JP3018895U - 草刈機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カッターに跳ね飛ばされた異物が、外部に飛
び出すのを防止することができる草刈機を提供すること
を目的とする。 【構成】 スカート状のカッターデッキ２１内に高速回
転するカッター２３を備え、カッター２３により刈り取
った草を、カッターデッキ２１の内部に連なる排出口２
８から排出するロータリー式の草刈機１において、この
排出口２８に、刈り取った草の通過を許容すると共に、
草と共に排出される異物の通過を阻止する第１異物阻止
部材２９を設けたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ロータリーモアと呼ばれ、回転するカッターで草（一般的には芝） を刈り取るロータリー式の草刈機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来この種の草刈機は、ゴルフ場などの芝刈機として開発されたものであり、 比較的小型の手押式のもの、および比較的大型の自走式のものが一般的に知られ ている。この種の草刈機は、操作ハンドルを有する４輪の車体に、草刈機本体と 動力部であるエンジンとを搭載して、構成されている。草刈機本体は、スカート 状のカッターデッキと、カッターデッキ内に配設されたカッターとを備えている 。カッターは一文字状に配設され、中心部でカッターデッキ上に載置したエンジ ンの出力軸に接続されている。

【０００３】 カッターデッキは、略円形の上板部と上板部の外縁から下側に延びる周板部と で、伏せた皿形状に形成されており、地面から数センチ浮いた位置に設けられて いる。また、カッターデッキの右側（走行方向に対し「右」）には、先端に刈り 取った草を排出する排出口を備えた排出ガイドが取り付けられている。排出ガイ ドは、カッターデッキと同様に下部が開放されており、カッターデッキから渦巻 状に延びている。

【０００４】 この草刈機では、エンジンを動力として、前方にゆっくり走行する（自走式の 場合）と共にカッターが高速で回転し、カッターデッキ内に呼び込んだ草を水平 に刈ってゆく。刈り取られた草はカッターの遠心力により、カッターデッキの内 周面に案内されるように移動し、これに続く排出ガイドから外部に連続的に排出 される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 ところで、このような従来の草刈機を用いて雑草などを刈ると、雑草に混じっ ている小石などの異物がカッターに跳ね飛ばされて雑草と共に排出され、また異 物とカッターとの当たり角度によっては、異物がカッターデッキと地面との間隙 から排出される。この場合、異物は、雑草と異なりカッターに跳ね飛ばされ勢い よく飛び出して（排出されて）くるため、作業がし難く、予め雑草の中から異物 を取り除くなどの作業を強いられる不具合があった。

【０００６】 本考案は、カッターに跳ね飛ばされた異物が、外部に飛び出すのを防止するこ とができる草刈機を提供することをその目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成すべく請求項１の草刈機は、スカート状のカッターデッキ内に 高速回転するカッターを備え、カッターにより刈り取った草を、カッターデッキ の内部に連なる排出口から排出するロータリー式の草刈機において、この排出口 に、刈り取った草の通過を許容すると共に、草と共に排出される異物の通過を阻 止する第１異物阻止部材を設けたことを特徴とする。

【０００８】 請求項１の草刈機において、第１異物阻止部材は、排出口を覆うと共に櫛歯状 に形成されていることが、好ましい。

【０００９】 請求項２の草刈機において、第１異物阻止部材は、上端部を中心に揺動自在に 構成されていることが、好ましい。

【００１０】 請求項１、２または３の草刈機において、排出口は、カッターデッキの外周部 から外方に突出すると共に下部が開放された誘導部材の先端に設けられており、 誘導部材は、カッターデッキ側の基部を中心に上下方向に回動自在に構成されて いることが、好ましい。

【００１１】 請求項４の草刈機において、誘導部材を回動させる回動機構を更に備えており 、回動機構は、ハンドル側で手元操作可能に構成されていることが、好ましい。

【００１２】 請求項１ないし５のいずれかの草刈機において、カッターデッキの周囲には、 カッターによって跳ね飛ばされた異物がカッターデッキの下側空間を通過するの を阻止する第２異物阻止部材が吊下されていることが、好ましい。

