JP3016590B2 - 積層ゴム支承及びその設計方法 - Google Patents

積層ゴム支承及びその設計方法

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JP3016590B2
JP3016590B2 JP5504227A JP50422792A JP3016590B2 JP 3016590 B2 JP3016590 B2 JP 3016590B2 JP 5504227 A JP5504227 A JP 5504227A JP 50422792 A JP50422792 A JP 50422792A JP 3016590 B2 JP3016590 B2 JP 3016590B2
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裕臣 松下
輝男 佐々木
一裕 藤澤
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は積層ゴム支承及びその設計方法に関し、詳し
くは、地震、機械振動、交通振動などにより構造物〔建
築物、橋、タンク等〕や、機器類〔電子計算機、医療機
器、保安機器、精密製造機器、分析解析機器等〕、美術
工芸品類に入力される加速度を低減する積層ゴム支承及
びその設計方法に関する。
背景技術 構造物、各種機器類や美術工芸品類などに入力される
加速度を低減させる免震支承として使用されるものに、
例えば、複数の硬質板とゴム状弾性板とを交互に積層し
た積層ゴム支承がある。
この積層ゴム支承は、図14に示すように複数の硬質板
(1)とゴム状弾性板(2)とを交互に積層し、その積
層体(3)の中央に上下に貫通する筒形中空部(4)を
設けた構造を有する。また、図15に示すように上記積層
体(3)の筒形中空部(4)に円柱状の粘弾性体又は塑
性体(5)を挿入・充填した周囲拘束型の積層ゴム支承
もある。
このような構造を有する積層ゴム支承は、積層体
(3)の最上下の硬質板(1)を取り付け板〔図示せ
ず〕を介して建築物や床などの上部構造物、及び基礎や
コンクリートスラブなどに固着することにより両者間に
介設される。
これらの積層ゴム支承では、地震・各種振動等の発生
時、鉛直方向での引張、圧縮変形及び水平方向での剪断
変形により入力加速度を低減し、地震・各種振動等を絶
縁して構造物、各種機器類や美術工芸品類などを地震・
各種振動等から保護する。
上記積層ゴム支承の性能において、鉛直方向の荷重変
動に対する積層ゴム支承の安定性は、積層体(3)の硬
質板(1)の内径によって大きく影響を受ける。図14の
積層ゴム支承では、その内径が大きい方が鉛直ばね定数
の低い〔鉛直方向の免震性能及び防振性能が良い〕免振
支承が得られ、また、ゴム材料の使用量が低減できて材
料コストの削減になる。しかし、内径が大きくなれば、
水平方向での剪断変形に際して小さな変形量で積層ゴム
支承は座屈する。即ち、内径の大きさは、鉛直ばね定数
と座屈に対して逆の効果を示す。また、上記積層体
(3)の筒形中空部(4)に円柱状の粘弾性体又は塑性
体(5)を挿入・充填した周囲拘束型の積層ゴム支承の
場合〔図15参照〕には、水平大変形時の鉛直方向の荷重
変動に対する安定性を向上させるため、内径を小さくす
れば、粘弾性体又は塑性体(5)の体積が減少し、要求
するだけの減衰量が得られない。このような積層ゴム支
承では、積層体(3)の硬質板(1)の内径の大きさ
は、減衰性能と座屈に対しての逆の効果を示し、二つの
性能に対して相反する影響を与える。
ところで、上述した積層ゴム支承を設計するに際し
て、積層体(3)の硬質板(1)の内径は経験的に決め
られており、その設計方法に対して内径を決定する妥当
な手段がなく、従って、適正な積層ゴム支承の設計方法
がないというのが現状であった。
具体的には、設計条件下で鉛直方向の免震性能及び防
振性能が良い、座屈面圧が高い、適正な内径を有する積
層ゴム支承の設計ができなかった。特に、積層体(3)
の筒形中空部(4)に粘弾性体又は塑性体を挿入・充填
した積層ゴム支承の場合、設計条件下で最も高減衰で、
座屈面圧が最も高い積層ゴム支承の設計が明確ではなか
った。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもの
で、その目的とするところは、積層体の硬質板の内径を
定常的に決定する妥当な手段を開示し、適正な形状を有
する積層ゴム支承及びその設計方法を提供することにあ
る。
発明の開示 上記目的を達成するための技術的手段として本発明
は、複数の硬質板とゴム状弾性板とを交互に積層し、そ
の積層体の中央に上下に貫通する中空部を形成した積層
ゴム支承を設計する方法において、限界載荷試験または
剪断試験により硬質板の外形寸法と内径寸法が異なるい
くつかの積層ゴム支承の座屈荷重を測定し、その座屈荷
重を受圧面積で除算した座屈面圧を導き出し、各座屈面
圧とその座屈面圧を導き出すのに使用した積層ゴム支承
の二次形状係数、硬質板の幅及び設計変位を用いて、X
−Y座標系に〔硬質板の幅/設計変位〕に対する〔座屈
面圧/二次形状係数〕の関係を示す近似曲線を作成し、
その近似曲線と、製作しようとする積層ゴム支承に要求
される座屈面圧をその積層ゴム支承の二次形状係数で除
算した値より〔硬質板の幅/設計変位〕の軸に平行に引
いた直線との交点を求め、その交点より求まる〔硬質板
の幅/設計変位〕の値に設計変位を乗算して求めた硬質
