JP3017236B2 - 磁気特性の優れたFe―Al合金軟磁性薄板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れたFe―Al合金軟磁性薄板の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は2〜19%Alを含有する磁気特性の優れたFe−
Al合金軟磁性薄板の製造法に関するものである。
Al合金軟磁性薄板の製造法に関するものである。
Fe中にAlを19重量%以下の量で含有するFe−Al合金が
優れた磁気特性を示すこと,特に12%Al,16%Alで磁気
特性が非常に良好となることが知られている。しかしFe
−Al合金は非常に硬く脆いため,特にAlを10%を超えて
含有すると冷間圧延がほとんど不可能で,薄板への加工
が困難である。したがって,その優れた磁気特性にもか
かわらず工業的に広く利用されるに至っていないのが実
状である。
優れた磁気特性を示すこと,特に12%Al,16%Alで磁気
特性が非常に良好となることが知られている。しかしFe
−Al合金は非常に硬く脆いため,特にAlを10%を超えて
含有すると冷間圧延がほとんど不可能で,薄板への加工
が困難である。したがって,その優れた磁気特性にもか
かわらず工業的に広く利用されるに至っていないのが実
状である。
従来より,Fe−Al合金の加工の困難さを解決する手段
が種々提案されており,例えば,特殊な温間圧延を行な
う方法(J.F.Naehmanら:J.Appl.Phys,25(1959),P.30
7),粉末Alを鋼板表面から拡散浸透させる方法(特開
昭54−49936号公報),液体急冷法により極薄のFe−Al
合金を得る方法(特開昭57−60024号公報),或いはFe
−Al合金に微量のYおよび希土類元素を添加して加工性
を改善する方法(例えば特公昭45−13227号公報)等が
知られている。
が種々提案されており,例えば,特殊な温間圧延を行な
う方法(J.F.Naehmanら:J.Appl.Phys,25(1959),P.30
7),粉末Alを鋼板表面から拡散浸透させる方法(特開
昭54−49936号公報),液体急冷法により極薄のFe−Al
合金を得る方法(特開昭57−60024号公報),或いはFe
−Al合金に微量のYおよび希土類元素を添加して加工性
を改善する方法(例えば特公昭45−13227号公報)等が
知られている。
しかし,前3者の方法はいずれも特殊な製造装置を用
いることが必要である。したがって大量生産に困難を伴
い,必然的にコストが高くなって汎用材の製造には難点
がある。また特公昭45−13227号のように微量元素を添
加する方法でも依然として工業的レベルでの製造は困難
であった。
いることが必要である。したがって大量生産に困難を伴
い,必然的にコストが高くなって汎用材の製造には難点
がある。また特公昭45−13227号のように微量元素を添
加する方法でも依然として工業的レベルでの製造は困難
であった。
これに対しA1クラッド鋼板を素材としてこれを拡散焼
鈍する方法は製造性の面で有利性を備えている。例えば
特公昭56−31354号公報にはFe材とAl材とを積層し,適
正な押出比と押出圧力のもとで押出加工した接合体を拡
散処理するアルパーム合金の製造法を開示している。
鈍する方法は製造性の面で有利性を備えている。例えば
特公昭56−31354号公報にはFe材とAl材とを積層し,適
正な押出比と押出圧力のもとで押出加工した接合体を拡
散処理するアルパーム合金の製造法を開示している。
本発明は,Alクラッド鋼板を素材としてこれを拡散焼
鈍する処法によってFe−Al合金薄板を生産性よく製造す
ることを目的とする。本発明者らは,この目的を達成す
べく種々の試験研究を重ねてきたが,この処法による場
合には,拡散焼鈍時に鋼層とAl層の界面付近にボイドや
クラックが生成しやすく,良品質のFe−Al合金軟磁性薄
板を得ることに多くの困難を伴った。本発明はこの問題
の解決を図ることを本旨とするものであり,クラッド圧
延にて製造したFe−Al積層圧接板を拡散焼鈍するFe−Al
合金軟磁性薄板の製造法において,鋼層とAl層との界面
付近にクラックやボイドの生成を抑制して良品質のFe−
