JP3015575B2 - 電圧低下検出装置 - Google Patents

電圧低下検出装置

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JP3015575B2
JP3015575B2 JP4031192A JP3119292A JP3015575B2 JP 3015575 B2 JP3015575 B2 JP 3015575B2 JP 4031192 A JP4031192 A JP 4031192A JP 3119292 A JP3119292 A JP 3119292A JP 3015575 B2 JP3015575 B2 JP 3015575B2
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voltage
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正人 渕川
康夫 片岡
正之 寺嶋
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Shikoku Electric Power Co Inc
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Meidensha Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、3相交流電源の停電や
瞬時電圧低下を検出する電圧低下検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】常時商用給電形の無停電電源や無停電異
系統切替装置等では3相交流の電圧低下を検出してイン
バータや異系統電源への切替を行い、負荷には無停電給
電を行う。これら装置では電圧低下の高速検出が要求さ
れる。
【0003】従来の電圧低下検出方式を以下に説明す
る。
【0004】(1)瞬時値比較検出方式 図4に絶対値形の回路図を示す。検出対象となる系統電
圧はサンプルホールド回路1によってサンプリングさ
れ、A/D変換器2によってサンプル値のディジタル信
号として検出される。一方、系統電圧は波形整形回路3
によって方形波信号に変換され、PLL回路4によって
同期化された系統周波数のN倍のパルス信号として取出
される。
【0005】PLL回路4の出力パルスはサンプルホー
ルド回路1のサンプリングのタイミングに使用されると
共にカウンタ5の計数入力にされる。このカウンタ5
は、エッジ検出回路6による系統電圧波形の零クロス点
タイミング信号によってリセットされ、系統電圧のサン
プリングパルスに同期した計数値を得る。ROM7はカ
ウンタ5の計数値をアドレスとして正弦波のサンプル値
を得る。比較器8はROM7のサンプル値を比較基準と
し、A/D変換器2のディジタル信号が該比較基準に較
べて所定値以上低くなった(電圧低下)か否かを検出す
る。カウンタ9は比較器8による電圧低下の検出が一定
時間継続したときに電圧低下の検出出力を得る。
【0006】上述の絶対値形に対し、相対値形の瞬時値
比較にはROM7に代えてA/D変換器2のディジタル
信号を半サイクル又は1サイクル分過去のデータとして
RAMに書込んでおき、このサンプル値とA/D変換器
2の現在値とを比較する。
【0007】(2)平均値比較検出方式 この方式は3相交流を全波整流した後、CRフィルタに
よってリップル成分を除去した直流信号に変換し、この
直流信号が比較基準の直流信号よりも所定値以上低くな
ったことで電圧低下を検出する。
【0008】(3)3相電圧自乗和方式 この方式は、図5に示すように、系統電圧の各相電圧E
sin ωt、E sin(ωt−2π/3)、E sin(ωt−4π
/3)を乗算器10,11,12によって夫々の自乗演
算をし、これらの総和を加算器13に求め、この結果と
比較基準Vsetとを比較器14で比較することで電圧低
下を検出する。
【0009】加算器13の出力Yには
【0010】
【数1】
【0011】から電圧Eに比例した直流値3E2/2を
得る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の瞬時値比較検出
方式における電圧低下検出動作は図6に示すようにな
る。ROM7からの基準電圧に対し、A/D変換器2か
らの系統電圧が低下して基準電圧と交わる瞬間の時刻t
0で比較器8に電圧低下検出出力を得る。
【0013】この検出出力を電圧低下検出信号とすると
検出時間は速くなるが、ノイズ等の影響で誤動作し易く
なる。そこで、比較器8の検出が一定時間Δt継続した
ことをカウンタ9によって計算するか、又は系統電圧と
基準電圧の差ΔVの積分値V
【0014】
【数2】
【0015】が一定値を越えたことで電圧低下を検出す
る。
【0016】この検出方式では積分値Vの演算によると
積分演算を必要として回路を複雑にすること、及び系統
電圧低下のタイミング(例えば正弦波の45度の時点と
135度の時点)によって積分値が変化して検出に要す
る時間が変わってくる問題があった。
【0017】一方、カウンタ9による一定時間継続では
