JP3006754B2 - フレキシブル配線板の製法 - Google Patents

フレキシブル配線板の製法

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JP3006754B2 JP8254954A JP25495496A JP3006754B2 JP 3006754 B2 JP3006754 B2 JP 3006754B2 JP 8254954 A JP8254954 A JP 8254954A JP 25495496 A JP25495496 A JP 25495496A JP 3006754 B2 JP3006754 B2 JP 3006754B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として電気,電
子機器分野で使用される機能性部品であるフレキシブル
配線板の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、柔軟性に富んだ配線板は、フ
レキシブル配線板と通称され、電子機器等の分野で汎用
されている。一般に、フレキシブル配線板は、原料(原
反)プラスチックフィルムを縦方向および横方向の2方
向に延伸し、これから所定サイズに切り出したプラスチ
ックフィルムを2つ以上積層して構成されている。図1
5(A)にその一例を示すと、このフレキシブル配線板
1は、ポリイミド製やポリエステル製等のプラスチック
フィルム4(ベース層用)の上に所定の電気回路3を印
刷技術やサブトラクティブ法等により形成し、さらにこ
の電気回路3の上に上記と同様のプラスチックフィルム
2(カバー層用)を形成したという構成をとる。また、
上記プラスチックフィルムの積層には、接着剤が使用さ
れることが一般的である。なお、図15(A)において
接着剤層は図示していない。
【0003】そして、図15(B)に、フレキシブル配
線板の一般的な構成を示す。図示のように、このフレキ
シブル配線板では、プラスチックフィルム4(ベース層
用)の上に接着剤層8が形成され、この接着剤層8の上
に電気回路3が形成されている。また、プラスチックフ
ィルム2(カバー層用)にも接着剤層8が形成されてい
る。そして、両プラスチックフィルム2,4が、それぞ
れの接着剤層8が対面した状態で積層されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フレキシブル配線板
は、その上に半導体装置等の電子部品を実装することか
ら形状の精密性が要求されるが、フレキシブル配線板の
製造過程で図16(A)に示すようなカールとよばれる
反りが発生するという問題がある。すなわち、フレキシ
ブル配線板の製造において、プラスチックフィルムの積
層は、ラミネート等の加圧加熱処理により行われ、この
他にも、熱硬化性接着剤の硬化処理や、印刷工程等にお
いて熱処理が行われる。そして、このような熱処理を経
たプラスチックフィルムの積層体(フレキシブル配線
板)を常温に戻すと、カールが発生するのである。フレ
キシブル配線板に発生するカールは、一方向に反るよう
な単純なものではなく、図16(B)に示すように、長
方形状のフレキシブル配線板において二つの対角線方向
で逆向きに反るという、いわゆるツイストカールであ
る。
【0005】フレキシブル配線板のカールを防止する方
法としては、例えば、補強用のプラスチックフィルムを
貼着することが提案されている(特願平7−95987
号公報)。しかし、このような方法では、フレキシブル
配線板の柔軟性が損なわれるおそれがあり、またフレキ
シブル配線板の製造工程が煩雑となるという問題も生じ
る。すなわち、この方法は新たな問題が生じ、またカー
ルの問題を根本的に解決するものではなく、充分に対処
できるものではなかった。
【0006】このように、カールの発生は、フレキシブ
ル配線板が開発された当初から問題となっており、それ
から約二十年経過した現在でも解決が切望される重要な
問題である。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みなされたも
ので、カールの発生が防止されるフレキシブル配線板の
製法の提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明のうちの請求項
,5に記載の発明は、縦方向および横方向の2方向に
延伸して作製されたプラスチックフィルムを2つ以上積
層する際に、その両最外層にそれぞれ配置される2つの
プラスチックフィルムとして、下記に示す方法(A)に
より各プラスチックフィルムのフィルム面の互いに対応
する部分におけるそれぞれの線膨張率の楕円体を座標上
に作成し、その中心点および座標軸X,Yを一致させる
ように上記各楕円体を重ね合わせて得られる各プラスチ
ックフィルムの線膨張率の差の最大値が、1.4×10
-5(1/℃)以下であるという関係を有する2つのプラ
スチックフィルムを使用するフレキシブル配線板の製法
(第1の製法)における発明である。 (A) プラスチックフィルムのフィルム面上において
所定の基点Pを定め、この基点Pを中心点とし、この基
点Pを通るプラスチックフィルム延伸縦方向の軸を基準
とする角度θ方向の線膨張率を測定する。他方、プラス
チックフィルム延伸縦方向の軸をY軸とし、プラスチッ
クフィルム延伸横方向の軸をX軸とする座標を準備す
る。そして、この座標において、上記Y軸とX軸の交点
を上記線膨張率測定の際の基点Pとし、上記線膨張率の
測定値の大きさを上記基点Pからの距離rとし、この距
離rの先端点をY軸を基準とした測定角度θ方向にプロ
ットする。このプロットを複数回行い、各プロットした
点の平均点を通るように上記基点Pを中心に360度方
向に渡って解析線を引いて楕円体を作成する。
【0009】また、本発明のうち請求項2,6の発明
は、縦方向および横方向の2方向に延伸して作製された
プラスチックフィルムを2つ以上積層する際に、その両
最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチックフィル
ムとして、上記方法(A)により各プラスチックフィル
ムのフィルム面の互いに対応する部分におけるそれぞれ
の線膨張率の楕円体を座標上に作成し、その中心点およ
び座標軸X,Yを一致させるように上記各楕円体を重ね
合わせた場合の重複しない部分の面積の合計が、6.5
×10-10 〔(1/℃)×(1/℃)〕以下であるとい
う関係を有する2つのプラスチックフィルムを用いる
レキシブル配線板の製法(第2の製法)における発明で
る。
【0010】また、本発明のうち請求項3,7の発明
は、縦方向および横方向の2方向に延伸して作製された
プラスチックフィルムを2つ以上積層する際に、その両
最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチックフィル
ムとして、下記に示す方法(B)により各プラスチック
フィルムのフィルム面の互いに対応する部分におけるそ
れぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成し、その中心
点および座標軸X,Yを一致させるように上記各楕円体
を重ね合わせて得られる各プラスチックフィルムの線膨
張率の差の最大値が、1.4×10-5(1/℃)以下で
あるという関係を有する2つのプラスチックフィルムを
使用するフレキシブル配線板の製法(第3の製法)にお
ける発明である。 (B) プラスチックフィルムのフィルム面上において
所定の基点Pを定め、この基点Pを中心点とし、この基
点Pを通るプラスチックフィルム面上における任意の方
向の軸を定め、この軸を基準とする上記フィルム面上で
の角度θ方向の線膨張率を測定する。他方、上記任意の
方向の軸をY軸とし、これとは90度ずらせた方向の軸
をX軸とする座標を準備する。そして、この座標におい
て、上記Y軸とX軸の交点を上記線膨張率測定の際の基
点Pとし、上記線膨張率の測定値の大きさを上記基点P
からの距離rとし、この距離rの先端点をY軸を基準と
した測定角度θ方向にプロットする。このプロットを複
数回行い、各プロットした点の平均点を通るように上記
基点Pを中心に360度方向に渡って解析線を引いて楕
円体を作成する。
【0011】また、本発明のうち請求項4,8の発明
は、縦方向および横方向の2方向に延伸して作製された
プラスチックフィルムを2つ以上積層する際に、その両
最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチックフィル
ムとして、請求項3の方法(B)により各プラスチック
フィルムのフィルム面の互いに対応する部分におけるそ
れぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成し、その中心
点および座標軸X,Yを一致させるように上記各楕円体
を重ね合わせた場合の重複しない部分の面積の合計が、
6.5×10-10 〔(1/℃)×(1/℃)〕以下であ
るという関係を有する2つのプラスチックフィルムを用
いるフレキシブル配線板の製法(第4の製法)における
発明である。
【0012】そして、本発明のうち請求項1〜4の発明
は、上記第1〜4の製法のいずれかの製法において、縦
方向および横方向の2方向に延伸したプラスチックフィ
ルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸した原料プ
ラスチックフィルムから上記縦方向および横方向のいず
れか一方を長さ方向として所定サイズに切り出されたプ
ラスチックフィルムであり、この切り出しにおいて、上
記原料プラスチックフィルムをその長さ方向と平行にカ
バー層用切り出し部分とベース層用切り出し部分とに略
2等分し、これらからそれぞれカバー層用プラスチック
フィルムおよびベース層用プラスチックフィルムを長さ
方向に平行に切り出し、上記カバー層用プラスチックフ
ィルムおよびベース層用プラスチックフィルムをプラス
