JP3006632B2 - 固体潤滑転がり軸受 - Google Patents

固体潤滑転がり軸受

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JP3006632B2
JP3006632B2 JP3158566A JP15856691A JP3006632B2 JP 3006632 B2 JP3006632 B2 JP 3006632B2 JP 3158566 A JP3158566 A JP 3158566A JP 15856691 A JP15856691 A JP 15856691A JP 3006632 B2 JP3006632 B2 JP 3006632B2
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博光 近藤
博 山田
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、宇宙機器等の真空中、
またはOA機器、情報機器等の流体潤滑剤を用いること
ができない環境下で使用される固体潤滑転がり軸受に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に転がり軸受は、内・外輪と転動体
および転動体と保持器間にグリース等の流体潤滑剤を供
給し、それぞれの間に発生する転がり摩擦や滑り摩擦を
減少させ、軸受の耐久性を向上させるようにしている。
【0003】しかしながら、転がり軸受を宇宙機器等の
真空中で使用する場合、グリース等の蒸気圧の高い流体
潤滑剤は雰囲気中に蒸発してしまうため使用に耐えな
い。また、OA機器、情報機器等においては、蒸発ある
いは軸受から洩れ出したグリース等の流体潤滑剤がディ
スク等に付着して機器の誤差動を誘発する恐れがあるこ
とから、これら潤滑剤を使用することができない。その
ため、このような環境下で使用される転がり軸受には蒸
気圧が低く、しかも軸受から洩れ出す心配のない固体潤
滑剤が必要となる。
【0004】現在、転がり軸受の固体潤滑剤としては、
二硫化モリブデン等の層状物質系、金、銀、鉛等の軟質
金属系、PTFE、ポリイミド等の高分子系の固体潤滑
剤が広く使用されている。
【0005】例えば、宇宙機器の駆動機構部に使用され
る転がり軸受には、固体潤滑剤として、二硫化モリブデ
ン(MoS2)をスパッタリングで皮膜処理したものが
使用されている。これは、二硫化モリブデンが層状物質
系の固体潤滑剤であり、軟質金属系の固体潤滑剤に比べ
て低トルク特性に優れているという理由による。そし
て、低トルク特性に優れているが故に、動力の設計を容
易にし、また装置類のコンパクト化に寄与する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】装置類の機構をコンパ
クト化しようとすると、低トルク性もさる事ながら、使
用する固体潤滑剤の耐面圧性も問題となる。しかし、従
来の二硫化モリブデンのスパッタリング皮膜は高面圧下
での耐久性がやや劣る。これは、以下に説明するよう
に、二硫化モリブデンのスパッタリング皮膜の組織構造
そのものに起因するところが大きい。
【0007】図5は、この二硫化モリブデンをスパッタ
リングで皮膜処理をした従来の潤滑皮膜Bを示す。スパ
ッタリングは、図4に示すように、低圧力の不活性ガス
(アルゴンガス等)雰囲気中において発生するグロー放
電を利用して付着させようとする物質をターゲット11
よりたたきだして、対面する皮膜処理物21に付着させ
る処理法であり、アルゴン等のイオン12がマイナスに
帯電させたターゲット11の表面に衝突し、この衝突エ
ネルギーでターゲット11表面の粒子5aを空間にはじ
き飛ばす。スパッタリングでは、一般に、ターゲット1
1として固体物質を用いるが、固体物質は粒子5a間の
拘束力が比較的大きく、また物質の表面状態も均一であ
るため、スパッタ率およびスパッタ方向は比較的安定し
秩序だっている。そのため、図5に示すように、スパッ
タリングで皮膜処理した二硫化モリブデンの潤滑皮膜B
は、二硫化モリブデン粒子5aの集合体である多数の柱
状片5’が僅かな間隙6’をもって比較的緻密な皮膜層
7’を形成する。このように柱状片5’が緻密に配列し
た組織構造では、荷重Wを受けた場合、各柱状片5’の
荷重Wに対して垂直な方向への弾性変形量が小さくな
