JP3016976U - 回転工具ホルダにおける位置決めピン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 位置決めピンと位置決めブロックの位置に多
少の誤差があっても回転部とハウジングとの間の軸受に
負担が掛かることなく強固に係止し、しかも通油路を密
に連結する回転工具ホルダにおける位置決めピンを提供
することにある。 【構成】 アンギュラヘッド等の回転工具ホルダーのハ
ウジングに取り付けられ、機械主軸端に設けられた位置
決めブロックに係止し、ハウジングの回り止めと給油路
の連結とに用いられる位置決めピンにおいて、先端に位
置決めブロックの溝に設けられた傾斜面に係止する傾斜
面を有し、この傾斜面より先端側に進退可能なシールピ
ースを設け、シールピースを弾性体で付勢し、その端面
で位置決めブロックの給油路と位置決めピンの給油路と
を密に連結するするように構成したことを特徴とするも
のである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、アンギュラヘッド等の回転工具ホルダーのハウジングに取り付けら れ、機械主軸端に設けられた位置決めブロックに係止し、ハウジングの回り止め と給油路の連結とに用いられる位置決めピンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、位置決めピンと位置決めブロックとの係止については、たとえば次の方 法がある。 ばねにより付勢された円筒状の位置決めピンを位置決めブロックに形成され た平行な溝に嵌合させ、係止し、溝底部に設けられたシール部材と位置決めピン 先端端面とで通油路を密に連結する（実開昭６３ー１８９５３６号公報参照）。

【０００３】 位置決めピン先端をテーパに形成し、位置決めブロックに設けられたテーパ 穴に係止し、ハウジングの回り止めと位置決めピンの通油路と位置決めブロック の通油路の連結を行う（実公昭５８ー５６１１２号公報参照）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、前者は、溝側面と位置決めピンとの間に隙間が生じるため、強固に係 止することができない。

【０００５】 後者は、位置決めブロックの係止部がテーパ穴のため、位置決めブロックの位 置と誤差があった場合、位置決めピンと位置決めブロックが干渉し、工具ホルダ ーの回転部とハウジングとの間の軸受に負担が掛かる。 本考案は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、 位置決めピンと位置決めブロックの位置に多少の誤差があっても回転部とハウジ ングとの間の軸受に負担が掛かることなく強固に係止し、しかも通油路を密に連 結する回転工具ホルダにおける位置決めピンを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

請求項１の考案は、アンギュラヘッド等の回転工具ホルダーのハウジングに取 り付けられ、機械主軸端に設けられた位置決めブロックに係止し、ハウジングの 回り止めと給油路の連結とに用いられる位置決めピンにおいて、先端に位置決め ブロックの溝に設けられた傾斜面に係止する傾斜面を有し、この傾斜面より先端 側に進退可能なシールピースを設け、シールピースを弾性体で付勢し、その端面 で位置決めブロックの給油路と位置決めピンの給油路とを密に連結するするよう に構成したことを特徴とするものである。

【０００７】 請求項２の考案は、シールピースは、先端部の凹部に嵌入されるとともに凹部 の底部側に配設したバネによって先端側に付勢され、抜止用ピンによって摺動自 在に係止されていることを特徴とするものである。 請求項３の考案は、アンギュラヘッド等の回転工具ホルダーのハウジングに取 り付けられ、機械主軸端に設けられた位置決めブロックに係止し、ハウジングの 回り止めと給油路の連結とに用いられる位置決めピンにおいて、先端に位置決め ブロックの溝と係止するテーパを有し、このテーパより先端側に進退可能なシー ルピースを設け、シールピースを弾性体で付勢し、その端面で位置決めブロック の給油路と位置決めピンの給油路とを密に連結するするように構成したことを特 徴とするものである。

【０００８】 請求項４の考案は、シールピースは、先端部の凹部に嵌入されるとともに凹部 の底部側に配設したバネによって先端側に付勢され、抜止用ピンによって摺動自 在に係止されていることを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】

請求項１及び２の考案においては、位置決めピンは、位置決めブロックと係合 される前には、シールピースがその底部側のバネによって位置決めブロック側へ 突出されている。

【００１０】 次に、位置決めピンの軸部を位置決めブロックの溝内に嵌入すると、位置決め ピンの傾斜面が位置決めブロックの傾斜面と当接する。 この際、位置決めピンは、バネにより位置決めブロック側へ押し付けられてい るので、位置決めピンの傾斜面と位置決めブロックの傾斜面とがくさびとなり、 位置決めブロックと強固に固定される。

【００１１】 又、位置決めピンの傾斜面の更に先には進退可能なシールピースがバネにより 位置決めブロックに押し付けられ、シールピースの先端面で、位置決めブロック の通油路と位置決めピンの通油路を密に連結する。 請求項３及び４の考案においては、位置決めピンは、位置決めブロックと係合 される前には、シールピースがその底部側のバネによって位置決めブロック側へ 突出されている。