【００１３】 請求項６の草刈機において、第２異物阻止部材は、上下方向に移動調節可能に 構成されていることが、好ましい。

【００１４】 請求項６または７の草刈機において、第２異物阻止部材は、短冊状に形成した 多数枚の邪魔板から成り、各邪魔板は揺動自在に構成されていることが、好まし い。

【００１５】 請求項６の草刈機において、第２異物阻止部材は、金属性の多数本の鎖から成 ることが、好ましい。

【００１６】

【作用】

請求項１の草刈機によれば、高速回転するカッターにより刈り取られた草は、 カッターの遠心力を受けて外側に押しやられ、スカート状に形成されたカッター デッキの内周面に沿って移動し、カッターデッキに連なる排出口から排出される 。この場合、排出口に、刈り取った草の通過を許容すると共に、草と共に排出さ れる異物の通過を阻止する第１異物阻止部材が設けられていることにより、草は 支障なく排出されるが、小石などの異物はその排出を阻止され、地面にそのまま 落下する。

【００１７】 請求項２の草刈機によれば、第１異物阻止部材が、排出口を覆うと共に櫛歯状 に形成されていることにより、簡単な構造で、効率良く異物の排出を阻止するこ とができる。

【００１８】 請求項３の草刈機によれば、第１異物阻止部材は、上端部を中心に揺動自在に 構成されていることにより、草が多量に排出される場合には、第１異物阻止部材 が押されて外側に開くように揺動し、草の排出を容易にする。また、異物を阻止 する場合には、第１異物阻止部材に当たった異物の勢いを緩衝する。なお、第１ 異物阻止部材自体が軽量な場合には、ばね等で閉方向に付勢することが好ましい 。

【００１９】 請求項４の草刈機によれば、排出口は、カッターデッキの外周部から外方に突 出すると共に下部が開放された誘導部材の先端に設けられいることにより、刈り 取った草を、作業の邪魔にならない位置に導くようにして排出することができる 。また、誘導部材が、カッターデッキ側の基部を中心に上下方向に回動自在に構 成されていることにより、第１異物阻止部材の構造が雑草などの詰まりを生じさ せ易い構造であっても、誘導部材と共に排出口（第１異物阻止部材）を上方に回 動させ地面から離せば、詰まった雑草を誘導部材から落下させることができる。 さらに、誘導部材の内側に雑草が付着していても、誘導部材が上向きになるため 、これを簡単に掻き落とすことができる。このため、従来のように草刈機全体を 横倒しにして草の詰まりを解消するなどの手間を省くことができる。

【００２０】 請求項５の草刈機によれば、誘導部材を回動させる回動機構を更に備えており 、回動機構が、ハンドル側で手元操作可能に構成されていることにより、回動機 構を介して、手元操作により誘導部材を簡単に回動させることができる。このた め、草の詰まりを簡単に解消することができ、作業の中断時間を極力短くするこ とができる。

【００２１】 請求項６の草刈機によれば、カッターデッキの周囲に、カッターによって跳ね 飛ばされた異物がカッターデッキの下側空間を通過するのを阻止する第２異物阻 止部材が吊下されていることにより、請求項１と同様に、異物はカッターデッキ の下側空間から飛び出すのを阻止され、カッターデッキ内においてそのまま地面 に落下する。

【００２２】 請求項７の草刈機によれば、第２異物阻止部材は、上下方向に移動調節可能に 構成されていることにより、地面の沈みに応じて、また刈り取る草を完全に押し 倒してしまわないように草の硬軟に応じて、第２異物阻止部材と地面との間隙を 調整することができる。

【００２３】 請求項８の草刈機によれば、第２異物阻止部材が、短冊状に形成した多数枚の 邪魔板から成り、各邪魔板は揺動自在に構成されていることにより、刈り進んで ゆくときに、刈り取るべき草の抵抗で各邪魔板が適宜揺動する。このため、第２ 異物阻止部材が、草を完全に押し倒してしまうことがなく、刈取り不良などの支 障を生ずることがない。

