JP3022368B2 - 簡易マスク - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、人体の呼吸気管
系を外気条件から保護するためのマスクに関し、より詳
言すれば、使い捨て型の簡易マスクに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来における呼吸気管系保護用のマスク
は、一般的には、鼻孔ばかりでなく、口唇をも広範に被
覆する角型のガーゼと、その両端縁に取り付けた一対の
耳掛け用の弾性輪とから成り、または、前記ガーゼと、
それを被覆する菱形のカバーと、その両端縁に取り付け
た一対の耳掛け用の弾性輪とから成るものであった。

【０００３】実用公開昭６４−３１７６２号は、一対の
鼻孔開口部を含む鼻の底面のみをその形状すなわち略等
脚台形に合わせて被覆する本体と、その本体内に装備す
るフィルターと、その本体の両側方に突出させた弾性材
から成る一対の保持部と、本体内面に設けた固定用の粘
着テープとを備えた防塵マスクを記載する。そして、そ
のマスクの鼻への固定手段は、本体の両側方に突出させ
た一対の弾性材で左右の小鼻を抱え込むように保持する
一方、本体の内面に設けた粘着テープで鼻の底面に貼付
することが開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、人
体の鼻孔部を含む両脇の小鼻や鼻の底面は特に汗や油が
出易く、かつ、骨が存在しない軟質の皮肉から成り、こ
のような軟質で滑り易い部分にその鼻の底面形状のマス
ク本体を長時間安定して正確に貼付固定することが要求
される。しかしながら、このような課題に対応する手段
について前記先行技術は未解決である。他方において、
一般に、人体の鼻孔部を含む鼻の底面の顔面からの突出
長さは、人種や育ちによって高低（長短）の相違がある
一方、鼻の底面の幅の広狭もまた各種各様であり、この
ような一様でない鼻の底面をマスク本体で過不足なく被
覆することが要求される。しかしながら、このような鼻
の底面の形状の相違に対応する手段について前記先行技
術は未解決である。

【０００５】この発明の目的は、マスク本体の形状を鼻
の底面を被覆するのみの大きさに限定する簡易マスクに
おいて、そのマスク本体を鼻の底面に長時間安定して正
確に貼付固定することができる一方、鼻の底面の突出長
さの高低（長短）及び広狭にも過不足なく対応して使用
し得る簡易マスクを提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明による簡易マス
クは、上記の目的を達するために、少くとも一対の鼻孔
開口部を被覆することが可能な広さを有し、略平行な長
辺と短辺及びそれら２つの辺端間を結ぶ略等長の非平行
な一対の側辺とを備えた略等脚台形形状のエアフィルタ
ー材と、前記長辺の端部に近接する側辺の部分をいずれ
も除外した前記一対の側辺から両側方へそれぞれ突出さ
せた略３角形状乃至台形形状の軟質な一対のシート材、
それらのシート材の各上面に設けた粘着剤塗付層、及
び、使用前の段階においてその粘着剤塗付層を保護する
ための剥離紙とを備えた鼻の両側部への貼付手段と、前
記一対のシート材の取付位置から突出した前記エアフィ
ルター材の前記長辺に沿って形成されるフラップと、か
ら成るマスクを設け、鼻の底面の突出長さが短い場合に
は前記フラップを折り曲げて対応使用し得るようにした
点にある。従って、鼻の底面の突出長さが長い場合に
は、前記フラップは折り曲げられず、それと一体のエア
フィルター材の延長面上に位置して、鼻の底面を被覆す
る。鼻の底面の幅が広い場合には、その底面に対して幅
狭のエアフィルター材から突出する一対のシート材の粘
着固定力を利用して、鼻の底面の幅を強制的に狭く保持
した状態で貼付固定する。

【０００７】なお、この発明による簡易マスクは、一対
のシート材を、エアフィルター材の下面を経由させた１
枚続きとし、更に、エアフィルター材の下面に接する部
分に通気を許す複数の開口部を設けることもできる。

