工方法及び装置

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JP3023400B2
JP3023400B2 JP6099938A JP9993894A JP3023400B2 JP 3023400 B2 JP3023400 B2 JP 3023400B2 JP 6099938 A JP6099938 A JP 6099938A JP 9993894 A JP9993894 A JP 9993894A JP 3023400 B2 JP3023400 B2 JP 3023400B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯車諸元である歯数、
ねじれ角、転位係数のうちの少なくとも一つが互いに異
なる複数種の歯車状のワークの歯面を単一の砥石で加工
するためのギアホーニング加工方法及び装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、歯車状のワークの歯面を仕上げ加
工する手段として、ギアホーニング加工装置が知られて
いる。この装置は、例えば外歯車状のワークを加工する
場合、このワークに噛合う内歯車状の砥石を用意し、上
記ワークを切込み送り方向に移動させて砥石とバックラ
ッシュがなくなる状態まで噛合う位置へ移動させ、さら
に上記切込み送りを行いながら砥石でワークを回転させ
ることにより、上記ワークの歯面を加工するものであ
る。
【0003】ところで、このようなギアホーニング加工
では、多数種のワークが存在する場合でも、その歯車諸
元のうちの歯直角モジュール及び歯直角圧力角が同等で
あれば、これらのワークを共通の砥石に噛合でき、この
単一の砥石で加工することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記ワークを加工する
には、上記砥石の歯面をドレスした後、この砥石に加工
対象となるワークを噛合する必要があるが、各ワーク
は、歯数、ねじれ角、もしくは転位係数が互いに異なっ
ているため、これらのワークをそれぞれ単一の砥石に噛
合するには、両者の中心間距離及び軸交差角を微妙に調
整する必要がある。
【0005】ここで従来は、各種ワークの加工を行う度
に、これらワークと砥石とを噛合するべく作業者が手動
で上記軸交差角の微調整を行い、さらに、砥石とワーク
とのバックラッシュがなくなるように両者の中心間距離
を手動で調整した上でこの距離を機械に記憶させる作業
(いわゆるティーチング)が行われている。このため、
ワーク加工には熟練が必要とされ、またその精度のバラ
ツキが大きく、しかも作業能率が低いという不都合があ
った。
【0006】本発明は、このような事情に鑑み、単一の
砥石で複数種のワークを加工するギアホーニング加工に
おいて、各ワークを上記砥石に自動的にかつ好適に噛合
して効率良く加工することができるギアホーニング加工
方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、歯数、ねじれ
角、転位係数のうちの少なくとも一つが互いに異なる複
数種の歯車状のワークの歯面を、これらのワークと噛合
する単一の砥石で加工するためのギアホーニング加工方
法であって、上記砥石にドレス用歯車を噛合して両者を
回転させることにより砥石の歯面をドレスした後、この
歯面ドレス直後のドレス用歯車と砥石との中心間距離及
び軸交差角、上記ドレス用歯車の歯車諸元、並びに上記
砥石の歯数に基づき、上記歯面ドレスにより変化した砥
石の歯車諸元を演算する砥石諸元演算動作を行い、各種
ワークの加工前に、このワークを上記砥石に噛合するた
めのこれらワークと砥石との中心間距離及び軸交差角を
上記砥石諸元演算動作で演算した砥石の歯車諸元とワー
クの歯車諸元とに基づいて演算するワーク加工用演算動
作を行い、このワーク加工用演算動作で演算した中心間
距離及び軸交差角を用いて上記ワークを砥石に噛合し、
このワークをギアホーニング加工するものであり(請求
項1)、また本発明は、歯数、ねじれ角、転位係数のう
ちの少なくとも一つが互いに異なる複数種の歯車状のワ
ークの歯面を、これらのワークと噛合する単一の砥石で
加工するためのギアホーニング加工装置であって、上記
ワークの歯車諸元及び上記砥石の歯面をドレスするため
のドレス用歯車の歯車諸元に関する情報を入力するため
の情報入力手段と、砥石とワークとの中心間距離及び砥
石とドレス用歯車との中心間距離を調節する距離調節手
段と、砥石とワークとの軸交差角及び砥石と上記ドレス
用歯車との軸交差角を調節する軸交差角調節手段と、上
記ドレス用歯車との噛合により砥石の歯面がドレスされ
た直後のドレス用歯車と砥石との中心間距離及び軸交差
角、上記情報入力手段により入力されたドレス用歯車の
歯車諸元、並びに上記砥石の歯数に基づき、上記歯面ド
レスにより変化した砥石の歯車諸元を演算する砥石諸元
演算手段と、各種ワークの加工前に、上記砥石諸元演算
手段で演算された砥石諸元に基づいて上記ワークを上記
砥石に噛合するためのこれらワークと砥石との中心間距
離及び軸交差角を演算するワーク加工用演算手段と、こ
のワーク加工用演算手段で演算された中心間距離及び軸
交差角に基づいて上記ワークの加工時にこのワークと砥
石との中心間距離及び軸交差角を調節するように上記距
離調節手段及び軸交差角調節手段の作動を制御する加工
制御手段とを備えたものである(請求項4)。
【0008】請求項1記載の方法では、上記ワーク加工
用演算動作後、このワークを加工する前に、このワーク
加工用演算動作で演算されたワークと砥石との中心間距
離と上記砥石諸元演算動作で演算された砥石の歯車諸元
と上記ワーク歯面のインボリュート開始径とに基づきワ
ークの加工に必要な目標砥石歯先径を演算し、この目標
砥石歯先径に対応する歯の高さが実際の歯の高さよりも
一定以上小さい場合には上記目標砥石歯先径に基づいて
上記砥石の歯先面をドレスし、上記目標砥石歯先径に対
応する歯の高さが実際の歯の高さよりも一定以上大きい
場合には上記目標砥石歯先径に対応する歯高が得られる
ように上記砥石の歯面をドレスしたり(請求項2)、上
記ドレス用歯車による砥石の歯面ドレス直後のドレス用