【００２４】 請求項９の草刈機によれば、第２異物阻止部材は、金属性の多数本の鎖から成 ることにより、刈り進んでゆくときに、草の抵抗で各鎖が揺動するだけでなく、 回転もするので、硬軟あらゆる草の押倒しを極力少なくすることができる。しか も、適度な重さを有しているため、異物の飛出しを効率よく阻止することができ る。

【００２５】

【実施例】

以下、添付の図面を参照して、本考案の草刈機について説明する。この草刈機 はロータリー式の草刈機であり、図１はその自走式の草刈機の外観斜視図、図２ はその正面側から見た斜視図、図３はその左側面側から見た斜視図である。これ らの図に示すように、この草刈機１は、４つの車輪２ａ，２ａ，２ｂ，２ｂを備 えた車体３と、車体３から斜め後方に延びるハンドル４と、車体３上に搭載した 草刈機本体５と、草刈機本体５上に載置したエンジン６とで構成されている。エ ンジン６は、草刈機本体５に備えるカッター（後述する）２３を回転させると共 に、エンジン６の後側に並設したトランスミッション７を介して後輪２ｂ，２ｂ を回転させる。これにより、草刈機１は後輪駆動で前進しながら草を刈り取って ゆく。また、刈り取られた草は、草刈機本体５から右側方に排出される。

【００２６】 車体３は、前車軸８ａと後車軸（図示省略）との間に渡した左右一対のシャー シ９，９を備えており、このシャーシ９，９にハンドル４および草刈機本体５が 取り付けられている。ハンドル４は、シャーシ９から延びる左右のハンドルバー １１，１１と、両ハンドルバー１１，１１を連結するグリップ部１２とで主要部 が構成されおり、グリップ部１２を挟んで前側にはカッターレバー１３が、後側 には走行レバー１４が、それぞれ設けられている。また、左側のハンドルバー１ １にはスロットルレバー１５が、右側のハンドルバー１１には後述する排出カバ ー２２用の操作レバー３１が取り付けられている。

【００２７】 草を刈る場合には、先ず、草の丈や密集度に応じて、スロットルレバー１５に よりエンジン６の回転速度を調整する。次に、カッターレバー１３をグリップ部 １２側に引いて、エンジン６とカッター２３を動力的に接続しカッター２３を回 転させる。続いて、走行レバー１４をグリップ部１２側に押して、エンジン６と トランスミッション７を接続し、車体３を前進走行させる。すなわち、草刈時に は、ハンドル４のグリップ部１２に、カッターレバー１３と走行レバー１４とを 同時に握り込んで、車体３を走行させる。なお、図中の符号１７，１７は、左右 のシャーシ９，９と平行に延びる左右一対の刈高調節バーであり、図３に示す調 節ハンドル１８を正逆回転させることにより、この刈高調節バー９，９を介して 、シャーシ９，９と共に草刈機本体５が上下し、草の刈高が調節できるようにな っている。

【００２８】 草刈機本体５は、４つの車輪２ａ，２ａ，２ｂ，２ｂの中央に配設されたカッ ターデッキ２１と、カッターデッキ２１から右側方に延びる排出カバー（誘導部 材）２２と、カッターデッキ２１内に収容したカッター２３とを備えている。カ ッター２３は、図４に示すように、エンジン６側の取付軸６ａに接続されたディ スクプレート２４と、ディスクプレート２４の外周部に取り付けた２枚のカッタ ー刃２５，２５とで構成されている。２枚のカッター刃２５，２５は、１８０度 点対称位置に取り付けられており、エンジン６によりディスクプレート２４が回 転すると、水平面内で高速回転する。そして、この水平面の高さ位置が草の刈高 となり、上記の調節ハンドル１８を回すことにより、草の刈高が調節される。

