JP3007016B2 - 等速ジョイントの検査装置および検査方法 - Google Patents

等速ジョイントの検査装置および検査方法

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JP3007016B2
JP3007016B2 JP7019415A JP1941595A JP3007016B2 JP 3007016 B2 JP3007016 B2 JP 3007016B2 JP 7019415 A JP7019415 A JP 7019415A JP 1941595 A JP1941595 A JP 1941595A JP 3007016 B2 JP3007016 B2 JP 3007016B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のエンジン出力
を駆動輪に伝達するために用いられる等速ジョイントに
おける入力軸、出力軸間の伝達性を検査する等速ジョイ
ントの検査装置および検査方法に関し、特に、入力軸、
出力軸に装着したエンコーダから得られる回転信号から
その位相差を算出するようにした等速ジョイントの検査
装置および検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジン出力を駆動輪に伝達す
るために図9Aおよび図9Bに示すような等速ジョイン
トが用いられている。この等速ジョイントは、エンジン
出力側のドライブシャフトである入力軸に係合されるイ
ンナレース1と、駆動輪側出力軸に係合するアウタレー
ス2とから構成される。
【0003】アウタレース2にはn本(一般には6本)
のトラック溝3が設けられ、インナレース1には前記ト
ラック溝3に対応する溝部4にボールケージ5を介して
スチールボール6が挟持され、インナレース1、スチー
ルボール6、ボールケージ5からなる組立体が、スチー
ルボール6がトラック溝3に嵌合するようにアウタレー
ス2に挿入されて組み立てられ、インナレース1はエン
ジン出力側のドライブシャフトが係合され、ドライブシ
ャフトの回転がインナレース1を介してアウタレース2
に伝達され、アウタレース2側に係合される駆動輪を回
転させる構成となっている。
【0004】このような等速ジョイントのインナレース
1、アウタレース2を組み合わせた状態(以下、等速ジ
ョイント組立体という)での組み合わせ精度、すなわ
ち、等速ジョイントにおける入力軸、出力軸間の伝達性
を検査し、製品品質を保証することが必要となるが、従
来、この種の検査方法として、特開平1−259235
号公報や特開平3−26934号公報に開示された技術
がある。
【0005】上記従来技術は、いずれも、インナレース
1に係合した入力軸(ドライブシャフト)を傾斜させた
状態で回転させ、入力軸のトルク変動を測定することに
より、単に等速ジョイント組立体内部のフリクショント
ルクを測定するのみで製品品質の良否を判定するもので
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】等速ジョイントを構成
するインナレース1、アウタレース2等の部材は、一般
には鍛造により製造され、加工精度が高く精密な仕上げ
加工を要することなく組み立てられるが、鍛造時に生じ
るバリ等に起因する組み合わせ精度のわずかなばらつき
の存在は避けられない。
【0007】しかしながら、上記の従来技術は、インナ
レース1に係合した入力軸を回転させ、入力軸のトルク
変動を測定することにより、単に等速ジョイント組立体
内部のフリクショントルクを測定するのみで製品品質の
良否を判定するものであったため、スチールボール6も
含めた等速ジョイント組立体内部の組み合わせ精度のク
リアランスが大きくなると、抵抗の減少からフリクショ
ンが小さく一定となるためトルク変動が発生しなくなっ
て、検査過程で良品と判定される可能性を含んでいると
いう不都合があった。
【0008】また、上記の従来技術においては、等速ジ
ョイント組立体におけるスチールボール6とトラック溝
3とのクリアランスの程度、すなわち、スチールボール
6とトラック溝3との間の間隙の程度を測定することが
できず、短時間でかつ精度の良い検査(良否判定)を行
うことが困難であり、さらに、一度検査測定したワーク
(等速ジョイント組立体)を再度測定し直す場合には、
一度目の測定時に、その回転動作の過程で、ワークであ
る等速ジョイント組立体におけるスチールボール6とト
ラック溝3とが馴染んでしまい、二度目の測定値が一度
