JP3020143B2 - 脱硫剤の製造方法 - Google Patents

脱硫剤の製造方法

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JP3020143B2
JP3020143B2 JP9015947A JP1594797A JP3020143B2 JP 3020143 B2 JP3020143 B2 JP 3020143B2 JP 9015947 A JP9015947 A JP 9015947A JP 1594797 A JP1594797 A JP 1594797A JP 3020143 B2 JP3020143 B2 JP 3020143B2
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calcium
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calcium carbonate
producing
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詔平 武田
孝 鶴江
紘三 石崎
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭火力発電所か
ら大量に発生する石炭灰(フライアッシュ)と炭酸カル
シウムを炭酸ガス雰囲気下で直接反応させる乾式脱硫剤
の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、従来
の脱硫剤の製造法を改良し、製造コストの低減化を目的
とする熱水養生法による脱硫剤の製造方法に関するもの
である。本発明で得られる脱硫剤を用いることにより、
石炭、重油等のSO2を含む燃焼排ガスの乾式脱硫を行
うことができる。
【0002】
【従来の技術】従来、石炭灰を二酸化ケイ素と酸化アル
ミニウム源とし、炭酸カルシウムをカルシウム源とする
熱水養生法あるいは水蒸気養生法による乾式脱硫剤の製
造方法に関して種々研究がなされてきた。しかし、いず
れの製造方法も石炭灰にカルシウム源としての炭酸カル
シウムを直接反応させて脱硫剤を製造できないため、例
えば、炭酸カルシウムを900℃前後の高温で焼成して
得られる生石灰あるいは焼成後の生石灰に水を反応させ
て得られる水酸化カルシウムをカルシウム源としてい
る。従って、生石灰あるいは水酸化カルシウムを製造す
るための大量の熱源及び大容量の装置が必要であり、そ
れらのコストの脱硫剤製造コストに占める割合は非常に
高い。そこで、その製造コストの低減化を目的とする開
発研究が種々行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】脱硫剤製造コストの低
減化は種々考えられるが、最も重要な課題はカルシウム
源として炭酸カルシウムを生石灰あるいは水酸化カルシ
ウムにいったん変換する工程を除くことである。即ち、
本発明は、石炭灰に炭酸カルシウムを直接反応させて脱
硫剤を製造する方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意検討の結果、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明は、水に対する溶解度が非常に低い炭
酸カルシウムを炭酸ガス雰囲気下の熱水中でカルシウム
(Ca2+)イオンの形態にし、このカルシウムイオンに
炭酸ガス雰囲気下の熱水中で石炭灰から溶出するアルミ
ナ及びケイ酸の成分を水和反応させて脱硫剤を製造する
方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法を図面に基づい
て詳細に説明する。図1は、本発明に係わる乾式脱硫剤
の製造工程の一例を示している。本発明を実施するに
は、先ず、石炭灰と微粉砕した炭酸カルシウムを準備す
る。次に、炭酸ガスを流通させた熱水中に炭酸カルシウ
ムを入れ、撹拌しながら溶解させる。次いで、この液に
石炭灰を水に分散させて形成した石炭灰の水性スラリー
液を加え、両者を熱水養生して、水和反応を行う。一定
時間後、スラリー水和物(反応生成物)を脱水後乾燥
し、必要に応じて破砕あるいは造粒して粒径を調整す
る。尚、図1の製造工程は、本発明に係わる脱硫剤の製
造方法の一例を示したものであり、上記の製造工程にお
いて、熱水養生反応容器としては慣用のものを用いるこ
とができ、また、粒径の調整は常法により行うことが可
能である。
【0006】本発明においては、炭酸ガス雰囲気下の熱
水中で石炭灰の粒子表面のガラス質から溶出した二酸化
ケイ素及び酸化アルミナとカルシウムイオンとが反応
し、針状結晶や板状結晶からなるアルミナ−ケイ酸−カ
ルシウム水和物が生成する。この場合の反応は次式で表
される。
【化1】
【0007】本発明による脱硫剤の製造方法は、60〜
90wt%、好ましくは70〜80wt%の石炭灰と、
CaO換算で10〜40wt%、好ましくは20〜30
wt%の炭酸カルシウムとの混合物を、炭酸ガス雰囲気
下において、80〜120℃の温度で8〜15時間熱水
養生することによって実施される。炭酸ガス雰囲気は、
石炭灰と炭酸カルシウムと水からなる混合物(養生液)
を充填した養生反応器内に炭酸ガスを流通させるか又は
圧入することにより形成することができる。また、養生
液中に溶解するカルシウムイオンは、Caとして、水1
リットル当り、7〜28g、好ましくは14〜20gの
範囲にコントロールするのがよい。このカルシウムイオ
ン濃度は、養生反応器内の炭酸ガス分圧でコントロール
することができる。
【0008】本発明による脱硫剤の乾燥温度は、110
