JP3017553U - 破封防止用通気弁装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 負圧ボックス型の通気弁における弁体の作動
を敏感とし、しかも異物の噛み込み等による弁座の締切
り不良が生じない構造の破封防止用通気弁装置を提供す
ることを目的としたものである。 【構成】 中央に排水管接合用ソケットと、その両側に
少なくとも二つの弁座面を貫設してなる弁座ベースを外
部ケースによって閉止して負圧ボックスを構成する一
方、上記弁座開口部の周囲に複数本のスライド杆を立設
し、該スライド杆内に下部が半球面状の中空弁体を摺動
可能に嵌合すると同時に、上記スライド杆に案内されて
昇降自在な負圧ポケットカバーを挿通したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、高層ビルや一般家庭の水場における排水管内の負圧を防止して、 排水管の詰まりや排水トラップの破封による悪臭発生を防止することを目的とし た通気弁装置に関するものである。

【０００２】 近年の建造物は、排水配管系続中にに防臭用のトラップを取り付けてトラップ 以下の排水管内を常に密封状態とし、悪臭の上昇を防止するという手段が取られ ている。

【０００３】 しかし、上記トラップによって密封状態とされる従来の排水配管は、流水抵抗 が高く、管詰まりの原因となっていただけでなく、一時に多量の排水を行った場 合などに配管内を負圧化し、トラップ内の溜水が吸引されて破封を齎す結果、悪 臭が上昇するという共通的な欠陥があることが知られている。

【０００４】 一方、上記トラップ内の破封を防止するには、排水管中に随時外気を導入して 管内の負圧化を防止することが必要であり、その手段として、例えば上記トラッ プ部から上方に分岐配管を設け、その末端を躯体外部に開放することも広く行わ れていた。この他、排水配管系から分岐して外気に連通する負圧ポケットを設け 、該負圧ポケットの外気流入孔を閉止する単一の弁板が内外の圧力差によって作 動するようにしたものも一部で開発されていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

叙述した従来の負圧化防止手段の内、前者即ち、排水配管と躯体外部とを分岐 管で連通する構造では、その分岐配管が長大になる上、躯体の床又は天井を這わ すことにより、工事費用が嵩むという欠点があり、又後者の通気弁装置では、構 造的にその弁板を作動させるためには、内外の圧力差が相当大きくならなければ 外気の導入には到らず、しかも弁板の着座時に異物が噛み込み易く、締切り不良 が多発して、防臭効果が低下する等の課題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

叙述の実情に鑑み、本考案者は、鋭意、実験・改良の結果、負圧ボックス型の 通気弁における弁体の作動を敏感とし、しかも異物の噛み込み等による弁座の締 切り不良が生じない構造の破封防止用通気弁装置を提供することに成功したもの である。

【０００７】 即ち、中央に排水管接合用ソケットと、その両側に少なくとも二つの弁座面を 貫設してなる弁座ベースを外部ケースによって閉止して負圧ボックスを構成し、 上記弁座開口部の周囲に複数本のスライド杆を立設し、該スライド杆内に下部が 半球面状の中空弁体を摺動可能に嵌合すると同時に、上記スライド杆に案内され て昇降自在な負圧ポケットカバーを挿通するという手段を用いたものである。

【０００８】 又、排水管接合用ソケットの上方に臨んで、仕切り板を設けるという手段も用 いた。

【０００９】

【作用】

上記構成の本案通気弁装置によれば、常態では各弁座面に着座する弁体が軽量 な中空状であり、且つその下部が半球面状であることで負圧ポケットと外気との 圧力差によって敏感に作動し、又着座に際して、半球面の柔軟性により、異物の 噛み込みの影響を吸収し、密封度を高めるという作用が得られる。

【００１０】 又、負圧ポケットカバーを設けたことによって、この内部が逸早く負圧化され ることから、排水管側の微少の圧力低下に弁体が応動して必要量の外気を導入す るという格別な作用を奏するのである。

【００１１】 勿論、負圧室内の圧力低下が増大すれば弁体が負圧ポケットカバーを伴ってス ライド扞を上昇し、開弁量を増大させるのである。更に、排水管接合用ソケット の上部に仕切り板を設けたものは、負圧室内の吸引効果を一層早める作用を有す るものである。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案に係る破封防止用通気弁装置の構成を図面に示す一つの実施例に 従って更に詳述すると、図１．２において、１は中心部に排水管接合用ソケット １ａと、その両側に弁座１ｂ・１ｂを開設してなる弁座ベース、２は上記弁座ベ ース１に密に外嵌され、内部の空間を負圧室（Ａ）とする外部カバー、又３は上 記弁座の外側周に立設される少なくとも４本一組のスライド杆であり、下述する 弁体４と負圧ポケットカバー５を昇降自在に案内するものである。

