JP3022606U

JP3022606U - 衣料用素材

Info

Publication number: JP3022606U
Application number: JP1995009641U
Authority: JP
Inventors: 俊弘近藤; 正和野村
Original assignee: Seiren Co Ltd
Current assignee: Seiren Co Ltd
Priority date: 1995-09-12
Filing date: 1995-09-12
Publication date: 1996-03-26
Anticipated expiration: 2001-09-12

Abstract

(57)【要約】【目的】従来と同様の高耐水圧の性能を維持すると同
時に、更に大幅に透湿性能を向上させ、柔軟な風合を持
ち、用済み後の廃棄処分においては、リサイクル性に優
れ、焼却時にも環境汚染をしない防寒衣料、スポーツ衣
料、等に適する衣料用素材。【構成】ポリエステル系繊維布帛（１）に無機微粒子
（３）の周囲に微細空隙（４）を有するポリエステル系
熱可塑性エラストマーフィルム（２）が、接着剤（５）
により貼り合わされた二層構造の衣料用素材。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は衣料用素材に関し、特に防寒衣料やスポーツ衣料に適する新規衣料に関するものである。詳しくは従来同様の高耐水圧を維持し、更に大幅に透湿性を向上させ、リサイクルが容易で焼却処理による環境汚染の少ない柔軟な風合を有する衣料用素材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より防寒衣料やスポーツ衣料、特にスポーツ衣料においては、運動による身体の自由な動きを確保するために、伸縮性が大きく且つ空隙率の大きい編織物を基材とした透湿性と防水性を兼ね備えた繊維布帛類が用いられている。該基材に透湿性および防水機能を付与したものとしてはポリテトラフルオロエチレンの２軸延伸フィルム、または透湿性を有するウレタンエラストマーフィルムを接着剤を介して貼り合わせた構造の布帛素材、その他該基材に湿式凝固法により微多孔質のウレタンエラストマー層を形成してなる布帛素材、等が提案されていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記のような布帛素材に使用する繊維としては、ナイロンあるいはポリエステル系であり、また一方形成されている微多孔質の樹脂皮膜はポリウレタンやポリテトラフルオロエチレン、等の樹脂組成であるため、得られたものは異なった組成物で構成された複合素材となっている。しかるに物の再利用が重要視されている現在、異なる組成材料よりなる布帛素材でつくられた衣料品は、特に使用後に廃棄処分するに当たっては、リサイクルに支障をきたすばかりか焼却処分する場合には、ウレタン樹脂、等は、ＮＯｘ、等の有害ガスを発生し、環境汚染の原因になるという問題があった。

【０００４】このような問題を解決するために、ポリエステル繊維布帛に透湿性を有するポリエステルフィルム（商品名ＳＹＭＰＡＴＥＸ、ＡＫＺＯ社製）を貼り合わせた同一樹脂組成材料による複合シートが提案されているが、該フィルムは無孔質膜であるために透湿性能が低く、衣料として実際着用した場合は快適性に劣っていた。そのためこれに代わる透湿性と防水性に優れ、しかも風合の良好な衣料用素材が強く要望されていた。

【０００５】本考案は上記のような課題に対処するために開発されたものであって、その目的とするところは従来の高耐水圧の性能を維持すると同時に、更に高い透湿性能を有する柔軟な風合を持った衣料素材で、なおかつ使用後に廃棄処分するにあたりリサイクルが容易であり、しかも焼却する場合においても環境汚染の恐れのない衣料用素材を提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するものであり、次の構成よりなるものである。すなわち、本考案の防水衣料やスポーツ衣料に適する衣料素材は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーフィルム（２）と、繊維布帛（１）が接着剤（５）、等により貼り合わされ、一体化してなる二層構造の複合シートにおいて、該エラストマーフィルムが微細空隙（４）を有することを特徴としている。

【０００７】本考案の衣料用素材の構成としては、すでに前述で提案されているポリエステル繊維布帛とポリエステルフィルムとの貼り合わせ、すなわち同種の組成物からなる基材を使用して複合構造とするもので、従来技術では解決できなかった風合の改善と、更に従来の耐水圧を維持すると同時に大幅な透湿性の向上を計るものである。