【００１２】 次に、位置決めピンの軸部を位置決めブロックの溝内に嵌入すると、位置決め ピンのテーパが位置決めブロックの溝と当接する。 この際、位置決めピンは、バネにより位置決めブロック側へ押し付けられてい るので、位置決めピンのテーパと位置決めブロックの溝とがくさびとなり、位置 決めブロックと強固に固定される。

【００１３】 又、位置決めピンの傾斜面の更に先には進退可能なシールピースがバネにより 位置決めブロックに押し付けられ、シールピースの先端面で、位置決めブロック の通油路と位置決めピンの通油路を密に連結する。

【００１４】

【実施例】

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて説明する。

【００１５】 図１ないし図３は、請求項１及び２の位置決めピンを工作機械本体のフレーム に取り付けた回転工具ホルダにおける位置決めピンの一実施例を示すものである 。 図において、１は工作機械本体の非回転部、２は回転主軸、３はアンギュラヘ ッド等の回転工具ホルダを表す。 １０はアンギュラヘッド等の回転工具ホルダーのハウジングに取り付けられ、 回転主軸２の端部で工作機械本体の非回転部１に設けられた位置決めブロックを 表す。

【００１６】 位置決めブロック１０には、ピン係合部１１が突設されている。このピン係合 部１１には、先端が外側に拡大する傾斜面１３ａ，１３ｂを備えた溝１２が設け られている。この溝１２の底面１４には、通油路１５と、この通油路１５の周囲 に位置する環状凹部１６と、この環状凹部１６に装着されるＯ−リングなどのシ ール部材１７とが設けられている。

【００１７】 ２０はこの位置決めブロック１０に係止される本実施例に係る位置決めピンを 表す。 位置決めピン２０は、中心部に通油路２１を設け、この通油路２１の後端側に は位置決めピン２０を位置決めブロック１０側へ付勢する第一のバネ４１を装着 する穴部２２が連通している。この穴部２２の径は、通油路２１の径より大きく してある。

【００１８】 通油路２１の先端側には、円筒状のシールピース３０及び第二のバネ３５を装 着する穴部２３が連通している。この穴部２３の径は通油路２１の径より大きく してある。 位置決めピン２０の先端部側の外側面には、位置決めブロック２０の傾斜面１ ３ａ，１３ｂとほぼ一致する形状の傾斜面２４ａ，２４ｂが設けられている。

【００１９】 この傾斜面２４ａ，２４ｂの先端部側には、段部２５を介して位置決めブロッ ク１０の溝１２の壁面１８内に嵌入する軸部２６が形成されている。 この軸部２６には、シールピース抜止用ピン２８を挿入させる貫通孔２７が設 けられている。 シールピース３０は、位置決めピン２０の穴部２３の内径とほほ同径の外形を 有する筒状体からなり、中心部に通油路２１とほぼ同径の穴３１を設け、外側壁 にシールピース抜止用ピン２８によって係止される環状凹部３２とＯ−リングな どのシール部材３４を装着する環状凹部３３とを設けている。

【００２０】 シールピース抜止用ピン２８を挿入させる環状凹部３２は、シールピース３０ が位置決めピン２０に対して進退可能となるように軸方向にシールピース抜止用 ピン２８の幅の数倍の長さを有している。 第二のバネ３５は、このシールピース３０を位置決めピン２０の穴部２３に装 着する前に穴部２３内に挿入される。

【００２１】 従って、シールピース３０は、位置決めピン２０の穴部２３に装着された時に 、第二のバネ３５によって先端面３６が位置決めピン２０の先端面２９より突出 するように取り付けられる。 位置決めピン２０の後端部は、第一のバネ４１を介して回転工具ホルダ本体３ に連結するピン取付台４０に摺動自在に取り付けられている。

【００２２】 又、位置決めピン２０は、回り止め片４２に連結されている。 次に、このように構成された本実施例の作用を説明する。 図２のように、位置決めピン２０は、位置決めブロック１０と係合される前に は、シールピース３０が第二のバネ３５によって位置決めブロック１０側へ突出 されている。この際、シールピース抜止用ピン２８が環状の凹部２７の最下端部 に当接している。

【００２３】 次に、位置決めピン２０と位置決めブロック１０との係合について説明する。 図２の状態から位置決めピン２０を位置決めブロック１０へ近づけ、位置決め ピン２０の軸部２６を位置決めブロック１０の溝１２内に嵌入すると、図３に示 すように、位置決めピン２０の傾斜面２４ａ，２４ｂが位置決めブロック１０の 傾斜面１３ａ，１３ｂと当接する。