チックフィルムの積層体の両最外層に配置することを要
旨とする。
【0013】また、本発明のうち請求項5〜8の発明
は、上記第1〜4の製法のいずれかの製法において、縦
方向および横方向の2方向に延伸したプラスチックフィ
ルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸した原料プ
ラスチックフィルムから上記縦方向および横方向のいず
れか一方を長さ方向として所定サイズに切り出されたプ
ラスチックフィルムであり、この切り出しにおいて、上
記原料プラスチックフィルムをその長さ方向と平行にカ
バー層用切り出し部分とベース層用切り出し部分とに略
2等分し、上記カバー層用切り出し部分とベース層用切
り出し部分とにおいて上記長さ方向に平行な中心線を基
準として略左右対称に位置する部分からそれぞれカバー
層用プラスチックフィルムおよびベース層用プラスチッ
クフィルムを切り出し、上記カバー層用プラスチックフ
ィルムおよびベース層用プラスチックフィルムをそれぞ
れ同じ表面を対面させた状態でプラスチックフィルムの
積層体の両最外層に配置することを要旨とする。
【0014】本発明において、線膨張率αは、つぎのよ
うにして導出したものをいう。すなわち、プラスチック
フィルムを加熱すると、そのプラスチックフィルム特有
の性質に応じて膨張する。このとき、プラスチックフィ
ルムの長さpの測定時の温度tに対する変化の割合(∂
p/∂t)と、0℃におけるフィルムの長さp0 とか
ら、線膨張率αは、下記の式(1)により求めることが
できる(「化学便覧−基礎編II」,日本化学会編,丸善
出版社発行)。
【0015】
【数1】
【0016】ただし、本発明でいう線膨張率αは、プラ
スチックフィルムのガラス転移温度(Tg)以下の領域
のものをいう。これは、本発明の対象となるプラスチッ
クフィルムのTgが室温(約23℃)を超えた温度範囲
にあり、またツイストカールが問題とされるのは、室温
近傍における温度領域であり、Tgもしくは軟化点以下
での線膨張率が対象になるのである。なお、ポリイミド
フィルムにおいては、そのTgが300℃以上と使用範
囲を超えており、またTgが明確に現れないことから、
Tgを考慮する必要性は少ない。
【0017】また、本発明において、上記楕円体の重複
しない部分の面積Cは、線膨張率2乗値の差ΔαC の積
分値を表す下記の式(2)により定義されるものであ
る。すなわち、本発明において、上記楕円体の重複しな
い部分の面積Cと、線膨張率2乗値の差ΔαC の積分値
は同義である。また、下記の式(2)において、θは線
膨張率の測定角度であり、上記延伸縦方向の軸を基準と
するものである。また、下記の式(2)におけるΔαC
(θ)は、下記の式(3)で定義されるものである。な
お、本発明の楕円体は、真円体を含むものである。
【0018】
【数2】
【0019】
【数3】
【0020】また、本発明において、フレキシブル配線
板は、2つ以上のプラスチックフィルムが積層されて構
成されており、配線板として使用される予定があるもの
であれば特に制限するものではない。したがって、本発
明では、未だ電気回路が形成されていないものも、フレ
キシブル配線板に含めるものである。
【0021】そして、本発明において、「プラスチック
フィルムを2つ以上積層する際に、その両最外層にそれ
ぞれ配置される2つのプラスチックフィルムとして」の
「両最外層」は、フレキシブル配線板の両最外層を意味
するものではなく、プラスチックフィルム積層体のなか
の両最外層を意味する。したがって、例えば、プラスチ
ックフィルム積層体の上に塗工法,印刷法等によりシー
ルド層等が形成されてフレキシブル配線板が構成されて
いる場合に、上記シールド層は、本発明でいう「両最外
層」ではない。
【0022】本発明において、カールが抑制されたと
は、つぎのようにして定義されるカール程度(%)が、
5%以下となった場合をいう。すなわち、フレキシブル
配線板が内接する最小矩形の長辺の長さをフレキシブル
配線板の最長の長さLとする。図14(A)において、
略く字形のフレキシブル配線板1aが内接する最小矩形
(長方形)21の例を示す。図示のように、このフレキ
シブル配線板1aでは、点線で示す長方形21の長辺の
長さが、最長の長さLとなる。そして、図14(B)に
示すように、フレキシブル配線板1aの一端を基準面6
に固定し、この基準面6からのフレキシブル配線板1a
の最大の反りの高さh求め、これをカール量hとする。
そして、このカール量hのフレキシブル配線板の上記最
長の長さLに対する割合、すなわち(h/L)×100
をカール程度(%)とする。
【0023】本発明において、プラスチックフィルムの
表面および裏面は、適宜決定されるものであり、例え
ば、原料(原反)プラスチックフィルムの裁断におい
て、上側の面を表面とし、下側の面を裏面とすることが
できる。例えば、図20に示すように、原料(原反)プ
ラスチックフィルム10の上側の面を表面9とし、この
原料(原反)プラスチックフィルム10から、2つのプ
ラスチックフィルム2、4を切り出す。このプラスチッ
クフィルム2、4は、上記原料(原反)プラスチックフ
ィルム10と同じ表面9をそれぞれ備える。そして、図
21(A)に示すように、プラスチックフィルム4の表
面9と、プラスチックフィルム2の表面9とを対面させ
た状態で両者を重ねるのである。図21(B)は、プラ
スチックフィルム2、4をそれぞれ同じ表面9同士を対
面させた状態で重ね合わせる状態の断面図である。
【0024】つぎに、本発明の技術的思想について説明
する。
【0025】本発明者らは、フレキシブル配線板の製造
において発生するカールの問題を解決するにあたり、最
初に、その原因について詳細な検討を行った。その結
果、カールの発生は、各プラスチックフィルムの線膨張
率の相違が原因であることを突き止めたのである。材質
が異なる材料同士を積層した場合、線膨張率が相違する
ことから反り(カール)が発生することは、容易に想到
しえるが、通常、フレキシブル配線板では、各プラスチ
ックフィルム(例えば、ベース層用フィルムとカバー層
用フィルム)には同一材質のものが使用されているた
め、従来は、線膨張率に相違がないものと思われてい
た。ところが、本発明者らが、実際に線膨張率を詳細に
測定してみると、フレシキブル配線板の各プラスチック
フィルム相互において、線膨張率が異なっていたのであ
る。この知見は、フレキシブル配線板の分野において、
本発明者らが初めて見出したものである。
【0026】そして、この線膨張率の相違について検討
を続けたところ、フレキシブル配線板に使用される2方
向延伸プラスチックフィルムは線膨張率において異方性
を示すことを突き止めたのである。すなわち、プラスチ
ックフィルムのフィルム面上において所定の基点Pを定
め、この基点Pを中心点とし、この基点Pを通るプラス
チックフィルム延伸縦方向の軸を基準とする角度θ方向
の線膨張率を測定する。他方、プラスチックフィルム延
伸縦方向の軸をY軸とし、プラスチックフィルム延伸横
方向の軸をX軸とする座標を準備する。そして、この座
標において、上記Y軸とX軸の交点を上記線膨張率測定
の際の基点Pとし、上記線膨張率の測定値の大きさを上
記基点Pからの距離rとし、この距離rの先端点をY軸
を基準とした上記測定角度θ方向にプロットする。この
プロットを複数回行い、各プロットした点の平均点を通
るように上記基点Pを中心に360度方向に渡って解析
線を引いたところ、座標上に図1に示すような楕円体が
得られたのである。同図において、MDは延伸縦方向の
軸(Y軸)を示し、TDは延伸横方向の軸(X軸)を示
す。また、実線の矢印Aはプラスチックフィルムの結晶
配向主軸を示し、同様に点線の矢印Bは結晶配向副軸を
示す。また、θは線膨張率の測定角度であり、MDを基
準としている。rは線膨張率の大きさを基点Pからの距
離として表すものであり、その先端を○でプロットして
いる。なお、このようなプロットは、極座標プロットと
呼ばれるものである。この極座標プロットにより得られ
た楕円体(図1参照)からわかるように、通常、プラス
チックフィルムの結晶配向主軸方向は、延伸縦方向から
斜めにずれた方向となり、また線膨張率も方向によって
ことなるもの(異方性)となっている。この結果、2方
向延伸のプラスチックフィルムの線膨張率の解析線は楕
円体を示すものと思われる。
【0027】つぎに、図2に示すように、2つの延伸プ
ラスチックフィルム(同一材質)について得られた座標
上の楕円体を、その中心点および座標軸が一致するよう
に重ね合わせると、プラスチックフィルムの各部位(各
方向)において線膨張率が相違し、また結晶配向方向も
相違することがわかる。通常、フレキシブル配線板のプ
ラスチックフィルムは、原料(原反)プラスチックフィ
ルムを2方向に延伸し、これから所定サイズに切り出し
て用いられることから、同一材質のプラスチックフィル
ムにおいて線膨張率が異なる理由は、2方向延伸の際に
加わる応力が、プラスチックフィルムの各部位によって
相違することに起因するものと思われる。
【0028】そして、この極座標プロットにより作成さ
れた楕円体を重ね合わせた場合に得られる各プラスチッ
クフィルムの線膨張特性の相違を制御して、フレキシブ
ル配線板のカール発生を抑制する方法について検討をし
た。その過程で、図2に示す線膨張率の差(Δα)の最
大値と、楕円体の重複しない部分の面積Cという指標を
用いるという着想を得、これに基づき種々実験を繰り返
した。この結果、フレキシブル配線板を構成する積層さ
れた2つ以上のプラスチックフィルムのうち両最外層に
配置する2つのプラスチックフィルムとして、それぞれ
について作成した楕円体を重ね合わせて得られる線膨張
率の差の最大値が1.4×10-5(1/℃)以下である
という関係を有する2枚のプラスチックフィルムを用い
ると、フレキシブル配線板の製造におけるカール発生が
防止されることを突き止めた。また同様に、上記両楕円
体を重ね合わせた場合の重複しない部分の面積Cが6.