【０００８】本考案の衣料用素材に用いられるポリエステル繊維布帛は、通常一般的に使用される織物、編物、不織布、等が利用できる。

【０００９】また該繊維布帛との複合化に用いるポリエステルフィルムとしては、強度が高く弾性と柔軟性に優れるポリエステル系熱可塑性エラストマーのフィルムを基材とし、しかもこのフィルムに高い透湿性を発揮させるために、該フィルム中に無数の微細空隙を形成しているものが使用される。このようなフィルムは、ポリエステル系の熱可塑性エラストマー樹脂中に無機微粒子を混合し、更に加熱溶融することにより該微粒子を均一に分散させた後、表面が平滑な耐熱性樹脂フィルム上に塗布したり、加熱圧延すること、等の方法で得られる。

【００１０】エラストマー樹脂中に混合する無機微粒子物質としては、例えば炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、ゼオライト、シリカ、アルミナ、等が使用できる。なお、該微粒子の大きさとしては、０．５〜２．０μmのものが好ましい大きさである。すなわち、０．５μm以下では、微粒子の凝集が強くエラストマー樹脂中に均一に分散することは難しく、また２．０μm以上では、得られるフィルムの強度低下が大きくなり、本考案の衣料用素材を構成する基材としては不適当である。

【００１１】次に、該エラストマー樹脂に対する無機微粒子の配合割合は、得られるフィルムのフィルム強度および透湿性のバランス、および無機微粒子物質の比重にもよるが、該エラストマー樹脂１００重量部に対して５〜５０重量部が好ましい割合である。

【００１２】次に得られるフィルムの膜厚は５〜１５μmが好ましく、５μm以下では実用的なフィルム強度は得られ難く、１５μm以上では透湿性能が低下するので不適当である。ここで得られたフィルムは、５０〜１００℃に加熱された水酸化ナトリウムの水溶液で処理することにより、フィルム中に分散している無機微粒子の周囲に空隙を形成した透湿性に優れた柔軟性の高いフィルムが得られる。

【００１３】次に得られた該フィルムを、接着剤を使用してドライラミネート法により、ポリエステル系繊維布帛に貼り合わせて複合化することにより、本考案の衣料用素材が得られる。使用する接着剤としては、リサイクルを容易にするために、同一材料から構成されることが好ましく、ポリエステル系接着剤が望ましい。

【００１４】接着剤の塗布に当たっては、該エラストマーフィルムの透湿性を極力阻害しないために、接着剤は点状に付与する必要があり、グラビアコーターの使用が好ましい。なお、該フィルムのアルカリ処理による微細空隙の形成は、該繊維布帛との貼り合わせ後に実施しても構わない。その方法としては、カルボキシメチルセルロース系（ＣＭＣ）、アルギン酸系、等の増粘剤を使用し、粘度を１５０００〜３５０００ｃｐｓに調製した水酸化ナトリウム溶液をフィルムの表面に塗布した後、９５〜１０５℃でスチーミング処理することによっても達成される。

【００１５】従って、本考案の衣料用素材は、優れた防水性能を有すると同時に従来には見られない高い透湿性を兼ね供え、これまでのポリエステル系樹脂フィルムのラミネートでは得られない柔軟な風合のものであり、衣料として着用した場合、着用中における快適性は特に顕著なものである。更にこのような特徴に加え複合化された該衣料用素材は、使用される材料がすべてポリエステル樹脂組成の材料により構成されているので、衣料や資材として使用した後の廃棄にあたっては、リサイクル性に優れるという大きな利点がある。

【００１６】

【実施例】

本考案を、以下の具体的実施例により更に詳細に説明する。

【００１７】実施例１ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂（ペルプレンＰ−３０Ｂ東洋紡績（株）製）のチップに対し、炭酸カルシウム微粒子（平均粒径２μｍ）を１５重量％添加し、混合した混合チップを、２５０℃で加熱溶融後、攪拌混合して微粒子を均一分散した。