板の幅を最小幅としての硬質板の外形寸法からその最大
内形寸法を求めるようにしたことを特徴とする。
また、上記設計方法により設計された、複数の硬質板
とゴム状弾性板とを交互に積層し、その積層体の中央に
上下に貫通する中空部を形成した積層ゴム支承、及びそ
の中空部に粘弾性体又は塑性体を挿入・充填した積層ゴ
ム支承は、上記硬質板の幅をW、二次形状係数をS、標
準面圧をσ、設計変位をXO、安全率をa、座屈面圧を
σ、設計座屈面圧をσ、硬質板の外形寸法をDOとし
た時、 σB/S≦A4+A2・[(W/XO)+B1−0.5 +A3・(W/XO) σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) 〔但し、A2、A3、A4、A5、B1、B2:定数〕 σB/S≧σS/S 0<W≦DO/2 を満たす領域で決定された硬質板の幅に基づいて、硬質
板の外形寸法から割り出された硬質板の内形寸法を有す
ることを特徴とする。
本発明では、積層ゴム支承の鉛直方向の荷重変動に対
する安定性と硬質板の幅との関係を限界載荷試験又は剪
断試験によって求め、それらの試験によって得られた関
係より、設計条件〔設計変位、標準面圧、硬質板の外形
寸法、二次形状係数〕における、適正な硬質板の幅を求
めて適正な硬質板の内形寸法を算出することにより、鉛
直方向の荷重変動に対する安定性に優れ、適正な形状を
有する積層ゴム支承を設計する。上記中空部に粘弾性体
又は塑性体を挿入・充填した、免震支承としての積層ゴ
ム支承では、上記設計方法により高い安全性及び減衰定
数を持つものとなる。
本発明に係る設計方法によれば、複数の硬質板とゴム
状弾性板とを交互に積層した積層体の中央に上下に貫通
する中空部を形成した積層ゴム支承について、鉛直方向
の荷重変動に対して安定性が良好で、適正な形状を有す
る最適の積層ゴム支承を設計することができる。また、
上記中空部に粘弾性体又は塑性体を挿入・充填した本発
明の積層ゴム支承は、高い安全性〔鉛直方向の荷重変動
に対して高い安定性を有する〕と共に高い減衰定数を持
ったもので、非常に優れた性能を有する積層ゴム支承が
実現できてその実用的価値は非常に大である。
図面の簡単な説明 図1は、本発明に係る積層ゴム支承及びその設計方法
を説明するための積層ゴム支承を示す断面図で、(a)
は筒形中空部に粘弾性体又は塑性体を挿入・充填した積
層ゴム支承の断面図、(b)は筒形中空部に粘弾性体又
は塑性体を挿入・充填していない積層ゴム支承の断面
図、図2は、限界載荷試験において水平方向に変形させ
た状態で鉛直荷重を載荷した積層ゴム支承を示す断面
図、図3は、積層ゴム支承についての限界載荷試験時に
おける鉛直荷重と水平反力との関係を示す特性図、図4
は、積層ゴム支承の受圧面積を説明するための平面図、
図5は、剪断試験において鉛直荷重を載荷した状態で水
平方向に変形させた積層ゴム支承を示す断面図、図6
は、ゴム状弾性板に引張伸び変形による結晶化が少ない
材料を使用した積層ゴム支承についての剪断試験時にお
ける剪断変位と水平反力との関係を示す特性図、図7
は、ゴム状弾性板に引張伸び変形による結晶化が大きい
材料を使用した積層ゴム支承についての剪断試験時にお
ける剪断変位と水平反力との関係を示す特性図、図8
は、本発明に係る積層ゴム支承の設計方法を説明するた
め、本出願人が行なった限界載荷試験により得られた
〔硬質板の幅/設計変位〕に対する〔座屈面圧/二次形
状係数〕の関係を示す特性図、図9は、本発明方法によ
り設計される免震支承としての積層ゴム支承を説明する
ため、本出願人が行なった限界載荷試験により得られた
〔硬質板の幅/設計変位〕に対する〔座屈面圧/二次形
状係数〕の関係を示す特性図、図10は、本出願人が行な
った限界載荷試験により得られた第1の比較例における
〔硬質板の幅/設計変位〕に対する〔座屈面圧/二次形
状係数〕の関係を示す特性図、図11は、本出願人が行な
った限界載荷試験により得られた第2の比較例における
〔硬質板の幅/設計変位〕に対する〔座屈面圧/二次形
状係数〕の関係を示す特性図、図12は、本出願人が行な
った限界載荷試験により得られた第3の比較例における
〔硬質板の幅/設計変位〕に対する〔座屈面圧/二次形
状係数〕の関係を示す特性図、図13は、本出願人が行な
った限界載荷試験により得られた第4の比較例における
〔硬質板の幅/設計変位〕に対する〔座屈面圧/二次形
状係数〕の関係を示す特性図である。
図14は、積層ゴム支承の一例を示す断面図、図15は、
積層ゴム支承の他の例を示す断面図である。
発明を実施するための最良の形態 本発明に係る積層ゴム支承の設計方法を以下に説明す
る。
本発明に係る積層ゴム支承の設計方法は、複数の硬質
板(1)とゴム状弾性板(2)とを交互に積層し、その
積層体(3)の中央に上下に貫通する筒形中空部(4)
を形成した積層ゴム支承について、そのゴム支承の鉛直
方向の荷重変動に対する安定性を評価し、その安定性と
硬質板(1)の幅Wとの関係を後述する限界載荷試験ま
たは剪断試験〔限界載荷試験または剪断試験より得られ
た近似曲線〕によって求め、その関係より積層ゴム支承
の設計条件〔設計変位、標準面圧、硬質板(1)の外
径、二次形状係数、設計座屈面圧〕によって適正な硬質
板(1)の幅W〔最小幅〕を求め、適正な硬質板(1)
の内径DI〔最大内径〕を割り出し、適正な形状を有する
積層ゴム支承を得ようとするものである。本発明の設計
方法により得られた、適正な形状を有する積層ゴム支承
についてその筒形中空部(4)に粘弾性体又は塑性体