る。この各柱状片5’の変形能は、荷重Wに対して一種
のクッション作用をなすものであるから、これが阻害さ
れることによって面圧が上昇し、潤滑皮膜Bの摩耗が促
進される結果、耐久性が低下するのである。
【0008】そこで、本発明の目的は、二硫化モリブデ
ンからなる潤滑皮膜の耐面圧性を高め、もって軸受の耐
久性を向上させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の固体潤滑転がり
軸受は、転がり軸受を構成する部品のうち少なくとも転
がり摩擦または滑り摩擦を生じる表面に、二硫化モリブ
デンの潤滑皮膜を形成したものであって、前記潤滑皮膜
が、粉体状の二流化モリブデンをターゲットとして、ス
パッタリングにより前記表面に皮膜処理されたものであ
ことを特徴とする。
【0010】
【作用】粉体状の二流化モリブデンをターゲットとし
て、スパッタリングにより皮膜処理された潤滑皮膜は、
母材表面に二流化モリブデンの柱状片がランダムに成長
し、かつ各柱状片間に大きな空隙を有している。そのた
め、荷重Wの付加時、各柱状片は空隙の方向に弾性変形
することができる。この柱状片の空隙方向への弾性変形
能が一種のクッション作用をなし、このクッション作用
で荷重Wを緩和することによって面圧の上昇を抑制する
のである。面圧の上昇が抑制される結果、潤滑皮膜は剥
離等のダメージを受けず保持され、良好な耐久性を示
す。また、各柱状片の配列方向がランダムであるので、
摩擦力の作用方向に関係なく良好な低トルク特性が得ら
れる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0012】図1は、本発明を深溝玉軸受に適用した実
施例を示す。この軸受は、内輪1、外輪2、内・外輪1
・2間に介在する複数の転動体3、転動体3を円周等間
隔に保持する保持器4といった軸受部品で構成される。
そして、内・外輪1・2の転走面および転動体3の表面
にはそれぞれ二硫化モリブデンの潤滑皮膜1a・2a・
3aが形成されている。
【0013】これらの潤滑皮膜1a・2a・3aは、二
硫化モリブデンを母材表面にスパッタリングで皮膜処理
して形成したものであり、図2に示すように(本図は、
図5と同一倍率である。)、二硫化モリブデンの柱状片
5が大きな空隙6をもってランダムに配列して皮膜層7
を形成した組織構造をなす。この潤滑皮膜A(1a・2
a・3a)に荷重Wが付加されると、各柱状片5が空隙
6の方向に弾性変形し、荷重Wによる面圧の上昇を抑制
する。また、各柱状片5がランダムな方向に配列してい
るため、摩擦面(摩擦力の作用方向)に対して方向性が
なく極めて良好な低トルク性を発揮する。すなわち、二
硫化モリブデンの低トルク性は、その結晶構造の摩擦面
に対する方向性に大きく左右され、図5に示すような従
来の潤滑皮膜Bでは、柱状片が比較的一定の方向性をも
って配列しているため、この向きが摩擦面に垂直になる
と摩擦力が大となって低トルク性がやや低下する。これ
に対して、図2に示す潤滑皮膜Aは柱状片5の方向性が
ないため、摩擦面の方向に関係なく良好な低トルク特性
を示す。
【0014】次に、潤滑皮膜A(1a・2a・3a)の
形成方法について説明する。
【0015】潤滑皮膜Aは、基本的には図4に示すもの
と同様のスパッタリングで皮膜処理したものであるが、
図3に示すような粉体状の二硫化モリブデンをターゲッ
ト11として皮膜処理したものである。粉体状のターゲ
ット11は粒子5a間の拘束力が固体物質に比べて小さ
く、アルゴン等のイオン12がターゲット11の表面に
衝突すると、その衝突した部分がえぐり取られる。した
がって、ターゲット11の表面状態は常に凹凸状にな
り、しかもその状態は処理中の時間経過に伴って刻々と
変化して一定しなくなる。この刻々と状態変化するター
ゲット11の表面にイオン12が衝突するため、ある粒
子5aはターゲット11の表面からたたきだされてラン
ダムな方向に飛散し、また、ある粒子5aは表面の隣接
する凸部分11bに衝突してエネルギーを失い表面に止
まったりする。このように、ターゲット材料を粉体とす
ることによって、同一入力下で二硫化モリブデンのスパ
ッタ率およびスパッタ方向を無秩序にすることができ、
これにより、母材表面に二硫化モリブデンの柱状片5が
ランダムに成長し、かつ各柱状片5間に大きな空隙6が