Al合金軟磁性薄板を大量にしかも安価なコストで製造す
る方法の確立を目的としたものである。
鈍する処法によってFe−Al合金薄板を生産性よく製造す
ることを目的とする。本発明者らは,この目的を達成す
べく種々の試験研究を重ねてきたが,この処法による場
合には,拡散焼鈍時に鋼層とAl層の界面付近にボイドや
クラックが生成しやすく,良品質のFe−Al合金軟磁性薄
板を得ることに多くの困難を伴った。本発明はこの問題
の解決を図ることを本旨とするものであり,クラッド圧
延にて製造したFe−Al積層圧接板を拡散焼鈍するFe−Al
合金軟磁性薄板の製造法において,鋼層とAl層との界面
付近にクラックやボイドの生成を抑制して良品質のFe−
Al合金軟磁性薄板を大量にしかも安価なコストで製造す
る方法の確立を目的としたものである。
Fe−Al積層圧接板を拡散焼鈍したさいにその鋼層とAl
層との界面付近に発生するクラックやボイドは,鋼中に
適切な炭窒化物形成元素を適切な量で含有させるならば
抑制できること,そしてこれによってFe−Al相互拡散が
容易となり,ひいては磁気特性に優れた高品質のFe−Al
合金軟磁性薄板が得られることがわかった。本発明はこ
の知見に基づいてなされたものである。
層との界面付近に発生するクラックやボイドは,鋼中に
適切な炭窒化物形成元素を適切な量で含有させるならば
抑制できること,そしてこれによってFe−Al相互拡散が
容易となり,ひいては磁気特性に優れた高品質のFe−Al
合金軟磁性薄板が得られることがわかった。本発明はこ
の知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は,重量%で,C:0.02%以下,N:0.01%
以下,S:0.03%以下,Ti,Nb,Zrの1種もしくは2種以上の
合計量:0.8%以下であって,且つ下記の(1)式を満足
するようにこれらの元素の含有量が調整され,残部がFe
および不可避的不純物からなる鋼板と,製品薄板中に2
〜19重量%の範囲内で含有させるべきAl量に相当する厚
さをもつAl板とを重ね合わせ, これをロール間に通板して30%以上に圧下して積層圧
接板としたうえ, (1)得られた積層圧接板を600〜1300℃の温度範囲に
おいてAl層が溶融せずに合金化する条件で拡散焼鈍を施
すか, (2)得られた積層圧接板をさらに圧延し,そのさい,
この圧延の前または途中において250〜550℃の温度範囲
で中間焼鈍を施し,ついで,600〜1300℃の温度範囲にお
いてAl層が溶融せずに合金化する条件で拡散焼鈍を施す
か,または, (3)得られた積層圧接板を250〜550℃の温度範囲で焼
鈍を施したあと所望の形状に成形加工または打抜き加工
を施し,ついで600〜1300℃の温度範囲においてAl層が
溶融せずに合金化する条件で拡散焼鈍を施す, ことを特徴とする磁気特性の優れたFe−Al合金軟磁性薄
板の製造方法を提供するものである。
以下,S:0.03%以下,Ti,Nb,Zrの1種もしくは2種以上の
合計量:0.8%以下であって,且つ下記の(1)式を満足
するようにこれらの元素の含有量が調整され,残部がFe
および不可避的不純物からなる鋼板と,製品薄板中に2
〜19重量%の範囲内で含有させるべきAl量に相当する厚
さをもつAl板とを重ね合わせ, これをロール間に通板して30%以上に圧下して積層圧
接板としたうえ, (1)得られた積層圧接板を600〜1300℃の温度範囲に
おいてAl層が溶融せずに合金化する条件で拡散焼鈍を施
すか, (2)得られた積層圧接板をさらに圧延し,そのさい,
この圧延の前または途中において250〜550℃の温度範囲
で中間焼鈍を施し,ついで,600〜1300℃の温度範囲にお
いてAl層が溶融せずに合金化する条件で拡散焼鈍を施す
か,または, (3)得られた積層圧接板を250〜550℃の温度範囲で焼
鈍を施したあと所望の形状に成形加工または打抜き加工
を施し,ついで600〜1300℃の温度範囲においてAl層が
溶融せずに合金化する条件で拡散焼鈍を施す, ことを特徴とする磁気特性の優れたFe−Al合金軟磁性薄
板の製造方法を提供するものである。
本発明法によれば,後記実施例に示すように極めて磁