〜250℃、好ましくは200〜220℃である。乾燥
温度110℃未満では乾燥が充分でなく、250℃を超
えると熱水養生で生成したアルミナ−ケイ酸−カルシウ
ム水和物からその水酸基及び結晶水が除去されるため製
品が収縮し、脱硫性能の低下が起る。200〜220℃
での乾燥水和物は、80%以上の脱硫性能を有する。
【0009】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるもの
ではない。
【0010】実施例1〜5 75wt%の石炭灰と微粉砕した25wt%の炭酸カル
シウム(CaO換算)を養生時間:10時間、養生温
度:80℃(実施例1)、90℃(実施例2)、100
℃(実施例3)、110℃(実施例4)及び120℃
(実施例5)の各条件で、炭酸ガスを流通させた約40
0mlの熱水中で水和反応させ脱硫剤を製造した。50
0ml容量のガラス製反応容器をマントルヒーターを用
いて温度調節器で反応温度を調節し、熱水容量を常時一
定量に保持して撹拌しながら反応を行った。反応終了後
の水和物は脱水後、200℃で2時間乾燥し、破砕して
粒径1〜2mmに調整した。脱硫剤の性能評価は、石炭
の燃焼排ガスを模擬した混合ガス(SO2:900pp
m、NO:450ppm、O2:6%、CO2:13%、
2O:10%、残りバランスガス:N2)を130〜1
65℃に保持し、5gの脱硫剤と接触させて混合ガス中
の残存SO2を測定し、脱硫率を求めた。ここで得られ
た脱硫剤の脱硫率(%)と養生温度との関係を表1に示
す。
【0011】
【表1】
【0012】実施例5で得られた脱硫剤のSO2吸収曲
線及びSO2吸収速度の一例をそれぞれ図2、図3に示
す。混合ガスを脱硫剤に接触後、30分で約85%の脱
硫率が得られ、その後90%以上の脱硫率が約3時間維
持される(図2参照)。SO2吸収速度は、SO2初濃度
を150〜1500ppmの範囲で変化させた時、SO
2濃度に対して概略一乗に比例して増加する(図3参
照)。脱硫剤の性能評価を行う際の混合ガス温度の脱硫
率に対する影響は、表2に示したように100〜165
℃でほぼ一定である。従って、以下の実施例では165
℃で脱硫性能試験を行った。
【0013】
【表2】
【0014】実施例6〜9 75wt%の石炭灰と微粉砕した25wt%の炭酸カル
シウム(CaO換算)を養生温度:120℃、養生時
間:6時間(実施例6)、8時間(実施例7)、10時
間(実施例8)及び15時間(実施例9)の各条件で、
実施例1と同様に脱硫剤を製造し、性能評価を行った。
ここで得られた脱硫剤の脱硫率(%)と養生時間の関係
を表3に示す。
【0015】
【表3】
【0016】実施例10〜14 石炭灰と炭酸カルシウム(CaO換算)の割合を85w
t%:15wt%(実施例10)、80wt%:20w
t%(実施例11)、75wt%:25wt%(実施例
12)、70wt%:30wt%(実施例13)及び6
5wt%:35wt%(実施例14)と変えて、養生時
間:10時間、養生温度:120℃の条件で実施例1と
同様に脱硫剤を製造し、脱硫性能評価を行った。ここで
得られた脱硫剤の脱硫率(%)と石炭灰−炭酸カルシウ
ムの混合割合の関係を表4に示す。
【0017】
【表4】
【0018】実施例15〜18 75wt%の石炭灰と微粉砕した25wt%の炭酸カル
シウムを養生温度:120℃、養生時間:10時間で熱
水養生し、生成した水和物を脱水後、150℃(実施例
15)、200℃(実施例16)、250℃(実施例1
7)及び300℃(実施例18)の各条件で2時間乾燥
した。得られた脱硫剤の脱硫率(%)と乾燥温度の関係
を表5に示した。
【0019】
【表5】
【0020】
【発明の効果】本発明による炭酸ガス雰囲気下の熱水養
生法による脱硫剤の製造方法は、従来の製造方法の最大
の問題点とされていた高コストの原因とされる炭酸カル
シウムを生石灰あるいは水酸化カルシウムにいったん変
換する前処理工程を必要としないため、脱硫剤の製造コ
ストを大幅に減らす利点がある。従って、本発明は、石
炭火力等を対象にした脱硫剤として、また石炭火力発電
所から大量に発生する石炭灰の有効利用面から発展して
いくことが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる乾式脱硫剤の製造工程の一実施
例を示す説明図である。
【図2】実施例5で製造した脱硫剤のSO2吸収曲線の
一例である。
【図3】実施例5で製造した脱硫剤のSO2吸収速度の
一例である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴江 孝 北海道札幌市豊平区月寒東2条17丁目2 番1号 工業技術院北海道工業技術研究 所内 (72)発明者 石崎 紘三 北海道札幌市豊平区月寒東2条17丁目2 番1号 工業技術院北海道工業技術研究 所内 (72)発明者 野田 良男 北海道札幌市豊平区月寒東2条17丁目2 番1号 工業技術院北海道工業技術研究 所内 (56)参考文献 特開 平6−31282(JP,A) 特開 平4−59043(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/10 ZAB B01D 53/50 B01D 53/81

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭灰と炭酸カルシウムとの混合物を炭
    酸ガス雰囲気下で熱水養生することを特徴とする脱硫剤
    の製造方法。
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