歯車と砥石との中心間距離及び軸交差角を記憶してお
き、歯面ドレスの要求があった場合に、記憶した中心間
距離及び軸交差角を用いて上記ドレス用歯車を上記砥石
に噛合してこの砥石の歯面をドレスし、この歯面ドレス
直後のドレス用歯車と砥石との中心間距離及び軸交差
角、上記ドレス用歯車の歯車諸元、並びに上記砥石の歯
数に基づいて上記砥石諸元演算動作を再実行したりする
(請求項3)ことが好ましい。
【0009】同様に、請求項4記載の装置では、各種ワ
ークの加工前に、上記砥石諸元演算手段により演算され
た砥石の歯車諸元と上記ワーク加工用演算手段により演
算されたワークと砥石との中心間距離と上記ワーク歯面
のインボリュート開始径とに基づき上記ワークの加工に
必要な目標砥石歯先径を演算する目標砥石歯先径演算手
段と、この目標砥石歯先径に対応する歯の高さが実際の
歯の高さよりも一定以上小さい場合には上記目標砥石歯
先径に基づいて上記砥石の歯先面をドレスさせ、上記目
標砥石歯先径に対応する歯の高さが実際の歯の高さより
も一定以上大きい場合には上記目標砥石歯先径に対応す
る歯高が得られるように上記砥石の歯面をドレスさせる
歯高制御手段とを備えたり(請求項5)、上記ドレス用
歯車による砥石の歯面ドレス直後のドレス用歯車と砥石
との中心間距離及び軸交差角を記憶するドレス状態記憶
手段と、歯面ドレスの要求があった場合に上記ドレス状
態記憶手段で記憶された中心間距離及び軸交差角を用い
て上記ドレス用歯車を上記砥石に噛合してこの砥石の歯
面をドレスさせる歯面ドレス制御手段とを備え、この歯
面ドレス直後のドレス用歯車と砥石との中心間距離及び
軸交差角、上記ドレス用歯車の歯車諸元、並びに上記砥
石の歯数に基づき、上記目立てドレスにより変化した砥
石の歯車諸元を演算するように上記砥石諸元演算手段を
構成したりする(請求項6)ことが、より好ましい。
【0010】
【作用】請求項1記載の方法及び請求項4記載の装置に
よれば、砥石にドレス用歯車を噛合して砥石の歯面をド
レスした後、まず、この歯面ドレス直後のドレス用歯車
と砥石との中心間距離及び軸交差角、上記ドレス用歯車
の歯車諸元、並びに上記砥石の歯数に基づき、上記歯面
ドレスにより変化した砥石の歯車諸元(転位係数やねじ
れ角等)を演算する砥石諸元演算動作が行われる。そし
て、この演算した砥石の歯車諸元とワークの歯車諸元と
に基づき、加工対象となるワークを上記砥石に噛合する
ためのこれらワークと砥石との中心間距離及び軸交差角
を演算するワーク加工用演算動作が実行されるため、こ
のワーク加工用演算動作で演算した中心間距離及び軸交
差角を利用することにより、上記ワークを自動的かつ確
実に砥石に噛合し、その歯面を加工することができる。
【0011】さらに、請求項2記載の方法及び請求項5
記載の装置によれば、上記ワーク加工用演算動作後、こ
のワーク加工用演算動作で演算されたワーク−砥石中心
間距離と砥石諸元演算動作で演算された砥石の歯車諸元
と上記ワーク歯面のインボリュート開始径とに基づき必
要な目標砥石歯先径が演算され、この目標砥石歯先径に
基づいてワーク加工に必要な砥石歯面のドレスが適正に
行われる。具体的に、上記目標砥石歯先径に対応する歯
の高さが実際の歯の高さよりも一定以上小さい場合に
は、上記目標砥石歯先径を得るべく上記砥石の歯先面が
適当な量だけドレスされ、上記目標砥石歯先径に対応す
る歯の高さが実際の歯の高さよりも一定以上大きい場合
には、実際の歯の高さを大きくすべく砥石歯面がドレス
される。
【0012】また、請求項3記載の方法及び請求項6記
載の装置によれば、上記ドレス用歯車による砥石の歯面
ドレス直後のドレス用歯車と砥石との中心間距離及び軸
交差角を予め記憶しておくことにより、歯面ドレスの要
求があった場合に、上記記憶を行った中心間距離及び軸
交差角を用いて上記ドレス用歯車を上記砥石に容易に噛
合してこの砥石の歯面をドレスでき、しかも、この歯面
ドレス直後のドレス用歯車と砥石との中心間距離及び軸
交差角、上記ドレス用歯車の歯車諸元、並びに上記砥石
の歯数に基づいて上記砥石諸元演算動作を再実行するこ
とにより、次のワーク加工用演算動作に必要な砥石諸元
を得ることができる。
【0013】
【実施例】本発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。
【0014】図2及び図3に示すギアホーニング加工装
置は、砥石支持ハウジング10を備え、この砥石支持ハ
ウジング10には、中空状のリング部12が設けられて
いる。このリング部12の径方向内側には図略の砥石用
軸受を介して外向きの歯をもつリングスプロケット16
が回転可能に保持されており、このリングスプロケット
16の径方向内側に砥石押え18によって砥石20が固
定されている。この砥石20は、図4に示すような内歯
車状をなし、上記リングスプロケット16と一体に回転
するようになっており、このリングスプロケット16の
左右両側面には、クーラント侵入防止用のドーナツ板状
の水きり板22が固定されている。
【0015】上記砥石支持ハウジング10の上部には、
砥石駆動モータ24が横向きに固定されている。この砥
石駆動モータ24の出力軸26にはモータスプロケット
28が固定され、このモータスプロケット28はサイレ
ントチェーン30を介して上記リングスプロケット16
に連結されており、これらモータスプロケット28、サ
イレントチェーン30、及びリングスプロケット16に
よって、上記砥石駆動モータ24の駆動力が上記砥石2
0に伝達されるようになっている。具体的には、上記モ
ータ出力軸26が図2の矢印A1方向に回転するのに伴
って、砥石20が図4の矢印A2方向に回転するように
なっている。
【0016】上記砥石支持ハウジング10の後部には、
フランジ部34が設けられ、このフランジ部34は、ボ
ルト36によって軸交差角調節装置38の回転出力軸3
9に固定されている。この軸交差角調節装置38は、上
記回転出力軸39を回転駆動する砥石旋回モータ40を
備え、この回転駆動によって後述のワーク及びドレスギ
アに対する砥石20及び砥石支持ハウジング10全体の
傾き角(すなわち軸交差角)を調整するように構成され
ている。
【0017】この軸交差角調節装置38は、テーブル4
