JP3016614B2 - 高靭性耐熱鋼の製造方法 - Google Patents

高靭性耐熱鋼の製造方法

Info

Publication number
JP3016614B2
JP3016614B2 JP3093288A JP9328891A JP3016614B2 JP 3016614 B2 JP3016614 B2 JP 3016614B2 JP 3093288 A JP3093288 A JP 3093288A JP 9328891 A JP9328891 A JP 9328891A JP 3016614 B2 JP3016614 B2 JP 3016614B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
toughness
less
strength
oxygen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3093288A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05105988A (ja
Inventor
直樹 徳光
泰士 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP3093288A priority Critical patent/JP3016614B2/ja
Publication of JPH05105988A publication Critical patent/JPH05105988A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3016614B2 publication Critical patent/JP3016614B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主としてボイラーチュー
ブ等に用いられるフェライト系の高靭性耐熱鋼製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近時、火力発電ボイラは大型化と高温、
高圧化が定着してきており、この様な操業から、ボイラ
チューブの材料も耐酸化性や高温強度が要求され、フェ
ライト系の2.25Cr−1Mo鋼から18−8ステン
レス鋼の様なオーステナイト系の高級鋼へ飛躍して使用
されているのが現状である。
【0003】しかし、低合金鋼、ステンレス鋼、超合金
鋼と材料が高級化になるに従いコストが上昇し、ボイラ
建設費が高くなる。従って、2.25Cr−1Mo鋼と
オーステナイト系ステンレス鋼の中間を狙った比較的高
くないコストで十分な機械的性質を有する鋼の開発が望
まれている。
【0004】このような要望に応えるために、Cr量が
9%あるいは13%等のフェライト系合金鋼をボイラ用
チューブに使用するための開発が行われている。実用
上、使用材料によってはボイラ効率を向上するのに、圧
力を高め臨界圧の操業が行われる。そのため、高い材料
強度が要求される。しかし、この種の材料では強度を高
めると溶接部の靭性が劣化する傾向になる。
【0005】一方、ボイラを製造するための工程として
は、溶接−溶接後熱処理もしくは加工熱処理後溶接−溶
接後熱処理を行う方法が採られている。従って、この様
なボイラ用鋼に要求される性能としては、溶接性及び熱
間加工性に優れていることは言うまでもなく、これらの
熱履歴を受けた後においても十分な強度、特に高温クリ
ープと共に高い靭性を維持していることが重要である。
【0006】鋼の靭性を高めるためには、鋼溶製過程で
の成分調整が必要である。すなわち靭性に悪影響を及ぼ
す硫黄(S)や珪素(Si)を低くすることは勿論のこ
と、酸素(O)含有量を下げて、介在物が極めて少なく
なるようにしなければならない。また、高温におけるク
リープ特性を上げるためにはアルミニウム(Al)が低
いことが必須となる。
【0007】従来、炭素(C)が低く、低Alでかつ低
酸素の高靭性合金鋼を溶製するに当たり、これを単独の
プロセスで行うことは極めて困難であった。そのため例
えば真空誘導溶解法(VIM)とエレクトロスラグ再溶
解法(ESR)の2段溶解法を採用し、製造していた。
しかし、この方法は、プロセスが複雑であり、且つ設備
費、操業費が高すぎるという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高靭性合金鋼
に関する上記した特性上及び製造上の問題点を解消しよ
うとするものであって、鋼中にマグネシウム(Mg)を
添加し、主としてこれにより脱酸をおこなって鋼中の酸
素を除去するか固定無害化して、ボイラチューブ等に使
用する靭性の優れた耐熱鋼を従来行われている再溶解
工程を省略し真空溶解だけの安価なプロセスによって製
造する方法を提供すること目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成を要旨とする。即ち、重量%と
して C :0.01〜0.30%, Si:0.01〜0.80%, Mn:0.10〜1.50%, Cr:8.00〜13.00%, W :0.20〜3.00%, Mo:0.005〜1.00%, V :0.05〜0.50%, Nb:0.02〜0.12%, B :0.0003〜0.008%,Mg:0.001〜0.02%, N :0.01〜0.10%, Al:0.005%以下 を含有し、さらに P :0.050%以下, S :0.010%以下、 O :0.020%以下 に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を