形成される。
【0016】尚、本実施例では内・外輪1・2の転走面
および転動体の表面に潤滑皮膜を形成するようにした
が、潤滑皮膜は少なくとも転動体3の表面に形成すれば
良い。また、同図では、内・外輪1・2の表面の全体に
潤滑皮膜が形成されているが、嵌合面等の、潤滑皮膜が
不要な部分については、マスキングによって皮膜処理を
施さない、あるいは、最終製品となる前に除去すること
も可能である。さらに、軸受の形式は、同図に示すよう
な深溝玉軸受に限らず、広く転がり軸受一般に適用する
ことができる。
【0017】図6および図7は、上記構成の潤滑皮膜A
と、図5に示す従来の潤滑皮膜Bとついて行なった耐久
性試験およびトルク特性試験の結果を示す。試験は、図
9に示すように、潤滑皮膜を形成したディスクに所定の
荷重Wを付加した鋼球を押しつけ、
【0018】滑り速度:1.0m/sec 面圧:119kgf/mm2 測定温度:室温 真空度:10-7Torr台 皮膜厚さ:0.3μm(両潤滑皮膜とも同一厚さ) の条件下にディスクを回転させて行なった。試験結果か
ら明らかなように、本発明に係わる潤滑皮膜Aは、従来
の潤滑皮膜Bに比べて3倍以上の耐久性を示す。また、
摩擦トルク値も1/3以下と低く、かつ安定しており、
極めて良好な低トルク特性を示す。
【0019】図8は、潤滑皮膜Aを形成した軸受(軸受
Aとする)、潤滑皮膜Bを形成した軸受(軸受Bとす
る)とについて行なった耐久寿命試験の結果を示す。試
験は、内・外輪の転走面および転動体の表面に潤滑皮膜
を形成した試験軸受を試験機にセットし、
【0020】回転数:15rpm 面圧:190kgf/mm2 測定温度:室温 真空度:10-7Torr台 皮膜厚さ:0.3μm(両軸受とも同一厚さ) の条件下に行なった。試験結果から明らかなように、本
発明の軸受Aは従来の軸受Bに比べて2倍以上の耐久性
を示した。
【0021】
【発明の効果】粉体状の二流化モリブデンをターゲット
として、スパッタリングにより皮膜処理された潤滑皮膜
は、各柱状片間に大きな空隙を有するので、各柱状片が
荷重に対してクッション作用をなして面圧の上昇を抑制
する結果、軸受の耐久性が向上する。
【0022】また、粉体状の二流化モリブデンをターゲ
ットとして、スパッタリングにより皮膜処理された潤滑
皮膜は、各柱状片の配列方向ランダムであるので、摩
擦力の作用方向に関係なく良好な低トルク特性が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明に係わる潤滑皮膜Aの平面を示す図(図
a)、およびその断面を模式的に示す図(図b)であ
る。
【図3】本発明に係わる潤滑皮膜Aの形成方法を模式的
に示す図である。
【図4】スパッタリングによる皮膜処理方法を模式的に
示す図である。
【図5】従来の潤滑皮膜Bの平面を示す図(図a)、お
よびその断面を模式的に示す図(図b)である。
【図6】耐久性試験の結果を示す図である。
【図7】トルク特性試験の結果を示す図である。
【図8】耐久寿命試験の結果を示す図である。
【図9】耐久性試験およびトルク特性試験に使用した試
験機の主要部を示す図である。
【符号の説明】
1 内輪 1a 潤滑皮膜 2 外輪 2a 潤滑皮膜 3 転動体 3a 潤滑皮膜 4 保持器 5 柱状片 6 空隙 A 潤滑皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16C 33/32 F16C 33/62 F16C 33/66 F16C 33/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転がり軸受を構成する部品のうち少なく
    とも転がり摩擦または滑り摩擦を生じる表面に、二硫化
    モリブデンの潤滑皮膜を形成したものであって、前記潤
    滑皮膜が、粉体状の二流化モリブデンをターゲットとし
    て、スパッタリングにより前記表面に皮膜処理されたも
    のであることを特徴とする固体潤滑転がり軸受。
JP3158566A 1991-06-28 1991-06-28 固体潤滑転がり軸受 Expired - Lifetime JP3006632B2 (ja)

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