JP3005403U - 歯科用タービン駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 負荷の変化に関連して自動調速するための手
段を従来技術に対比して一層単純に構成し、所要スペー
スを小さくしかつ高い確実性を保証するような歯科用タ
ービン駆動装置を提供する。 【構成】 調速エレメント１１が、翼車３と翼車ケーシ
ングとの間の流出通路８内で前記翼車３の回転部分に配
置されており、しかも前記流出通路８の横断面が前記調
速エレメント１１とリング状のケーシング壁１４とによ
って制限されており、かつ前記調速エレメント１１が、
前記翼車３の回転時に遠心力に基づいて調速エレメント
の形状及び位置又はその何れかを変化して有効流過横断
面を、回転数の上昇に伴って減少させ、また回転数の低
下に伴って増大させるように構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、軸受を介してガイドされている翼車と、戻し空気の流動経路内に配 置されていてタービン回転数を調整するための調速エレメントとを備え、前記翼 車が外周に多数枚のタービン動翼を有し、該タービン動翼が、自由噴流原理に基 づいてノズルを介して供給される圧力空気を受圧する形式の歯科用タービン駆動 装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

タービン駆動装置は歯科用タービン式ハンドピースにおいて多年来採用されて おり、かつその他の駆動装置に対比して構造が比較的単純でエネルギ供給が比較 的簡単である点で賞用されている。勿論公知のタービン駆動装置は、切削効率が 比較的低く大抵はアイドリング回転数が過度に高く（最大４０００００ｒｐｍ） 、該アイドリング回転数が負荷時に外的なモーメントによって急激に低下すると いう欠点を付随している。また回転数が過度に高い結果、軸受（滑り軸受又は玉 軸受）の摩耗度が比較的高いという欠点がある。そればかりでなく比較的高い回 転数によって被切削物質（歯質）が許容不能に強く加熱されたり、或いは焼損を 起こしたりする危険がある。

【０００３】 タービンから流出する圧力空気用の出口ポートの横断面を変化することによっ てタービンの回転数を変化させるようにした歯科用タービン駆動装置がドイツ連 邦共和国特許第８４５０９２号明細書に基づいて公知になっている。その場合出 口通路は、互いに同心的に内外に配置された２つの円筒形部分によって構成され 、両円筒形部分は共に円周に複数のポートを有している。出口ポートの横断面の 変化は、外側の円筒形部分のシフトによって得られる。このシフトによって両円 筒形部分のポートは、程度の差こそあれ強く合致させられる。外側の円筒形部分 は、ハンドピース外面の縦辺側に延びるレバーを用いて手でシフトされる。

【０００４】 前掲特許明細書には、ハンドピースの使用者によって所望される回転数を設定 できることが記載されているが、負荷に関連して自動調速するための手段は全く 開示されていない。

【０００５】 戻し空気の流過量に関連して制御される弁を駆動圧力空気の供給通路内に配置 した形式の歯科用タービン調速装置が米国特許第３８６５５０５号明細書に記載 されている。外的モーメントによって（負荷時）タービン回転数が低下すると、 供給通路内の弁は開かれ、これによってより多量の空気量がタービンの翼車へ導 かれる。戻し空気に関連した供給空気流の制御は公知のタービンでは、種々の形 式で、特に、供給空気通路内の弁を制御する戻し空気通路内に配置されたばね負 荷されたスライダを介してか、又は戻し空気通路内に配置されたダイヤフラム・ 圧力ボックスを介して行なわれ、該ダイヤフラム・圧力ボックスは、供給空気導 管内の通流を制御するピストンを調整するようになっている。この公知の調速装 置では、回転数は負荷には無関係にコンスタントに維持される。しかしながら該 装置に付随する欠点は、総空気流を絞るためには比較的大きな力が必要であり、 該力が戻し空気通路内で体積と質量とを使用してしか発生させることができない ことである。これによってタービンの制御挙動は不安定になる。更に公知の装置 は、タービン式ハンドピース内部で比較的大きな構造を必要とし、これによって 組付け問題が当然生じる。

【０００６】 米国特許第３５７８８７２号明細書は、外科用ツールを駆動するために設けら れた２段式タービン駆動装置を開示しており、該タービン駆動装置では、タービ ンの最大回転数を制限し、これによって所謂タービン超過回転を避ける一方、負 荷時のトルクを高めるための手段が設けられている。