正弦波の零度と180度の零クロス点では系統電圧と基
準電圧の差が殆ど無く、比較器8によるレベル比較に誤
りが生じ易い。この誤りを無くすにはゼロクロス近辺で
比較した結果をカウンタ9に与えるのを抑止する等の処
理を必要とする。このように、交流量を瞬時値で比較す
るのは種々の補正や補償を必要として回路又はソフトウ
ェアを複雑にする問題があった。
【0018】次に、平均値比較検出方式では検出レベル
を高くした高精度を得ようとするとリップル除去のため
のCRフィルタの時定数が大きくなり、結果的に応答性
が悪くなって高速検出ができない。
【0019】次に、電圧自乗和方式では3相電圧が均等
に低下する場合には検出電圧Yにリップルが無く高速に
検出できるが、各相電圧の低下の割合にバラツキがある
と電圧低下の遅い相に影響されて検出時間が長くなると
いう問題があった。
【0020】本発明の目的は、高速検出にしながら回路
構成又はソフトウェア構成を比較的簡単にする電圧低下
検出装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題の解
決を図るため、検出対象になる3相交流の各相電圧波形
を得る電圧検出手段と、前記電圧波形を得る電圧検出手
段と、前記電圧波形に同期しかつ定電圧の3相正弦波信
号を発生する正弦波発生手段と、前記3相交流の各相電
圧波形と3相正弦波信号とを同相間で夫々乗算し各乗算
結果を加算する演算手段と、この演算手段の演算結果が
設定値以下に達しかつ所定時間継続したときに前記3相
交流の電圧低下検出信号を得る比較手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0022】
【作用】3相交流の各相電圧波形を行うベクトルV=
[Va、Vb、Vc]で表し、各要素Va、Vb、Vc
【0023】
【数3】
【0024】とする。
【0025】この各相電圧波形に同期しかつ定電圧の3
相正弦波信号を行うベクトルC=[Ca、Cb、Cc]
で表し、行ベクトルVに行ベクトルCの転置行列CT
乗ずると3相の電圧を同期回転座標上に変換したことに
なり、3相交流の電圧の大きさが平衡していれば次式で
示されるように一定の直流量になる。
【0026】
【数4】
【0027】上述のことより、正弦波発生手段に上記
(3)式の3相正弦波を発生させ、演算手段により同相
間の乗算と各乗算結果を加算することで上記(4)式に
示す一定な直流量を得る。この直流量はある時刻に3相
交流の電圧変化に行ベクトルCが一定で行ベクトルVが
変化し、電圧低下が直流レベルの低下として表れる。こ
の直流レベルの低下を比較手段によって検出することで
電圧低下の検出を直流レベルから得る。
【0028】ここで、演算手段による乗算には同相間の
乗算結果を加算するため、3相電圧の1つの相がゼロク
ロス点にある場合にも他の相が120度,240度位相
にあって演算結果が零になることが無く、比較手段には
カウンタ等による一定時間継続判定にもゼロクロス点近
辺での比較を抑止する手段を不要にする。
【0029】また、瞬時電圧比較によることで瞬時値比
較検出方式と同等の高速検出を得る。さらに、電圧自乗
和方式と同様に検出信号に脈動のない直流量を得て電圧
低下の判定を容易にする。
【0030】
【実施例】図1は本発明の一実施例を示す回路図であ
る。電圧検出器21は商用電源等の検出対象となる3相
交流電源から各相電圧波形を検出する。この電圧信号は
前述の(3)式に相当する。
【0031】PLL22とカウンタ23とROM24,
25,26及びD/A変換器27,28,29は正弦波
発生手段を構成し、検出電圧Vcos ωtに同期しかつ定
電圧の3相正弦波信号を発生する。PLL22は検出電
圧に同期し正弦波の1周期又は半周期間にN発の同期パ
ルスを発生し、カウンタ23はゼロクロス点でリセット
されて同期パルスの計数を行い、ROM24,25,2
6は正弦波の半周期又は一周期間のサンプル値が互いに
120度位相差を有して書込まれカウンタ23の計数値
をアドレスとして正弦波のサンプル値データを順次出力
し、D/A変換器27,28,29は各ROM24〜2
6からのサンプル値データを順次アナログ信号に変換す
ることで正弦波信号を得る。このROM24〜26の出
力は前述の(3)式で電圧Vが一定のものになる。
【0032】乗算器30,31,32と加算器33は演
算手段を構成し、検出器21からの各相電圧信号とD/
A変換器27,28,29からの各相正弦波信号とを同
相間で乗算器30〜32で乗算し、これら乗算結果を加
算器33で加算する。この演算結果は前述の(4)式か
ら検出電圧の大きさが平衡していれば一定の直流量3V
/2になる。
【0033】比較器34とタイマ35は比較手段を構成
し、加算器33の出力と設定電圧Vsetとを比較器34
で比較し、加算器33の出力が設定電圧以下になったと
きにタイマ35が計時を開始し、この状態がタイマ35
の時限以上に継続したときに該タイマ35の出力変化を
電圧低下検出信号として取出す。
【0034】本実施例によれば、電圧低下の検出速度と
しては瞬時値比較方式と同等の高速性を持ち、回路構成