(5)を挿入・充填した場合に最大の減衰量を持った積
層ゴム支承〔図1(a)参照〕が実現でき、また、前記
筒形中空部(4)に粘弾性体又は塑性体を挿入・充填し
ていない場合でも、鉛直方向の防振性能がよい積層ゴム
支承〔図1(b)参照〕が実現できる。尚、積層体
(3)の硬質板(1)の内径DIは、硬質板(1)の外径
DOを上記硬質板(1)の幅Wの二倍で減算することによ
って計算できる。
本発明方法では、まず、積層ゴム支承の鉛直方向の荷
重変動に対する安定性に及ぼす影響を把握するために以
下に詳述する限界載荷試験又は剪断試験を行なって座屈
荷重〔後述〕を求める。
まず、限界載荷試験を以下に説明する。この限界載荷
試験は、図2に示すように積層ゴム支承を水平方向に設
計変位XOだけ変形させた状態で鉛直荷重PVを載荷させ、
その時の鉛直荷重PVと水平反力PHとの関係を調べ、図3
に示すように水平反力PH=0の時の鉛直荷重〔以下これ
を座屈荷重PVBと称す〕を求める。そして、この試験に
よって測定した座屈荷重PVBを受圧面積で除算した値を
以下座屈面圧σとする。ここで、図4(a)〜(k)
に示すように積層体(3)の積層方向に対して直交する
方向〔水平方向〕の断面形状が、例えば、円形、矩形、
多角形など種々のものが考えられ、この場合、受圧面積
とは、図中斜線部分で示すように積層体(3)の積層方
向に対して直交する方向の断面面積から筒形中空部
(4)の断面面積を除いたものとなる。更に、上記筒形
中空部(4)に粘弾性体又は塑性体(5)を挿入・充填
した場合、その粘弾性体又は塑性体(5)が鉛直荷重を
支持している時には、図中斜線部分の面積に、粘弾性体
又は塑性体(5)の積層方向に対して直交する方向の断
面面積を加えた面積となり、粘弾性体又は塑性体(5)
が鉛直荷重を支持していない時には、図中斜線部分の面
積のみとなる。
また、積層ゴム支承の設計条件の一つである二次形状
係数Sは、硬質板(1)の外径DOを、ゴム状弾性板
(2)の厚みTRとその積層数nRとの積であるゴム状弾性
板(2)の総厚みnRTRで除算した値である。一定のゴム
状弾性板(2)の総厚みnRTRに対して二次形状係数Sが
大きい積層ゴム支承とは、硬質板(1)の外径DOが大き
いことになり座屈しにくいものとなる。逆に、二次形状
係数Sが小さい積層ゴム支承とは、ゴム状弾性板(2)
の総厚みnRTRに対して硬質板(1)の外径DOが小さいこ
とになり座屈しやすいものとなる。他の設計条件である
設計変位XOは、積層ゴム支承の設計上、地震時に積層体
(3)が鉛直荷重を受けた状態で水平方向に変形する場
合に起こり得るであろう最大の変位量を設定したもので
ある。この設計変位における標準面圧σは、積層ゴム
支承が単位面積当たりに受ける鉛直荷重で、上記座屈面
圧σを安全率aで除算した値である。即ち、この標準
面圧σに対して一定の安全率aを考慮した座屈面圧σ
を設計座屈面圧σとする。また、上記安全率aは、
標準面圧σに対して構造物のロッキング現象による鉛
直荷重の増大を見込んで座屈しないような設計座屈面圧
σを設定した時の倍率であり、一般的には1以上を使
用し、σ≧1・σとなる。尚、この安全率aについ
て、好ましくは、a=1.5〜3である。
次に剪断試験について以下に説明する。この剪断試験
は、図5に示すように積層ゴム支承を一定の鉛直荷重PV
を載荷させた状態で水平方向に変形させ、その時の剪断
変位Xと水平反力PHとの関係を調べ、図6に示すように
水平反力PH=0の時の剪断変位XOを求める。この時の剪
断変位を設計条件である設計変位とすると、上記鉛直荷
重PVが設計変位XOにおける座屈荷重PVB′となる。座屈
面圧σ′は限界載荷試験の時と同様に計算して求め
る。ゴム状弾性板に引張伸び変形による結晶化が少ない
材料を使用した積層ゴム支承の剪断試験における剪断変
位Xと水平反力PHとの関係は、図6に示すように剪断変
位XMの時に水平反力が最大値PHMAXとなり、剪断変位がX
M以上になると徐々に水平反力PHが低下し、剪断変位XO
において水平反力PHが0となる。しかし、ゴム状弾性板
に引張伸び変形による結晶化が大きい材料を使用した積
層ゴム支承の剪断変位Xと水平反力PHとの関係は、図7
に示すように剪断変位XC以上において〔ゴム状弾性板が
高減衰の天然ゴムの時、一般的にXO<XCとなる〕、ゴム
状弾性板の結晶化によりゴム状弾性板の剪断弾性率が上
昇する。その結果、水平反力PHが図中の実線で示すよう
に剪断変位Xが大きくなるに従って上昇し、剪断変位XB
において破壊にいたる。また、図中の破線はゴム状弾性
板が引張伸び変形による結晶化が少ない場合の剪断変位
と水平反力との関係である。結晶化が少ないため上述の
ように剪断弾性率の上昇が小さいため、剪断変位XOにお
いて水平反力PHが0となり、座屈荷重PVB′が求まる。
しかし、図7に示すような場合、剪断試験によって直接
的に設計変位XOを測定することが困難となり、座屈荷重
を求めることができなくなる。限界載荷試験は、上記結
晶化が始まる剪断変位XCより小さい変位XOにおいて試験
を行なうため、ゴム状弾性板の結晶化がほとんど生じる
ことなく座屈荷重を測定することができる。また、剪断
試験によって求めた設計変位XOにおける座屈面圧σ
と、限界載荷試験によって求めた設計変位XOにおける座
屈面圧σとはほぼ同じ値を示した。座屈面圧は限界載
荷試験及び剪断試験のどちらの試験によっても求めるこ
とができ、どちらの試験でも差支えない。本出願人は、