2上に固定されており、このテーブル42は所定の切込
み方向(図1の矢印A3を含む方向)に沿ってスライド
可能に設置されている。このテーブル42には、切込み
駆動モータ44及び図略のボールねじ機構が設けられ、
これらの作動によって、上記軸交差角調節装置38、砥
石支持ハウジング10、及び砥石20全体がテーブル4
2とともに上記切込み方向にスライド駆動されるように
なっている。
【0018】図4に示すように、この装置において加工
されるワーク46は、はすば歯車状の歯車部48を有
し、この歯車部48は、上記砥石20に噛合可能な形状
(すなわち歯直角モジュールmn及び歯直角圧力角αn
砥石20と等しい形状)を有している。そして、後に詳
細に記すように、歯車諸元でるあ歯数z1、ねじれ角
(ピッチ円筒ねじれ角)β01、転位係数(歯直角転位係
数)xn1、のうちの少なくとも一つが互いに異なる複数
種のワーク46が、共通の上記砥石20によってギアホ
ーニング加工されるとともに、その加工の前に、上記砥
石20と噛合可能な形状のドレスギア(ドレス用歯車)
によって砥石20の歯面がドレスされるようになってい
る。
【0019】なお、本発明においてワーク46およびド
レスギアの歯車部48の種類は特に問わず、図例のよう
なβ01≠0のはすば歯車であってもよいし、β01=0の
平歯車であってもよい。
【0020】これらのワーク46及びドレスギアは、図
5のような装置により支持される。この装置は、ワーク
46等を軸方向に挾持する主軸台50と心押し台52を
備えている。主軸台50は、主軸54を水平状態で回転
可能に支持するとともに、この主軸54を回転駆動する
主軸モータ62を備えており、上記主軸54の先端には
ワーク46の軸方向一端部と圧接する挾持部56が設け
られている。心押し台52は、べッド66上に設置さ
れ、心押し軸53を図5矢印A4方向(ワーク軸方向)
にスライド可能に支持している。この心押し軸53に
は、上記ワーク46の軸方向他端部と圧接する挾持部6
9が図略のスラスト軸受を介して回転可能に取付けられ
ており、これら挾持部69及び心押し軸53が上記主軸
台50に接近する方向に駆動されることにより、ワーク
46やドレスギアの挾持がなされるとともに、上記主軸
54に伝達される駆動力が挾持部56から摩擦力によっ
てワーク46に伝わるようになっている。この主軸54
は、ワーク46の歯と砥石20の歯とを噛み合わせるた
めにワーク46の歯を所定位置に割り出す時のみ回転駆
動され、歯が噛み合った後は図示しないクラッチを切換
えることにより主軸モータ62との結合が解除され、ワ
ーク46またはドレスギアとつれ回りするようになって
いる。
【0021】さらに、この装置には、図1に示すような
情報入力装置70及び制御装置80が設けられている。
【0022】情報入力装置70は、キーボード等の操作
部を備え、その操作により次の情報を制御装置80に入
力できるように構成されている。
【0023】 絶対諸元So :全てのワーク46、ド
レスギア、及び砥石20に共通する歯車諸元であり、ワ
ーク46及びドレスギアが砥石20と噛み合うための絶
対条件となる諸元である。具体的には、歯直角モジュー
ルmn、及び歯直角圧力角αnが該当する。
【0024】 砥石諸元Sg :砥石20の歯車諸元の
うち、上記絶対諸元So 以外の諸元であり、かつ、後述
の歯面ドレスを行っても変化しない諸元である。具体的
には、砥石20の歯数z2が該当する。
【0025】 ワーク諸元Swa,Swb,… :各ワー
ク46(以下、ワークの種類に応じてAワーク、Bワー
ク、Cワーク…と称する)の歯車諸元であって、上記絶
対諸元So 以外の諸元である。すなわち、Aワークのワ
ーク諸元Swa(歯数z1A、ねじれ角β01A、転位係数x
n1A、インボリュート開始径(ワーク歯面においてイン
ボリュート曲線が開始される地点に対応する直径)
fA)、Bワークのワーク諸元Swb(歯数z1B、ねじれ
角β01B、転位係数xn1B、インボリュート開始径
fB)、…が入力される。
【0026】 ドレスギア諸元Sd :上記ドレスギア
の歯車諸元であって、上記絶対諸元So 以外の諸元であ
る。具体的には、上記ドレスギアの歯数z1d、ねじれ角
β01d、転位係数xn1d、砥石20との軸交差角γdが対
応する。ただし、この軸交差角γdを手動で調節する場
合には、軸交差角γdを特に入力しなくてもよい。
【0027】 ドレスリング諸元Sr :このギアホー
ニング加工装置では、加工ワーク46の種類を替える
(すなわちワークの段替えをする)度に、このワーク4
6のインボリュート開始径df に応じて砥石20の内径
(すなわち歯先径)dk2を調節すべく内径ドレス(すな
わち歯先面ドレス)が行われるが、この時用いられる円
筒状のドレスリング(外周面に砥石が固着された内径研
削工具)の外径drがドレスリング諸元Sr として入力
される。
【0028】制御装置80は、図1に示すように、砥石
諸元演算手段81、砥石諸元記憶手段82、ワーク加工
用演算手段83、加工状態記憶手段84、内径ドレス用
演算手段85、指令手段86、砥石旋回制御手段87、
切込み駆動制御手段88、及びドレス状態記憶手段89
を備えている。
【0029】砥石諸元演算手段81は、情報入力装置7
0から入力される各諸元と、後述のドレス状態記憶手段
89で記憶されている砥石−ドレスギアの中心間距離a
xd及び軸交差角γdとに基づき、この条件で歯面ドレス
が行われた直後の砥石20の転位係数xn2及びねじれ角
β02を演算し、砥石諸元記憶手段82に記憶させるもの
である。
【0030】ワーク加工用演算手段83は、情報入力装
置70から入力される各諸元と、上記砥石諸元演算手段
81で演算されかつ砥石諸元演算手段82で記憶された
砥石20の転位係数(歯直角転位係数)xn2及びねじれ
角β02とに基づき、今回の加工対象となるワーク46を
砥石20に好適に噛合することができるワーク−砥石中
心間距離ax及び軸交差角γを演算し、加工状態記憶手
段84に記憶させるものである。
【0031】内径ドレス用演算手段(目標砥石歯先径演
算手段)85は、情報入力装置70から入力される各諸
元と、上記砥石諸元記憶手段82で記憶された砥石20
の転位係数xn2及びねじれ角β02と、上記加工状態記憶