目の測定値と異なる結果となり、再現性に欠けるという
不都合も指摘されている。
【0009】本発明は、このような従来の問題を解決す
るためになされたものであって、等速ジョント組立体の
出力軸(アウタレース側)に自動車走行時と同等の負荷
を加えられる構成とし、入力軸(インナレース側)、出
力軸(アウタレース側)の各々にロータリエンコーダを
装着し、両ロータリエンコーダから出力される信号によ
って、入力軸、出力軸の回転位相差を検出することによ
り、精度良く品質の検査を行えるようにした等速ジョイ
ントの検査装置および検査方法を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、出力軸となるアウタレースに設けられ
たトラック溝に、ボールを介して入力軸となるインナレ
ースが嵌合される等速ジョイントの検査装置において、
前記入力軸に装着されて当該入力軸の回転を検出するエ
ンコーダと、前記入力軸を回転させる駆動源と、前記出
力軸に装着され、当該出力軸の回転を検出するエンコー
ダと、前記出力軸に負荷を与える負荷供給源と、前記入
力軸と出力軸との間に任意の傾斜角を与える転舵手段
と、前記各エンコーダの出力信号から前記入力軸と前記
出力軸の回転位相差を示す位相差信号を受け、当該位相
差信号からその基本波成分〜n次高調波成分の位相差に
分解し、前記トラック溝数と等しい次数の特定次高調波
成分の位相差を算出し、かつ前記特定次高調波成分以外
の各次数の高調波成分の位相差の合計の位相差を算出す
るエンコーダ出力分析部と、前記エンコーダ出力分析部
により算出された特定次高調波成分の位相差と前記特定
次高調波成分以外の各次数の高調波成分の合計の位相差
とが予め設定された位相差の範囲内にあるか否かによ
り、前記等速ジョイントの品質を判定する検査/判定部
とからなる位相差演算部と、を備えたことを特徴とす
る。
【0011】また、本発明は、出力軸となるアウタレー
スに設けられたトラック溝にボールを介して入力軸とな
るインナレースが嵌合される等速ジョイントの検査方法
であって、前記入力軸を回転駆動源に係合するステップ
と、前記出力軸を負荷供給源に係合するステップと、前
記入力軸と出力軸に任意の転舵角を与えるステップと、
前記回転駆動源により入力軸に任意の回転を与え、前記
負荷供給源により出力軸に任意の負荷を与え、前記入力
軸と出力軸にそれぞれ装着した第1、第2のエンコーダ
により、入力軸と出力軸の回転信号を得るステップと、
前記第1、第2のエンコーダから得られる回転信号から
入力軸と出力軸の位相差を得るステップと、 前記位相差
からその基本波成分〜n次高調波成分の位相差に分解す
るステップと、 前記トラック溝数と等しい次数の特定次
高調波成分の位相差を算出するステップと、 前記特定次
高調波成分以外の各次数の高調波成分の位相差の合計の
位相差を算出するステップと、 前記算出された特定次高
調波成分の位相差と前記特定次高調波成分以外の各次数
の高調波成分の合計の位相差とが予め設定された所定の
位相差の範囲内にあるか否かにより前記等速ジョイント
の良否を判定するステップと、からなることを特徴とす
る。
【0012】
【作用】本発明に係る等速ジョイントの検査装置および
検査方法では、入力軸および出力軸には、それぞれその
回転を検出するエンコーダが装着されており、前記入力
軸を回転駆動源に係合し、出力軸を負荷装置に係合し、
入力軸と出力軸に任意の転舵角を与える。
【0013】前記回転駆動源により入力軸に任意の回転
を与え、前記負荷装置により出力軸に任意の負荷を与え
ると、インナレース側の回転がアウタレース側に伝達さ
れる。この入力軸側の回転と、出力軸側の回転は、入力
軸と出力軸にそれぞれ装着した第1、第2のエンコーダ
により検出され、それぞれの軸の回転信号が得られる。
【0014】位相差演算部は、前記第1、第2のエンコ
ーダから得られる回転信号から入力軸と出力軸の位相差
を得て、前記位相差からその基本波成分〜n次高調波成
分の位相差に分解し、トラック溝数と等しい次数の特定
次高調波成分の位相差を算出し、さらに、前記特定次高
調波成分以外の各次数の高調波成分の位相差からその合
計の位相差を算出する。
【0015】検査/判定部は、前記位相差演算部により
算出した特定次高調波成分の位相差と前記特定次高調波
成分以外の各次数の高調波成分の合計の位相差が予め設
定された所定の位相差の範囲内にあるか否かにより、当
該等速ジョイントの品質を判定する。
【0016】
【実施例】本発明に係る等速ジョイントの検査装置およ