ゴム状弾性板の上記結晶化による剪断弾性率の上昇の影
響が少なく容易に座屈面圧σが測定できる限界載荷試
験によって上記座屈面圧を求めた。以下に、その結果に
ついて詳述する。
以上説明した設計条件に基づいて本出願人が行なった
限界載荷試験により得られた座屈荷重PVBから求められ
た座屈面圧σと積層ゴム支承の硬質板(1)の幅Wと
の関係を図8に示す。この図8の特性図において、座屈
面圧σが設計変位XOの大小によって変化するため、硬
質板(1)の幅Wについては設計変位XOに依存しないよ
うに横軸を硬質板(1)の幅W/設計変位XOとし、また、
座屈面圧σは二次形状係数Sの大小によっても変化す
るため、その座屈面圧σについても二次形状係数Sに
依存しないように縦軸を座屈面圧σB/二次形状係数Sと
する。
尚、本出願人が行なった限界載荷試験により得られた
データは下表に示す通りであり、以下に述べる近似曲線
L0はこのデータから求められる。尚、表1において、上
4段のデータが、筒形中空部(4)に粘弾性体又は塑性
体(5)を挿入・充填した積層ゴム支承〔図1(a)参
照〕についてであり、下3段のデータが、筒形中空部
(4)に粘弾性体又は塑性体(5)を挿入・充填しない
積層ゴム支承〔図1(b)参照〕についてである。
表1のデータより、〔硬質板の幅W/設計変位XO〕に対
する〔座屈面圧σB/二次形状係数S〕は、図8の曲線L0
となる。尚、図中、丸印が、筒形中空部(4)に粘弾性
体又は塑性体(5)を挿入・充填した積層ゴム支承〔図
1(a)参照〕についてであり、三角印が、筒形中空部
(4)に粘弾性体又は塑性体(5)を挿入・充填しない
積層ゴム支承〔図1(b)参照〕についてである。この
曲線L0の近似式は、 σB/S=A1+A2・(W/XO−0.5+A3・(W/XO) となる。ここで、A1=106.7、A2=−72.48、A3=24.6
5、0<W≦DO/2、XO>0である。
上記近似式で表された近似曲線L0は設計可能な限界を
示すものであり、上述したように標準面圧σに一定の
安全率aを考慮した設計座屈面圧σを二次形状係数S
で除算した値、即ち、〔設計座屈面圧σS/二次形状係数
S〕が σB/S=σS/S で表された図8の直線M1となる。ここで、σ=50kgf/
cm2、a=3、σ=150kgf/cm2、=6.7であり、従っ
て、σS/S=22.4となる。
その結果、直線M1と近似曲線L0との交点m0によって求
まる硬質板(1)の幅Wが上述した設計条件によって決
まる最小値となり、この硬質板(1)の最小幅WMINから
求まる硬質板(1)の内径DIが最大値となり、その最大
内径DIMAXが決定される。これにより設計条件に対して
最大内径DIMAXの硬質板(1)を有する、鉛直荷重に対
する安定性が良好な最適の積層ゴム支承を設計すること
ができる。ここで、上記硬質板(1)の最小幅WMINは設
計条件によって決まる最小値であって、その硬質板
(1)の最小幅WMINよりも大きな硬質板(1)の幅Wと
しても、次式、 σB/S≦A1+A2・(W/X0−0.5+A3・(W/XO) σB/S≧σS/S で表されるような直線M1と近似曲線L0とで囲まれた領域
内であることを満たせば、設計条件に基づいて鉛直方向
の荷重変動に対する安定性が良好で適正な形状を有する
積層ゴム支承を設計することができる。
上述したように、設計条件に基づいて鉛直方向の荷重
変動に対する安定性が良好で適正な形状を有する積層ゴ
ム支承を設計する上で必要とする近似曲線L0は本出願人
が行なった限界載荷試験により得られたものである。
例えば、ゴム状弾性板(2)の厚みが6mm、弾性率が7
kgf/cm2、硬質板(1)の厚みが3.2mm、弾性率が2.1×1
06kgf/cm2の積層ゴム支承について、限界載荷試験を行
い、近似曲線L0を得た。
近似曲線L0は、ゴム状弾性板(2)の厚み、弾性率、
及び硬質板(1)の厚み、弾性率によって影響を受けて
変化移動する。
ゴム状弾性板(2)の厚みが近似曲線L0を求めた時に
用いた積層ゴム支承のゴム状弾性板(2)の厚みよりも
小さい時、又は、ゴム状弾性板(2)の弾性率が近似曲
線L0を求めた時に用いた積層ゴム支承のゴム状弾性板
(2)の弾性率よりも大きい時、近似曲線L0は上方〔図
8中の矢印〕に移動する。また、硬質板(1)の厚み
が近似曲線L0を求めた時に用いた積層ゴム支承の硬質板
(1)の厚みよりも大きい時、又は、硬質板(1)の弾
性率が近似曲線L0を求めた時に用いた積層ゴム支承の硬
質板(1)の弾性率よりも大きい時も、同様に近似曲線
L0は上方〔図8中の矢印〕に移動する。
ゴム状弾性板(2)の厚みが近似曲線L0を求めた時に
用いた積層ゴム支承のゴム状弾性板(2)の厚みよりも
大きい時、又は、ゴム状弾性板(2)の弾性率が近似曲
線L0を求めた時に用いた積層ゴム支承のゴム状弾性板
(2)の弾性率よりも小さい時、近似曲線L0は下方〔図
8中の矢印〕に移動する。また、硬質板(1)の厚み
が近似曲線L0を求めた時に用いた積層ゴム支承の硬質板
(1)の厚みよりも小さい時、又は、硬質板(1)の弾
性率が近似曲線L0を求めた時に用いた積層ゴム支承の硬
質板(1)の弾性率よりも小さい時も、同様に近似曲線
L0は下方〔図8中の矢印〕に移動する。
従って、以上に説明した本発明の設計方法で得られる
積層ゴム支承について、ゴム状弾性板(2)及び硬質板
(1)の厚みと弾性率を考慮する必要がある。
そこで、上記条件を考慮した積層ゴム支承の形状につ
いて以下に説明する。尚、上記積層ゴム支承を免震支承
