JP3014186B2 - アルキルホスフェート溶液の浄化方法 - Google Patents

アルキルホスフェート溶液の浄化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルキルホスフェート溶
液の浄化に関し、特に疎水性有機溶剤中に溶解されたア
ルキルホスフェートに関する。このような溶液はウラン
鉱石からのウランの製造に関与する溶剤抽出方法に使用
される。
【0002】
【従来技術】特に、主要な鉱石転換方法からの廃棄ウラ
ンの回収に使用される間に、アルキルホスフェートと溶
剤の両者は放射線分解および酸による浸食による化学変
化の結果として漸次にだんだんと劣化する。そのうち
に、分解生成物が溶剤抽出方法に干渉して、その溶液を
取り替えなければならない程度にまでなり、廃棄される
ウラン混入材料はかなりのコストで処理される。
【0003】まず初めに、不純なアルキルホスフェート
溶液から充分な量の錯体化した硝酸(及び、ウラン及び
鉄の他の錯体化種)を適当な試薬によって除去し、続い
て、前記の溶液をイオン交換処理することによって、再
利用性のための要求を満たすように溶液を製造すること
ができることが見出されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明によれば、疎水
性有機溶剤のアルキルホスフェート溶液を浄化するため
の方法を提供し、その方法は、前記溶液を硫酸水溶液で
洗浄し、及びその洗浄された溶液をイオン交換材料に接
触させる工程を含む。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は特に、アルキル
基がエチルからオクチルまでの範囲であり、特にブチ
ル、中でも特にn−ブチルであるトリアルキルホスフェ
ートの溶液の処理に向けられている。そのトリアルキル
ホスフェートのための疎水性有機溶剤は、普通は炭化水
素液であり、通常は炭化水素の混合物であり、例えば石
油の蒸留、一般に180℃と290℃の間のケロシン沸
点から得られる無臭のケロシンがよく利用される。
【0006】疎水性有機溶剤中のアルキルホスフェート
の濃度は広範にわたり、その組成はアルキルホスフェー
トを濃縮するか、または非常に希釈するように処理され
る。一般的に、アルキルホスフェートは溶液中に約5〜
50%v/v で存在する。典型的には、核グレードのウラ
ンの製造に使用した後の処理のための溶液は、無臭のケ
ロシン中に約20〜40%v/v のトリブチルホスフェー
ト(TBP)を含んでいる。
【0007】廃棄される炭化水素液のアルキルホスフェ
ート溶液は、すなわち、使用中に劣化してもはや使用で
きない程度にまでなった溶液は、かなりの量の主に有機
的な錯体の形にあるウラン及び硝酸を含む。そのアルキ
ルホスフェート溶液を洗浄するために使用される硫酸水
溶液の濃度は広範にわたり、一般的に30%v/v 〜0.1
%v/v H2SO4 、好ましくは5%v/v 〜0.1%v/v H2SO4
の範囲内にある。使用される一般的な濃度は、水中に約
4%v/v H2SO4 である。
【0008】この洗浄方法は有機相と水性相の間の効率
的な接触のために適当な方法のどれかであってもよく、
それは効率的な物質移動のために十分な接触時間を提供
する。向流方式が好ましく、接触させるために例えばボ
ックス−ミキサーセトラーまたは脈動カラムのような適
当な手段が利用されてもよい。洗浄中のアルキルホスフ
ェート溶液の容積と硫酸水溶液の容積との比は広範にわ
たり、通常は1容積のアルキルホスフェート溶液に対し
て20〜0.05容積の間の硫酸水溶液である。
【0009】一般的に、洗浄中では周囲温度またはそれ
以上が好ましく、15℃から60℃までの範囲の温度、
好ましくは18℃から25℃までの温度が適当である。
本発明の第1工程では、つまり硫酸水溶液での洗浄で
は、主として有機的に錯体化した硝酸及び/または遊離
の硝酸をアルキルホスフェート溶液から除去することが
重要である。このような汚染物の除去は、本発明の方法
での後続のイオン交換工程を容易にするものであり、こ
のことは、アルキルホスフェート溶液から分解生成物を
除去するイオン交換材料の能力に大きな損失をもたらす
イオン交換材料上への硝酸イオンの吸着を防ぐことによ
ると思われる。
【0010】この洗浄工程はまた、アルキルホスフェー
ト溶液からウランを全体的にまたは部分的に除去するこ
とにおいて有利である。イオン交換容量の減少を避ける
こととは別に、イオン交換材料は放射性物質によって汚
染されず、そのことによってイオン交換樹脂を再生成す
るために使われる材料の安全な処理を容易にする。本発
明の方法の第2工程で使用されるイオン交換材料は、好
ましくは有機のまたは無機の陰イオン交換材料から選ば
れ、例えば、化学的タイプの、またはスチレンジビニル
ベンゼン共重合体と呼ばれる型の樹脂からが選ばれる。
弱塩基性の陰イオン樹脂が好ましい。混合された陰イオ
ン/陽イオン樹脂もまた有用であり、例えば、Diamond
Shamrock (Polymers)Ltd.から入手可能なDuolite MB511
3が有用である。イオン交換樹脂はまた巨大網状型であ
ってもまた有利である。
【0011】本発明の方法に使用するための好ましいイ