【００２９】 図１ないし図３に示すように、カッターデッキ２１は、伏せた円形の皿形状に 形成されており（図４参照）、地面に平行に数センチ浮いた状態で配設されてい る。カッターデッキ２１の外周部２１ａの一部は切り欠かれており、この部分に 排出カバー２２が取り付けられている。この場合、カッターデッキ２１および排 出カバー２２で構成される内部空間は、カッター２３の回転方向に巻き出すよう な渦巻き形状に形成されている。カッターデッキ２１の内周面は、カッター刃２ ５の回転軌跡に近接しており、刈り取られた草は、カッターデッキ２１の内周面 に案内され、カッター刃２５により運ばれるようにして、排出カバー２２に導か れる。

【００３０】 排出カバー２２は、下部が開放されたノズル形状を有し、基部に設けたヒンジ ２６により、カッターデッキ２１に回動自在に取り付けられている。図５および 図６に示すように、排出カバー２２には、排出カバー２２を上側に回動させる回 動機構２７が接続されている。この回動機構２７は、ハンドルバー１１に取り付 けた上記の操作レバー３１と、操作レバー３１と排出カバー２２とを接続するワ イヤー３２とを備えている。操作レバー３１を操作してワイヤー３２を引くこと により、排出カバー２２が通常の定常位置から上側に開く起立位置に回動するよ うになっている。

【００３１】 排出カバー２２の上面には取付片３３が突設され、これに接続金具３４を介し てインナワイヤー３５が接続されている。一方、シャーシ９にはワイヤーストッ パ３６が立設され、これにアウタワイヤー３７の一方の端部が保持されている。 また、接続金具３４とワイヤーストッパ３６との間には、インナワイヤー３５に 巻回するように戻しばね３８が介在している。戻しばね３８に抗してインナワイ ヤー３５が引かれると、排出カバー２２が上向きに起立位置まで回動し、この状 態から、逆にインナワイヤー３５を緩めると、戻しばね３８により、排出カバー ２２が定常位置に回動する。

【００３２】 図５に示すように、右側のハンドルバー１１には、アウタワイヤー３７の他方 の端部が保持されるワイヤーストッパ４０が固定されると共に、操作レバー３１ が回動自在に取り付けられている。操作レバー３１の基部に設けた支軸４１には 、第１リンク４２の一端が固定され、また第１リンク４２の他端には第２リンク ４３の一端が回動自在に連結されている。さらに、第２リンク４３の他端には、 接続金具４４を介して上記のインナワイヤー３５の他端が接続されている。操作 レバー３１を手前に引くと、第１リンク４２が回動し、第２リンク４３を介して のインナワイヤー３５が引かれ、さらに操作レバー３１を手前に倒し込むと、第 １リンク４２と第２リンク４３との連結部が死点越えし、インナワイヤー３５の 引いた状態が維持される。すなわち、操作レバー３１を手前に引くと、排出カバ ー２２が定常位置から起立位置に回動し、操作レバー３１を押し戻すと、排出カ バー２２が起立位置から定常位置に回動する。

【００３３】 一方、排出カバー２２の先端に開口した排出口２８には、これを覆うように櫛 歯部材（第１異物阻止部材）２９が揺動自在に取り付けられている。櫛歯部材は 、図５に示すように、排出口２８の上部に回動自在に取り付けられた丸棒状の基 部材５１と、基部材５１から延びる多数本の櫛棒５２とで構成されている。各櫛 棒５２は、丸棒で構成され、相互に所定の間隔をおいて配設されている。この櫛 棒５２の間隔は、刈り取った草の排出を許容し、小石等の異物の排出を阻止でき るように設定されている。また、櫛棒５２を丸棒で構成することにより、草の通 過が円滑になるようにしている。

【００３４】 また、基部材５１の端部は折り曲げられており、この部分にコイルばね５３の 一端が取り付けられている。コイルばね５３の他端は排出カバー２２の側面に固 定され、このコイルばね５３により、櫛歯部材２９は排出口２８を覆う（閉じる ）ように付勢されている。この場合、コイルばね５３の付勢力は、多量の草が排 出されるなどして櫛歯部材２９が強く押されるときにのみ、櫛歯部材２９が外側 に揺動して開く程度となっている。なお、櫛歯部材２９の各櫛棒５２を、基部材 ５１に対し個々に揺動自在に取り付けてもよい。