として使用する場合、積層ゴム支承は、複数の硬質板
(1)とゴム状弾性板(2)とを積層した積層体(3)
の筒形中空部(4)に粘弾性体又は塑性体(5)を挿入
・充填したものであってもなくてもどちらでも差し支え
ない。
ゴム状弾性板(2)の厚みと弾性率、硬質板(1)の
厚みと弾性率、及び積層ゴム支承として好ましい値を考
慮して得られた〔硬質板の幅W/設計変位XO〕に対する
〔座屈面圧σB/二次形状係数S〕の関係を図9に示す。
ゴム状弾性板(2)の厚みと弾性率、硬質板(1)の厚
みと弾性率、及び積層ゴム支承として好ましい値を考慮
した場合、図9に示すように設計可能な限界として曲線
L1及びL2が得られた。この曲線L1の近似式は、 σB/S=A4+A2・[(W/XO)+B1−0.5 +A3・(W/XO) となる。ここで、A4=116.289、A2=−72.48、A3=24.6
5、B1=0.389、0<W≦DO/2である。
曲線L2の近似式は、 σB/S=A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) となる。ここで、A5=91.64、A2=−72.48、A3=24.6
5、B2=−0.611、0<W≦DO/2である。
ゴム状弾性板(2)の厚みが近似曲線L1を求めた時に
用いた積層ゴム支承のゴム状弾性板(2)の厚みより小
さい時には、水平剛性と鉛直剛性を適正にするため、積
層数が多く必要となり、製造コストが増加する。また、
鉛直剛性が水平剛性に比べ大きくなり〔通常の積層ゴム
支承の鉛直剛性と水平剛性の比は1000:1〕、鉛直方向の
免震性能、及び防振性能が低下する。ゴム状弾性板
(2)の弾性率が近似曲線L1を求めた時に用いた積層ゴ
ム支承のゴム状弾性板(2)の弾性率より大きい時、同
様に積層数が多く必要となり、製造コストが増加する。
硬質板(1)の厚みが近似曲線L1を求めた時に用いた積
層ゴム支承の硬質板(1)の厚みより大きい時には、支
承本体の重量が増加し、輸送コストが増加する。硬質板
(1)の弾性率が近似曲線L1を求めた時に用いた積層ゴ
ム支承の硬質板(1)の弾性率より大きい材料を硬質板
(1)に使用すると、材料コストが増加する。
ゴム状弾性板(2)の厚みが近似曲線L2を求めた時に
用いた積層ゴム支承のゴム状弾性板(2)の厚みより大
きい時には、設計条件に対して、硬質板(1)の幅Wが
大きくなる。従って、高い減衰定数を得るために硬質板
(1)の内径DIを大きくすると、硬質板(1)の外径DO
が大きくなり、製造コストが増加する。また、鉛直剛性
が水平剛性に比べ小さくなり〔通常の積層ゴム支承の鉛
直剛性と水平剛性の比は1000:1〕、鉛直荷重の支持能力
が低下し、積層ゴム支承として好ましくない。ゴム状弾
性板(2)の弾性率が近似曲線L2を求めた時に用いた積
層ゴム支承のゴム状弾性板(2)の弾性率より小さい時
には、積層数が少なくなり、設計変位時のゴム弾性板
(2)に生じる歪みが大きくなり、高い破断伸びを持っ
たゴム材料が必要となる。硬質板(1)の厚みが近似曲
線L2を求めた時に用いた積層ゴム支承の硬質板(1)の
厚みより小さい時には、ゴム状弾性板(2)の剪断応
力、及び圧縮応力によって硬質板(1)が容易に塑性変
形して破壊にいたる。硬質板(1)の弾性率が近似曲線
L2を求めた時に用いた積層ゴム支承の硬質板(1)の弾
性率より小さい時にも、同様にゴム状弾性板(2)の剪
断応力、及び圧縮応力によって硬質板(1)が容易に変
形し、座屈面圧が非常に低下して積層ゴム支承として好
ましくない。
また、0<W≦DO/2から、硬質板(1)の外径DOを決
めることによりその外径DOの半分が硬質板(1)の幅W
の設計可能な最大値として自動的に決まりその最大値と
しての限界が、 W/XO=DO/2XO で表された図9の直線M2となる。
更に、前述したように〔設計座屈面圧σS/二次形状係
数S〕が、 σB/S=σS/S で表された図9の直線M1となり、 σB/S≦A4+A2・[(W/XO)+B1−0.5 +A3・(W/XO) σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) σB/S≧σS/S W/XO≦DO/2XO で表されるような直線M1及びM2と近似曲線L1及びL2とで
囲まれた領域内であることを満たせば、設計条件に基づ
いて鉛直方向の荷重変動に対する安定性が良好で適正な
形状を有し、減衰性能の優れた免震支承としての積層ゴ
ム支承を設計することができる。特に、近似曲線L1及び
L2と直線M1との交点m1、m2で決まる線分m1−m2上に、設
計条件に基づいて、免震支承として最適な積層ゴム支承
を設計することができる。
尚、上記領域外、即ち、 σB/S>A4+A2・[(W/XO)+B1−0.5 +A3・(W/XO) であれば、座屈性能が低下し、 σB/S<A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) であれば、減衰性能が低下し、 σB/S<σS/S であれば、設計座屈面圧σ、即ち、安全率aが低下し
て鉛直方向の荷重変動に対する安定性が良好で、減衰性
能の優れた免震支承としての積層ゴム支承を設計するこ
とが困難となる。尚、W/XO>DO/2XOとなることはない。
即ち、硬質板(1)の幅Wがその外径DOの半分よりも大
きくなるということはありえない。
このように近似曲線L1及びL2を設計可能な限界とし、
その近似曲線L1とL2とで囲まれた領域内で近似曲線L0