【０００７】 このために設けられている構成手段は、タービン翼車と共に回転するリング状 部分から成り、該リング状部分は外周で屈曲されており、こうして屈曲部とリン グ状部分のリングハブとの間に室を形成し、該室内には弾性的なリングが嵌装さ れている。該弾性的なリングは回転数の増加に伴って遠心力に基づいて膨張し、 これによってリング状部分の端面に設けられた開口を閉鎖し、ひいては駆動空気 の流過量が減少される。この構成手段によって有効流過横断面が変化され、究極 的にはタービンの最大回転数が制限される。この場合回転数の調整又は変化は公 知のように、図示されてはいないが手動操作可能な付加的な制御弁によって供給 空気の体積を変化することによって行なわれる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の課題は、負荷の変化に関連して自動調速するための手段を従来技術に 対比して一層単純に構成し、所要スペースを小さくしかつ高い確実性を保証する ような歯科用タービン駆動装置を提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するための本考案の構成手段は、調速エレメントが、翼車と翼 車ケーシングとの間の流出通路内で前記翼車の回転部分に配置されており、しか も前記流出通路の横断面が前記調速エレメントとリング状のケーシング壁とによ って制限されており、かつ前記調速エレメントが、前記翼車の回転時に遠心力に 基づいて調速エレメントの形状及び位置又はその何れかを変化して有効流過横断 面を、回転数の上昇に伴って減少させ、また回転数の低下に伴って増大させるよ うに構成されている点にある。

【００１０】 本考案の有利な構成手段及び実施態様は実用新案登録請求の範囲の請求項２以 降の記載から明らかである。

【００１１】

【実施例】

次に図面に基づいて本考案の実施例を詳説する。

【００１２】 図１において部分的に示した歯科用タービン式ハンドピースではヘッドケーシ ング１内には公知のようにタービン駆動ユニット２が軸支されている。タービン 駆動ユニット２は翼車３を有し、該翼車は公知のように、軸受４内に支承された 軸５に装着されておりかつ外周に多数枚のタービン動翼を有しており、該タービ ン動翼は公知の自由噴流原理に基づいて圧力空気供給通路７からノズル１６を介 して供給される圧力空気を受圧する。この形式のタービン駆動ユニットは例えば ドイツ連邦共和国特許第１２７７５１６号明細書又はドイツ連邦共和国特許第１ ２３８３１１号明細書に開示されている。タービン駆動ユニット２全体は、Ｏリ ング６によって振動を減衰してヘッドケーシング１内に位置決めされている。供 給される圧力空気は翼車３のタービン動翼を通流したのち流出通路８を経て戻し 空気通路９内へ導かれる。従来公知の構造とは異なって流出通路８は、翼車３と 翼車ケーシングとによって制限されて形成されたタービン室の外部に位置してい る戻し空気通路に開口している。これによって、タービンの惰力運転時に発生す る公知の逆吸込み効果が避けられるという利点が得られる。

【００１３】 翼車３は、流出通路８寄りに、軸５に対して同心的な凹設部１０を有し、該凹 設部内には自動調速用の調速エレメントがカップ状ばね円盤１１の形で配置され ている。図３には該カップ状ばね円盤１１が斜視図で示されている。該カップ状 ばね円盤１１は放射状の多数のスリット１２を有し、該スリットはカップ状ばね 円盤１１に特有の弾性を付与する。図１から判るようにカップ状ばね円盤１１は 、起立縁部１３が凹設部１０内へ内向きに係合するように軸６に装着されている 。カップ状ばね円盤１１は、図１において符号１４で示したリング状のケーシン グ壁と相俟って、圧力空気を流出させる有効流過横断面積を制限している。

【００１４】 稼働中、要するに翼車３の回転時には、カップ状ばね円盤１１に対して遠心力 が、該カップ状円盤の自由端部を翼車３から離間させる方向に撓ませるように作 用する（図２）。これによって翼車と翼車ケーシングとの間の流過横断面（ギャ ップ）は狭まる。流出する空気流は該ギャップを通過するので、該ギャップとカ ップ状ばね円盤１１とを適当に設計することによって空気流は絞られ、こうして 所望のように減少されたアイドリング回転数が調整される。処置歯形成中の負荷 時には回転数は低下する。しかしながら過度の回転数低下は防止される。それと いうのは、回転数の低下によってカップ状ばね円盤の振れ、要するに撓み度が減 じ、これによって前記ギャップは大きくなり、ひいては又、空気流過量も多くな るからである。