【００３５】 図６に示すように、排出カバー２２の後側の側板２２ａは上部で切り欠かれて おり、この部分から多数の鎖５４が吊り下げられている。この鎖５４は、後述す るカッターデッキ２１廻りの鎖６２と同様のものであり、櫛歯部材２９と同様に 排出カバー２２からの異物の排出を阻止すると共に、排出カバー２２内における 草の詰まりを抑制するために設けられている。

【００３６】 一方、図２および図３に示すように、カッターデッキ２１の排出カバー２２の 部分を除く周囲、すなわち前部、後部（図示省略）および左側部には、車輪２ａ ，２ｂを避けるように３個の鎖ホルダー６１，６１，６１が、それぞれ設けられ ている。各鎖ホルダー６１は、第２異物阻止部材である鎖６２を支持するもので あり、カッターデッキ２１の外周部２１ａに倣って円弧状に形成され、カッター デッキ２１との間に所定の間隙を存して配設されている。この場合、前部および 後部の鎖ホルダー６１，６１は、左右のシャーシ９，９間に渡すようにしてこれ に支持され、左側部の鎖ホルダー６１は、カッターデッキ２１から延びる２本の 支持アーム６３，６３に支持されている。

【００３７】 各鎖ホルダー６１には、地面に達するように多数の鎖６２が吊り下げられてい る。多数の鎖６２は、鎖ホルダー６１の外側に横並びに配設されると共に、各鎖 ６２の中間位置に渡した連結用鎖６４により、横並びに揃えられている。そして 、吊り下げられ鎖６２が地面に垂れ下がり、地面との間に空間が生じないように 、また連結用鎖６４により、各鎖６２の相互間の間隙が開き過ぎないようになっ ている。これにより、カッター２３に跳ね飛ばされた小石などの異物が、鎖６２ に邪魔されて飛出しを阻止される一方、刈り取るべき草が完全に押し倒さないよ うになっている。

【００３８】 以上のように本実施例によれば、カッター２３に跳ね飛ばされた小石などの異 物が、草刈機本体５から排出され或いは飛び出してくる部分、すなわち排出口２ ８およびカッターデッキ２１の下側空間に、櫛歯部材２９および鎖６２をそれぞ れ設けているので、草刈機本体５からの異物の排出（実際には飛出し）を阻止す ることができる。これにより、作業に支障を生ずることなく、かつ作業を安全に 行うことができる。なお、実験によれば、異物の８割程度が排出口２８から排出 される。

【００３９】 また、排出カバー２２を回動自在に構成し、上向きに開くようにしているので 、排出カバー２２内に刈り取った草が詰まった場合、手元操作でこれを起立位置 に回動させて、草を簡単に取り去る（自重で落下する）ことができる。また、芝 などの短い草では、櫛歯部材２９を支障なく通過して詰まりを生ずることはない が、雑草などの長い草では、櫛歯部材２９が邪魔になって詰まりを生ずることが ある。このため、櫛歯部材２９自体を揺動可能に構成し、草の詰まりを極力生じ ないようにしているが、草が排出カバー２２の内面に付着して詰まりを生ずるよ うな場合には、排出カバー２２を上向きに回動させることが、より有効である。

【００４０】 次に、図７を参照して、排出カバー２２を回動させる回動機構２７の他の実施 例について説明する。この回動機構２７は、大型の排出カバー２２に適用される ものであり、すなわち大型の機種に適用されるものである。この場合、ハンドル ４側の操作レバー３１廻りは、第１実施例と同様な構造となっているため、ここ では、排出カバー２２側の機構についてのみ説明する。

