JP3006498B2 - 光中継伝送方式および光中継回路 - Google Patents

光中継伝送方式および光中継回路

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光信号のまま中継
伝送を行う光中継方式とそれに用いる光中継回路に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、光のまま中継伝送を行う方式とし
て光増幅器を用いた1R光中継伝送方式がある。これは
光ファイバ伝送路での伝送損失分だけ信号光のパワーレ
ベルを補償して信号光のパワーレベルを一定のレベルま
で引き上げて後段の光ファイバ伝送路に送出する方式で
ある。また、光端局の半導体レーザに周波数変調を施す
ことにより送信信号光に分散予等化を施し、波長分散に
よるパワーペナルティを低減して再生中継間隔を拡大す
る、プリチャープ法と呼ばれる分散予等化方式がエヌ・
ヘンミ(N.Henmi)他により1990年の光通信
国際会議(Inter National Confe
rence on Optical Fiber Co
mmunication)のテクニカルダイジェストの
PD8(ポストデッドラインペーパー、#8)に記載の
論文で提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、光増幅器を用
いて光のまま中継伝送する従来の光中継伝送方式では、
信号光パワーレベルは増幅されるものの、光ファイバ伝
送路で受ける波長分散による波形劣化の影響は除かれて
いないため、伝送距離限界は波長分散限界によって制限
されると言う問題点があった。また、波長分散の影響を
あらかじめ補償して信号光を送出するプリチャープ法で
は、実際上補償できる波長分散値が制限されるため、最
大伝送距離は、その途中に光増幅器による1R光中継器
を用いたとしても、最大の波長分散補償値に相当する光
ファイバ伝送距離に限定されるという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】本発明の光中継回路は、光ファイバ伝送路
を伝搬してきた信号光を光増幅する光増幅器と、この光
増幅器の出力光の一部を分岐する光分岐回路と、この光
分岐回路の第1の出力端子に接続されて入力した信号光
に位相変調をかけた信号光を後段の光ファイバ伝送路に
出力する光位相変調器と、前記光分岐回路の第2の出力
端子に接続されて入力した信号光を電気信号に変換する
光受信回路と、この光受信回路の電気出力信号からタイ
ミング信号を抽出するタイミング抽出回路と、前記タイ
ミング信号を所定の電圧振幅にし位相差信号に基づき伝
送距離に見合った位相にして前記光位相変調器を駆動す
る光位相変調器駆動回路と、この光位相変調器駆動回路
の出力位相と前記光位相変調器へ入力した信号光の包絡
線信号の位相との位相差を検出して前記位相差信号とし
て出力する位相検出回路とを備えている。
【0006】
【作用】本発明では、信号光の振幅を光増幅器により増
幅するのみならず、光伝送路の波長分散により生ずる光
信号の波形劣化に対し、信号光に直接位相変調を加える
ことにより予め信号光のままで等化を施すことにより、
予等化1R多段中継が可能となる。
【0007】以下、図1および図2を参照して説明す
る。図1は本発明の光中継伝送方式による光中継回路の
原理的なブロック図、図2は図1に示す光中継回路の動
作を説明するための図である。
【0008】図1を参照すると、分散媒質101aを伝
搬してきた信号光は光増幅器102でその光パワーレベ
ルが増幅され、光信号aとして光位相変調器103に入
力する。光信号aは図2(a)に示すRZ強度変調信号
である。ここで、送出端での分散予等化により、光信号
aは図2(a)に示すように、ほぼ送出端の光信号波形
と同様の波形となっている。光位相変調器103に入力
した信号光は位相変調器駆動回路104から出力される
信号bで位相変調される。この位相変調器駆動回路10
4の出力信号bは図2(b)に示すように、光信号aの
包絡線信号の基本周波数を持つ正弦波信号である。同図
および図2(a)に示すように、光信号aの強度が最大
の時に印加電圧が最大になっている。ここで、光位相変
調器103として、信号bの印加電圧が高い方に振れれ
ば信号光aに負の位相変化を与え、印加電圧が低い方に
振れれば信号光aに正の位相変化を与える位相変調器を
用いているので、光位相変調器103を通る信号光が受