気特性の優れたFe−Al合金軟磁性材料が通常の鋼板製造
と同様の生産設備を用いて有利に製造できる。
気特性の優れたFe−Al合金軟磁性材料が通常の鋼板製造
と同様の生産設備を用いて有利に製造できる。
本発明は,鋼板とAl板とをAl量が全体の2〜19重量%
の範囲となるような厚み比で重ね合わせてロール間に通
板し,30%以上に圧下して積層圧接板を先ず製造するも
のであるが,このクラッドの一方の素材である鋼板の成
分を適正に選定することが最終薄板製品の磁気特性の改
善に重要な役割を果している。この鋼中の各成分の作用
は次のとおりである。
の範囲となるような厚み比で重ね合わせてロール間に通
板し,30%以上に圧下して積層圧接板を先ず製造するも
のであるが,このクラッドの一方の素材である鋼板の成
分を適正に選定することが最終薄板製品の磁気特性の改
善に重要な役割を果している。この鋼中の各成分の作用
は次のとおりである。
鋼板中のCは磁気特性を劣化させ,かつ圧接板の拡散
焼鈍時におけるFe−Al相互拡散を阻害する。鋼にTi,Nb,
Zrを単独あるいは複合添加してCを固定すると,Fe−Al
相互拡散を容易ならしめまた磁気特性を改善できること
がわかった。しかし,鋼中のCが0.02%を超えるとTiC
等の析出物が多くなり,かえって磁気特性を劣化させ
る。このため鋼中のC含有量の上限は0.02%とする。
焼鈍時におけるFe−Al相互拡散を阻害する。鋼にTi,Nb,
Zrを単独あるいは複合添加してCを固定すると,Fe−Al
相互拡散を容易ならしめまた磁気特性を改善できること
がわかった。しかし,鋼中のCが0.02%を超えるとTiC
等の析出物が多くなり,かえって磁気特性を劣化させ
る。このため鋼中のC含有量の上限は0.02%とする。
Ti,NbおよびZrは上述のように鋼板中のCを固定してF
e−Al相互拡散を容易ならしめ,良好な磁気特性を得る
ために添加されるものであるが,Ti,NbおよびZrの含有量
を, Ti等量=Ti+(48/93)Nb+(48/91)Zr で現した場合に,このTi等量が, (48/12)C+(48/14)N+(48/32)S より少ないとCを固定するに不十分となり,前記の作用
効果が発揮できない。すなわち,前記の(1)式の関係
が満たされることが必要である。しかしTi,Nb,Zrの総量
が0.8%を超えて含有するとかえって磁気特性が劣化す
るようになるので,これらの合計量は0.8%以下にしな
ければならない。SおよびNは鋼の製錬時に不可避的に
不純物として含有されるものであるが,鋼中のTiと結合
してTiS,TiNとして析出し,Cを固定するのに有効なTi量
を減少させる。したがって,できるだけ低くすることが
望ましいが,Sは0.03%まで,またNは0.01%まで許容さ
れ得る。
e−Al相互拡散を容易ならしめ,良好な磁気特性を得る
ために添加されるものであるが,Ti,NbおよびZrの含有量
を, Ti等量=Ti+(48/93)Nb+(48/91)Zr で現した場合に,このTi等量が, (48/12)C+(48/14)N+(48/32)S より少ないとCを固定するに不十分となり,前記の作用
効果が発揮できない。すなわち,前記の(1)式の関係
が満たされることが必要である。しかしTi,Nb,Zrの総量
が0.8%を超えて含有するとかえって磁気特性が劣化す
るようになるので,これらの合計量は0.8%以下にしな
ければならない。SおよびNは鋼の製錬時に不可避的に
不純物として含有されるものであるが,鋼中のTiと結合
してTiS,TiNとして析出し,Cを固定するのに有効なTi量
を減少させる。したがって,できるだけ低くすることが
望ましいが,Sは0.03%まで,またNは0.01%まで許容さ
れ得る。
このように成分調整された鋼板に対し,最終製品中の
Al量が2〜19%範囲内の或る目標値となるように厚み比
を調整してAl板を重ね合わせるのであるが,Al量の調整
にさいしてAl量が2%未満ではクラッド圧延時に鋼板の
板厚に対してAlの板厚が小さくなりすぎてクラッド圧延
が困難となるし,また19%を超えた量となっても最終製
品の磁気特性はかえって劣化するので,Al量が2〜19%
範囲内となるように厚み比を調整することが必要であ