上は電圧自乗和回路に正弦波発生手段を付加することで
済み、瞬時値比較方式のようにゼロクロス点での演算抑
止手段や積分演算手段を不要にし、比較的簡単な構成に
なる。
【0035】なお、本実施例ではハードウェア構成で示
すが、コンピュータによるソフトウェア構成で大部分を
実現することができる。例えば、電圧検出器21からの
各相電圧波形をサンプルホールド回路とマルチプレクサ
回路及びA/D変換器によってサンプリングデータとし
てコンピュータに取込み、テーブルデータとして持つ正
弦波サンプルデータとの乗算と加算と比較及びタイマ演
算の各処理を繰り返すソフトウェアをコンピュータに用
意することで実現される。
【0036】本発明に基づいた電圧低下検出試験を従来
の瞬時値比較検出方式及び電圧自乗和方式の試験と共に
行った。試験対象として高圧配電系統のある地点の柱上
開閉器を開放し、このときの該地点から負荷側の電圧低
下(停電)に対する応答波形をEMTPによるシミュレ
ーションで求めた。
【0037】なお、負荷側に進相コンデンサが結合され
て残留電圧の減少に時間がかかる場合と、進相コンデン
サがつながれていない場合の両方の試験を行った。ま
た、基準値と検出信号の比較にはソフトウェアで行うと
共に判定レベル(基準値)は検出信号の定常値の80%
とした。
【0038】図2は負荷側にコンデンサが無い場合のシ
ミュレーション波形図を示し、同図(a)には線間電圧
波形を、(b)には本発明方式での電圧検出信号と電圧
低下判別信号を、(c)には電圧自乗和方式での電圧検
出信号と電圧低下判別信号を示す。
【0039】図3は負荷側にコンデンサが有る場合のシ
ミュレーション波形図を示し、同図(a)には線間電圧
波形を、(b)には本発明方式での電圧検出信号と電圧
低下判別信号を、(c)には電圧自乗和方式での夫々の
信号を示す。
【0040】これらシミュレーション結果及び瞬時値比
較方式の演算結果は下記表の判別時間になる。
【0041】
【表1】
【0042】なお、瞬時値比較方式では各相電圧の波形
がそれに同期し大きさが相電圧の80%の正弦波信号を
下回るまでの時間として演算で求めた。
【0043】この結果から、本発明方式はコンデンサの
有無に拘らず瞬時値比較方式とほぼ同じ応答性を持ち、
電圧自乗和方式に較べて高速応答の電圧低下検出ができ
る。特に、コンデンサが系統に接続されて線間の残留電
圧が大きいときに応答性の差が大きくなる。
【0044】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、3相交
流の各相電圧と、これに同期して発生させる3相正弦波
信号とを同相間で夫々乗算し、各乗算結果を加算するこ
とで3相交流の電圧を同期回転座標上に変換して一定の
直流量の検出電圧を得、この電圧を比較基準電圧との比
較により電圧低下を検出するようにしたため、瞬時値比
較方式と同等の高速検出になり、しかも瞬時値比較方式
に較べて積分演算やゼロクロス点の検出抑止手段を不要
にして回路構成又はソフトウェア構成を簡単化できる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す回路図。
【図2】電圧低下検出波形図。
【図3】電圧低下検出波形図。
【図4】瞬時値比較検出方式の回路図。
【図5】3相電圧自乗和方式の回路図。
【図6】瞬時値比較検出波形図。
【符号の説明】
21…電圧検出器、22…PLL、23…カウンタ、2
4,25,26…ROM、27,28,29…D/A変
換器、30,31,32…乗算器、33…加算器、34
…比較器、35…タイマ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渕川 正人 香川県高松市屋島西町2109番地8 株式 会社四国総合研究所内 (72)発明者 片岡 康夫 東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式 会社明電舎内 (72)発明者 寺嶋 正之 東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式 会社明電舎内 (56)参考文献 特開 平1−136075(JP,A) 実開 昭52−124273(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 19/165 H02H 3/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出対象になる3相交流の各相電圧波形
    を得る電圧検出手段と、前記電圧波形に同期しかつ定電
    圧の3相正弦波信号を発生する正弦波発生手段と、前記
    3相交流の各相電圧波形と3相正弦波信号とを同相間で
    夫々乗算し各乗算結果を加算する演算手段と、この演算
    手段の演算結果が設定値以下に達しかつ所定時間継続し
    たときに前記3相交流の電圧低下検出信号を得る比較手
    段とを備えたことを特徴とする電圧低下検出装置。
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