ける位相変化量は図2(c)に示すように、光信号aの
強度が最大の時に負方向の最大位相変化を受け、光強度
が最小の時に正方向の最大位相変化を受ける。その結
果、光位相変調器103から出力される光信号dのキャ
リヤ周波数は図2(d)に模式的に示すように、光パル
スの先端でキャリヤ中心周波数から低い方に偏移し、光
パルスの後端でキャリヤ中心周波数から高い方に偏移す
る。ここでは、強度変調信号速度10Gb/sの光信号
を、全長での全分散値が1000ps/nmの分散媒質中
を伝送するため、約3.2GHzの周波数偏移を与えて
いる。
【0009】なお、このような波長分散予等化を行えば
伝送後に波形歪の少ない光信号が得られることについて
は、前述のエヌ・ヘンミ(N.Henmi)他による1
990年の光通信国際会議(Inter Nation
al Conferenceon Optical F
iber Communication)のテクニカル
ダイジェストのPD8(ポストデッドラインペーパー、
#8)に詳しい。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について図
面を参照して説明する。
【0011】図3は本発明の第1の実施形態のブロック
図である。
【0012】図3の実施形態において、1.55μm 零
分散光ファイバである光ファイバ301aを伝送された
波長1.57μm 、強度変調信号速度10Gb/sのR
Z変調された光信号は送信端での分散予等化により、図
2(a)に示すような送信端の光パルス波形とほぼ同様
のパルス波形で光増幅器302に光パワーレベル−18
dBmで入力し、光パワーレベル10dBmまで光増幅
される。ここで、光増幅器302は波長1.48μm の
光源で励起されたエルビウムドープ光ファイバ増幅器で
ある。
【0013】光増幅器302からの出力光は大半が光フ
ァイバ301b,301cを介して光位相変調器303
に入力されるが、その一部(約1/100)は光分岐器
304で分岐され、受光回路305で光信号から電気信
号に変換される。クロック抽出回路306では受光回路
305から出力される10Gb/sの電気信号から10
GHzのクロック信号を抽出して出力する。ここで、ク
ロック抽出回路306の構成については、ピー・アール
・トリスチタ(P.R.Trischitta)他によ
る「ジッタ・イン・デジタル・トランスミッション・シ
ステム(Jitter in digital tra
nsmission system)」と題するアーテ
ク・ハウス(Artech House)から出版され
た1989年刊の本に記載の論文に詳しい。さて、位相
変調器駆動回路307ではクロック抽出回路306から
のクロック信号を所定の電圧に増幅すると共に、その位
相が所定の位相になるように位相検出回路308からの
信号を元に調整を行って光位相変調器303へ駆動信号
を出力する。ここでは半波長電圧が約10Vの位相変調
器を用いているので、ピーク−ピーク値で約π/5[r
ad]の位相偏移を与えるため、ピーク−ピーク値が約
2.0Vの図2(b)に示すような正弦波状駆動信号を
出力している。この駆動信号により光位相変調器303
に入力した光信号はピーク−ピーク値で約π/5[ra
d]の図2(c)に示すように位相偏移を受け、その結
果、図2(d)に模式的に示すように、10Gb/s光
信号のキャリヤ周波数が変調され、光パルスの先端でキ
ャリヤ中心周波数から低い方に偏移し、光パルスの後端
でキャリヤ中心周波数から高い方に偏移する。ここで光
信号に与えた位相変調は1000ps/nmの波長分散に
対応するものであり、波長1.57μm での平均波長分
散値を約3ps/nm・kmとして、約300kmの予等化伝
送を行う。
【0014】なお、光ファイバ301dに送出される光
パワーレベルは、光位相変調器303などの挿入損失の
ため、約5dBmである。また、光ファイバ300kmの
伝送損失は約70〜80dBであることから、次の段の
予等化付き光中継器(本発明による光中継器)との間
に、3〜4台の光増幅器のみからなる中継器をおいて中
継伝送することになる。次の段の予等化付き光中継器
(本発明による光中継器)への入力光信号は本実施例の
図2(a)に示した光信号波形とほぼ同様の波形が得ら
れるので、再度、上述の方法・装置構成で光信号のまま
での中継伝送が可能である。
【0015】図4は本発明の第2の実施形態のブロック
図である。