手段84で記憶されたワーク−砥石中心間距離axとに
基づき、インボリュート開始径df1をもつワークを加工
するために必要な砥石20の内径dk2を演算するととも
に、この内径dk2が得られるように砥石20の内面をド
レスするための砥石−ドレスリング中心間距離Dc を演
算するものである。
【0032】指令手段86は、砥石20の歯面ドレス、
内径ドレス、及び同種類のワーク(歯数、ねじれ角、転
位係数及びインボリュート開始径が互いに等しいワー
ク)の連続加工、をそれぞれ実行すべく、歯面ドレス時
及び内径ドレスの際には砥石旋回制御手段87及び切込
み駆動制御手段88に指令信号を出力し、ワーク連続加
工時には切込み駆動制御手段88に指令信号を出力する
ものである。また、この指令手段86は、上記内径ドレ
ス用演算手段85で演算された砥石内径dk2に基づき、
この砥石内径dk2に対応した砥石20の歯の高さを得る
べくこの砥石20の歯面ドレスもしくは内径ドレスを選
択的に実行させる歯高制御手段としての役割を担うとと
もに、目立てドレス要求の信号が入力された場合には、
後述のドレス状態記憶手段89に記憶されている砥石−
ドレスギア中心間距離axd及び軸交差角γdに基づいて
砥石の歯面ドレスを行わせる歯面ドレス制御手段として
の役割も担っている。
【0033】砥石旋回制御手段87は、歯面ドレスの際
に指令手段86から指令信号が入力された場合には、上
記ドレス状態記憶手段89で記憶されている軸交差角γ
dが得られるように砥石旋回モータ40の作動を制御
し、内径ドレスの際に指令手段86から指令信号が入力
された場合には、上記加工状態記憶手段84で記憶され
ている軸交差角γが得られるように砥石旋回モータ40
を作動させるものである。
【0034】切込み駆動制御手段88は、上記砥石旋回
制御手段87とともに本発明における加工制御手段を構
成するものであり、歯面ドレスの際に指令手段86から
指令信号が入力された場合には、上記ドレス状態記憶手
段89で記憶されている砥石−ドレスギア中心間距離a
xdが得られるように切込み駆動モータ44の駆動を制御
し、ワーク連続加工の際に指令手段86から指令信号が
入力された場合には、上記加工状態記憶手段84で記憶
されているワークー砥石中心間距離axが得られるよう
に切込み駆動モータ44の駆動を制御し、内径ドレスの
際に指令手段86から指令信号が入力された場合には、
上記内径ドレス用演算手段85で演算された砥石−ドレ
スリング中心間距離Dc が得られるように切込み駆動モ
ータ44の駆動を制御するものである。
【0035】ドレス状態記憶手段89は、上記ドレスギ
アによる砥石20の歯面ドレスが行われた場合に、その
ドレス直後の砥石−ドレスギア中心間距離axd及び軸交
差角γdを記憶するものである。
【0036】次に、この装置において行われる砥石20
のドレス制御及びワーク加工制御を図6〜図8のフロー
チャートを併せて参照しながら説明する。なお、以下に
説明する演算動作で前提となるかみあい基礎式は次の表
1に示す通りである。
【0037】
【表1】
【0038】1)ティーチング動作(図6のステップS
1):ギアホーニング加工装置において砥石20が交換
された後、この砥石20の歯面がドレスされるが、この
歯面ドレスを行うには、図5に示す支持装置に支持され
るドレスギアと砥石20とを噛み合せる必要があり、こ
の噛合を行うには砥石20と上記ドレスギアとの中心間
距離axd及び軸交差角γdを適当に調節する必要があ
る。ここで、本実施例では、上記軸交差角γdは予め情
報入力装置70から制御装置80にドレスギア諸元とし
て入力されており、中心間距離axdのみが作業者による
手動操作で調節されれる。より具体的には、上記軸交差
角γdが得られるように砥石旋回モータ40によって砥
石20が傾けられた後、上記ワーク46と噛合可能とな
るように、砥石20の回転位置が手動で調整され、さら
に、この砥石20とワーク46の歯車部48とのバック
ラッシュがなくなるまで砥石20が切込み方向へ手動で
移送される。このようにして噛合調節が完了した後、情
報入力装置70に設けられた図略のティーチングスイッ
チが操作される。このスイッチ操作により、その操作時
点での砥石−ドレスギア中心間距離axd及び軸交差角γ
dがドレス状態記憶手段89に入力され、ここで記憶さ
れる。
【0039】2)歯面ドレス動作(ステップS2):上
記のようにしてドレスギアと砥石20とが噛合された状
態で、砥石駆動モータ24の作動により、砥石20が所
定回転数で回転駆動され、これに伴って、砥石20と圧
接するドレスギアも回転し、このドレスギアによって砥
石20の歯面がドレスされる。
【0040】3)砥石諸元演算(ステップS3):歯面
ドレス完了後、この歯面ドレスによって変化した砥石2
0の歯車諸元、すなわち砥石転位係数(歯直角転位係
数)xn2及びねじれ角(ピッチ円筒ねじれ角)β02が、
情報入力装置70から入力される各諸元と上記ドレス状
態記憶手段89で記憶された中心間距離axd及び軸交差
角γdとに基づき、砥石諸元演算手段81により演算さ
れる。
【0041】なお、砥石転位係数xn2及びねじれ角β02
の演算原理は次の通りである。
【0042】a)砥石ねじれ角β02の演算原理:まず、
上記表1の14式より次式が得られる。
【0043】
【数1】
【0044】これに表1の12式を代入して整理すると
以下のようになる。
【0045】
【数2】
【0046】一方、表1の15式から次式が得られる。
【0047】
【数3】
【0048】この(数3)に(数2)を代入すると次式
が得られる。
【0049】
【数4】
【0050】この(数4)を三角関数(正接)の加法定
理の公式に代入すると次式が得られる。
【0051】
【数5】
【0052】ここで、C=tan(βb1−βb2)(=tan
γd)、P=tanβ01・tanβ02、Q=tanβ01−tanβ02
とおくと、次式が得られる。
【0053】
【数6】
【0054】この(数6)を変形すると、次のような
(2axd/mn)に関する二次方程式が得られる。
【0055】
【数7】
【0056】この二次方程式を解いて有効解のみを採用
することにより、次のようにしてaxdに関する式を得る
