JP3020929B1 - 電動介護リフトにおける緊急下げ機構 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】 患者等を持ち上げ、吊り下げる手段を、停電
や、故障となっても、速やかに下降動作可能として患者
を解放できるようにする。 【解決手段】 クランクハンドル１５を操作すること
で、ねじシャフト１８を中空パイプ１６側から突出作動
させて、ねじシャフト１８先端側の軸受け部材１９を介
して頂部部材１３を支柱４側から上昇させることで、最
高位置に持ち上げた状態のブーム６先端の吊り下げ手段
７を下降させるようにする。さらにベースフレーム３ａ
に、補助フレーム３ｂを屈曲可能に連結した構造とした
ことで、不使用時に前記補助フレーム３ｂを支柱４側
に、折り曲げ状態とする一方、手動直動駆動機構１４を
操作して、ブーム６基端部を持ち上げて前記ブーム６先
端側の吊り下げ手段７を、折り曲げた補助フレーム３ｂ
に沿わせるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、重病患者、老人等
が、介護者等の手助けによってベッドから浴室やトイレ
等、他の場所に移動したり、車椅子に乗り移ったりする
際に、体ごと持ち上げる電動介護リフトにおいて、患者
等を持ち上げ、吊り下げる手段を、停電時や、緊急時に
備えて速やかに下降させるようにした、電動介護リフト
における緊急下げ機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、我が国では、世界でも有数の長寿
国となり、今日ほど、高齢化社会にふさわしい環境づく
りが望まれている時代はないといわれている。その中の
一環として、老人が安心して生活していけるような段差
の少ない構造の住宅をはじめ、家庭内における備品とし
ては、例えば、在宅用ベッド、車椅子、歩行補助器、補
助支柱など、枚挙に暇がないほどである。ところで、本
出願人は、特に自力で歩行が困難な老人に対して、ベッ
ドと車椅子との間、またトイレや浴室などへ、介護者が
容易に移動させることができるように、老人を電動で吊
り上げた状態で移動させることができるという、電動介
護リフトを商品化してきた。かかる電動介護リフトを用
いれば、非力な介護者であっても、難なく老人を移動さ
せることができ、大変な重労働から開放することができ
るという、大きなメリットをもたらしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電動介
護リフトは、電動式であるので、使用途中で停電となっ
たり、電装品等に何らかの異常が発生した場合、特に介
護者が高齢であったり、女性であるときは、老人を吊り
下げた状態から速やかに降ろして解放することは困難で
あり、緊急時に対応しきれないことが懸念される。ま
た、前記電動介護リフトは、安定性を重視した脚部並び
に吊り下げ手段の形状故にそれ相応の占有スペースを必
要とし、不使用時においては、保管場所に困るといった
事態が生ずるおそれがある。本発明は、かかる不都合を
改善するために提案されたものであって、患者等を持ち
上げ、吊り下げる手段を、停電や、故障となっても、速
やかに下降動作可能として患者を解放できるようにし
た、電動介護リフトにおける緊急下げ機構を提供するこ
とを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記した課題を解決する
ために、本発明は、重病患者、老人等を、介護者等によ
って身体を持ち上げて移動させるようにした電動介護リ
フトにおいて、ベッドにおける側面からボトム下方に差
し入れ可能に構成した台車と、この台車前方に立設した
支柱と、支柱上端側に基端部を回動可能に取り付けると
共に、直動駆動機構によって先端部を昇降させるようし
たブームを有し、このブーム先端に患者等を持ち上げ、
吊り下げる吊り下げ手段を設け、前記支柱上端側におい
て、ブーム基端部を手動直動駆動機構を介して支柱に取
り付けて、前記ブーム先端部を昇降させる直動駆動機構
の動作不能時に、前記手動直動駆動機構を操作して、ブ
ーム基端部側を持ち上げることで、持ち上げた状態のブ
ーム先端部の吊り下げ手段を、下降させるようにした。
前述の構成において、台車は、第１の車輪を装着したベ
ースフレームに、第２の車輪を装着した補助フレームを
屈曲可能に連結し、不使用時に前記補助フレームを支柱
側に、折り曲げ状態とする一方、支柱先端側の手動直動
駆動機構を操作して、ブーム基端部を持ち上げて前記ブ
ーム先端側の吊り下げ手段を、折り曲げた補助フレーム
に沿わせるように構成することができる。