【０００８】

【発明の実施の形態】この発明による簡易マスクの各部
の構成について、図１から３で示す第１実施例により以
下に詳言すれば、この簡易マスクは、エアフィルター材
６と、一対の貼付用シート材７及び８と、一対の剥離紙
９及び１０とから構成されている。

【０００９】エアフィルター材６の材質は、例えば、濾
紙、麻、木綿、フェルト、ガラス繊維等からなる通気性
を有する織物、ビニール、ナイロン、ポリエチレンなど
を素材とする多孔性の柔軟な樹脂等を、単層で、または
複層に成形して使用し、用途によっては、活性炭等の吸
着材や抗菌材等を充填するものであることも考えられ
る。

【００１０】エアフィルター材６は、図１で示すよう
に、人体における鼻の隆起部の下面の略２等辺３角形状
の頭頂部１１を除外した少くとも一対の鼻孔開口部１２
及び１３を被覆することが可能な広さを有せしめ、その
形状は、例えば、図示するように、略平行な長辺２０と
短辺２１、及び、それら２つの辺端間を結ぶ略等長の非
平行な一対の側辺１６，１７とを備えた略等脚台形をし
たものであって、その相対的な大きさは、年齢、性別、
人種などの相違によって異なるが、大体は相似形とみて
差支えない。

【００１１】一対の貼付用シート材７及び８は、前記長
辺２０の端部に近接する側辺の部分１６ａ及び１７ａを
いずれも除外したエアフィルター材の平行でない２つの
側辺１６及び１７から両側方へそれぞれ突出させ、その
形状は、例えば、図示するように、略３角形状乃至台形
形状をしたものである。従って、図１で示すように、こ
の発明では、一対のシート材７及び８がエアフィルター
材６の両側辺の全部にわたって取り付けられてはおら
ず、その一部１６及び１７に取り付けられ、他の一部１
６ａ及び１７ａ、すなわち、エアフィルター材６の長辺
２０の端部に近接する側辺の部分１６ａ及び１７ａを非
取付部分としたので、その非取付部分は貼付時の固定か
ら自由な状態を保つことができる。かくして、一対のシ
ート材７及び８の取付位置から突出した非取付側辺１６
ａ及び１７ａとエアフィルター材６の長辺２０とに沿っ
てフラップが形成され、このフラップが鼻の底面の突出
長さの相違に対応調節してマスクを使用可能にする。

【００１２】一対の貼付用シート材７及び８の材質は、
例えば塩化ビニールをベース材とし、その上面に粘着剤
塗布層１４を設ける。ベース材をエアフィルター材と同
一の素材とする場合には、このマスクは継目なしの一体
構造となる。粘着剤は天然ゴム又は樹脂等を素材とし、
それを溶剤に入れ、加熱して溶解した後、貼付用シート
材７及び８の上面に塗布し、溶剤が気化して作成された
ものであり、鼻の両側面部の皮膚に直接貼付されるた
め、なるべく、アレルギーの生じない材質を選別して使
用することが望まれる。

【００１３】更に、一対の貼付用シート材７及び８は、
直接皮膚の表面をカバーするものであるから、皮膚の生
活反応、例えば、通気や発汗、皮脂の漏出によって剥離
されないように、多数の通気孔１５を設けることが望ま
しい。

【００１４】図２において、９及び１０は、使用前の段
階において、少くとも前記一対の貼付用シート材７及び
８の上面に設けた粘着剤塗布層１４を保護するための剥
離紙である。

【００１５】一対の剥離紙９及び１０は、使用直前に剥
離されて捨てられ、かくして、露出した粘着剤塗布層１
４を、図３で示すように、鼻の両側の皮膚面にそれぞれ
貼付すると、それと一体のシート材７及び８が鼻の両側
皮膚面に貼付固定され、従って、それら双方の中央部に
位置するエアフィルター材６が鼻の底面における少くと
も一対の鼻孔開口部１２及び１３を下方から上方へ向け
て閉鎖する状態で保持され、かくして、簡易マスクの装
着が完了する。