ことができる。
【0057】
【数8】
【0058】この(数8)において、β02以外の値はす
べて与えられているので、この式におけるaxdが得られ
るようなβ02を検索することで、ねじれ角β02を得るこ
とができる。
【0059】b)砥石転位係数xn2の演算原理:表1の
8式を砥石転位係数xn2について解くと次式が得られ
る。
【0060】
【数9】
【0061】一方、表1の10式をαbnについて解く
と、次式が得られる。
【0062】
【数10】
【0063】また、表1の11式をyについて解くと次
式が得られる。
【0064】
【数11】
【0065】この(数11)から得られるyを上記(数
10)に代入し、この(数10)で得られたαbnを上記
(数9)に代入することにより、砥石転位係数xn2を得
ることができる。
【0066】4)Aワーク加工用演算(ステップS
4):上記砥石転位係数xn2及びねじれ角β02が求めら
れると、この砥石20にAワークを適正に噛み合わせる
ための両者の中心間距離axA及び軸交差角γAが演算さ
れる。
【0067】具体的に、中心間距離axAは、前記表1の
6式で与えられる相当平歯車歯数zv1,zv2と、同表8
式で与えられる歯直角かみあい圧力角αbnとを同表10
式に代入し、これにより得られた中心間距離増加係数y
を同表11式に代入することにより演算される。また、
軸交差角γAは、上記表1の12式で求められるピッチ
円直径d01,d02と、同表14式で与えられるかみあい
ピッチ円直径db1,db2とを同表の15式に代入し、こ
れにより得られるかみあいピッチ円筒ねじれ角βb1,β
b2を式γA=βb1−βb2に代入することにより、演算さ
れる。これらの中心間距離axA及び軸交差角γAは、加
工状態記憶手段84に記憶される。
【0068】5)内径ドレス用演算動作(ステップS
5):上記砥石諸元演算動作で演算された歯面ドレス後
の砥石転位係数xn2及びねじれ角β02と、加工状態記憶
手段84に記憶されている中心間距離axAに基づき、イ
ンボリュート開始径dfAをもつAワークを加工できるよ
うな目標砥石内径dk2Aが演算される。ここで、加工開
始当初は実際の砥石20の歯高が上記目標砥石内径d
k2Aに対応する歯高よりも必ず大きいので、この砥石2
0の実際の砥石内径を目標砥石内径dk2Aに合致させる
ために砥石20の内面(歯先面)をドレスリングでドレ
スする必要があり、このドレスを行うための砥石−ドレ
スリング中心間距離DcAも併せて演算される。
【0069】一般に、目標砥石内径dk2を演算するため
の原理は次の通りである。図9に示すように砥石20と
ワーク46とが噛合した状態において、両者の接触点P
と砥石中心Og との距離が砥石内径dk2の1/2に相当
する。上記接触点Pは、インボリュート開始径df1を直
径とする円Cf と、ワーク基礎円Cg の接線であってワ
ーク46の正面かみあい圧力角αbs1を傾き角とする直
線Lb との交点であり、正面かみあい圧力角αbs1は表
1の9式と上記砥石諸元演算動作での演算結果とから算
出できる。ここで、上記円Cr 及び直線Lb の式は次の
通りである。
【0070】
【数12】
【0071】この(数12)はX,Yに関する連立方程
式であり、その解が上記接触点Pの座標となる。ここ
で、(数13)に示すような変数u,v,wを導入して
これを上記(数12)に代入し、連立方程式を解いてそ
の有効解のみを採用すると、接触点PのX座標xを表す
式として(数14)が得られる。
【0072】
【数13】
【0073】
【数14】
【0074】一方、上記接触点Pとワーク中心点Owと
を結ぶ直線と、Y軸との交点は、次式により表される。
【0075】
【数15】
【0076】また、ピタゴラスの定理により、次式が成
立する。
【0077】
【数16】
【0078】従って、この(数16)に(数14)及び
(数15)を代入することにより、目標砥石内径(直
径)dk2が得られる。このような要領で演算されたAワ
ーク加工用目標砥石内径dk2Aに基づき、砥石−ドレス
リング中心間距離DcA=(dk2A−dr )/2が演算さ
れる。
【0079】6)砥石旋回モータ作動(ステップS
6):ここでは、前記Aワーク加工用動作で演算されか
つ加工状態記憶手段84に記憶されたAワーク加工用の
軸交差角γAが得られるように、砥石旋回制御手段87
による駆動制御の下、砥石旋回モータ40の作動により
砥石20の傾きがこの砥石20とAワークとが噛合可能
な傾きに調節される。
【0080】7)内径ドレス動作(ステップS7):図
5に示す支持装置には、上記ドレスギアに代えて外径d
rのドレスリングが装着される。そして、砥石20が砥
石駆動モータ24により回転駆動されながら、このドレ
スリングと砥石20との中心間距離が上記値DcAとなる
位置まで砥石20をドレスリングに対して切込み送りす
るように、切込み駆動制御手段88による切込み駆動モ
ータ44の制御が行われる。これにより、砥石20はそ
の内径が上記目標砥石内径dk2Aとなるまで内径ドレス
される。
【0081】8)Aワーク加工(ステップS8,S
9):図5に示す支持装置には、上記ドレスリングに代
えてAワークが装着され、現在の軸交差角が上記加工状
態記憶手段84に記憶されている軸交差角γAと等しい
ことが確認された上で(ステップS8)、ステップS2
の歯面ドレス動作と同様の動作がギアホーニング加工装
置において行われる。すなわち、上記軸交差角γA及び
中心間距離axAを利用してAワークと砥石20とをゼロ
バックラッシュ状態で自動的に噛み合わせ、この状態で
砥石20を回転駆動する動作が行われ、これによりAワ
ークの歯面が砥石20によって加工される。このような
動作が全てのAワークについて連続して行われ(ステッ
プS10でNO)、全てのAワークの加工が完了した時
点で(ステップS10でYES)、Bワークの加工ステ
ージに段替えされる(ステップS11)。
【0082】9)Bワーク加工用演算(図7のステップ
S12):このBワーク加工ステージでは、まず、ワー
ク加工用演算手段83により、砥石諸元記憶手段82で
記憶されている砥石諸元(すなわち、前記ステップS3
の砥石諸元動作で演算された砥石転位係数xn2及び砥石