オン交換樹脂の例は、Amberlyst A26 と呼ばれる強塩基
性の陰イオン樹脂及び特に弱塩基性の陰イオン樹脂であ
るAmberlyst A21 を含み、両者はRohm & Haas Co. から
入手できる。Amberlyst A21 はアミノ官能基と900−
1300オングストロームの孔の平均径を有する巨大網
状型の樹脂であって、一方Amberlyst A26 もまた巨大網
状型の樹脂であり、四級アンモニウム官能基と400−
700オングストロームの孔径を有する。
【0012】幾らか興味のあるイオン交換樹脂は、陰イ
オンDuolite A116(Diamond Shamrock (Polymers) Ltd.
から入手可能) である。使用において、これらのイオン
交換樹脂は、通常ヒドロキシルイオンの型である。本発
明の方法のイオン交換工程は、この技術分野で公知のい
ずれかの慣用の方法によって実施される。洗浄された溶
液とイオン交換樹脂との接触は、好ましくはそのイオン
交換樹脂を詰めたカラム中で行われる。
【0013】イオン交換カラムでの操作は、好ましくは
その樹脂の再生成が必要になるまで連続的なベースで実
施される。カラムに注入する前に洗浄された溶液を濾過
することが望ましく、そうすれば樹脂の効力及び有効寿
命を減ずる、存在するいずれかの固形粒子による樹脂の
付着物を避けることができる。
【0014】処理されたアルキルホスフェート溶液の十
分な程度の精製を確実にするために、洗浄された溶液と
イオン交換樹脂の間の充分な接触時間を提供することを
確保することが重要である。一般的に、接触時間が長い
程、イオン交換工程がより効率的になる。充填したカラ
ム中の接触時間を、1時間当たりのカラムを通過する
“ベッド−ボリューム”(bed volumes)の
数値( 通常、Bv/hr と省略される) によって表すと便利
である。実例として0.1Bv/hrと20Bv/hr の間の接触時間
が使用されるが、0.1-1.0Bv/hrの接触時間が好ましい。
【0015】アルキルホスフェート溶液の浄化の進行は
都合のよいことに、本発明の方法を通じて溶液1ml当た
りのウランのμg ( μg U/ml) で表される溶液の保留ウ
ラン(RU)値を測定することによって追跡できる。こ
の値は、その溶液のサンプルを硝酸ウランを添加するこ
とによってウランで飽和させ、希釈(0.06%w/v)硝酸
で5回抽出し、残存するウランの量を標準の技術で測定
する経験的な方法で最も容易に決定される。
【0016】必須ではないが、ある場合にはアルキルホ
スフェート溶液を本発明の硫酸水溶液で洗浄する第1工
程の前に、例えば炭酸ナトリウム水溶液のような弱アル
カリで洗浄することが有用である。使用後、イオン交換
樹脂はこの技術分野で公知の適当な方法のどれかによっ
て再生成されてもよい。本発明者は再生剤として水酸化
ナトリウム水溶液を通常4%から10%w/v の濃度で使
用することを好む。再生剤の量は通常、イオン交換樹脂
の理論的容量の100%と500%の間である。
【0017】本発明は次の実施例によって説明される
が、これらに限定はされない。
【0018】
【実施例】実施例1 600リットルの溶剤(120リットルのトリブチルホ
スフェート(TBP)及び480リットルの無臭ケロシンを
含む)を核グレードのウラン製造の溶剤抽出プラントの
回収ラインから取り出し、ウランが無くなるまで、4%
硫酸水溶液で洗浄した。溶剤と水溶液の流れは向流的に
ボックス−ミキサーセトラーの配列を通して送り込み、
2:1の溶剤と水溶液の比で洗浄を実施した。
【0019】溶剤をその後、1時間当たり1.5リット
ル(0.5Bv/hr )で3リットルのAmberlyst A21 を含む
イオン交換カラムに通過させた。溶剤のRU値(前述さ
れている)は、溶剤を1回だけイオン交換樹脂に通した
ことによって189μg U/mlから11μgU/mlに減少し
た。 実施例2 溶剤抽出プラントの回収ラインからの900mlの溶剤
(180mlのTBP 及び720mlの無臭ケロシンを含む)
をボックス−ミキサーセトラーの配列の中でウランが無
くなるまで、実施例1のように2%硫酸水溶液で繰り返
し洗浄した。
【0020】その溶剤をその後、1.5ml/hr(0.1Bv/h
r )で15mlのAmberlyst A26 を含むイオン交換カラム
に通過させた。イオン交換処理の前後の溶剤のRU値
は、それぞれ82μgU/mlと25μg U/mlであった。 実施例3 溶剤抽出プラントの回収ラインからの1リットルの溶剤
(200mlのTBP 及び800mlの無臭ケロシンを含む)
をボックス−ミキサーセトラーの配列の中でウランが無
くなるまで、実施例1のように10%硫酸水溶液で繰り
返し洗浄した。
【0021】その溶剤をその後、150ml/hr(1.0Bv/h
r )で150mlのヒドロキシド型のDuolite A116を含む
イオン交換カラムに通過させた。イオン交換処理の前後
の溶剤のRU値は、それぞれ275μg U/mlと6μg U/
mlであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スチュワート ガーフィールド ホルダ ーネス イギリス プレストン ピーアール4 0エルジェイ フルウッド ウッドプラ ンプトン ロード 107 (56)参考文献 特開 昭57−88032(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 9/09

