JP3005910U - ポスト除去器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単かつ確実にポストを挾持できるようにし
たポスト除去器を提供すること。 【構成】 この考案によるポスト除去器１は、側面に螺
合された蝶ネジ７により先端チャック部３を開閉させる
コンパス状の把持具２と、把持具２の内側にチャック部
３と交叉して配置され、かつ把持具２の上部に螺合され
たネジ７により昇降する二又状の抜取用突子４とを備
え、前記チャック部３の対向する挾持面の中央には、挾
持面に連続形成された鋸歯状の突起３ａと交叉するＶ字
形のガイド溝８を垂直方向に刻設したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、継続歯の交換に先立ち、歯根に植設された既存のポスト（合釘、 以下ポストと称する）を簡単に抜取ることのできるポスト除去器の改良に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

歯牙が虫歯になり、これが深く進行した時に、この部分を削り取っても生活歯 の歯根が健全である場合には、この歯根に金属製のポストを植設した後、これに 継続歯を被せて接着することにより、再生を行なうようにしている。そして、継 続歯を使用している間に、この継続歯が破損したり合わなくなった場合には、こ れを除去し、新たな継続歯に交換するのであるが、交換に先だって既存ポストも 除去する必要がある。

【０００３】 ポストは、接着剤によって歯根に強固に結合し、ペンチ状の器具では抜取りが 難しく、しかも抜取り時に衝撃が加わり、歯根の保持上にも好ましくないことか ら、先に本出願人は衝撃を伴わずに抜取るためのポスト除去器を開発した。

【０００４】 この除去器は、側面に螺合された蝶ネジにより先端チャック部を開閉させるコ ンパス状の把持具と、該把持具の内側に前記チャック部と交叉して配置され、か つ該把持具の上部に螺合されたネジにより昇降する二又状の抜取用突子とから構 成される医療用器具であり、チャック部をポストの間に位置させた状態で蝶ネジ を締めることによってポストをチャック部間に挾持し、この状態で上部のネジを 回すことで抜取用突子を歯根の上面に押し当てつつ下降させることにより相対的 に把持具が上昇する。したがって、衝撃を伴うことなくポストをチャック部間に 挾持した状態で抜取ることができる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 この構造の除去器にあっては、術者が口中の狭い部位で目的とする小さなポス トを挾持すべく操作するのであるが、実際にこの部位は極めて狭い場所で他の部 位との関係で作業しにくい場合もあり、ポスト自体もごく小さなものであるため 、ポストの挾持操作は難しく、このためチャック部には鋸歯状の突起を形成し、 ポストに食い込みやすくはしているものの、正確にチャック部の中央に位置決め をしてからでないと、しばしばチャック動作時に横に逸れて脱落するため、熟練 者であっても何回もやり直さなければならない問題があった。

【０００６】 この考案は以上の問題を解決するものであって、その目的とするところは簡単 かつ確実にポストを挾持できるようにしたポスト除去器を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、この考案のポスト除去器は、側面に螺合されたネジ により先端チャック部を開閉させるコンパス状の把持具と、該把持具の内側に前 記チャック部と交叉して配置され、かつ該把持具の上部に螺合されたネジにより 昇降する二又状の抜取用突子とを備え、前記チャック部の対向する挾持面の中央 には、該挾持面に連続形成された鋸歯状の突起と交叉するガイド溝を垂直方向に 刻設したことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】

以上の構成によれば、ポストを挟んでチャック部を対向させた状態でその幅を 狭めていくと、ガイド溝に沿ってポストをチャック部の中心に向けるべくチャッ ク部の位置が自己矯正され、挾持完了状態ではポストはチャック部の中心に位置 し、かつガイド溝内に包囲される。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を詳細に説明する。

【００１０】 図１はこの考案にかかるポスト除去器の分解斜視図、図２は同組立状態を示す 斜視図である。図におけるポスト除去器１は金属製の器具であり、その表面全体 はホーニング加工等により梨地面とすることで金属光沢を除去し、この種の器具 による患者に対する心理的圧迫感をより和らげるようにしてある。

【００１１】 この除去器１は先端に一対のチャック部３を一体形成したコンパス状の把持具 ２と、把持具２の中央に開口形成された空間２ａ内に前記チャック部３と交叉し て配置される二又状の抜取用突子４とを備えており、把持具２はその側面中央に リング状スペーサ５を介して捩じ込まれる蝶ネジ６により前記中央空間２ａを拡 開収縮させ、この蝶ネジ６の蝶形ネジ頭部６ａの回転操作により前記チャック部 ３を開閉させる。