る。
Al量が2〜19%範囲内の或る目標値となるように厚み比
を調整してAl板を重ね合わせるのであるが,Al量の調整
にさいしてAl量が2%未満ではクラッド圧延時に鋼板の
板厚に対してAlの板厚が小さくなりすぎてクラッド圧延
が困難となるし,また19%を超えた量となっても最終製
品の磁気特性はかえって劣化するので,Al量が2〜19%
範囲内となるように厚み比を調整することが必要であ
る。
両板を重ね合わせたうえ,これをロール間に通板して
積層圧接板とするのであるが,そのさいの圧下率が30%
未満ではFe−Al間の接合が不十分で,圧接板を取り扱う
際に両者が剥離したりするので圧下率は30%以上する。
また,前記(2)および(3)のように,このクラッド
板をさらに冷間圧延または成形加工することができる
が,その際,接着面に剥離が発生することがあり,これ
を防止するために中間焼鈍を施すのが有利となる。この
中間焼鈍は250℃以上の温度を採用しないと効果が認め
られない。しかし550℃を超えると鋼板とAlとの界面に
金属間化合物が厚く発達して冷間圧延または成形加工す
る際に剥離が生じる原因となる。そのため中間焼鈍は25
0〜550℃で行なう必要がある。この中間焼鈍の雰囲気と
してはH2ガス,真空中あるいはAr等の不活性ガス中が好
ましい。
積層圧接板とするのであるが,そのさいの圧下率が30%
未満ではFe−Al間の接合が不十分で,圧接板を取り扱う
際に両者が剥離したりするので圧下率は30%以上する。
また,前記(2)および(3)のように,このクラッド
板をさらに冷間圧延または成形加工することができる
が,その際,接着面に剥離が発生することがあり,これ
を防止するために中間焼鈍を施すのが有利となる。この
中間焼鈍は250℃以上の温度を採用しないと効果が認め
られない。しかし550℃を超えると鋼板とAlとの界面に
金属間化合物が厚く発達して冷間圧延または成形加工す
る際に剥離が生じる原因となる。そのため中間焼鈍は25
0〜550℃で行なう必要がある。この中間焼鈍の雰囲気と
してはH2ガス,真空中あるいはAr等の不活性ガス中が好
ましい。
以上のようにしてクラッド板製造工程を終えたFe−Al
クラッド板もしくは焼鈍Fe−Alクラッド材を次に拡散処
理する。この拡散処理は鋼層とAl層とを相互に拡散させ
る処理であり,600〜1300℃の温度範囲で施す必要があ
る。下限を600℃としたのは,600℃未満ではAlの拡散が
十分に進行せず,均一拡散までの時間が長時間になりコ
スト高となるし,場合によっては均一拡散に至らないこ
ともあるためである。また上限を1300℃としたのは,130
0℃を超えると拡散合金層において溶融が生じるためで
ある。なお,この拡散処理時の加熱速度を速くして,Al
の融点以上の高温まで急速加熱すると約700℃付近でAl
が溶融することがある。Al層が溶融すると,垂れや集積
によってAlの板厚方向での濃度変化を発生する原因とな
る。従って,このようなAlの溶融は防止することが必要
であり,このためにAlの融点以下の温度で加熱して,例
えば600〜660℃の温度範囲に所定時間(例えば1分以
上)保持してAl層を融点の高い合金層にさせてから(予
備拡散処理を施してから),さらに高温に加熱して充分
な拡散処理を施すのがよい。本発明において「Al層が溶
融せずに合金化する条件下で拡散処理を施す」とは,こ
のような内容を言う。なお,これらの拡散処理はH2ガ
ス,真空中あるいはAr等の不活性ガス中で行ったほうが
磁気特性上好ましい。
クラッド板もしくは焼鈍Fe−Alクラッド材を次に拡散処
理する。この拡散処理は鋼層とAl層とを相互に拡散させ
る処理であり,600〜1300℃の温度範囲で施す必要があ
る。下限を600℃としたのは,600℃未満ではAlの拡散が
十分に進行せず,均一拡散までの時間が長時間になりコ
スト高となるし,場合によっては均一拡散に至らないこ
ともあるためである。また上限を1300℃としたのは,130
0℃を超えると拡散合金層において溶融が生じるためで
ある。なお,この拡散処理時の加熱速度を速くして,Al
の融点以上の高温まで急速加熱すると約700℃付近でAl
が溶融することがある。Al層が溶融すると,垂れや集積