5×10-10 〔(1/℃)×(1/℃)〕以下という関
係であっても、フレキシブル配線板の製造におけるカー
ル発生が抑制されることを突き止めたのである。
【0029】ここで注目すべき点は、上記2つの条件の
少なくとも一方を満たす必要があるのは、フレキシブル
配線板を構成する積層プラスチックフィルムのうち両最
外層に配置する2つのプラスチックフィルムだけである
点である。したがって、中間層に配置するプラスチック
フィルムを考慮する必要はない。
【0030】つぎに、上記所定の値を導出した実験結果
の一例を、図5および図6のグラフ図にそれぞれ示す。
この実験において、カール量は、先に述べた方法により
測定し、線膨張率は、TMA(Thermal Mechanical Ana
lysis,熱機械分析 )により測定した。また、線膨張率の
差(Δα)の最大値および楕円体の重複しない部分の面
積Cの導出は、後述の方法により行った。
【0031】図5のグラフ図は、カール量と長さの比
〔カール程度(%)〕と、線膨張率の差(Δα)との最
大値との関係を表す。図示のように、両者は直線的な関
係を示し、カールの発生が確実に抑制される(カール程
度が5%以下)線膨張率の差の最大値は、1.4×10
-5(1/℃)であることがわかる。
【0032】一方、図6のグラフ図は、カール量と長さ
の比〔カール程度(%)〕と、楕円体の重複しない部分
の面積Cとの関係を表す。図示のように、両者は、2次
曲線的な関係を示し、カールの発生が確実に抑制される
(カール程度が5%以下)楕円体の重複しない部分の面
積Cは、6.5×10-10 〔(1/℃)×(1/℃)〕
であることがわかる。
【0033】なお、線膨張率の差(Δα)の最大値およ
び楕円体の重複しない部分の面積(C)の二つの指標を
同時に用いることができ、このようにすることが好まし
い。なお、これまでの説明で明らかなように、線膨張率
の差(Δα)の最大値および楕円体の重複しない部分の
面積(C)は、最外層に位置するフィルムの相対関係を
示すものであるので、楕円体の座標軸の方向は任意に決
定すればよく、このようにしても、上記説明したよう
に、フィルムの延伸縦方向をY軸にする場合と全く同様
の結果が得られる。
【0034】つぎに、本発明は、原料(原反)プラスチ
ックフィルムの特性を応用して、フレキシブル配線板の
製造におけるカール発生を防止するとともに製造効率の
向上を図るものである。すなわち、上記2つの条件のい
ずれか一方を満たせば、カールの発生を防止することが
できるが、フレキシブル配線板の製造の際に、プラスチ
ックフィルム毎に線膨張率の差を測定することは煩雑で
ある。そこで、この問題を解決するために、原料(原
反)プラスチックフィルムの線膨張率の特性について調
べたところ、一定の規則性があることを見出した。そこ
で、予め、原料(原反)プラスチックフィルムの各部位
の線膨張率の楕円体を調べて線膨張率の特性を把握して
これを規格化し、原料(原反)プラスチックフィルムか
らの切り出し部分や、切り出されたプラスチックフィル
ムの組合わせを決めておく。このようにすると、プラス
チックフィルム毎に線膨張率の楕円体を作成しなくて
も、線膨張率の差の最大値や楕円体の重複しない部分の
面積を所定値以下とすることができるようになる。この
結果、カール発生が抑制されたフレキシブル配線板の生
産効率を向上させることが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を具体的に説明す
る。
【0036】本発明のフレキシブル配線板の製法を、図
15(A)に示す2つのプラスチックフィルム2,4を
積層した構造のものを例として説明する。
【0037】最初に、縦方向および横方向に延伸された
2枚のプラスチックフィルム2,4を準備する。2はカ
バー層用のプラスチックフィルムであり、4はベース層
用のプラスチックフィルムである。
【0038】上記プラスチックフィルムの種類として
は、例えば、ポリイミドフィルム,ポリエーテルニトリ
ルフィルム,ポリエーテルスルホンフィルム,ポリエチ
レンテレフタレートフィルム,ポリ塩化ビニルフィルム
をあげることができる。このなかで、耐熱性,寸法安定
性,電気特性,機械的強度特性,耐薬品特性,価格等を
総合的に考慮すると、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム,ポリイミドフィルムが好ましく、一般には、ポリ
エチレンテレフタレートフィルムが使用される。また、
プラスチックフィルムの厚みは、通常0.01〜0.3
mmであり、好ましくは0.025〜0.125mmで
ある。そして、カールの発生をより効果的に防止するた
めに、両最外層に配置する2つのプラスチックフィルム
の厚みは、同じであることが好ましい。
【0039】また、この2方向延伸プラスチックフィル
ムの延伸程度は、一般に、1.5〜15倍、好ましく
は、縦方向に2〜9倍、横方向に3〜8倍である。
【0040】そして、先に述べたように、この2つのプ
ラスチックフィルム2,4は、線膨張率の楕円体を重ね
た場合の線膨張率の差(Δα)の最大値が1.4×10
-5(1/℃)以下という条件および重複しない部分の面
積Cが6.5×10-10 〔(1/℃)×(1/℃)〕以
下であるという条件の少なくとも一方を満たす必要があ
る。
【0041】上記線膨張率の測定法は、前述のTMAに
より直接測定する方法の他に、例えば、本発明者らが開
発した、プラスチックフィルムの超音波伝播速度を測定
する方法があげられる。すなわち、プラスチックフィル
ムの弾性率と超音波伝播速度とは、相関関係があり、ま
た弾性率は線膨張率を示す指標となりえることから、こ
の超音波伝播速度をSST〔Sonic Sheet Tester,超音
波伝播速度測定機(野村商事株式会社から販売)〕を用
いて測定すると、プラスチックフィルムの各部位の線膨
張率を測定することが可能となる。この超音波伝播速度
を利用する方法は、TMAの方法に比べ測定に要する時
間が約2分と極めて短く、また測定精度も略同程度であ
り、熟練を要しないという利点がある。なお、SSTに
よる測定での測定温度は、23℃±2℃程度である。
【0042】また、上記線膨張率の差(Δα)は、つぎ
のようにして導出することができる。すなわち、まず、
プラスチックフィルムについて線膨張率の楕円体を先に
述べた手順で極座標プロットにより作成する(図1参
照)。この楕円体の半径rは、下記の式(4)のよう
に、線膨張率の測定角度:θ(rad)の関数として表
すことができる。なお、下記の式(4)のξは離心率を
示し、下記の式(5)で定義されるものである。また、
aは、楕円体の長軸半径でありrの最大値(rmax)と
なる。他方、bは、楕円体の短軸半径でありrの最小値
(rmin )となる。
【0043】
【数4】
【0044】
【数5】
【0045】そして、両最外層に配置する2つのプラス
チックフィルムについての楕円体の半径をr1 およびr
2 とすると、線膨張率の差(Δα)は、下記の式(6)
で表すことができる。
【0046】
【数6】
【0047】この式(6)により、測定角度:θについ
て0〜360度(0〜2πrad)に渡り比較し、最大
になる値が上記2つのプラスチックフィルムの線膨張率
の差(Δα)の最大値(Δαmax )である。なお、この
最大値(Δαmax )は、上記式(4),式(5),式
(6)を基にプログラムしたコンピューターを用いて導
出することもできる。
【0048】一方、上記両楕円体の重複しない部分の面
積Cの導出は、例えば、上記面積Cを定義する式(2)
の近似式の一つである下記の積算式(7)により導出す
ることができる。なお、この他の式で上記式(2)を近
似することを制限するものではない。
【0049】
【数7】
【0050】上記積算式(7)を用いる場合、通常、m
は、120〜2880個、好適には360〜1080個
とる。また、Δθ=2π/mとなる。
【0051】つぎに、上記2つのプラスチックフィルム
の少なくとも一方に、接着剤を塗布して乾燥するか、セ
パレーター上に塗布した接着剤を貼着させた後、セパレ
ーターを除去して接着剤層を形成する。この接着剤層は
両フィルムに形成することが好ましい。上記接着剤とし
ては、熱硬化性接着剤(例えば、エポキシゴム系接着
剤,ポリエステル樹脂にイソシアネート系硬化剤を添加
したポリエステル系接着剤)、熱可塑性接着剤(例え
ば、合成ゴム系接着剤)、粘着剤(感圧性接着剤、例え
ばアクリル系粘着剤)があげられる。このなかで、接着
力,耐熱性,耐湿熱性,作業性,耐久性が良いという理
由により、熱硬化性接着剤が好ましい。また、接着剤層
の厚みは、通常、0.003〜0.2mm、好ましくは
0.005〜0.05mmの範囲である。
【0052】また、ベース層となるプラスチックフィル
ム4について、印刷法,サブトラクティブ法,アディテ
ィブ法等の公知の方法により電気回路を形成する。例え
ば、ベース層用プラスチックフィルム4表面の接着剤層
の上に銅箔をのせ、これをサブトラクティブ法によりエ
ッチング処理することにより電気回路が形成される。
【0053】そして、上記2つのプラスチックフィルム
を積層する。この積層は、例えば、熱プレスによる圧着
法や、ロールラミネートで仮圧着した後に熱および圧力
の少なくとも一方によるラミネート法により行われる。
この積層方法および条件は、プラスチックフィルムおよ
び接着剤の種類等により適宜決定されるものである。ま
た、上記両法に共通する圧力および温度の条件として、
通常、40〜300℃×1〜100kg/cm2 、好ま
しくは50〜200℃×8〜70kg/cm2である。
【0054】このようにして、図15(A)に示すよう
な、フィルム二層構造のフレキシブル配線板を作製する
ことができる。また、図15(B)に示すようなフレキ
ブル配線板を作製する場合は、2つのプラスチックフィ
ルム2,4の双方に接着剤層8を形成し、それぞれの接
着剤層8が対面する状態で、上記2つのプラスチックフ
ィルム2,4を積層すればよい。
【0055】ここで、上記プラスチックフィルムの選定