他に限界載荷試験により曲線L3が得られた。この曲線L3
の近似式は、 σB/S=A6+A2・[(W/XO)+B3−0.5 +A3・(W/XO) となる。ここで、A6=99.034、A2=−72.48、A3=24.6
5、B3=−0.311、0<W≦DO/2である。
ここで、図9に示す直線M2と直線M1との交点n1が、 σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) を満たさない場合には、適正な積層ゴム支承は、前述し
たように直線M1及びM2と近似曲線L1及びL2とで囲まれた
領域内であることを条件として設計されるが、図9に示
す直線M2′のように〔硬質板の幅W/設計変位XO〕が小さ
くなって直線M2′と直線M1との交点n1′が、上述した条
件、即ち、 σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) を満たす場合には、 σB/S≦A4+A2・[(W/XO)+B1−0.5 +A3・(W/XO) σB/S≧A6+A2・[(W/XO)+B3−0.5 +A3・(W/XO) σB/S≧σS/S W/XO≦DO/2XO で表されるような直線M1及びM2′と近似曲線L1及びL3
で囲まれた領域内であることを条件として設計すること
が好ましい。なお、〔硬質板の幅W/設計変位XO〕が大き
くて直線M2と直線M1との交点n1が、 σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) を満たさない場合であっても、直線M1及びM2と近似曲線
L1及びL3とで囲まれた領域内であることを条件として設
計することが望ましい。
また、上記〔硬質板の幅W/設計変位XO〕についてその
最大限を考えると、 W/XO=8 となり、設計可能な領域としては、 W/XO≦8 を満たすことが条件となる。ここで、 W/XO>8 となるような領域で設計された積層ゴム支承では、設計
変位XOを250mmとした場合、硬質板(1)の幅Wが2000m
m以上となり、硬質板(1)の外径DOが4m以上となっ
て、通常、そのような巨大な積層ゴム支承を免震支承と
して使用することはない。
そして、最終的に理想とする最適な設計条件で設計さ
れた積層ゴム支承は、 σB/S=A1+A2・(W/XO−0.5+A3・(W/XO) で表された近似曲線L0上にあり、更に、 σB/S=σS/S で表された直線M1と上記近似曲線L0との交点m0となる。
次に、本発明方法により設計された本発明品とその比
較品とで、鉛直方向の荷重変動に対する安定性及び減衰
性能についての比較を以下に説明する。
まず、筒形中空部(4)に粘弾性体又は塑性体(5)
を挿入・充填した積層ゴム支承について、第1〜第3の
比較例を以下に詳述する。
まず第一に、第1の比較例を図10に基づいて説明する
と、設計条件は以下に示す通りである。
・設計変位 XO=250mm ・標準面圧 σ=50kgf/cm2 ・硬質板の外径 DO=1000mm ・二次形状係数 S=6.7 ・安全率 a=3 ・設計座屈面圧 σ=a・σ=150kgf/cm2 上記設計座屈面圧σと二次形状係数Sより図10に示
す直線M1が求まる。また、0<W≦DO/2であるから、0
<W/XO≦2.0となり、これは図10に示す直線M2となる。
この直線M1と直線M2の交点n1が、 σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) を満たさないから、本発明品は、直線M1及びM2と近似曲
線L1及びL2とで囲まれた領域、好ましくは、近似曲線L1
及びL2と直線M1との交点m1、m2で決まる線分m1−m2上の
W/XOの値によって設計される。
図10に示す直線M1上のa1、b1、c1、d1点の硬質板
(1)の幅Wを求めて積層ゴム支承を製作して比較し
た。その積層ゴム支承について鉛直方向の荷重変動に対
する安定性を確認した結果を表2に示す。尚、ゴム状弾
性板(2)の等価減衰定数は15%、粘弾性体又は塑性体
(5)の等価減衰定数は50%である。
以上の結果から明らかなように、比較品a1は限界載荷
試験より求めた座屈面圧が100kgf/cm2を示し、設計座屈
面圧〔150kgf/cm2〕以下であった。この形状の積層ゴム
支承は、鉛直方向の荷重変動に対する安定性が悪く、実
用には使用できなかった。また、比較品d1は限界載荷試
験より求めた座屈面圧が630kgf/cm2を示し、設計座屈面
圧〔150kgf/cm2〕以上であったが、等価減衰定数は本発
明品b1、c1に比べて低い。
これに対して本発明品b1、c1の座屈面圧は設計座屈面
圧以上を示し、等価減衰定数も高い値を示す。
第二に、第2の比較例を図11に基づいて説明すると、
設計条件は以下に示す通りである。
・設計変位 XO=250mm ・標準面圧 σ=50kgf/cm2 ・硬質板の外径 DO=600mm ・二次形状係数 S=4.0 ・安全率 a=3 ・設計座屈面圧 σ=a・σ=150kgf/cm2 上記設計座屈面圧σと二次形状係数Sより図11に示
す直線M1が求まる。また、0<W≦DO/2であるから、0
<W/XO≦1.2となり、これは、図11に示す直線M2′とな
る。この直線M1と直線M2′の交点n1′が、 σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) を満たすから、本発明品は、直線M1及びM2′と近似曲線
L1及びL3とで囲まれた領域、好ましくは、近似曲線L1