【０００５】

【発明の実施の形態】次に、本発明にかかる電動介護リ
フトにおける緊急下げ機構について、一つの実施の形態
を示し、添付の図面に基づいて以下説明する。図１に電
動介護リフト１を示し、この電動介護リフト１には緊急
下げ機構２が備えられている。すなわち、前記電動介護
リフト１は、ベッド（図示省略）における側面からボト
ム（図示省略）下方に差し入れ可能に構成した台車３
と、この台車３前方に立設した支柱４と、支柱４上端側
に基端部を回動可能に取り付けると共に、中間部と支柱
４との間に設けた直動駆動機構５によって、先端部を昇
降させるようしたブーム６を有し、このブーム６先端に
患者等を持ち上げ、吊り下げる吊り下げ手段７を設けた
構造としている。

【０００６】前記台車３は、第１の車輪８を装着したベ
ースフレーム３ａに、第１車輪８に比較して小径な第２
の車輪９を装着した補助フレーム３ｂを屈曲可能に連結
したものである。前記ベースフレーム３ａと補助フレー
ム３ｂとの間には、段差があり、ベースフレーム３ａ
は、第１車輪８によって補助フレーム３ｂに比較して高
く支持されており、また側面寸法において、補助フレー
ム３ｂをベースフレーム３ａに比較して大としている。

【０００７】また、前記支柱４は、ベースフレーム３ａ
と補助フレーム３ｂとの連結箇所に、支柱４の先端側が
傾斜（取り付け箇所中心に、例えば略１５゜傾斜）する
ように固設されている。前記直動駆動機構５は、モータ
５ａによって直動駆動する直動軸５ｂを備えたもので、
モータ５ａ側を支柱４に、前記直動軸５ｂ側を前記ブー
ム６中間部側に取り付けている。なお、前記支柱４の先
端側には、直動駆動機構５を操作するためのコントロー
ラ（図示省略）や、操作スイッチ（図示省略）等を搭載
した、コントロールボックス１０、並びにバッテリー１
１を備えている。さらに前記支柱４には、電動介護リフ
ト１を掴んで移動させるための、ループ状ハンドル１２
が取り付けられている。そして前記ブーム６は、先端側
に近接する側を湾曲させた弓形形状として、基端部側を
支柱４頂部に装着した頂部部材１３に回動可能に取り付
けている。なお、この頂部部材１３には、緊急下げ機構
２を構成する手動直動駆動機構（後述）のねじシャフト
先端側が取り付けられている（後述）。

【０００８】そこで、前記緊急下げ機構２について説明
する。図２に示すように、緊急下げ機構２は、支柱４内
に装入した手動直動駆動機構１４と、頂部部材１３を介
して手動直動駆動機構１４に連結したクランクハンドル
１５とによって構成している。前記手動直動駆動機構１
４は、支柱４内に装入して、支柱４側に固定するように
した、中空パイプ１６と、この中空パイプ１６の開口端
に装着しためねじ部材１７と、このめねじ部材１７を介
して中空パイプ１６内に進退可能に螺入したねじシャフ
ト１８とを有し、このねじシャフト１８先端側に、軸受
け部材１９を介して前記頂部部材１３を装着している。
さらに、前記軸受け部材１９とクランクハンドル１５と
は、軸受け部材１９側に設けた角穴２０に、クランクハ
ンドル１５の外形多角形状の動力軸２１を、着脱可能に
装着する構造としている。かかる手動直動駆動機構１４
を、クランクハンドル１５を操作することで、ねじシャ
フト１８を中空パイプ１６側から突出作動させて、ねじ
シャフト１８先端側の軸受け部材１９を介して前記頂部
部材１３を支柱４側から上昇させることで、最高位置に
持ち上げた状態のブーム６先端の吊り下げ手段７を下降
させるようにしている（図３参照）。

【０００９】さらに台車３を、第１車輪８を装着したベ
ースフレーム３ａに、第１車輪８に比較して小径な第２
車輪９を装着した補助フレーム３ｂを屈曲可能に連結し
た構造としたことにより、図２に示すように、不使用時
に前記補助フレーム３ｂを支柱４側に、折り曲げ状態と
する一方、支柱４先端側の手動直動駆動機構１４を操作
して、ブーム６基端部を持ち上げて前記ブーム６先端側
の吊り下げ手段７を、折り曲げた補助フレーム３ｂに沿
わせるように構成している（図４参照）。

【００１０】以上のような電動介護リフトにおける緊急
下げ機構２において、患者をベッドから持ち上げて、車
椅子や、トイレ、浴室などへ移動させるには、直動駆動
機構５を起動するべくコントロールボックス１０におけ
る運転スイッチを操作して直動軸５ｂを伸長駆動させ、
ブーム６を、頂部部材１３に取り付けた基端部を中心と
して先端側を持ち上げるようにする。これによって、ブ
ーム６先端側の吊り下げ手段７に係止したシート状部材
に乗せられた患者は、最高位置まで持ち上げられた状態
となり、この状態で電動介護リフト１を所望の箇所に搬
送することができる。