において、各プラスチックフィルム毎に、線膨張率を測
定して極座標プロットを行い線膨張率の楕円体を作成
し、条件の充足性を調べることが最も基本的な方法であ
るが、実用性に欠けるという問題がある。そこで、本発
明者らは、この問題を解決するために、原料(原反)プ
ラスチックフィルムの線膨張率の特性を調べ、これを基
に、以下に示す第1の方法(請求項1〜4)および第2
の方法(請求項5〜8)を開発した。これらの方法は、
本発明者らが、原料(原反)プラスチックフィルムの延
伸方向において線膨張率の特性に一定の規則性があるこ
とを見出し、この知見に基づいて開発したものである。
【0056】第1の方法は、原料プラスチックフィルム
をその長さ方向と平行にカバー層用切り出し部分とベー
ス層用切り出し部分とに略2等分し、これらからそれぞ
れカバー層用プラスチックフィルムおよびベース層用プ
ラスチックフィルムを長さ方向に平行に切り出し、上記
2つの条件の少なくとも一方を満たす関係にある上記カ
バー層用プラスチックフィルムおよびベース層用プラス
チックフィルムをプラスチックフィルムの積層体の両最
外層に配置するという方法である。
【0057】図3に、2方向に延伸された原料(原反)
プラスチックフィルム5の幅方向の線膨張率の特性の一
例を示す。同図には、原料(原反)プラスチックフィル
ム5をその長さ方向(MD方向)と平行な帯状に8個に
区分けしており、長さ方向(MD方向)に平行な中心線
CLを基準とし、相対位置(−4,−3,−2,−1,
1,2,3,4,)で各部位を表している。また、各部
位において線膨張率の楕円体を示しており、点線の矢印
で結晶配向主軸を示している。そして、図中のMDは延
伸縦方向を示し、TDは延伸横方向を示す。図示のよう
に、原料(原反)プラスチックフィルム5の中心線CL
から離れるにしたがい結晶配向主軸が延伸縦方向からず
れてくる。そして、この図においては、原料(原反)プ
ラスチックフィルムの上記中心線近傍部位(−3,−
2,−1,1,2,3)では、線膨張率の差等の相違は
大きくなく、上記2の条件の少なくとも一方を満たす。
したがって、図示のように相対位置の(−3)〜(−
1)の部位をカバー層用切り出し部位とし、相対位置の
(1)〜(3)をベース層用切り出し部位とし、この範
囲で切り出されたプラスチックフィルムを組み合わせて
両最外層に配置しフレキシブル配線板を作製すれば、カ
ールの発生が防止される。図においては、相対位置の
(−3)から切り出されたカバー層用プラスチックフィ
ルムと、相対位置の(2)から切り出されたベース層用
プラスチックフィルムとの組合わせを示している。
【0058】なお、上記原料(原反)プラスチックフィ
ルムの区分けは、一例を示すものであり、実際には、原
料(原反)プラスチックフィルムの大きさや延伸程度等
により適宜決定されるものである。例えば、幅2〜6m
の原料(原反)プラスチックフィルムの場合は、区分け
の幅(帯の幅)を200〜1000mmとすると、区分
け数は6〜10区となる。具体的にいうと、例えば、原
料(原反)プラスチックフィルムの幅が2mの場合、区
分けの幅(帯の幅)を200mmとして10区に区分す
ることができる。また、原料(原反)プラスチックフィ
ルムの幅が6mの場合、区分けの幅(帯の幅)を100
0mmとし6区に区分けすることができる。そして、作
業性が良いという理由から、例えば、原料(原反)プラ
スチックフィルムが5mの場合、区分け幅(帯の幅)を
500mmとして10区に区分けすることが好ましい。
【0059】また、上記積層の態様は、特に制限するも
のではないが、後述する理由により、2つのプラスチッ
クフィルムを、同じ表面同士を対面させた状態で積層す
ることが好ましい。
【0060】つぎに、第2の方法は、上記原料プラスチ
ックフィルムをその長さ方向と平行にカバー層用切り出
し部分とベース層用切り出し部分とに略2等分し、上記
カバー層用切り出し部分とベース層用切り出し部分とに
おいて上記長さ方向に平行な中心線を基準として略左右
対称に位置する部分からそれぞれカバー層用プラスチッ
クフィルムおよびベース層用プラスチックフィルムを切
り出し、上記カバー層用プラスチックフィルムおよびベ
ース層用プラスチックフィルムとをそれぞれ同じ表面を
対面させた状態でプラスチックフィルムの積層体の両最
外層に配置する製法である。
【0061】図4に、縦方向および横方向に延伸された
原料(原反)プラスチックフィルム5の幅方向の線膨張
率の特性の一例を示す。同図では、原料(原反)プラス
チックフィルム5を長さ方向(MD方向)と平行に帯状
に9個に区分しており、中央を基準(0)とし、相対位
置(−4,−3,−2,−1,0,1,2,3,4,)
で各部位を表している。また、各部位において線膨張率
の楕円体を示しており、点線の矢印で結晶配向主軸を示
している。そして、図中のMDは延伸縦方向を示し、T
Dは延伸横方向を示す。図示のように、原料(原反)プ
ラスチックフィルム5の中央部では、結晶配向主軸と延
伸縦方向とが一致しており、中心から離れるにしたがい
結晶配向主軸が延伸縦方向からずれてくる。ここで注目
すべき点は、この結晶配向主軸のずれ(結晶配向方向)
が、略左右対称となっている点である。具体的にいう
と、図において、相対位置の(1)と(−1)、(2)
と(−2)、(3)と(−3)、(4)と(−4)の各
部位が対称となっている。そこで、これを利用し、相対
位置のマイナス(−)位置側をカバー層用とし、相対位
置のプラス(+)位置側をベース層用とする。そして、
図示のように、相対位置が一致する部位(左右対称とな
る部位)を抜き出し、これらを表面と表面とが対面する
状態で両最外層に配置すると、結晶配向主軸が略一致す
るようになり、線膨張率の差の最大値および楕円体の重
複しない部分の面積が、所定値以下となるのである。
【0062】なお、先の第1の方法と同様に、この第2
の方法においても、上記原料(原反)プラスチックフィ
ルムの区分けは、一例を示すものであり、実際には、原
料(原反)プラスチックフィルムの大きさや延伸程度等
により適宜決定されるものである。例えば、幅2〜6m
の原料(原反)プラスチックフィルムの場合は、区分け
の幅(帯の幅)を200〜1000mmとすると、区分
け数は6〜10区となる。具体的にいうと、例えば、原
料(原反)プラスチックフィルムの幅が2mの場合、区
分けの幅(帯の幅)を200mmとして10区に区分す
ることができる。また、原料(原反)プラスチックフィ
ルムの幅が6mの場合、区分けの幅(帯の幅)を100
0mmとし6区に区分けするこができる。そして、作業
性が良いという理由から、例えば、原料(原反)プラス
チックフィルムが5mの場合、区分け幅(帯の幅)を5
00mmとして10区に区分けすることが好ましい。
【0063】このように、予め、原料(原反)プラスチ
ックフィルムの各部位の線膨張率の楕円体を調べて線膨
張率の特性を把握してこれを規格化し、上記2つの条件
の少なくとも一方を満たす原料(原反)プラスチックフ
ィルムの所定部位からプラスチックフィルムを切り出し
たり、原料(原反)プラスチックフィルムの長さ方向と
平行な中心線を基準とする略左右対称に位置する2つの
部位から切り出したプラスチックフィルムを組み合わせ
るようにする。これにより、プラスチックフィルムを選
定する毎に線膨張率の楕円体を作成しなくても、線膨張
率の差の最大値や楕円体の重複しない部分の面積を所定
値以下とすることができるようになる。この結果、カー
ル発生が抑制されたフレキシブル配線板の生産効率を向
上させることが可能となる。
【0064】フレキシブル配線板を製造するにあたり、
上記第1の方法および第2の方法のどれを選択するか
は、製造条件等により適宜決定される。すなわち、製造
効率の観点からは、第1の方法が第2の方法に比べ優れ
ており、カール発生防止の観点からは、第2の製法が優
れている。したがって、これらを勘案し、製造効率を優
先するかカール発生防止を優先するかによって、上記2
つの方法のうちから選択することができる。
【0065】また、プラスチックフィルムの積層体のう
ち両最外層に配置する2つのプラスチックフィルムをそ
の表面同士を対面させた状態で積層することにより、接
着強度が高くなり、その他、フレキシブル配線板の表面
と裏面の相違を考慮する必要がなくなるという利点があ
る。すなわち、2方向に延伸された原料(原反)プラス
チックフィルムから切り出したプラスチックフィルムに
おいて、表面と裏面とでは、その表面(裏面)状態が濡
れ性や粗さ等において明らかに相違する。したがって、
2つのプラスチックフィルムを同じ表面同士を対面させ
た状態で両最外層に配置すると、フレキシブル配線板と
しての表面と裏面とに、上記2つのプラスチックフィル
ムの裏面が存在することとなり、フレキシブル配線板の
表面と裏面とが同じ状態となる。この結果、フレキシブ
ル配線板に様々な加工を施す場合において、その表面と
裏面の相違を考慮することがなくなる。具体的には、例
えば、フレキシブル配線板への印刷性,耐摩耗性,滑り
性,補強板との密着性および電磁波シールド用塗料の密
着性等の特性においてフレキシブル配線板の表面と裏面
の違いに注意する必要が少なくなって、フレキシブル配
線板に諸加工を施す際の作業効率や電子部品等の実装工
程等の効率の向上を図ることができるようになる。
【0066】なお、本発明のフレキシブル配線板の製法
について、2つのプラスチックフィルムを積層したもの
を例にとり説明したが、これに限定するものではなく、
プラスチックフィルムを3層以上積層したものにも本発
明を適用することができる。先に述べたように、この場
合、本発明の所定の条件を満たす必要があるのは、フレ
キシブル配線板を構成するプラスチックフィルムの積層
体のうち両最外層に配置する2つのプラスチックフィル
ムだけであり、中間層に配置するプラスチックフィルム
を考慮する必要はない。
【0067】本発明にかかるフレキシブル配線板の厚み
は、その用途等により適宜決定されるが、一般に、厚み
50〜800μm、好ましくは100〜600μmであ