によってAlの板厚方向での濃度変化を発生する原因とな
る。従って,このようなAlの溶融は防止することが必要
であり,このためにAlの融点以下の温度で加熱して,例
えば600〜660℃の温度範囲に所定時間(例えば1分以
上)保持してAl層を融点の高い合金層にさせてから(予
備拡散処理を施してから),さらに高温に加熱して充分
な拡散処理を施すのがよい。本発明において「Al層が溶
融せずに合金化する条件下で拡散処理を施す」とは,こ
のような内容を言う。なお,これらの拡散処理はH2ガ
ス,真空中あるいはAr等の不活性ガス中で行ったほうが
磁気特性上好ましい。
以下に本発明の代表的な実施例を示す。
第1表に示した化学組成(wt.%)の鋼板(板厚:0.43
〜3.0mm)を芯材とし,Al板(JIS合金番号:1050)を皮材
として厚み比を変えながら積層して両面クラッド圧延を
圧下率55%で行った。得られたFe−Alクラッド材を真空
中で300℃×4hの中間焼鈍を施した後,板厚:0.05〜0.30
mmまで冷間圧延した。その後,均一拡散のために660℃
×2minの予備拡散に引き続いて1000℃×8hまたは1200℃
×1hの拡散焼鈍を施し,Al含有量の異なるFe−Al合金薄
板を得た。拡散焼鈍の雰囲気はArガス雰囲気とした。
〜3.0mm)を芯材とし,Al板(JIS合金番号:1050)を皮材
として厚み比を変えながら積層して両面クラッド圧延を
圧下率55%で行った。得られたFe−Alクラッド材を真空
中で300℃×4hの中間焼鈍を施した後,板厚:0.05〜0.30
mmまで冷間圧延した。その後,均一拡散のために660℃
×2minの予備拡散に引き続いて1000℃×8hまたは1200℃
×1hの拡散焼鈍を施し,Al含有量の異なるFe−Al合金薄
板を得た。拡散焼鈍の雰囲気はArガス雰囲気とした。
得られたFe−Al合金薄板のAl含有量および磁気特性を
第2表に示した。なお,第2表の備考に示したようにAl
含有量が15%以上のFe−Al合金については,拡散処理の
冷却過程において500℃まで徐冷し当該温度に1h保持
後,水冷処理した。
第2表に示した。なお,第2表の備考に示したようにAl
含有量が15%以上のFe−Al合金については,拡散処理の
冷却過程において500℃まで徐冷し当該温度に1h保持
後,水冷処理した。
第2表の結果に見られるように,均一拡散焼鈍後の磁
気特性は,本発明例では例えば約16%Alで初透磁率μo:
3150〜3450,最大透磁率μm:37800〜39300,1KHzにおける
実効透磁率μe:3080〜3240と良好な磁気特性を示した。
これに対して,C含有量の高いE鋼を使用した比較例Eで
は磁気特性に劣り,また,Ti,Nb,Zrを含有しないD鋼を
使用した比較例Dも磁気特性は著しく劣っている。本発
明例Aの製品および比較例Dの製品の断面写真(拡散焼
鈍後の断面写真)を第1図および第2図に示した。第2
図の比較例Dの製品では当初の鋼層とAl層の界面付近に
剥離が生じていることが認められ,これが磁気特性を劣
化させる原因となっていることが明らかである。これに
対して本発明例Aの製品では拡散焼鈍時にボイドやクラ
ックの発生が認められず,これによって良好な磁気特性
のFe−Al合金薄板が製造できたことがわかる。
気特性は,本発明例では例えば約16%Alで初透磁率μo:
3150〜3450,最大透磁率μm:37800〜39300,1KHzにおける
実効透磁率μe:3080〜3240と良好な磁気特性を示した。
これに対して,C含有量の高いE鋼を使用した比較例Eで
は磁気特性に劣り,また,Ti,Nb,Zrを含有しないD鋼を
使用した比較例Dも磁気特性は著しく劣っている。本発
明例Aの製品および比較例Dの製品の断面写真(拡散焼
鈍後の断面写真)を第1図および第2図に示した。第2
図の比較例Dの製品では当初の鋼層とAl層の界面付近に
剥離が生じていることが認められ,これが磁気特性を劣
化させる原因となっていることが明らかである。これに
対して本発明例Aの製品では拡散焼鈍時にボイドやクラ
ックの発生が認められず,これによって良好な磁気特性
のFe−Al合金薄板が製造できたことがわかる。
〔発明の効果〕 以上のように本発明によれば,拡散焼鈍時に鋼層とAl