びL3と直線M1との交点m1、m3で決まる線分m1−m3上のW/
XOの値によって設計される。
図11に示す直線M1上のa2、b2、c2、d2点の硬質板
(1)の幅Wを求めて積層ゴム支承を製作して比較し
た。その積層ゴム支承について鉛直方向の荷重変動に対
する安定性を確認した結果を表3に示す。尚、ゴム状弾
性板(2)の等価減衰定数は15%、粘弾性体又は塑性体
(5)の等価減衰定数は50%である。
以上の結果から明らかなように、比較品a2は、限界載
荷試験より求めた座屈面圧が30kgf/cm2を示し、設計座
屈面圧〔150kgf/cm2〕以下であった。この形状の積層ゴ
ム支承は、鉛直方向の荷重変動に対する安定性が悪く、
実用には使用できなかった。また、比較品d2は限界載荷
試験より求めた座屈面圧が320kgf/cm2を示し、設計座屈
面圧〔150kgf/cm2〕以上であったが、等価減衰定数は本
発明品b2、c2に比べて低い。
これに対して本発明品b2、c2の座屈面圧は設計座屈面
圧以上を示し、等価減衰定数も高い値を示す。
第三に、第3の比較例を図12に基づいて説明すると、
設計条件は以下に示す通りである。
・設計変位 XO=300mm ・標準面圧 σ=50kgf/cm2 ・硬質板の外径 DO=1500mm ・二次形状係数 S=6.7 ・安全率 a=3 ・設計座屈面圧 σ=a・σ=150kgf/cm2 上記設計座屈面圧σと二次形状係数Sより図12に示
す直線M1が求まる。また、0<W≦DO/2であるから、0
<W/XO≦2.5となり、これは、図12に示す直線M2とな
る。この直線M1と直線M2の交点n1が、 σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) を満たさないから、本発明品は直線M1及びM2と近似曲線
L1及びL2とで囲まれた領域でのW/XOの値によって設計さ
れる。
図12に示す近似曲線L0上のe3点の硬質板(1)の幅W
を求めて積層ゴム支承を製作して比較した。その積層ゴ
ム支承について鉛直方向の荷重変動に対する安定性を確
認した結果を表4に示す。尚、ゴム状弾性板(2)の等
価減衰定数は15%、粘弾性体又は塑性体(5)の等価減
衰定数は50%である。
以上の結果から明らかなように、本発明品e3の座屈面
圧は設計座屈面圧以上を示し、等価減衰定数も高い値を
示す。
以上説明した第1〜第3の比較例により、本発明方法
で設計した、図1(a)に示すように筒形中空部(4)
に粘弾性体又は塑性体(5)を挿入・充填した積層ゴム
支承は、鉛直方向の荷重変動に対して安定であり、且
つ、等価減衰定数が最適な積層ゴム支承であることが確
認された。
最後に、第4の比較例として、筒形中空部(4)に粘
弾性体又は塑性体(5)を挿入・充填しない積層ゴム支
承について、本発明方法により設計した本発明品とその
比較品とで、鉛直方向の荷重変動に対する安定性につい
て比較した。この第4の比較例を図13に基づいて説明す
ると、設計条件は以下に示す通りである。
・設計変位 XO=150mm ・標準面圧 σ=50kgf/cm2 ・硬質板の外径 DO=600mm ・二次形状係数 S=4 ・安全率 a=3 ・設計座屈面圧 σ=a・σ=150kgf/cm2 上記設計座屈面圧σと二次形状係数Sより図13に示
す直線M1が求まる。また、0<W≦DO/2であるから、0
<W/XO≦2.0となり、これは図13に示す直線M2となる。
この直線M1と直線M2の交点n1が、 σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) を満たさないから、本発明品は、直線M1及びM2と近似曲
線L1及びL2とで囲まれた領域、好ましくは、近似曲線L1
及びL2と直線M1との交点m1、m2で決まる線分m1−m2上の
W/XOの値によっ設計される。
図13に示す直線M1上のa4、b4、c4、d4点の硬質板
(1)の幅Wを求めて積層ゴム支承を製作して比較し
た。その積層ゴム支承について鉛直方向の荷重変動に対
する安定性を確認した結果を表5に示す。
以上の結果から明らかなように、比較品a4は、限界載
荷試験より求めた座屈面圧が50kgf/cm2を示し、設計座
屈面圧〔150kgf/cm2〕以下であった。この形状の積層ゴ
ム支承は、鉛直方向の荷重変動に対する安定性が悪く、
実用には使用できなかった。また、比較品d4は限界載荷
試験より求めた座屈面圧が320kgf/cm2を示し、設計座屈
面圧〔150kgf/cm2〕以上であったが、鉛直ばね定数は本
発明品b4、c4に比べて大きく、防振性能が本発明品b4
c4に比べて低かった。
これに対して、本発明品b4、c4の座屈面圧は設計座屈
面圧以上を示し、鉛直ばね定数も小さく防振性能が高か
った。
以上説明した第4の比較例により、本発明方法で設計
した、図1(b)に示すように筒形中空部(4)に粘弾
性体又は塑性体(5)を挿入・充填していない積層ゴム
支承は、鉛直方向の荷重変動に対して安定であり、且
つ、鉛直方向の防振性能が高い積層ゴム支承であること
が確認された。
尚、最後に図4(a)〜(k)に示す場合での硬質板
(1)の幅Wの定義を以下に説明する。
(a) 硬質板が円形(中実)の場合 W=DO/2 (b) 硬質板が円形(中空)の場合 W=(DO−DI)/2 (c) 硬質板が正方形(中実)の場合 W=aO/2 (d) 硬質板が正方形(中空)の場合 W=(aO−aI)/2 (e) 硬質板が長方形(中実)の場合 変形方向がのように長辺方向に一方向であれば、 W=bO/2 変形方向がのように短辺方向に一方向又は任意方向