び検査方法について、実施例を挙げ、添付の図面を参照
しながら以下詳細に説明する。
【0017】図1は本実施例に係る等速ジョイント検査
装置10の構成を示すブロック図である。
【0018】等速ジョイント検査装置10は、等速ジョ
イント組立体(CVJ)12の入力軸(インナレース
側)14は、ロッド取り付け治具16、巻き掛けられた
タイミングベルトにて回転が伝達されるプーリ18aお
よび18bを介してエンジン出力に相当する回転出力を
供給するインバータモータ20に係合され、入力軸14
には、その回転に応じた出力信号を生じるロータリエン
コーダ22が設けられる。
【0019】一方、等速ジョイント組立体12の出力軸
(アウタレース側)24は、入力軸14と同様に、アウ
タ取り付け治具26、巻き掛けられたタイミングベルト
にて回転が伝達されるプーリ28aおよび28bを介し
て出力軸24に自動車走行時に加えられる負荷と同等の
負荷を供給するインバータモータ30に係合され、出力
軸24には、その回転に応じた出力信号を生じるロータ
リエンコーダ32が設けられている。
【0020】制御部34は、インバータモータ20、イ
ンバータモータ30を制御するインバータモータ制御器
を含み、入力軸14に対してエンジン出力に相当する回
転出力を供給するようインバータモータ20を制御し、
出力軸24に対してその回転を抑制するように動作(ブ
レーキとして機能)させ、出力軸24に走行時と同等の
負荷を供給するようインバータモータ30を制御する。
【0021】制御部34はまた、等速ジョイント検査装
置10を操作するための操作パネル、入力軸14、出力
軸24に設けたロータリエンコーダ22、32の出力信
号に基づいて検出した位相差データを処理することによ
り、入力軸14、出力軸24の回転数の差、すなわち、
等速ジョイント組立体12内部の組み合わせ精度を検査
するためのシーケンスコントローラを含んでいる。
【0022】ロータリエンコーダ22、32の出力は、
それぞれ逓倍回路36a、36bに供給して逓倍する。
逓倍回路36a、36bにおいて逓倍されたロータリエ
ンコーダ22、32の出力は位相差検出回路38に供給
し、位相差検出回路38にてロータリエンコーダ22、
32の出力の位相差を検出し、検出した位相差に対応し
た位相差データが送出され、位相差演算部40に入力さ
れる。位相差演算部40は、例えば、マイクロプロセッ
サにより構成され、後述するような処理を行うものであ
って、インタフェース部を介して制御部34からの信
号、位相差検出回路38から出力される位相差データ、
インバータモータ20の回転数およびインバータモータ
30の回転数を設定する回転数設定器48から出力され
る回転数設定信号を受信するよう構成されている。
【0023】位相差演算部40には、プリンタ42、C
RT44、プロッタ46等の出力機器が接続され、演算
結果、検査結果等を各種の出力形態で出力、表示するこ
とができる。また、位相差検出回路38にはD/A変換
回路50が接続され、位相差検出回路38から出力され
る位相差データをアナログ出力することができる。
【0024】図2は等速ジョイント検査装置10におけ
る測定部構造を示す図である。
【0025】等速ジョイント組立体12はインナレース
52とアウタレース54が、トラック溝55にスチール
ボール56が嵌合する状態で組み立てられ、その入力軸
14は、ロッド取り付け治具16、プーリ18a、18
bを介してエンジン出力に相当する回転出力を供給する
インバータモータ20に係合され、入力軸14には、そ
の回転に応じた出力信号を生じるロータリエンコーダ2
2が設けられている。
【0026】一方、出力軸24は、入力軸14と同様
に、アウタ取り付け治具26、プーリ28a、28bを
介して出力軸24に自動車走行時と同等の負荷を供給す
るインバータモータ30に係合され、出力軸24にはそ
の回転に応じた出力信号を生じるロータリエンコーダ3
2が設けられている。インバータモータ30は、出力軸
24に対してその回転を抑制するように動作(ブレーキ
として機能)し、出力軸24に走行時と同等の負荷を供
給する。
【0027】入力軸14側、出力軸24側には、検査、
測定の際に駆動源であるインバータモータ20、30に
より、各軸に発生する余分な回転振動を吸収するダンパ
62a、62bが適宜の位置に設けられている。図2の
構造図において、入力軸14と、出力軸24とが傾斜し
た状態で図示されているが、これは、自動車走行時に駆
動輪が転舵される状態で、等速ジョイント組立体12の
組立状態を検査測定するためであり、本発明の等速ジョ
イント検査装置10では、例えば転舵角0°〜50°ま
で可変できるよう構成される。
【0028】入力軸14側の回転数は、インバータモー
タ20により、例えば0rpm〜150rpmの範囲で
変化させることができ、また出力軸24側の負荷は、イ
ンバータモータ30により、例えば0kgm〜15kg
mまで変化させることができる。
【0029】図3は、位相差演算部40の構成を示すブ
ロック図である。位相差演算部40は、基本的にはマイ
クロプロセッサにより構成され、CPU演算部70と、
表示手段であるCRT44と、位相差演算部40の総合
的な制御を行うためのプログラムを記憶するROM72
と、演算結果を一時的に記憶するRAM74とを備え
る。
【0030】位相差演算部40はまた、等速ジョイント
組立体12の入力軸14、出力軸24の回転に応じてロ
ータリエンコーダ22、32の出力信号から得られる位
相差データに基づく位相差信号を基本波〜n次高調波ま
での高調波成分に分解し、所定の演算を行うエンコーダ
出力分析部80と、エンコーダ出力分析部80による分
析結果に基づいて被検査体である等速ジョイント組立体
12の品質を検査し、製品としての良否を判定する検査
/判定部82とを備え、エンコーダ出力分析部80、検
査/判定部82は、それぞれ、エンコーダ出力を分析、
演算するためのプログラムを記憶したROM88、等速
ジョイント組立体12の品質を検査し、製品としての良
否を判定するためのプログラムを記憶したROM90を
備えている。
【0031】測定部76は、インタフェース84(以
下、I/F84という)を介して位相差検出回路38か
ら出力される位相差データ、すなわち等速ジョイント組
立体12の入力軸14、出力軸24の回転に応じた出力
信号から作成される位相差データを取り込むよう構成さ
れ、また、インバータモータ20および30の回転数を
設定する回転数設定器48からの設定出力を取り込むよ
うに構成され、さらにまた制御部34のシーケンスコン
トローラから、等速ジョイント検査装置10における測
定、検査、判定のシーケンス制御情報を取り込むよう構
成されている。また、インタフェース92(以下、I/
F92という)には、プリンタ42、プロッタ46等の
出力機器が接続され、所望の形態で位相差演算部40の
処理結果を出力するよう構成されている。
【0032】以上のように構成される等速ジョイント検
査装置10によって等速ジョイント組立体12の検査、
測定を行う。例えば、等速ジョイント検査装置10にお
ける検査、測定においては、入力軸14側の回転数を6
0rpm〜120rpmの間で任意の一定値、出力軸2
4側の負荷を5kgm〜10kgmの間で任意の一定
値、転舵角を20°〜40°の間で任意の一定値を設定
して行う。
【0033】等速ジョイント組立体12の入力軸14側
の回転数、出力軸24側の負荷、入力軸14と出力軸2
4の転舵角を前記のように設定して、等速ジョイント検
査装置10における検査、測定を行うと、入力軸14と
出力軸24に装着したロータリエンコーダ22、32か
らはその回転数に応じた出力信号が得られる。逓倍され
たロータリエンコーダ22、32からの出力を受けて位
相差検出回路38からの位相差データに基づく位相差信
号Sの波形は、図4の正弦波信号aに示すように模式的
には基本となる基本波の正弦波信号で表現されるが、実
際には、正弦波関数をフーリエ変換する場合からわかる
ように、基本波正弦波信号aに、その高調波である2次
高調波成分の正弦波信号b、3次高調波成分の正弦波信
号c〜6次高調波成分の正弦波信号f〜n次高調波成分
の正弦波信号が合成された複雑な信号波形を持つもので
ある。
【0034】本実施例に係る等速ジョイント検査装置1
0における検査方法は、ロータリエンコーダ22、32
の出力信号に基づいて得られる位相差データに基づく位
相差信号を基本波成分から、n次高調波成分まで次数
(周波数)成分に分解して、各高調波成分毎の位相差信
号を分析したところ、特定の高調波成分から得られる位
相差、さらに具体的に言えば、等速ジョイント組立体1
2を構成するアウタレース54に設けられたトラック溝
数に等しい、あるいはその整数倍の次数の高調波成分か
ら得られる位相差およびそれ以外の次数の高調波成分の
位相差が等速ジョイント組立体12の回転数伝達性の良
否と一致することを見出し、この性質を利用した位相差
演算、検査方法を適用したものである。
【0035】次に、この等速ジョイント検査装置10に
よって等速ジョイント組立体12の検査、測定、良否判
定を行う方法について、図1、図3のブロック図、図2
の構造図、図4の波形図、図5〜図6のフローチャート
等を参照しながら説明する。
【0036】等速ジョイント検査装置10が起動される
と、図5に示す概略検査フローチャートのステップS1
において、被検査体である等速ジョイント組立体12が
所定の位置に搬送され、そのロッド取り付け治具16、
アウタ取り付け治具26を介して入力軸14と出力軸2
4の装着、軸合わせが行われ(図1のブロック図、図2
の構造図参照)、次いで、設定された転舵角(傾斜角)
に従って入力軸14と出力軸24の間の角度設定がなさ
れる(ステップS2)。
【0037】次に、ステップS3、S4において、入力
軸14の回転数設定(ステップS3)、出力軸24の負
荷設定(ステップS4)が行われ、この設定に基づい
て、ステップS5の測定、検査において、インバータモ
ータ20が回転され、入力軸14が設定された回転数で
回転され、インバータモータ30が回転され、出力軸2
4に対して制動方向(ブレーキ機能として動作)に回転
力を与え、出力軸に自動車走行時と同様の負荷を供給し
て測定が行われる。
【0038】すなわち、入力軸14、出力軸24に設け
たロータリエンコーダ22、32によって回転を検出
し、このロータリエンコーダ22、32の出力信号、位
相差検出回路38の位相差データから、位相差演算部4
0により、図6に示す測定、検査フローチャートに基づ
いて後述する方法によって、入力軸14、出力軸24の
間の回転位相差を算出、評価するものである。
【0039】測定、検査が完了すると、入力軸14と出
力軸24の傾斜角(転舵角)を元に戻す入力軸もどし
(ステップS6)を行い、次いでロッド取り付け治具1
6、アウタ取り付け治具26から入力軸14、出力軸2
4をそれぞれ外す入出力軸はずし(ステップS7)を行
って、ステップS8において、等速ジョイント組立体1
2を搬送して作業を終了する。これらの処理は制御部3
4の操作パネルの操作、あるいはシーケンスコントロー
ラに設定された制御シーケンスに従って等速ジョイント
検査装置10の各部が動作することによって行われる。
【0040】測定、検査の処理は、位相差演算部40に
おいて、図6のフローチャートに示す手順によって行わ
れる。被検査体である等速ジョイント組立体12が等速
ジョイント検査装置10にセットされ、測定、検査処理
(図5のステップS5)に入ると、入力軸14、出力軸
24に設置されたロータリエンコーダ22、32から入
力軸14、出力軸24の回転に応じた出力パルスが発生
する(図6のステップS10)。
【0041】ロータリエンコーダ22、32の出力パル
スは逓倍回路36a、36bにおいて逓倍され位相差検
出回路38に入力されて位相差データが送出される。こ
の位相差データはI/F84を介して位相差演算部40
の測定部76(図3のブロック図参照)に入力される
(ステップS11)。
【0042】位相差データに基づく位相差信号Sは前記
したように、基本となる1次高調波の正弦波信号aに、
高調波である2次高調波成分の正弦波信号b、3次高調
波成分の正弦波信号c〜6次高調波成分の正弦波信号f
〜n次高調波成分の正弦波信号が合成された信号であ
る。
【0043】位相差検出回路38から出力された位相差
データが、測定部76に入力されると、エンコーダ出力
分析部80は、この位相差データに基づく位相差信号か
ら基本波成分〜n次高調波成分の位相差に分解し(ステ
ップS12)、次いで、各次高調波成分毎の位相差を演
算処理する(ステップS13)。
【0044】次に、エンコーダ出力分析部80は、予め
設定した特定のm次高調波成分の位相差データとm次以
外の高調波成分の位相差データを、ROM88に記憶し
た処理プログラムに従って演算処理する(ステップS1
4、ステップS15)。ここで、特定のm次高調波成分
とは、具体的には、等速ジョイント組立体12のアウタ
レース54に設けられたトラック溝55の数に等しい次
数の高調波成分、あるいはその整数倍の次数の高調波成
分であり、本実施例ではトラック溝55の数が6である
から、6次の高調波成分、あるいは、12次の高調波成
分等となる。
【0045】図7は、被検査体である等速ジョイント組
立体12の複数について、前記のようにしてエンコーダ
出力分析部80によって演算処理した位相差データに基
づく位相差信号の基本波成分〜n次高調波成分における
位相差を示すグラフである。図7のグラフにおいて横軸
は周波数(次数)、縦軸は位相差(度)である。図7
(A)は特定のm次(6次)高調波成分以外に、2次の
高調波成分においても大きな位相差が観測され、図7
(B)は、特定のm次(6次)高調波成分以外では、基
本波成分を除くと、その位相差は大きくないことが理解
される。
【0046】ここで、前記の演算処理結果と、被検査体
である複数の等速ジョイント組立体12の組み立て精度
と対比してみたところ、基本波成分は、振れ成分であ
り、等速ジョイント組立体12を試験装置に装着する際
のロッド取り付け治具16、アウタ取り付け治具26の
影響が殆どであり、測定、分析から除外すると、特定の
m次(6次)高調波成分の位相差が大きくなる場合、各
トラック溝55とスチールボール56とのクリアランス
が均等に大きくなっており、また、特定のm次(6次)
以外の高調波成分の位相差が大きくなる場合、各トラッ
ク溝55とスチールボール56とのクリアランスがトラ
ック溝55間で大きな差を生じていることが認められ
た。
【0047】このことから、等速ジョイント組立体12
の良否の判定方法としては、図8の良否判定領域に示す
ように、特定のm次(6次)高調波成分の位相差が所定
の値以下(縦軸の100sec以下)であり、且つ、特
定のm次(6次)以外の高調波成分の位相差の合計が所
定の値以下(横軸の200sec以下)である範囲をR
OM90に設定し、エンコーダ出力分析部80によって
位相差パルスの基本波成分〜n次高調波成分における位
相差を演算処理し、特定のm次(6次)高調波成分の位
相差および特定のm次(6次)以外の高調波成分の位相
差の合計を算出し、検査/判定部82において被検査体
である等速ジョイント組立体12の良否判定を行うよう
構成したものである。
【0048】従って、図6に示すフローチャートのステ
ップS16において、検査/判定部82は、エンコーダ
出力分析部80で算出された位相差データに基づく位相
差信号Sの基本波成分〜n次高調波成分における位相
差、特定のm次(6次)高調波成分の位相差および特定
のm次(6次)以外の高調波成分の位相差の合計値に基
づき、ROM90に設定された位相差の範囲内にあるか
否かにより、被検査体である等速ジョイント組立体12
の良否を判定する。
【0049】検査/判定部82による良否判定結果、エ
ンコーダ出力分析部80による位相差に基づく位相差信
号Sの基本波成分〜n次高調波成分における位相差、特
定のm次(6次)高調波成分の位相差および特定のm次
(6次)以外の高調波成分の位相差の合計等の演算処理
結果、測定部76によるエンコーダ出力信号の測定結果
等は、必要に応じて、CRT44に表示、もしくは、I
/F92を介してプリンタ42、プロッタ46等に所望
の形態で出力することができる。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る等速ジョイ
ントの検査装置および検査方法によれば、等速ジョント
組立体の出力軸(アウタレース側)に、自動車走行時と
同等の負荷を加えられる構成とし、入力軸(インナレー
ス側)、出力軸(アウタレース側)の各々にエンコーダ
を装着し、両エンコーダから出力される信号によって、
入力軸、出力軸の回転位相差を示す位相差信号を得て、
当該位相差信号の波形を基本波成分〜n次高調波成分の
位相差信号に分解し、トラック溝数と等しい次数の特定
次高調波成分の位相差を算出し、前記特定次高調波成分
以外の各次数の高調波成分の位相差信号からその合計の
位相差を算出し、両位相差が予め設定された位相差の範
囲内にあるか否かにより、前記等速ジョイント組立体の
品質を判定するものである。
【0051】このため、等速ジョイント組立体における
スチールボールとトラック溝とのクリアランスの程度を
測定することができ、短時間で、精度の良い検査(良否
判定)を行うことが可能となる。また、一度検査測定し
たワーク(等速ジョイント組立体)を再度測定し直す場
合にも、その再現性に優れ、精度良く品質の検査を行え
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る等速ジョイントの検査装置の構成
を示すブロック図である。
【図2】等速ジョイント検査装置における測定部の構造
を示す図である。
【図3】位相差演算部の構成を示すブロック図である。
【図4】位相差データに基づく位相差信号の基本波およ
び高調波の波形を示す図である。
【図5】等速ジョイント検査装置による検査手順を示す
概略フローチャートである。
【図6】等速ジョイント検査装置による位相差演算部の
処理フローチャートである。
【図7】図7A、図7Bは位相差演算部により算出した