【００１２】 また、抜取用突子４は把持具２の頂部に螺入された上部ネジ７の先端に連結し 、この上部ネジ７のつまみ７ａの回転操作により昇降する。突子４の一対の先端 部４ａは後述する歯根の表面に着座してこれの反力でチャック部３を相対的に上 昇させるためのもので、焼き入れ、あるいは超硬チップなどの加工が施されてお り、チャック部３の中央外側に位置すべくその幅が設定されている。

【００１３】 チャック部３は前記と同様、焼き入れ、あるいは超硬チップなどの加工が施さ れたもので、その対向する挾持面には上下方向に沿って鋸歯状の突起３ａが所定 ピッチで連続形成され、後述するポストに対する喰付き効果を与えているととも に、この突起３ａと交叉して両チャック部３の肉厚方向中央には図１の一部に拡 大して示すように垂直方向に断面Ｖ字形のガイド溝８が刻設されている。

【００１４】 このガイド溝８は、図３に示すように前述のポスト９をチャック部３間に挾持 する上での脱落防止用のガイドとなるものである。

【００１５】 すなわち図３（ａ）において、前記ポスト９は外周に喰付き用の凹凸を形成し たもので、この既存ポスト９が生活歯の歯根１０に接着剤１１を介してその約半 分の長さ分が埋設固定され、上側半分が歯根１０上に露出しており、これを前記 ポスト除去器１を用いて抜取る場合について説明する。

【００１６】 まず、前記ポスト９の中央にチャック部３の肉厚方向中央を位置させて蝶ネジ ６ａを締め付け方向に回動操作することで、チャック部３間の中央にポスト９が 挾持固定されることが理想である。

【００１７】 しかしながら、例えば図中想像線に示すように中央から外れた位置で締付操作 しなければならない場合であっても、チャック部３がポスト９の外周に接触する とガイド溝８に接し、この状態で締付操作をさらに行なうと、チャック部３はガ イド溝８の傾斜に沿って移動し、その中央にポスト９の位置を修正すべく位置が 自己矯正される。

【００１８】 そして最終的にはポスト９は図３（ｂ）に示すように、両ガイド溝８によって 構成される菱形空間内部に包囲された状態で挾持される。挾持操作完了後はポス ト９は両ガイド溝８によって包囲されているので脱落することなく、確実にチャ ック部３間に挾持固定されることになる。

【００１９】 挾持操作が完了した時点で上部側つまみ７ａを回転操作し、抜取用突子４を下 降させて先端部４ａを歯根１０の表面に着座させ、この状態でさらにネジ頭部７ ａの回転操作を行なえば、相対的にチャック部３が上昇し、これに挟まれたポス ト９は抜取用突子４に反力をとられて歯根１０から静かに抜出される。

【００２０】 なお、前記実施例ではガイド溝８の形状をＶ字形としたが、ポスト９をチャッ ク部３の中央にガイドする形状であるならば、半円形その他の溝形状も採用する ことができることは勿論である。

【００２１】

【考案の効果】

以上実施例により詳細に説明したように、この考案に係るポスト除去器にあっ ては、ポストを挟んでチャック部を対向させた状態でその幅を狭めていくと、ガ イド溝に沿ってポストをチャック部の中心に向けるべくチャック部の位置が自己 矯正され、挾持完了状態ではポストはチャック部の中心に位置し、かつガイド溝 内に包囲されるため、挾持操作時あるいは操作後であってもチャック部がずれて ポストから脱落することがない。

【００２２】 したがって、この考案のポスト除去器を用いることにより、ポスト抜取り操作 に熟練を要することなく、誰でも簡単かつ確実に抜取りできる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係るポスト除去器の分解斜視図であ
る。

【図２】同組立状態を示す斜視図である。

【図３】（ａ），（ｂ）は同ポスト除去器を用いてポス
トの抜取り操作を行なう場合の説明図である。

【符号の説明】

１ ポスト除去器 ２ 把持具 ３ チャック部 ３ａ 鋸歯状突起 ４ 抜取用突子 ６ 蝶ネジ ６ ネジ頭部 ７ 上部ネジ ７ａ つまみ ８ ガイド溝 ９ ポスト

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【手続補正書】

【提出日】平成６年７月１日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図３

【補正方法】変更

【補正内容】

【図３】（ａ），（ｂ），（ｃ）は同ポスト除去器を用
いてポストの抜取り操作を行なう場合の説明図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 側面に螺合されたネジにより先端チャッ
   ク部を開閉させるコンパス状の把持具と、該把持具の内
   側に前記チャック部と交叉して配置され、かつ該把持具
   の上部に螺合されたネジにより昇降する二又状の抜取用
   突子とを備え、前記チャック部の対向する挾持面の中央
   には、該挾持面に連続形成された鋸歯状の突起と交叉す
   るガイド溝を垂直方向に刻設したことを特徴とするポス
   ト除去器。