【0016】図4の実施形態では、1.55μm 零分散
光ファイバである光ファイバ401aを伝送された波長
1.57μm 、強度変調信号速度10Gb/sのRZ変
調された光信号を光増幅器402で光増幅し、その出力
光に光位相変調器403で位相変調を加えて分散予等化
を施すことについては図3の実施例と全く同じである
が、光位相変調器403に印加する駆動信号の発生方法
が異なる。
【0017】本実施形態では10GHzの正弦波信号を
正弦波信号発生器409で発生させ、図3の実施例と同
様にして抽出した光信号の基本周波数のクロック信号と
の間の位相差を第2の位相検出回路410で検出して光
信号の基本周波数にほぼ一致する正弦波信号とした上で
位相変調器駆動回路407へ出力する。位相変調器40
7からの出力である駆動信号の位相については、光位相
変調器403への光信号の一部を分岐した光信号を光−
電気変換した電気信号と位相変調器駆動回路407から
の出力信号との位相差を第1の位相検出回路408で検
出して、その位相差信号を制御信号としてフィードバッ
クした位相変調器駆動回路407で駆動信号の位相調整
をかけ、光位相変調器403内の光信号の包絡線信号の
位相と駆動信号との位相関係が図2(a),(b)に示
す関係となるようにした上で、光位相変調器403へ駆
動信号として出力する。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、光
信号のままで光信号レベルを増幅して中継伝送できるこ
とはもとより、分散予等化を含む1R光中継伝送が可能
となる。従って、光信号のままでの分散予等化1R多段
中継が可能となるため、一般に構成が複雑となる光−電
気変換が必要な3R中継器による中継伝送が伝送距離に
よっては不要となり、また、伝送距離が長い場合でも3
R中継器の数を大幅に削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光中継伝送方式による光中継回路の原
理的なブロック図である。
【図2】図1に示した光中継回路の動作を説明するため
の図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
101a,101b 分散媒質 102,302,402 光増幅器 103,303,403 光位相変調器 104,307,407 位相変調器駆動回路 301a〜301d,401a〜401d 光ファイバ 304,404 光分岐器 305,405 受光回路 306,406 クロック抽出回路 308,408,410 位相検出回路 409 正弦波信号発生器
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−171036(JP,A) 特開 昭61−212125(JP,A) 特開 平3−171941(JP,A) 特開 平5−110516(JP,A) 特開 平6−303205(JP,A) 特許2827619(JP,B2) 特許2658678(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 10/00 - 10/28 H04J 14/00 - 14/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光ファイバ伝送路を伝搬してきた信号光を
    光増幅する光増幅器と、この光増幅器の出力光の一部を
    分岐する光分岐回路と、この光分岐回路の第1の出力端
    子に接続されて入力した信号光に位相変調をかけた信号
    光を後段の光ファイバ伝送路に出力する光位相変調器
    と、前記光分岐回路の第2の出力端子に接続されて入力
    した信号光を電気信号に変換する光受信回路と、この光
    受信回路の電気出力信号からタイミング信号を抽出する
    タイミング抽出回路と、前記タイミング信号を所定の電
    圧振幅にし位相差信号に基づき前記後段の光ファイバ伝
    送路の伝送距離に見合った位相にして前記光位相変調器
    を駆動する光位相変調器駆動回路と、この光位相変調器
    駆動回路の出力位相と前記光位相変調器へ入力した信号
    光の包絡線信号の位相との位相差を検出して前記位相差
    信号として出力する位相検出回路とを備えたことを特徴
    とする光中継器。
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