【００１８】更に、加熱温度を調節して混合した樹脂の粘度を１５０００〜２００００ｃｐｓの範囲に調製した後、耐熱性ポリアミド樹脂フィルム上に、押出しコートし、平均膜厚７〜１０μｍのポリエステル系熱可塑性エラストマーフィルムを得た。

【００１９】次にポリエステル系接着剤（バイロン、東洋紡績（株）製）をグラビアロールにて塗布したポリエステルタフタ織物と、上記で得たフィルムを貼り合わせた後、１５０℃で１分間熱処理した。

【００２０】次に得られた複合シートのフィルム面にＣＭＣ系の増粘剤（ファインガム、第一工業製薬（株）製）で、１００００〜１５０００ｃｐｓに増粘した１５度ボーメの水酸化ナトリウム溶液を、ナイフコーターにより４０〜５０ｇ／ｍ²塗布した後、１０５℃で１０分間スチーミング処理を行った。続いて水洗、乾燥をすることにより、高い透湿性を有する衣料用素材を得た。

【００２１】実施例２実施例１において分散させる微粒子を、酸化チタン（平均粒径１μｍ）に変え、該チップに対し１０重量％添加し、平均膜厚８〜１０μｍのポリエステル系熱可塑性エラストマーフィルムを得た後、該フィルムを１０度ボーメの水酸化ナトリウム水溶液で９５℃で、１０分間処理し、微細空隙を有するフィルムを得た。

【００２２】次にポリエステル系接着剤（バイロン、東洋紡績（株）製）をグラビアロールにて塗布したポリエステルタフタ織物と、上記で得たフィルムを貼り合わせた後、１５０℃で１分間熱処理することにより、高い透湿性を有する衣料用素材を得た。

【００２３】比較例１実施例１において添加する微粒子を除いて得られるポリエステル系熱可塑性フィルムを、実施例１と同様な方法により、ポリエステルタフタ織物と貼り合わせ、フィルム中に空隙を有しない衣料用素材を得た。

【００２４】比較例２市販の透湿性を有するポリエステルフィルム（商品名ＳＹＭＰＡＴＥＸ、無孔質タイプ、厚２０μm、ＡＫＺＯ社製）とポリエステルタフタ織物を、実施例１と同様な方法で貼り合わせ衣料用素材を得た。

【００２５】以上で得られた試料の性能評価を実施し、結果を表１にまとめた。評価方法は、耐水圧はＪＩＳＬ−１０９２、透湿性はＪＩＳＬ−１０９９（Ａ −１法）、風合は手触りにより行った。

【００２６】

【表１】 ┌─────────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │ │ 実施例１ │ 実施例２ │ 比較例１ │ 比較例２ │ ├─────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │耐水圧 │ 以上│ 以上│ 以上│ 以上│ │(mmＨ2Ｏ／cm²) │２０００ │２０００ │２０００ │２０００ │ ├─────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │透湿性 │ │ │ │ │ │(ｇ／cm²／24Ｈ)│７３００ │６８００ │１８００ │４０５０ │ ├─────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │風合 │ ○ │ ○ │ ○ │ × │ └─────────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ ○・・・・・良好 ×・・・・・不良

【００２７】

【考案の効果】

本考案による衣料用素材は、衣料や各種資材の基材として利用後の廃棄にあたってはリサイクル性に優れ、また焼却処分する場合においてＮＯｘ、等の有害ガス発生による環境汚染をしない環境にやさしい素材である。かつまた、素材の風合が良好で着用中のムレ感の少ない優れた防水性能と高い透湿性能を合わせ持つものであり、防水衣料、防寒衣料、スポーツ衣料、等に適した素材とである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施態様を示す概略断面図である。

【符号の説明】

１ポリエステル系繊維布帛２ポリエステル系熱可塑性エラストマーフィルム３無機微粒子４微細空隙５接着剤

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ポリエステル系熱可塑性エラストマーフィ
ルム（２）とポリエステル系繊維布帛（１）が貼り合わ
され一体化してなる二層構造の複合シートにおいて、該
エラストマーフィルムが微細空隙（４）を有することを
特徴とする衣料用素材。