【００４１】 同図に示すように、前後方向に延設されたシャーシ９には、平板を折曲げて形 成したワイヤーストッパ７１が取り付けられており、ワイヤーストッパ７１の上 端部には、アウタワイヤー７２が長さ調節自在に保持されている。アウタワイヤ ー７２の先端から斜め下向きに延びるインナワイヤー７３には、接続金具７４を 介してＴ字リンク７５の上向き片７５ａが回動自在に取り付けられている。また 、Ｔ字リンク７５の一端は、ワイヤーストッパ７１の中間位置に回動自在に取り 付けられ、他端には排出カバー２２側の一文字リンク７６に取り付けられている 。さらに、Ｔ字リンク７５の中間部には、下端をカッターデッキ２１に固定した コイルばね７７が取り付けられている。

【００４２】 一方、一文字リンク７６は、下端を取付片７８を介して排出カバー２２に回動 自在に取り付けられ、上端をＴ字リンク７５に回動自在に取り付けられている。 コイルばね７７に抗してインナワイヤー７３が引かれると、Ｔ字リンク７５がワ イヤーストッパ７１側の取付部を中心に上側に回動し、一文字リンク７６を介し て、排出カバー２２をそのヒンジ２６を中心に起立位置に回動させる。またこの 状態からインナワイヤー７３を緩めると、コイルばね７７の付勢力により、Ｔ字 リンク７５が下側に回動し、一文字リンク７６を介して排出カバー２２を定常位 置に回動させる。

【００４３】 このように、排出カバー２２の回動機構２７としてリンク機構を用いることに より、重量のある排出カバー２２でも、円滑に回動させることができる。しかも 、回動機構２７を、比較的簡単な構造で構成することができる。なお、図７に示 す櫛歯部材２９は、幾分斜めに配設され且つ比較的重いため、第１実施例と異な り、これを付勢するばねは省略されている。

【００４４】 次に、図８を参照して、第２異物阻止部材の他の実施例について説明する。第 ２異物阻止部材は、帯状に形成された金属製の異物阻止プレート８１であり、大 型の機種（高出力の機種）に適用されるものである。異物阻止プレート８１は、 排出カバー２２の部分を除くカッターデッキ２１の外周部２１ａに、沿わせるよ うにして吊下されている。カッターデッキ２１の外周部２１ａには、数箇所にブ ラケット８２がねじ止めされており、ブラケット８２には、上下方向に延びる長 孔８２ａが形成されている。この長孔８２ａには、異物阻止プレート８１が吊下 されると共に、その取付高さを調節できるようになっている。

【００４５】 一方、異物阻止プレート８１は、帯状の平板をカッターデッキ２１の外周部２ １ａに沿わせて湾曲させたプレート本体８３と、プレート本体８３の下端部に溶 着した丸棒状の補強部材８４と、プレート本体８３を上記のブラケット８２に取 り付ける取付金具８５とで構成されている。取付金具８５は、ブラケット８２に 対応するようにプレート本体８３に溶着され、そのボルト８６および蝶ナット８ ７により、ブラケット８２に取り付けられている。そして、この蝶ナット８７を 緩め異物阻止プレート８１を上下させることにより、その高さ調節ができるよう になっている。また、プレート本体８３には、複数箇所に縦長の窓８３ａが形成 されている。この窓８３ａは空気抜きの窓であり、カッター２３の回転に伴って 生ずる揚力をカッターデッキ２１内の空気を外部に逃がすことにより抑制し、草 刈機１の浮き上がりを防止している。

【００４６】 このように、カッターデッキ２１の下側空間に異物阻止プレート８１を設ける ことにより、第１実施例と同様に、草刈機本体５からの異物の飛出しを阻止する ことができる。これにより、作業に支障を生ずることなく、かつ作業を安全に行 うことができる。なお、第１実施例の鎖６２と異なり異物阻止プレート８１では 、刈り取る草を押し倒し易くなる。しかし、高出力（大型）の機種では、押し倒 された草でも、支障なく刈り取ることができるため、異物の飛出しを確実に阻止 できると共に簡単な構造の異物阻止プレート８１が用いられている。