る。また、その形状は、特に制限するものではなく、そ
の用途等により適宜決定されるものである。そして、そ
の大きさも特に制限するものではなく、その用途等に応
じ適宜決定されるが、例えば、前記において定義したフ
レキシブル配線板の最大長さL〔図14(a)参照〕
が、10〜1000mm、好ましくは30〜600mm
の範囲にあるものであればよい。
【0068】そして、本発明にかかるフレキシブル配線
板の柔軟性は、その形状や用途に応じて適宜決定される
ものである。例えば、長方形(帯状)のフレキシブル配
線板の柔軟性は、図22に示す圧縮試験機を用いて測定
される。図において、22はそれ自身の上側にロードセ
ル(荷重検出器)25が配設された上側固定板であり、
この上側固定板22の下側に対面するように、駆動部
(リニアモーター)23と連結されて上下動しうる下側
可動板24が配設されている。そして、まず、フレキシ
ブル配線板1が、上記上側固定板22と下側可動板24
との間に、長辺の方向に横向きU字状に折り曲げられた
状態で載置される。ついで、駆動部23を作動させて下
側可動板24を上昇させ、折り曲げられたフレキシブル
配線板1を上側固定板22との間に挟んで圧縮し、所定
の曲げ半径Rまで一定量圧縮した際の、ロードセル25
で検出される反発力を測定し、下記の式から柔軟性(反
発力)を算出して評価する。なお、上記曲げ半径Rは、
測定時の上側固定板22と下側可動板24との距離がフ
レキシブル配線板1の曲げ半径Rの2倍となることか
ら、上記距離より算出できる。
【0069】
【数8】反発力(g/cm)=反発力検出値(g) /フレキシブ
ル配線板の短辺(幅)の長さ(cm)
【0070】このようにして測定されたフレキブル配線
板(長方形)の柔軟性は、通常、曲げ半径R=5mmで
反発力2g/cm〜曲げ半径R=15mmで反発力60
0g/cmの範囲であり、好ましくは、曲げ半径R=5
mmで反発力4g/cm〜曲げ半径R=15mmで反発
力400g/cmの範囲である。
【0071】なお、上記柔軟性の評価方法は、長方形の
フレキシブル配線板についてのものであるが、長方形以
外の形状のフレキシブル配線板についても適用すること
は可能である。例えば、図14(a)に示すような略く
字状(略ブーメラン状)のフレキブル配線板において
は、その一部分を長方形に切り取り、この切り取り部分
をサンプルとして上記と同様にして柔軟性を評価でき
る。この場合、予め、切り取り部分やサンプルの形状を
統一(規格化)しておけば、柔軟性を客観的に評価がで
きる。
【0072】
【発明の効果】以上のように、本発明のフレキシブル配
線板の製法は、プラスチックフィルムを積層する際に、
この両最外層に配置する2つのプラスチックフィルムと
して、各プラスチックフィルムの線膨張率の特性を表示
する線膨張率の差の最大値や楕円体の重複しない部分の
面積が所定値以下であるという条件を満たす2枚のプラ
スチックフィルムを使用することを特徴とするものであ
る。この結果、本発明の製法によれば、カールが発生す
ることなくフレキシブレ配線板を製造することが可能と
なる。そして、本発明により得られたフレキシブル配線
板は、形状の精密性が高いものであり、これを用いて電
子部品の実装を行えば、機械による自動実装でも高精度
に行うことが可能となる。
【0073】また、延伸された原料(原反)プラスチッ
クフィルムの幅方向に線膨張率について一定の規則性が
あることを利用し、原料(原反)プラスチックフィルム
のプラスチックフィルムを切り出す部位を予め選定した
り、あるいは切り出した部位が略左右対称となるように
プラスチックフィルムを組み合わせるようにする。この
ようにすると、プラスチックフィルム毎に線膨張率を測
定しなくても、上記2つの条件の少なくとも一方を充足
するようにして2枚のプラスチックフィルムを両最外層
に配置することができるようになる。この結果、カール
の発生を防止するとともにフレキシブル配線板の製造効
率が向上するようになる。
【0074】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0075】
【実施例1】2方向に延伸されたポリエチレンテレフタ
レートフィルム(厚み0.05mm,東レ社製)を原料
プラスチックフィルムとし、これからサイズ100×2
00mmのプラスチックフィルム(フィルム−1,フィ
ルム−2)を切り出した。そして、先に述べたTMA法
により線膨張率を測定し、極座標プロットにより線膨張
率の楕円体を作成し両者を重ねた。これを図7のグラフ
図に示す。このグラフ図から、前述の式(4),式
(5),式(6)を基にプログラムを行ったTMAに付
帯した制御用コンピューターを用いてフィルム−1とフ
ィルム−2の線膨張率の差の最大値を算出した結果、
0.53×10-5(1/℃)であり、所定値以下であっ
た。なお、上記TMAによる線膨張率の測定は、吸湿膨
張および熱収縮による影響を排除すべく、以下のように
して行った。すなわち、上記プラスチックフィルムを1
50℃で60分間放置して乾燥処理を行い、その後、1
50℃から30℃まで冷却しながらプラスチックフィル
ムの長さおよびプラスチックフィルムの温度を同時にか
つ連続して測定し、Tg以下の領域について、式(1)
に基づいて線膨張率を求めた。
【0076】つぎに、フィルム−1の表面に、ポリエス
テル系熱硬化性接着剤を塗布した後乾燥し、接着剤層
(厚み0.03mm)を形成した。ついで、上記フィル
ム−1の表面とフィルム−2の表面とを対面させた状態
で、両者を熱プレスによる圧着(条件:150℃×1h
×30kg/cm2 )により積層した。そして、このプ
ラスチックフィルム積層体のカール量hを前述の方法に
より測定した結果、カール量hは4.2mmであり、カ
ール程度は2.1%であり、カールの発生が抑制され
た。
【0077】他方、上記プラスチックフィルムの積層体
とは別に、図17に示すようにして電気回路が形成され
たフレキシブル配線板を作製した。すなわち、まず、上
記と同じフィルム−1とフィルム−2を準備した。そし
て、図17(A)に示すように、フィルム−2(ベース
層用)の表面上に、上記と同様にして接着剤層8を形成
した。そして、この接着剤層8の上に銅箔3a(厚み:
0.018mm)をのせてロールラミネート(表面温度
を120℃に設定)により接合し加圧加熱(条件:11
0℃×2h×10kg/cm2 )して接着した。つぎ
に、図17(B)に示すように、サブトラクティブ法に
より銅箔のエッチング処理を行って電気回路3を形成し
た。他方、フィルム−1(カバー層用)の表面上に、上
記と同様にして接着剤層8を形成した。そして、図17
(C)に示すように、フィルム−1の表面とフィルム−
2の表面とを対面させた状態で、両者を熱プレスによる
圧着(条件:150℃×1h×30kg/cm2 )によ
り積層し、図17(D)に示すようなフレキシブル配線
板を作製した。
【0078】このフレキシブル配線板について、上記と
同様にしてカール量hを測定した結果、カール量hは
3.9mmであり、カール程度は2.0%であり、カー
ルの発生が抑制された。
【0079】
【比較例1】実施例1で使用したポリエチレンテレフタ
レートフィルムから、新たに、サイズ100×200m
mのプラスチックフィルム(フィルム−3)を切り出し
た。他方、実施例1と同じフィルム−1を準備した。そ
して、実施例1と同様に、線膨張率の楕円体を作成し両
者を重ねた。これを図8のグラフ図に示す。このグラフ
図から、実施例1と同様にしてフィルム−1とフィルム
−3の線膨張率の差の最大値を算出した結果、1.77
×10-5(1/℃)であり所定値を超えていた。
【0080】そして、実施例1と同様にして、フィルム
−1とフィルム−3のプラスチックフィルム積層体を作
製した。そして、このプラスチックフィルム積層体のカ
ール量hを同様にして測定した結果、カール量hは1
4.0mmであり、カール程度は7.0%であり、カー
ルが発生した。
【0081】他方、上記プラスチックフィルムの積層体
とは別に、電気回路が形成されたフレキシブル配線板を
作製した。すなわち、上記と同じフィルム−1(カバー
層用)とフィルム−3(ベース層用)を準備した。そし
て、フィルム−3の表面に実施例1と同様にして接着剤
層を形成したのち電気回路を形成し、またフィルム−1
の表面に接着剤層を形成した。そして、上記と同様にし
てフィルム−1とフィルム−3とを積層してフレキシブ
ル配線板を作製した。これについて、上記と同様にして
カール量hを測定した結果、カール量hは13.5mm
であり、カール程度は6.8%であり、カールが発生し
た。
【0082】
【実施例2】2方向に延伸されたポリイミドフィルム
(厚み0.125mm,東レ・デュポン社製)を原料フ
ィルムとし、これからサイズ200×360mmのプラ
スチックフィム(フィルム−4,フィルム−5)を切り
出した。そして、先にのべたTMAにより実施例1と同
様にして線膨張率を測定し、極座標プロットにより線膨
張率の楕円体を作成し両者を重ねた。これを図9のグラ
フ図に示す。このグラフ図より、フィルム−4とフィル
ム−5の楕円体の重複しない部分の面積Cは、3.44
×10-10 〔(1/℃)×(1/℃)〕であり、所定値
以下であった。なお、この面積の算出は、前述の積算式
(7)を基にプログラムを行ったTMA測定装置に付帯
の制御用コンピューターを用いて行った。また、この算
出において、m=720とし、Δθ=(2π/720)
≒0.00873(rad)とした。
【0083】つぎに、フィルム−4の表面に、変性エポ
キシ系熱硬化性接着剤を塗布した後乾燥し、接着剤層
(厚み0.03mm)を形成した。ついで、上記フィル
ム−4の表面とフィルム−5の表面とを対面させた状態
で、両者をロールラミネートにより仮圧着したのち、加
圧釜内でキュア(条件:150℃×1h×15kg/c
2 )を行い積層した。そして、このプラスチックフィ
ルム積層体のカール量hを前述の方法により測定した結
果、カール量hは9.5mmであり、カール程度は2.