製造する方法において、鋼を真空溶解し、該溶解炉中で
成分を調整した溶鋼に、不活性雰囲気下でMg含有物を
添加することにより脱酸して微細な酸化物を分散させ、
鋳造することを特徴とする高靭性耐熱鋼の製造方法であ
る。
【0010】以下に本発明を詳細に説明する。本発明
は、ボイラチューブ等に用いられる高靭性耐熱鋼を製造
するのに真空誘導溶解(VIM)法により溶製する。真
空炉に挿入される原料は、転炉で精練された溶鋼を用い
ることが真空処理前の脱硫などの前処理ができて便利で
ある。真空炉内で溶解し、あるいは装入された溶鋼は、
所定時間減圧下に保持されるのでC−O反応による脱酸
が進行し、低酸素にすることができるが、この処理だけ
で目標の酸素量に下げるには、かなりの時間を要し、生
産性を阻害すると共に不経済である。本発明は、溶鋼の
含有酸素量を目標値に低減するために、真空処理にひき
続いて雰囲気をArガス等の非酸化性に置換し、必要あ
れば溶鋼をAr等の不活性ガスで攪拌しながら、Mgを
添加する。
【0011】添加したMgは、溶鋼中の靭性に対して有
害な酸素と反応し、これを完全に固定し微細な酸化物を
形成して分散する。そのために、Mg添加量は溶鋼酸素
量の1.5倍以下にすることが好ましい。このような観
点から鋼中Mgは0.001%以上は必要であり、また
余り過剰になると返って靭性に有害となるので0.02
%以下とすべきである。Mg添加方法については特に限
定しないが、ワイヤに加工して投入し、或るいは搬送ガ
スと共に供給することができる。Mgは溶鉄には溶解度
が小さく、また溶鋼温度では蒸気圧が高いので鋼中にほ
とんど固溶しない。そのため鋼材に合金として殆ど影響
を与えることがない。
【0012】この様にMgによる脱酸が十分に行われる
ため、本発明においてはAlによる脱酸をする必要が殆
どなく、但し、補足的に少量添加することはあるが、脱
酸にAlを多量に添加した場合に形成される粗大酸化物
に起因する特性(クリープ強度)の劣化を防ぐことがで
きる。
【0013】脱酸処理した溶鋼は、必要な成分調整をし
た後速やかに出鋼し、鋳造する。この結果、低C、低A
lで且つ低酸素と言う目標を十分に満たすことができ
る。
【0014】以下に本発明の方法によって得られる鋼の
成分を限定した理由を説明する。Cは強度を付与するた
めに少なくとも0.01%必要である。しかし多量に添
加すると、溶接熱影響部が著しく硬化するためボイラチ
ューブ材として不適になる。そのため0.30%を上限
とする。Siは通常脱酸のために用いるが、本発明では
強度確保、耐酸化性のために、0.01%以上添加する
が、靭性に悪影響を及ぼす元素でもあり、この点から
0.80%以下とする。Mnは脱酸及び強度保持上0.
1%以上必要であるが、1.50%を超えると靭性の点
から好ましくない。Crは耐酸化性付与に不可欠の元素
であり、又、M236 ,M6 C(但しMは金属元素を示
す)のマトリックス中への微細析出により高温強度を高
めている。これらの効果を顕著にするために8.00%
は必要であり、一方、多くなると溶接性及び靭性に影響
するため13.00%以下とする。Wは固溶強化及び析
出強化(炭化物)により高温強度を顕著に高める元素で
あり、特に、600℃を超えて長時間側の強化に有効で
ある。しかし3.00%を超えると溶接性、耐酸化性を
損なう。又Moとの共存で効果を発揮させるため0.2
0%を下限とした。Moは固溶強化により高温強度を顕
著に高める元素である。しかし多量に添加した場合に溶
接性、耐酸化性を損なうので1.00%以下とした。又
Wとの共存でクリ−プ強度の向上効果を発揮させるため
0.005%を下限とした。VはWと同様にマトリック
スに固溶しても析出物として析出しても高温強度を著し
く高める元素である。特に析出した場合には、V4 3
として他のM236,M6 Cの析出核となり、析出物の
微細分散に顕著な効果を示す。クリープ強度の向上に効
果を発揮させるために0.05%以上必要であり、又、
0.5%を超えると強度が低下する。NbはNb(C
N)の析出によって高温強度を高め、また初期の微細な
分散析出が後続するM236 ,M6 C、M2 C等の析出
状態を微細にコントロールするために長時間クリープ強
度の向上にも効果を発揮する。そのために0.02%以
上添加する。0.12%を超えると析出物の凝集粗大化
を生じ強度を低下する。Bは焼き入れ性向上元素である
が、微量添加でクリープ強度が向上する。この効果を発
揮させるために0.0003%以上含有させることが必
要であり、又熱間加工性、溶接性を損なわないように上
限を0.008%とする。Mgは本発明の最も特徴とす
る成分であり、溶鋼中に添加し脱酸剤として作用させ
る。即ち、酸素と反応して一部は浮上し、一部は鋼中に
残留して酸化物として微細に分散する。この結果、鋼中
酸素を著しく低減して鋼の靭性を向上することができ、
そのために少なくとも0.001%含有させる必要があ
る。しかし0.02%を超えると靭性を劣化させる。N
はマトリックスに固溶あるいは窒化、炭窒化物として析
出し、クリープ強度を高める。そのため0.01%以上
含有させる。しかし鋳造時ブローホールの発生を避け健
全な鋼塊を得るために0.10%以下とする。Alは元
来脱酸や窒素を固定させるために添加する元素である
が、添加量が多くなると粗大析出物を形成し、強度、靭
性を劣化する。特にAl含有量はクリープ強度に影響す
る。表2は表1の成分を含み、Al含有量を変えて製造
した鋼について、600℃における1000時間のクリ