【００１１】ところで、電動介護リフト１を搬送中や、
持ち上げ操作した際に、停電、あるいは、何らかの原因
により、直動駆動機構５が作動不能に陥った場合は、頂
部部材１３の頂上側から、軸受け部材１９に設けた角穴
２０に、クランクハンドル１５の動力軸２１を連結し
て、クランクハンドル１５を操作することでねじシャフ
ト１８を回転させ、昇降速度を越えた速度で、最高位置
に持ち上げた状態のブーム６先端の吊り下げ手段７を下
降させることができ、患者をほぼベッドのボトムの位置
まで降ろすことができ、速やかに患者を解放することが
できる（図３参照）。このように、停電や、何らかのア
クシデントで、ブーム６が作動不能となっても、手動直
動駆動機構１４により、ブーム６を下降させて、少なく
とも患者をベッドのボトムまで下ろすことができるの
で、全く問題はない。

【００１２】また、以上のような電動介護リフト１を使
用していないときは、台車３において、補助フレーム３
ｂを支柱４側に、折り曲げ状態とする一方、支柱４先端
側の手動直動駆動機構１４を操作して、ブーム６基端部
を持ち上げて前記ブーム６先端側の吊り下げ手段７を、
折り曲げた補助フレーム３ｂに沿わせるようにする。こ
のようにすることで、占有スペースはさほどとらず、部
屋の片隅にでも立てかけておくことができ、いつでも緊
急使用に供することができる（図４参照）。

【００１３】

【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、万が一の
停電や、何らかの不具合により、電動の駆動機構が作動
不能となっても、手動式駆動機構により、吊り下げ手段
である、ブームを動かすことができ、安全対策は万全で
ある。また、不使用時、台車だけではなく、ブームを折
り畳んでおくことができるので、占有スペースはさほど
とらず、部屋の片隅にでも立てかけておくことができ、
いつでも緊急使用時に対応することができる。

【００１４】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる緊急下げ機構を備えた電動介護
リフトの一つの実施形態を示す側面説明図である。

【図２】図１に示す電動介護リフトに適用される緊急下
げ機構の一例を示した、分解斜視説明図である。

【図３】本発明にかかる緊急下げ機構を備えた電動介護
リフトにおいて、使用状態の説明に供する、概略側面図
である。

【図４】本発明にかかる緊急下げ機構を備えた電動介護
リフトにおいて、折り畳み機能を説明するための概略側
面図である。

【符号の説明】

１ 電動介護リフト ２ 緊急下げ機構 ３ 台車 ３ａ ベースフレーム ３ｂ 補助フレーム ４ 支柱 ５ 直動駆動機構 ５ａ モータ ５ｂ 直動軸 ６ ブーム ７ 吊り下げ手段 ８ 第１車輪 ９ 第２車輪 １０ コントロールボックス １１ バッテリー １２ ハンドル １３ 頂部部材 １４ 手動直動駆動機構 １５ クランクハンドル １６ 中空パイプ １７ めねじ部材 １８ ねじシャフト １９ 軸受け部材 ２０ 角穴 ２１ 動力軸

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 重病患者、老人等を、介護者等によっ
   て身体を持ち上げて移動させるようにした電動介護リフ
   トにおいて、ベッドにおける側面からボトム下方に差し
   入れ可能に構成した台車と、この台車前方に立設した支
   柱と、支柱上端側に基端部を回動可能に取り付けると共
   に、直動駆動機構によって先端部を昇降させるようした
   ブームを有し、このブーム先端に患者等を持ち上げ、吊
   り下げる吊り下げ手段を設け、前記支柱上端側におい
   て、ブーム基端部を手動直動駆動機構を介して支柱に取
   り付けて、前記ブーム先端部を昇降させる直動駆動機構
   の動作不能時に、前記手動直動駆動機構を操作して、ブ
   ーム基端部側を持ち上げることで、持ち上げた状態のブ
   ーム先端部の吊り下げ手段を、下降させるようにしたこ
   とを特徴とする電動介護リフトにおける緊急下げ機構。
2. 【請求項２】 前記台車は、第１の車輪を装着したベ
   ースフレームに、第２の車輪を装着した補助フレームを
   屈曲可能に連結し、不使用時に前記補助フレームを支柱
   側に、折り曲げ状態とする一方、支柱先端側の手動直動
   駆動機構を操作して、ブーム基端部を持ち上げて前記ブ
   ーム先端側の吊り下げ手段を、折り曲げた補助フレーム
   に沿わせるようにしたことを特徴とする請求項１記載の
   電動介護リフトにおける緊急下げ機構。