【００４７】 なお、上記の実施例において、第１異物阻止部材として櫛歯部材を用いている が、草の通過を許容し且つ異物の通過を阻止できるものであれば、これに限定さ れるものではない。例えば、上記の鎖、目の大きな網やパンチングプレートなど でもよいし、湾曲した柔軟性のある通路部材のようなものでもよい。また、第２ 異物阻止部材として鎖や異物阻止プレートを用いているが、短冊状の金属の板や 、ゴム片などの邪魔板でもよし、上記の櫛歯部材のようなものでもよい。さらに 、排出カバーの回動機構として、ワイヤーに代えてリンク（ロッド）を用いても よいし、電気式や油圧式で構成してもよい。

【００４８】

【考案の効果】

以上のように本考案の草刈機によれば、カッターに跳ね飛ばされた異物が外部 に飛び出す部位に、異物阻止部材を設けるようにしているので、異物が草刈機の 外部に飛び出して来るのを防止することができる。したがって、作業性を向上さ せることができると共に、安全に作業を進めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る草刈機の外観斜視図で
ある。

【図２】実施例に係る草刈機の正面側から見た斜視図で
ある。

【図３】実施例に係る草刈機の左側面側から見た斜視図
である。

【図４】草刈機のカッター廻りの分解斜視図である。

【図５】草刈機の排出カバーおよび回動機構廻りの斜視
図である。

【図６】草刈機の排出カバーを斜め後方から見た斜視図
である。

【図７】回動機構の他の実施例を表した側面図である。

【図８】第２異物阻止部材の他の実施例の構造図であ
る。

【符号の説明】

１ 草刈機 ４ ハンドル ２１ カッターデッキ ２１ａ 外周部 ２２ 排出カバー ２３ カッター ２７ 回動機構 ２８ 排出口 ２９ 櫛歯部材 ３１ 操作レバー ６２ 鎖 ８１ 異物阻止プレート

Claims (9)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スカート状のカッターデッキ内に高速回
   転するカッターを備え、当該カッターにより刈り取った
   草を、当該カッターデッキの内部に連なる排出口から排
   出するロータリー式の草刈機において、 前記排出口に、刈り取った草の通過を許容すると共に、
   草と共に排出される異物の通過を阻止する第１異物阻止
   部材を設けたことを特徴とする草刈機。
2. 【請求項２】 前記第１異物阻止部材は、前記排出口を
   覆うと共に櫛歯状に形成されていることを特徴とする請
   求項１に記載の草刈機。
3. 【請求項３】 前記第１異物阻止部材は、上端部を中心
   に揺動自在に構成されていることを特徴とする請求項２
   に記載の草刈機。
4. 【請求項４】 前記排出口は、前記カッターデッキの外
   周部から外方に突出すると共に下部が開放された誘導部
   材の先端に設けられており、 当該誘導部材は、前記カッターデッキ側の基部を中心に
   上下方向に回動自在に構成されていることを特徴とする
   請求項１、２または３に記載の草刈機。
5. 【請求項５】 前記誘導部材を回動させる回動機構を更
   に備えており、 当該回動機構は、ハンドル側で手元操作可能に構成され
   ていることを特徴とする請求項４に記載の草刈機。
6. 【請求項６】 前記カッターデッキの周囲には、カッタ
   ーによって跳ね飛ばされた異物が当該カッターデッキの
   下側空間を通過するのを阻止する第２異物阻止部材が吊
   下されていることを特徴とする請求項１ないし５のいず
   れか１項に記載の草刈機。
7. 【請求項７】 前記第２異物阻止部材は、上下方向に移
   動調節可能に構成されていることを特徴とする請求項６
   に記載の草刈機。
8. 【請求項８】 前記第２異物阻止部材は、短冊状に形成
   した多数枚の邪魔板から成り、当該各邪魔板は揺動自在
   に構成されていることを特徴とする請求項６または７に
   記載の草刈機。
9. 【請求項９】 前記第２異物阻止部材は、金属性の多数
   本の鎖から成ることを特徴とする請求項６に記載の草刈
   機。