ープ破断試験を行った結果であり、これよりAl含有量
を多くすると破断強度が低下する事が明らかである。こ
のような事から本発明におけるAl量を0.005%以
下にした。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】P,S,は不純物元素として少ない方がよ
く、それぞれ0,050%、0.010%、を許容上限
とした。又、O(酸素)は鋼靭性に悪影響を及ぼすので
低い方がよい。図1は、600℃×1000時間の時効
後の鋼中酸素量と衝撃エネルギー(vEo)の関係を示
したものであって、これより酸素を低減することによっ
て鋼の靭性を向上することが分かる。
【0018】
【実施例】表3に示す化学成分の鋼を本発明法及び従来
法によって溶解処理し、処理後出鋼しインゴットに鋳造
した。本発明法ではVIMで上記鋼100Kgを真空溶解
し、真空度10-2Torrに維持した炉内に10分間保持し
て成分調整した後、Ar雰囲気に変換し、溶鋼内にMg
のワイヤーを入射供給して添加量を変えた脱酸を実施し
た。夫々の脱酸後直ちに出鋼し鋳造した。ここでのO量
は12ppm であった。一方、比較法として上記VIMに
よって製造した(但し、Mg脱酸は行わず)インゴット
のみの場合と、このインゴット3本を電極としてESR
再溶解−鋳造した2通りを実施した。尚、ESRのフラ
ックスはCaF2 −CaO−Al2 3 系を使用した。
ここでのO量は23ppm であった。上記各インゴットを
12mm厚さの材料に熱間圧延し、その後熱処理(110
0℃で1hr焼準後空冷し、780℃で1hr焼戻した後再
度空冷する)を施した各材料より試片を切り出した。こ
れらの試片にさららに、600℃×1000時間の時効
後シャルピー衝撃試験を実施した。表3にその結果を示
した。
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】表4の記載から明らかのように、VIMで
Mg脱酸を行わない試片1、及びMg脱酸を行はなった
が本発明範囲を超えて多量にMgを含む試片4はともに
吸収エネルギーが低い。しかし、本発明試片2,3は適
正な脱酸が行なわれ吸収エネルギー値も高い。VIM−
ESRの再溶解処理をした試片5は、衝撃値は高いが処
理工程が複雑になるため、処理コストが本発明の約2倍
かかった。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明は、Mgで脱酸し
含有することにより低Alであって、しかも低酸素の合
金鋼を低炭素域で製造することができ、又、不活性雰囲
気下でMg含有物を添加することにより脱酸して微細な
酸化物を分散させることで、得られた鋼は高温クリープ
強度が高く、且つ靭性が極めて優れている。従って、こ
の高靭性耐熱鋼はボイラーチューブ等の高温雰囲気での
使用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】時効後の鋼の靭性に及ぼす酸素の影響を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−232345(JP,A) 特開 昭60−155648(JP,A) 特開 昭61−110753(JP,A) 特開 昭52−17311(JP,A) 特開 昭61−250125(JP,A) 特開 平1−205029(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/06 C22C 38/00 302 C22C 38/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%として C :0.01〜0.30%, Si:0.01〜0.80%, Mn:0.10〜1.50%, Cr:8.00〜13.00%, W :0.20〜3.00%, Mo:0.005〜1.00%, V :0.05〜0.50%, Nb:0.02〜0.12%, B :0.0003〜0.008%, Mg:0.001〜0.02%, N :0.01〜0.10%, Al:0.005%以下 を含有し、さらに P :0.050%以下, S :0.010%以下、 O :0.020%以下 に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を
    製造する方法において、鋼を真空溶解し、該溶解炉中で
    成分を調整した溶鋼に、不活性雰囲気下でMg含有物を
    添加することにより脱酸して微細な酸化物を分散させ、
    鋳造することを特徴とする高靭性耐熱鋼の製造方法
JP3093288A 1991-03-30 1991-03-30 高靭性耐熱鋼の製造方法 Expired - Fee Related JP3016614B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3093288A JP3016614B2 (ja) 1991-03-30 1991-03-30 高靭性耐熱鋼の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3093288A JP3016614B2 (ja) 1991-03-30 1991-03-30 高靭性耐熱鋼の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05105988A JPH05105988A (ja) 1993-04-27
JP3016614B2 true JP3016614B2 (ja) 2000-03-06