【００２４】 この際、位置決めピン２０は、第一のバネ４１により位置決めブロック１０側 へ押し付けられているので、位置決めピン２０の傾斜面２４ａ，２４ｂと位置決 めブロック１０の傾斜面１３ａ，１３ｂとがくさびとなり、位置決めブロック１ ０と強固に固定される。

【００２５】 又、位置決めピン２０の傾斜面２４ａ，２４ｂの更に先には進退可能なシール ピース３０が第二のバネ３５により位置決めブロック１０に押し付けられ、シー ルピース３０の先端面３６で、位置決めブロック１０の通油路１５と位置決めピ ン２０の通油路２１を密に連結する。 以上のように、本実施例によれば、位置決めピン２０のシールピース３０は進 退可能で、第二のバネ３５により押し付けられているので、セット時の位置決め ピン２０の傾斜面２４ａ，２４ｂからシールピース３０の先端面３６までの寸法 は、位置決めブロック１０の溝１２の寸法（溝１２の傾斜面１３ａ，１３ｂから 底面１４のシール部材１７までの寸法）と多少の誤差があってもよい。

【００２６】 なお、上記実施例では、位置決めブロック１０の溝１２の傾斜面１３ａ，１３ ｂに係止する位置決めピン２０の嵌入部に傾斜面２４ａ，２４ｂを設けた場合に ついて説明したが、図４に示すように、位置決めピン２０の傾斜面２４ａ，２４ ｂを円錐状のテーパ５０としてもよい（請求項３及び４）。 この場合も、上記実施例と同様の作用効果を奏することができる。

【００２７】

【考案の効果】

以上のように、請求項１ないし４に係る回転工具ホルダにおける位置決めピン においては、位置決めブロックの係止位置と誤差があっても工具ホルダーの軸受 に負担が掛かることなく強固に係止し、しかも通油路を密に連結することができ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１及び２の位置決めピンを工作機械本体
のフレームに取り付けた回転工具ホルダにおける位置決
めピンの一実施例を示す一部切欠側面図である。

【図２】図１における位置決めブロックと位置決めピン
との結合前の状態を示す要部を切り欠いた側面図であ
る。

【図３】図１における位置決めブロックと位置決めピン
とを結合した状態を示す要部を切り欠いた側面図であ
る。

【図４】請求項３及び４の位置決めピンを工作機械本体
のフレームに取り付けた回転工具ホルダにおける位置決
めピンの一実施例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 工作機械本体の非回転部 ２ 回転主軸 ３ アンギュラヘッド等の回転工具ホルダ １０ 位置決めブロック １１ ピン係合部 １２ 溝 １３ａ，１３ｂ，２４ａ，２４ｂ 傾斜面 １４ 溝１２の底面 １５，２１ 通油路 １７，３４ シール部材 ２０ 位置決めピン ２２，２３ 穴部 ２６ 軸部 ２８ シールピース抜止用ピン ２９ 位置決めピン２０の先端面 ３０ シールピース ３１ 穴 ３２ 環状凹部 ３５ 第二のバネ ３６ シールピース３０の端面 ４０ ピン取付台 ４１ 第一のバネ ５０ テーパ

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 アンギュラヘッド等の回転工具ホルダー
   のハウジングに取り付けられ、機械主軸端に設けられた
   位置決めブロックに係止し、ハウジングの回り止めと給
   油路の連結とに用いられる位置決めピンにおいて、 先端に位置決めブロックの溝に設けられた傾斜面に係止
   する傾斜面を有し、この傾斜面より先端側に進退可能な
   シールピースを設け、シールピースを弾性体で付勢し、
   その端面で位置決めブロックの給油路と位置決めピンの
   給油路とを密に連結するするように構成したことを特徴
   とする回転工具ホルダにおける位置決めピン。
2. 【請求項２】 シールピースは、先端部の凹部に嵌入さ
   れるとともに凹部の底部側に配設したバネによって先端
   側に付勢され、抜止用ピンによって摺動自在に係止され
   ていることを特徴とする請求項１記載の回転工具ホルダ
   における位置決めピン。
3. 【請求項３】 アンギュラヘッド等の回転工具ホルダー
   のハウジングに取り付けられ、機械主軸端に設けられた
   位置決めブロックに係止し、ハウジングの回り止めと給
   油路の連結とに用いられる位置決めピンにおいて、 先端に位置決めブロックの溝と係止するテーパを有し、
   このテーパより先端側に進退可能なシールピースを設
   け、シールピースを弾性体で付勢し、その端面で位置決
   めブロックの給油路と位置決めピンの給油路とを密に連
   結するするように構成したことを特徴とする回転工具ホ
   ルダにおける位置決めピン。
4. 【請求項４】 シールピースは、先端部の凹部に嵌入さ
   れるとともに凹部の底部側に配設したバネによって先端
   側に付勢され、抜止用ピンによって摺動自在に係止され
   ていることを特徴とする請求項３記載の回転工具ホルダ
   における位置決めピン。