ねじれ角β02)とBワークの歯車諸元Sb とに基づき、
砥石20にBワークを適正に噛み合わせるための両者の
中心間距離axB及び軸交差角γBが演算される。
【0083】具体的に、中心間距離axBは、前記表1の
6式で与えられる相当平歯車歯数zv1,zv2と、同表8
式で与えられる歯直角かみあい圧力角αbnとを同表10
式に代入し、これにより得られた中心間距離増加係数y
を同表11式に代入することにより演算される。また、
軸交差角γBは、上記表1の12式で求められるピッチ
円直径d01,d02と、同表14式で与えられるかみあい
ピッチ円直径db1,db2とを同表の15式に代入し、こ
れにより得られるかみあいピッチ円筒ねじれ角βb1,β
b2を式γB=βb1−βb2に代入することにより、演算さ
れる。これらの中心間距離axB及び軸交差角γBは、加
工状態記憶手段84に記憶される。
【0084】10)目標砥石内径演算(ステップS1
3):上記加工状態記憶手段84に記憶された中心間距
離axBと、上記砥石諸元記憶手段82で記憶されている
砥石諸元(すなわち、前記ステップS3の砥石諸元動作
で演算された砥石転位係数xn2及び砥石ねじれ角β02
とに基づき、前記ステップS5と同様の演算動作で、イ
ンボリュート開始径dfBをもつBワークを加工できるよ
うな目標砥石内径dk2Bが演算される。
【0085】11)目標砥石内径dk2Bと実際の砥石内
径(すなわち前回の目標砥石内径)dk2Aとの比較(ス
テップS14):このような比較により、上記インボリ
ュート開始径dfBをもつBワークを加工するのに適した
ドレス動作が選択される。具体的に、目標砥石内径d
k2Bと実際の砥石内径(すなわち前回の目標砥石内径)
k2Aとがほぼ等しい場合、すなわち両内径dk2B,d
k2Aの差が予め設定された微小範囲内にある場合には、
直ちにBワーク加工動作に移行され、目標砥石内径d
k2Bが実際の砥石内径(すなわち前回の目標砥石内径)
k2Aよりも一定以上大きい場合、すなわち実際の砥石
20の歯高が上記目標砥石内径dk2Bに対応する歯高よ
りも大きい場合には(ステップS14でYES)、この
砥石20の実際の砥石内径を目標砥石内径dk2Bに合致
させるため、まず砥石旋回モータ40を作動させて上記
Bワークと砥石20との軸交差角が上記値γBに合致す
るまで砥石20を傾斜させ(ステップS15)、砥石2
0とBワークとを噛合可能な状態にした後、上記目標砥
石内径dk2Bに基づき演算される砥石−ドレスリング中
心間距離DcB=(dk2B−dr )/2を用いて演算砥石
20の内面(歯先面)をドレスリングでドレスする作業
が自動的に行われる(ステップS16)。逆に、目標砥
石内径dk2Bが実際の砥石内径(すなわち前回の目標砥
石内径)dk2Aよりも一定以上小さい場合、すなわち実
際の砥石20の歯高が上記目標砥石内径dk2Bに対応す
る歯高よりも小さい場合には、両歯高を合致させるべ
く、前記ドレスギアによって砥石20の歯面がドレスさ
れる。
【0086】12)Bワーク加工(ステップS17,S
18):上記のような歯高調節後、図5に示す支持装置
にBワークが装着され、現在の軸交差角が上記加工状態
記憶手段84に記憶されている軸交差角γBと等しいこ
とが確認された上で(ステップS17)、前記ステップ
S9と同様の動作が今度はBワークに対して行われる。
すなわち、上記軸交差角γB及び中心間距離axBを利用
してBワークと砥石20とをゼロバックラッシュ状態で
自動的に噛み合わせ、この状態で砥石20を回転駆動す
る動作が行われ、これによりBワークの歯面が砥石20
によって加工される。このような動作が全てのBワーク
について連続して行われ(ステップS19でNO)、全
てのBワークの加工が完了した時点で(ステップS19
でYES)、Cワークの加工ステージに段替えされる
(ステップS20)。以下、上記のような動作が繰り返
されることにより、単一の砥石20による複数種のワー
ク(Aワーク、Bワーク、Cワーク、…)の加工が自動
的に行われることになる。
【0087】なお、これらのワークの途中で、砥石20
の切れ味鈍化等の理由で目立て用歯面ドレスの要求が入
力された場合、あるいは前記ステップS14において歯
高調節動作として歯面ドレスが選択された場合には、図
8に示すような歯面ドレスルーチンが実行される。すな
わち、ドレス状態記憶手段89で記憶された砥石−ドレ
スギア軸交差角γdに基づいて砥石旋回モータ40の作
動による砥石20の傾き調節が行われ(ステップSD
1)、このようにして砥石20とドレスギアとが噛合可
能な軸交差角γdが再現された後、同じくドレス状態記
憶手段89で記憶された砥石−ドレスギア中心間距離a
xdに基づいて切込み駆動モータ44の駆動制御が行わ
れ、砥石20の歯面がドレスギアによってドレスされる
(ステップSD2)。このようにして目標の歯高が得ら
れた後、上記値axdに歯面ドレス量δdを加えた値が新
たに中心間距離axdとしてドレス状態記憶手段89に記
憶され、この中心間距離axdと前記軸交差角γdとに基
づき、上記歯面ドレスで変化した砥石20の歯車諸元
(すなわち転位係数xn2及びねじれ角γ02)が演算され
る(ステップSD3)。
【0088】このような方法及び装置によれば、砥石2
0の歯面ドレスを行った後は、そのドレス状態に基づく
砥石諸元演算動作が行われ、この演算された砥石諸元
(すなわち砥石転位係数xn2及び砥石ねじれ角β02)に
基づいて各ワークについてワーク加工用演算動作が行う
ことにより、各種ワーク(Aワーク、Bワーク、Cワー
ク、…)の加工の際、上記ワーク加工用演算動作の演算
結果を利用して各ワークを自動的に砥石20に噛合して
その加工を開始することができる。従って、従来のよう
にワーク加工を始める度に手作業でワーク−砥石中心間
距離及び軸交差角を調節する場合に比べ、作業者の負担
を大幅に軽減することができ、単一の砥石20によるワ
ーク加工能率及び加工精度を飛躍的に向上させることが
できる。
【0089】さらに、この実施例では、各ワークの加工
前に、上記砥石諸元演算動作及びワーク加工用演算動作
の演算結果に基づいて、ワークインボリュート開始径d
f1に適合する目標砥石内径dk2を演算し、この目標砥石