6%であり、カール発生が抑制された。
【0084】他方、上記プラスチックフィルムの積層体
とは別に、電気回路が形成されたフレキシブル配線板を
作製した。すなわち、上記と同じフィルム−4(カバー
層用)とフィルム−5(ベース層用)を準備した。そし
て、フィルム−5の表面に実施例1と同様にして接着剤
層を形成したのち厚み0.035mmの銅製電気回路を
形成し、また、フィルム−4の表面に接着剤層を形成し
た。そして、実施例1と同様にしてフィルム−4とフィ
ルム−5とを積層してフレキシブル配線板を作製した。
これについて、上記と同様にしてカール量hを測定した
結果、カール量hは8.3mmであり、カール程度は
2.3%であり、カール発生が抑制された。
【0085】
【比較例2】実施例2で使用したポリイミドフィルムか
ら、新たに、サイズ200×360mmのプラスチック
フィルム(フィルム−6)を切り出した。他方、実施例
2と同じフィルム−4を準備した。そして、実施例2と
同様に、線膨張率の楕円体を作成し両者を重ねた。これ
を図10のグラフ図に示す。このグラフ図を基に、実施
例2と同様にして、フィルム−4とフィルム−6の線膨
張率の楕円体の重複しない部分の面積を算出した結果、
7.71×10-10 〔(1/℃)×(1/℃)〕であり
所定値を超えていた。
【0086】つぎに、実施例2と同様にして、フィルム
−4とフィルム−6のプラスチックフィルム積層体を作
製した。そして、このプラスチックフィルム積層体のカ
ール量hを同様にして測定した結果、カール量hは2
8.0mmであり、カール程度は7.8%であり、カー
ルが発生した。
【0087】他方、上記プラスチックフィルムの積層体
とは別に、電気回路が形成されたフレキシブル配線板を
作製した。すなわち、上記と同じフィルム−4(カバー
層用)とフィルム−6(ベース層用)を準備した。そし
て、フィルム−6の表面に実施例2と同様にして接着剤
層を形成したのち電気回路を形成し、またフィルム−4
の表面に接着剤層を形成した。そして、上記と同様にし
てフィルム−4とフィルム−6とを積層してフレキシブ
ル配線板を作製した。これについて、上記と同様にして
カール量hを測定した結果、カール量hは25.2mm
であり、カール程度は7.0%であり、カールが発生し
た。
【0088】
【実施例3】2方向に延伸されたポリエチレンテレフタ
レートフィルム(厚み0.125mm,東レ社製)を原
料フィルムとし、これからサイズ200×360mmの
プラスチックフィルム(フィルム−7,フィルム−8)
を切り出した。また、2方向に延伸されたポリエチレン
テレフタレートフィルム(厚み0.250mm,東レ社
製)を原料フィルムとし、これからサイズ200×36
0mmのプラスチックフィルム(フィルム−10)を切
り出した。そして、実施例1と同様にして線膨張率の楕
円体を作成し三者を重ねた。これを図11のグラフ図に
示す。このグラフ図から、実施例1と同様にして、それ
ぞれの線膨張率の差の最大値を算出した。その結果、フ
ィルム−7とフィルム−8の線膨張率の差の最大値は、
0.54×10-5(1/℃)であり、フィルム−7とフ
ィルム−10の線膨張率の差の最大値は、4.49×1
-5(1/℃)であり、フィルム−8とフィルム−10
との線膨張率の差の最大値は、3.94×10-5(1/
℃)であった。
【0089】つぎに、シート状に成形したポリエステル
系熱硬化性接着剤(厚み0.05mm)を準備し、これ
をロールで、フィルム−10の表面と裏面に仮圧着し
た。つぎに、フィルム−10の表面と裏面に対し、フィ
ルム−7とフィルム−8をそれぞれ配置してロールラミ
ネートで仮圧着した後、加圧釜内でキュア(条件:11
0℃×2h×10kg/cm2 )を行い、図13に示す
ような三層構造のプラスチックフィルム積層体を作製し
た。図において、8は接着剤層を示す。なお、このプラ
スチックフィルム積層体において、両最外層に位置する
のは、フィルム−7とフィルム−8であり、先に述べた
ように、両者の線膨張率の差の最大値は、0.54×1
-5(1/℃)であり、本発明の所定値以下である。そ
して、このプラスチックフィルム積層体のカール量hを
前述の方法により測定した結果、カール量hは5.4m
mであり、カール程度は1.5%であり、カールの発生
が抑制された。
【0090】他方、上記プラスチックフィルムの積層体
とは別に、電気回路が形成されたフィルム三層構造のフ
レキシブル配線板を作製した。すなわち、上記と同じフ
ィルム−7,フィルム−8,フィルム−10を準備し
た。そして、図18に示すように、フィルム−7の表面
およびフィルム−8の表面に、上記と同様にしてシート
状ポリエステル系熱硬化性接着剤を用いて接着剤層8を
形成した後、この上に実施例1と同様にしてサブトラク
ティブ法により厚み0.035mmの銅製電気回路3を
形成した。また、同図に示すように、フィルム−10の
表面および裏面に上記と同様にシート状ポリエステル系
熱硬化性接着剤を用いて接着剤層8を形成した。そし
て、同図に示すように、フィルム−10を介し、フィル
ム−7の表面およびフィルム−8の表面を対面させた状
態で、これら三者をロールラミネートで仮圧着した後、
加圧釜内でキュア(条件:110℃×2h×10kg/
cm2)を行い、図19に示すようなフィルム三層構造
のフレキシブル配線板を作製した。図19において、図
18と同一部分には同一符号を付している。
【0091】上記フィルム三層構造のフレキシブル配線
板について、上記と同様にしてカール量hを測定した結
果、カール量hは5.0mmであり、カール程度は1.
4%であり、カールの発生が抑制された。
【0092】
【比較例3】実施例3で使用したポリエチレンテレフタ
レートフィルム(厚み0.125mm)から、新たに、
サイズ200×360mmのプラスチックフィルム(フ
ィルム−9)を切り出した。他方、実施例3と同じフィ
ルム−7,フィルム−10を準備した。そして、実施例
3と同様に、線膨張率の楕円体を作成し三者を重ねた。
これを図12のグラフ図に示す。このグラフ図より、実
施例1と同様にして線膨張率の差の最大値を算出した。
その結果、フィルム−7とフィルム−9の線膨張率の差
の最大値は、1.66×10-5(1/℃)であり、フィ
ルム−9とフィルム−10の線膨張率の差の最大値は、
4.17×10-5(1/℃)であった。なお、先に示し
たとおり、フィルム−7とフィルム−10の線膨張率の
差の最大値は、4.49×10-5(1/℃)である。
【0093】つぎに、フィルム−8に代えてフィルム−
9を用いた他は、実施例3と同様にしてフィルム三層構
造のプラスチックフィルム積層体(図13参照)を作製
した。そして、このプラスチックフィルム積層体のカー
ル量hを同様にして測定した結果、カール量hは18.