層との界面に磁気特性を劣化させるボイドやクラックの
発生を抑制することができるので高品質のFe−Al合金軟
磁性板が製造でき,しかもこれまで薄板化が困難であっ
たFe−Al合金薄板の製造が既存の大量生産ラインを用い
ることにより容易に且つ安価なコストで行えるので,Fe
−Al系軟磁性材料の汎用化に大きく貢献できる。
層との界面に磁気特性を劣化させるボイドやクラックの
発生を抑制することができるので高品質のFe−Al合金軟
磁性板が製造でき,しかもこれまで薄板化が困難であっ
たFe−Al合金薄板の製造が既存の大量生産ラインを用い
ることにより容易に且つ安価なコストで行えるので,Fe
−Al系軟磁性材料の汎用化に大きく貢献できる。
第1図は本発明製品の薄板断面の金属組織を示す金属顕
微鏡写真(倍率100倍),第2図は比較例製品の薄板断
面の金属組織を示す金属顕微鏡写真(倍率100倍)であ
る。
微鏡写真(倍率100倍),第2図は比較例製品の薄板断
面の金属組織を示す金属顕微鏡写真(倍率100倍)であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C23C 10/50 H01F 1/16
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で,C:0.02%以下,N:0.01%以下,S:
0.03%以下,Ti,Nb,Zrの1種もしくは2種以上の合計量:
0.8%以下であって,且つ下記の(1)式を満足するよ
うにこれらの元素の含有量が調整され,残部がFeおよび
不可避的不純物からなる鋼板と,製品薄板中に2〜19重
量%の範囲内で含有させるべきAl量に相当する厚さをも
つAl板と,を重ね合わせ,これをロール間に通板して30
%以下に圧下して積層圧接板とし,得られた積層圧接板
を600〜1300℃の温度範囲においてAl層が溶融せずに合
金化する条件で拡散焼鈍を施すことからなる磁気特性の
優れたFe−Al合金軟磁性薄板の製造方法。 - 【請求項2】重量%で,C:0.02%以下,N:0.01%以下,S:
0.03%以下,Ti,Nb,Zrの1種もしくは2種以上の合計量:
0.8%以下であって,且つ下記の(1)式を満足するよ
うにこれらの元素の含有量が調整され,残部がFeおよび
不可避的不純物からなる鋼板と,製品薄板中に2〜19重
量%の範囲内で含有させるべきAl量に相当する厚さをも
つAl板と,を重ね合わせ,これをロール間に通板して30
%以上に圧下して積層圧接板とし,得られた積層圧接板
をさらに圧延し,そのさい,この圧延の前または途中に
おいて250〜550℃の温度範囲で中間焼鈍を施し,ついで
600〜1300℃の温度範囲においてAl層が溶融せずに合金
化する条件で拡散焼鈍を施すことからなる磁気特性の優
れたFe−Al合金軟磁性薄板の製造方法。 - 【請求項3】重量%で,C:0.02%以下,N:0.01%以下,S:
0.03%以下,Ti,Nb,Zrの1種もしくは2種以上の合計量:
0.8%以下であって,且つ下記の(1)式を満足するよ
うにこれらの元素の含有量が調整され,残部がFeおよび
不可避的不純物からなる鋼板と,製品薄板中に2〜19重
量%の範囲内で含有させるべきAl量に相当する厚さをも
つAl板と,を重ね合わせ,これをロール間に通板して30
%以上に圧下して積層圧接板とし,得られた積層圧接板
を250〜550℃の温度範囲で焼鈍を施したあと所望の形状
に成形加工または打抜き加工を施し,ついで600〜1300
℃の温度範囲においてAl層が溶融せずに合金化する条件
で拡散焼鈍を施すことからなる磁気特性の優れたFe−Al
合金軟磁性薄板加工品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2024856A JP3017236B2 (ja) | 1990-02-03 | 1990-02-03 | 磁気特性の優れたFe―Al合金軟磁性薄板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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