内径dk2に基づいて歯高調節に適したドレス動作(内径
ドレスもしくは歯面ドレス)を選択するようにしている
ので、上記ワーク加工動作のみならず、その前の歯高調
節動作も自動化することが可能である。また、上記歯高
調節用ドレス動作として歯面ドレスを選択した場合や、
目立てドレスの要求があった場合には、ドレス状態記憶
手段89で記憶された砥石−ドレスギア中心間距離axd
及び軸交差角axdを利用して容易かつ迅速に歯面ドレス
を行うことができ、しかもその歯面ドレス後、上記砥石
−ドレスギア中心間距離axd及び軸交差角axdに基づい
て砥石諸元演算動作を再実行することにより、適正なワ
ーク加工動作を再開することができる。
【0090】なお、上記歯高調節動作は、ワークインボ
リュート開始径dk2に高い精度が要求されない場合に
は、省略が可能である。
【0091】また、本発明はこのような実施例に限定さ
れるものでなく、例として次のような態様をとることも
可能である。
【0092】(1) 上記実施例では、内歯車状の砥石20
の歯面を外歯車状のドレスギアでドレスし、この砥石2
0を用いて外歯車状のワークを加工するものを示した
が、本発明は、外歯車状の砥石の歯面を内歯車状のドレ
スギアでドレスし、この砥石を用いて内歯車状のワーク
を加工するものについても適用が可能である。この場
合、必要砥石歯先径として必要砥石外径を演算すれば良
く、歯先面ドレスとしては上記砥石の外径面をドレスす
る外径ドレスを行うようにすればよい。
【0093】(2) 上記歯先面ドレスを行う場合、そのド
レスを行う具体的な手段は問わず、前記実施例で示した
ドレスリングの他、小片状の砥石を歯先面に圧接させる
ようにしてもよい。
【0094】
【発明の効果】以上のように本発明は、ドレス用歯車を
用いて砥石の歯面をドレスした後、この歯面ドレス直後
のドレス用歯車と砥石との中心間距離及び軸交差角、ド
レス用歯車の歯車諸元、並びに上記砥石の歯数に基づ
き、上記歯面ドレスにより変化した砥石の歯車諸元(転
位係数やねじれ角等)を演算し、この演算した砥石の歯
車諸元に基づいて、各ワークの加工前にこのワークと上
記砥石とを適正に噛合するためのワーク−砥石中心間距
離及び軸交差角を演算するようにしているので、各ワー
クの加工の際には、上記演算で求めた中心間距離及び軸
交差角を利用して上記ワークを迅速かつ容易に砥石に噛
合することができる。従って、従来のように歯面ドレス
を行う度に手作業でワーク−砥石中心間距離及び軸交差
角を調節する場合に比べ、作業者の負担を大幅に軽減す
ることができ、単一の砥石によるワーク加工能率及び加
工精度を飛躍的に向上させることができる効果がある。
【0095】さらに、請求項2記載の方法及び請求項5
記載の装置では、各ワークの加工前に、上記演算で求め
た砥石の歯車諸元と砥石−ドレスギア中心間距離と上記
ワーク歯面のインボリュート開始径とに基づきこのワー
クの加工に必要な砥石歯先径を演算し、この砥石歯先径
に基づいて上記砥石の歯高調節に必要なドレス動作を選
択するようにしているので、各ワークを加工するための
砥石歯高調節作業も自動化することが可能であり、作業
能率をさらに高めることができる効果がある。
【0096】また、請求項3記載の方法及び請求項6記
載の装置では、上記砥石の歯面ドレスの要求があった場
合に、前回の歯面ドレス動作後に記憶しておいた砥石−
ドレスギア中心間距離及び軸交差角を利用して容易かつ
迅速に歯面ドレスを行うことができるとともに、その歯
面ドレス後、上記砥石−ドレスギア中心間距離及び軸交
差角に基づいて砥石諸元演算動作を再実行することによ
り、適正なワーク加工動作を再開することができる効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるギアホーニング加工
装置に装備された情報入力装置及び制御装置の機能構成
を示すブロック図である。
【図2】上記ギアホーニング加工装置の正面図である。
【図3】上記ギアホーニング加工装置の側面図である。
【図4】上記ギアホーニング加工装置において砥石とワ
ークとが噛合された状態を示す断面図である。
【図5】上記ギアホーニング加工装置に設けられるワー
ク支持装置の正面図である。
【図6】上記制御装置により行われる演算制御動作を示
すフローチャートの一部である。
【図7】上記制御装置により行われる演算制御動作を示
すフローチャートの一部である。
【図8】上記制御装置により行われる演算制御動作を示
すフローチャートの一部である。
【図9】上記ギアホーニング加工装置において砥石とワ
ークとが噛み合った状態での各諸元の関係を示す説明図
である。
【符号の説明】
20 砥石 24 砥石駆動モータ 38 軸交差角調節装置 44 切込み駆動モータ(距離調節手段) 46 ワーク 48 歯車部 70 情報入力装置 80 制御装置 81 砥石諸元演算手段 82 砥石諸元記憶手段 83 ワーク加工用演算手段 84 加工状態記憶手段 85 内径ドレス用演算手段 86 指令手段(歯高制御手段) 87 砥石旋回制御手段(加工制御手段、歯面ドレス制
御手段及び歯先面ドレス制御手段) 88 切込み駆動制御手段(加工制御手段、歯面ドレス
制御手段及び歯先面ドレス制御手段) 89 ドレス状態記憶手段
フロントページの続き (72)発明者 寺本 義広 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−127919(JP,A) 特開 昭53−75591(JP,A) 実開 平6−5824(JP,U) 実開 平4−63327(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23F 19/05 B23F 19/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯数、ねじれ角、転位係数のうちの少な
    くとも一つが互いに異なる複数種の歯車状のワークの歯
    面を、これらのワークと噛合する単一の砥石で加工する
    ためのギアホーニング加工方法であって、上記砥石にド
    レス用歯車を噛合してこれら砥石とドレス用歯車とを回
    転させることにより砥石の歯面をドレスした後、この歯
