JP3014194U - 防滑性を有する履物本底 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 道路が凍結した表面に水膜が発生する時節に
おいて、歩行時に転倒し骨折する事故が多発しており、
このような事故を防止するための防滑性を有する履物本
底の構造を提案するものである。 【構成】 履物本底の着地面の一部又は全面に、先端表
面積が小さく鋭利で方向性がランダムなセラミックの砥
粒を固着してなる網目研摩布を設けた構造とすることに
より、冬季の屋外の凍結した路面に対して、人間の体重
で路面に対する投錨効果を有し防滑性のある履物本底で
ある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、道路が凍結し表面に水膜４が発生する時節に、子供や老人が歩行時 に転倒し骨折する事故が多発しており、このような事故を防止をするために、防 滑性を有する履物本底１の構造を提案するものである。

【０００２】

【従来の技術】

凍結した路面に対する履物本底１の素材としては、ゴムエラストマー又は熱可 塑性樹脂にセラミック粒末や金属粉末を混合して成型された底材やスパイクピン を埋設した底材の提案がされている。

【０００３】

【考案が解決しようとする問題点】

底材に固い物質を混合したリスパイク付きの履物本底１は、防滑素材の先端表 面積が大きく丸みがあるため、人間の体重程度では凍結した道路表面に対する投 錨効果がなく、スパイク付きなどは表面形状によっては逆に滑るなどの問題が起 こっている。

【０００４】 本考案では、凍結した路面に対して、先端表面積が小さくて鋭利であり、方向 性も前後左右にランダムな砥粒２を有する防滑素材を、履物本底１の着地面に設 ける事により、人間の体重で路面に対する投錨効果を有し防滑性のある履物本底 １の構造を可能としている。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】

本考案は、履物本底１の着地面の一部又は全面には、先端表面積が小さく鋭利 で方向性がランダムなセラミックの砥粒２を有する網目研摩布３を貼着すること により、屋外の氷５面上を歩行するときには、本底１表面の防滑素材により、氷 ５表面に水膜４がある状態でも鋭利な砥粒２の先端部が氷に突き刺さり、氷５表 面で滑ることなく歩行可能である。

【０００６】

【作用】

０℃前後の温度領域で氷５表面に発生する水膜４に対して、本底１のゴムの硬 さを柔らかくした状態で真実接触面積を増加しただけでは、本底１と氷５の間に 発生している水膜４により防滑性がなく、金属や樹脂で構成されるスパイクピン は、先端部の断面積が大きいため、人間の体重程度では、氷５表面に突き刺さら ず逆に点接触の状態となり非常に滑りやすい。

【０００７】 本考案の防滑性のメカニズムは、人間の体重程度で氷５表面に対する投錨効果 をはかるとともに、氷５表面の水膜４の層も網目研摩布３で構成される空間に取 り込むことを可能としており、本底１表面には、先端表面積が小さく鋭利なセラ ミックの砥粒２をもうけ、尚且つ砥粒２の方向性もランダムな状態とすることに より、氷５表面において本底１の着地面の一部又は全面に装着される防滑性を有 する網目研摩布３が、前後左右の方向に対して確実にホールドする作用があり、 ０℃前後の温度領域において発生する水膜４の影響もない。

【０００８】

【実施例】

本考案における防滑性を有する履物本底１の構造について具体的に述べると、 セラミックの砥粒２で構成される網目研摩布３を、ゴムエラストマー配合材質で 構成される本底１の着地表面の一部又は全面に対して接着剤で貼着することによ り、防滑性を有する履物本底１の構造を可能としている。

【０００９】 以下本考案における砥粒２、本底１、網目研摩布３の材質について詳細に述べ ると、砥粒２は、材質がアルミナ質系、炭化珪素質系、アルミナジルコニア質系 で、粒度（番）は＃８から＃１５００の範囲が使用可能であり、本考案では炭化 珪素質系で粒度（番）が＃４０から＃１２０の範囲の砥粒２が特に防滑性能に優 れていた。

【００１０】 次に本底１及び網目研摩布３の材質について述べると、本底１のゴムエラスト マー配合材質は、ゴムに天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴ ム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、エチレン酢 酸ビニルゴム、ウレタンゴムが使用され、配合剤には硫黄、充てん剤、加硫促進 剤、老化防止剤、軟化剤等が使用され、密閉式混練機またはオープンロールでゴ ムと配合剤を混練りし、一定厚さにシーティングし加硫成型されたものが使用さ れる。

【００１１】 本底１のクッション性や軽量化を行う場合は、発泡剤を配合して混練りして加 硫成型を行いスポンヂ材質の本底１を得る。

【００１２】 熱可塑性樹脂の場合は、ポリ塩化系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱 可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニ ル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、１，２−ポリ ブタジエン系熱可塑性エラストマーが使用され、トランスファー成型機で本底１ が成型される。

【００１３】 網目研摩布３は、網目ガラス繊維の基布にレジン系接着剤で砥粒２が接着され た網目空間を有する構造である。

【００１４】 図面に基づいて本考案の履物本底１の防滑メカニズムについて説明すると、第 １図における実施例において、凍結した路面の氷５表面に対して網目研摩布３の 砥粒２の鋭利な先端が氷５表面に突き刺さり投錨効果を有しており、さらには氷 ５表面上の水膜４に対しては、網目研摩布３の網目空間部分に水を取り込むこと により、水膜４による滑りも防止可能となつている。

【００１５】 本考案の実施例である砥粒２を使用してなる網目研摩布３と本底１を接着する 方法としては、本底１の意匠表面をバフがけし、ウレタン系又はクロロプレン系 の処理剤を塗布し、次にウレタン系又はクロロプレン系の接着剤を塗布しておき 、網目研摩布３の裏面にもウレタン系またはクロロプレン系の接着剤を塗布して 、本底１と網目研摩布３を貼り合わせる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案における防滑性を有する履物本底１の構造において、本底１の着地面に 使用される網目研摩布３の砥粒２は、先端表面積が小さく鋭利なセラミックが使 用され、方向性もランダムであるため、０℃前後の温度領域における氷５表面の 水膜４に関係なく、砥粒２が氷５表面に突き刺さり、歩行時の転倒による事故の 防止を可能としている。

【図面の簡単な説明】

【図 １】本考案における実施例拡大図

【図 ２】本底の平面図

【図 ３】第２図のＡ−Ｂ線拡大断面図

【符号の説明】

１． 本 底 ２． 砥 粒 ３． 網目研摩布 ４． 水膜 ５． 氷

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】網目状のガラス繊維基材表面にセラミック
   の砥粒を固着してなる網目研摩布を、履物本底の着地面
   に一部又は全面に貼着した構造を有する履物本底に関す
   る。