Family

ID=14078220

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3093288A Expired - Fee Related JP3016614B2 (ja) 1991-03-30 1991-03-30 高靭性耐熱鋼の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3016614B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05105988A (ja) 1993-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0175075B1 (ko) 증기터빈용 회전자 및 그 제조방법
CN113319469A (zh) 高强度耐热钢气体保护焊丝及其制备方法
CN114107826B (zh) 一种镍基高温合金及其制备方法
CN114807760A (zh) 一种含钨耐硫酸露点腐蚀用钢及其生产方法
JP3483493B2 (ja) 圧力容器用鋳鋼材及びそれを用いる圧力容器の製造方法
CN112853155A (zh) 具有优异高温耐腐蚀性和抗蠕变性的高铝奥氏体合金
JPH02115353A (ja) 高疲労強度メタルバンドソー胴材
JPH0759740B2 (ja) 靭性およびクリープ強度に優れたフェライト系耐熱鋼
JP3016614B2 (ja) 高靭性耐熱鋼の製造方法
JPH02197550A (ja) 高純度耐熱鋼
JP3319222B2 (ja) 溶接継手のクリープ特性に優れた高クロムフェライト鋼の製造方法
JP2734525B2 (ja) 靭性に優れた耐熱鋼
JP3504835B2 (ja) 低合金耐熱鋳鋼及び蒸気タービン用鋳鋼部品
JPS5845360A (ja) 耐焼戻脆化性を有する低合金鋼
JPS61177352A (ja) 石油化学工業反応管用耐熱鋳鋼
JPH07103447B2 (ja) 高純度耐熱鋼
JP3576234B2 (ja) 蒸気タービン車室又は圧力容器用鋳鋼材
JP4271311B2 (ja) フェライト系耐熱鋼
KR100346307B1 (ko) 알루미늄과 질소 첨가 고인성 원자로용 저합금강
JPS61190049A (ja) 低合金鋼
JPH04358043A (ja) 高靱性耐熱鋼及びその製造方法
JPH0536492B2 (ja)
JP3481419B2 (ja) 溶接熱影響部靭性の優れた厚鋼板
JP2002173720A (ja) 熱間加工性に優れたNi基合金
JP4271310B2 (ja) フェライト系耐熱鋼

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19991116

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees