JP3006970B2 - プラスミド - Google Patents
プラスミドInfo
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- JP3006970B2 JP3006970B2 JP5057486A JP5748693A JP3006970B2 JP 3006970 B2 JP3006970 B2 JP 3006970B2 JP 5057486 A JP5057486 A JP 5057486A JP 5748693 A JP5748693 A JP 5748693A JP 3006970 B2 JP3006970 B2 JP 3006970B2
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- JP
- Japan
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- sequence
- dna
- plasmid
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- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、植物の宿主・ベクタ
ー系に用いるプラスミドに関するものである。さらに詳
しくは、この発明は、高等植物遺伝子の構造や機能の解
析、あるいは有用植物の育種に必要な突然変異体株の作
成等に用いることのできる新しいプラスミドに関するも
のである。
ー系に用いるプラスミドに関するものである。さらに詳
しくは、この発明は、高等植物遺伝子の構造や機能の解
析、あるいは有用植物の育種に必要な突然変異体株の作
成等に用いることのできる新しいプラスミドに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術とその課題】近年、生命体を構成する組織
とその機構についての分子遺伝学的解明と、それに伴う
技術的応用が急速に進歩しつつある。このような状況は
高等植物についても例外ではなく、たとえば、その発生
や分化、成長等に関係する遺伝子の構造と機能を明らか
にし、さらにはその遺伝子を人為的に操作することによ
って、遺伝的な優透性と均一性を永続的に維持しうる有
用な新種植物を作成しようとする試みが検討され始めて
いる。
とその機構についての分子遺伝学的解明と、それに伴う
技術的応用が急速に進歩しつつある。このような状況は
高等植物についても例外ではなく、たとえば、その発生
や分化、成長等に関係する遺伝子の構造と機能を明らか
にし、さらにはその遺伝子を人為的に操作することによ
って、遺伝的な優透性と均一性を永続的に維持しうる有
用な新種植物を作成しようとする試みが検討され始めて
いる。
【0003】このような高等植物の遺伝子操作方法とし
ては、従来より、植物の宿主・ベクター系を用いて異種
遺伝子等を植物染色体に導入する方法が知られており、
そのためのクローニングベクターとして、土壌微生物ア
グロバクテリウム(Agrobacterium) のTiプラスミドを
利用した系が開発されている。このTiプラスミドは、
その配列中にT−DNAという転移DNA因子を有して
おり、アグロバクテリウムが植物に感染すると、このT
−DNAが植物細胞内に移動し、最終的に植物核染色体
の一部として組み込まれる。しかもこのような転移には
T−DNAの全領域は必要ではなく、その両端の25塩
基対からなる境界配列のみが重要な役割を果している。
従って、これらの境界配列に狭まれたT−DNA領域に
異種DNA等を挿入すれば、アグロバクテリウムを介し
て植物核染色体に挿入DNAを安定に組み込むことがで
きる(P. Zambryski : Annu. Rev. Genet., 22、p
p.1−30、1988;松本省吾、町田泰則:蛋白質
核酸酵素、35、pp.2476−2489、199
0)。そして実際にこの系を用いた変種株の単離も報告
されている(K.A. Feldman他;Science,243、pp.
1351−1354、1989;C. Koncz他:EMBO Jou
rnal, 9、pp.1337−1346、1990)。
ては、従来より、植物の宿主・ベクター系を用いて異種
遺伝子等を植物染色体に導入する方法が知られており、
そのためのクローニングベクターとして、土壌微生物ア
グロバクテリウム(Agrobacterium) のTiプラスミドを
利用した系が開発されている。このTiプラスミドは、
その配列中にT−DNAという転移DNA因子を有して
おり、アグロバクテリウムが植物に感染すると、このT
−DNAが植物細胞内に移動し、最終的に植物核染色体
の一部として組み込まれる。しかもこのような転移には
T−DNAの全領域は必要ではなく、その両端の25塩
基対からなる境界配列のみが重要な役割を果している。
従って、これらの境界配列に狭まれたT−DNA領域に
異種DNA等を挿入すれば、アグロバクテリウムを介し
て植物核染色体に挿入DNAを安定に組み込むことがで
きる(P. Zambryski : Annu. Rev. Genet., 22、p
p.1−30、1988;松本省吾、町田泰則:蛋白質
核酸酵素、35、pp.2476−2489、199
0)。そして実際にこの系を用いた変種株の単離も報告
されている(K.A. Feldman他;Science,243、pp.
1351−1354、1989;C. Koncz他:EMBO Jou
rnal, 9、pp.1337−1346、1990)。
【0004】一方、このようなT−DNAとは別の転移
DNA因子としてトウモロコシのトランスポゾンAc因
子を用いた植物遺伝子の操作方法も知られている。この
トランスポゾンAc因子は全長5キロ塩基対からなり、
両端に11塩基対の逆位反復配列を有し、その内側には
このAc因子を働かせるための転移酵素をコードする遺
伝子を有している(R.F. Pohlman他:Cell, 37、p
p.635−643、1984;M. Muller-Neumann
他:Mol. Gen. Genet., 198、pp.19−24、1
984)。従って、この転移酵素遺伝子を含む領域を欠
失するとこのAc因子はその転移機能を喪失する(Defe
ctive Ac:dAc)が、両端の逆位反復配列が存在す
れば別の転移酵素遺伝子を導入することによってdAc
の転移機能を回復させることができる。このため、たと
えば転移酵素遺伝子の代わりに異種DNA等をAc因子
内に挿入して、転移酵素発現能を有する植物細胞に導入
すれば、Ac因子の転移を介してその挿入遺伝子を植物
核染色体に組み込むことができ、最近では、トウモロコ
シのトランスポゾンAc因子がタバコ、シロイヌナズ
ナ、ニンジンなどの双子葉植物中でも働くことが示され
ている。(B. Baker他:Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 8
3, pp. 4844-4848, 1986; M. A. Van Sluys 他:EMBO J.
52, pp. 3881-3889, 1987)。また、タバコやシロイヌ
ナズナを材料とし、上記T−DNA用いてdAcを細胞
染色体に組み込み、その後転移酵素遺伝子を交配により
導入すると、dAc配列が染色体上の別の位置に転移す
ることが報告されている(C. Grevelding 他:Proc. Na
tl. Acad. Sci USA,89、pp.6085−6089、
1992;C. Rommens他:Mol. Gen. Genet., 231,
pp.433−441、1992;S. R. Scofield他:
Plant Cell、4、pp.573−582、1992)。
そして、Ac因子はその約3分の2が同一染色体内で転
移することも知られている(J. D. G. Jones他:Plant
Cell,2、pp.701−707、1990)。
DNA因子としてトウモロコシのトランスポゾンAc因
子を用いた植物遺伝子の操作方法も知られている。この
トランスポゾンAc因子は全長5キロ塩基対からなり、
両端に11塩基対の逆位反復配列を有し、その内側には
このAc因子を働かせるための転移酵素をコードする遺
伝子を有している(R.F. Pohlman他:Cell, 37、p
p.635−643、1984;M. Muller-Neumann
他:Mol. Gen. Genet., 198、pp.19−24、1
984)。従って、この転移酵素遺伝子を含む領域を欠
失するとこのAc因子はその転移機能を喪失する(Defe
ctive Ac:dAc)が、両端の逆位反復配列が存在す
れば別の転移酵素遺伝子を導入することによってdAc
の転移機能を回復させることができる。このため、たと
えば転移酵素遺伝子の代わりに異種DNA等をAc因子
内に挿入して、転移酵素発現能を有する植物細胞に導入
すれば、Ac因子の転移を介してその挿入遺伝子を植物
核染色体に組み込むことができ、最近では、トウモロコ
シのトランスポゾンAc因子がタバコ、シロイヌナズ
ナ、ニンジンなどの双子葉植物中でも働くことが示され
ている。(B. Baker他:Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 8
3, pp. 4844-4848, 1986; M. A. Van Sluys 他:EMBO J.
52, pp. 3881-3889, 1987)。また、タバコやシロイヌ
ナズナを材料とし、上記T−DNA用いてdAcを細胞
染色体に組み込み、その後転移酵素遺伝子を交配により
導入すると、dAc配列が染色体上の別の位置に転移す
ることが報告されている(C. Grevelding 他:Proc. Na
tl. Acad. Sci USA,89、pp.6085−6089、
1992;C. Rommens他:Mol. Gen. Genet., 231,
pp.433−441、1992;S. R. Scofield他:
Plant Cell、4、pp.573−582、1992)。
そして、Ac因子はその約3分の2が同一染色体内で転
移することも知られている(J. D. G. Jones他:Plant
Cell,2、pp.701−707、1990)。
【0005】さらにこの発明の発明者等は、酵母のDN
A組換え系(H. Araki他:J. Mol、Biol.,182、p
p.191−203、1985;H. Matsuzaki他:J.Ba
cteriol., 172、pp.610−618、1990)
が植物遺伝子の新たな操作手段となりうることを見い出
している(H. Onouchi他:Nuc. Acids Res.,19,p
p.6373−6378、1991)。すなわち、味噌
・醤油酵母の発現するRタンパク質は、58塩基対から
なる一組の特定配列を認識してその間のDNA組換えを
触媒するが、2つの特定配列が染色体上に同じ向きで存
在する場合には、それらが350キロ塩基対離れていて
もその間のDNA配列を全て欠失させることができる。
A組換え系(H. Araki他:J. Mol、Biol.,182、p
p.191−203、1985;H. Matsuzaki他:J.Ba
cteriol., 172、pp.610−618、1990)
が植物遺伝子の新たな操作手段となりうることを見い出
している(H. Onouchi他:Nuc. Acids Res.,19,p
p.6373−6378、1991)。すなわち、味噌
・醤油酵母の発現するRタンパク質は、58塩基対から
なる一組の特定配列を認識してその間のDNA組換えを
触媒するが、2つの特定配列が染色体上に同じ向きで存
在する場合には、それらが350キロ塩基対離れていて
もその間のDNA配列を全て欠失させることができる。
【0006】以上のように、高等植物の遺伝子を人為的
に操作する方法として、T−DNAを用いた転移系、ト
ランスポゾンAc因子を用いた転移系、および酵母の部
位特異的DNA組換え系がすでに知られており、T−D
NAとAc因子についてはそれぞれ実際に変異株が単離
されてもいる。しかしながら、これら3つの系を組合わ
せた変異株の作成は報告されておらず、またそれを実現
するための手段も見い出されていない。
に操作する方法として、T−DNAを用いた転移系、ト
ランスポゾンAc因子を用いた転移系、および酵母の部
位特異的DNA組換え系がすでに知られており、T−D
NAとAc因子についてはそれぞれ実際に変異株が単離
されてもいる。しかしながら、これら3つの系を組合わ
せた変異株の作成は報告されておらず、またそれを実現
するための手段も見い出されていない。
【0007】この発明は、以上のとおりの事情に鑑みて
なされたものであり、上記3種類の植物DNA組換え系
を組合わせて種々の変異株を効率よく作成することを可
能にする新しい遺伝子操作手段を提供することを目的と
している。
なされたものであり、上記3種類の植物DNA組換え系
を組合わせて種々の変異株を効率よく作成することを可
能にする新しい遺伝子操作手段を提供することを目的と
している。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、少なくとも植物感染菌を含む宿
主域を有するプラスミドであって、その環状DNA配列
中に、(a)アグロバクテリウムの保有するTiプラス
ミド由来のT−DNA配列両端の境界配列を有し、
(b)これらの境界配列に狭まれた領域に、トウモロコ
シのトランスポゾンAc因子をコードするDNA配列両
端の逆位反復配列を有し、(c)さらにこれらの逆位反
復配列に狭まれた領域に、薬剤耐性遺伝子と、この薬剤
耐性遺伝子の両側に酵母のRタンパク質が認識する逆位
の特定配列とを有するとともに、(d)上記(a)の一
方の境界配列と上記(b)の一方の逆位反復配列との間
に、上記(c)の特定配列と同じ特定配列を有し、
(e)上記(d)の特定配列と、上記(c)の一方の特
定配列とが同位である、ことを特徴とするプラスミドを
提供する。
を解決するものとして、少なくとも植物感染菌を含む宿
主域を有するプラスミドであって、その環状DNA配列
中に、(a)アグロバクテリウムの保有するTiプラス
ミド由来のT−DNA配列両端の境界配列を有し、
(b)これらの境界配列に狭まれた領域に、トウモロコ
シのトランスポゾンAc因子をコードするDNA配列両
端の逆位反復配列を有し、(c)さらにこれらの逆位反
復配列に狭まれた領域に、薬剤耐性遺伝子と、この薬剤
耐性遺伝子の両側に酵母のRタンパク質が認識する逆位
の特定配列とを有するとともに、(d)上記(a)の一
方の境界配列と上記(b)の一方の逆位反復配列との間
に、上記(c)の特定配列と同じ特定配列を有し、
(e)上記(d)の特定配列と、上記(c)の一方の特
定配列とが同位である、ことを特徴とするプラスミドを
提供する。
【0009】以下、添付した図面に沿ってこの発明のプ
ラスミドについてさらに詳しく説明する。図1は、この
発明の一例であるプラスミドpRSdAcの構造を示し
た模式図である。このpRSdAcは、図1にも示した
通り、人工的に調製したDNA断片(RS/dAc)を
プラスミドpGA492に挿入連結して作成したプラス
ミドである。pGA492は、アグロバクテリウムのT
iプラスミドを起源とするpRK2(G. An :Method i
n Enzymology, 153, pp. 292-305, 1987)の置換体であ
り、その環状DNA配列中にTiプラスミド由来のT−
DNA両端の各25塩基対からなる左右境界配列(L
B,RB)を有している。またこのpGA492は広宿
主域を有するプラスミドでもあり、アクロバクテリウム
等の植物感染菌とともに、大腸菌をも宿主とすることが
できるため、その操作が容易である。
ラスミドについてさらに詳しく説明する。図1は、この
発明の一例であるプラスミドpRSdAcの構造を示し
た模式図である。このpRSdAcは、図1にも示した
通り、人工的に調製したDNA断片(RS/dAc)を
プラスミドpGA492に挿入連結して作成したプラス
ミドである。pGA492は、アグロバクテリウムのT
iプラスミドを起源とするpRK2(G. An :Method i
n Enzymology, 153, pp. 292-305, 1987)の置換体であ
り、その環状DNA配列中にTiプラスミド由来のT−
DNA両端の各25塩基対からなる左右境界配列(L
B,RB)を有している。またこのpGA492は広宿
主域を有するプラスミドでもあり、アクロバクテリウム
等の植物感染菌とともに、大腸菌をも宿主とすることが
できるため、その操作が容易である。
【0010】一方、RS/dAc断片は、このpGA4
92をLB−RB間で開裂し、その開裂部にに挿入連結
する。RS/dAc断片は、その配列中にdAc断片を
有しており、このdAc断片は、トウモロコシのトラン
スポゾンAc因子をコードするDNA配列より、各々1
1塩基対からなる左右の逆位反復配列(IR)を残して
転移酵素遺伝子領域を欠失し、代わりに酵母のRタンパ
ク質が特異的に認識する58塩基対の特定配列(RS)
2個とヒグロマイシン耐性遺伝子(Hptr )とを組み
込んでいる。なお、2個のRSはHptr の両側に挿入
され、それぞれの方向はIRと同様に逆位となってい
る。
92をLB−RB間で開裂し、その開裂部にに挿入連結
する。RS/dAc断片は、その配列中にdAc断片を
有しており、このdAc断片は、トウモロコシのトラン
スポゾンAc因子をコードするDNA配列より、各々1
1塩基対からなる左右の逆位反復配列(IR)を残して
転移酵素遺伝子領域を欠失し、代わりに酵母のRタンパ
ク質が特異的に認識する58塩基対の特定配列(RS)
2個とヒグロマイシン耐性遺伝子(Hptr )とを組み
込んでいる。なお、2個のRSはHptr の両側に挿入
され、それぞれの方向はIRと同様に逆位となってい
る。
【0011】さらにこのRS/dAc断片は、dAc領
域以外に1個のRSを有している。このRSは、dAc
内の2個のRSのうち近い方のRSと同一方向となるよ
うに挿入されている。このような構造からなるRS/d
Ac断片は、各断片を制限酵素およびDNAリガーゼ等
を用いる公知の方法で切断・結合することにより調製す
ることができ、具体的には下記実施例に示したように行
なうことができる。また、RS/dAc断片とpGA4
92との連結も実施例記載の手続で行なうことができ
る。
域以外に1個のRSを有している。このRSは、dAc
内の2個のRSのうち近い方のRSと同一方向となるよ
うに挿入されている。このような構造からなるRS/d
Ac断片は、各断片を制限酵素およびDNAリガーゼ等
を用いる公知の方法で切断・結合することにより調製す
ることができ、具体的には下記実施例に示したように行
なうことができる。また、RS/dAc断片とpGA4
92との連結も実施例記載の手続で行なうことができ
る。
【0012】次に、図2に沿ってこのプラスミドpRS
dAcを用いた突然変異体の作成方法について説明す
る。 a)pRSdAcを導入したアグロバクテリウムを任意
の植物に感染させ、LBおよびRBの転位作用により、
プラスミド中の(RS/dAc)T−DNA領域を植物
染色体DNAのいずれかの部位に挿入する。そして、こ
の植物から全能性細胞を採取し、Hpt耐性を指標とし
て形質転換体を選別し、それを植物へと再生させる。こ
の操作を繰り返すことにより多数の(RS/dAc)T
−DNA挿入植物体を分離する。
dAcを用いた突然変異体の作成方法について説明す
る。 a)pRSdAcを導入したアグロバクテリウムを任意
の植物に感染させ、LBおよびRBの転位作用により、
プラスミド中の(RS/dAc)T−DNA領域を植物
染色体DNAのいずれかの部位に挿入する。そして、こ
の植物から全能性細胞を採取し、Hpt耐性を指標とし
て形質転換体を選別し、それを植物へと再生させる。こ
の操作を繰り返すことにより多数の(RS/dAc)T
−DNA挿入植物体を分離する。
【0013】b)上記a)で作成した各挿入個体と、A
cの転移酵素遺伝子を導入した同種植物とを交配してd
Ac領域を活性化させる。こうすることによって、dA
cは(RS/dAc)T−DNA挿入部位を中心として
染色体DNA上を様々な場所に転移する。 c)上記b)により得た突然変異体のうち、dAcが同
一染色体上を転移したものを選別し、その個体と、Rタ
ンパク質遺伝子を導入した同種植物とを交配させれば、
同一方向性を有する2つのRS間の特異的欠失を誘導す
ることができ、(RS/dAc)T−DNA挿入部位と
dAc転位部位間に位置する数個から数十個の染色体遺
伝子を同時に欠失させることができる。
cの転移酵素遺伝子を導入した同種植物とを交配してd
Ac領域を活性化させる。こうすることによって、dA
cは(RS/dAc)T−DNA挿入部位を中心として
染色体DNA上を様々な場所に転移する。 c)上記b)により得た突然変異体のうち、dAcが同
一染色体上を転移したものを選別し、その個体と、Rタ
ンパク質遺伝子を導入した同種植物とを交配させれば、
同一方向性を有する2つのRS間の特異的欠失を誘導す
ることができ、(RS/dAc)T−DNA挿入部位と
dAc転位部位間に位置する数個から数十個の染色体遺
伝子を同時に欠失させることができる。
【0014】このようにして、上記a)からc)に進む
につれて植物ゲノムの変異を拡大することができ、単に
T−DNAの挿入変異および/またはAc因子の転移変
異では分離できない新しい変異株を、交配と薬剤耐性選
択という簡単な操作により多数得ることができる。さら
に、図2a)、b)、c)に示したように、このプラス
ミドpRSdAcを用いて突然変異を生じさせたゲノム
DNA配列には常にdAc断片領域が残存するため、こ
れをプローブとして用いることによって、変異DNA領
域を容易にクローニングすることもできる。これによっ
て、植物の発生や成長、分化等に関わる遺伝子の特定、
あるいはその構造や機能の分子生物学的解析が可能とな
る。
につれて植物ゲノムの変異を拡大することができ、単に
T−DNAの挿入変異および/またはAc因子の転移変
異では分離できない新しい変異株を、交配と薬剤耐性選
択という簡単な操作により多数得ることができる。さら
に、図2a)、b)、c)に示したように、このプラス
ミドpRSdAcを用いて突然変異を生じさせたゲノム
DNA配列には常にdAc断片領域が残存するため、こ
れをプローブとして用いることによって、変異DNA領
域を容易にクローニングすることもできる。これによっ
て、植物の発生や成長、分化等に関わる遺伝子の特定、
あるいはその構造や機能の分子生物学的解析が可能とな
る。
【0015】以下、実施例を示してこの発明についてさ
らに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の例
に限定されるものではない。
らに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の例
に限定されるものではない。
【0016】
【実施例】この発明のプラスミドの一実施例として、図
1に示したpRSdAcを以下の工程(a)−(c)の
通りに作成した。 (a)pUCRSHYGの作成(図3参照) 酵母のRタンパク質が特異的に認識する特定配列(R
S)を有するプラスミドpREC58(H. Onouchi
他:Nuc. Acid. Res.,19、pp.6373−637
8、1991)から制限酵素SalIで切り出したRS
断片を、pUC12(C. Vanis-Perron 他:Gene,3
3、pp.103−119、1985)のSalI開裂
部位にT4DNAリガーゼを用いて挿入連結し、pUC
REC58−1を作成した。また、上記RS断片を、方
向を変えてpUC12に同じく挿入し、pUCREC5
8−2を作成した。次いで、pUCREC58−1をH
indIIIおよびXbaIで切断し、かつXbaI切断
部位をDNAポリメラーゼIラージフラグメントでブラ
ント末端化してRSを含むDNA断片を調製した。ま
た、同じくpUCREC58−2をAccIおよびXb
aIで切断し、AccI切断部位をブラント末端化して
逆位のRSを含むDNA断片を調製した。
1に示したpRSdAcを以下の工程(a)−(c)の
通りに作成した。 (a)pUCRSHYGの作成(図3参照) 酵母のRタンパク質が特異的に認識する特定配列(R
S)を有するプラスミドpREC58(H. Onouchi
他:Nuc. Acid. Res.,19、pp.6373−637
8、1991)から制限酵素SalIで切り出したRS
断片を、pUC12(C. Vanis-Perron 他:Gene,3
3、pp.103−119、1985)のSalI開裂
部位にT4DNAリガーゼを用いて挿入連結し、pUC
REC58−1を作成した。また、上記RS断片を、方
向を変えてpUC12に同じく挿入し、pUCREC5
8−2を作成した。次いで、pUCREC58−1をH
indIIIおよびXbaIで切断し、かつXbaI切断
部位をDNAポリメラーゼIラージフラグメントでブラ
ント末端化してRSを含むDNA断片を調製した。ま
た、同じくpUCREC58−2をAccIおよびXb
aIで切断し、AccI切断部位をブラント末端化して
逆位のRSを含むDNA断片を調製した。
【0017】一方、ヒグロマイシン耐性遺伝子(Hpt
r )を保有するプラスミドpLAN101HYG
〔(株)植物工学研究所、島本功博士より分与〕をHi
ndIII で切断し、DNAポリメラーゼIラージフラグ
メントで両端をブラント末端化してHptr 断片を調製
した。このようにして調製したRS断片2個とHptr
断片を、pUC18(C. Vanish-Perron他:Gene, 3
3、pp.103−119、1985)のHindIII
−XabI開裂部位にT4DNAリガーゼを用いて挿入
連結し、pUCRSHYGを作成した。 (b)pUCRSdAcの作成(図4参照) 上記(a)で作成したpUCRSHYGをHindIII
およびXbaIで切断し、RS/Hptr 断片を調製し
た。
r )を保有するプラスミドpLAN101HYG
〔(株)植物工学研究所、島本功博士より分与〕をHi
ndIII で切断し、DNAポリメラーゼIラージフラグ
メントで両端をブラント末端化してHptr 断片を調製
した。このようにして調製したRS断片2個とHptr
断片を、pUC18(C. Vanish-Perron他:Gene, 3
3、pp.103−119、1985)のHindIII
−XabI開裂部位にT4DNAリガーゼを用いて挿入
連結し、pUCRSHYGを作成した。 (b)pUCRSdAcの作成(図4参照) 上記(a)で作成したpUCRSHYGをHindIII
およびXbaIで切断し、RS/Hptr 断片を調製し
た。
【0018】一方、トウモロコシのトランスポゾンAc
因子を有するプラスミドpKU3(B. Baker他:EMBO−
J., 6、pp.1547−1554、1987)からB
amHI−HindIII 断片およびXbaI−BamH
I断片を切り出し、Ac因子両端の逆位反覆配列(I
R)をそれぞれに有する2個のDNA断片を調製した。
次いで、上記(a)で作成したpUCREC58−1を
BamHIで開裂し、ここに上記のRS/Hptr 断片
と2個のIR断片を挿入連結してpUCRSdAcを作
成した。 (c)pRSdAcの作成(図5参照) 上記(b)で作成したpUCRSdAcをSse838
7IとKpnIで切断し、RS/dAc断片を調製し
た。
因子を有するプラスミドpKU3(B. Baker他:EMBO−
J., 6、pp.1547−1554、1987)からB
amHI−HindIII 断片およびXbaI−BamH
I断片を切り出し、Ac因子両端の逆位反覆配列(I
R)をそれぞれに有する2個のDNA断片を調製した。
次いで、上記(a)で作成したpUCREC58−1を
BamHIで開裂し、ここに上記のRS/Hptr 断片
と2個のIR断片を挿入連結してpUCRSdAcを作
成した。 (c)pRSdAcの作成(図5参照) 上記(b)で作成したpUCRSdAcをSse838
7IとKpnIで切断し、RS/dAc断片を調製し
た。
【0019】また、RK2プラスミド(G.An:Method i
n Enzymology, 153、pp.292−305、198
7)の置換体であるアグロバクテリウムのTiプラスミ
ド系バイナリー・ベクターpGA492をPstIおよ
びKpnIで開裂し、そのT−DNA領域を左右境界配
列(LB,RB)を残して欠失させた。そして、このP
stI−KpnI開裂部位に上記のRS/dAc断片を
挿入連結して、プラスミドpRSdAcを作成した。
n Enzymology, 153、pp.292−305、198
7)の置換体であるアグロバクテリウムのTiプラスミ
ド系バイナリー・ベクターpGA492をPstIおよ
びKpnIで開裂し、そのT−DNA領域を左右境界配
列(LB,RB)を残して欠失させた。そして、このP
stI−KpnI開裂部位に上記のRS/dAc断片を
挿入連結して、プラスミドpRSdAcを作成した。
【0020】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、T−DNAを用いた挿入変異、Ac因子を用いた
転移変異および酵母の特異的組換え系を用いた欠失変異
の各機能を全て備えた新しいプラスミドが提供される。
これによって、様々な植物変異株を効率よく得ることが
可能となり、植物遺伝子の分子生物学的解明や、さらに
は有用な新種植物の育種が促進される。
って、T−DNAを用いた挿入変異、Ac因子を用いた
転移変異および酵母の特異的組換え系を用いた欠失変異
の各機能を全て備えた新しいプラスミドが提供される。
これによって、様々な植物変異株を効率よく得ることが
可能となり、植物遺伝子の分子生物学的解明や、さらに
は有用な新種植物の育種が促進される。
【図1】この発明のプラスミドpRSdAcの構造を例
示した模式図である。
示した模式図である。
【図2】pRSdAcを用いた変異株作成工程を例示し
た植物DNAの模式図である。
た植物DNAの模式図である。
【図3】pRSdAc作成の第1工程を例示した模式図
である。
である。
【図4】pRSdAc作成の第2工程を例示した模式図
である。
である。
【図5】pRSdAc作成の最終工程を例示した模式図
である。
である。
LB,RB:T−DNAの左右境界配列 dAc:トランスポゾンの不活性化Ac RS:酵母のRタンパクが認識する特定配列 Hptr :ヒグロマイシン耐性遺伝子
フロントページの続き (56)参考文献 Nucleic Acids Re s.,Vol.19,No.23(1991) p.6373−8 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/84 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくとも植物感染菌を含む宿主域を有
するプラスミドであって、その環状DNA中に、 (a)アグロバクテリウムの保有するTiプラスミド由
来のT−DNA配列両端の境界配列を有し、 (b)上記(a)の境界配列に狭まれた領域に、トウモ
ロコシのトランスポゾンAc因子をコードするDNA配
列両端の逆位反復配列を有し、 (c)さらに上記(b)の逆位反復配列に狭まれた領域
に、薬剤耐性遺伝子と、この薬剤耐性遺伝子の両側に酵
母のRタンパク質が認識する逆位の特定配列を有すると
ともに、 (d)上記(a)の一方の境界配列と上記(b)の一方
の逆位反復配列との間に、上記(c)の特定配列と同じ
特定配列を有し、 (e)上記(d)の特定配列と上記(c)の一方の特定
配列とが同位である、ことを特徴とするプラスミド。 - 【請求項2】 植物感染菌がアグロバクテリウムである
請求項1のプラスミド。 - 【請求項3】 薬剤耐性遺伝子がヒグロマイシン耐性遺
伝子である請求項1または2のプラスミド。 - 【請求項4】 境界配列に狭まれた領域以外が、RK2
プラスミド由来のpGA492のDNA配列である請求
項1、2または3のプラスミド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5057486A JP3006970B2 (ja) | 1993-03-17 | 1993-03-17 | プラスミド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5057486A JP3006970B2 (ja) | 1993-03-17 | 1993-03-17 | プラスミド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06261769A JPH06261769A (ja) | 1994-09-20 |
JP3006970B2 true JP3006970B2 (ja) | 2000-02-07 |
Family
ID=13057051
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5057486A Expired - Fee Related JP3006970B2 (ja) | 1993-03-17 | 1993-03-17 | プラスミド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3006970B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1253568C (zh) * | 2002-09-02 | 2006-04-26 | 大连科源农业生物工程有限公司 | 具有生物安全性的植物基因工程操作方法 |
-
1993
- 1993-03-17 JP JP5057486A patent/JP3006970B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Nucleic Acids Res.,Vol.19,No.23(1991)p.6373−8 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06261769A (ja) | 1994-09-20 |
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