【００１６】簡易マスクの装着を取り外すときには、鼻
の両側皮膚面に貼付されている一対のシート材７及び８
を手指で剥離すれば、それに伴なってエアフィルター材
６もまた鼻の底面から剥離するので、それを、折りたた
んだ後、廃棄する。

【００１７】図４及び５で示す第２実施例は、前記第１
実施例に対して、一対の貼付用シート材７及び８が、エ
アフィルター材６の下面におけるそれらと同一素材で作
成された連結用シート材１８で１枚続きに連続されたも
のを示す。

【００１８】更に、前記第２実施例における連結用シー
ト材１８は、エアフィルター材６の直接下面に位置する
ために、通気を阻害することが許されないから、それら
の全面に比較的大型の多数の通気孔１９を設ける。

【００１９】

【発明の効果】以上詳述したように、この発明による簡
易マスクは、エアフィルターによる被覆エリアが一対の
鼻孔開口部を含む鼻の底面に極限されている関係から生
じる課題、すなわち、そのエアフィルターを軟質で滑り
易い鼻の底面に長時間安定して正確に貼付固定する手段
と、鼻の底面の突出長さ及び幅の相違への対応取付手段
に対して、一対のシート材を使って鼻の両側部に強固に
貼付させる一方、エアフィルターと一対のシート材との
取付位置にフラップと称する調整手段を設けて解決した
から、実際的な使用に耐えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による簡易マスクの第１実施例を示す
図２の１−１線に沿った横断平面図であって、鼻孔への
取付の位置関係を２点鎖線で示す。

【図２】図１の２−２線に沿った縦断正面図であって、
使用直前に取り除かれるべき剥離紙が添付されている状
態を示す。

【図３】図１の簡易マスクを鼻孔に取付使用する状態を
示す正面図。

【図４】この発明による簡易マスクの第２実施例を示す
図５の４−４線に沿った横断平面図であって、鼻孔への
取付の位置関係を２点鎖線で示す。

【図５】図４の５−５線に沿った縦断正面図であって、
使用直前に取り除かれるべき剥離紙が添付されている状
態を示す。

【符号の説明】

鼻の底面被覆手段 １１ 鼻の頭頂部 １２及び１３ 鼻孔開口部 ６ エアフィルター材 ２０及び２１ 略平行な長辺と短辺 １６，１６ａ及び１７，１７ａ 非平行な一対の側辺 １６及び１７ 一対のシート材７，８の取付部分 １６ａ及び１７ａ 一対のシート材７，８の非取付部
分 ２０，１６ａ及び１７ａによって形成される部分 フ
ラップ 鼻の両側部への貼付手段 ７及び８ 一対の貼付用シート材 １５ 通気孔 １４ 粘着剤塗布層 ９及び１０ 一対の剥離紙 第２実施例 １８ 連結用シート材 １９ 比較的大形の通気孔

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少くとも一対の鼻孔開口部を被覆するこ
   とが可能な広さを有し、略平行な長辺と短辺及びそれら
   ２つの辺端間を結ぶ略等長の非平行な一対の側辺とを備
   えた略等脚台形形状のエアフィルター材と、 前記長辺の端部に近接する側辺の部分をいずれも除外し
   た前記一対の側辺から両側方へそれぞれ突出させた略３
   角形状乃至台形形状の軟質な一対のシート材、それらの
   シート材の各上面に設けた粘着剤塗付層、及び、使用前
   の段階においてその粘着剤塗付層を保護するための剥離
   紙とを備えた鼻の両側部への貼付手段と、 前記一対のシート材の取付位置から突出した前記エアフ
   ィルター材の前記長辺に沿って形成されるフラップと、 から成り、 鼻の底面の突出長さが短い場合に前記フラップを折り曲
   げて対応使用し得る、ことを特徴とする簡易マスク。
2. 【請求項２】 一対のシート材を、エアフィルター材の
   下面を経由させた１枚続きとし、更に、エアフィルター
   材の下面に接する部分に通気を許す複数の開口部を設け
   た請求項１に記載のマスク。