    面ドレス直後のドレス用歯車と砥石との中心間距離及び
    軸交差角、上記ドレス用歯車の歯車諸元、並びに上記砥
    石の歯数に基づき、上記歯面ドレスにより変化した砥石
    の歯車諸元を演算する砥石諸元演算動作を行い、各種ワ
    ークの加工前に、このワークを上記砥石に噛合するため
    のこれらワークと砥石との中心間距離及び軸交差角を上
    記砥石諸元演算動作で演算した砥石の歯車諸元とワーク
    の歯車諸元とに基づいて演算するワーク加工用演算動作
    を行い、このワーク加工用演算動作で演算した中心間距
    離及び軸交差角を用いて上記ワークを砥石に噛合し、こ
    のワークをギアホーニング加工することを特徴とするギ
    アホーニング加工方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のギアホーニング加工方法
    において、上記ワーク加工用演算動作後、このワークを
    加工する前に、このワーク加工用演算動作で演算された
    ワークと砥石との中心間距離と上記砥石諸元演算動作で
    演算された砥石の歯車諸元と上記ワーク歯面のインボリ
    ュート開始径とに基づきワークの加工に必要な目標砥石
    歯先径を演算し、この目標砥石歯先径に対応する歯の高
    さが実際の歯の高さよりも一定以上小さい場合には上記
    目標砥石歯先径に基づいて上記砥石の歯先面をドレス
    し、上記目標砥石歯先径に対応する歯の高さが実際の歯
    の高さよりも一定以上大きい場合には上記目標砥石歯先
    径に対応する歯高が得られるように上記砥石の歯面をド
    レスすることを特徴とするギアホーニング加工方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のギアホーニング
    加工方法において、上記ドレス用歯車による砥石の歯面
    ドレス直後のドレス用歯車と砥石との中心間距離及び軸
    交差角を記憶しておき、歯面ドレスの要求があった場合
    に、記憶した中心間距離及び軸交差角を用いて上記ドレ
    ス用歯車を上記砥石に噛合してこの砥石の歯面をドレス
    し、この歯面ドレス直後のドレス用歯車と砥石との中心
    間距離及び軸交差角、上記ドレス用歯車の歯車諸元、並
    びに上記砥石の歯数に基づいて上記砥石諸元演算動作を
    再実行することを特徴とするギアホーニング加工方法。
  4. 【請求項4】 歯数、ねじれ角、転位係数のうちの少な
    くとも一つが互いに異なる複数種の歯車状のワークの歯
    面を、これらのワークと噛合する単一の砥石で加工する
    ためのギアホーニング加工装置であって、上記ワークの
    歯車諸元及び上記砥石の歯面をドレスするためのドレス
    用歯車の歯車諸元に関する情報を入力するための情報入
    力手段と、砥石とワークとの中心間距離及び砥石とドレ
    ス用歯車との中心間距離を調節する距離調節手段と、砥
    石とワークとの軸交差角及び砥石と上記ドレス用歯車と
    の軸交差角を調節する軸交差角調節手段と、上記ドレス
    用歯車との噛合により砥石の歯面がドレスされた直後の
    ドレス用歯車と砥石との中心間距離及び軸交差角、上記
    情報入力手段により入力されたドレス用歯車の歯車諸
    元、並びに上記砥石の歯数に基づき、上記歯面ドレスに
    より変化した砥石の歯車諸元を演算する砥石諸元演算手
    段と、各種ワークの加工前に、上記砥石諸元演算手段で
    演算された砥石諸元に基づいて上記ワークを上記砥石に
    噛合するためのこれらワークと砥石との中心間距離及び
    軸交差角を演算するワーク加工用演算手段と、このワー
    ク加工用演算手段で演算された中心間距離及び軸交差角
    に基づいて上記ワークの加工時にこのワークと砥石との
    中心間距離及び軸交差角を調節するように上記距離調節
    手段及び軸交差角調節手段の作動を制御する加工制御手
    段とを備えたことを特徴とするギアホーニング加工装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のギアホーニング加工装置
    において、各種ワークの加工前に、上記砥石諸元演算手
    段により演算された砥石の歯車諸元と上記ワーク加工用
    演算手段により演算されたワークと砥石との中心間距離
    と上記ワーク歯面のインボリュート開始径とに基づき上
    記ワークの加工に必要な目標砥石歯先径を演算する目標
    砥石歯先径演算手段と、この目標砥石歯先径に対応する
    歯の高さが実際の歯の高さよりも一定以上小さい場合に
    は上記目標砥石歯先径に基づいて上記砥石の歯先面をド
    レスさせ、上記目標砥石歯先径に対応する歯の高さが実
    際の歯の高さよりも一定以上大きい場合には上記目標砥
    石歯先径に対応する歯高が得られるように上記砥石の歯
    面をドレスさせる歯高制御手段とを備えたことを特徴と
    するギアホーニング加工装置。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載のギアホーニング
    加工装置において、上記ドレス用歯車による砥石の歯面
    ドレス直後のドレス用歯車と砥石との中心間距離及び軸
    交差角を記憶するドレス状態記憶手段と、歯面ドレスの
    要求があった場合に上記ドレス状態記憶手段で記憶され
    た中心間距離及び軸交差角を用いて上記ドレス用歯車を
    上記砥石に噛合してこの砥石の歯面をドレスさせる歯面
    ドレス制御手段とを備え、この歯面ドレス直後のドレス
    用歯車と砥石との中心間距離及び軸交差角、上記ドレス
    用歯車の歯車諸元、並びに上記砥石の歯数に基づき、上
    記目立てドレスにより変化した砥石の歯車諸元を演算す
    るように上記砥石諸元演算手段を構成したことを特徴と
    するギアホーニング加工装置。
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