位相差を説明するためのグラフである。
【図8】位相差演算部により算出した位相差に基づき、
等速ジョイントの良否を判定する良否判定領域を説明す
るための図である。
【図9】図9A、図9Bは等速ジョイントの構造を示す
図である。
【符号の説明】
10…等速ジョイント検査装置 12…等速ジョイ
ント組立体 14…入力軸 16…ロッド取り
付け治具 18a、18b…プーリ 20…インバータ
モータ 22…ロータリエンコーダ 24…出力軸 26…アウタ取り付け治具 28a、28b…
プーリ 30…インバータモータ 32…ロータリエ
ンコーダ 34…制御部 36a、36b…
逓倍回路 38…位相差検出回路 40…位相差演算
部 52…インナレース 54…アウタレー
ス 55…トラック溝 56…スチールボ
ール 80…エンコーダ出力分析部 82…検査/判定
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−340844(JP,A) 特開 平2−134533(JP,A) 特開 昭62−833(JP,A) 特開 平1−262435(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 13/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出力軸となるアウタレースに設けられた
    トラック溝に、ボールを介して入力軸となるインナレー
    スが嵌合される等速ジョイントの検査装置において、 前記入力軸に装着されて当該入力軸の回転を検出するエ
    ンコーダと、 前記入力軸を回転させる駆動源と、 前記出力軸に装着され、当該出力軸の回転を検出するエ
    ンコーダと、 前記出力軸に負荷を与える負荷供給源と、 前記入力軸と出力軸との間に任意の傾斜角を与える転舵
    手段と、 前記各エンコーダの出力信号から前記入力軸と前記出力
    軸の回転位相差を示す位相差信号を受け、当該位相差信
    号からその基本波成分〜n次高調波成分の位相差に分解
    し、前記トラック溝数と等しい次数の特定次高調波成分
    の位相差を算出し、かつ前記特定次高調波成分以外の各
    次数の高調波成分の位相差の合計の位相差を算出するエ
    ンコーダ出力分析部と、 前記エンコーダ出力分析部により算出された特定次高調
    波成分の位相差と前記特定次高調波成分以外の各次数の
    高調波成分の合計の位相差とが予め設定された位相差の
    範囲内にあるか否かにより、前記等速ジョイントの品質
    を判定する検査/判定部とからなる位相差演算部と、 を備えたことを特徴とする等速ジョイントの検査装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の等速ジョイントの検査装置
    において、前記入力軸と前記出力軸の所定位置に回転振
    動を吸収するダンパを装着したことを特徴とする等速ジ
    ョイントの検査装置。
  3. 【請求項3】出力軸となるアウタレースに設けられたト
    ラック溝にボールを介して入力軸となるインナレースが
    嵌合される等速ジョイントの検査方法であって、 前記入力軸を回転駆動源に係合するステップと、 前記出力軸を負荷供給源に係合するステップと、 前記入力軸と出力軸に任意の転舵角を与えるステップ
    と、 前記回転駆動源により入力軸に任意の回転を与え、前記
    負荷供給源により出力軸に任意の負荷を与え、前記入力
    軸と出力軸にそれぞれ装着した第1、第2のエンコーダ
    により、入力軸と出力軸の回転信号を得るステップと、前記第1、第2のエンコーダから得られる回転信号から
    入力軸と出力軸の位相差を得るステップと、 前記位相差からその基本波成分〜n次高調波成分の位相
    差に分解するステップと、 前記トラック溝数と等しい次数の特定次高調波成分の位
    相差を算出するステップと、 前記特定次高調波成分以外の各次数の高調波成分の位相
    差の合計の位相差を算出するステップと、 前記算出された特定次高調波成分の位相差と前記特定次
    高調波成分以外の各次数の高調波成分の合計の位相差と
    予め設定された所定の位相差の範囲内にあるか否かに
    より前記等速ジョイントの良否を判定するステップと、 からなることを特徴とする等速ジョイントの検査方法。
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