【００１５】 図４及び図５には本考案の第２実施例が示されている。本実施例における調速 エレメントは弾性的なＯリング１５であり、該Ｏリングの弾性は、該Ｏリングの 形状及び凹設部１０内におけるＯリングの位置又はその何れかが遠心力の作用に よって変化して高い回転数時には流出通路８の横断面を縮小させるのに対して、 回転数の低下時には拡大させるように選ばれている。このために前記Ｏリング１ ５は凹設部１０の外周壁に圧着するように該凹設部内に嵌装されている。この場 合遠心力の作用によって、不作用状態では円形の横断面（図４）が楕円形横断面 （図５）に変形し、その結果、すでに述べたように翼車３とリング状ケーシング 壁１４との間のギャップは減少する。

【００１６】 調速エレメントは、翼車の一方の端面側にだけ配置されているのが有利である が、本考案では相応の調速エレメントを翼車の対向端面側にも配置することが可 能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるタービン駆動装置の第１実施例を
不作用状態で示した概略断面図である。

【図２】図１に示したタービン駆動装置の稼働時にカッ
プ状ばね円盤に遠心力の作用した状態を示す断面図であ
る。

【図３】図１に示したタービン駆動装置のカップ状ばね
円盤を示す斜視図である。

【図４】本考案によるタービン駆動装置の第２実施例を
不作用状態で示した概略断面図である。

【図５】図４に示したタービン駆動装置の稼働時に遠心
力の作用によってＯリング横断面が楕円形に変形した状
態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ヘッドケーシング、 ２ タービン駆動ユニッ
ト、 ３ 翼車、４ 軸受、 ５ 軸、 ６
Ｏリング、 ７ 圧力空気供給通路、 ８流出通路、
９ 戻し空気通路、 １０ 凹設部、 １１
カップ状ばね円盤、 １２ スリット、 １３ 起
立縁部、 １４ リング状のケーシング壁、 １５
弾性的なＯリング、 １６ ノズル

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸受（４）を介してガイドされている翼
   車（３）と、戻し空気の流動経路内に配置されていてタ
   ービン回転数を調整するための調速エレメントとを備
   え、前記翼車が外周に多数枚のタービン動翼を有し、該
   タービン動翼が、自由噴流原理に基づいてノズルを介し
   て供給される圧力空気を受圧する形式の歯科用タービン
   駆動装置において、調速エレメント（１１，１５）が、
   翼車（３）と翼車ケーシングとの間の流出通路（８）内
   で前記翼車（３）の回転部分に配置されており、しかも
   前記流出通路（８）の横断面が前記調速エレメント（１
   １，１５）とリング状のケーシング壁（１４）とによっ
   て制限されており、かつ前記調速エレメント（１１，１
   ５）が、前記翼車（３）の回転時に遠心力に基づいて調
   速エレメントの形状及び位置又はその何れかを変化して
   有効流過横断面を、回転数の上昇に伴って減少させ、ま
   た回転数の低下に伴って増大させるように構成されてい
   ることを特徴とする、歯科用タービン駆動装置。
2. 【請求項２】 調速エレメント(１１，１５)が翼車(３)
   の一方の端面側凹設部（１０）内に配置されている、請
   求項１記載の歯科用タービン駆動装置。
3. 【請求項３】 調速エレメントとしてカップ状ばね円盤
   （１１）が設けられており、該カップ状ばね円盤の屈曲
   された起立縁部（１３）が翼車（３）寄りで該翼車の凹
   設部（１０）内に配置されている、請求項１記載の歯科
   用タービン駆動装置。
4. 【請求項４】 カップ状ばね円盤（１１）が多数のスリ
   ット（１２）によって複数のばね弾性的なセグメントを
   形成している、請求項３記載の歯科用タービン駆動装
   置。
5. 【請求項５】 スリット（１２）が放射状に配置されて
   いる、請求項４記載の歯科用タービン駆動装置。
6. 【請求項６】 調速エレメントとして、翼車（３）の軸
   線に対して同心的に該翼車の凹設部（１０）内に配置さ
   れた弾性変形可能なリング（１５）が設けられており、
   該Ｏリングの外寄りの端面が、リング状のケーシング壁
   （１４）と相俟って流過横断面を制限しており、しかも
   前記リング（１５）の弾性が、該リングの形状及び前記
   凹設部（１０）内の位置又はその何れかを遠心力によっ
   て変化して前記流過横断面を変化させるように選ばれて
   いる、請求項１又は２記載の歯科用タービン駆動装置。
7. 【請求項７】 流出通路（８）が、翼車（３）と翼車ケ
   ーシングとによって形成されたタービン室の外部に配置
   された戻し空気通路（９）へ開口している、請求項１か
   ら６までのいずれか１項記載の歯科用タービン駆動装
   置。