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機的に錯体化した硝酸及び/又は遊離
    の硝酸並びにウランを含有する疎水性有機溶剤中のアル
    キルホスフェート溶液の浄化方法であって、該溶液を硫
    酸水溶液で洗浄して有機的に錯体化した硝酸及び/又は
    遊離の硝酸、並びに少なくとも一部のウランを除く
    程、及び該洗浄された溶液をイオン交換材料に接触させ
    る工程を特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 該溶液がトリアルキルホスフェートを含
    む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 該アルキルがエチルからオクチルまでの
    範囲であるアルキル基から選ばれる、請求項2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 該アルキル基がブチルを含む、請求項3
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 該アルキル基がn−ブチルを含む請求項
    4記載の方法。
  6. 【請求項6】 該溶液中のアルキルホスフェートが約5
    容量%と50容量%の間の濃度を有する、請求項1〜5
    のいずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 該溶液中のアルキルホスフェートが約2
    0容量%と40容量%の間の濃度のトリアルキルホスフ
    ェートを含む、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 硫酸水溶液の濃度が約30容量%と0.1
    容量%の間である、請求項1〜7記載のいずれか1項記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 硫酸水溶液の濃度が10容量%と0.1容
    量%の間である、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 硫酸水溶液の濃度が10容量%と2容
    量%の間である、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 硫酸水溶液とアルキルホスフェート溶
    液の容量の比が、1容量のアルキルホスフェート溶液に
    対して20容量と0.05容量の間の硫酸水溶液である、
    請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 【請求項12】 洗浄中の温度が15℃と60℃の間で
    ある、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 【請求項13】 該温度が18℃と25℃の間である、
    請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 イオン交換材料が陰イオン交換材料を
    含む、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 【請求項15】 陰イオン交換材料がスチレンジビニル
    ベンゼン共重合体を含有する樹脂を含む、請求項14記
    載の方法。
  16. 【請求項16】 該樹脂が弱塩基性である、請求項15
    記載の方法。
  17. 【請求項17】 該樹脂が陽イオン及び陰イオン樹脂を
    含有する混合物を含む、請求項15記載の方法。
  18. 【請求項18】 該樹脂が巨大網状型の樹脂を含む、請
    求項15〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. 【請求項19】 アルキルホスフェート溶液と硫酸水溶
    液が向流の関係にある、請求項1〜18のいずれか1項
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 陰イオン交換材料がカラム内に充填さ
    れ、洗浄された溶液と陰イオン交換材料の接触時間が1
    時間当たり0.1〜20ベッドボリュームの間である、請
    求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
  21. 【請求項21】 接触時間が1時間当たり0.1〜1.0ベ
    ッドボリュームの間である、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 アルキルホスフェート溶液が硫酸水溶
    液で洗浄される前に、該アルキルホスフェートを弱アル
    カリで洗浄する工程を含む、請求項1〜21のいずれか
    1項記載の方法。
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