であれば、 W=aO/2 (f) 硬質板が長方形(中空)の場合 変形方向がのように長辺方向に一方向であれば、 W=(bO−bI)/2 変形方向がのように短辺方向に一方向又は任意方向
であれば、 W=(aO−aI)/2 (g) 硬質板が正(2n+2)角形の場合 n:自然数 図中のように対辺を結ぶ直線lによってWを決める 中実の場合 W=(aO−aI)/2 中空の場合 W=(aO−aI)/2 (h) 硬質板が正(2n+1)角形の場合 n:自然数 図中のように対角より対辺に延ばした垂線lによって
Wを決める 中実の場合 W=aO/2 中空の場合 W=aO−aI−W′ (i) 硬質板が楕円の場合 変形方向がのように長辺方向に一方向であれば、 中実の場合 W=bO/2 中空の場合 W=(bO−bI)/2 変形方向がのように短辺方向に一方向又は任意方向
であれば、 中実の場合 W=aO/2 中空の場合 W=(aO−aI)/2 (j) 硬質板の筒形中空部が複数個ある場合 筒形中空部がないものとして定義する。但し、筒形中
空部が幾何学的中心にある場合には、その筒形中空部の
みを考慮する。
(k) 任意の形状に任意の中空部が存在する場合 図中のようにWの最小値を硬質板の幅と定義する。
産業上の利用可能性 本発明は、基礎やコンクリートスラブなどの下部構造
物と建築物や床などの上部構造物との間に介設した場
合、地震、機械振動、交通振動などの各種振動入力に対
して、鉛直方向の荷重変動に対して安定性が良好で、適
正な形状を有する最適の積層ゴム支承を設計することが
できる。
従って、本発明の設計条件下で得られた積層ゴム支承
は、高減衰で座屈面圧も高く、非常に優れた性能を有す
るものとなり、構造物、機器類、美術工芸品類を保護す
る上で、その免震及び防振対策に適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−168930(JP,A) 特開 平3−37435(JP,A) 特開 平3−125738(JP,A) 実開 平3−90702(JP,U) 実開 昭59−58108(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 1/00 - 1/40 F16F 15/02 - 15/08 E04H 9/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の硬質板とゴム状弾性板とを交互に積
    層し、その積層体の中央に上下に貫通する中空部を形成
    した積層ゴム支承を設計する方法において、 硬質板の外形寸法と内径寸法が異なるいくつかの積層ゴ
    ム支承の座屈荷重を測定し、その座屈荷重を受圧面積で
    除算した座屈面圧を導き出し、各座屈面圧とその座屈面
    圧を導き出すのに使用した積層ゴム支承の二次形状係
    数、硬質板の幅及び設計変位を用いて、X−Y座標系に
    〔硬質板の幅/設計変位〕に対する〔座屈面圧/二次形
    状係数〕の関係を示す近似曲線を作成し、その近似曲線
    と、製作しようとする積層ゴム支承に要求される座屈面
    圧をその積層ゴム支承の二次形状係数で除算した値より
    〔硬質板の幅/設計変位〕の軸に平行に引いた直線との
    交点を求め、その交点より求まる〔硬質板の幅/設計変
    位〕の値に設計変位を乗算して求めた硬質板の幅を最小
    幅として硬質板の外形寸法からその最大内形寸法を求め
    るようにしたことを特徴とする積層ゴム支承の設計方
    法。
  2. 【請求項2】複数の硬質板とゴム状弾性板とを交互に積
    層し、その積層体の中央に上下に貫通する中空部を形成
    し、その中空部に粘弾性体又は塑性体を挿入・充填した
    積層ゴム支承において、 上記硬質板の幅をW、二次形状係数をS、標準面圧をσ
    、設計変位をXO、安全率をa、座屈面圧をσ、設計
    座屈面圧をσ、硬質板の外形寸法をDOとした時、 σB/S≦A4+A2・[(W/XO)+B1−0.5 +A3・(W/XO) σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) 〔但し、A2、A3、A4、A5、B1、B2:定数〕 σB/S≧σS/S 0<W≦DO/2 を満たす領域で決定された硬質板の幅に基づいて硬質板
    の外形寸法から割り出された硬質板の内形寸法を有する
    ことを特徴とする積層ゴム支承。
  3. 【請求項3】複数の硬質板とゴム状弾性板とを交互に積
    層し、その積層体の中央に上下に貫通する中空部を形成
    した積層ゴム支承において、 上記硬質板の幅をW、二次形状係数をS、標準面圧をσ
    、設計変位をXO、安全率をa、座屈面圧をσ、設計
    座屈面圧をσ、硬質板の外形寸法をDOとした時、 σB/S≦A4+A2・[(W/XO)+B1−0.5 +A3・(W/XO) σB/S≧A5+A2・[(W/XO)+B2−0.5 +A3・(W/XO) 〔但し、A2、A3、A4、A5、B1、B2:定数〕 σB/S≧σS/S 0<W≦DO/2 を満たす領域で決定された硬質板の幅に基づいて硬質板
    の外形寸法から割り出された硬質板の内形寸法を有する
    ことを特徴とする積層ゴム支承。
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