7mmであり、カール程度は5.2%であり、カールが
発生した。
【0094】他方、上記プラスチックフィルムの積層体
とは別に、電気回路が形成されたフレキシブル配線板を
作製した。すなわち、上記と同じフィルム−7,フィル
ム−9,フィルム−10を準備した。そして、実施例3
と同様にしてフィルム−7およびフィルム−9の各表面
に接着剤層8および銅製電気回路3を形成し、またフィ
ルム−10の表面および裏面に接着剤層8を形成した。
そして、実施例3と同様にしてこれら三者を積層し(図
18参照)、フレキシブル配線板(図19参照)を作製
した。これについて、上記と同様にしてカール量hを測
定した結果、カール量hは18.9mmであり、カール
程度は5.3%であり、カールが発生した。
【0095】
【実施例4】2方向に延伸した原料(原反)プラスチッ
クフィルム(ポリエチレンテレフタレート製)を準備し
た。この幅は、4mである。そして、これを、図3に示
すように、長さ方向(延伸縦方向)に平行な帯状に8区
分に分けた。この区分(帯)の幅は、500mmであ
る。この原料(原反)プラスチックフィルムにおいて、
実施例1と同様にして各区分の線膨張率を測定し、各相
対位置同士の組合わせを検討したところ、線膨張率の差
の最大値が1.4×10-5(1/℃)以下の条件を満た
すのは、相対位置で(−3)〜(3)の範囲(領域)で
あった。そして、図示のように、相対位置の(−3)か
らサイズ80×200mmのカバー層用プラスチックフ
ィルム(フィルム−11)を切り出し、相対位置(2)
からサイズ80×200mmのベース層用プラスチック
フィルム(フィルムー12)切り出した。このフィルム
−11およびフィルム−12について、同じ表面を対面
させた状態での線膨張率の差を測定したところ、その最
大値は、0.7×10-5(1/℃)であった。
【0096】そして、実施例1と同様にして、フィルム
−11とフィルム−12を用い、同じ表面を対面させて
プラスチックフィルム積層体を作製した。そして、この
プラスチックフィルム積層体のカール量hを同様にして
測定した結果、カール量hは5.6mmであり、カール
程度は2.8%であり、カールの発生が抑制された。
【0097】他方、上記プラスチックフィルムの積層体
とは別に、電気回路が形成されたフレキシブル配線板を
作製した。すなわち、上記と同じフィルム−11(カバ
ー層用)とフィルム−12(ベース層用)を準備した。
そして、フィルム−12の表面に実施例1と同様にして
接着剤層を形成したのち電気回路を形成し、またフィル
ム−11の表面に接着剤層を形成した。そして、上記と
同様にしてフィルム−11とフィルム−12とを積層し
てフレキシブル配線板を作製した。これについて、上記
と同様にしてカール量hを測定した結果、カール量hは
5.3mmであり、カール程度は2.7%であり、カー
ルの発生が抑制された。
【0098】
【実施例5】2方向に延伸した原料(原反)プラスチッ
クフィルム(ポリエチレンテレフタレート製)を準備し
た。この幅は、4.5mである。そして、これを、図4
に示すように、長さ方向(延伸縦方向)に平行な帯状に
9区分に分けた。この区分(帯)の幅は、500mmで
ある。この原料(原反)プラスチックフィルムにおい
て、長さ方向(縦方向)と平行な中心線を基準とし、左
右対称に位置する相対位置(−3)と相対位置(3)の
部分から、それぞれサイズ60×90mmのカバー層用
プラスチックフィルム(フィルム−13)とベース層用
プラスチックフィルム(フィルムー14)切り出した。
そして、実施例1と同様にして、このフィルム−13お
よびフィルム−14について、同じ表面を対面させた状
態での線膨張率の差を測定したところ、その最大値は、
0.1×10-5(1/℃)であった。
【0099】そして、実施例1と同様にして、フィルム
−13とフィルム−14のプラスチックフィルム積層体
を作製した。そして、このプラスチックフィルム積層体
のカール量hを同様にして測定した結果、カール量hは
0.4mmであり、カール程度は0.5%であり、カー
ルの発生が抑制された。
【0100】他方、上記プラスチックフィルムの積層体
とは別に、電気回路が形成されたフレキシブル配線板を
作製した。すなわち、上記と同じフィルム−13(カバ
ー層用)とフィルム−14(ベース層用)を準備した。
そして、フィルム−14の表面に実施例1と同様にして
接着剤層を形成したのち電気回路を形成し、またフィル
ム−13の表面に接着剤層を形成した。そして、上記と
同様にしてフィルム−13とフィルム−14とを積層し
てフレキシブル配線板を作製した。これについて、上記
と同様にしてカール量hを測定した結果、カール量hは
0.3mmであり、カール程度は0.3%であり、カー
ルの発生が抑制された。
【0101】
【比較例4】実施例5と同じフィルム−13およびフィ
ルム−14を準備した。そして、上記フィルム−13の
表面およびフィルム−14の裏面を対面させた状態での
線膨張率の差を測定したところ、その最大値は、1.6
×10-5(1/℃)であった。そして、上記フィルム−
13の表面およびフィルム−14の裏面を対面させた状
態で、実施例5と同様に、プラスチックフィルムの積層
体を作製し、同様にしてカール量hを測定した。その結
果、カール量hは5.9mmであり、カール程度は6.
6%となり、カールが発生した。
【図面の簡単な説明】
【図1】2方向延伸されたプラスチックフィルムの線膨
張率の楕円体を表す極座標プロット図である。
【図2】2つの線膨張率の楕円体を重ねた極座標プロッ
ト図である。
【図3】本発明のフレキシブル配線板の製法の一例を示
す説明図である。
【図4】本発明のフレキシブル配線板の製法のその他の
例を示す説明図である。
【図5】線膨張率の差の最大値とカール程度との関係を
示すグラフ図である。
【図6】線膨張率2乗値の差(ΔαC )の積分値とカー
ル程度との関係を示すグラフ図である。
【図7】本発明の一実施例における2つの線膨張率の楕
円体を重ねた極座標プロット図である。
【図8】比較例における2つの線膨張率の楕円体を重ね
た極座標プロット図である。
【図9】本発明のその他の実施例における2つの線膨張
率の楕円体を重ねた極座標プロット図である。
【図10】その他の比較例における2つの線膨張率の楕
円体を重ねた極座標プロット図である。
【図11】本発明のその他の実施例における3つの線膨
張率の楕円体を重ねた極座標プロット図である。
【図12】その他の比較例における3つの線膨張率の楕
円体を重ねた極座標プロット図である。
【図13】プラスチックフィルムを三層積層したフレキ
シブル配線板の構造を示す断面図である。
【図14】(A)はフレキシブル配線板の最長の長さを
示す模式図であり、(B)はフレキシブル配線板のカー
ル量測定の説明図である。
【図15】(A)はフレキシブル配線板の構造を示す断
面図であり、(B)は2つのプラスチックフィルムの各
表面に接着剤層を形成したフレキシブル配線板の構図を
示す断面図である。
【図16】(A)はカールが発生したフレキシブル配線
板の断面図であり、(B)はフレキシブル配線板にツイ
ストカールが発生した状態を示す説明図である。
【図17】(A)はベース用フィルムに接着剤層を形成
したのち銅箔をのせた状態を示す断面図であり、(B)
は上記銅箔を電気回路に形成した状態を示す断面図であ
り、(C)はベース層用プラスチックフィルムとカバー
層用プラスチックフィルムとを積層する状態を示す断面
図であり、(D)はこのようにして得られたフレキシブ
ル配線板の構造を示す断面図である。
【図18】フィルム三層構造のフレキシブル配線板を製
造する状態を示す断面図である。
【図19】フィルム三層構造のフレキシブル配線板の構
造を示す断面図である。
【図20】原料(原反)プラスチックフィルムからプラ
スチックフィルムを切り出す状態を示す説明図である。
【図21】(A)は2つのプラスチックフィルムを、そ
れぞれ同じ表面同士を対面させて積層する状態を示す斜
視図であり、(B)は2つのプラスチックフィルムを、
それぞれ同じ表面同士を対面させて積層する状態を示す
断面図である。
【図22】フキシブル配線板の柔軟性を測定する状態を
示す説明図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−131934(JP,A) 特開 平9−252169(JP,A) 特開 平9−252171(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 1/02 H05K 1/03 670

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦方向および横方向の2方向に延伸して
    作製されたプラスチックフィルムを2つ以上積層する際
    に、その両最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチ
    ックフィルムとして、下記に示す方法(A)により各プ
    ラスチックフィルムのフィルム面の互いに対応する部分
    におけるそれぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成
    し、その中心点および座標軸X,Yを一致させるように
    上記各楕円体を重ね合わせて得られる各プラスチックフ
    ィルムの線膨張率の差の最大値が、1.4×10-5(1
    /℃)以下であるという関係を有する2つのプラスチッ
    クフィルムを使用するフレキシブル配線板の製法であっ
    て、上記縦方向および横方向の2方向に延伸したプラス
    チックフィルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸
    した原料プラスチックフィルムから上記縦方向および横
    方向のいずれか一方を長さ方向として所定サイズに切り
    出されたプラスチックフィルムであり、この切り出しに
    おいて、上記原料プラスチックフィルムをその長さ方向
    と平行にカバー層用切り出し部分とベース層用切り出し
    部分とに略2等分し、これらからそれぞれカバー層用プ
    ラスチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィ
    ルムを長さ方向に平行に切り出し、上記カバー層用プラ
    スチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィル
    ムをプラスチックフィルムの積層体の両最外層に配置す
    ことを特徴とするフレキシブル配線板の製法。 (A) プラスチックフィルムのフィルム面上において
    所定の基点Pを定め、この基点Pを中心点とし、この基
    点Pを通るプラスチックフィルム延伸縦方向の軸を基準
    とする角度θ方向の線膨張率を測定する。他方、プラス
    チックフィルム延伸縦方向の軸をY軸とし、プラスチッ
    クフィルム延伸横方向の軸をX軸とする座標を準備す
    る。そして、この座標において、上記Y軸とX軸の交点
    を上記線膨張率測定の際の基点Pとし、上記線膨張率の
    測定値の大きさを上記基点Pからの距離rとし、この距
    離rの先端点をY軸を基準とした測定角度θ方向にプロ
    ットする。このプロットを複数回行い、各プロットした
    点の平均点を通るように上記基点Pを中心に360度方
    向に渡って解析線を引いて楕円体を作成する。
  2. 【請求項2】 縦方向および横方向の2方向に延伸して
    作製されたプラスチックフィルムを2つ以上積層する際
    に、その両最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチ
    ックフィルムとして、請求項1の方法(A)により各プ
    ラスチックフィルムのフィルム面の互いに対応する部分
    におけるそれぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成
    し、その中心点および座標軸X,Yを一致させるように
    上記各楕円体を重ね合わせた場合の重複しない部分の面
    積の合計が、6.5×10-10 〔(1/℃)×(1/
    ℃)〕以下であるという関係を有する2つのプラスチッ
    クフィルムを用いるフレキシブル配線板の製法であっ
    て、上記縦方向および横方向の2方向に延伸したプラス
    チックフィルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸
    した原料プラスチックフィルムから上記縦方向および横
    方向のいずれか一方を長さ方向として所定サイズに切り
    出されたプラスチックフィルムであり、この切り出しに
    おいて、上記原料プラスチックフィルムをその長さ方向
    と平行にカバー層用切り出し部分とベース層用切り出し
    部分とに略2等分し、これらからそれぞれカバー層用プ
    ラスチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィ
    ルムを長さ方向に平行に切り出し、上記カバー層用プラ
    スチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィル
    ムをプラスチックフィルムの積層体の両最外層に配置す
    ことを特徴とするフレキシブル配線板の製法。
  3. 【請求項3】 縦方向および横方向の2方向に延伸して
    作製されたプラスチックフィルムを2つ以上積層する際
    に、その両最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチ
    ックフィルムとして、下記に示す方法(B)により各プ
    ラスチックフィルムのフィルム面の互いに対応する部分
    におけるそれぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成
    し、その中心点および座標軸X,Yを一致させるように
    上記各楕円体を重ね合わせて得られる各プラスチックフ
    ィルムの線膨張率の差の最大値が、1.4×10-5(1
    /℃)以下であるという関係を有する2つのプラスチッ
    クフィルムを使用するフレキシブル配線板の製法であっ
    て、上記縦方向および横方向の2方向に延伸したプラス
    チックフィルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸
    した原料プラスチックフィルムから上記縦方向および横
    方向のいずれか一方を長さ方向として所定サイズに切り
    出されたプラスチックフィルムであり、この切り出しに
    おいて、上記原料プラスチックフィルムをその長さ方向
    と平行にカバー層用切り出し部分とベース層用切り出し
    部分とに略2等分し、これらからそれぞれカバー層用プ
    ラスチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィ
    ルムを 長さ方向に平行に切り出し、上記カバー層用プラ
    スチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィル
    ムをプラスチックフィルムの積層体の両最外層に配置す
    ことを特徴とするフレキシブル配線板の製法。 (B) プラスチックフィルムのフィルム面上において
    所定の基点Pを定め、この基点Pを中心点とし、この基
    点Pを通るプラスチックフィルム面上における任意の方
    向の軸を定め、この軸を基準とする上記フィルム面上で
    の角度θ方向の線膨張率を測定する。他方、上記任意の
    方向の軸をY軸とし、これとは90度ずらせた方向の軸
    をX軸とする座標を準備する。そして、この座標におい
    て、上記Y軸とX軸の交点を上記線膨張率測定の際の基
    点Pとし、上記線膨張率の測定値の大きさを上記基点P
    からの距離rとし、この距離rの先端点をY軸を基準と
    した測定角度θ方向にプロットする。このプロットを複
    数回行い、各プロットした点の平均点を通るように上記
    基点Pを中心に360度方向に渡って解析線を引いて楕
    円体を作成する。
  4. 【請求項4】 縦方向および横方向の2方向に延伸して
    作製されたプラスチックフィルムを2つ以上積層する際
    に、その両最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチ
    ックフィルムとして、請求項3の方法(B)により各プ
    ラスチックフィルムのフィルム面の互いに対応する部分
    におけるそれぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成
    し、その中心点および座標軸X,Yを一致させるように
    上記各楕円体を重ね合わせた場合の重複しない部分の面
    積の合計が、6.5×10-10 〔(1/℃)×(1/
    ℃)〕以下であるという関係を有する2つのプラスチッ
    クフィルムを用いるフレキシブル配線板の製法であっ
    て、上記縦方向および横方向の2方向に延伸したプラス
    チックフィルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸
    した原料プラスチックフィルムから上記縦方向および横
    方向のいずれか一方を長さ方向として所定サイズに切り
    出されたプラスチックフィルムであり、この切り出しに
    おいて、上記原料プラスチックフィルムをその長さ方向
    と平行にカバー層用切り出し部分とベース層用切り出し
    部分とに略2等分し、これらからそれぞれカバー層用プ
    ラスチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィ
    ルムを長さ方向に平行に切り出し、上記カバー層用プラ
    スチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィル
    ムをプラスチックフィルムの積層体の両最外層に配置す
    ことを特徴とするフレキシブル配線板の製法。
  5. 【請求項5】 縦方向および横方向の2方向に延伸して
    作製されたプラスチックフィルムを2つ以上積層する際
    に、その両最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチ
    ックフィルムとして、請求項1の方法(A)により各プ
    ラスチックフィルムのフィルム面の互いに対応する部分
    におけるそれぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成
    し、その中心点および座標軸X,Yを一致させるように
    上記各楕円体を重ね合わせて得られる各プラスチックフ
    ィルムの線膨張率の差の最大値が、1.4×10 -5 (1
    /℃)以下であるという関係を有する2つのプラスチッ
    クフィルムを使用するフレキシブル配線板の製法であっ
    て、上記縦方向および横方向の2方向に延伸したプラス
    チックフィルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸
    した原料プラスチックフィルムから上記縦方向および横
    方向のいずれか一方を長さ方向として所定サイズに切り
    出されたプラスチックフィルムであり、この切り出しに
    おいて、上記原料プラスチックフィルムをその長さ方向
    と平行にカバー層用切り出し部分とベース層用切り出し
    部分とに略2等分し、上記カバー層用切り出し部分とベ
    ース層用切り出し部分とにおいて上記長さ方向に平行な
    中心線を基準として略左右対称に位置する部分からそれ
    ぞれカバー層用プラスチックフィルムおよびベース層用
    プラスチックフィルムを切り出し、上記カバー層用プラ
    スチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィル
    ムをそれぞれ同じ表面を対面させた状態でプラスチック
    フィルムの積層体の両最外層に配置することを特徴とす
    フレキシブル配線板の製法。
  6. 【請求項6】 縦方向および横方向の2方向に延伸して
    作製されたプラスチックフィルムを2つ以上積層する際
    に、その両最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチ
    ックフィルムとして、請求項1の方法(A)により各プ
    ラスチックフィルムのフィルム面の互いに対応する部分
    におけるそれぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成
    し、その中心点および座標軸X,Yを一致させるように
    上記各楕円体を重ね合わせた場合の重複しない部分の面
    積の合計が、6.5×10 -10 〔(1/℃)×(1/
    ℃)〕以下であるという関係を有する2つのプラスチッ
    クフィルムを用いるフレキシブル配線板の製法であっ
    て、上記縦方向および横方向の2方向に延伸したプラス
    チックフィルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸
    した原料プラスチックフィルムから上記縦方向および横
    方向のいずれか一方を長さ方向として所定サイズに切り
    出されたプラスチックフィルムであり、この切り出しに
    おいて、上記原料プラスチックフィルムをその長さ方向
    と平行にカバー層用切り出し部分とベース層用切り出し
    部分とに略2等分し、上記カバー層用切り出し部分とベ
    ース層用切り出し部分とにおいて上記長さ方向に平行な
    中心線を基準として略左右対称に位置する部分からそれ
    ぞれカバー層用プラスチックフィルムおよびベース層用
    プラスチックフィルムを切り出し、上記カバー層用プラ
    スチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィル
    ムをそれぞれ同じ表面を対面させた状態でプラスチック
    フィルムの積層体の両最外層に配置することを特徴とす
    フレキシブル配線板の製法。
  7. 【請求項7】 縦方向および横方向の2方向に延伸して
    作製されたプラスチックフィルムを2つ以上積層する際
    に、その両最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチ
    ックフィルムとして、請求項3の方法(B)により各プ
    ラスチックフィルムのフィルム面の互いに対応する部分
    におけるそれぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成
    し、その中心点および座標軸X,Yを一致させるように
    上記各楕円体を重ね合わせて得られる各プラスチックフ
    ィルムの線膨張率の差の最大値が、1.4×10 -5 (1
    /℃)以下であるという関係を有する2つのプラスチッ
    クフィルムを使用するフレキシブル配線板の製法であっ
    て、上記縦方向および横方向の2方向に延伸したプラス
    チックフィルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸
    した原料プラスチックフィルムから上記縦方向および横
    方向のいずれか一方を長さ方向として所定サイズに切り
    出されたプラスチックフィルムであり、この切り出しに
    おいて、上記原料プラスチックフィルムをその長さ方向
    と平行にカバー層用切り出し部分とベース層用切り出し
    部分とに略2等分し、上記カバー層用切り出し部分とベ
    ース層用切り出し部分とにおいて上記長さ方向に平行な
    中心線を基準として略左右対称に位置する部分からそれ
    ぞれカバー層用プラスチックフィルムおよびベース層用
    プラスチックフィルムを切り出し、上記カバー層用プラ
    スチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィル
    ムをそれぞれ同じ表面を対面させた状態でプラスチック
    フィルムの積層体の両最外層に配置することを特徴とす
    るフレキシブル配線板の製法。
  8. 【請求項8】 縦方向および横方向の2方向に延伸して
    作製されたプラスチックフィルムを2つ以上積層する際
    に、その両最外層にそれぞれ配置される2つのプラスチ
    ックフィルムとして、請求項3の方法(B)により各プ
    ラスチックフィルムのフィルム面の互いに対応する部分
    におけるそれぞれの線膨張率の楕円体を座標上に作成
    し、その中心点および座標軸X,Yを一致させるように
    上記各楕円体を重ね合わせた場合の重複しない部分の面
    積の合計が、6.5×10 -10 〔(1/℃)×(1/
    ℃)〕以下であるという関係を有する2つのプラスチッ
    クフィルムを用いるフレキシブル配線板の製法であっ
    て、上記縦方向および横方向の2方向に延伸したプラス
    チックフィルムが、縦方向および横方向の2方向に延伸
    した原料プラスチックフィルムから上記縦方向および横
    方向のいずれか一方を長さ方向として所定サイズに切り
    出されたプラスチックフィルムであり、この切り出しに
    おいて、上記原料プラスチックフィルムをその長さ方向
    と平行にカバー層用切り出し部分とベース層用切り出し
    部分とに略2等分し、上記カバー層用切り出し部分とベ
    ース層用切り出し部分とにおいて上記長さ方向に平行な
    中心線を基準として略左右対称に位置する部分からそれ
    ぞれカバー層用プラスチックフィルムおよびベース層用
    プラスチックフィルムを切り出し、上記カバー層用プラ
    スチックフィルムおよびベース層用プラスチックフィル
    ムをそれぞれ同じ表面を対面させた状態でプラスチック
    フィルムの積層体の両最外層に配置することを特徴とす
    るフレキシブル配線板の製法。
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