【００１３】 而して弁体４は図３に示した通り、上記各スライド杆３に内接して遊嵌され、 比較的柔軟性を有する合成樹脂の中空状主体４ａと弁キャップ４ｂとから構成さ れ、上記主体４ａは下部を半球面状４ｃに形成することにより、着座時に弁座１ ｂ面との接触が均一に行えるようにしたものである。

【００１４】 又、負圧ポケットカバー５は、図４に例示するような短い円筒主体５ａの上縁 に内フランヂ５ｂを屈成し、該フランヂ５ｂに上記スライド杆３と対応する位置 に透孔５ｃを貫設して各スライド杆３を挿通して昇降自在に構成するとともに、 上記弁体４の上面との間に負圧ポケット（Ｂ）を形成したものである。

【００１５】 更に、図１における６は負圧室（Ａ）を形成する外部カバー２内壁に支持され 、前記排水管接合ソケット１ａの上方に位置して設けられる仕切板であって、中 央部に上記接合ソケット１ａよりも少し小径の透孔６ａと、その両側に上記スラ イド杆３と内接する円孔６ｂをそれぞれ貫設してなるものであるが、本案通気弁 において必ずしも必須のものではない。尚、図１中７は外部カバー２内壁の補強 リブを示す。

【００１６】 次に、上記構成に係る本案通気弁装置を例えば、家庭の洗面台（図示せず）の 排水管（Ｃ）の任意の個所に水密に設置した場合における作動要領について述べ ると、常態（負圧室（Ａ）が外気圧と同等またはそれより高い状態）では、図５ に略示したように、上記双方の弁体４は、弁座２ｂに正確に着座して排水管内の 臭気を遮断している。

【００１７】 ところが排水管内が負圧になると、先づ排水管と連通する負圧ポケット（Ｂ） 内の空気が引かれてこの部分が負圧化し、これによって外気との間に生ずる差圧 が軽量な弁体４を押し上げて開弁するので、直ちに外気が排水管内に導入され、 負圧化を防止するのである。

【００１８】 若し、排水管内と外気との差圧が大きい場合には、弁体４は上昇しその上面が 負圧ポケットカバー５を伴ってスライド杆３を上昇し、弁体２ｂとの開弁量を増 大して、内外の圧力がバランスするのに必要な外気量を導入する（図６参照）の で、排水トラップ内に停溜する封水の破封現象は完全に防止できるのである。

【００１９】

【考案の効果】

以上述べたところから既に明きらかであるように、本案通気弁装置は、中空状 弁体の下部を半球面状に形成し、且つ比較的柔軟なプラスチック材で構成したこ とで、内外の微少な圧力差によって弁体が確実に作動することに加えて、弁体の 上面を蔽って設けられた負圧ポケットカバーの存在が、負圧初期の微少な圧力差 を促えて正確に作動するという、従来この種の通気弁には期待できなかった格別 に優れた効果を齎らすものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案破封防止用通気弁装置の要部を切欠して示
す正面図

【図２】本案装置の一部を切欠して示す平面図

【図３】弁体の一部を切欠して示す正面図

【図４】圧迫ポケットカバーの中心部縦断面図

【図５】本案装置の閉弁状態を略示する縦断面図

【図６】本案装置の開弁状態を略示する縦断面図

【符号の説明】

１ 弁座ベース ２ 外部カバー ３ スライド杆 ４ 弁体 ５ 負圧ポケットカバー ６ 仕切板 ７ 補強リブ （Ａ） 負圧室 （Ｂ） 負圧ポケット （Ｃ） 排水管

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中央に排水管接合用ソケットと、その両側
   に少なくとも二つの弁座面を貫設してなる弁座ベースを
   外部ケースによって閉止して負圧ボックスを構成する一
   方、上記弁座開口部の周囲に複数本のスライド杆を立設
   し、該スライド杆内に下部が半球面状の中空弁体を摺動
   可能に嵌合すると同時に、上記スライド杆に案内されて
   昇降自在な負圧ポケットカバーを挿通したことを特徴と
   する破封防止用通気弁装置。
2. 【請求項２】排水管接合用ソケットの上方に臨んで、仕
   切り板を設けた請求項１記載の破封防止用通気弁装置。